JP2012240501A - 車両用シートリクライニング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポール及びカムを軸線方向で規制しつつ、ロック・アンロックに係る操作作動を円滑に行うことができる車両用シートリクライニング装置を提供する。
【解決手段】ヒンジカム50は、カム40に一体回転するように軸線方向に嵌挿され、ロアアーム10を貫通して該ロアアーム10に回転自在に支持される第1軸部51、アッパアーム20を貫通して該アッパアーム20に軸支される第2軸部52、及びポール30の係合部37の内周側でアッパアーム20の凹部23の形成する空間S1に収容されるフランジ部53を有する。付勢部材70は、第1軸部51においてヒンジカム50を一方向に回転付勢し、カム40を介してポール30を外歯32及び内歯22が噛合又は係合部37及び突部24が当接する径方向に移動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートクッションに対するシートバックの傾斜角度を調整するための車両用シートリクライニング装置に関するものである。
従来、こうした車両用シートリクライニング装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用シートリクライニング装置は、内歯部(12a)及び突出平面(12b)の形成された円筒部(12)を有するラチェット(10)と、該ラチェットに軸支されたガイド(20)と、該ガイドに設けられた案内壁(21a〜21d)により径方向への移動が案内されたポール(30)と、該ポールに係合するカム(40)と、該カムに一体回転するように連結されたヒンジカム(50)とを備える。そして、カムの回転によりガイド(案内壁)に案内されるポールを径方向に進退させ、ラチェットの内歯部とポールの外歯(30a)とを噛合又は解除することで、ガイドに対するラチェットの回動を規制又は許容している。これにより、シートクッションに対するシートバックの回動を規制又は許容(ロック又はアンロック)して、シートバックを乗員着座等に好適な所要の傾斜角度に調整・保持することができる。また、カムの回転によりガイド(案内壁)に案内されるポールを径方向に進出させた際、ポールの外歯をラチェットの突出平面に当接させることで、ガイドに対するラチェットの回動規制を不能にしている。つまり、ポールを90度間隔で3個配設し、ラチェットの円筒部に内歯部と並べて歯のない区間(突出平面)を設けることで、ラチェットの回動に伴い特定のポールが当該区間に合致した際に、ロックできないようになっている。これは、シートバックの前倒れの際に不要なロックを回避するためである。
なお、カムは、ヒンジカムに装着されたロック用の付勢ばね(60)により、ポールを径方向に進出させる方向、即ちポールの外歯をラチェットの内歯部に噛合又は突出平面に当接させる側に回転付勢されている。そして、ヒンジカムは、解除操作力を入力可能な操作軸(4c)と一体回転するように連結されている。従って、カムは、ヒンジカムを介して付勢ばねに回転付勢されることで、例えばポールの外歯をラチェットの内歯部に噛合させる。一方、カムは、操作軸への解除操作力の入力に伴い、付勢ばねの付勢力に抗して逆方向に回転することで、例えばポールの外歯をラチェットの内歯部から解除させる。
ところで、特許文献1では、シートバックの後倒れの状態から操作軸を解除操作した際、例えばシートバックを起立させるためのスプリングの付勢力でシートバックが前傾するときに、ポールの外歯が前記した歯のない区間(突出平面)に衝突して歯先を変形する可能性がある。
一方、特許文献2に記載された車両用シートリクライニング装置では、ポール及びカムの係合構造が異なるものの、前記したポールの外歯の衝突を回避することが提案されている。すなわち、内歯(23)の形成されたアッパアーム(12)には、内歯と同心円上に円形凹部(24)が凹設されるとともに、該円形凹部に突部(25)が径方向内側に突設されている。一方、内歯と噛合可能な外歯の形成された一のポール(31A)には、円形凹部の内周面に径方向で対向するステップ状の係合部(43)が形成されている。つまり、ポールの外歯及び係合部は、軸線方向で互いに異なる位置に配置されている。そして、アッパアームの回動に伴い当該ポールの係合部が円形凹部の突部に径方向で対向・当接した際に、ポールの外歯がアッパアームの内歯に噛合不能になってロックできないようになっている。また、当該ポールの係合部が、径方向において円形凹部の突部から外れた際に、ポールの外歯がアッパアームの内歯に噛合可能になっている。これにより、例えばシートバックの前傾時において、前記したポールの外歯の衝突を回避できる。
