JP2012236572A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】インナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、耐空気透過性および屈曲疲労性および耐クラック性を改善する。
【解決手段】タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤ1であって、インナーライナー9は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーからなり厚さが0.05mm〜0.6mmの第1層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物よりなり、厚さが0.01mm〜0.3mmである第2層とからなるポリマー積層体で構成され、第2層がカーカスプライ6のゴム層と接するように配置され、インナーライナー9は、タイヤ最大幅位置からビードトウLtに亘るビード領域Rbの平均厚さより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さが薄い。
【選択図】図1

Description

本発明はインナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られており、タイヤ部材のなかでもタイヤの内部に配され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れを防止する、即ち、耐空気透過性を高めるインナーライナーにおいても、軽量化が求められている。
現在、インナーライナー用ゴム組成物は、たとえばブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含むブチルゴムを主体とするゴム配合を使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行われている。また、ブチルゴムを主体とするゴム配合はブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄・加硫促進剤・亜鉛華と相俟って、隣接ゴム層との分子間の共架橋を可能にしている。上記ブチル系ゴムは、通常の配合では乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚みが必要となるが、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚みをより薄くできるポリマーが提案されている。
従来技術では、インナーライナー層の軽量化を試み、熱可塑性エラストマーを用いることが提案されている。しかしブチルゴム系のインナーライナーよりも厚みを薄くすると耐空気透過性と軽量化との両立が困難である。また薄くすることでインナーライナーの強度が低下し、加硫工程時のブラダーの熱と圧力でインナーライナーが破れてしまうことがある。さらに強度の低い熱可塑性エラストマーはタイヤ走行においては、特に大きな繰り返しせん断変形を受けるバットレス部において、インナーライナーにクラックが発生しやすいという問題がある。
特許文献1には、インナーライナー層とゴム層の接着性を改善するための積層体が開示されている。これはインナーライナー層の両側に接着層を設けることで、インナーライナー層の重ね合わせ部において接着層同士が接触するようになり、加熱によって強固に接着されるので、空気圧保持性を向上させている。しかし、このインナーライナー層の重ね合わせのための接着層は、加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着、接着するという問題がある。
特許文献2は、耐空気透過性の良好なナイロン樹脂とブチルゴムを動的架橋により混合物を作成し厚み100μmのインナーライナー層が提案されている。しかしナイロン樹脂は室温では硬くタイヤ用インナーライナーとしては不向きである。また、この動的架橋による混合物だけではゴム層との加硫接着はしないため、インナーライナー層とは別に加硫用接着層を必要とするため、インナーライナー部材としては構造が複雑で工程が多くなり、生産性の観点から不利である。
先行文献3は、耐空気透過性の良好なエチレン−ビニルアルコール共重合体中に無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を分散させ、柔軟なガスバリア層を作製している。また、熱可塑性ポリウレタン層では挟み込みサンドイッチ構造、さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊(ブチルゴム/天然ゴムの70/30をトルエンに溶解させる)を塗布させてインナーライナー層を作製している。
しかし、柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低く、熱可塑性ポリウレタン層と剥離するおそれがある。また柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は柔軟樹脂が分散されているが、マトリックスのEVOHは屈曲疲労性に乏しく、タイヤ走行中に破壊してしまう。さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊を塗布しているが、通常のインナーライナー工程とは別の工程が必要となり生産性が劣ることになる。
先行文献4は、カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物の空気透過防止層を有する空気入りタイヤにおいて、ベルト層の最大幅端部近傍からタイヤ最大幅の領域Tsにおける空気透過防止層の平均厚さGsを、タイヤ最大幅とビードトゥの領域Tfにおける空気透過防止層の平均厚さGfよりも薄くし、屈曲耐久性を改善することが提案されている。しかしかかる構成では、カーカスプライのゴム層と空気透過防止層の間の剥離が生じることがある。
特開平9−19987号公報 特許第2999188号 特開2008−24219号公報 特開2008−174037号公報
本発明はインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、耐空気透過性および屈曲疲労性および耐クラック性を改善することを目的とする。
本発明は、タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーからなり、厚さが0.05mm〜0.6mmの第1層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーからなり、厚さが0.01mm〜0.3mmである第2層とからなるポリマー積層体で構成され、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置され、該インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いことを特徴とする空気入りタイヤである。
