JP5687974B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明はインナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られており、タイヤの内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れを防止する機能を有するインナーライナーにおいても軽量化が求められている。
現在、インナーライナー用ゴム組成物は、たとえばブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含むブチルゴムを主体とするゴム配合を使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行われている。また、ブチルゴムを主体とするゴム配合はブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄・加硫促進剤・亜鉛華と相俟って、隣接ゴム層との分子間の共架橋を可能にしている。上記ブチル系ゴムは、通常の配合では乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚さが必要となるが、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚さをより薄くできるポリマーが要請されている。
従来、インナーライナーの軽量化を図るために熱可塑性エラストマーを用いることが提案されている。しかし熱可塑性エラストマーは、ブチルゴムよりも厚さを薄くすると耐空気透過性及び強度が低下し、さらにタイヤの加硫の際にブラダーの熱と圧力でインナーライナーが破れてしまうことがある。さらに強度が低い熱可塑性エラストマーは、タイヤ走行の際に大きな繰り返しせん断変形を受けるバットレス部において、インナーライナーにクラックが発生しやすい。
特許文献1には、インナーライナー層とゴム層の接着性を改善するための積層体が開示されている。これはインナーライナー層の両側に接着層を設けることで、インナーライナー層の重ね合わせ部において接着層どうしが接触するようになり、加熱によって強固に接着されるので、空気圧保持性を向上させている。しかし、このインナーライナー層の重ね合わせのための接着層は、加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着して接着するという問題がある。
特許文献2は、耐空気透過性のナイロン樹脂とブチルゴムを動的架橋により混合物を作成し、厚さ100μmのインナーライナー層を作製している。しかしナイロン樹脂は室温では硬くタイヤ用インナーライナーとしては不向きである。また、この動的架橋による混合物だけではゴム層との加硫接着はしないため、インナーライナー層とは別に加硫用接着層を必要とするため、インナーライナー部材としては構造が複雑で工程が多くなり、生産性の観点から不利である。
先行文献3は、耐空気透過性のエチレン−ビニルアルコール共重合体中に無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を分散させ、柔軟なガスバリア層を作製している。また、熱可塑性ポリウレタン層では挟み込みサンドイッチ構造、さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊(ブチルゴム/天然ゴムの70/30をトルエンに溶解させる)を塗布させてインナーライナー層を作製している。しかし、柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低く、熱可塑性ポリウレタン層と剥離するおそれがある。また柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は柔軟樹脂が分散されているが、マトリックスのEVOHは屈曲疲労性に乏しく、タイヤ走行中に破壊してしまう。さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊を塗布しているが、通常のインナーライナー工程とは別の工程が必要となり生産性が劣ることになる。
特開平9−19987号公報 特許第2999188号公報 特開2008−24219号公報
本発明はインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、インナーライナーの剥離を防止し、さらに空気入りタイヤの屈曲疲労性、耐空気透過性および耐クラック性を改善することを目的とする。
本発明は、タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤を0.1〜100質量部含む熱可塑性エラストマー組成物のポリマーシートで構成され、前記インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsと、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)が、0.30〜0.75である空気入りタイヤに関する。
前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10〜30質量%であり、重量平均分子量が50,000〜400,000であることが望ましい。また前記粘着付与剤は、重量平均分子量Mwが、1×102〜1×106で、軟化点が50℃〜150℃の範囲であることが望ましい。
本発明の他の実施形態における空気入りタイヤは、前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmである。
本発明は、粘着付与剤を含む熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いるとともに、インナーライナーのビード領域Rbの平均厚さGbと、バットレス領域Rsの平均厚さGsの割合を一定範囲に設定することで、耐空気透過性を高めながら、その厚さを薄くでき、さらに隣接ゴム層との接着力を改善できる。そして、走行時のタイヤの繰り返し変形に伴う応力を有効に緩和でき屈曲疲労性及び耐クラック性を改善することができる。
本発明の空気入りタイヤの右半分を示す概略断面図である。
本発明の空気入りタイヤの実施形態を図に基づき説明する。図1は、乗用車用空気入りタイヤの右半分の断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
ここでインナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)からなり、厚さが0.05mm〜1.0mm、好ましくは0.05mm〜0.6mmの範囲に調整される。
<インナーライナーの構成>
本発明において、タイヤ最大幅位置LeからビードトウLtに亘るビード領域Rbのインナーライナー9の平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置Leからベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsのインナーライナー9の平均厚さGsが薄くなるように形成されている。
バットレス領域Rsにおけるインナーライナーの厚さGsを薄くすることで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し屈曲変形に伴うせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、クラックの発生を防止することができる。
屈曲変形による応力を効果的に緩和するには、前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsと、ビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75である。また空気圧保持性能を維持し、バットレス領域の応力を緩和する効果を兼備するには、前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmであることが望ましい。
<インナーライナー用の組成物>
本発明においてインナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)を少なくとも80質量%と、ゴム成分または熱可塑性エラストマーの20質量%以下の混合物より成る熱可塑性エラストマー組成物よりなる。
スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)は、そのイソブチレンブロック由来により、SIBSからなるポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。したがって、SIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBSは耐空気透過性と耐久性を改善するため、SIBS中のスチレン成分の含有量は10〜30質量%、好ましくは14〜25質量%であることが好ましい。
SIBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と作業性の観点からイソブチレンブロックでは10,000〜150,000程度、またスチレンブロックでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができ。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、分子内に二重結合を有している重合体、例えばポリブタジエンに比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。
前記SIBSに混合される熱可塑成エラストマーとして、例えばスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてスチレンブロックを含む共重合体をいう。例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)がある。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、その分子構造において、エポキシ基を有してもよく、例えば、ダイセル化学工業(株)社製、エポフレンドA1020(重量平均分子量が10万、エポキシ当量が500)のエポキシ変性スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(エポキシ化SBS)を使用できる。
また、SIBSに天然ゴム、IR、BR、SBRなどのゴム成分を配合することもできる。ゴム成分は、前記熱可塑性エラストマーと併用することも可能である。
<粘着付与剤>
前記粘着付与剤は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましくは、1〜50質量部の範囲で配合される。粘着付与剤が0.1質量部未満の場合は、第2層との加硫接着力が十分でなく、一方、100質量部を超えると粘着性が高くなりすぎて、加工性、生産性を低下し、更にガスバリア性が低下することになる。
ここで「粘着付与剤」とは、熱可塑性エラストマー組成物の粘着性を増進するための添加剤をいい、例えば、次の粘着付与剤が例示される。また粘着付与剤は、重量平均分子量Mwが、1×102〜1×106で、軟化点が50℃〜150℃の範囲であることが望ましい。重量平均分子量が1×102未満の場合、粘度が低くなり、シートの成形性が好ましくなく、一方、1×106を超えるとインナーライナーの粘着性が十分でなくなる。
以下、本発明において使用される粘着付与剤を列挙する。
[C9石油樹脂]
C9石油樹脂とは、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC5〜C9留分(主としてC9留分)を混合状態のまま重合して得られた芳香族石油樹脂である。例えば、商品名として、アルコンP70、P90、P100、P125、P140、M90、M100、M115、M135(いずれも、荒川化学工業(株)社製、軟化点70〜145℃)、またアイマーブS100、S110、P100、P125、P140(いずれも出光石油化学(株)製、芳香族共重合系水添石油樹脂、軟化点100〜140℃、重量平均分子量700〜900、臭素価2.0〜6.0g/100g)、さらに、ペトコールXL(東ソー(株)製)がある。
[C5石油樹脂]
C5石油樹脂とは、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレンやブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC4〜C5留分(主としてC5留分)を混合状態のまま重合して、得られた脂肪族石油樹脂である。商品名として、ハイレッツG100(三井石油化学(株)製、軟化点が100℃)、またマルカレッツT100AS(丸善石油(株)製、軟化点100℃)、さらにエスコレッツ1102(トーネックス(株)製、軟化点が110℃)がある。