特開2009−207600号公報 特開2010−22401号公報
ところで、ポールの外歯の衝突を回避すべく、特許文献2の構造(円形凹部、係合部)を特許文献1に適用しようとした場合、円形凹部の分だけポール及びカム等の収容空間に間隙が生まれてポール、カム及びヒンジカムの姿勢保持が軸線方向で不安定になる可能性がある。これは、カムの回転に伴いポールを径方向に進退させるこれらの係合構造(フック及び掛部)が同一の軸線方向の範囲で共に成立しており、円形凹部にはその突部に径方向で対向可能な係合部のみが配置されるためである。
なお、ポール及びカム等の収容空間に生まれる間隙を埋めるべく、円形凹部の分だけ軸線方向にヒンジカムを延ばすとともに、該延出部にポール及びカムを軸線方向で規制する外向きのフランジを突設することも考えられる。しかしながら、ガイドに片持ち支持である上に該ガイドから軸線方向外側に突出する突出部で付勢ばねに回転付勢されるヒンジカムにこのようなフランジを設けると、付勢ばねの付勢力でヒンジカムの軸線が傾斜した際に、これに伴うフランジの傾斜によって該フランジがポール及びカム又はラチェットの円形凹部と干渉して、ロック・アンロックに係る操作作動(特にロック作動)が円滑にできなくなる可能性がある。
本発明の目的は、ポール及びカムを軸線方向で規制しつつ、ロック・アンロックに係る操作作動を円滑に行うことができる車両用シートリクライニング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、シートクッション側及びシートバック側のいずれか一方に固定され、ガイド壁を有する第1アームと、前記シートクッション側及び前記シートバック側のいずれか他方に固定され、内歯を有して前記第1アームに回転自在に支持される第2アームと、前記第1及び第2アーム間に形成される収容空間に配置され、前記内歯に係脱可能な外歯を有して前記ガイド壁によって径方向への移動が案内されるポールと、前記ポールの内周側で前記収容空間に回転自在に配置され、回転に伴い前記ポールが前記ガイド壁に沿って進退するように前記ポールに係合されて前記外歯及び前記内歯を噛合又は解除するカムと、前記内歯と同心円上に前記第2アームの軸線方向に凹設され、所定角度範囲で径方向内側に突出する規制部を有する凹部と、前記ポール及び前記カムの係合位置とは異なる軸線方向の位置で前記凹部に径方向で対向するように前記ポールに形成され、前記規制部に当接することで前記外歯及び前記内歯を噛合不能にする係合部と、前記カムに一体回転するように軸線方向に嵌挿され、前記第1アームを貫通して該第1アームに回転自在に支持される第1軸部、前記第2アームを貫通して該第2アームに軸支される第2軸部、及び前記係合部の内周側で前記凹部の形成する空間に収容されるフランジ部を有するヒンジカムと、前記第1軸部において前記ヒンジカムを一方向に回転付勢し、前記カムを介して前記ポールを前記外歯及び前記内歯が噛合又は前記係合部及び前記規制部が当接する径方向に移動させる付勢部材とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記付勢部材により前記ヒンジカムを一方向に回転付勢して、前記カムを介して前記ポールを前記外歯及び前記内歯が噛合する径方向に移動させると、前記第1及び第2アームの相対回動が規制される。これにより、前記シートクッションに対する前記シートバックの回動が規制(ロック)される。また、前記ヒンジカムに対する解除操作力の入力により、前記付勢部材の付勢力に抗して前記ヒンジカムを逆方向に回転して、前記カムを介して前記ポールを前記外歯及び前記内歯が解除する径方向に移動させると、前記第1及び第2アームの相対回動が許容される。これにより、前記シートクッションに対する前記シートバックの回動が許容(アンロック)される。一方、前記付勢部材により前記ヒンジカムを一方向に回転付勢して、前記カムを介して前記ポールを径方向に移動させた際、前記係合部及び前記規制部が当接すると、前記外歯及び前記内歯が噛合不能となる。これにより、前記シートクッションに対する前記シートバックの所定回動範囲において当該回動が常時許容(アンロック)される。
