JP2012247737A - シートロール、シートロールの製造方法、光学シートの製造方法、及び表示装置の製造方法 - Google Patents

シートロール、シートロールの製造方法、光学シートの製造方法、及び表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制しつつ、巻きずれが生じることを防止できるシートロール及び該シートロールの製造方法、並びに、該シートロールの製造方法を用いた光学シートの製造方法及び表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】光学シートとなる部分を含む帯状の積層シート10を、スペーサー20を介してロール状に巻回したシートロール1であって、積層シートは、一方の面側に、粘着剤層17と、粘着剤層を覆う被覆層18とを備えており、積層シートを構成する各層の幅が異なることによって、積層シートの幅方向の両端部において段が形成され、スペーサーが、段に対して積層シートの幅方向の外側に配置されている、シートロール及び該シートロールの製造方法、並びに、該シートロールの製造方法を用いた光学シートの製造方法及び表示装置の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロール状に巻回した積層シートを備えたシートロール、及びその製造方法、並びに、該シートロールの製造方法を用いた光学シートの製造方法及び表示装置の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、有機EL、FED等のような、映像を観察者に出射する表示装置には、映像源と、該映像源からの映像光の質を高めて観察者に出射するための各種機能を有する層を具備する光学シートとが備えられている。
光学シートは、通常、以下のような過程を経て製造される。すなわち、まず光学シートとして利用される部分を含む積層シートを長い帯状に製造し、該積層シートをロール状に巻回したシートロールを作製する。そして、このシートロールの状態で運搬及び保管される。その後、シートロールから積層シートを巻き出し、積層シートを適切な大きさのシートを切り出すとともに、切り出した積層シートから余計な部位を取り除くことによって、光学シートを製造することができる。
上記積層シートには、光学シートを他の部材に貼合するためなどに用いられる粘着層が備えられている。当該粘着剤層を備えた積層シートを上記のようにロール状に巻回すると、積層シートの表面に異物が付着していた場合や積層シートの表面に微細な凹凸が形成されていた場合などに、積層シートを巻き取った後に積層シートの厚さ方向に生じる圧力と上記異物や積層シートの表面の凹凸とに起因して、打痕と呼ばれる凹部状の欠陥(塑性変形)が粘着剤層に生じることがあった。このような打痕が存在する粘着剤層を備えた光学シートを表示装置に使用すると、該打痕によって映像に微小な歪み等が生じ、映像の品位を低下させる要因となっていた。
光学シートとなる部分を含む積層シートをロール状に巻回した後に生じる上記のような問題を解決するための技術の一例が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1には、光学フィルム(光学シートとなる部分を含む積層シート)の厚みに対して5%以上100%以下の厚みを有するサイドテープ(スペーサー)を光学フィルムの幅方向の両端部に積層して光学フィルムを巻き取る技術が開示されている。
特開2009−86426号公報
上記特許文献1に記載された技術のように、スペーサーを介して光学シートとなる部分を含む積層シートをロール状に巻回すれば、該積層シートをロール状に巻回した後に積層シートの一方の面と他方の面との接触部分において積層シートの厚さ方向に働く押圧力を低減させることができ、上述した打痕などの外観不良が光学シートに生じることを防止できると考えられる。
しかしながら、従来の技術では、上述したようにして積層シートをロール状に巻回して運搬及び保管していると、その間に該シートロールに巻きずれが生じるという問題があった。
そこで本発明は、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制しつつ、巻きずれが生じることを防止できるシートロール及び該シートロールの製造方法を提供することを課題とする。また、該シートロールの製造方法を用いることによって、生産性が向上された光学シートの製造方法及び表示装置の製造方法を提供することも課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。
請求項1に記載の発明は、光学シートとなる部分を含む帯状の積層シートを、スペーサーを介してロール状に巻回したシートロールであって、積層シートは、一方の面側に、粘着剤層と、該粘着剤層を覆う被覆層とを備えており、積層シートを構成する各層の幅が異なることによって、積層シートの幅方向の両端部において段が形成され、スペーサーが、該段に対して積層シートの幅方向の外側に配置されている、シートロールである。
本発明において「スペーサー」とは、積層シートをロール状に巻回したシートロールにおいて、該積層シートの一方の面と他方の面との間に配置され、該積層シートの一方の面と他方の面との間で積層シートの厚さ方向に働く押圧力を低減させることができる部材を意味する。また、「幅方向」とは、積層シートをロール状に巻回した後に該シートロールの軸心と平行になる方向を意味する。
上記のように、スペーサーを介して積層シートをロール状に巻回することによって、光学シートのシート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制できる。また、積層シートの幅方向の両端部に段を形成し、該段に対して積層シートの幅方向の外側にスペーサーを配置することによって、後に詳述するように、スペーサーが該段にひっかかるので、製造時、運搬時、及び保管時などに巻きずれが発生することを防止できるシートロールを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートロールにおいて、上記段が、粘着剤層の幅より被覆層の幅が広いことによって形成されていることを特徴とする。かかる形態とすることによって、段の形成及びスペーサーの配置が容易になる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシートロールにおいて、スペーサーが積層シートの一方の面側に貼合されていることを特徴とする。かかる形態とすることによって、スペーサーの配置及び固定が容易になる。また、積層シートのうち光学シートとしては利用されない部分にスペーサーを貼合することによって、積層シートから光学シートとなる部分を切り出す際に、積層シートのうち光学シートしては利用しない不要な部分とスペーサーとを一緒に破棄することができるため、スペーサーを除去する工程を省くことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートロールにおいて、積層シートが、基材層と、該基材層の表面に沿って並列し、光を透過可能に形成された光透過部、及び該光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部を有する光学機能層と、を備えていることを特徴とする。かかる形態とすることによって、積層シートから、映像のコントラストの向上などを図れる光学機能層を備えた光学シートを切り出すことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートロールにおいて、積層シートが、被覆層が備えられる側とは反対側の面に、光学シートとなる部分の表面を保護する保護層を備えていることを特徴とする。かかる形態とすることによって、シートロールの製造時、運搬時、及び保管時などに光学シートとなる部分に損傷が生じることを防止できる。
請求項6に記載の発明は、光学シートとなる部分を含む帯状の積層シートを、スペーサーを介してロール状に巻回したシートロールの製造方法であって、一方の面側に、粘着剤層と、該粘着剤層を覆う被覆層とを備えた積層シートを作製する積層シート作製工程と、積層シートの幅方向の両端部にスペーサーを配置しながら積層シートをロール状に巻回する巻回工程と、を含み、積層シート作製工程において、幅が異なる層を積層して積層シートの幅方向の両端部に段を形成し、巻回工程において、該段に対して積層シートの幅方向の外側にスペーサーを配置する、シートロールの製造方法である。
