JP2012232338A - ダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置 - Google Patents

ダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁ポンプによる溶融金属の供給開始と供給停止の動作に合わせて溶融金属の供給と停止がより正確に行えると共に、併せて溶融金属の酸化防止も図ることが出来る溶融金属給湯装置を提供する。
【解決手段】溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20の下に接続して同射出スリーブの下から溶融金属を充填する。射出スリーブに給湯された溶融金属の液位を検知するレベル計19及び/又は射出スリーブに給湯される溶融金属の給湯源の液位を検知するレベル計13による液位の検知により、射出スリーブに充填される溶融金属の充填量を制御する。射出スリーブの上に溶融金属レベル計を配置し、射出スリーブの上から、同射出スリーブに給湯された溶融金属の液位を計測する。また、溶融金属の供給源である溶融金属槽11の中に、その中の溶融金属のレベルを計測するレベル計を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイキャスト金型に溶融アルミニウム等の溶融金属を充填するために使用されるダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置に関し、特にダイキャスト金型に溶融金属を送り出す射出スリーブに溶融金属電磁ポンプを使用して溶融金属を供給するダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置に関する。
ダイキャスト鋳造においては、固定金型に設けた射出スリーブに定量の溶融金属を給湯し、その後油圧により駆動されるプランジャの先端に設けたプランジャチップで射出スリーブ内に給湯した溶融金属を金型のキャビティ内に充填する。この動作を繰り返すことにより、鋳造サイクル毎にダイキャスト金型のキャビティに溶融金属を充填することが行われている。
図6は、このような溶融金属給湯装置を備えたダイキャスト鋳造装置の概略を示す。
台座51の上には、同台座51上に固定された固定盤52と、台座51の上を図6において左右にスライドする可動盤55とが設けられている。固定盤52には固定金型53が取り付けられ、可動盤55にはダイバー57を介して可動金型54が取り付けられている。図示してない油圧機構により前記可動盤55がスライドするのに伴い、前記可動金型54が図6の左右方向に往復し、固定金型53に接触−離間する。可動金型54が固定金型53に接触した時に、可動金型54と固定金型53との間にキャビティ58が形成される。
固定金型53に射出スリーブ60が設けられている。この射出スリーブ60は、水平に配置され、その一端側は固定金型53の可動金型54側に開口し、可動金型54が固定金型53に接触したとき形成される前記キャビティ58にゲート65を介して通じている。他方、射出スリーブ60の他端側は固定盤52からその外側に突出し、その上部に溶融金属を投入し、充填するための溶融金属投入口64が開口している。この射出スリーブ60の中には、プランジャチップ62がスライド自在に配置され、このプランジャチップ62は、図示してない油圧シリンダにより駆動されるプランジャロッド63の先端に設けられている。
可動金型54は、図示してない油圧機構により可動盤55が台座51の上をスライドするのに伴い移動するが、この可動金型には、油圧シリンダ56により駆動される押し出しピン59が取り付けられている。後述する脱型時に、油圧シリンダ56により押し出しピン59の先端が可動金型54と固定金型53との間に形成されるキャビティ58内に押し込まれ、キャビティ58内の成形品が押し出される。
出される。
このダイキャスト鋳造装置では、図6に示すように、可動金型54が固定金型53に接触し、可動金型54と固定金型53との間にキャビティ58が形成される。またラドル61により溶融金属投入口64から射出スリーブ60の中に溶融金属が投入される。その後、図7に示すように、図示してない油圧機構により、プランジャロッド63が延伸し、その先端のプランジャチップ62が図において左方向にスライドし、射出スリーブ60の中の溶融金属をゲート65を通してキャビティ58の中に押し出す。
