JP2013248750A - 液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルから噴射される液量の変動を抑制しつつメイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれを低減することが可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供する。
【解決手段】噴射パルスDPは、ノズルにおけるメニスカスを圧力室側に引き込む予備膨張部p1と、予備膨張部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す収縮部p3と、収縮部によって押し出されたメニスカスを圧力室側に引き込む再膨張部p5と、を含む電圧波形であり、圧力室内のインクに生じる固有振動周期をTc、予備膨張部の始端から終端までの時間をPT1、予備膨張部の始端から収縮部の始端までの時間をT1、収縮部の始端から再膨張部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間が設定される。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
【選択図】図3
【解決手段】噴射パルスDPは、ノズルにおけるメニスカスを圧力室側に引き込む予備膨張部p1と、予備膨張部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す収縮部p3と、収縮部によって押し出されたメニスカスを圧力室側に引き込む再膨張部p5と、を含む電圧波形であり、圧力室内のインクに生じる固有振動周期をTc、予備膨張部の始端から終端までの時間をPT1、予備膨張部の始端から収縮部の始端までの時間をT1、収縮部の始端から再膨張部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間が設定される。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
【選択図】図3
Description
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動波形を圧力発生手段に印加することにより当該圧力発生手段を駆動させ、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズルから液体を噴射させる液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関するものである。
液体噴射装置は噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記液体噴射装置には、噴射駆動パルスを圧力発生手段(例えば、圧電振動子や発熱素子等)に印加してこれを駆動することにより圧力室内の液体に圧力変化を与え、この圧力変化を利用して圧力室に連通したノズルから液体を噴射させるように構成されたものがある。例えば、特許文献1に開示されている液体噴射装置の一種であるプリンターでは、ノズルのメニスカスを圧力室側に引き込む工程と、この状態を一定時間維持してインクの噴射のタイミングを図る維持工程と、圧力室の収縮によってインク滴を噴射させる第1の収縮工程と、噴射動作の反動によるメニスカスの引き込みを低減する第2の収縮工程と、を含む駆動パルス(駆動波形)が用いられている。即ち、膨張工程でメニスカスを圧力室側に引き込んだ後、圧力室側を収縮させることにより、メニスカスの引き込みの反動を利用してインク滴を噴射させることができるようになっている。
ところで、この種の液体噴射装置では、ノズルから液滴が噴射されると、先行するメイン滴の後端部の部分が当該メイン滴から分離してサテライト滴となることがある。特に、より大きい液滴を噴射する場合、或いは、粘度が比較的高い(例えば5mPa・s以上の)液体を噴射する場合、よりサテライト滴が生じやすい傾向にある。そして、液体噴射ヘッドと着弾対象(例えば、記録紙等の記録媒体)とを相対移動させながら液体の噴射を行う構成では、着弾対象上におけるメイン滴とサテライト滴の着弾位置が離れてしまう。このようなメイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれが、例えば、記録画像等の画質の低下を招く要因となっていた。
また、上記の問題に鑑み、駆動波形を工夫してサテライト滴を抑制する構成も種々提案されているが、一般的には、サテライト滴の発生を抑制しようとした場合、ノズルから噴射される液体の量(メイン滴の液量)が本来目標とする液量よりも減少してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルから噴射される液量の変動を抑制しつつメイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれを低減することが可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、及び、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間が設定されたことを特徴とする。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間が設定されたことを特徴とする。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
