JP5687974B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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本発明において、タイヤ最大幅位置LeからビードトウLtに亘るビード領域Rbのインナーライナー9の平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置Leからベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsのインナーライナー9の平均厚さGsが薄くなるように形成されている。
本発明においてインナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)を少なくとも80質量%と、ゴム成分または熱可塑性エラストマーの20質量%以下の混合物より成る熱可塑性エラストマー組成物よりなる。
前記粘着付与剤は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましくは、1〜50質量部の範囲で配合される。粘着付与剤が0.1質量部未満の場合は、第2層との加硫接着力が十分でなく、一方、100質量部を超えると粘着性が高くなりすぎて、加工性、生産性を低下し、更にガスバリア性が低下することになる。
[C9石油樹脂]
C9石油樹脂とは、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC5〜C9留分(主としてC9留分)を混合状態のまま重合して得られた芳香族石油樹脂である。例えば、商品名として、アルコンP70、P90、P100、P125、P140、M90、M100、M115、M135(いずれも、荒川化学工業(株)社製、軟化点70〜145℃)、またアイマーブS100、S110、P100、P125、P140(いずれも出光石油化学(株)製、芳香族共重合系水添石油樹脂、軟化点100〜140℃、重量平均分子量700〜900、臭素価2.0〜6.0g/100g)、さらに、ペトコールXL(東ソー(株)製)がある。
C5石油樹脂とは、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレンやブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC4〜C5留分(主としてC5留分)を混合状態のまま重合して、得られた脂肪族石油樹脂である。商品名として、ハイレッツG100(三井石油化学(株)製、軟化点が100℃)、またマルカレッツT100AS(丸善石油(株)製、軟化点100℃)、さらにエスコレッツ1102(トーネックス(株)製、軟化点が110℃)がある。
商品名として、YSレジンPX800N、PX1000、PX1150、PX1250、PXN1150N、クリアロンP85、P105、P115、P125、P135、P150、M105、M115、K100(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点は75〜160℃)がある。
商品名として、YSレジンTO85、TO105、TO115、TO125(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。
商品名としてタマノル803L、901(荒川化学工業(株)製、軟化点120℃〜160℃)、またYSポリスターU115、U130、T80、T100、T115、T145、T160(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。
軟化点90℃のクマロン樹脂(神戸油化学工業(株)製)がある。
商品名として、15E(神戸油化学工業(株)製、流動点15℃)がある。
商品名として、エステルガムAAL、A、AAV、105、AT、H、HP、HD(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点68℃〜110℃)、またハリエスターTF、S、C、DS70L、DS90、DS130(いずれもハリマ化成(株)製、軟化点68℃〜138℃)がある。
商品名として、スーパーエステルA75、A100、A115、A125(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点70℃〜130℃)がある。
商品名として、タマノル510(荒川化学工業(株)製、軟化点75℃〜95℃)がある。
商品名として、エスコレッツ5300(トーネックス(株)製、軟化点105℃)がある。
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。前記インナーライナーを生タイヤの内側でカーカスプライと接するように配置して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。加硫された空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライのゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有する。
(注2)粘着付与剤AはC9石油樹脂、アルコンP140(荒川化学工業(株)社製、軟化点140℃、重量平均分子量Mw:900)を用いた。
(注3)粘着付与剤Bは、テルペン樹脂、YSレジンPX1250(ヤスハラケミカル(株)製、軟化点は125℃、重量平均分子量Mw:700)を用いた。
(注4)粘着付与剤Cは、水添ロジンエステル、スーパーエステルA125(荒川化学工業(株)製、軟化点125℃、重量平均分子量Mw:700)を用いた。
表1、表2に示す配合処方にしたがって、熱可塑性エラストマー組成物を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)にてインナーライナーを作製した。
空気入りタイヤは、図1に示す基本構造を有する195/65R15サイズのものに、上記インナーライナーに用いて生タイヤを製造し、次に加硫工程において、170℃で20分間プレス成型して製造した。加硫タイヤを100℃で3分間冷却した後、加硫タイヤを金型から取り出し空気入りタイヤを製造した。