この溶融金属の押し出しに際しては、まずプランジャチップ62が射出スリーブ60の溶融金属投入口64を通過し、なお且つ溶融金属が射出スリーブ60の中をキャビティ58側に押し出され、図7(A)に示すように、ゲート65を塞ぐまでの間、プランジャチップ62は20〜30cm/sの低速で押し出される。続いて、キャビティ58の中で溶融金属が固まらないように、プランジャチップ62の押し出し速度を一挙に桁上げして4〜5m/sと速くし、図7(B)に示すように、射出スリーブ60の中の溶融金属をゲート65からキャビティ58の中に充填する。キャビティ58に溶融金属が完全充?する一歩手前で、プランジャチップ62が減速し、キャビティ58の中の溶融金属を加圧することで、キャビティ58の中に充填された溶融金属に含まれる気泡が潰され、この気泡がキャビティ58の成形品の中に非常に小さい空洞として残る。この空洞は巣と呼ばれている。ダイカスト鋳造の欠点は、鋳造サイクルタイムは、1分程度と非常に早いが、キャビティ58の中の流速が非常に早くて中子を破損するので中子を使う複雑な鋳造には向かず、更に巣が残るので靭性が必要な部品の製造には向かない。この巣だけを低減する為にキャビティ58の中を真空にして鋳造する技術も開発されている。
こうしてキャビティ58へ溶融金属が充填完了した後、溶融金属は可動金型54と可動金型53によって冷却され、キャビティ58の中で溶融金属が凝固してダイカスト鋳物が成型される。その後、図示してない油圧機構により可動金型54が移動して固定金型53から離れると共に、油圧シリンダ56により押し出しピン59の先端が可動金型54から固定金型53側に押し出され、ダイカスト鋳物が可動金型54から押し出されて脱型される。この間前記プランジャチップ62は、図6に示す原位置に復帰する。以下、これを繰り返すことにより、順次ダイカスト鋳物が鋳造される。
しかし、このような従来の溶融金属給湯装置では、次のような問題があった。第一に、図示してない坩堝から溶融金属をラドル61で汲み上げ、これを溶融金属投入口64から射出スリーブ60の中に充填するので、ラドル61で坩堝の表面から酸化物を汲み上げてしまう。またラドル61で溶融金属を搬送し、溶融金属投入口64に投入する間に溶融金属の表面が大気に触れて酸化する。更に、射出スリーブ60の溶融金属投入口64が開口しているため、この溶融金属投入口64から射出スリーブ60内の溶融金属に空気が入り込みやすく、鋳物に酸化物が混じりやすい。第二に、ラドル61で坩堝から溶融金属を汲み上げ、これを搬送して射出スリーブ60の溶融金属投入口64に投入する間に溶融金属の温度が低下しやすい。この温度低下を避けるため、坩堝の溶融金属の温度を高くすると、大気の水分が溶融金属に接触して分解し、その分解水素が溶融金属に入り、溶融金属が凝固して成形品になった鋳物に空洞、いわゆる巣が生じやすい。
このような問題に対し、例えば下記特許文献1のように、溶融金属を送り出す電磁ポンプを使用して射出スリーブ60に溶融金属を給湯することも提案されている。この特許文献1ではまた、射出スリーブに溶融金属を投入する部分にアルゴン等の不活性ガスを注入し、溶融金属が大気中の酸素と接触し、反応して酸化することを防止する手段が提案されている。このように、電磁ポンプを使用して射出スリーブ60に溶融金属を供給すれば、前述のような問題の多くを解決することが出来る。
しかし、アルゴンガスが射出スリーブに供給されて酸化物が減っても、溶融金属は粘性があるため、電磁ポンプを使用して射出スリーブ60に溶融金属を供給するとき、電磁ポンプを精密に制御しても、溶融金属の給湯時にノズルでの湯切りが一定せず、毎回正確な量の溶融金属を射出スリーブ60に充填することは困難である。特に、電磁ポンプで射出スリーブ60に投入する溶融金属を停止する時、溶融金属の慣性や粘性によって溶融金属の流れが直ぐ止まらない。これが溶融金属供給量を定量制御するための大きな問題となる。
特開2002−137051号公報 特開2000−126861号公報 特開平06−106330号公報
本発明は、前述した従来のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置における前述の課題に鑑み、電磁ポンプによる溶融金属の供給開始と供給停止の動作に合わせて溶融金属の供給と停止がより正確に行えると共に、併せて溶融金属の酸化防止も同時に図ることが出来るダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置を提供することを目的とする。