本発明によれば、(A)〜(C)の各条件を満たすように噴射パルスの波形部の時間が設定されることで、メイン滴の量を低減させることなく、サテライト滴の量を減らし、当該サテライト滴の飛翔速度を高めることができる。これにより、記録媒体上におけるメイン滴とサテライト滴との着弾位置ずれを低減することができる。その結果、メイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下が防止される。
上記構成において前記噴射パルスは、前記第3の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第4の波形部を含み、
前記第2の波形部の始端から前記第4の波形部の始端までの時間をT3としたとき、以下の条件を満たすようにT3が設定される構成を採用することが望ましい。
5Tc/4≦T3≦7Tc/4 …(D)
前記第2の波形部の始端から前記第4の波形部の始端までの時間をT3としたとき、以下の条件を満たすようにT3が設定される構成を採用することが望ましい。
5Tc/4≦T3≦7Tc/4 …(D)
この構成によれば、液体噴射後の残留振動を相殺するタイミングで第4の波形部が圧力発生手段に印加され、当該圧力発生手段の駆動によりメニスカスが噴射側に押し出されるので、残留振動を低減することができ、噴射安定性を確保することが可能となる。
また、上記構成において前記噴射パルスは、前記第4の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第5の波形部を含み、
前記第2の波形部の始端から前記第5の波形部の始端までの時間をT4としたとき、以下の条件を満たすようにT4が設定される構成を採用することが望ましい。
7Tc/4≦T4≦9Tc/4 …(E)
前記第2の波形部の始端から前記第5の波形部の始端までの時間をT4としたとき、以下の条件を満たすようにT4が設定される構成を採用することが望ましい。
7Tc/4≦T4≦9Tc/4 …(E)
この構成によれば、液体噴射後の残留振動を相殺するタイミングで第5の波形部が圧力発生手段に印加され、当該圧力発生手段の駆動によりメニスカスが噴射側に引き込まれるので、残留振動をさらに低減することができ、噴射安定性をより確実に確保することが可能となる。
そして、本発明の液体噴射装置の制御方法は、液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、及び、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間を設定することを特徴とする。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間を設定することを特徴とする。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図、図2は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図である。外部装置2は、例えばコンピューターやデジタルカメラなどの画像を取り扱う電子機器である。この外部装置2は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1において記録紙等の記録媒体に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
本実施形態におけるプリンター1は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4(移動手段)、リニアエンコーダー5、記録ヘッド6、及び、プリンターコントローラー7を有する。記録ヘッド6は、インクカートリッジ17を搭載したキャリッジ16の底面側に固定されている。そして、当該キャリッジ16は、キャリッジ移動機構4によってガイドロッド18に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、紙送り機構3によって記録媒体(記録紙)を順次搬送すると共に、記録媒体に対して記録ヘッド6を相対移動させながら当該記録ヘッド6のノズル34(図4参照)からインクを噴射させて、記録媒体上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。
プリンターコントローラー7は、制御手段の一種であり、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。プリンターコントローラー7は、インターフェース(I/F)部8と、CPU9と、記憶部10と、駆動信号生成部11とを有する。インターフェース部8は、外部装置2からプリンター1へ印刷データや印刷命令を送ったり、プリンター1の状態情報を外部装置2側に出力したりする際にプリンターの状態データの送受信を行う。CPU9は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部10は、CPU9のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU9は、記憶部10に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。
駆動信号生成部11は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部11は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。本実施形態における駆動信号生成部11は、例えば、図3に示す噴射駆動パルスDPを1つ以上含む駆動信号COMを発生する。