上記のように、スペーサーを介して積層シートをロール状に巻回することによって、光学シートのシート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制できる。また、積層シートの幅方向の両端部に段を形成し、該段に対して積層シートの幅方向の外側にスペーサーを配置することによって、後に詳述するように、スペーサーが該段にひっかかり、巻きずれを防止することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシートロールの製造方法において、粘着剤層の幅より被覆層の幅を広くすることによって上記段を形成することを特徴とする。かかる形態とすることによって、段の形成及びスペーサーの配置が容易になる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載のシートロールの製造方法において、巻回工程が、スペーサーを積層シートの一方の面側に貼合する工程を含むことを特徴とする。かかる形態とすることによって、スペーサーの配置及び固定が容易になる。また、積層シートのうち光学シートとしては利用されない部分にスペーサーを貼合することによって、積層シートから光学シートとなる部分を切り出す際に、積層シートのうち光学シートしては利用しない不要な部分とスペーサーとを一緒に破棄することができるため、スペーサーを除去する工程を省くことができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシートロールの製造方法において、積層シート作製工程が、基材層と、該基材層の表面に沿って並列し、光を透過可能に形成された光透過部、及び該光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部を有する光学機能層と、を備えた積層シートを作製する工程であることを特徴とする。かかる形態とすることによって、積層シートから、映像のコントラストの向上などを図れる光学機能層を備えた光学シートを切り出すことができる。
請求項10に記載の発明は、映像源より観察者側に配置され、該映像源側から入射した光を制御して観察者側に出射する光学シートの製造方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートロールを巻き出して所定の大きさのシートを切り出す工程を含む、光学シートの製造方法である。請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートロールは、上述したように巻きずれが防止されており、取り扱いが容易である。したがって、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートロールを用いることによって、光学シートの生産性を向上させることができる。
請求項11に記載の発明は、映像源と、該映像源の観察者側に配置される光学シートと、を有する表示装置の製造方法であって、請求項10に記載の光学シートの製造方法によって光学シートを製造する工程と、映像源の観察者側に光学シートを配置する工程と、を含む、表示装置の製造方法である。請求項10に記載の光学シートの製造方法は、上述したように生産性が向上されている。したがって、請求項10に記載の光学シートの製造方法を用いることによって、表示装置の製造方法の生産性を向上させることができる。
本発明によれば、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制しつつ、巻きずれが発生することを防止できるシートロール及び該シートロールの製造方法を提供することができる。また、該シートロールの製造方法を用いることによって、生産性が向上された光学シートの製造方法及び表示装置の製造方法を提供することもできる。
一つの実施形態に係るシートロールの一部を概略的に示す断面図である。 図1に示したシートロールに備えられる積層シートを巻回する前の断面について概略的に示す図である。 図1及び図2に示した光学機能層の一部を概略的に示す断面図である。 他の実施形態に係るシートロールの一部を概略的に示す断面図である。 一つの実施形態に係るシートロールの製造方法に含まれる工程を示す図である。 図6(a)は、光透過部を形成する工程の一例について説明する図である。図6(b)は、図6(a)に示した工程を経て得られるシートの断面の一部を概略的に示す図である。 図7(a)は、光吸収部を形成する工程の一例について説明する図である。図7(b)は、図7(a)に示した工程を経て得られるシートの断面の一部を概略的に示す図である。 図8(a)は、保護層形成工程の一例について説明する断面図である。図8(b)は、粘着剤層形成工程について説明する断面図である。 巻回工程の一例について説明する斜視図である。 一つの実施形態に係る表示装置の製造方法によって製造されるプラズマテレビを模式的に示した分解斜視図である。 図10に示したプラズマテレビに備えられるプラズマディスプレイパネルユニットの断面の一部を概略的に示した図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。なお、各図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜簡略化している。また、各図面において、同様の構成のものには同じ符号を付しており、繰り返しとなる符号は一部省略している場合がある。
1.シートロール
本発明のシートロールについて説明する。図1は、一つの実施形態に係るシートロール1の一部を概略的に示す断面図である。図1において、紙面左右方向が積層シート10の幅方向、紙面上側がシートロール1の外周面側、紙面下側がシートロール1の軸心側である。図2は、シートロール1に備えられる積層シート10を巻回する前の断面について概略的に示す図である。図2において、紙面左右方向が積層シート10の幅方向、紙面上下方向が積層シート10の厚さ方向、紙面奥/手前方向が積層シート10の長手方向である。
シートロール1は、光学シートとなる部分を含む帯状の積層シート10を備えている。後に説明するように、積層シート10から切り出したシートは、映像源より観察者側に配置し、該映像源側から入射した光を制御して観察者側に出射可能な光学シートとして用いることができる。
また、図1に示すように、シートロール1は、スペーサー20を介して積層シート10を巻回することによって構成されている。
さらに、図2に示すように、積層シート10は、積層方向において、保護層19、基材層11、光学機能層12、粘着剤層17、及び被覆層18を該順序で備えている。これらの層は、図2で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在している。
図1及び図2に示すように、積層シート10の幅方向の両端部には、積層シート10を構成する各層の幅が異なることによって、段s、sが形成されている。より具体的には、粘着剤層17の幅より被覆層18の幅が広いことによって、粘着剤層17の厚さ分の段s、sが形成されている。
スペーサー20は、上記段sに対して積層シート10の幅方向の外側に配置されている。このようにスペーサー20が段sより外側に配置されることによって、後に詳述するように、スペーサー20が段sにひっかかるので、シートロール1の製造時、運搬時、及び保管時などに、巻きずれが生じることを防止できる。
以下、シートロール1を構成する各部材についてさらに詳細に説明する。
(基材層11)
基材層11は、光学機能層12を形成するための基材となる層である。基材層11を構成する材料は所定の強さと透光性を有すれば特に限定されることはない。これには例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6等のポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を主成分とする樹脂を挙げることができる。ここで「主成分」とは、基材層を形成する材料全体に対して上記樹脂が50質量%以上含有されていることを意味する(以下、同様とする。)。
