JP2012245686A - 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メニスカスのTm振動によって液体の噴射が不安定となることを低減することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供する。
【解決手段】駆動信号生成回路は、単位周期Tにおいて最初に発生する第1噴射駆動パルスP1と、同一単位周期内で第1噴射駆動パルスの次に発生する第2噴射駆動パルスP2と、を含む駆動信号COMを発生し、第1噴射駆動パルスおよび第2噴射駆動パルスは、ノズルからインクを噴射させるべく圧電振動子を駆動して圧力室内のインクを加圧する加圧要素をそれぞれ有し、第1噴射駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する中間ホールド部p14を途中に有する。
【選択図】図4
【解決手段】駆動信号生成回路は、単位周期Tにおいて最初に発生する第1噴射駆動パルスP1と、同一単位周期内で第1噴射駆動パルスの次に発生する第2噴射駆動パルスP2と、を含む駆動信号COMを発生し、第1噴射駆動パルスおよび第2噴射駆動パルスは、ノズルからインクを噴射させるべく圧電振動子を駆動して圧力室内のインクを加圧する加圧要素をそれぞれ有し、第1噴射駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する中間ホールド部p14を途中に有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動パルスを圧力発生手段に印加することにより液体噴射ヘッドのノズルから液体を噴射させることが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものである。
液体噴射装置は液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドから液体状のインクをインク滴として噴射させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、ディスプレイ製造装置などの各種の製造装置にも応用されている。
上記プリンターでは、例えば、複数の駆動パルスを一連に含む駆動信号を発生させ、この駆動信号の中から駆動パルスを選択的に圧電振動子や発熱素子等の圧力発生手段に供給してこれを駆動することにより、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を制御することで記録ヘッドのノズルからインク滴を噴射させている。そして、この種のプリンターには、記録紙等の記録媒体(着弾対象)の所定の領域(画素領域)に形成するドットの大きさや数を変えて、多階調記録を行うように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の特許文献1に開示されているプリンターでは、繰り返し周期Tで発生する駆動信号内にはインク滴の目標噴射量が等しい2つの駆動パルスが一対含まれている。そして、記録媒体の画素領域に対し、最も大きいドットを形成する場合には繰り返し周期T内で2つの駆動パルスが両方選択されて、圧力発生手段である圧電振動子(ピエゾ素子)に順次印加される。このように、複数の駆動パルスを組み合わせて連続的に圧力発生手段に印加するように構成した場合、ノズルから1回の噴射で得られるインクの最大量(重量・体積)よりも多い量のインクを、繰り返し周期内で噴射させることができる。
ここで、図10(a)は、繰り返し周期Tで発生する駆動信号の一例を示し、図10(b)は、駆動信号に含まれる駆動パルスP1を圧力発生手段に印加することでノズルからインクを噴射したときのメニスカスの変位(振動)を示している。なお、図10(a)において、横軸は時間、縦軸は駆動電圧である。縦軸におけるVbは、圧力発生手段を駆動するための基準となる電位(中間電位)である。ノズルからインクを噴射させない場合、圧力発生手段の電位はこの基準電位Vbに設定される。そして、図10(a)では、連続する3つの繰り返し周期、すなわち、繰り返し周期T(n)と、その次の繰り返し周期T(n+1)と、さらにその次の繰り返し周期T(n+2)と、を示している。また、図10(b)において横軸は時間を表し、縦軸はノズル(ノズル軸方向)におけるメニスカスの位置を表している。縦軸における0の位置は、駆動信号の基準電位Vbに対応するメニスカスの定常位置であり、一般的な記録ヘッドでは、ノズルの噴射側の開口面と同一面上または当該開口面から圧力室側に僅かに後退した位置に設定される。そして0よりも波形が上へ向かうほどノズル面よりも外側(噴射側)に向かってメニスカスが盛り上がり、逆に下へ向かうほど圧力室側にメニスカスが引き込まれることを意味する。
圧力発生手段に駆動パルスを印加することでノズルからインク滴を噴射した直後において、当該ノズル近傍のインクには残留振動が生じる。この残留振動は、ノズルのメニスカスの振動Tmに、圧力室内のインクに生じる固有振動周期Tcの振動が重畳したものである。Tcの振動は数μs程度の短い周期でメニスカスを変位させるのに対し、メニスカスの振動Tmは、Tcの振動よりも長い数十μs程度の周期でメニスカスを変位させる。
図11(a)は、記録ヘッドの特性を等価回路に置き換えた模式図である。同図において、M〔kg/m4〕は単位長さあたりの媒質(インク)の質量であるイナータンス、C〔m5/N〕は単位圧力あたりの容積変化であるコンプライアンス、R〔Ns/m5〕は媒質の内部損失であるレジスタンスをそれぞれ示している。また、これらに関する添字aは圧力発生手段を含む振動系、添字cは圧力室における振動系、添字sは圧力室にインクを供給する供給口における振動系、添字nはノズルにおける振動系をそれぞれ意味している。また、振動系のPは、外部より加えられる圧力で、具体的には、駆動パルスの印加によって圧力発生手段が駆動する際に経時的に発生される圧力であり、駆動パルスを等価圧力に変換したものである。この等価回路を記録ヘッドのインクの噴射で重要となる回路に分解して、圧力室における振動系とノズル系と供給口系から成る部分を示すと図11(b)に示す等価回路となる。そして、この等価回路に基づくと、圧力室におけるインクに生じる固有周期Tcは、以下の式(1)で表される。
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc]…(1)