次に、プリントエンジン13について説明する。このプリントエンジン13は、図1に示すように、記録ヘッド6、キャリッジ移動機構4、紙送り機構3、及び、リニアエンコーダー5等を備えている。キャリッジ移動機構4は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド6が取り付けられたキャリッジ16と、このキャリッジ16を、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モータ(例えば、DCモータ)等からなり(図示せず)、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6を主走査方向に移動させる。紙送り機構3は、紙送りモータ及び紙送りローラ等からなり、記録紙(記録媒体の一種。また、液体着弾対象の一種)をプラテン上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー5は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6の走査位置に応じたエンコーダパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー7に出力する。プリンターコントローラー7は、リニアエンコーダー5側から受信したエンコーダパルスに基づいて記録ヘッド6の走査位置(現在位置)を把握することができる。
図4は、記録ヘッド6の構成を説明する要部断面図である。この記録ヘッド6は、ケース19、このケース19内に収納される振動子ユニット15(広義の圧力発生手段)、および、ケース19の底面(先端面)に接合される流路ユニット20等を備えている。上記のケース19は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット15が収納される収納空部21が形成されている。振動子ユニット15は、狭義の圧力発生手段として機能する圧電素子22と、この圧電素子22が接合される固定板23と、圧電素子22に駆動信号(駆動パルス)を供給するフレキシブルケーブル24とを備えている。圧電素子22は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電素子である。
流路ユニット20は、流路形成基板26の一方の面にノズルプレート27を、流路形成基板26の他方の面に振動板28をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット20には、リザーバー30(共通液室)と、インク供給口31と、圧力室32と、ノズル連通口33と、ノズル34とが設けられている。そして、インク供給口31から圧力室32及びノズル連通口33を経てノズル34に至る一連のインク流路が、各ノズル34に対応して形成されている。
上記ノズルプレート27は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば360dpi)で複数のノズル34が列状に穿設されたステンレス等の金属製の薄いプレートである。このノズルプレート27には、ノズル34を列設してノズル列(ノズル群)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば360個のノズル34によって構成される。
上記振動板28は、支持板37の表面に弾性体膜38を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板37とし、この支持板37の表面に樹脂フィルムを弾性体膜38としてラミネートした複合板材を用いて振動板28を作製している。この振動板28には、圧力室32の容積を変化させるダイヤフラム部39が設けられている。また、この振動板28には、リザーバー30の一部を封止するコンプライアンス部40が設けられている。
上記のダイヤフラム部39は、エッチング加工等によって支持板37を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部39は、圧電素子22の先端面が接合される島部41と、この島部41を囲む弾性部42とからなる。上記のコンプライアンス部40は、リザーバー30の開口面に対向する領域の支持板37を、ダイヤフラム部39と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー30に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
そして、上記の島部41には圧電素子22の先端面が接合されているので、この圧電素子22の自由端部を伸縮させることで圧力室32の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室32内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド6は、この圧力変動を利用してノズル34からインクを噴射させるようになっている。
図3は、駆動信号発生回路43が発生する駆動信号COMに含まれる噴射パルスDPの構成を説明する波形図である。