この中でも、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点から、PETを主成分とする樹脂によって基材層11を構成することが好ましい。
(光学機能層12)
光学機能層12は、積層シート10から切り出した光学シートが表示装置に備えられた際に、映像源側からの映像光の光路を制御して観察者側に出射するとともに、迷光や外光を適切に吸収する機能を有する層である。光学機能層12は、図2に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する形状を備える。すなわち、図2に表れる断面において、光学機能層12は、光を透過可能に層面に沿って並列された光透過部13、13、…と、光透過部13、13、…間に光を吸収可能に並列された光吸収部14、14、…とを備えている。図3には、光学機能層12の一部を拡大して示した。
光透過部13、13、…は、映像光を透過する機能を有する部位で、図1〜図3に表れる断面において、略台形の断面を有する要素である。当該略台形断面における上底及び該上底より長い下底が光学機能層12の層面に沿う方向に配置されている。また、光透過部13、13、…は、屈折率がNpであり、光透過性を有する。このような光透過部13、13、…は、以下に説明する光透過部構成組成物を硬化させることによって構成することができる。なお、屈折率Npの値は特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点等から1.49〜1.56であることが好ましい。
光透過部構成組成物としては、紫外線などの光で硬化させられる組成物が好ましい。このような組成物としては、例えば、以下に挙げる光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)および光重合開始剤(S1)を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
さらに、上記光重合開始剤(S1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物、ベンゾイルホルメート化合物、チオキサントン化合物、ベンゾフェノン、リン酸エステル化合物、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部13の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
上記光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(S1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また必要に応じて、光透過部構成組成物中に、塗膜の改質や塗布適性、金型からの離型性を改善させるため、種々の添加剤としてシリコーン系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加することも可能である。
次に、光吸収部14、14、…について説明する。光吸収部14、14、…は、光透過部13、13、…の間に配置され、図1〜図3に表れる断面において略台形面を有する要素である。光吸収部14、14、…の略台形断面における上底及び該上底より長い下底が光学機能層12の層面に沿う方向に配置されている。また、光吸収部14、14、…の略台形断面の下底に相当する面が光透過部13、13、…の上底間に並列されている。そして、光吸収部14、14、…の下底、及び光透過部13、13、…の上底により光学機能層12の一方の面が形成されている。光吸収部14、14、…の略台形断面における斜辺は、光学機能層12の層面の法線方向に対して0度以上10度以下の角度をなしていることが好ましい。なお、斜辺の角度が0度に近い場合、光透過部13、13、…及び光吸収部14、14、…の断面は略矩形となる。また、光吸収部14、14、…の上記斜辺の傾きは必ずしも一定である必要はなく、折れ線状であってもよいし、曲線状であってもよい。さらに、光吸収部14、14、…の断面は、略三角形であってもよい。
また、光吸収部14、14、…は、光透過部13、13、…の屈折率Npより小さい屈折率Nbを有する所定の材料により構成されている。このように光透過部13、13…の屈折率Npと光吸収部14、14、…の屈折率NbとをNp>Nbとすることにより、光透過部13、13、…に入射した映像源からの映像光を、光吸収部14、14、…と光透過部13、13、…との界面でスネルの法則によって全反射させ、観察者に明るい映像を提供することができる。NpとNbとの屈折率の差は特に限定されるものではないが、0より大きく0.06以下であることが好ましい。
また、本実施形態では上記のようにNp>Nbの関係が好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、光透過部の屈折率と光吸収部の屈折率とを同じにしてもよく、光透過部の屈折率を光吸収部の屈折率よりも小さくすることも可能である。
加えて、本実施形態における光吸収部14、14、…は、光吸収粒子16、16、…と光吸収粒子16、16、…を分散させたバインダー15とを含む光吸収部構成組成物が光透過部13、13、…間の溝に充填して硬化されることにより構成されている。これにより、光透過部13、13、…と光吸収部14、14、…との界面でスネルの法則によって反射せずに光吸収部14、14、…の内側に入射した迷光を光吸収粒子16、16、…で吸収することができる。さらには所定の角度で入射した観察者側からの外光を光吸収粒子16、16、…で適切に吸収することができ、映像のコントラストを向上させることも可能となる。
なお、屈折率Nbを有する所定の材料により光吸収部14、14、…を構成するとは、例えば、屈折率Nbである材料によりバインダー15が構成されることを意味する。当該バインダー15として用いられるものは特に限定されないが、紫外線などの光によって硬化される組成物が好ましい。このような組成物としては、例えば、以下に例示する光硬化型プレポリマー(P2)、反応性希釈モノマー(M2)及び光重合開始剤(S2)を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記光硬化型プレポリマー(P2)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びブタジエン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M2)としては、例えば、単官能モノマーとして、ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。また、多官能モノマーとして、(メタ)アクリレート系のものを挙げられる。
さらに、上記光重合開始剤(S2)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。
上記光硬化型プレポリマー(P2)、反応性希釈モノマー(M2)及び光重合開始剤(S2)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレートからなる光重合性成分(詳しくは、光硬化型プレポリマー(P2)及び反応性希釈モノマー(M2))の屈折率、粘度、又は光学機能層12の性能への影響等を考慮して任意に配合して用いることができる。また必要に応じて、添加剤として、シリコーン、消泡剤、レベリング剤及び溶剤等を光吸収部構成組成物に添加してもよい。
光吸収粒子16としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく用いられる。着色粒子の平均粒子径は1.0μm以上20μm以下であることが好ましい。平均粒子径が1.0μm以上の着色粒子を用いることによって、後述するように光吸収部の形成過程において、着色粒子がドクターブレード54と光透過部13の上部との間の隙間を抜け難くなり、光透過部13の上部に着色粒子が残留することを防止できる(図7(a)参照)。
(粘着剤層17)