ここで、前記ヒンジカムの前記フランジ部は、前記係合部の内周側で前記凹部の形成する空間に収容されることで、前記ポール及び前記カムを軸線方向で規制することができ、これらポール及びカムを軸線方向で安定的に姿勢保持することができる。また、前記ヒンジカムは、前記第1軸部で前記付勢部材に回転付勢されることでその軸線を傾斜しようとしても、前記第1軸部及び前記第2軸部において前記第1アーム及び前記第2アームにより両持ちで支持されることで、当該傾斜を抑制することができる。これにより、前記フランジ部と前記ポール及び前記カム等との干渉を抑制することができ、ロック・アンロックに係る円滑な操作作動(特にロック作動)を実現することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートリクライニング装置において、前記第1アーム、前記第2アーム、前記ポール、前記カム、前記ヒンジカム及び前記付勢部材をシート幅方向両側にそれぞれ一対で備え、前記各ヒンジカムに一体回転するように軸線方向に嵌挿されたヒンジピンと、片側の前記ヒンジピンに一体回転するように連結され、当該ヒンジピンに解除操作力を入力する操作部材と、シート幅方向両側に配設された前記両ヒンジピンに一体回転するように連結され、解除操作力の入力に伴う片側の前記ヒンジピンの回転を反対側の前記ヒンジピンに伝達する連結部材とを備え、前記各カムと前記各ヒンジカムとの間及び前記各ヒンジカムと前記各ヒンジピンとの間の少なくとも一方に、軸線方向を中心とする周方向及び径方向の遊びを設定したことを要旨とする。
同構成によれば、組付け誤差で両側の前記ヒンジカム間又は前記ヒンジピン間の回転角度にばらつきが生じたとしても、前記遊びの範囲で吸収することで両側の前記カム間の回転角度のばらつきを抑えることができる。これにより、例えば片側の前記外歯及び前記内歯の噛合が不完全になってロック状態が不安定になることを抑制できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用シートリクライニング装置において、前記両ヒンジピンの前記連結部材に軸線方向で対向する端面は、軸線方向に直交する面上にそれぞれ広がっており、前記連結部材の前記両ヒンジピンに軸線方向で対向する両端面は、軸線方向に直交する面上にそれぞれ広がっており、前記両ヒンジピン及び前記連結部材は、各対向する端面同士を軸線方向に圧接させた状態で固着されていることを要旨とする。
同構成によれば、前記両ヒンジピン及び前記連結部材は、各対向する端面同士を軸線方向に圧接させた状態で固着されていることで、前記連結部材が前記両ヒンジピンに軸線方向に挟持される態様でこれらに固着されている。従って、前記両ヒンジピン及び前記連結部材全体の同軸度を簡易に向上させることができる。
本発明では、ポール及びカムを軸線方向で規制しつつ、ロック・アンロックに係る操作作動を円滑に行うことができる車両用シートリクライニング装置を提供することができる。
(a)(b)は、本発明の一実施形態を示す横断面図及び縦断面図。 同実施形態を示す分解斜視図。 同実施形態を示す縦断面図。 (a)は、ヒンジカム及びヒンジピンの嵌合態様を示す横断面図であり、(b)は、カム及びヒンジカムの嵌合態様を示す横断面図。
図1〜図4を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1(a)(b)に示すように、リクライナ1は、第1アームとしての円盤状のロアアーム10と、第2アームとしての円盤状のアッパアーム20とを備えている。ロアアーム10は、車両用シートの着座部を構成するシートクッション側に固定され、アッパアーム20は、車両用シートの背もたれ部を構成するシートバック側に固定される。
ロアアーム10は、例えば金属板の半抜き(ハーフブランキング)により成形されたもので、アッパアーム20側に開口する円形の凹部11を有している。凹部11は、ロアアーム10及びアッパアーム20の回転軸O1(軸線)を中心とする内周面11aを有している。また、ロアアーム10の凹部11内には、回転軸O1を中心とする径方向に延びる略U字溝状の3つのガイド溝12が円周上に等角度間隔に配置されている。これらガイド溝12は、中央部で連通しており、全体として略Y字形状を呈している。各ガイド溝12の周方向両側の内壁は、互いに平行となるガイド壁13をそれぞれ形成する。さらに、ロアアーム10の3つのガイド溝12が連通する中央部には、円形の貫通孔14が形成されている。