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc]…(1)
また、ノズルのメニスカスの振動に関わる等価回路は図11(c)のように表すことができる。同図からメニスカスの振動周期Tmは、次式(2)によって算出できる。
Tm=2π√〔(Mn+Ms)×Cn〕…(2)
Tm=2π√〔(Mn+Ms)×Cn〕…(2)
記録媒体に対してインク滴を精度良く着弾させて高品位の画像を記録するためには、ノズルから噴射されるインクの量や飛翔速度などの噴射特性を一定に揃えることが肝要である。特に、上記したように、繰り返し周期T内で複数の駆動パルスを組み合わせてインクの噴射を行う構成では、前の噴射に伴う残留振動が収束しないうちに後の噴射が行われることがあるため、一般的なプリンターでは、当該残留振動を考慮して、前後の駆動パルスの組み合わせでインクを噴射したときのインクの総量が所望の値(設計・仕様上の目標値)となるように、駆動信号中の各駆動パルスの位置関係(時間軸上での位置関係)が定められている。比較的短い間隔での連続的な噴射では、周期の短いTc振動が問題となるため、駆動信号中の各駆動パルスの位置関係は、当該Tcに基づいて定められている。
ところで、周期の比較的長いTm振動に関し、インクの噴射が一定の間隔で連続して行われる場合、圧力室41内の圧力変動が継続的に行われることよって供給口から圧力室側へインクの供給が促進されるため、Tm振動が低減されてインクの噴射は安定する。ところが、例えば、ある繰り返し周期T(n)でインクが噴射された後、次の繰り返し周期T(n+1)でインクの噴射が行われない場合(非噴射期間となる場合)、この繰り返し周期T(n+1)では、メニスカスが自由振動する。上述したように、Tm振動の周期はTcの振動周期と比較して長い(数十μs)ため、このTm振動の極値(噴射側の極大点または圧力室側の極小点)の近傍で、その次の繰り返し周期(n+2)においてインクの噴射が行われるケースが生じる。このケースでは、ノズルにおけるメニスカスが噴射側に盛り上がった状態、もしくは、圧力室側に引き込まれた状態、つまり、メニスカスの形状が安定していない状態で、メニスカスをさらに大きく変位させてインクの噴射を行うと、インクの飛翔方向が曲がったりする等、インクの噴射が不安定となる可能性があった。
なお、非噴射期間となる繰り返し周期が2つ以上連続する場合、Tm振動が十分に収束するため、上記の問題は生じにくい。
また、このような問題は、インク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドを搭載したインクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液滴を噴射する他の液体噴射ヘッドを搭載した液体噴射装置においても同様に存在する。
なお、非噴射期間となる繰り返し周期が2つ以上連続する場合、Tm振動が十分に収束するため、上記の問題は生じにくい。
また、このような問題は、インク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドを搭載したインクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液滴を噴射する他の液体噴射ヘッドを搭載した液体噴射装置においても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルのメニスカスにおけるTm振動によって液体の噴射が不安定となることを低減することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備え、
前記駆動信号発生手段は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含む駆動信号を発生し、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスは、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧要素をそれぞれ有し、
前記第1駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する保持部を途中に有することを特徴とする。
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備え、
前記駆動信号発生手段は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含む駆動信号を発生し、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスは、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧要素をそれぞれ有し、
前記第1駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する保持部を途中に有することを特徴とする。
上記構成によれば、繰り返し周期で最初に発生する第1駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する保持部を途中に有するので、所定の単位周期T(n)で液体が噴射された後、次の単位周期T(n+1)では液体の噴射が行われず、次の単位周期(n+2)において液体の噴射が行われるケースで、メニスカスの状態が不安定となる場合でも、第1駆動パルスによる液体の噴射の際に、メニスカスを必要以上に大きく変位させることなく、安定して液体を噴射することができる。このため、液体の飛翔曲がり等を抑制することができる。
上記構成において、前記第1駆動パルスの前記保持部を除く加圧要素の勾配は、前記第2駆動パルスの加圧要素の勾配よりも急峻であることが望ましい。
また、前記第1駆動パルスにおいて前記保持部を含む加圧要素の時間幅は、前記第2駆動パルスの加圧要素の時間幅よりも短いことが望ましい。
また、前記第1駆動パルスにおいて前記保持部を含む加圧要素の時間幅は、前記第2駆動パルスの加圧要素の時間幅よりも短いことが望ましい。
この構成によれば、加圧要素の勾配が、第2駆動パルスの加圧要素の勾配よりも急峻であるので、メニスカス全体を必要以上に変位させることなく、液体の量や飛翔速度を高めることができる。このため、液体の噴射を安定させつつ、目標とする噴射特性を確保することが可能となる。