次に、粘着剤層17について説明する。粘着剤層17は、粘着剤を含む粘着剤組成物によって構成されている。粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着の際に室温下(例えば、15〜40℃)で、単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤層17に用いる粘着剤組成物は、光を透過させるとともに、適切な粘着性を有すればその材質は特に限定されるものではない。粘着剤層17の粘着力は、例えば、数N/25mm〜35N/25mm程度とすることができる。
粘着剤層17に用いることができる粘着剤は、必要な成膜性、光透過性、粘着性、耐候性を実現するものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の各種粘着剤を適宜選択して用いることができる。粘着剤層17の透明性は、高いほどよいが、好ましくは可視光域380〜780nmにおける波長平均光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が良い。
上記粘着剤の構成材料としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系(以下、「アクリル系」と表記する。)、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴムが挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好適に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体や、炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの2種以上を用いた共重合体であるのが一般的である。なお、本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。
ここで使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n‐プロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル等を挙げることができる。
なお、粘着剤組成物には、所望に応じて、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、ネオン線吸収剤、および調色色素などを含めることもできる。また、粘着剤層17を後に説明する電磁波遮蔽層に貼り合わせる場合は、ベンゾトリアゾールなどの酸化防止剤が粘着剤組成物に含まれているか、−COOH、−NHなどの酸基が粘着剤組成物に含まれていないことが望ましい。
(保護層19)
次に、保護層19について説明する。保護層19は、シートロール1の製造時、運搬時、及び保管時などに積層シート10のうち光学シートとして利用される部分の表面を保護するために、積層シート10の最表面に備えられる層である。保護層19は、積層シート10の一部を光学シートとして使用する際には取り除かれる層である。したがって、保護層19は、一旦貼合した後に剥離可能なフィルム(以下、「離型フィルム」と表記する。)によって構成される。このような離型フィルムとしては、公知のものを用いることができる。なお、保護層19は後に破棄される層であるため、通常、保護層19には、表面に微細な凹凸が形成された安価なフィルムを使用する。そのため、積層シート10をロール状に巻回すると、保護層19の表面の凹凸が粘着剤層17に転写されることがあった。本発明によれば、後に詳述するように、スペーサーを用いることによって、このような外観不良が生じることを防止できる。
離型フィルムは、基材の一方の面に粘着剤(例えば、アクリル系樹脂)によって構成された粘着剤層を有する。当該離型フィルムの基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、上質紙、パーチメント紙、硫酸紙等の紙等が挙げられる。これらの樹脂は、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む。)として用いることができる。以上の材料からなる層を単層で、又は2層以上の積層体で離型フィルムの基材を構成することができる。
離型フィルムの基材の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下が好ましい。当該基材と粘着剤層との接着性を向上させるため、必要に応じて基材の表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート、脱脂処理、表面粗面化処理等の易接着性処理を行うこともできる。
離型フィルムの粘着剤層は、剥離の際に被着体に粘着剤が残らないことが必要である。そのため、当該粘着剤層に含まれる粘着剤の粘着力は適切な範囲であることが必要である。したがって、当該粘着剤の粘着力は、1N/25mm以下程度であることが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系(以下、「アクリル系」と表記する。)、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系等の粘着剤が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴムが挙げられる。
(被覆層18)
次に、被覆層18について説明する。被覆層18は、粘着剤層17を覆う層である。また、後述するように、粘着剤層17を形成する際の基材としても用いることができる層である。
積層シート10から切り出した光学シートを他の部材に貼合する際に粘着剤層17を用いる場合は、被覆層18は粘着剤層17から剥離可能である必要がある。この場合、被覆層18としては、例えば、上記保護層19に用いることができる離型フィルムの基材と同様のものを用いることができる。このように、光学シートを利用する際には剥離して破棄することを前提として被覆層18を用いる場合、被覆層18は、粘着剤層17を介して光学シートを他の部材に貼合するまでの間、粘着剤層17に異物が付着することや、粘着剤層17が他のものと接触することを防止するために用いることができる。
ただし、被覆層18は、上述したように剥離して破棄することを前提とする層に限定されない。すなわち、被覆層18を、光学シートの一部として利用する層とすることも可能である。このような層としては、例えば、後に説明する電磁波遮蔽層、防眩層、反射防止層、ハードコート層、波長フィルタ層などを挙げることができる。
(スペーサー20)
次に、スペーサー20について説明する。スペーサー20を介して積層シート10をロール状に巻回することによって、シートロール1の製造時、運搬時及び保管時などにおいて、巻き重ねられた積層シート10の一方の面と他方の面との間に働く押圧力(主にシートロール1の直径方向(法線方向)に向かって作用する圧力)を小さくすることができる。したがって、スペーサー20を備えることにより、積層シート10の表面に付着した異物や、保護層19の表面に形成された微細な凹凸などが粘着剤層17に転写されることを防止し、積層シート10から切り出される光学シートのシート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制することができる。なお、積層シート10のうちスペーサー20と接する部分では、スペーサー20と接しない部分に比べて、積層シート10にかかる押圧力が増加し、スペーサー20に起因する打痕が粘着剤層17に刻印される虞がある。しかしながら、スペーサー20が配置される部分は積層シート10の幅方向両端部であり、通常は光学シートとして用いる部分ではないため、特に不都合は無い。
スペーサー20の配置位置は、上述したように、段sに対して積層シート10の幅方向の外側である。スペーサー20がこの位置に配置されていることによって、以下に説明するように、積層シート10を巻回する際、及び巻回した後、スペーサー20が段sにひっかかるので、シートロール1に巻きずれが生じることを防止できる。
巻き重ねられた積層シート10、10の界面(保護層19と被覆層18との界面)において、重なった積層シート10、10の互いの位置が幅方向にずれて巻きずれが生じかけたとき、保護層19とスペーサー20との間には摩擦力が働くので、保護層19とスペーサー20とが一緒に動く。そのため、スペーサー20が段sにひっかかり、巻きずれの発生が防止される。