アッパアーム20は、例えば金属板の半抜き(ハーフブランキング)により成形されたもので、ロアアーム10の内周面11aの内径と同等の外径の外周面20aを有するとともに、ロアアーム10側に開口する円形の凹部21を有している。凹部21は、回転軸O1を中心とする内周面21aを有している。凹部21の内周面21aには、内歯22が全周に亘って形成されている。また、凹部21の内周側には、該凹部21と同心円上に円形の凹部23が形成されている。凹部23の内周面23aには、図1(a)に示すように、回転軸O1に向かって突出する規制部としての略円弧状の突部24が円周上に等角度間隔で3個所形成されている。さらに、アッパアーム20の凹部23の中央部には、貫通孔14の内径と同等の内径の円形の貫通孔25が形成されている。
図1(b)に示すように、アッパアーム20は、その外周面20aで、ロアアーム10の内周面11aと摺接するように嵌合されている。そして、ロアアーム10及びアッパアーム20の外周部には、ロアアーム10の内周面11aとアッパアーム20の外周面20aとが嵌合された状態で、金属板からなるリング状のホルダ29が装着されている。ロアアーム10及びアッパアーム20は、このホルダ29によって相対回動が許容された状態で軸方向に抜け止めされている。
ロアアーム10とアッパアーム20との間に形成される収容空間Sには、3つのポール30と、カム40とが収容されている。3つのポール30は、回転軸O1と直交する面内に円周上に等角度間隔に配置されている。
すなわち、各ポール30は、板状の鋼板をプレス加工するなどして作製され、基本的に段差をもたない略門形の平板形状をなしている。そして、各ポール30は、その両幅端部31が平行な直線となるように形成されている。各ポール30は、その両幅端部31をガイド溝12の両ガイド壁13に摺接させる態様でガイド溝12に沿って径方向に移動自在に装着されている。
各ポール30は、その円弧状の外方端(アッパアーム20の内歯22と対向する端面)に内歯22と噛合可能な外歯32が形成されている。つまり、各ポール30は、図1(b)に示すように、ロアアーム10のガイド溝12及びアッパアーム20の凹部21(内歯22)の形成された軸線方向の範囲に配置されている。
また、各ポール30は、その内方端(外方端とは逆向きの端面)に、カム40の外周部に係合する内面カム部33が形成されている。この内面カム部33は、図1(a)においてポール30の時計回転方向及び反時計回転方向に向かう側に配設された一対の被押圧部34,35及び両被押圧部34,35のなす門形の内側に配置された掛部36によって形成されている。なお、各ポール30には、凹部23(内周面23a)に径方向で対向するように、アッパアーム20に向かう軸線方向に円弧状の係合部37が突設されている。
カム40は、板状の鋼板をプレス加工するなどして作製され、段差をもたない平板形状をなしている。このカム40は、ロアアーム10のガイド溝12及びアッパアーム20の凹部21(内歯22)の形成された軸線方向の範囲(即ちポール30の配置される軸線方向の範囲)で回転軸O1上に回転可能に配置されている。
カム40は、その外周部に円周上に等角度間隔に3組のカム面41を有している。各カム面41は、図1(a)においてカム40の時計回転方向及び反時計回転方向に向かう側に配設されたフック42及び略三角形状の肩部43によって形成されている。カム40は、図示時計回転方向への回転に伴い、各フック42及び各肩部43で各ポール30の被押圧部34,35をそれぞれ押圧することで、該ポール30をロアアーム10のガイド溝12に沿って径方向外側に押し出す。このとき、全てのポール30の係合部37がアッパアーム20のいずれかの突部24に径方向で対向していなければ、ポール30の外歯32がアッパアーム20の内歯22に噛合する。一方、いずれかのポール30の係合部37がアッパアーム20のいずれかの突部24に径方向で対向すれば、ポール30の径方向外側への移動が係止されるとともにカム40が回り止めされて、ポール30の外歯32がアッパアーム20の内歯22に噛合不能となる。
また、カム40は、図示反時計回転方向への回転に伴い、各フック42で各ポール30の掛部36を引っ掛けることで、ポール30をロアアーム10のガイド溝12に沿って径方向内側に引き込む。これにより、ポール30の外歯32は、アッパアーム20の内歯22との噛合状態を解除する。なお、カム40の中央部には、略小判形のカム嵌合孔44が形成されている。