天然ゴム(注6) 20質量部
フィラー(注7) 60質量部
(注5)IIRは、エクソンモービル(株)社製の「エクソンクロロブチル 1068」を用いた。
(注6)天然ゴムはTSR20を用いた。
(注7)フィラーは東海カーボン(株)社製の「シーストV」(N660、窒素吸着比表面積:27m2/g)を用いた。
実施例、比較例のインナーライナーに用いて空気入りタイヤを製造し以下の性能試験を行った。
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて試験片を作製した。熱可塑性エラストマーシートとゴムシートを貼りあわせ加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で剥離力を測定する。比較例1の剥離力を100として、相対値で指数評価した。指数が大きいほど剥離力は大きいことを示す。
JIS−K−6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、中央に溝のある所定の試験片を作製した。インナーライナーは、厚さ0.3mmシートをゴムに貼り付けて加硫し、所定の試験片を作製した。試験片の溝の中心にあらかじ
め切り込みを入れ、繰り返し屈曲変形を与え亀裂成長を測定する試験を行った。雰囲気温度23℃、歪30%、周期5Hzで、70万回、140万回、210万回時に亀裂長さを測定し、亀裂が1mm成長するのに要した屈曲変形の繰り返し回数を算出した。比較例1の値を基準(100)として、実施例および比較例のポリマー積層体の屈曲疲労性について指数表示した。数値が大きい方が、亀裂が成長しにくく良好といえる。例えば、参考例1の指数は以下の式で求められる。
<静的空気圧低下率試験>
上述の方法で製造した195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。
195/65R15スチールラジアルPCタイヤを周方向に8等分し、それぞれの箇所で、幅20mmでタイヤ径方向に沿って切断した8個のカットサンプルを作成し、この8個のカットサンプルについて、それぞれのバットレス領域Rsとビード領域Rbにおいて等間隔に5等分した5点についてインナーライナー層の厚さを測定した。それぞれ測定した合計40点の測定値の算術平均値をGs、Gbとした。
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、正規の空気圧を充填し、JATMA YEAR BOOKで空気圧−付加能力対応表より、この空気圧に対応する最大荷重を負荷し、速度80km/hでドラム上で走行し、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時点で走行を終了し走行距離を求めた。比較例1の走行距離を100とし指数で示す。指数が大きいほど、耐クラック性が優れている。
<比較例1>
従来のインナーライナーの仕様であり、性能評価の基準としている。
SIBS層をインナーライナーとして用いた例である。Gs/Gbの値は1である。剥離力が劣るが、静的空気低下率が改善されている。
SIBSに粘着付与剤の種類を変えて1部混合した例(比較例3〜5)、SIBSに粘着付与剤の種類を変えて100部混合した例(比較例6〜8)である。Gs/Gbの値は、いずれも1である。いずれも静的空気低下率が改善されている。
比較例9はSIBSに粘着付与剤を0.05質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例であり、比較例10はSIBSに粘着付与剤を110質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は、いずれも0.75である。比較例9は静的空気低下率が改善されている。比較例10は、静的空気低下率が改善されているが耐クラック性が劣っている。
SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は0.25である。比較例11は静的空気低下率が改善されているが耐クラック性が劣っている。
実施例3、参考例1、2は、SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。実施例6、参考例3、4は、SIBSに粘着付与剤を100質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は、いずれも0.75である。実施例3、6、参考例1〜4は、いずれも剥離力、屈曲疲労性、静的空気低下率および耐クラック性が総合的に改善されている。
参考例5〜7は、SIBSに粘着付与剤を1質量部混合した熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナーに用いた例である。Gs/Gbの値は参考例1が0.75と最も高く、参考例7は0.33と最も低い。参考例5〜7は、いずれも剥離力、屈曲疲労性、静的空気低下率および耐クラック性が総合的に改善されている。
Claims (2)
- タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤を0.1〜100質量部含む熱可塑性エラストマー組成物のポリマーシートで構成され、
前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10〜30質量%であり、
前記粘着付与剤は、軟化点が70℃〜130℃の範囲の水添ロジンエステルであり、
前記インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsと、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)が、0.30〜0.75である空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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