そして、本発明の液体噴射装置の制御方法は、圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記駆動信号は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含み、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスを前記圧力発生手段に印加して前記ノズルから液体を噴射させる噴射処理は、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧工程を含み、
前記第1駆動パルスによる加圧工程は、前記圧力室の加圧を一定時間停止する停止工程を途中に含むことを特徴とする。
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記駆動信号は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含み、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスを前記圧力発生手段に印加して前記ノズルから液体を噴射させる噴射処理は、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧工程を含み、
前記第1駆動パルスによる加圧工程は、前記圧力室の加圧を一定時間停止する停止工程を途中に含むことを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。また、図2は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図である。
例示したプリンター1は、記録用紙、布、樹脂フィルム等の記録媒体9に向けて、液体の一種であるインクを噴射する。記録媒体9は、液体が噴射されて着弾する対象となる着弾対象の一種である。外部装置としてのコンピューターCPは、プリンター1と通信可能に接続されている。プリンター1に画像を印刷させるため、コンピューターCPは、その画像に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
例示したプリンター1は、記録用紙、布、樹脂フィルム等の記録媒体9に向けて、液体の一種であるインクを噴射する。記録媒体9は、液体が噴射されて着弾する対象となる着弾対象の一種である。外部装置としてのコンピューターCPは、プリンター1と通信可能に接続されている。プリンター1に画像を印刷させるため、コンピューターCPは、その画像に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
本実施形態におけるプリンター1は、搬送機構2、キャリッジ用移動機構3、駆動信号生成回路4(駆動信号発生手段の一種)、ヘッドユニット5、検出器群6、リニアエンコーダー20、及び、プリンターコントローラー7を有する。搬送機構2は、記録媒体9を搬送方向に搬送させる。キャリッジ用移動機構3は、ヘッドユニット5が取り付けられたキャリッジを所定の移動方向(例えば紙幅方向)に移動させる。駆動信号生成回路4は、図示しないDAC(Digital Analog Converter)を含む。そして、プリンターコントローラー7から送られた駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成回路4は図示しない増幅回路も含んでおり、DACからの電圧信号を電力増幅し、駆動信号COMを生成する。駆動信号COMは、記録媒体9に対する印刷処理(記録処理或いは噴射処理の一種)時に記録ヘッド8の圧電振動子32(図3参照)に印加されるものである。駆動信号COMは、図4に例示するように、駆動信号の発生繰り返し周期である単位期間T内に駆動パルスPを少なくとも1つ以上含む信号である。ここで、駆動パルスPとは、記録ヘッド8から液滴状のインクを噴射させるために、圧電振動子32に所定の動作を行わせるものである。なお、駆動信号COMの詳細については後述する。
ヘッドユニット5は、記録ヘッド8およびヘッド制御部11を有する。記録ヘッド8は、液体噴射ヘッドの一種であり、ノズル43からインクを記録媒体9に向けて噴射させて、当該記録媒体9の所定の領域(画像等の形成単位である画素に対応する領域)に着弾させてドットを形成する。このドットを複数マトリクス状に並べることで記録媒体9に画像等が記録される。ヘッド制御部11は、プリンターコントローラー7からのヘッド制御信号に基づき、記録ヘッド8を制御する。なお、記録ヘッド8の構成については後で説明する。検出器群6は、プリンター1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。この検出器群6には、プリンター内部の環境温度を検出する温度センサー(図示せず)等が含まれる。
搬送機構2は、記録ヘッド8の走査方向に直交する方向(以下、搬送方向という)に記録媒体9を搬送させるための機構である。この搬送機構2は、搬送モーター14と、搬送ローラー15と、プラテン16と、を有する。搬送ローラー15は、記録媒体9を印刷可能な領域であるプラテン16上まで搬送するローラーであり、搬送モーター14によって駆動される。プラテン16は、印刷中の記録媒体9を支持する。
プリンターコントローラー7は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。プリンターコントローラー7は、インターフェース部24と、CPU25と、メモリー26とを有する。インターフェース部24は、外部装置であるコンピューターCPとプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU25は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー26は、CPU25のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU25は、メモリー26に格納されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。また、プリンターコントローラー7は、コンピューターCPからの印刷データに基づき、記録媒体9上のどの位置にどのような大きさのドットを形成するかを示すドット形成データSIを生成し、当該ドット形成データSIをヘッド制御部11に送信する。そして、ヘッド制御部11は、プリンターコントローラー7からのドット形成データSIに基づき、駆動信号COMに含まれる各駆動パルスを選択して圧電振動子32に印加するための選択データを生成する。これらのプリンターコントローラー7及びヘッド制御部11は、選択制御手段として機能する。