同図に示すように、本実施形態における噴射パルスDPは、予備膨張部p1(第1の波形部に相当)と、膨張ホールド部p2と、収縮部p3(第2の波形部に相当)と、収縮ホールド部p4と、再膨張部p5(第3の波形部に相当)と、再膨張ホールド部p6と、再収縮部p7(第4の波形部に相当)と、再収縮ホールド部p8と、復帰膨張部p9(第5の波形部に相当)とからなる。予備膨張部p1は、基準電位VBから膨張電位VHまで一定勾配で電位がプラス(第1の極性)側に時間PT1で変化(上昇)する波形部である。膨張ホールド部p2は、予備膨張部p1の終端電位である膨張電位VHを時間PT2だけ維持する波形部である。収縮部p3は、膨張電位VHから収縮電位VLまで電位がマイナス(第2の極性)側に変化(下降)する波形部である。収縮ホールド部p4は、収縮電位VLを時間PT3だけ維持する波形部である。再膨張部p5は、収縮電位VLから再膨張電位VH′(VB<VH′<VH)まで電位がプラス側に変化する波形部である。本実施形態において、再膨張電位VH′は、噴射パルスDPの収縮電位VLから膨張電位VHまでの電位差である駆動電圧Vdの50%に設定されている。なお、再膨張電位VH′は、例示した値には限られない。再膨張ホールド部p6は、再膨張電位VH′を時間PT4だけ維持する波形部である。再収縮部p7は再膨張電位VH′から収縮電位VLまで電位がマイナス側に変化する波形部である。再収縮ホールド部p8は、収縮電位VLを時間PT5だけ維持する波形部である。復帰膨張部p9は、収縮電位VLから基準電位VBまで電位が復帰する波形部である。
同図に示すように、本実施形態における噴射パルスDPは、予備膨張部p1(第1の波形部に相当)と、膨張ホールド部p2と、収縮部p3(第2の波形部に相当)と、収縮ホールド部p4と、再膨張部p5(第3の波形部に相当)と、再膨張ホールド部p6と、再収縮部p7(第4の波形部に相当)と、再収縮ホールド部p8と、復帰膨張部p9(第5の波形部に相当)とからなる。予備膨張部p1は、基準電位VBから膨張電位VHまで一定勾配で電位がプラス(第1の極性)側に時間PT1で変化(上昇)する波形部である。膨張ホールド部p2は、予備膨張部p1の終端電位である膨張電位VHを時間PT2だけ維持する波形部である。収縮部p3は、膨張電位VHから収縮電位VLまで電位がマイナス(第2の極性)側に変化(下降)する波形部である。収縮ホールド部p4は、収縮電位VLを時間PT3だけ維持する波形部である。再膨張部p5は、収縮電位VLから再膨張電位VH′(VB<VH′<VH)まで電位がプラス側に変化する波形部である。本実施形態において、再膨張電位VH′は、噴射パルスDPの収縮電位VLから膨張電位VHまでの電位差である駆動電圧Vdの50%に設定されている。なお、再膨張電位VH′は、例示した値には限られない。再膨張ホールド部p6は、再膨張電位VH′を時間PT4だけ維持する波形部である。再収縮部p7は再膨張電位VH′から収縮電位VLまで電位がマイナス側に変化する波形部である。再収縮ホールド部p8は、収縮電位VLを時間PT5だけ維持する波形部である。復帰膨張部p9は、収縮電位VLから基準電位VBまで電位が復帰する波形部である。
次に、上記の噴射パルスDPの特徴部分について説明する。本実施形態における噴射パルスDPは、当該噴射パルスDPによって圧電素子22を駆動することでノズル34からインクを噴射した際のサテライト滴の飛翔速度を高めて、メイン滴とサテライト滴の記録媒体上での相対的な着弾位置ずれが抑制されるように、各種パラメーターが設定されている。具体的には、圧力室32内のインクに生じる振動(圧力波)のヘルムホルツ振動周期(固有振動周期)をTcとしたとき、予備膨張部p1の始端から終端までの時間PT1が、以下の式(1)を満たすように設定される。また、予備膨張部p1の始端から収縮部p3の始端までの時間T1が、以下の式(2)を満たすように設定される。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(1)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(2)
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(1)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(2)
時間PT1および時間T1は、ノズル34からインクを噴射する際に、メニスカスが噴射側に押し出されて形成されるインク柱(液柱)の大きさに関わるパラメーターである。時間PT1が上記式(1)を満たすように設定されることにより、予備膨張部p1によってメニスカスを圧力室側に引き込む際、圧力室32内のインクに周期Tcの振動が励振されるので、当該振動を利用してメニスカスをより速く圧力室側に引き込むことができる。すなわち、メニスカスを圧力室側により大きく引き込むことができる。また、時間T1が上記式(2)を満たすように設定されることで、予備膨張部p1によってメニスカスが圧力室側に引きこまれた後、当該メニスカスが圧力室側から噴射側に移動しているタイミングで収縮部p3によってメニスカスが噴射側に押し出されるので、より大きいインク柱を形成することができる。したがって、後述するように、サテライト滴の液量を減らした場合においても、メイン滴の液量の減少を抑制することができる。
ここで、上記Tcは、ノズル34、圧力室32、インク供給口31、及び圧電素子22等の各構成部材の形状、寸法、及び剛性などにより、記録ヘッド毎に固有に定まる。この固有の振動周期Tcは、例えば、次式(3)で表すことができる。
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc] …(3)