[テルペン樹脂]
商品名として、YSレジンPX800N、PX1000、PX1150、PX1250、PXN1150N、クリアロンP85、P105、P115、P125、P135、P150、M105、M115、K100(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点は75〜160℃)がある。
[芳香族変性テルペン樹脂]
商品名として、YSレジンTO85、TO105、TO115、TO125(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。
[テルペンフェノール樹脂]
商品名としてタマノル803L、901(荒川化学工業(株)製、軟化点120℃〜160℃)、またYSポリスターU115、U130、T80、T100、T115、T145、T160(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。
[クマロン樹脂]
軟化点90℃のクマロン樹脂(神戸油化学工業(株)製)がある。
[クマロンインデンオイル]
商品名として、15E(神戸油化学工業(株)製、流動点15℃)がある。
[ロジンエステル]
商品名として、エステルガムAAL、A、AAV、105、AT、H、HP、HD(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点68℃〜110℃)、またハリエスターTF、S、C、DS70L、DS90、DS130(いずれもハリマ化成(株)製、軟化点68℃〜138℃)がある。
[水添ロジンエステル]
商品名として、スーパーエステルA75、A100、A115、A125(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点70℃〜130℃)がある。
[アルキルフェノール樹脂]
商品名として、タマノル510(荒川化学工業(株)製、軟化点75℃〜95℃)がある。
[DCPD]
商品名として、エスコレッツ5300(トーネックス(株)製、軟化点105℃)がある。
インナーライナーは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをシート化する通常の方法、例えば押出成形、カレンダー成形などによって製造できる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。前記インナーライナーを生タイヤの内側でカーカスプライと接するように配置して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。加硫された空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライのゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有する。
なお、インナーライナーの厚さをビード領域Rbとバットレス領域Rsで調整するには、例えば、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートを作成して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置する。
本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライのゴム層の配合は、一般に用いられるゴム成分、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどに、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を配合したものを用いることができる。
表1および表2に示す仕様で、実施例および比較例の空気入りタイヤを製造して、性能を評価した。インナーライナーに用いる配合成分は以下のとおりである。
Figure 0005687974
Figure 0005687974
(注1)SIBSはカネカ(株)社製のシブスターSIBSTAR 102T(ショアA硬度:25、スチレン成分含有量:25質量%、重量平均分子量:100,000)を用いた。
(注2)粘着付与剤AはC9石油樹脂、アルコンP140(荒川化学工業(株)社製、軟化点140℃、重量平均分子量Mw:900)を用いた。
(注3)粘着付与剤Bは、テルペン樹脂、YSレジンPX1250(ヤスハラケミカル(株)製、軟化点は125℃、重量平均分子量Mw:700)を用いた。
(注4)粘着付与剤Cは、水添ロジンエステル、スーパーエステルA125(荒川化学工業(株)製、軟化点125℃、重量平均分子量Mw:700)を用いた。
<インナーライナーの製造>
表1、表2に示す配合処方にしたがって、熱可塑性エラストマー組成物を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)にてインナーライナーを作製した。
<空気入りタイヤの製造>
空気入りタイヤは、図1に示す基本構造を有する195/65R15サイズのものに、上記インナーライナーに用いて生タイヤを製造し、次に加硫工程において、170℃で20分間プレス成型して製造した。加硫タイヤを100℃で3分間冷却した後、加硫タイヤを金型から取り出し空気入りタイヤを製造した。
ここでインナーライナーのビード領域Rbとバットレス領域Rsで厚さを調整するために、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートを作成して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置した。
表1および表2において、インナーライナーの厚さは、Gb領域の厚さを示している。比較例1を除き、いずれの実施例、比較例においても、Gbは0.6mmである。
なお、比較例1のインナーライナーには、次の配合成分をバンバリーミキサーで混合し、カレンダーロールにてシート化して厚さ1.0mmのポリマーフィルムを得た。Gs/Gbの値は1である。
IIR (注5) 80質量部
天然ゴム(注6) 20質量部
フィラー(注7) 60質量部
(注5)IIRは、エクソンモービル(株)社製の「エクソンクロロブチル 1068」を用いた。
(注6)天然ゴムはTSR20を用いた。
(注7)フィラーは東海カーボン(株)社製の「シーストV」(N660、窒素吸着比表面積:27m2/g)を用いた。