本発明では、前記の目的を達成するため、溶融金属電磁ポンプ10からダイキャストマシン21の射出スリーブ20の下から溶融金属を給湯するに当たり、溶融金属槽11の蓋に取り付けられた溶融金属12の液面センサー13による液位と給湯側ダクト1’にある溶融金属検知器29までの保持湯面高さから溶融金属電磁ポンプ10の出力特性が常に把握出来、その出力特性から射出スリーブ20内の所定の給湯位置に必要な出力で給湯制御する制御機構を備えつつ、更に溶融金属電磁ポンプ10により射出スリーブ20の下からその中に溶融金属を給湯し、この射出スリーブ20の上からその中への溶融金属の給湯量を検知しならが制御するようにした。
すなわち、本発明によるダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置は、溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20の下に接続し、同射出スリーブ20の下から溶融金属を充填する。そして、射出スリーブ20に給湯された溶融金属の液位を検知するレベル計19及び/又は溶融金属の給湯源の液位を検知するレベル計13での溶融金属液位の検知により、射出スリーブ20に充填される溶融金属の充填量を制御する。射出スリーブ20の上に溶融金属レベル計19を配置し、射出スリーブ20の上から同射出スリーブ20に給湯された溶融金属の液位を計測する。具体的には、溶融金属レベル計19を射出スリーブ20の上であって、前記溶融金属電磁ポンプ10の射出スリーブ20が接続された溶融金属給湯口と対向して設ける。また、溶融金属の供給源である溶融金属槽11の中に、その中の溶融金属のレベルを計測するレベル計13を設ける。
射出スリーブ20の上に溶融金属が給湯される射出スリーブ20内に不活性ガスを吹き込むガス配管27を設けている。
さらに、溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20に緩衝継手28を介して接続している。
このような構成を有するダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置では、溶融金属電磁ポンプ10により射出スリーブ20の下から溶融金属を給湯するため、溶融金属の給湯に伴う射出スリーブ20内の溶融金属の液面の乱れが起こらない。そして、射出スリーブ20の上に配置した溶融金属レベル計19により、射出スリーブ20に給湯された溶融金属の上からその液位を検知するため、射出スリーブ20内の溶融金属の給湯量を正確に検知することが出来る。これにより、射出スリーブ20内の溶融金属の給湯量を正確に制御することが出来る。
溶融金属レベル計19を溶融金属電磁ポンプ10の射出スリーブ20が接続された溶融金属給湯口と対向して設けると、溶融金属電磁ポンプ10により射出スリーブ20に既に充填された溶融金属の液面だけでなく、その給湯過程の段階において、溶融金属給湯口に向けて給湯側ダクト1’や緩衝継手28の中を押し上げられて来る給湯途中の溶融金属の液面をも検知することが出来るので、溶融金属の液面を早い段階から広い範囲で検知することが出来る。
射出スリーブ20の上にガス配管27を設け、このガス配管27から溶融金属が給湯される射出スリーブ20内に不活性ガスを吹き込むため、射出スリーブ20の中に充填された溶融金属の液面上が不活性ガス雰囲気に維持される。よって、射出スリーブ20の中に給湯された溶融金属の液面が酸化せず、酸化膜を含まない溶融金属を金型のキャビティ31に充填することが出来る。
さらに、溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20に緩衝継手28を介して接続しているため、射出スリーブ20に溶融金属電磁ポンプ10側の振動が伝わり難く、射出スリーブ20内に給湯した溶融金属の液面の乱れが起こり難い。この点でも前記溶融金属レベル計19により射出スリーブ20内に充填した溶融金属の給湯量の検知を正確に行うことが出来るので、溶融金属の給湯量の正確な制御が可能となる。