但し、式(3)において、Mnはノズル34におけるイナータンス、Msはインク供給口31におけるイナータンス、Ccは圧力室32のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)である。また、上記式(3)において、イナータンスMとは、ノズル34等の流路における液体の移動し易さを示し、換言すると、単位断面積あたりの液体の質量である。そして、流体の密度をρ、流路の流体の流下方向と直交する面の断面積をS、流路の長さをLとしたとき、イナータンスMは次式(4)で近似して表すことができる。
M=(ρ×L)/S …(4)
なお、Tcは、上記式(3)で規定されるものに限られず、記録ヘッド6の圧力室32が有している振動周期であればよい。
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc] …(3)
但し、式(3)において、Mnはノズル34におけるイナータンス、Msはインク供給口31におけるイナータンス、Ccは圧力室32のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)である。また、上記式(3)において、イナータンスMとは、ノズル34等の流路における液体の移動し易さを示し、換言すると、単位断面積あたりの液体の質量である。そして、流体の密度をρ、流路の流体の流下方向と直交する面の断面積をS、流路の長さをLとしたとき、イナータンスMは次式(4)で近似して表すことができる。
M=(ρ×L)/S …(4)
なお、Tcは、上記式(3)で規定されるものに限られず、記録ヘッド6の圧力室32が有している振動周期であればよい。
また、収縮部p3の始端から再膨張部p5の始端までの時間T2が、以下の式(5)を満たすように設定される。
Tc/2≦T2≦Tc …(5)
時間T2は、収縮部p3により圧力室32の収縮が開始されてから、再膨張部p5により圧力室32の再膨張が開始されるまでの時間であり、ノズル34から噴射されるインク(メイン滴)の後端のサテライト滴となる部分の液量および飛翔速度に関連するパラメーターである。この時間T2が、条件(5)を満たすように設定されることにより、より最適なタイミングで再膨張部p5による圧力室32の再膨張を開始することができる。すなわち、収縮部p3によってメニスカスが噴射側に押し出されてインク柱が形成された後、より最適なタイミングで当該インク柱の後端部を圧力室側に引き込むことができる。このタイミングが早すぎると、メイン滴の重量が目標とする値よりも低下してしまう一方、このタイミングが遅すぎると、サテライト滴の量を十分に減らすことができない。
Tc/2≦T2≦Tc …(5)
時間T2は、収縮部p3により圧力室32の収縮が開始されてから、再膨張部p5により圧力室32の再膨張が開始されるまでの時間であり、ノズル34から噴射されるインク(メイン滴)の後端のサテライト滴となる部分の液量および飛翔速度に関連するパラメーターである。この時間T2が、条件(5)を満たすように設定されることにより、より最適なタイミングで再膨張部p5による圧力室32の再膨張を開始することができる。すなわち、収縮部p3によってメニスカスが噴射側に押し出されてインク柱が形成された後、より最適なタイミングで当該インク柱の後端部を圧力室側に引き込むことができる。このタイミングが早すぎると、メイン滴の重量が目標とする値よりも低下してしまう一方、このタイミングが遅すぎると、サテライト滴の量を十分に減らすことができない。
また、収縮部p3の始端から再収縮部p7の始端までの時間T3が、以下の式(6)を満たすように設定される。さらに、収縮部p3の始端から復帰膨張部p9の始端までの時間T4が、以下の式(7)を満たすように設定される。
5Tc/4≦T3≦7Tc/4 …(6)
7Tc/4≦T4≦9Tc/4 …(7)
時間T3および時間T4は、メニスカス振動(インク噴射後の残留振動)の制振に関わるパラメーターである。時間T3は、収縮部p3により圧力室32の収縮が開始されてから、再収縮部p7により圧力室32の再収縮が開始されるまでの時間である。この時間T3が、条件(6)を満たすように設定されることにより、Tc振動によりメニスカスが圧力室側に移動しているタイミングで再収縮部p7による圧力室32の再収縮を開始することができる。これにより、インク噴射後のメニスカスの残留振動を低減することができる。また、時間T4が、条件(7)を満たすように設定されることにより、Tc振動によりメニスカスが噴射側に移動しているタイミングで復帰膨張部p9による圧力室32の再膨張を開始することができる。これにより、メニスカスの残留振動をより確実に低減することができる。
5Tc/4≦T3≦7Tc/4 …(6)
7Tc/4≦T4≦9Tc/4 …(7)
時間T3および時間T4は、メニスカス振動(インク噴射後の残留振動)の制振に関わるパラメーターである。時間T3は、収縮部p3により圧力室32の収縮が開始されてから、再収縮部p7により圧力室32の再収縮が開始されるまでの時間である。この時間T3が、条件(6)を満たすように設定されることにより、Tc振動によりメニスカスが圧力室側に移動しているタイミングで再収縮部p7による圧力室32の再収縮を開始することができる。これにより、インク噴射後のメニスカスの残留振動を低減することができる。また、時間T4が、条件(7)を満たすように設定されることにより、Tc振動によりメニスカスが噴射側に移動しているタイミングで復帰膨張部p9による圧力室32の再膨張を開始することができる。これにより、メニスカスの残留振動をより確実に低減することができる。