カム40のカム嵌合孔44には、ヒンジカム50が嵌挿されている。すなわち、ヒンジカム50は、回転軸O1に沿って延びる軸線を有している。そして、ロアアーム10(貫通孔14)を貫通して該ロアアーム10に回転自在に支持される第1軸部51、アッパアーム20(貫通孔25)を貫通して該アッパアーム20に軸支される第2軸部52、及び係合部37の内周側で凹部23の形成する空間S1に収容されるフランジ部53を有する。第1軸部51は、略小判形の外壁面を有しており、ヒンジカム50は、第1軸部51においてカム40のカム嵌合孔44に嵌合する。これにより、カム40は、ヒンジカム50と一体回転するように連結される。一方、第2軸部52は、貫通孔25の内径と同等の外径の外周面を有しており、該貫通孔25に摺接する。そして、フランジ部53は、係合部37の内周側で凹部23の形成する空間S1に収容されることで、ロアアーム10のガイド溝12との間で全てのポール30及びカム40を軸線方向で規制する。なお、ヒンジカム50には、回転軸O1に沿ってその中心部を貫通する挿通孔54が形成されている。この挿通孔54は、第1軸部51及びフランジ部53の軸線方向の範囲に略小判形のヒンジ嵌合孔54aを形成するとともに、第2軸部52の軸線方向の範囲に円形の支持孔54bを形成する。
ヒンジカム50の挿通孔54には、棒状のヒンジピン60が嵌挿されている。すなわち、ヒンジピン60は、回転軸O1に沿って延びる軸線を有しており、ヒンジ嵌合孔54aに嵌合する略小判柱状の嵌合部61を有するとともに、支持孔54bに挿入される円柱部62を有する。なお、嵌合部61は、円柱部62の径方向で対向する角度範囲を回転軸O1に沿って平面状に切り欠いた外形を有しており、従って、嵌合部61は、円柱部62の断面形状内に収まる断面形状を有する。
また、ヒンジピン60は、円柱部62よりも拡径された有底円筒状のソケット部63を有する。このソケット部63の底面をなす端面63aは、軸線方向に直交する面上に広がっている。
ヒンジカム50の第1軸部51には、図2に示すように、ロアアーム10の係止突部16に外周側の脚部70aが係止された渦巻きばねからなる付勢部材70の内周側の脚部70bが係止されている。この付勢部材70は、ヒンジカム50を一方向に回転付勢することで、カム40を介してポール30を外歯32及び内歯22が噛合又は係合部37及び突部24が当接する径方向に移動させる。
一方、ヒンジピン60(嵌合部61)のロアアーム10から突出する先端部には、板材からなる略弓形状の操作部材75が嵌挿されている。すなわち、操作部材75は、その先端部に回転軸O1に沿って貫通する略小判形の嵌合孔75aを有する。操作部材75は、ヒンジカム50(第1軸部51)の先端面に当接する態様で嵌合孔75aに嵌合部61が嵌合されることでヒンジピン60に一体回転するように連結される。そして、操作部材75に解除操作力を入力すると、付勢部材70の付勢力に抗してヒンジカム50が逆方向に回転する。このとき、ヒンジカム50は、カム40を介してポール30を外歯32及び内歯22が解除する径方向に移動させる。
図3に示すように、シート幅方向両側に対をなして配設されるリクライナ1は、片側(図示左側)にのみ設置された操作部材75を除いて左右対称となる構造を有する。そして、両リクライナ1のヒンジピン60は、シート幅方向(軸線方向)で対向するソケット部63において、シート幅方向に軸線の延びる円筒状の連結部材80に一体回転するように連結されている。すなわち、連結部材80は、ソケット部63の内径と同等の外径を有しており、連結部材80のシート幅方向両側の円環状の端面80aは、軸線方向に直交する面上にそれぞれ広がっている。そして、ソケット部63に先端部の挿入された連結部材80は、両ヒンジピン60により軸圧縮される状態で挟み込まれ、例えば溶接にてこれらヒンジピン60にそれぞれ固着されている。このとき、両ヒンジピン60及び連結部材80は、各対向する端面63a,80a同士を軸線方向に圧接させた状態で固着される。これは、両ヒンジピン60及び連結部材80全体の同軸度(真直度)を向上させるためである。そして、操作部材75への解除操作力の入力に伴う片側のヒンジピン60の回転は、連結部材80を介して反対側のヒンジピン60に伝達される。
なお、図4(a)に示すように、ヒンジカム50のヒンジ嵌合孔54a及びヒンジピン60の嵌合部61間には、回転軸O1(軸線方向)を中心とする周方向及び径方向の若干の遊びP1が設定されている。同様に、図4(b)に示すように、カム40のカム嵌合孔44及びヒンジカム50の第1軸部51間には、回転軸O1(軸線方向)を中心とする周方向及び径方向の若干の遊びP2が設定されている。これは、組付け誤差で両側のヒンジカム50間又はヒンジピン60間の回転角度にばらつきが生じたとしても、前記遊びP1,P2の範囲で吸収することで両側のカム40間の回転角度のばらつきを抑えるためである。
次に、本実施形態の動作について説明する。