なお、保護層19は後に破棄される層であるため、通常、保護層19には、表面に微細な凹凸が形成された安価なフィルムを使用する。そのため、スペーサー20と被覆層18との間に働く摩擦力より、スペーサー20と保護層19との間に働く摩擦力の方が大きくなる。
上述したようにしてシートロール1の巻きずれを防止するという観点からは、スペーサー20の保護層19に接する側の表面には、微細な凹凸が形成されていることが好ましい。かかる形態とすることによって、スペーサー20と保護層19と間に働く摩擦力を大きくすることができる。
また、スペーサー20は、積層シート10の一方の面側に貼合されていることが好ましい。かかる形態とすることによって、スペーサー20の配置及び固定が容易になる。また、積層シート10のうち光学シートとしては利用されない部分にスペーサー20を貼合することによって、積層シート10から光学シートとなる部分を切り出す際に、積層シート10のうち光学シートしては利用しない不要な部分とスペーサー20とを一緒に破棄することができるため、光学シートの製造過程において、スペーサー20を除去する工程を省くことができる。
上記のようにスペーサー20を貼合する場合、スペーサー20は積層シート10のどちら側の面に貼合してもよい。
被覆層18にスペーサー20を貼合した場合、巻き重ねられた積層シート10、10の界面(保護層19と被覆層18との界面)において重なった積層シート10、10の互いの位置が幅方向にずれて巻きずれが生じかけたとき、保護層19とスペーサー20と被覆層18のうち粘着剤層17を覆っていない部分とが一緒に動く。そのため、スペーサー20及び/又は被覆層18のうち粘着剤層17を覆っていない部分が段sにひっかかり、巻きずれの発生が防止されると考えられる。なお、積層シート10を巻回するとき、重なった積層シート10には厚み方向(巻き芯側)に圧力がかかっており、スペーサー20が段sにひっかかり易くなると考えられる。
一方、保護層19にスペーサー20を貼合した場合は、巻き重ねられた積層シート10、10の界面(保護層19と被覆層18との界面)において重なった積層シート10、10の互いの位置が幅方向にずれて巻きずれが生じかけたとき、被覆層19とスペーサー20とが一緒に動く。そのため、スペーサー20が段sにひっかかり、巻きずれの発生が防止されると考えられる。
スペーサー20の厚さは、シートロール1の製造時、運搬時及び保管時等において、巻き重ねられた積層シート10の一方の面と他方の面との間で積層シートの厚さ方向に働く押圧力を低減できる厚さであれば、特に限定されない。すなわち、スペーサー20の厚さは、スペーサー20の配置位置、段を構成する層の厚さなどに応じて適宜選択することができる。
また、積層シート10の幅は通常1000mm以上1600mm以下であり、この場合、スペーサー20の幅は、5mm以上25mm以下であることが好ましい。スペーサー20の幅を5mm以上とすることによって、スペーサー20に接していない部分において積層シート10の厚さ方向にかかる上記押圧力を低減しやすくなり、積層シート10の表面に付着した異物や、保護層19の表面に形成された微細な凹凸などが粘着剤層17に転写されることを防止しやすくなる。スペーサー20の幅を25mm以下とすることによって、層シート10の表面に付着した異物や、保護層19の表面に形成された微細な凹凸などが粘着剤層17に転写されることを防止しつつ、積層シート10の有効領域(光学シートとして利用できる部分)を十分に確保し易くなる。
このようなスペーサー20に用いることができるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、等の硬質の熱可塑性樹脂、上質の和紙、不織布、ウレタン発泡シート、ポリエチレン発泡体シート等の弾力性に優れた材料が挙げられる。弾力性に優れた材料をスペーサー20として使用すると、積層シート10のうちスペーサー20に接する部分の端部において筋状の打痕が生じ難くなるため、積層シート10の有効領域を広くすることができるので、好ましい。
また、上述したようにスペーサー20を積層シート10の一方の面に貼合する場合、スペーサー20として、上記保護層19を構成する離型フィルムと同様の離型フィルムを適切な幅に裁断して用いることもできる。保護層19を構成する離型フィルムの一部を裁断してスペーサー20として用いる形態とすれば、材料費を削減することが可能である。また、保護層19を構成する離型フィルムと同様の離型フィルムをスペーサー20として用いれば、スペーサー20を、上述したような表面に微細な凹凸を有する形態とすることもできる。
これまでの説明では、粘着剤層17の幅より被覆層18の幅が広いことによって形成された段sに対して積層シート10の幅方向の外側にスペーサー20が配置された形態を例示して説明したが、上記段の形成手段やスペーサーの配置位置は、これまでに例示した形態に限定されない。図4は、他の実施形態に係るシートロール1’の一部を概略的に示す断面図であり、図1に対応する図である。
シートロール1’を構成する各部材は、幅や厚さが異なる以外はシートロール1と同様とすることができるため、図1と同符号を付し、適宜説明を省略する。
シートロール1’では、被覆層18の幅と光学機能層12の幅とが異なることによって形成された段s’に対して積層シート10の幅方向の外側にスペーサー20が配置されている。このような形態であっても、シートロール1と同様に巻きずれの発生を防止することができる。
また、これまでの説明では、保護層19、基材層11、光学機能層12、粘着剤層17、及び被覆層18を備えた積層シート10を例示して説明したが、積層シートに備えられる層はこれらの層に限定されない。積層シートには、少なくとも粘着剤層及び被覆層が備えられていればよく、積層シートから切り出す光学シートの用途などに応じて従来の光学シートに用いられていたその他の機能を有する層を適宜備えていてもよい。
従来の光学シートに用いられていたその他の機能を有する層としては、例えば、電磁波遮蔽層、防眩層、反射防止層、ハードコート層、波長フィルタ層、衝撃吸収層などを挙げることができる。これらの層は、上述したように被覆層18として用いることも可能であり、粘着剤層を用いて他の層に貼合することも可能である。当該粘着剤層には、粘着剤層17と同様に公知の粘着剤組成物を用いることが可能であり、粘着剤層17と同様に、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、ネオン線吸収剤、および調色色素などを含めることも可能である。これらの層の積層順、及び積層数は、積層シートから切り出される光学シートの用途に応じて適宜決定される。これらの層の機能などについて以下に説明する。
電磁波遮蔽層は、その名称が示す通り、電磁波を遮断する機能を有する層である。当該機能を有する層であれば、電磁波を遮断する手段は特に限定されるものではない。これには、例えば、金属(銅等)メッシュを挙げることができる。当該金属メッシュを得る方法としてはエッチング、蒸着等により微細な金属のメッシュパターンを形成することが有効である。金属メッシュのピッチ等は遮断すべき電磁波や必要な透過率、モアレの発生状況により適宜設計されるが、例えばピッチ約300μm、線幅12μmであるものを挙げることができる。
防眩層は、いわゆるぎらつきを抑制する機能を有する層であり、アンチグレア層、AG層と呼ばれることもある。このような防眩層は、市販のフィルムを用いる等して構成することが可能である。
反射防止層は外光の反射を防止する機能を有する層である。これによれば、外光が光学シートの観察者側面で反射して観察者側へ戻って、表示面にいわゆる映り込みが生じて映像が見え難くなることを抑制することができる。このような反射防止層は、市販の反射防止フィルムを用いる等して構成することが可能である。
ハードコート層は、HC層と呼ばれることもある。これは、表示面に傷がつくことを抑えるために耐擦傷性を付与することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
波長フィルタ層は、所定の波長の光の透過を抑制する機能を有する層である。透過を抑制されるべき波長は必要に応じて適宜選択することができる。波長フィルタ層の具体例としては、PDPから出射されるネオン線を吸収したり、赤外線、近赤外線や紫外線を吸収したりする層、色調を調整する層等を挙げることができる。波長フィルタ層は、他の機能層、例えば粘着剤層などと複合化させることもできる。