前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsと、ビード領域の平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75であることが望ましい。前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsは、0.05〜0.45mmであることが望ましい。
本発明において、前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が50,000〜400,000であり、スチレン成分含有量が10〜30質量%であることが望ましい。そして前記エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が100,000〜400,000であり、スチレン成分含有量が10〜30質量%であり、エポキシ当量が50以上で1,000以下であることが望ましい。
本発明は前記ポリマー積層体をインナーライナーに用いることで、耐空気透過性を維持しながら、その厚みを薄くできる。さらに隣接ゴム層との接着性を高めることができる。そしてこのポリマー積層体をインナーライナーに用いた空気入りタイヤは、屈曲疲労性が改善される。そして、ビード領域Rbとバットレス領域Rsのインナーライナーの平均厚さGb、Gsを調整することで、走行時のタイヤの繰り返し変形に伴う応力を有効に緩和でき耐クラック性が改善される。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分を示す概略断面図である。 本発明の空気入りタイヤにおけるインナーライナーの概略断面図である。
本発明は、タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、少なくとも2層のポリマー積層体で形成される。第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)からなり、厚さが0.05mm〜0.6mmの範囲である。第2層は、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含み、厚さが0.01mm〜0.3mmである。前記第2層はカーカスプライのゴム層と接するように配置されている。
本発明の空気入りタイヤの実施形態を図に基づき説明する。図1は、乗用車用空気入りタイヤの右半分の断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
本発明において、タイヤ最大幅位置LeからビードトウLtに亘るビード領域Rbのインナーライナー9の平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置Leからベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsのインナーライナー9の平均厚さGsが薄くなるように形成されている。
バットレス領域Rsにおけるインナーライナーの厚さを薄くすることで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し屈曲変形に伴うせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、クラックの発生を防止することができる。
屈曲変形による応力を効果的に緩和するには、前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsと、ビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75である。また空気圧保持性能を維持し、バットレス領域の応力を緩和する効果を兼備するには、前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmであることが望ましい。
<ポリマー積層体>
本発明の一実施の形態において、インナーライナーに用いられるポリマー積層体は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)からなる厚さ0.05mm〜0.6mmの第1層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含む第2層とからなり、前記第2層の厚さが0.01mm〜0.3mmである。
<第1層>
本発明の一実施の形態において、第1層はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)を含む熱可塑性エラストマー組成物で構成される。SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSからなるポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがってSIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され優れた耐久性を有する。したがってSIBSをインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合には、耐空気透過性を確保できる。したがってハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用する必要がない。仮に使用する場合にも、その使用量の低減が可能となり、タイヤの軽量化により燃費の向上を図ることができる。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10〜30質量%、好ましくは14〜23質量%であることが好ましい。
該SIBSは、その共重合体において、各ブロックの重合度は、ゴム弾性を維持し、作業性(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができ。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
SIBSからなる第1層の厚さは、0.05〜0.6mmである。第1層の厚さが0.05mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる恐れがある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、0.05〜0.4mmであることが好ましい。第1層は、SIBSを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
<第2層>
本発明において、第2層はエポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(以下、「エポキシ化SBS」ともいう。)からなるエポキシ化SBS層を含む。
エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(エポキシ化SBS)は、ハードセグメントがスチレンブロック、ソフトセグメントはブタジエンブロックであり、ブタジエンブロックに含まれる不飽和二重結合部分をエポキシ化した熱可塑性エラストマーである。
エポキシ化SBSは、スチレンブロックを有するため、同様にスチレンブロックを有するSIBSとの溶融接着性に優れている。したがってSIBS層とエポキシ化SBS層とを隣接して配置して加硫すると、SIBS層とエポキシ化SBS層とが良好に接着したポリマー積層体を得ることができる。
エポキシ化SBSはブタジエンブロックからなるソフトセグメントを有するため、ゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SBS層を、例えばカーカスやインスレーションを形成するゴム層と隣接して配置して加硫すると、エポキシ化SBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに用いた場合、ポリマー積層体と隣接ゴム層との接着性を向上することができる。
前記エポキシ化SBSの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が10,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると引張強度が低下し、寸法が安定しない虞があり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるため好ましくない。エポキシ化SBS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜30質量%であることが好ましい。
エポキシ化SBSはブタジエン単位とスチレン単位のモル比(ブタジエン単位/スチレン単位)が、90/10〜70/30であることが好ましい。エポキシ化SBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と加工性の観点からブタジエンブロックは、500〜5,000程度、またスチレンブロックは、50〜1,500程度が好ましい。
エポキシ化SBSのエポキシ当量は、接着性を向上する観点から、50以上で1,000以下が好ましい。
エポキシ化SBS層は、エポキシ化SBSを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
上記エポキシ化SBSを含む第2層の厚さは、0.01mm〜0.3mmである。第2層の厚さが0.01mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する恐れがある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する。第2層の厚さは、さらに0.05〜0.2mmであることが好ましい。
なお、本発明において、第2層には、熱可塑性エラストマー成分の50質量%未満の範囲で、その他のスチレン系熱可塑性エラストマー、たとえば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)などを混合することができる。
<ポリマー積層体>
本発明においてインナーライナーに用いられるポリマー積層体の構造は各種の形態を採用できる。これらの形態をインナーライナーの模式的断面図で示す、図2に基づき説明する。
ポリマー積層体10は、図2に示すように、第1層としてのSIBS層11および第2層としてのエポキシ化SBS層12から構成される。該ポリマー積層体10を空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、エポキシ化SBS層12がカーカスプライ6に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、エポキシ化SBS層12とカーカス6との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ6のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体10は、例えばSIBSの第1層とエポキシ化SBSの第2層をラミネート押出や共押出などの積層押出をして得ることができる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。前記ポリマー積層体10を空気入りタイヤ1の生タイヤのインナーライナーに適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。ポリマー積層体10を生タイヤに配置する際は、ポリマー積層体10の第2層であるエポキシ化SBS層12が、カーカスプライ6に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。
なお、インナーライナーの厚さをビード領域Rbとバットレス領域Rsで調整するには、例えば、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートを作成して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置する。
本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライのゴム層の配合は、一般に用いられるゴム成分、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどに、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を配合したものを用いることができる。
表1に示す仕様で、実施例および比較例の空気入りタイヤを製造して性能を評価した。第1層、第2層に用いたSIBS、エポキシ化SBSおよび配合成分は以下のとおりである。
<SIBS>
カネカ(株)社製のシブスターSIBSTAR 102T(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)を用いた。
<エポキシ化SBS>
ダイセル化学工業(株)社製の「エポフレンド A1020」(スチレン成分含有量 30質量%、重量平均分子量:100,000、エポキシ化当量500)を用いた。
<空気入りタイヤの製造>
上記SIBS、エポキシ化SBSを2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)を用いて共押出しを行い、表1に示す厚みのSIBS層およびエポキシ化SIBS層を有するポリマー積層体を作製した。