以上説明した通り、本発明によるダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置では、射出スリーブ20内に給湯した溶融金属の給湯量の正確な検知が可能なので、射出スリーブ20内に溶融金属を正確に給湯することが出来、正確な量の溶融金属を金型のキャビティ31に充填することが出来る。
ダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置の一実施例を示す断面図である。 ダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置の一実施例を示す別方向からの断面図である。 ダイキャストスリーブへの溶融金属装置給湯の一実施例を示すプランジャチップが図2の位置から移動した状態の断面図である。 ダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置に使用される緩衝継手の例を示す正面図である。 図4のA方向の半断面図である。 ダイキャストマシンの従来例を示す断面図である。 ダイキャストマシンの従来例の動作を示す断面図である。 ダイキャストスリーブへの溶融金属の給湯量制御の時間−流量の関係例を示すグラフである。
本発明では、溶融金属電磁ポンプ10を使用してダイキャストマシン21の射出スリーブ20の下からその中に溶融金属を給湯すると共に、溶融金属レベル計で射出スリーブ20の上からその中に給湯された溶融金属の給湯量を検知しながら、その給湯量を制御することにより、その目的を達成する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明によるダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置の一実施例である。
このダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置は、溶融金属電磁ポンプを使用してダイキャストマシン21の射出スリーブ20に溶融金属を給湯する。図2と図3に示されたように、ダイキャストマシン21は、固定盤36に取り付けられた固定型37と、図示してない可動盤に取り付けられ、前記固定型37に接触−離間する可動型38とからなる金型を有する。図2と図3に示されたように、可動型38が固定型37に接触したとき、それらの間に鋳物を成型する空間となるキャビティ31が形成される。
射出スリーブ20は、水平な円筒シリンダ状の部材である。図2と図3に示されたように、この射出スリーブ20には、図示してない油圧シリンダにより駆動されるプランジャ33の先端に設けられたプランジャチップ34がスライド自在に挿入されている。またこの射出スリーブ20には、上方に開口した溶融金属の投入口が設けられる。プランジャ33によりプランジャチップ34が図2から図3に示すように図において左方向に押し出されることにより、前記投入口から射出スリーブ20に給湯された溶融金属がゲート32を通って前記キャビティ32に充填される。
図1〜図3に示すように、前記射出スリーブ20に溶融金属を供給するための溶融金属電磁ポンプ10は、誘導子を有し、この電磁作用により溶融金属槽11に収納された溶融金属12を前記射出スリーブ20に供給する。図1〜図3に示した例では、溶融金属電磁ポンプは、上側の給湯誘導子14と、下側の立上誘導子24との2段の誘導子を有する。
ポンプ側ダクト1がほぼ垂直に配置され、溶融金属槽11に収納された溶融金属12に前記ポンプ側ダクト1の下端が差し込まれている。ポンプ側ダクト1の溶融金属12の液面より上にある部分の周囲には、磁性体製のヨーク15にコイル16を巻回した上側の給湯誘導子14が配置されている。ヨーク15は、ポンプ側ダクト1の溶融金属12の液面より上にある部分を囲むようにその外周側に嵌め込まれており、このヨーク15に三相コイルを構成するコイル16が巻回されている。この給湯誘導子14には、冷却器23が設けられ、駆動時に冷却される。