上記のように構成された噴射パルスDPが圧電素子22に印加されると、まず、予備膨張部p1によって圧電素子22は素子長手方向に収縮し、これに伴って圧力室32が基準電位VBに対応する基準容積から膨張電位VHに対応する膨張容積まで膨張する(第1の変化工程)。この膨張により、図5(a)に示すように、ノズル34におけるインクの表面(メニスカス)が圧力室32側(図における上側)に大きく引き込まれると共に、圧力室32内にはリザーバー30側からインク供給口31を通じてインクが供給される。そして、この圧力室32の膨張状態は、膨張ホールド部p2によって時間Wh1だけ維持される(ホールド工程)。
膨張ホールド部p2によるホールドの後、収縮部p3により圧電素子22が伸長する。これに伴い、圧力室32は膨張容積から収縮電位VLに対応する収縮容積まで急激に収縮される(第2の変化工程)。これにより、圧力室32内のインクが加圧されて、図5(b)に示すように、メニスカスの中央部分が噴射側(図における下側)に押し出され、この押し出された部分が液柱(インク柱)のように伸びる。続いて、収縮ホールド部p4が供給され、収縮容積が時間PT3だけ維持される(第1収縮ホールド工程)。この間、メニスカス中央部のインク柱が慣性力によって噴射方向へ伸びる。続いて、再膨張部p5が供給されることにより、圧電素子22が収縮する。これに伴い、圧力室32は、収縮容積から再膨張電位VH′に対応する再膨張容積まで再度膨張する(第3の変化工程)。これにより、メニスカスが圧力室32側に引き込まれる。図5(c)に示すように、メニスカス中央部のインク柱が慣性力によって噴射方向へ伸びつつある状態でこの方向とは逆方向にメニスカスが引き込まれるので、インク柱がメニスカスから分離してインク滴として飛翔する。噴射されたインク滴は、先行するメイン滴Dmと、このメイン滴Dmの後端部から分離して生じるサテライト滴Dsとから成る。この際、主にサテライト滴Dsとなる部分が圧力室側に引き込まれるので、当該サテライト滴Dsの量を低減することができる。そして、サテライト滴Dsの量を減らすことで、サテライト滴Dsの飛翔速度を高めることができる。これにより、ノズル34から噴射されて記録媒体の記録面に着弾するまでの間に、メイン滴Dmにサテライト滴Dsが近接する。これにより、記録媒体上におけるメイン滴Dmとサテライト滴Dsとの着弾位置ずれを低減することができる。
このときの再膨張容積は、再膨張ホールド部p6によって時間PT4だけ維持される(再膨張ホールド工程)。再膨張ホールド部p6によるホールドの後、メニスカスのTcに基づく振動が噴射側から圧力室側に変位しているタイミングで、再収縮部p7により圧電素子22が伸長し、これにより圧力室32の容積が再膨張容積から収縮電位VLに対応する収縮容積まで再度収縮される(第4の変化工程)。これにより、メニスカスの振動が低減される。
再収縮部p7による圧力室32の再収縮の後、再収縮ホールド部p8により、圧力室32の収縮容積が一定時間維持される(再収縮ホールド工程)。その後、制振収縮部p9が圧電素子22に印加されて、圧力室32が収縮容積から基準容積(定常容積)まで膨張復帰する。この復帰膨張部p9によって、メニスカスの残留振動がさらに抑制される。
次に、上記の噴射パルスDPを用いてインクを噴射したときの印刷結果の良否判定について説明する。なお、実験においては、インクとして、20℃における粘度が5.0〔mPa・s〕の有機溶剤インクを使用した。粘度が5.0〔mPa・s〕以上の液体は、サテライト滴がより生じ易い傾向にある。また、実験時の環境温度は25℃である。そして、圧力室32の固有振動周期Tcは7.6〔μs〕である。
図6は、予備膨張部p1の時間PT1を変化させたときのメイン滴速度Vmd、サテライト滴速度Vsd、および、ノズル34から噴射されるインク(メイン滴およびサテライト滴)の重量Iwの変化と判定結果を示した表であり、図7は、PT1の変化に対するVmd,Vsd,Iwの変化をグラフにしたものである。判定結果に関し、ノズル34から噴射されるインクの重量Iw、メイン滴の飛翔速度Vmd、およびサテライト滴の飛翔速度Vsdが、それぞれ目標値以上となる場合を「○」(合格)、目標値に満たない場合を「×」(不合格)としている。本実施形態においては、Iw≧7.0〔ng〕、Vmd≧5.5〔m/s〕、Vsd≧4.0〔m/s〕の場合に合格とされる。なお、T1が一定(5μs)となるようにPT2の値が定められている。
Tcが7.6〔μs〕の場合、上記式(1)を満たすPT1は、1.9≦PT1≦3.8〔μs〕の範囲となる。図6の例において上記の条件を満たすPT1は、「2.0」、「2.5」、「3.0」、「3.5」の計4つで、何れも判定結果が「○」で合格となっている。一方、PT1が条件を満たさない場合、すなわち、PT1が1.9〔μs〕に満たない場合(「1.0」、「1.5」)、或いは、PT1が3.8〔μs〕を超えた場合(「4.0」、「4.5」)、インク重量Iwが、目標とする値(7.0〔ng〕)に満たず、不合格となっている。
図8は、予備膨張部p1の時間PT1を一定(この例では3.0〔μs〕)にして予備膨張部p1の始端から収縮部p3の始端までの時間T1を変化させたときのVmd、Vsd、およびIwの変化と判定結果を示した表であり、図9は、T1の変化に対するVmd,Vsd,Iwの変化をグラフにしたものである。本実施形態では、上記式(2)を満たすT1は、3.8≦T1≦5.7〔μs〕の範囲となる。図8の表で上記の条件を満たすT1は、「4.0」、「4.5」、「5.0」、「5.5」の計4つで、何れも判定結果が「○」で合格となっている。一方、T1が条件を満たさない場合、すなわち、T1が4.0〔μs〕に満たない場合(「3.5」)、或いは、T1が5.5〔μs〕を超えた場合(「6.0」、「6.5」)、インク重量Iwが、目標とする値(7.0〔ng〕)に満たず、不合格となっている。