さらに、プリンターコントローラー7は、上記のドット形成データSIの他、例えば、転送クロックCLK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHなどのヘッド制御信号を記録ヘッド8に出力したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路4に出力したりする。駆動信号COMを生成させるための制御信号は、例えばDAC(Digital to Analog Converter)値である。このDAC値は、駆動信号生成回路4から出力させる電圧を指示するための情報であり、極めて短い更新周期毎に更新される。
図2に示すように、キャリッジ12は、主走査方向に架設されたガイドロッド19に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ用移動機構3の作動により、ガイドロッド19に沿って記録媒体9の搬送方向に直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。キャリッジ12の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー20によって検出され、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)がプリンターコントローラー7のCPU25に送信される。リニアエンコーダー20は位置情報出力手段の一種であり、記録ヘッド8の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。これにより、プリンターコントローラー7はこのリニアエンコーダー20からのエンコーダーパルスEPに基づいてキャリッジ12(記録ヘッド8)の走査位置を認識しながら、記録ヘッド8による記録動作を制御することができる。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部(フルポジション)へ向けてキャリッジ12が移動する往動時と、フルポジションからホームポジション側にキャリッジ12が戻る復動時との双方向で記録媒体9上に文字や画像等を記録する。
上記リニアエンコーダー20からのエンコーダーパルスEPは、プリンターコントローラー7に入力されている。プリンターコントローラー7は、このエンコーダーパルスEPからタイミングパルスPTS(Print Timing Signal)を生成し、このタイミングパルスPTSに同期させて印刷データの転送や駆動信号COMの発生等を行っている。そして、駆動信号生成回路4は、タイミングパルスPTSに基づくタイミングで駆動信号COMを出力する。また、プリンターコントローラー7は、タイミングパルスPTSに基づいて、ラッチ信号LAT等のタイミング信号を生成して記録ヘッド8に出力する。ラッチ信号LATは、記録周期の開始タイミングを規定する信号である。したがって、駆動信号COMの単位周期は、このラッチ信号LATで区切られる区間であると言える。さらに、チェンジ信号CHは、駆動信号COMに含まれる各駆動パルスの供給タイミングを規定する。ラッチ信号LATの後に各チェンジ信号CHが発生するタイミングは予め一定の値に規定されている。
次に、図3を参照しながら記録ヘッド8の構成について説明する。
記録ヘッド8は、ケース28と、このケース28内に収納される振動子ユニット29と、ケース28の底面(先端面)に接合される流路ユニット30等を備えている。上記のケース28は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット29を収納するための収納空部31が形成されている。振動子ユニット29は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子32と、この圧電振動子32が接合される固定板33と、圧電振動子32に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル34とを備えている。圧電振動子32は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電振動子である。
記録ヘッド8は、ケース28と、このケース28内に収納される振動子ユニット29と、ケース28の底面(先端面)に接合される流路ユニット30等を備えている。上記のケース28は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット29を収納するための収納空部31が形成されている。振動子ユニット29は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子32と、この圧電振動子32が接合される固定板33と、圧電振動子32に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル34とを備えている。圧電振動子32は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電振動子である。
流路ユニット30は、流路基板36の一方の面にノズルプレート37を、流路基板36の他方の面に振動板38をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット30には、リザーバー39(共通液体室またはマニホールドとも言う)と、インク供給口40と、圧力室41と、ノズル連通口42と、ノズル43と、が設けられている。そして、インク供給口40から圧力室41及びノズル連通口42を経てノズル43に至る一連のインク流路が、各ノズル43に対応して形成されている。上記ノズルプレート37は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数(例えば、180個)のノズル43が副走査方向に沿って列状に穿設された部材であり、本実施形態では、例えば、ステンレス鋼によって作製されている。また、ノズルプレート37は、シリコン単結晶基板によって作製される場合もある。ノズル43は、ストレート部43aと、テーパー部43bと、から構成されている(図7(a)参照)。ストレート部43aは、一端がノズルプレート37における噴射側の面に開口し、他端(圧力室側)がテーパー部43bと連通した、内径が一定な円筒状の空部である。テーパー部43bは、その内径がストレート部43aの他端側から圧力室側に向かって拡大する空部である。
