JP2012256446A - 固体電解質電池用電極とその製造方法および固体電解質電池 - Google Patents

固体電解質電池用電極とその製造方法および固体電解質電池 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン伝導性と電極の集電体に対する接着性とを両立させることにより、充分に良好なイオン伝導性を確保しながらも、電極の集電体からの剥離を充分に抑制することができる固体電解質電池用電極とその製造方法およびこのような固体電解質電池用電極を用いた電気的特性に優れた固体電解質電池を提供する。
【解決手段】粉末状の固体電解質、活物質、導電助剤とバインダーとを含有する混合物が、集電体上に膜状に形成されている固体電解質電池用電極であって、集電体上には、少なくとも、集電体側から順に第1層、第2層の2層が設けられており、第1層には、第2層に用いられた第2のバインダーに比べて、集電体に対する接着性が大きい第1のバインダーが用いられており、第2層には、第1のバインダーに比べて、イオン伝導パスを阻害しない第2のバインダーが用いられている固体電解質電池用電極。
【選択図】図3

Description

本発明は、固体電解質電池用電極とその製造方法および固体電解質電池に関する。
固体電解質電池用電極は、通常、固体電解質(SE)、活物質、導電助剤から構成されており、これらの粉末の混合物にPVDFやSBRなどのバインダーおよび溶媒を添加して調製されたスラリーをダイコーターなどのアプリケータを用いて集電体の表面に塗工することにより作製されている(例えば特許文献1)。
特開2011−54327号公報
しかしながら、従来の作製方法を用いて作製された固体電解質電池用電極では、イオン伝導性と集電体に対する接着性とを両立させることが困難であった。
即ち、活物質やSEなどの粉末同士の結着性や電極の集電体に対する接着性を確保するためにバインダーを増量して、活物質やSEなどの比率を低下させた場合、バインダーが活物質やSEなどを覆ってしまい、電極内のイオン伝導パスが阻害される。また、SEは極性の強いバインダー、溶媒、もしくはこれらに含まれる水分と反応し、分解するため、この面からも電極内のイオン伝導パスが阻害される。このような電極が用いられた電池は内部抵抗が増大して、電気的特性の低下を招く恐れがある。
一方、イオン伝導性を上げるために活物質やSEなどを増量した場合、即ち、バインダーの比率を低下させた場合には、電極に対する接着性が低下して、電極の集電体からの剥離を招く恐れがある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、イオン伝導性と電極の集電体に対する接着性とを両立させることにより、充分に良好なイオン伝導性を確保しながらも、電極の集電体からの剥離を充分に抑制することができる固体電解質電池用電極とその製造方法およびこのような固体電解質電池用電極を用いた電気的特性に優れた固体電解質電池を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下に示す発明により上記課題が解決できることを見出した。以下、各発明毎に説明する。
本発明に係る固体電解質電池用電極は、
粉末状の固体電解質、活物質、導電助剤とバインダーとを含有する混合物が、集電体上に膜状に形成されている固体電解質電池用電極であって、
前記集電体上には、少なくとも、前記集電体側から順に第1層、第2層の2層が設けられており、
前記第1層には、前記第2層に用いられた第2のバインダーに比べて、集電体に対する接着性が大きい第1のバインダーが用いられており、
前記第2層には、前記第1のバインダーに比べて、イオン伝導パスを阻害しない第2のバインダーが用いられている
ことを特徴とする。
本発明においては、固体電解質電池用電極として、少なくとも、電極の集電体に対する接着性を確保するための第1層と、イオン伝導性を確保するための第2層との2層が設けられている。
即ち、集電体に対する接着性に優れた第1のバインダーを用いて形成された第1層は、少量であっても、集電体に対して高いアンカー効果を発揮して充分な接着性を確保することができ、電極の集電体からの剥離を充分に抑制することができる。そして、少量のバインダー量で集電体に対して充分な接着性を確保することができるため、イオン伝導パスを阻害しやすいバインダーであっても、イオン伝導パスの阻害の発生を充分に抑制することができる。
一方、イオン伝導パスを阻害しにくい第2のバインダーを用いて形成された第2層は、少量であっても、充分なイオン伝導性を確保することができる。そして、この第2層は集電体に対する接着性は充分とは言えなくても、第1層とは相互のアンカー効果により充分に接着されるため、第1層と第2層とが層間で剥離することもない。
このように、第1層および第2層のそれぞれに役割を分担させることにより、集電体に対する接着性とイオン伝導性とを両立させることができ、電極の集電体からの剥離を充分に抑制すると共に、イオン伝導性が充分に良好な固体電解質電池用電極を提供することができる。