図10は、収縮部p3の時間を一定にして収縮部p3の始端から再膨張部p5の始端までの時間T2を変化させたときのVmd、Vsd、およびIwの変化と判定結果を示した表であり、図11は、時間T2の変化に対するVmd、Vsd、およびIwの変化をグラフにしたものである。本実施形態では、上記式(5)を満たすT2は、3.8≦T2≦7.6〔μs〕の範囲となる。図10の表で上記の条件を満たすT2は、「4.0」、「4.5」、「5.0」、「5.5」、「6.0」、「6.5」、「7.0」、「7.5」の計8つで、何れも判定結果が「○」で合格となっている。一方、T2が条件を満たさない場合、すなわち、T2が4.0〔μs〕に満たない場合(「3.0」、「3.5」)、インク重量Iwが、目標とする値(7.0〔ng〕)に満たず、不合格となっている。また、T2がTcよりも大きい場合(「8.0」)、サテライト滴の飛翔速度Vsdが目標値に満たず、不合格となっている。サテライト滴の飛翔速度Vsdが目標値に満たない場合、メイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれが顕著となり、記録媒体に記録された画像等の画質の低下を招く虞がある。
図12は、収縮部p3の始端から再膨張部p5の後端までの時間を一定にして収縮部p3の始端から再収縮部p7の始端までの時間T3を変化させたとき(即ち、再膨張ホールド部p6の時間PT4のみを変化させたとき)の、噴射安定性が確保可能な駆動電圧Vd(収縮電位VLから膨張電位VHまでの電位差)の変化と判定結果を示した表であり、図13は、T3の変化に対するVdの変化をグラフにしたものである。なお、インク噴射後の残留振動に起因するインクの飛翔曲がりやインク量の変動が許容範囲内であれば、噴射安定性が確保された状態であるものとする。また、判定結果に関し、噴射安定性が確保可能な駆動電圧Vdが目標値以上となる場合を「○」(合格)、目標値に満たない場合を「×」(不合格)としている。本実施形態においては、Vd≧26〔V〕以上の場合に合格とされる。
本実施形態では、上記式(6)を満たすT3は、9.5≦T3≦13.3〔μs〕の範囲となる。図12の表で上記の条件を満たすT3は、「10.0」、「11.0」、「12.0」、「13.0」の計4つで、何れも判定結果が「○」で合格となっている。一方、T3が条件を満たさない場合、すなわち、T3が9.5〔μs〕に満たない場合(「8.0」、「9.0」)、或いは、T3が13.3〔μs〕を超えた場合(「14.0」)、噴射安定性が確保可能な駆動電圧Vdが目標値よりも低くなる。つまり、T3が条件を満たさない場合、再収縮部p7による残留振動の抑制効果が十分に得られないため、この場合、噴射を安定させるためには駆動電圧Vdを目標値よりも下げる必要がある。駆動電圧Vdを目標値よりも下げてしまうと、インク重量Iwやメイン滴の飛翔速度Vmdの低下を招いてしまう。
図14は、収縮部p3の始端から再収縮部p7の後端までの時間を一定にして収縮部p3の始端から復帰膨張部p9の始端までの時間T4を変化させたとき(即ち、再収縮ホールド部p8の時間PT5のみを変化させたとき)の、噴射安定性が確保可能な駆動電圧Vdの変化と判定結果を示した表であり、図15は、T4の変化に対するVdの変化をグラフにしたものである。本実施形態では、上記式(7)を満たすT4は、13.3≦T4≦17.1〔μs〕の範囲の値となる。図12の表で上記の条件を満たすT4は、「13.5」、「14.5」、「15.5」、「16.5」の計4つで、何れも判定結果が「○」で合格となっている。一方、T4が条件を満たさない場合、すなわち、T4が13.3〔μs〕に満たない場合、或いは、T4が17.1〔μs〕を超えた場合(「17.5」、「18.5」)、噴射安定性が確保可能な駆動電圧Vdが目標値よりも低くなる。つまり、T4が条件を満たさない場合、復帰膨張部p9による残留振動の抑制効果が十分に得られないため、この場合、噴射を安定させるためには駆動電圧Vdを目標値よりも下げる必要がある。駆動電圧Vdを目標値よりも下げてしまうと、インク重量Iwやメイン滴の飛翔速度Vmdの低下を招いてしまう。
以上のように、式(1)、式(2)、および式(5)を満たすよう噴射パルスDPのパラメーターが設定されることで、メイン滴の量を低減させることなく、サテライト滴の量を減らし、当該サテライト滴の飛翔速度を高めることができる。これにより、記録媒体上におけるメイン滴Dmとサテライト滴Dsとの着弾位置ずれを低減することができる。その結果、メイン滴とサテライト滴の着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下が防止される。
また、式(6)を満たすように噴射パルスDPのパラメーターが設定されることで、噴射後の残留振動を低減することができ、噴射安定性を確保することが可能となる。さらに式(7)を満たすように噴射パルスDPのパラメーターが設定されることで、噴射後の残留振動をより低減することができ、噴射安定性をより確実に確保することが可能となる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