上記振動板38は、支持板45の表面に弾性体膜46を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板45とし、この支持板45の表面に樹脂フィルムを弾性体膜46としてラミネートした複合板材を用いて振動板38を作製している。この振動板38には、圧力室41の容積を変化させるダイヤフラム部47が設けられている。また、この振動板38には、リザーバー39の一部を封止するコンプライアンス部48が設けられている。
上記のダイヤフラム部47は、エッチング加工等によって支持板45を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部47は、圧電振動子32の自由端部の先端面が接合される島部49と、この島部49を囲む薄肉弾性部50と、からなる。上記のコンプライアンス部48は、リザーバー39の開口面に対向する領域の支持板45を、ダイヤフラム部47と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー39に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
そして、上記の島部49には圧電振動子32の先端面が接合されているので、この圧電振動子32の自由端部を伸縮させることで圧力室41の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室41内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド8は、この圧力変動を利用してノズル43からインク滴を噴射させるようになっている。
図4は、駆動信号生成回路4によって生成される駆動信号COMの構成、および、その発生パターンの一例を説明する波形図である。本実施形態において、駆動信号COMの繰り返し周期である単位周期Tは、記録ヘッド8が記録媒体9に対して相対的に移動しながらインクの噴射を行う際に、ノズル43が上記の画素の幅に対応する距離だけ移動する時間に相当し、例えば、数十μsに設定されている。即ち、この場合、駆動信号の繰り返し周波数は数十kHzである。本実施形態では、1つの画素に対して2種類の大きさのドットを形成することが可能に構成されている。したがって、上記プリンター1では、画素に対してドットを形成しない非記録も含めて合計3階調の表現が可能である。図4では、連続する3つの単位周期、すなわち、所定の単位周期T(n)と、その次に続く単位周期T(n+1)と、さらにその次に続く単位周期T(n+2)と、を示している。この例では、単位周期T(n)では、後述する第1噴射駆動パルスP1および第2噴射駆動パルスP2が選択されて、圧電振動子32に順次印加される。単位周期T(n+1)は、インクが一度も噴射されない非記録期間である。なお、同図では、便宜上、単位周期T(n+1)の途中の図示が省略されている。そして、単位周期T(n+2)では、第1噴射駆動パルスP1および第2噴射駆動パルスP2が選択されて、圧電振動子32に順次印加される。
本実施形態における単位周期Tは、2つの期間、具体的には、前半の期間T1と後半の期間T2に区切られている。そして、先頭の期間T1では第1噴射駆動パルスP1(本発明における第1駆動パルスに相当)が発生され、期間T1に続く期間T2では第2噴射駆動パルスP2(本発明における第2駆動パルスに相当)が発生される。これらの噴射駆動パルスP1,P2は、同一の単位周期Tで両方とも選択されて圧電振動子32に連続的に印加された場合に、所定の合計量(設計上目標とする量)のインクがノズル43から噴射されるように設計されている。これにより、記録媒体9上の画素形成領域(仮想的な画素形成予定領域)に上記合計量のインクが着弾して所定の大きさのドット(以下、適宜大ドット)が形成される。また、単位周期Tにおいて、上記の合計量よりも少ない量のインクを噴射する場合、第1噴射駆動パルスP1または第2噴射駆動パルスP2の何れか一方が選択されて圧電振動子32に印加される。これにより、記録媒体9上の画素形成領域(仮想的な画素形成予定領域)に上記合計量よりも少ない量のインクが着弾してドット(以下、小ドット)が形成される。さらに、単位周期Tにおいて画素にドットを形成しない非記録の場合、噴射駆動パルスP1,P2は何れも選択されない。これにより、ノズル43からはインクが噴射されない。なお、非記録の場合、圧電振動子32に図示しない微振動パルスが印加されて、ノズル43からインクが噴射されない程度にメニスカスが微振動される場合もある。
図5は、第1噴射駆動パルスP1の構成を説明する波形図である。
同図に示すように、第1噴射駆動パルスP1は、予備膨張部p11(第1の変化要素)と、膨張ホールド部p12(維持要素)と、第1収縮部p13(第2の変化要素)と、中間ホールド部p14と、第2収縮部p15と、収縮ホールド部p16と、復帰膨張部p17とからなる。予備膨張部p11は、基準電位Vbから第1膨張電位VH1まで電位がプラス(第1の極性)側に変化する波形要素であり、膨張ホールド部p12は、予備膨張部p11の終端電位である第1膨張電位VH1で一定な波形要素である。また、第1収縮部p13は、第1膨張電位VH1から中間電位VM(VL1<VM<VH1)まで電位がマイナス(第2の極性)側に変化する波形要素であり、中間ホールド部p14は、中間電位VMで一定な波形要素である。さらに、第2収縮部p15は、中間電位VMから第1収縮電位VL1まで電位がマイナス側に一定の勾配で変化(下降)する波形要素であり、収縮ホールド部p16は、第1収縮電位VL1で一定な波形要素であり、復帰膨張部p17は、第1収縮電位VL1から基準電位Vbまで電位が復帰する波形要素である。この第1噴射駆動パルスP1において、第1収縮部p13および第2収縮部p15は、本発明における加圧要素を構成しており、中間ホールド部p14は、本発明における保持部に相当する。