なお、第1層および第2層の上に、さらに、他の層を積層してもよく、また、第1層と第2層を繰り返し積層してもよい。
そして、前記の固体電解質電池用電極は、
前記第1のバインダーが、エポキシ基を含む炭化水素樹脂であり、
前記第2のバインダーが、シリコーンである
ことを特徴とする。
エポキシ樹脂のようなエポキシ基を含む炭化水素樹脂は、SEと反応しやすくイオン伝導パスを阻害しやすいが、固体電解質や活物質、導電助剤などの粉体同士を結着させる結着性およびアルミニウム箔などの集電体との接着性に優れている。このため、集電体に対する充分な接着力を確保するためのバインダーとして好ましい。
シリコーンは、集電体に対する接着力は大きいとは言えない一方で、イオン伝導パスを阻害しにくい。このため、充分なイオン伝導性を確保するためのバインダーとして好ましい。
そして、前記の固体電解質電池用電極は、
前記炭化水素樹脂の重量平均分子量が、1000〜10000であり、
前記シリコーンのシリカの含有量が、20〜70wt%であることを特徴とする。
炭化水素樹脂に充分な接着力と粘度を発現させるためには1000以上の重量平均分子量が好ましく、また、SEとの反応性を抑えるといった観点からは10000以下の重量平均分子量が好ましい。
シリコーンとしては、充分な接着力といった観点から20wt%以上のシリカ含有量が好ましく、また、適当な粘度といった観点から70wt%以下のシリカ含有量が好ましい。
そして、本発明に係る固定電解質電池は、
前記の固体電解質電池用電極が、正極および/または負極に用いられていることを特徴とする。
前記したような、集電体に対する電極の接着性が充分であると共に、イオン伝導性が充分に良好な固体電解質電池用電極が正極や負極に用いられていることにより、電池の内部抵抗が増大することが抑制され、電気的特性の低下を招くことが抑制された固体電解質電池を提供することができる。
また、本発明に係る固体電解質電池用電極の製造方法は、
粉末状の固体電解質、活物質、導電助剤とバインダーとを含有する混合物を、集電体上に膜状に形成して固体電解質電池用電極を製造する固体電解質電池用電極の製造方法であって、
前記集電体上に、少なくとも、前記集電体側から順に第1層、第2層の2層を設ける第1層形成工程および第2層形成工程を備えており、
前記第1層形成工程には、前記第2層形成工程に用いる第2のバインダーに比べて、集電体に対する接着性が大きい第1のバインダーを用い、
前記第2層形成工程には、前記第1のバインダーに比べて、イオン伝導パスを阻害しない第2のバインダーを用いる
ことを特徴とする。
前記したように、第1層の形成に際して、集電体に対する接着性に優れたバインダーを用いることにより、集電体に対して充分な接着性を確保することができる。そして、第2層の形成に際して、イオン伝導パスを阻害しにくいバインダーを用いることにより、充分なイオン伝導性を確保することができる。
この結果、集電体に対する接着性とイオン伝導性とを両立させることができ、電極の集電体からの剥離を充分に抑制すると共に、イオン伝導性が充分に良好な固体電解質電池用電極を製造することができる。
そして、前記の固体電解質電池用電極の製造方法は、
前記第1のバインダーとして、重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ基を含む炭化水素樹脂を用い、
前記第2のバインダーとして、シリカの含有量が20〜70wt%のシリコーンを用いる
ことを特徴とする。
前記した通り、エポキシ樹脂のようなエポキシ基を含む炭化水素樹脂は、SEと反応しやすくイオン伝導パスを阻害しやすいが、固体電解質や活物質、導電助剤などの粉体同士を結着させる結着性およびアルミニウム箔などの集電体との接着性に優れている。このため、集電体に対する充分な接着力を確保するためのバインダーとして好ましく用いることができる。このとき、重量平均分子量としては、1000〜10000が好ましいことは前記した通りである。
また、シリコーンは、集電体に対する接着力は大きいとは言えない一方で、イオン伝導パスを阻害しにくい。このため、充分なイオン伝導性を確保するためのバインダーとして好ましく用いることができる。このとき、シリコーンのシリカ含有量としては、20〜70wt%が好ましいことは前記した通りである。
そして、前記の固体電解質電池用電極の製造方法は、
前記第1のバインダーに対して、沸点が100℃以上のエステル系溶媒を用い、
前記第2のバインダーに対して、沸点が90℃以上の炭化水素系溶媒を用いる
ことを特徴とする。
エポキシ基を含む炭化水素樹脂(第1のバインダー)の溶媒として沸点が100℃以上のエステル系溶媒を、シリコーン(第2のバインダー)の溶媒として沸点が90℃以上の炭化水素系溶媒を用いて、固体電解質、活物質および導電助剤を含有する混合物が添加されたスラリーを作製することにより、塗工後の乾燥に適したスラリーを得ることができ、容易に第1層、第2層の形成を行うことができる。