噴射パルスDPの波形構成に関し、上記実施形態で例示したものには限られない。少なくとも、ノズルにおけるメニスカスを圧力室側に引き込む第1の波形部と、第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、第2の波形部によって押し出されたメニスカスを圧力室側に引き込む第3の波形部と、を含む電圧波形であればよい。
また、上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂縦振動型の圧電素子22を例示したが、これには限られず、例えば、所謂撓み振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、例示した噴射パルスDPに関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
そして、本発明は、噴射パルスを用いて噴射制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を噴射する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を噴射する。
1…プリンター,6…記録ヘッド,7…プリンターコントローラー,11…駆動信号生成部,13…プリントエンジン,14…ヘッド制御部,15…アクチュエーターユニット,22…圧電素子,34…ノズル
Claims (4)
- 液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、及び、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間が設定されたことを特徴とする液体噴射装置。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C) - 前記噴射パルスは、前記第3の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第4の波形部を含み、
前記第2の波形部の始端から前記第4の波形部の始端までの時間をT3としたとき、以下の条件を満たすようにT3が設定されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
5Tc/4≦T3≦7Tc/4 …(D) - 前記噴射パルスは、前記第4の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第5の波形部を含み、
前記第2の波形部の始端から前記第5の波形部の始端までの時間をT4としたとき、以下の条件を満たすようにT4が設定されたことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
7Tc/4≦T4≦9Tc/4 …(E) - 液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、及び、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によってノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
圧力発生手段を駆動してノズルから液体を噴射させるための噴射パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記噴射パルスは、
前記ノズルにおけるメニスカスを前記圧力室側に引き込む第1の波形部と、
前記第1の波形部によって引き込まれたメニスカスを噴射側に押し出す第2の波形部と、
前記第2の波形部によって押し出されたメニスカスを前記圧力室側に引き込む第3の波形部と、
を含む電圧波形であり、
前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期をTc、前記第1の波形部の始端から終端までの時間をPT1、前記第1の波形部の始端から前記第2の波形部の始端までの時間をT1、前記第2の波形部の始端から前記第3の波形部の始端までの時間をT2としたとき、以下の各条件を満たすように各時間を設定することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
Tc/4≦PT1≦Tc/2 …(A)
Tc/2≦T1≦3Tc/4 …(B)
Tc/2≦T2≦Tc …(C)
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---|---|---|---|---|
JP2015168191A (ja) * | 2014-03-08 | 2015-09-28 | 株式会社リコー | 画像形成装置及びヘッド駆動制御方法 |
JP2017105159A (ja) * | 2015-11-30 | 2017-06-15 | 株式会社リコー | インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 |
EP3626455A1 (en) * | 2018-09-20 | 2020-03-25 | Canon Production Printing Holding B.V. | Method for reducing secondary satellites in ink jet printing |
-
2012
- 2012-05-30 JP JP2012123123A patent/JP2013248750A/ja active Pending
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