さらに前記ポンプ側ダクト1には、前記給湯誘導子14より下側の部分の周囲に立上誘導子24が配置されている。この立上誘導子24は、前記の給湯誘導子14と同様に、前記ポンプ側ダクト1の誘導子14より下側の部分の外周に嵌め込まれた磁性体製のヨーク25にコイル26を巻回したものである。この立上誘導子24のコイル26は耐熱性を有する無機絶縁ケーブルにより巻回されている。無機絶縁ケーブルは、ステンレスチューブ等からなるシースの中に導電線を収納し、この導電線とシースとの間にマグネシア粉末等の無機絶縁粉末を充填して絶縁した構造を有する。いわゆるシースケーブルと呼ばれる。このような無機絶縁ケーブルは、耐熱性が高く、800℃の温度にも耐えることが出来る。このため立上用誘導子24は、冷却手段を有しない無冷却としながら、大きな電流を通電するのに適しており、その分だけ給湯誘導子14のコイル16に比べて立上誘導子24のコイル26の巻数は少なくすることが出来る。
この立上誘導子24は、耐熱性を有するセラミック等からなる筒状の保護ケース17で囲まれている。この保護ケース17の上端開口部は、上側の給湯誘導子14の下端面に固定されている。また、この保護ケース17の下端の開口部は、前記ポンプ側ダクト1の下端と密に接合されており、この接合部に囲まれた内側は、ポンプ側ダクト1の下端の溶融金属12の導入口18となっている。
前記ポンプ側ダクト1の上端には、ほぼ垂直な給湯側ダクト1’がフランジ継手等の継手5、5’を介して密に接続されている。前記保護管3の給湯側ダクト1’に近い一端部の周囲にフランジ6が延設され、このフランジ6の外周に近い部分が前記ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’とを接続する前記の継手5、5’の間に挟持されている。これにより、保護管3の中のコア2、22がポンプ側ダクト1の中心に位置するよう保持されている。フランジ6には、溶融金属12の通路となる複数の円弧状の通過孔7が設けられている。給湯側ダクト1’は、図示してないバネ等により手前のポンプ側ダクト1に弾力的に押しつけられている。この状態で継手5、5’の間に挿入された耐熱性のガスケットにより継手5、5’の部分のシール性が確保されている。
これらポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、その外周に設けた保温用のマイクロヒータ等からなるヒータ9により溶融金属12の融点以上の温度に加熱され、溶融金属12の凝固を防ぐ。
溶融金属槽11の中の溶融金属12に液面センサー等のレベル計13が設けられ、これにより溶融金属槽11の中の溶融金属12の液位が計測される。前記立上誘導子24は、このレベル計13で計測される溶融金属12の液面より下に挿入される。図1に示したレベル計13は、溶融金属槽11の中の溶融金属12に浸漬してそのレベルを計測する浸漬型レベル計であるが、溶融金属12に非接触でそのレベルを計測する、例えばレーザ方式の光電型レベル計を使用することも出来る。
前記射出スリーブ20の下部に溶融金属給湯口が開設されており、給湯側ダクト1’の先端は緩衝継手28を介してこの射出スリーブ20の下部の溶融金属給湯口に連結されている。射出スリーブ20と緩衝継手28との間には、緩衝シールパッキン35が挿入され、射出スリーブ20と緩衝継手28との緩衝性及び気密性が保持されている。溶融金属ポンプ10は、溶融金属槽11の蓋に立設された支柱40で支持されて吊り下げられている。そしてこの支柱40に装着されたバネ41の弾力が上方に向けて付勢され、この弾力により、前記給湯側ダクト1’の上端が緩衝継手28と緩衝シールパッキン35を介して射出スリーブ20の下部の溶融金属充填口に押し当てられている。
給湯側ダクト1’の緩衝継手28に接続される上端部分には、同給湯側ダクト1’内の溶融金属の存在を検知するための溶融金属検知器29が設けられている。溶融金属検知器29は給湯側ダクト1’内の湯面を検知するので、誘導型のもので良い。他方、射出スリーブ20の上には、溶融金属レベル計19が設けられ、これにより射出スリーブ20の中の溶融金属の液面の高さが検知される。この溶融金属レベル計19は、射出スリーブ20の上であって、前記溶融金属電磁ポンプ10が接続された溶融金属給湯口と対向して立設したパイプの上端に設けられている。溶融金属レベル計19は、測定距離が長く取れるレーザー式が良いが、射出スリーブ20内の湯面のさざ波に対応する為、ファイバー数が多く光の授受の多い物が良い。またパイプにはアルゴン等の不活性ガスを噴出するガス配管27も接続されている。このガス配管27には、アルゴン等の不活性ガスを貯えた図示してないガスボンベがやはり図示してないインジェクタを介して接続されている。このガス配管27からは、射出スリーブ20内のプランジャチップ34のスライドに協働して射出スリーブ20内に不活性ガスが吹き込まれる。