エステル系溶媒の例として、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテートまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート、セロアセとも言う。沸点:156℃)、ブチルカルビトールアセテート(沸点:247℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAとも言う。沸点:143℃)は、エポキシ基を含む炭化水素樹脂の希釈剤として好ましい。
また、前記の固体電解質電池用電極の製造方法は、
前記炭化水素系溶媒が、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンのいずれかの飽和炭化水素系溶媒、またはトルエン、キシレンのいずれかの炭化水素系溶媒であることを特徴とする。
ヘプタン(沸点:98℃)、オクタン(沸点:125℃)、ノナン(沸点:150℃)、デカン(沸点:174℃)、トルエン(沸点:111℃)、キシレン(沸点:144℃)は、シリコーンの希釈剤として好ましい。
本発明によれば、集電体に対する接着性とイオン伝導性とを両立させることができるため、電極の集電体からの剥離を充分に抑制すると共に、イオン伝導性が充分に良好な固体電解質電池用電極とその製造方法を提供することができる。そして、この固体電解質電池用電極を用いることにより、電池の内部抵抗の増大を抑制することができるため、電気的特性の低下を招くことが抑制された固体電解質電池を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る固体電解質電池用電極の構成を模式的に示す断面図である。 SE粉末、SE粉末と溶媒の混合物、SE粉末と溶媒とバインダーの混合物のイオン伝導度の測定結果を示す図である。 図2に示したイオン伝導度の測定結果をSE粉のみの測定値を100%として相対値で表した図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。
1.固体電解質電池用電極の構成
はじめに本実施の形態に係る固体電解質電池用電極の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る固体電解質電池用電極(以下、単に「電極」ともいう)の構成を模式的に示す断面図であり、図1において1は集電体であり、2は電極であり、電極2は第1層2aおよび第2層2bの2層で構成されている。
(1)第1層
第1層2aは、粉末状のSE、活物質、導電助剤および第1のバインダーをそれぞれ所定比率で含有する混合物からなる層であって、集電体1に対する接着性が優れた層である。
第1層2aのバインダーには、第2層2bのバインダーに比べて集電体に対する接着性が大きなバインダーが用いられている。このようなバインダーとしては、例えば、前記の通り、重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ基を含む炭化水素樹脂(エポキシ系のバインダー)が好ましく、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
エポキシ系のバインダーは、溶媒に溶解させたときに膜化しやすく、粉体の表面を覆うため、イオン伝導パスを阻害しやすい。また、SEと反応しやすく、この面からもイオン伝導パスを阻害しやすい。しかし、バインダー量としては少量で充分であるため、イオン伝導パスの阻害の発生は充分に抑制することができる。
具体的なエポキシ系のバインダーの添加量は、粉体量に対して3〜20vol%程度であることが好ましい。また、形成される第1層2aの厚さは薄いことが好ましく、具体的には1〜20μm程度が好ましい。
なお、SE、活物質、導電助剤の材質などは必要に応じて適宜選択される。例えばリチウムイオン電池の場合、SEとしては、硫化物系のSE、具体的にはLiS−Pが好ましく用いられる。また、活物質としては、正極にはLCO(コバルト酸リチウム)などが、負極にはLTO(チタン酸リチウム)、グラファイトなどが好ましく用いられる。そして、導電助剤としては、アセチレンブラックなどが好ましく用いられる。
(2)第2層
第2層2bは、粉末状のSE、活物質、導電助剤および第2のバインダーをそれぞれ所定比率で含有する混合物からなる層であって、イオン伝導性が良好な層である。
第2層2bのバインダーには、第1層2aのバインダーに比べてイオン伝導パスを阻害しないバインダーが用いられている。このようなバインダーとしては、例えば、前記の通り、シリカの含有量が20〜70wt%のシリコーン(シリコーン系のバインダー)などが好ましく用いられる。
シリコーン系のバインダーは、集電体1との間の接着力は充分大きいとは言えないが、第1層2aとはアンカー効果により少ない添加量であっても、充分な接着力を確保することができる。
具体的なシリコーン系のバインダーの添加量は、粉体量に対して3〜20vol%程度であることが好ましい。また、形成される第2層2bの厚さは、イオン伝導性を考慮して適切な厚さに形成されることが好ましく、具体的には10〜200μm程度が好ましい。