空気入りタイヤは、図1に示す基本構造を有する195/65R15サイズの生タイヤを製造した。ここでポリマー積層体のエポキシ化SIBSがカーカスプライと隣接するように生タイヤの内側に配置して、加硫金型で170℃で20分間プレス成型してタイヤを製造した。
ここでインナーライナーのビード領域Rbとバットレス領域Rsで厚さを調整するために、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置した。
Figure 2012236572
表1において、第1層、第2層の厚さの合計は、ビード領域Rbの平均厚さGbを示している。比較例1を除き、いずれの実施例、比較例においても、ビード領域Rbの平均厚さGbは0.6mmである。
<比較例1>
比較例1のインナーライナーには、次の配合成分をバンバリーミキサーで混合し、カレンダーロールにてシート化して厚さ1.0mmのポリマーフィルムを得た。Gs/Gbの値は1である。
クロロブチル(注1) 90質量部
天然ゴム(注2) 10質量部
フィラー(注3) 50質量部
(注1)エクソンモービル(株)社製の「エクソンクロロブチル 1068」
(注2)TSR20
(注3)東海カーボン(株)社製の「シーストV」(N660、窒素吸着比表面積:27m2/g)
<比較例2>
上述の方法で製造した厚さ0.6mmのSIBS層をインナーライナーとして用いた。Gs/Gbの値は1である。
<比較例3>
0.40mmのSIBS層と0.20mmのエポキシ化SBS層の複合層をインナーライナーとして用いた。Gs/Gbの値は1である。
<実施例1〜4>
実施例1〜4は、第1層にSIBSを、第2層にエポキシ化SBSを用いており、Gs/Gbの値は、実施例1が最も高く、実施例4が最も低い。
<性能試験>
実施例、比較例のポリマー積層体および該ポリマー積層体をインナーライナーに用いて空気入りタイヤを製造し以下の性能試験を行った。
<剥離試験>
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−接着性の求め方」に準じて、試験片を作製した。熱可塑性エラストマー組成物の試験片とゴムシートを張り合わせて加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で剥離力を測定する。インナーライナーとカーカス剥離力は大きいほど好ましい。
<屈曲疲労性試験>
JIS−K−6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、中央に溝のある所定の試験片を作製した。インナーライナーは、厚さ0.3mmシートをゴムに貼り付けて加硫し、所定の試験片を作製した。試験片の溝の中心にあらかじめ切り込みを入れ、繰り返し屈曲変形を与え亀裂成長を測定する試験を行った。雰囲気温度23℃、歪30%、周期5Hzで、70万回、140万回、210万回時に亀裂長さを測定し、亀裂が1mm成長するのに要した屈曲変形の繰り返し回数を算出した。比較例1の値を基準(100)として、実施例および比較例のポリマー積層体の屈曲疲労性について指数表示した。数値が大きい方が、亀裂が成長しにくく良好といえる。例えば、実施例1の指数は以下の式で求められる。
(屈曲疲労性指数)=(実施例1の屈曲変形の繰り返し回数)/(比較例1の屈曲変形の繰り返し回数)×100
<静的空気圧低下率試験>
上述の方法で製造した195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。
<平均厚さの測定>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤを周方向に8等分し、それぞれの箇所で、幅20mmでタイヤ径方向に沿って切断した8個のカットサンプルを作成し、この8個のカットサンプルについて、それぞれのバットレス領域Rsとビード領域Rbにおいて等間隔に5等分した5点についてインナーライナー層の厚さを測定した。それぞれ測定した合計40点の測定値の算術平均値をGs、Gbとした。
<耐クラック性>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、正規の空気圧を充填し、JATMA YEAR BOOKで空気圧−付加能力対応表より、この空気圧に対応する最大荷重を負荷し、速度80km/hでドラム上で走行し、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時点で走行を終了し走行距離を求めた。比較例1の走行距離を100とし指数で示す。指数が大きいほど、耐クラック性が優れている。
<性能評価結果>
表1において実施例1〜4は、第1層としてのSIBS層(厚さ0.4mm)を、第2層としてのSIS層(厚さ0.2mm)からなるポリマー積層体を用いている。そしてGs/Gbは、実施例1が0.75でもっとも大きく、実施例4は0.33で最も小さい。
比較例1〜3は、Gs/Gbは、いずれも1である。いずれの実施例も耐クラック性指数は比較例1よりも改善されている。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほかトラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、10 ポリマー積層体、11 SIBS層、12 SIS層、13 SIB層、Rb ビード領域、Rs バットレス領域、Le タイヤ最大幅位置、Lt ビードトウ、Lu ベルト層端の対応位置。

Claims (5)

  1. タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物よりなり厚さが0.05mm〜0.6mmの第1層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物よりなり、厚さが0.01mm〜0.3mmである第2層とからなるポリマー積層体で構成され、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置され、
    該インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsと、ビード領域の平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsは、0.05〜0.45mmである請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が50,000〜400,000であり、スチレン成分含有量が10〜30質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が100,000〜400,000であり、スチレン成分含有量が10〜30質量%であり、エポキシ当量が50以上で1,000以下である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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