図1(a)に示すように、各リクライナ1のロック状態においては、付勢部材70によりカム40が図示時計回転方向に回転付勢されることで、該カム40のフック42及び肩部43がポール30の被押圧部34,35をそれぞれ押圧する。このとき、ガイド溝12に沿って径方向外側に押し出されたポール30の外歯32とアッパアーム20の内歯22とが噛合することで、ロアアーム10に対するアッパアーム20の回動が規制されている。
この状態で、操作部材75への解除操作力の入力により、付勢部材70の付勢力に抗してカム40を図示反時計回転方向に回転させると、該カム40のフック42がポール30の掛部36を引っ掛ける。このとき、ガイド溝12に沿って径方向内側に引き込まれたポール30の外歯32がアッパアーム20の内歯22との噛合を解除する。従って、シートクッションに対してシートバックを任意の角度位置に回動させることが可能となる。
また、各リクライナ1のロックを解除した状態で、シートバックをシートクッションに対して、所定の角度以上前方に、いわゆる前倒し角度範囲に回転させると、アッパアーム20の凹部23の内周面23aに形成された突部24は、ポール30に形成された係合部37と径方向で対向する。従って、ポール30は、その係合部37がアッパアーム20の突部24に係合することによって、径方向外方への移動が妨げられるようになる。この状態で、操作部材75の解除操作力を解放すると、付勢部材70によりカム40が図示時計回転方向に回転付勢されることで、該カム40のフック42及び肩部43がポール30の被押圧部34,35をそれぞれ押圧する。しかしながら、アッパアーム20の突部24とポール30の係合部37との係合によって、ポール30の移動は阻止されるため、噛み合いは生じない。従って、前倒し角度範囲では、シートバックはロックされずに自由に回転させることができる。
前倒し状態から再び、操作部材75への解除操作力の入力により、シートバックを着座に最適な位置になるように後方に戻し、その位置で操作部材75の解除操作力を解放すると、ポール30及びカム40が、図1(a)に示す状態に復帰し、ロック状態となる。
特に、ヒンジカム50のフランジ部53は、係合部37の内周側で凹部23の形成する空間S1に収容されることで、全てのポール30及びカム40を軸線方向で規制する。これにより、これらポール30及びカム40が軸線方向で安定的に姿勢保持される。また、ヒンジカム50は、第1軸部51で付勢部材70に回転付勢されることでその軸線を傾斜しようとしても、第1軸部51及び第2軸部52においてロアアーム10及びアッパアーム20により両持ちで支持されることで、当該傾斜が抑制される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ヒンジカム50のフランジ部53は、係合部37の内周側で凹部23の形成する空間S1に収容されることで、全てのポール30及びカム40を軸線方向で規制することができ、これらポール30及びカム40を軸線方向で安定的に姿勢保持することができる。また、ヒンジカム50は、第1軸部51で付勢部材70に回転付勢されることでその軸線を傾斜しようとしても、第1軸部51及び第2軸部52においてロアアーム10及びアッパアーム20により両持ちで支持されることで、当該傾斜を抑制することができる。これにより、フランジ部53とポール30及びカム40等との干渉を抑制することができ、ロック・アンロックに係る円滑な操作作動(特にロック作動)を実現することができる。
(2)本実施形態では、各カム40と各ヒンジカム50との間及び各ヒンジカム50と各ヒンジピン60間に、軸線方向を中心とする周方向及び径方向の遊びP1,P2を設定した。従って、組付け誤差で両側のヒンジカム50間又はヒンジピン60間の回転角度にばらつきが生じたとしても、前記遊びP1,P2の範囲で吸収することで両側のカム40間の回転角度のばらつきを抑えることができる。これにより、例えば片側の外歯32及び内歯22の噛合が不完全になってロック状態が不安定になることを抑制できる。
(3)本実施形態では、両ヒンジピン60及び連結部材80は、各対向する端面63a,80a同士を軸線方向に圧接させた状態で固着されていることで、連結部材80が両ヒンジピン60に軸線方向に挟持される態様でこれらに固着されている。従って、両ヒンジピン60及び連結部材80全体の同軸度を簡易に向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、各ヒンジカム50と各ヒンジピン60との間の遊びP1及び各カム40と各ヒンジカム50との間の遊びP2のいずれか一方を無くしてもよい。