2.固体電解質電池用電極の製造方法
次に、本実施の形態に係る固体電解質電池用電極の製造方法について説明する。
(1)第1層の形成
イ.スラリーの調製
エポキシ系のバインダーに対応する溶媒をミキサーに投入後、撹拌しながら所定量の粉末状のSE、活物質、導電助剤を投入し、混合、分散させる。次いで所定量のエポキシ系のバインダーを投入してスラリーを調製する。
上記の溶媒としては、前記の通り、沸点が100℃以上のエステル系溶媒、具体的には、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、PGMEAなどが好ましく用いられる。
ロ.塗工
調製したスラリーを、Al製などの集電体1の上に、ダイコーターなどのアプリケータを用いて所定の厚さ、具体的には5〜20μm塗工する。
(2)第2層の形成
イ.スラリーの調製
シリコーン系のバインダーを用い、溶媒を変更したこと以外は上記と同様の手順でスラリーを調製する。
上記の溶媒としては、前記の通り、沸点が90℃以上の炭化水素系溶媒、具体的には、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。
ロ.塗工
調製したスラリーを、第1層2aの上に、ダイコーターなどのアプリケータを用いて所定の厚さ、具体的には20〜200μm塗工する。なお、この第2層2bの塗工は、第1層2aの乾燥前であってもよい。
その後、所定の条件で乾燥させることにより電極2を得ることができる。
3.特性の評価実験
(1)集電体との接着性の評価についての実験
本実験においては、エポキシ系およびシリコーン系のバインダーを用いて、集電体との接着性を評価した。
(イ)試験体の作製
最初に、LiS−P(SE粉末)42.9重量部、コバルト酸リチウム(活物質)100重量部、アセチレンブラック(導電助剤)3.0重量部を混合した混合粉末を準備した。
次に、上記の混合粉末に、表1に示す各バインダーを所定量添加し、さらに、各バインダーに対応した溶媒を適量添加して、各スラリーを作製した。
なお、表1に示す「エポキシ系」は重量平均分子量10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、「シリコーン系」はシリカの含有量40wt%のシリコーンである。そして、溶媒は、「エポキシ系」にはセロアセを、「シリコーン系」にはヘプタンを使用した。
各スラリーをAl基材(集電体)上に、ダイコーターを用いて塗布した後乾燥させて、厚さ60μmの塗膜が形成された各試験体を得た。
(ロ)集電体との接着性の評価
得られた各試験体について、ピーリング法(セロテープ(登録商標)による引きはがし試験)を用いて集電体との間の接着性(剥離性)を測定した。評価は、剥離の状況に応じて「○」、「△」、「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 2012256446
表1に示すように、シリコーン系のバインダーは集電体に対する接着力が小さく、20vol%添加することにより初めて弱い接着が見られた。これに対して、エポキシ系のバインダーは3vol%という少ない添加量であっても充分に接着されており、第1のバインダーとしてエポキシ系のバインダーを用いることにより、少ない添加量であっても、集電体との間に充分な接着性を確保できることが確認された。
(2)イオン伝導度の低下についての実験
本実験においては、溶媒やバインダーがイオン伝導パスを阻害する程度につき評価した。
(イ)試験体の作製
最初に、SE粉末として、異なるロットで平均粒径が1μmのLiS−P粉末(a)、(b)を準備した。
次に、(a)のSE粉末にセロアセを10:24の重量比で混合したスラリーと、(b)のSE粉末にヘプタンを10:15の重量比で混合したスラリーとを調製した。
別途、(a)のSE粉末にセロアセおよび重量平均分子量10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂を10:24:0.75の重量比で混合したスラリーと、(b)のSE粉末にヘプタンおよびシリカの含有量が40wt%のシリコーンを10:15:1の重量比で混合したスラリーとを調製した。
各SE粉末および各スラリーは、ガラス容器中で12時間真空乾燥し、乾燥後の粉末を加圧セルに封入して、表2および表3に示す各試験体を得た。なお、表2及び表3において、「SE粉単独」はSE粉末を用いて作製された試験体を示し、「SE粉+溶媒」および「SE粉+溶媒+バインダー」はそれぞれ各スラリーから作製された試験体を示している。
(ロ)イオン伝導度の測定
各試験体について、交流インピーダンス法を用いてイオン伝導度を測定した。測定結果を表2および図2に示す。
また、得られたイオン伝導度の測定結果に基づき、「SE粉単独」の試験体に対する各試験体のイオン伝導度の比率(%)を求め、バインダーによるイオン伝導パスの阻害を評価した。結果を表3と図3に示す。
Figure 2012256446
Figure 2012256446