図4と図5は、前記の緩衝継手28を示している。この緩衝継手28は、同一内外径のリング状のパッキン材37を円筒形となるように複数個積み重ね、さらにその外側により大きな内外径のパッキン材37を円筒形となるように複数個積み重ね、溶融金属の流路となる筒状のパッキン部を形成している。或いは長尺なパッキン材37をらせん状に密巻きコイル状とし、溶融金属の流路となる筒状のパッキン部を形成しても良い。何れの場合も隣接するパッキン材37は相互に密に積み重ねて筒状のパッキン部を形成し、これを溶融金属の流路とする。
例えば、同一内外径のリング状のパッキン材37を円筒形となるように複数個積み重ね、さらにその外側により大きな内外径のパッキン材37を円筒形となるように複数個積み重ね、溶融金属の流路となる筒状のパッキン部を形成する。或いは金属線を芯材52として用い、この芯材52に黒鉛51を被覆したパッキン材37をらせん状に密巻きコイル状とし、溶融金属の流路となる筒状のパッキン部を形成しても良い。何れの場合も隣接するパッキン材37は相互に密に積み重ねて筒状のパッキン部を形成し、これを溶融金属の流路とする。
芯材52としては、例えば耐熱性、耐蝕性、耐酸化性、耐クリープ性などの高温特性に優れたニッケルをベースとし、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等の合金(商品名「インコネル」)の線材で高温でもバネ性を失わない物が好適である。これに黒鉛51を被覆し、前述のリング状或いは密巻きコイル状のパッキン材37とする。
図5に示されたように、このパッキン材37からなるパッキン部を両側から耐熱性を有するセラミックからなる一対の配管接続用のフランジ36、36で挟持する。このフランジ36、36は、窒化珪素等の耐熱性及び溶融アルミニウムに対して耐蝕性のあるセラミックで作られている。
前記パッキン材37の外側にステンレス等の薄い金属板からなるベローズ40を被せ、このベローズ40の両端をフランジ押え金具39、39と共に前記フランジ36、36を挟むベローズ押え金具38、38でフランジ36、36に固定している。このベローズ40にマイクロヒータ等を組み込み、ベローズ40の内部のパッキン材37を保温することにより、パッキン部の内側を通る溶融金属の凝固を防止する。
射出スリーブ20では、図2に示したプランジャチップ34の摺動に伴い、溶融金属をダイキャストマシン21のキャビティ31に毎回定量ずつ射出する度に振動又は変位し、この振動や変位が給湯側ダクト1’や溶融金属ノズル30に及ぶ。このとき、前記緩衝継手28では、パッキン材37が積み重ねられているため、パッキン材37が相互に摺動して振動や変位を吸収し、その前後の給湯側ダクト1’や溶融金属ノズル30に及ぼす振動や変位を小さくする。これにより、前記射出スリーブ20内でプランジャチップ34が摺動しても、継手部分における溶融金属の漏れ等を未然に防止することが出来る。
このようなダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置では、図2に示すように、プランジャチップ34が溶融金属電磁ポンプ10と射出スリーブ20との接続部分である溶融金属給湯口より右にあるとき、まず立上誘導子24を駆動し、溶融金属槽11の溶融金属12をポンプ側ダクト1に汲み上げ、ポンプ側ダクト1の中の溶融金属を給湯誘導子14の電磁力が作用するレベルまで汲み上げる。その後給湯誘導子14の出力をさらに大きくしながら、立上誘導子24の出力の出力を一定量ずつ減少させ零まで下げて、給湯誘導子14の出力だけでポンプ側ダクト1の溶融金属12のレベルを前述の溶融金属検知器29の所で維持するようにする。このレベルは、給湯側ダクト1’を通して溶融金属を射出スリーブ20に充填する直前の状態、すなわち給湯待機状態である。
この給湯待機状態から給湯誘導子14の出力をさらに大きくするとポンプ側ダクト1の中の溶融金属が押し上げられ、溶融金属12が給湯側ダクト1’の中を上昇し、射出スリーブ20の中に給湯される。この溶融金属電磁ポンプ10から射出スリーブ20の中に給湯される溶融金属の上昇は、前記給湯側ダクト1’の端部分に対向して設けられた射出スリーブ20の上の溶融金属レベル計19により検知される。射出スリーブ20の中へ給湯湯面レベルは、ダイカスト鋳造品によっても違うが、一般的なダイカストスリーブへの給湯量同じように、溶融金属レベル計19により検知しながら射出スリーブ20の径の半分程度にする。