同図に示すように、第1噴射駆動パルスP1は、予備膨張部p11(第1の変化要素)と、膨張ホールド部p12(維持要素)と、第1収縮部p13(第2の変化要素)と、中間ホールド部p14と、第2収縮部p15と、収縮ホールド部p16と、復帰膨張部p17とからなる。予備膨張部p11は、基準電位Vbから第1膨張電位VH1まで電位がプラス(第1の極性)側に変化する波形要素であり、膨張ホールド部p12は、予備膨張部p11の終端電位である第1膨張電位VH1で一定な波形要素である。また、第1収縮部p13は、第1膨張電位VH1から中間電位VM(VL1<VM<VH1)まで電位がマイナス(第2の極性)側に変化する波形要素であり、中間ホールド部p14は、中間電位VMで一定な波形要素である。さらに、第2収縮部p15は、中間電位VMから第1収縮電位VL1まで電位がマイナス側に一定の勾配で変化(下降)する波形要素であり、収縮ホールド部p16は、第1収縮電位VL1で一定な波形要素であり、復帰膨張部p17は、第1収縮電位VL1から基準電位Vbまで電位が復帰する波形要素である。この第1噴射駆動パルスP1において、第1収縮部p13および第2収縮部p15は、本発明における加圧要素を構成しており、中間ホールド部p14は、本発明における保持部に相当する。
図7は、第1噴射駆動パルスP1が圧電振動子32に印加されることによりノズル43からインクが噴射される様子を説明する模式図(ノズル軸方向の断面図)である。上記のように構成された第1噴射駆動パルスP1が圧電振動子32に印加されると、まず、予備膨張部p11によって圧電振動子32は素子長手方向に収縮し、これに伴って圧力室41が基準電位Vbに対応する基準容積から第1膨張電位VH1に対応する膨張容積まで膨張する(予備膨張工程)。この膨張により、図7(a)に示すように、ノズル43におけるメニスカスが圧力室41側に引き込まれると共に、圧力室41内にはリザーバー39側からインク供給口40を通じてインクが供給される。そして、この圧力室41の膨張状態は、膨張ホールド部p12の供給期間中に亘って維持される(ホールド工程)。
膨張ホールド部p12による膨張状態が維持された後、ノズル43からインクを噴射すべく、第1収縮部p13、中間ホールド部p14、および、第2収縮部p15が圧電振動子32に順次印加されて加圧工程が行われる。本発明に係るプリンター1は、この第1噴射駆動パルスP1による加圧工程に、途中で圧力室41の加圧を一時的に停止する停止工程が含まれている点に特徴を有している。加圧工程では、まず、第1収縮部p13により圧電振動子32が伸長する。これに伴い、圧力室41は膨張容積から中間電位VMに対応する中間容積まで収縮される(前側加圧工程)。これにより、図7(b)に示すように、圧力室41内のインクが加圧されて、ノズル43におけるメニスカスの中央部分が噴射側に押し出され、この押し出された部分が液柱のように伸びる。続いて、中間ホールド部p14により、中間容積が僅かな時間だけ維持される(停止工程)。これにより、圧電振動子32の伸長が一時的に停止される。この間にノズル43におけるメニスカスの中央部に形成された液柱部は、図7(c)に示すように、慣性力によって噴射側に移動を続ける。
中間ホールド部p14によるホールドの後、第2収縮部p15により圧電振動子32が伸長し、圧力室41の容積が中間容積から収縮容積まで加圧される(後側加圧工程)。これにより、メニスカス全体が噴射方向に急激に押し出され、液柱の後端部分が加速される。そして、メニスカスと液柱とが分離し、分離した部分がインク滴としてノズル43から噴射されて記録媒体9に向けて飛翔する。第2収縮部p15の後、収縮ホールド部p16により、圧力室41の収縮状態が一定時間維持される。インクの噴射によって減少した圧力室41内のインク圧力が再び上昇するタイミングにあわせて復帰膨張部p17が圧電振動子32に印加される。この復帰膨張部p17の印加により、圧力室41が定常容積まで膨張復帰し、圧力室41内のインクの圧力変動が制振される。
図6は、第2噴射駆動パルスP2の構成を説明する波形図である。
同図に示すように、第2噴射駆動パルスP2は、予備膨張部p21と、膨張ホールド部p22と、収縮部p23と、収縮ホールド部p24と、復帰膨張部p25とからなる。予備膨張部p21は、基準電位Vbから第2膨張電位VH2まで一定勾配で電位がプラス側に変化(上昇)する波形要素であり、膨張ホールド部p22は、予備膨張部p21の終端電位である第2膨張電位VH2で一定な波形要素である。また、収縮部p23は、第2膨張電位VH2から第2収縮電位VL2(VL2<Vb)まで電位がマイナス側に一定の勾配で変化(下降)する波形要素であり、収縮ホールド部p24は、第2収縮電位VL2で一定な波形要素であり、復帰膨張部p25は、第2収縮電位VL2から基準電位Vbまで電位が復帰する波形要素である。この第2噴射駆動パルスP2において、収縮部p23は、本発明における加圧要素に相当する。
同図に示すように、第2噴射駆動パルスP2は、予備膨張部p21と、膨張ホールド部p22と、収縮部p23と、収縮ホールド部p24と、復帰膨張部p25とからなる。予備膨張部p21は、基準電位Vbから第2膨張電位VH2まで一定勾配で電位がプラス側に変化(上昇)する波形要素であり、膨張ホールド部p22は、予備膨張部p21の終端電位である第2膨張電位VH2で一定な波形要素である。また、収縮部p23は、第2膨張電位VH2から第2収縮電位VL2(VL2<Vb)まで電位がマイナス側に一定の勾配で変化(下降)する波形要素であり、収縮ホールド部p24は、第2収縮電位VL2で一定な波形要素であり、復帰膨張部p25は、第2収縮電位VL2から基準電位Vbまで電位が復帰する波形要素である。この第2噴射駆動パルスP2において、収縮部p23は、本発明における加圧要素に相当する。
上記のように構成された第2噴射駆動パルスP2が圧電振動子32に印加されると、まず、予備膨張部p21によって圧電振動子32が素子長手方向に収縮し、これに伴って圧力室41が基準電位Vbに対応する基準容積から第2膨張電位VH2に対応する膨張容積まで膨張する(膨張工程)。この膨張により、図8(a)に示すように、ノズル43におけるメニスカスが圧力室41側に大きく引き込まれると共に、圧力室41内にはリザーバー39側からインク供給口40を通じてインクが供給される。そして、この圧力室41の膨張状態は、膨張ホールド部p22の供給期間中に亘って維持される(ホールド工程)。膨張ホールド部p22による膨張状態が維持された後、収縮部p23が圧電振動子32に印加されてこれに応じて圧電振動子32が伸長する。これに伴い、圧力室41は膨張容積から第2収縮電位VL2に対応する収縮容積まで収縮される(加圧工程)。これにより、図8(b)および図8(c)に示すように、圧力室41内のインクが加圧されて、ノズル43メニスカスの中央部分が噴射側に押し出され、この押し出された部分が液柱のように伸びる。続いて、収縮ホールド部p24により、圧力室41の収縮状態が一定時間維持される。この間にメニスカスと液柱とが分離し、図8(d)に示すように、分離した部分がインク滴としてノズル43から噴射されて記録媒体9に向けて飛翔する。このインクの噴射によって減少した圧力室41内のインク圧力が再び上昇するタイミングにあわせて復帰膨張部p25が圧電振動子32に印加される。この復帰膨張部p25の印加により、圧力室41が定常容積まで膨張復帰し、圧力室41内のインクの圧力変動(残留振動)が吸収、即ち、制振される。