衝撃吸収層は、PDPのパネル(ガラス)を外部の衝撃から保護するための層である。通常は200μm以上1000μm以下程度の厚さで、かつ衝撃を吸収する樹脂材料が用いられる。
2.シートロールの製造方法
シートロール1を例にして、本発明のシートロールの製造方法について以下に説明する。図5は、一つの実施形態に係るシートロールの製造方法に含まれる工程を示したフロー図である。図5に示したシートロールの製造方法は、積層シート作製工程(以下、単に「工程S10」と記載する場合がある。)、及び巻回工程(以下、単に「工程S20」と記載する場合がある。)を有している。
<積層シート作製工程(工程S10)>
工程S10は、積層シート10を作製する工程である。工程S10は、図5に示すように、光学機能層形成工程(以下、単に「工程S11」と記載する場合がある。)、保護層形成工程(以下、単に「工程S12」と記載する場合がある。)、粘着剤層形成工程(以下、単に「工程S13」と記載する場合がある。)、及び貼合工程(以下、単に「工程S14」と記載する場合がある。)を有している。これらの工程について、以下に説明する。
(光学機能層形成工程(工程S11))
工程S11は、基材層11上に光学機能層12を形成する工程である。光学機能層12を形成するには、まず、基材層11の表面に沿って並列し、光を透過可能な光透過部13、13、…を形成する。図6(a)は、光透過部13、13、…を形成する工程の一例を模式的に示した図である。図6(b)は、当該工程を経て得られるシートの断面を概略的に示した図である。図6(a)及び図6(b)を参照しつつ、光透過部13、13、…を形成する工程について以下に説明する。
光透過部13、13、…を形成するには、まず、光透過部13、13、…の形に対応した形の溝を所定のピッチで有する金型ロール42を準備する。次に、当該金型ロール42とニップロール41との間に、基材層11となる、又は基材層11となる層を含む基材11’を送り込む。図6(a)に示した矢印x1は、基材11’を送り込む方向である。基材11’の送り込みに合わせて、金型ロール42と基材11’との間に供給装置45から光透過部構成組成物40の液滴を供給し続ける。供給装置45から基材11’上に光透過部構成組成物40を供給するとき、金型ロール42と基材11’との間に、光透過部構成組成物40が溜まったバンクが形成されるようにする。このバンクにおいて、光透過部構成組成物40が基材11’の幅方向に広がる。
上記のようにして金型ロール42と基材11’との間に供給された光透過部構成組成物40は、金型ロール42およびニップロール41間の押圧力により、基材11’と金型ロール42との間に充填される。その後、光照射装置44によって光透過部構成組成物40に紫外線等を照射し、光透過部構成組成物40を硬化させることによって光透過部13、13、…を形成することができる。光透過部13、13、…が形成された後、基材11’上に光透過部13、13、…が形成されたシートは、剥離ロール43を介して引かれることによって、金型ロール42から引き剥がされる。
このようにして、図6(b)に示したように基材層11上に光透過部13、13、…が形成されたシートを得ることができる。当該シートは、光透過部13、13、…間に溝13a、13a、…を有している。
次に、上記工程で形成された光透過部13、13、…間に、光を吸収可能な光吸収部14、14、…を形成する。図7(a)は、光吸収部14、14を形成する工程の一例を模式的に示した斜視図である。図7(b)は、当該工程を経て得られるシートの断面を概略的に示した図である。図7(a)及び図7(b)を参照しつつ、光吸収部14、14、…を形成する工程について以下に説明する。
光吸収部14、14、…を形成するには、図7(a)に示すように、まず、光透過部13、13、…上に光吸収部構成組成物46を供給する。次に、ドクターブレード47によって該光吸収部構成組成物46を光透過部13、13、…間の溝13a、13a、…に充填しつつ、余剰分の光吸収部構成組成物46を掻き落とす。その後、光透過部13、13、…間の溝13a、13a、…に残った光吸収部構成組成物46に紫外線等を照射して硬化させることにより、光吸収部14、14、…を形成することができる。なお、図7(a)に示した矢印x2は、工程S11を経て得られたシートの送り方向である。
光吸収部14、14、…を形成する工程において、光透過部13、13、…の弾性率は10MPa以上2000MPa未満であることが好ましい。光透過部13、13、…の弾性率が2000MPa以上になると、硬くなり、ワレや欠けの不具合が発生したり、工程S12において光吸収部14、14、…を形成する際に、光学機能層12の表面に外観不良を生じたり、光学機能層12の透過率が低下したりする虞がある。すなわち、光透過部13、13、…が硬すぎると、光透過部13、13、…上に供給した光吸収部構成組成物46のうち余剰分をドクターブレード47で掻き取る際、ドクターブレード47を光透過部13、13、…に押し付けても光透過部13、13、…が変形しないため、余剰分の光吸収部構成組成物46を掻き落としきれない虞がある。光透過部13、13、…の弾性率を上記範囲にすると、ドクターブレード47を押し付けた際、光透過部13、13、…の変形により、余剰分の光吸部構成組成物46の掻き取り不良を少なくし、光学機能層12の表面に外観不良を生じたり、光学機能層12の透過率が低下したりすることを防止できる。なお、光透過部13、13、…の弾性率が10MPa未満であれば、光透過部13、13、…が軟らか過ぎるため、光透過部13、13、…を形成する際に、光透過部13、13、…が金型ロール42から離型し難くなる虞がある。
このようにして、工程S11によれば、図7(b)に示したように、基材層11上に光透過部13、13、…及び光吸収部14、14、…を有する光学機能層12を形成することができる。
(保護層形成工程(工程S12))
図8(a)は、工程S12について説明する図である。工程S12は、図8(a)に示すように、基材層11の光学機能層12が形成された側とは反対側に保護層19を形成する工程である。保護層19は、上述した離型フィルムで構成することができる。
なお、図5には、工程S11と工程S14との間に工程S12が行われる形態を例示しているが、工程S12は、工程S11の前であっても、工程S14の後であってもよい。
(粘着剤層形成工程(工程S13))
図8(b)は、工程S13について説明する図である。工程S13は、図8(b)に示すように、被覆層18の一方の面側に粘着剤層17を形成する工程である。粘着剤層17の形成方法は特に限定されない。例えば、上述した粘着剤組成物を被覆層18の一方の面側に塗工及び乾燥することによって、粘着剤層17を形成することができる。また、粘着剤組成物の塗工方法も特に限定されない。粘着剤組成物の塗工方法の具体例としては、粘着剤組成物が一定の厚みとなるように、スリット状のノズルを用いて粘着剤組成物を吐出する方法を挙げることができる。
(貼合工程(工程S14))
工程S14は、工程S11で形成された光学機能層12と、工程S13で形成された粘着剤層17とを貼合し、積層シート10を作製する工程である(図2参照。)。光学機能層12と粘着剤層17とを貼合する方法は特に限定されない。例えば、光学機能層12と粘着剤層17とが面するように、工程S11で作製したシートと工程S13で作製したシートとを積層し、積層方向に所定の圧力を加えることによって、光学機能層12と粘着剤層17とを貼合することができる。
このとき、粘着剤層17を養生する前に粘着剤層17と光学機能層12とを貼合することによって、光吸収部構成組成物の収縮などに起因して光吸収部14上に凹部が形成されている場合であっても、当該凹部を粘着剤層17で埋めることができるので、光学機能層12と粘着剤層17との間に気泡が入ることを防止できる。光学機能層12と粘着剤層17との間に気泡が入ることを防止することによって、積層シート10の一部を光学シートとして用いた際に、映像光が乱反射することを防止でき、表示装置の表示面が白濁することを防止できる。
<巻回工程(工程S20)>