<性能試験>
実施例、比較例のインナーライナーに用いて空気入りタイヤを製造し以下の性能試験を行った。
<剥離試験>
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて試験片を作製した。熱可塑性エラストマーシートとゴムシートを貼りあわせ加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で剥離力を測定する。比較例1の剥離力を100として、相対値で指数評価した。指数が大きいほど剥離力は大きいことを示す。
<屈曲疲労性試験>
JIS−K−6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、中央に溝のある所定の試験片を作製した。インナーライナーは、厚さ0.3mmシートをゴムに貼り付けて加硫し、所定の試験片を作製した。試験片の溝の中心にあらかじ
め切り込みを入れ、繰り返し屈曲変形を与え亀裂成長を測定する試験を行った。雰囲気温度23℃、歪30%、周期5Hzで、70万回、140万回、210万回時に亀裂長さを測定し、亀裂が1mm成長するのに要した屈曲変形の繰り返し回数を算出した。比較例1の値を基準(100)として、実施例および比較例のポリマー積層体の屈曲疲労性について指数表示した。数値が大きい方が、亀裂が成長しにくく良好といえる。例えば、参考例1の指数は以下の式で求められる。
(屈曲疲労性指数)=(参考例1の屈曲変形の繰り返し回数)/(比較例1の屈曲変形の繰り返し回数)×100
<静的空気圧低下率試験>
上述の方法で製造した195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。
<平均厚さの測定>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤを周方向に8等分し、それぞれの箇所で、幅20mmでタイヤ径方向に沿って切断した8個のカットサンプルを作成し、この8個のカットサンプルについて、それぞれのバットレス領域Rsとビード領域Rbにおいて等間隔に5等分した5点についてインナーライナー層の厚さを測定した。それぞれ測定した合計40点の測定値の算術平均値をGs、Gbとした。
<耐クラック性>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、正規の空気圧を充填し、JATMA YEAR BOOKで空気圧−付加能力対応表より、この空気圧に対応する最大荷重を負荷し、速度80km/hでドラム上で走行し、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時点で走行を終了し走行距離を求めた。比較例1の走行距離を100とし指数で示す。指数が大きいほど、耐クラック性が優れている。
<性能評価結果>
<比較例1>
従来のインナーライナーの仕様であり、性能評価の基準としている。
<比較例2>
SIBS層をインナーライナーとして用いた例である。Gs/Gbの値は1である。剥離力が劣るが、静的空気低下率が改善されている。
<比較例3〜8>
SIBSに粘着付与剤の種類を変えて1部混合した例(比較例3〜5)、SIBSに粘着付与剤の種類を変えて100部混合した例(比較例6〜8)である。Gs/Gbの値は、いずれも1である。いずれも静的空気低下率が改善されている。
<比較例9,10>
比較例9はSIBSに粘着付与剤を0.05質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例であり、比較例10はSIBSに粘着付与剤を110質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は、いずれも0.75である。比較例9は静的空気低下率が改善されている。比較例10は、静的空気低下率が改善されているが耐クラック性が劣っている。
<比較例11>
SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は0.25である。比較例11は静的空気低下率が改善されているが耐クラック性が劣っている。
<実施例3、、参考例1〜4
実施例3、参考例1、2は、SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。実施例6、参考例3、4は、SIBSに粘着付与剤を100質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は、いずれも0.75である。実施例3、、参考例1〜4は、いずれも剥離力、屈曲疲労性、静的空気低下率および耐クラック性が総合的に改善されている。
参考例5〜7
参考例5〜7は、SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は参考例1が0.75と最も高く、参考例7は0.33と最も低い。参考例5〜7は、いずれも剥離力、屈曲疲労性、静的空気低下率および耐クラック性が総合的に改善されている。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほか、トラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、Rb ビード領域、Rs バットレス領域、Le タイヤ最大幅位置、Lt ビードトウ、Lu ベルト層端の対応位置。

Claims (2)

  1. タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤を0.1〜100質量部含む熱可塑性エラストマー組成物のポリマーシートで構成され、
    前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10〜30質量%であり、
    前記粘着付与剤は、軟化点が70℃〜130℃の範囲の水添ロジンエステルであり、
    前記インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsと、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)が、0.30〜0.75である空気入りタイヤ。
  2. 前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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