表2および図2に示すように、エポキシ系のバインダーの場合、溶媒の添加によりイオン伝導度が低下しており、溶媒およびバインダーの添加によりさらにイオン伝導度が低下している。これは、溶媒やバインダーが、SE粉末の一部と反応してイオン伝導度を低下させたものと思われる。
これに対して、シリコーン系のバインダーの場合、溶媒の添加ではイオン伝導度が低下しないものの、溶媒およびバインダーの添加によりイオン伝導度が低下している。これは、溶媒はSE粉末とは反応しないが、バインダーがSE粉末の一部と反応してイオン伝導度を低下させたものと思われる。
そして、表3および図3に示すように、エポキシ系のバインダーの場合には「SE粉単独」の試験体に対し31.4%にまでイオン伝導度が低下しているのに対し、シリコーン系のバインダーの場合には「SE粉単独」の試験体に対し72%のイオン伝導度を維持している。この結果より、シリコーン系のバインダーがエポキシ系のバインダーよりもイオン伝導パスを阻害しにくく、イオン伝導性を確保するために好ましいバインダーであることが分かる。
以上の実験より、エポキシ系のバインダーを用いた第1層を形成し、その上にシリコーン系のバインダーを用いた第2層を形成して2層タイプの電極とすることにより、第1層と第2層の各々に、集電体との接着性に優れた集電体に対する接着性と、良好なイオン伝導性を分担させることができ、集電体に対する接着性とイオン導電性とを両立させることができることが分かる。この結果、活物質やSEなどの集電体からの剥離を充分に抑制すると共に、イオン伝導性が充分に良好な固体電解質電池用電極を提供することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 集電体
2 電極
2a 第1層
2b 第2層

Claims (8)

  1. 粉末状の固体電解質、活物質、導電助剤とバインダーとを含有する混合物が、集電体上に膜状に形成されている固体電解質電池用電極であって、
    前記集電体上には、少なくとも、前記集電体側から順に第1層、第2層の2層が設けられており、
    前記第1層には、前記第2層に用いられた第2のバインダーに比べて、集電体に対する接着性が大きい第1のバインダーが用いられており、
    前記第2層には、前記第1のバインダーに比べて、イオン伝導パスを阻害しない第2のバインダーが用いられている
    ことを特徴とする固体電解質電池用電極。
  2. 前記第1のバインダーが、エポキシ基を含む炭化水素樹脂であり、
    前記第2のバインダーが、シリコーンである
    ことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質電池用電極。
  3. 前記炭化水素樹脂の重量平均分子量が、1000〜10000であり、
    前記シリコーンのシリカの含有量が、20〜70wt%であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解質電池用電極。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の固体電解質電池用電極が、正極および/または負極に用いられていることを特徴とする固体電解質電池。
  5. 粉末状の固体電解質、活物質、導電助剤とバインダーとを含有する混合物を、集電体上に膜状に形成して固体電解質電池用電極を製造する固体電解質電池用電極の製造方法であって、
    前記集電体上に、少なくとも、前記集電体側から順に第1層、第2層の2層を設ける第1層形成工程および第2層形成工程を備えており、
    前記第1層形成工程には、前記第2層形成工程に用いる第2のバインダーに比べて、集電体に対する接着性が大きい第1のバインダーを用い、
    前記第2層形成工程には、前記第1のバインダーに比べて、イオン伝導パスを阻害しない第2のバインダーを用いる
    ことを特徴とする固体電解質電池用電極の製造方法。
  6. 前記第1のバインダーとして、重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ基を含む炭化水素樹脂を用い、
    前記第2のバインダーとして、シリカの含有量が20〜70wt%のシリコーンを用いる
    ことを特徴とする請求項5に記載の固体電解質電池用電極の製造方法。
  7. 前記第1のバインダーに対して、沸点が100℃以上のエステル系溶媒を用い、
    前記第2のバインダーに対して、沸点が90℃以上の炭化水素系溶媒を用いる
    ことを特徴とする請求項6に記載の固体電解質電池用電極の製造方法。
  8. 前記炭化水素系溶媒が、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンのいずれかの飽和炭化水素系溶媒、またはトルエン、キシレンのいずれかの炭化水素系溶媒であることを特徴とする請求項7に記載の固体電解質電池用電極の製造方法。
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