・前記実施形態において、カム40及びヒンジカム50等の嵌合形状は一例であって、例えばD字形状や多角形状、セレーションなどで嵌合させてもよい。
・前記実施形態において、係合部37は、少なくとも一つのポール30に設ければよい。また、アッパアーム20の突部24は、1乃至2個であってもよいし、4個以上あってもよい。
・前記実施形態において、ロアアーム10内に配設されるポールの個数は任意である。また、複数のポールが配設される場合、これらの動作が連動するのであれば互いに異なる形状であってもよいし、同一形状であってもよい。
・前記実施形態において、シートクッション側及びシートバック側と、ロアアーム10及びアッパアーム20の固定関係は逆であってもよい。
P1,P2…遊び、S…収容空間、S1…空間、1…リクライナ、10…ロアアーム(第1アーム)、12…ガイド溝、13…ガイド壁、20…アッパアーム(第2アーム)、22…内歯、23…凹部、24…突部(規制部)、30…ポール、32…外歯、37…係合部、40…カム、50…ヒンジカム、51…第1軸部、52…第2軸部、53…フランジ部、60…ヒンジピン、63a…端面、70…付勢部材、75…操作部材、80…連結部材、80a…端面。

Claims (3)

  1. シートクッション側及びシートバック側のいずれか一方に固定され、ガイド壁を有する第1アームと、
    前記シートクッション側及び前記シートバック側のいずれか他方に固定され、内歯を有して前記第1アームに回転自在に支持される第2アームと、
    前記第1及び第2アーム間に形成される収容空間に配置され、前記内歯に係脱可能な外歯を有して前記ガイド壁によって径方向への移動が案内されるポールと、
    前記ポールの内周側で前記収容空間に回転自在に配置され、回転に伴い前記ポールが前記ガイド壁に沿って進退するように前記ポールに係合されて前記外歯及び前記内歯を噛合又は解除するカムと、
    前記内歯と同心円上に前記第2アームの軸線方向に凹設され、所定角度範囲で径方向内側に突出する規制部を有する凹部と、
    前記ポール及び前記カムの係合位置とは異なる軸線方向の位置で前記凹部に径方向で対向するように前記ポールに形成され、前記規制部に当接することで前記外歯及び前記内歯を噛合不能にする係合部と、
    前記カムに一体回転するように軸線方向に嵌挿され、前記第1アームを貫通して該第1アームに回転自在に支持される第1軸部、前記第2アームを貫通して該第2アームに軸支される第2軸部、及び前記係合部の内周側で前記凹部の形成する空間に収容されるフランジ部を有するヒンジカムと、
    前記第1軸部において前記ヒンジカムを一方向に回転付勢し、前記カムを介して前記ポールを前記外歯及び前記内歯が噛合又は前記係合部及び前記規制部が当接する径方向に移動させる付勢部材とを備えたことを特徴とする車両用シートリクライニング装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シートリクライニング装置において、
    前記第1アーム、前記第2アーム、前記ポール、前記カム、前記ヒンジカム及び前記付勢部材をシート幅方向両側にそれぞれ一対で備え、
    前記各ヒンジカムに一体回転するように軸線方向に嵌挿されたヒンジピンと、
    片側の前記ヒンジピンに一体回転するように連結され、当該ヒンジピンに解除操作力を入力する操作部材と、
    シート幅方向両側に配設された前記両ヒンジピンに一体回転するように連結され、解除操作力の入力に伴う片側の前記ヒンジピンの回転を反対側の前記ヒンジピンに伝達する連結部材とを備え、
    前記各カムと前記各ヒンジカムとの間及び前記各ヒンジカムと前記各ヒンジピンとの間の少なくとも一方に、軸線方向を中心とする周方向及び径方向の遊びを設定したことを特徴とする車両用シートリクライニング装置。
  3. 請求項2に記載の車両用シートリクライニング装置において、
    前記両ヒンジピンの前記連結部材に軸線方向で対向する端面は、軸線方向に直交する面上にそれぞれ広がっており、
    前記連結部材の前記両ヒンジピンに軸線方向で対向する両端面は、軸線方向に直交する面上にそれぞれ広がっており、
    前記両ヒンジピン及び前記連結部材は、各対向する端面同士を軸線方向に圧接させた状態で固着されていることを特徴とする車両用シートリクライニング装置。
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