図9は、巻回工程を説明する斜視図である。工程S20は、図9に示すように、工程S10で作製した積層シート10の幅方向の両端部にスペーサー20を配置しながら積層シート10をロール状に巻回し、シートロール1を製造する工程である。スペーサー20の配置位置、スペーサー20の幅及び厚さなどについては上述した通りであるので、説明を省略する。
積層シート10を巻回する方法は特に限定されず、従来と同様の方法を用いることができる。例えば、積層シート10の長手方向に適切な張力をかけつつ、適切な太さの軸心に巻き取ることによって、シートロール10を製造することができる。
本発明のシートロールの製造方法によれば、スペーサーを介して積層シートを巻回するので、上述したように、スペーサーが備えられる部分以外の領域において巻き重ねられた積層シートにかかる圧力を小さくし、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制することができる。また、上述したように、シートロールに巻きずれが発生することも防止できる。
3.光学シートの製造方法
次に、本発明の光学シートの製造方法について説明する。本発明の光学シートの製造方法は、映像源より観察者側に配置され、該映像源側から入射した光を制御して観察者側に出射する光学シートを製造する方法である。より具体的には、上記本発明のシートロールを巻き出して所定の大きさのシートを切り出す工程を含む光学シートの製造方法である。
シートロールを製造する方法は上述した通りであるので、説明を省略する。シートロールを巻き出して所定の大きさのシートを切り出す方法は特に限定されず、従来と同様の方法を用いることができる。このようにして所定の大きさのシートを切り出した後、保護層などの光学シートとしては不要な層を取り除くことによって、光学シートを得ることができる。
なお、上述した、従来の光学シートに用いられていたその他の機能を有する層は、シートロールを構成する積層シートに備えられていてもよく、上記のようにして所定を大きさのシートを切り出した後、当該切り出したシートに貼合されてもよい。
上述したように、本発明のシートロールは、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制することができる。よって、本発明のシートロールを用いる本発明の光学シートの製造方法によれば、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制して光学シートを製造することができる。また、上記本発明のシートロールは、上述したように巻きずれが防止されており、取り扱いが容易である。したがって、本発明の光学シートの製造方法によれば、上記本発明のシートロールを用いることによって、光学シートの生産性を向上させることができる。
4.表示装置の製造方法
次に、本発明の表示装置の製造方法について説明する。本発明の表示装置の製造方法は、映像源と、該映像源の観察者側に配置される光学シートと、を有する表示装置の製造方法である。より具体的には、上記本発明の光学シートの製造方法によって光学シートを製造する工程と、映像源の観察者側に該光学シートを配置する工程とを含む、表示装置の製造方法である。図10及び図11を参照しつつ、本発明の表示装置の製造方法について説明する。
図10は一つの実施形態にかかる本発明の表示装置の製造方法によって製造される表示装置100(プラズマテレビ100)を模式的に示した分解斜視図である。図10では紙面右上が観察者側、紙面左下が背面側を示している。図10からわかるように、プラズマテレビ100は、前面側筐体101と背面側筐体102とにより形成される筐体の内側に、プラズマディスプレイパネルユニット103(PDPユニット103)を備えている。プラズマテレビ100にはその筐体内にPDPユニット103の他にもプラズマテレビに備えられる通常の各装置が具備される。これには例えば、各種電気回路や冷却手段等を挙げることができる。
図11は、PDPユニット103の構成を模式的に表している。図11では紙面右が観察者側である。PDPユニット103は、映像源であるPDP104と、該PDP104の映像光出射側に配置される光学シート10aとを備えている。ここで、PDP104には、公知のPDPを適用することができる。また、光学シート10aは、上述した本発明の光学シートの製造方法によって製造されたものである。光学シート10aは、波長フィルタ層31、基材層32a上に金属メッシュ層32bが形成された電磁波遮蔽層32、粘着剤層17、光学機能層12、基材層11、及び反射防止層33を備えている。
光学シート10aは、本発明の光学シートの製造方法によって製造される光学シートであり、製造方法は上述した通りであるので、説明を省略する。上述したようにして製造した光学シート10aをPDP104の観察者側に配置する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。このようにしてPDP104の観察者側に光学シート10aを配置し、PDPユニット103及びその他の部材を筐体に組み込むことによって、プラズマテレビ100を製造することができる。
上述したように、本発明の光学シートの製造方法によれば、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制して光学シートを製造することができる。よって、上記本発明の光学シートの製造方法によって製造された光学シートを用いる、本発明の表示装置の製造方法によれば、映像の歪み等が生じることが防止され、映像の品位の低下を防止することができる表示装置を製造することができる。また、本発明の光学シートの製造方法は、上述したように生産性が向上されている。したがって、本発明の表示装置の製造方法によれば、上記本発明の光学シートの製造方法を用いることによって、表示装置の生産性を向上させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)光透過部構成組成物の調整
イソホロンジイソシアネート及びビスフェノールA−エトキシ変性アクリレートからなるウレタンアクリレートプレポリマー56質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート4質量部と、フェノキシエチルアクリレート37質量部とを混合した組成物に、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル−ケトン3質量部を混合し、均一化して光透過部構成組成物を得た。
(2)光透過部の形成
ピッチが51μmで開口幅が10μmで深さが69μmの溝を形成し得る金型ロールを準備した。この金型ロールとニップロールとの間に第1基材層となるPETフィルム(厚み100μm、幅1400mm、東洋紡績社製A4300)を送り込んだ。このPETフィルムの送り込みに合わせ、上で得られた光透過部構成組成物を金型ロールとPETフィルムとの間に充填した。その後、PETフィルム側から高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、光透過部を形成した。基材層と光透過部とを含むシート(中間部材)の厚さは、189±20μmであった。
(3)光吸収部構成組成物の調整
ウレタンアクリレート33.6質量部、及び、エポキシアクリレート14.4質量部が混合されたプレポリマーに、反応性希釈モノマーとしてトリプロピレングリコールジアクリレート28質量部、及び、メトキシトリエチレングリコールアクリレート4質量部を加え調整した組成物に、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4質量部と、光吸収粒子として、平均粒径4.0μmのカーボンブラック含有アクリル架橋微粒子(ガンツ化成株式会社)16質量部とを混合して均一化し、光吸収部構成組成物を調整した。
(4)光吸収部の形成
上で得られた光吸収部構成組成物を供給装置から上記の中間部材上に供給した。また、ドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光吸収部構成組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光吸収部構成組成物を掻き落とした。その後、紫外線を照射して光吸収部構成組成物を硬化させ、硬化した光吸収部構成組成物によって光吸収部を形成した。
(5)保護層の形成