ここで、図9は、ノズル43からインクを噴射する際のメニスカスの挙動(変位)を示すグラフであり、(a)は第1噴射駆動パルスP1によって圧電振動子32した場合、(b)は第2噴射駆動パルスP2によって圧電振動子32した場合をそれぞれ示している。図9において横軸は時間を表し、縦軸はノズルにおけるメニスカス(ノズル軸方向)の位置を表している。横軸における0は、噴射駆動パルスによって一連のインク噴射動作が開始される時点であり、Dは、ノズル43からインクが噴射されるタイミングを示している。また、縦軸における0の位置は、噴射駆動パルスの基準電位Vbに対応するメニスカスの定常位置であり、本実施形態における記録ヘッド8では、ノズル43の噴射側の開口面から圧力室41側に僅かに後退した位置に設定される。そして0よりも波形が上へ向かうほどノズル面よりも外側(噴射側)に向かってメニスカスが突出し、逆に下へ向かうほど圧力室側にメニスカスが引き込まれる。また、図9では、メニスカスが噴射側に最も変位した時点と、最も圧力室41側に引き込まれた時点とのメニスカスの変位の差をA1,A2としてそれぞれ示している。
同図に示すように、圧電振動子32に噴射駆動パルスを印加することでノズル43からインクを噴射することにより、メニスカスが変位(振動)する。この振動は、先述したように、ノズル43のメニスカスの振動Tmに、圧力室41内のインクに生じる固有振動周期Tcの振動が重畳したものである。第2噴射駆動パルスP2は、加圧要素である収縮部p23による加圧工程において途中で止めることなく圧力室41を収縮容積まで一気に収縮させる(すなわち、インクを加圧する)ので、噴射されるインクの量や速度が第1噴射駆動パルスP1の場合と比較して増加する一方で、メニスカス全体が比較的大きく変位し、Tc振動およびTm振動の両方の振幅が大きくなる傾向となる。これに対し、第1噴射駆動パルスP1では、加圧要素である第1収縮部p13および第2収縮部p15の間に設けられた中間ホールド部p14により、加圧工程の途中で停止工程が入るので、噴射されるインクの量や速度が第2噴射駆動パルスP2の場合と比較して低下するが、メニスカス全体の急激な変位が抑えられ、Tc振動およびTm振動の振幅が小さくなる傾向となる(A1<A2)。すなわち、ノズル43の内周面から離れた位置にあるメニスカスの中央部は、圧力変化に追従しやすく高速に移動する一方、中央部よりもノズル43の内周面に近い部分(境界層)ほどその粘性が影響して圧力変化に追従し難いため、移動速度が中央部よりも遅くなる。このため、加圧を途中で一時的に停止することで、メニスカスの境界層をメニスカスの中央部に追従させることができ、境界層と中央部(液柱部)との速度差を抑制することができる。その結果、メニスカス全体の挙動が大きくなることが抑制される。その結果、インクを噴射するタイミングにおけるメニスカスのノズル43における位置や挙動(後述するように、前回のインクの噴射に伴う残留振動の状態)に拘わらず、安定してインクを噴射することが可能となる。すなわち、インクの飛翔方向が意図しない方向に曲がったりする(本来目標とする方向から外れたりする)等の不具合が低減される。
また、本実施形態における第1噴射駆動パルスP1では、加圧要素である第1収縮部p13の電位勾配θ1および第2収縮部p15の電位勾配θ2に関し、何れも、後述する第2噴射駆動パルスP2の加圧要素である収縮部p23の電位勾配θ3よりも大きくなっている。すなわち、第1収縮部p13の単位時間あたりの電位変化〔(VH1−VM)/Pwd11〕および第2収縮部p15の単位時間あたりの電位変化〔(VM−VL1)/Pwd12〕は、何れも、収縮部p23の単位時間あたりの電位変化〔(VH2−VL2)/Pwd2〕よりも大きくなっている。さらに、本実施形態においては、第1噴射駆動パルスP1第1収縮部p13の始端から第2収縮部p23の終端までの時間幅Pwd1は、第2噴射駆動パルスP2の収縮部p23の時間幅Pwd2よりも短くなっている。
このため、第1噴射駆動パルスP1で圧電振動子32を駆動したときに、第2噴射駆動パルスP2の場合と比較して、加圧工程における圧力室41の単位時間あたりの圧力変化が大きくなる。これにより、加圧工程の途中で中間ホールド部p14による停止工程が入ることによってノズル43から噴射されるインクの量や飛翔速度(噴射特性)が低下することが抑制される。また、後述する第2噴射駆動パルスP2の場合では、予備膨張部p21によってメニスカス全体が大きく変位するのに対し、第1噴射駆動パルスP1の場合では、主にメニスカス中央部が変位する傾向となる。加えて、上記のように加圧工程の途中で停止工程が入ることでメニスカス中央部に境界層が追従するので、第1噴射駆動パルスP1によるインクの噴射時には、メニスカス全体に大きな振動が励振されることが抑制される。このため、インクの噴射安定性に寄与することが可能となる。
以上の構成を採用するプリンター1では、図4の例のように、ある単位周期T(n)で第1噴射駆動パルスP1および第2噴射駆動パルスP2によってインクの噴射が行われた後、次の単位周期T(n+1)ではインクが一度も噴射されない非噴射期間となり、その次の単位周期(n+2)で少なくとも第1噴射駆動パルスP1によってインクの噴射が行われる場合に、インクの噴射安定性を確保することができるようになっている。すなわち、一定の間隔で連続してインクの噴射が行われる場合、圧力室41内の圧力変動が継続的に行われることよってインク供給口40から圧力室41側へインクの供給が促進されるため、Tm振動の影響が出にくくなる。このため、インクの噴射は安定する。ところが、単位周期T(n)でインクが噴射された後、単位周期T(n+1)でインクの噴射が行われない場合、この単位周期T(n+1)では、メニスカスが自由振動する。Tm振動の周期は長い(数十μs)ため、キャリッジ12(記録ヘッド8)の移動速度に依存するタイミングパルスPTSの発生間隔によっては、このTm振動の極値(図9に示す、噴射側の極大点Mxまたは圧力室41側の極小点Mm)の近傍で、次の単位周期(n+2)においてインクの噴射が行われるケースが生じる。このケースでは、ノズル43におけるメニスカスがストレート部43aよりも噴射側に盛り上がった状態、もしくは、メニスカス全体が圧力室41側のテーパー部43bまで引き込まれた状態、つまり、メニスカスの形状が安定していない状態(ストレート部43aにメニスカスが位置していない状態)で、メニスカスをさらに大きく変位させてインクの噴射を行うと、インクの飛翔方向が曲がったりする等、インクの噴射が不安定となる可能性がある。