このとき、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液面は、溶融金属の流動により波立っているため、その凹凸が大きい場合があり、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液位を正確に計測しにくいことがある。このようにときは、例えば図8に示すように、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の流量を最初は大とするが、射出スリーブ20内に溶融金属を或る程度充填した後は、溶融金属の充填流量を小さくする。ダイカストスリーブへの給湯量は、溶融金属レベル計19により検知しながら射出スリーブ20の径の半分程度にする事から、この最大流量時の流速は、射出スリーブ20の内径の半分の高さ以上に噴き上がらない流速が制御上望ましい。一般に、スリーブの内径はφ200以下であり、100mm吹き上がる流速は、1.4m/sなので、最大流量時の流速は、1.4m/s以下にすべきである。こうすることにより、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液面の波立ちを抑え、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液位を正確に計測出来るようにする操作も必要である。
またこのとき、ガス配管27から射出スリーブ20の中に不活性ガスを吹き込み、同射出スリーブ20の中を不活性ガス雰囲気とする。同時に、溶融金属レベル計19により射出スリーブ20の中に給湯された溶融金属の液面の高さが検知される。この検知された射出スリーブ20の中に給湯された溶融金属の液面の高さにより射出スリーブ20内に給湯される溶融金属の量を把握し、溶融金属電磁ポンプ10の出力を制御する。これにより、射出スリーブ20内に正確に所定量の溶融金属が給湯される。
次に、前記溶融金属レベル計19により検知される射出スリーブ20内の溶融金属の液面の高さが所定の高さになったところで、溶融金属電磁ポンプ10により溶融金属の押し上げを停止する。その後、プランジャチップ34が図2の位置から同図において左方向に移動を開始し、プランジャチップ34が溶融金属電磁ポンプ10と射出スリーブ20との接続部分である溶融金属給湯口を通過する直前に給湯誘導子14の電磁力を瞬時に下げて、給湯側ダクト1’内の湯面を溶融金属検知器29の所で維持させながら、射出スリーブ20内に給湯された溶融金属をキャビティ31への充填を開始する。そして、プランジャチップ34が図3に示すように溶融金属給湯口の上の位置を通過し、ゲート32が溶融金属で塞がれた時点で、一挙にプランジャチップ34の速度を一挙に上げる。すでに給湯誘導子14の電磁力を瞬時に下げて、給湯側ダクト1’内の保持湯面出力にしているので、プランジャチップ34が溶融金属給湯口通過中にガスノズル27から不活性ガスが給湯されて、給湯側ダクト1’内に湯面が保持されている。よってプランジャチップ34が溶融金属給湯口通過後も射出スリーブ20から湯が溢れ出すことはない。
続いて図3に示すプランジャチップ34が同図においてさらに左方向へ移動し、射出スリーブ20に供給された溶融金属を、ゲート32を通してダイキャストマシン21の金型のキャビティ31に充填する。この時のプランジャチップ34の動作は、前述した従来のものと同じである。その後、鋳物の成型が行われると共に、プランジャチップ34が図2の位置に復帰する。
以下、これを繰り返しながら、溶融金属のキャビティ31への充填による鋳造が行われる。
前述した実施形態では、溶融金属電磁ポンプ10が接続された溶融金属給湯口と対向して射出スリーブ20の上に設けられた溶融金属レベル計19により射出スリーブ20内に充填された溶融金属のレベルを計測することで、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の流量制御を行っている。しかし、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液面は、溶融金属の流動により波立っているため、その凹凸が大きい場合がある。このような場合は、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の液位を正確に計測出来ない場合がある。