以上のようにして、基材層(PETフィルム)上に光透過部と光吸収部と有する光学機能シート層が形成されたシートを得た後、当該シートの基材層側に保護層として保護フィルム(厚さ40μm、幅1250mm、株式会社スミロン製、EC7520)を貼合した。
(6)粘着剤組成物の調整
アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100質量部と、エポキシ系硬化剤(綜研化学株式会社製、E−5XM)0.25質量部と、希釈溶剤(MIBK(メチルイソブチルケトン))30質量部とを混合して均一化し、粘着剤組成物を調整した。
(7)粘着剤層の形成
被覆層(厚さ38μm、幅1250mm、三井化学東セロ株式会社製、PET−O3−BU)上に、上記粘着剤組成物を幅1220mmとなるように塗工して乾燥し、粘着剤層を形成した。粘着剤組成物の塗工は、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるようにして行った。粘着剤組成物の乾燥は、ドライヤーを用いて80℃で2分間行った。
(8)貼合
上記のようにして作製した光学機能層と粘着剤層とを貼合し、長さ1000mの積層シートを作製した。このとき各層の幅方向の中心が重なるように積層し、積層シートの幅方向の両端部において、被覆層の幅と粘着剤層の幅との差によって25μmの段を形成した。貼合時は、積層方向に0.5MPaで押圧した。
(9)巻回
上記段に対して積層シートの幅方向の外側に、厚さ50μm、幅10mmのPETフィルムからなるスペーサーが被覆層と粘着剤層の段差部に配置されるようにスペーサーを挿入しながらロール状に巻回し、シートロールを作製した。
(実施例2)
スペーサーとして、厚さ50μm、幅10mmのポリプロピレンシートの一方の面側にアクリル系樹脂を塗工したテープを用いた以外は実施例1と同様にして、シートロールを作製した。
(実施例3)
スペーサーとして、厚さ60μm、幅10mmのポリエチレンシートの一方の面側にアクリル系樹脂を塗工したテープを用いた以外は実施例1と同様にして、シートロールを作製した。
(比較例1)
スペーサーの配置位置を、粘着剤層が形成された部分の上、すなわち、被覆層層の幅と粘着剤層の幅との差によって形成された段に対して積層シートの幅方向の内側、とした以外は実施例1と同様にして、シートロールを作製した。
(比較例2)
スペーサーの配置位置を、粘着剤層が形成された部分の上、すなわち、被覆層層の幅と粘着剤層の幅との差によって形成された段に対して積層シートの幅方向の内側、とした以外は実施例2と同様にして、シートロールを作製した。
(評価結果)
実施例1〜3及び比較例1、2に係るシートロールについて、巻きずれの発生の有無を評価した。その結果、実施例1〜3に係るシートロールでは、巻きずれを生じることなく巻回することができた。一方、比較例1に係るシートロールでは、積層シートを500m巻き取ったところで巻きずれが発生したが、そのまま巻き取った。また、比較例2に係るシートロールでは、積層シートを600m巻き取ったところで巻きずれが発生したが、そのまま巻き取った。巻取り後、粘着剤層の硬化を行うためシートロールの状態で室温で7日間放置した。
次に、蛍光灯と観察者との間に実施例1〜3及び比較例1、2に係るシートロールから巻き出した積層シートをそれぞれ配置し、該積層シートの表面に対して垂直に当てられた蛍光灯の像の歪みを目視で観察することによって、積層シートの被覆層側の表面状態を観察した。その結果、実施例1、2に係るシートロールでは、積層シートのうちシートロールの芯に固定された側の端(以下、「固定端」という。)を0mとして、長手方向に30mまでの位置において、ゆず肌(ゆずの皮の表面のような凹凸)が観察された。実施例3に係るシートロールでは、ゆず肌は観察されなかった。比較例1に係るシートロールでは、積層シートの固定端から長手方向に200mまでの位置において、ゆず肌が観察された。比較例2に係るシートロールでは、積層シートの固定端から長手方向に100mまでの位置において、ゆず肌が観察された。以上より本発明のシートロールによれば、シート面に打痕などの外観不良が生じることを抑制しつつ、巻きずれが生じることを防止できることが示された。
1、1’ シートロール
10 積層シート
10a 光学シート
11 基材層
12 光学機能層
13 光透過部
13a 溝
14 光吸収部
15 バインダー
16 光吸収粒子
17 粘着剤層
18 被覆層
19 保護層
100 プラズマテレビ(表示装置)
101 前面側筐体
102 背面側筐体
103 PDPユニット
104 PDP(映像源)
s、s’ 段

Claims (11)

  1. 光学シートとなる部分を含む帯状の積層シートを、スペーサーを介してロール状に巻回したシートロールであって、
    前記積層シートは、一方の面側に、粘着剤層と、該粘着剤層を覆う被覆層とを備えており、
    前記積層シートを構成する各層の幅が異なることによって、前記積層シートの幅方向の両端部において段が形成され、
    前記スペーサーが、前記段に対して前記積層シートの幅方向の外側に配置されている、シートロール。
  2. 前記段が、前記粘着剤層の幅より前記被覆層の幅が広いことによって形成されている、請求項1に記載のシートロール。
  3. 前記スペーサーが前記積層シートの一方の面側に貼合されている、請求項1又は2に記載のシートロール。
  4. 前記積層シートが、
    基材層と、該基材層の表面に沿って並列し、光を透過可能に形成された光透過部、及び該光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部を有する光学機能層と、を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートロール。
  5. 前記積層シートが、前記被覆層が備えられる側とは反対側の面に、前記光学シートとなる部分の表面を保護する保護層を備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートロール。
  6. 光学シートとなる部分を含む帯状の積層シートを、スペーサーを介してロール状に巻回したシートロールの製造方法であって、
    一方の面側に、粘着剤層と、該粘着剤層を覆う被覆層とを備えた前記積層シートを作製する積層シート作製工程と、
    前記積層シートの幅方向の両端部に前記スペーサーを配置しながら前記積層シートをロール状に巻回する巻回工程と、を含み、
    前記積層シート作製工程において、幅が異なる層を積層して前記積層シートの幅方向の両端部に段を形成し、
    前記巻回工程において、前記段に対して前記積層シートの幅方向の外側に前記スペーサーを配置する、シートロールの製造方法。
  7. 前記粘着剤層の幅より前記被覆層の幅を広くすることによって前記段を形成する、請求項6に記載のシートロールの製造方法。
  8. 前記巻回工程において、前記スペーサーを前記積層シートの一方の面側に貼合する、請求項6又は7に記載のシートロールの製造方法。
  9. 前記積層シート作製工程において、
    基材層と、該基材層の表面に沿って並列し、光を透過可能に形成された光透過部、及び該光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部を有する光学機能層と、を備えた前記積層シートを作製する、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシートロールの製造方法。
  10. 映像源より観察者側に配置され、該映像源側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する光学シートの製造方法であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートロールを巻き出して所定の大きさのシートを切り出す工程を含む、光学シートの製造方法。
  11. 映像源と、該映像源の観察者側に配置される光学シートと、を有する表示装置の製造方法であって、
    請求項10に記載の光学シートの製造方法によって光学シートを製造する工程と、
    前記映像源の観察者側に前記光学シートを配置する工程と、
    を含む、表示装置の製造方法。
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