この点に関し、本発明に係るプリンター1では、単位周期の最初に発生される第1噴射駆動パルスP1の加圧要素が、電位を一定に保持する保持部(中間ホールド部p14)を途中に有する構成であるため、上記のようにメニスカスが安定していない状態においても、メニスカスをさらに大きく変位させることなく、安定してインクを噴射することができる。このため、インクの飛翔曲がり等を抑制することができ、記録媒体9に記録される記録画像等の画質の低下が低減される。また、本実施形態における第1噴射駆動パルスP1において中間ホールド部p14を除く加圧要素の勾配は、第2噴射駆動パルスP2の加圧要素の勾配よりも急峻であるので、メニスカス全体を必要以上に変位させることなく、インクの量や飛翔速度を高めることができる。
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、駆動信号COMの構成に関し、上記実施形態では、単位周期Tに第1噴射駆動パルスP1および第2噴射駆動パルスP2の2つの噴射駆動パルスが含まれる構成を例示したが、これには限られず、3つ以上の噴射駆動パルスが含まれる構成を採用することも可能である。要は、単位周期の長さが、一単位周期分の非噴射期間を置いた場合に上述したTm振動による影響が生じる可能性のある長さであって、当該単位周期の最初に上記構成の第1噴射駆動パルスP1が発生される構成であれば、本発明の作用効果が得られる。
また、単位周期Tで最初に発生されるインクの噴射に係る駆動パルスが第1噴射駆動パルスP1であれば良く、単位周期Tにおいて、第1噴射駆動パルスP1よりも前に、インクの噴射に関わらない波形(例えば、インクが噴射されない程度にメニスカスを微振動させる微振動パルスなどの波形要素)が含まれていても良い。
また、単位周期Tで最初に発生されるインクの噴射に係る駆動パルスが第1噴射駆動パルスP1であれば良く、単位周期Tにおいて、第1噴射駆動パルスP1よりも前に、インクの噴射に関わらない波形(例えば、インクが噴射されない程度にメニスカスを微振動させる微振動パルスなどの波形要素)が含まれていても良い。
また、上記各実施形態では、記録媒体9に対して記録ヘッド8を移動させながらインクの噴射を行う構成を例示したが、これには限られない。例えば、記録ヘッド8の位置を固定した状態で、当該記録ヘッド8に対して記録媒体9を移動させながらインクの噴射を行う構成を採用することもできる。要は、記録ヘッド8と記録媒体9とが相対移動しながらインクを噴射して記録媒体9にインクを着弾させる構成であれば、本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂縦振動型の圧電振動子32を例示したが、これには限られず、例えば、所謂撓み振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、上記実施形態で例示した駆動パルスPに関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
さらに、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
さらに、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
そして、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、駆動パルスを用いて液体の噴射を行う他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
1…プリンター,2…搬送機構,3…キャリッジ用移動機構,4…駆動信号生成回路,6…検出器群,7…プリンターコントローラー,8…記録ヘッド,11…ヘッド制御部,12…キャリッジ,20…リニアエンコーダー,32…圧電振動子,41…圧力室,43…ノズル
Claims (4)
- 圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備え、
前記駆動信号発生手段は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含む駆動信号を発生し、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスは、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧要素をそれぞれ有し、
前記第1駆動パルスの加圧要素は、電位を一定に保持する保持部を途中に有することを特徴とする液体噴射装置。 - 前記第1駆動パルスにおいて前記保持部を除く加圧要素の勾配は、前記第2駆動パルスの加圧要素の勾配よりも急峻であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記第1駆動パルスにおいて前記保持部を含む加圧要素の時間幅は、前記第2駆動パルスの加圧要素の時間幅よりも短いことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
- 圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動して液体を噴射させるための駆動パルスを含む駆動信号を繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記駆動信号は、繰り返し周期において最初に発生する第1駆動パルスと、同一繰り返し周期内で前記第1駆動パルスの次に発生する第2駆動パルスと、を含み、
前記第1駆動パルスおよび前記第2駆動パルスを前記圧力発生手段に印加して前記ノズルから液体を噴射させる噴射処理は、前記ノズルから液体を噴射させるべく前記圧力発生手段を駆動して前記圧力室内の液体を加圧する加圧工程を含み、
前記第1駆動パルスによる加圧工程は、前記圧力室の加圧を一定時間停止する停止工程を途中に含むことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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