そこで、前述した溶融金属槽11の溶融金属12の液面を計測する溶融金属レベル計13を使用して射出スリーブ20内に充填される溶融金属の流量制御を行うことも出来る。例えば、溶融金属電磁ポンプ10の浸漬面積等を除いて溶融金属槽11の溶融金属12の実質液面平面積Aとした場合に、射出スリーブ20内へ溶融金属を充填したことによる溶融金属槽11の溶融金属12の液面低下xとすると、溶融金属槽11の中の溶融金属12はAxだけ容積が減少したことになる。従って、この液面低下xを計測することにより、射出スリーブ20内に充填される溶融金属の流量を把握することが出来る。この結果から射出スリーブ20内に充填される溶融金属の流量制御が可能である。
この溶融金属槽11側の溶融金属レベル計13を使用した流量制御は、前述した射出スリーブ20の上に設けられた溶融金属レベル計19による流量制御と併用することも出来る。
本発明によるは、ダイキャストスリーブへの溶融金属充填装置は、ダイキャストマシンの射出スリーブに溶融アルミニウム等の溶融金属を充填するのに使用出来るので、比較的小形の鋳物を多量に生産出来るアルミダイキャスト鋳造等の分野で利用することが出来る。
10 溶融金属電磁ポンプ
11 溶融金属槽
12 溶融金属槽の中の溶融金属
13 溶融金属レベル計
19 溶融金属レベル計
20 射出スリーブ
21 ダイキャストマシン
27 ガス配管
28 緩衝継手
29 溶融金属検知器
31 キャビティ

Claims (6)

  1. ダイキャストマシン21のキャビティ31内に鋳造用の溶融金属を充填するための射出スリーブ20に溶融金属を充填するダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置において、溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20の下に接続して同射出スリーブ20の下から溶融金属を給湯すると共に、射出スリーブ20に給湯された溶融金属の液位を検知するレベル計19及び/又は溶融金属の給湯源の液位を検知するレベル計13で計測される溶融金属液位により、射出スリーブ20に充填される溶融金属の充填量を制御することを特徴とするダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
  2. 射出スリーブ20の上に溶融金属レベル計19を配置し、射出スリーブ20の上から同射出スリーブ20に給湯された溶融金属の液位を検知することを特徴とする請求項1に記載のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
  3. 溶融金属レベル計19は、射出スリーブ20の上であって、前記溶融金属電磁ポンプ10の射出スリーブ20が接続された溶融金属充填口と対向して設けていることを特徴とする請求項2に記載のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
  4. 溶融金属電磁ポンプ10の射出スリーブ20に接続された部分にその中の溶融金属を検知する溶融金属検知器29を設け、この溶融金属検知器29による溶融金属の検知と溶融金属槽11のレベル計13による湯面差により溶融金属電磁ポンプ10自身の出力特性が常に把握しつつ、射出スリーブ20内への溶融金属を給湯側ダクト1’内で給湯待機状態制御を行って射出スリーブ20内への溶融金属給湯と給湯出力を予め予想することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
  5. 射出スリーブ20の上に溶融金属が給湯される射出スリーブ20内に不活性ガスを吹き込むガス配管27を設けていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
  6. 溶融金属電磁ポンプ10をダイキャストマシン21の射出スリーブ20に緩衝継手28を介して接続していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のダイキャストスリーブへの溶融金属給湯装置。
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