JP3188815B2 - 高圧鋳造装置およびその給湯方法 - Google Patents

高圧鋳造装置およびその給湯方法

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JP3188815B2 JP25805394A JP25805394A JP3188815B2 JP 3188815 B2 JP3188815 B2 JP 3188815B2 JP 25805394 A JP25805394 A JP 25805394A JP 25805394 A JP25805394 A JP 25805394A JP 3188815 B2 JP3188815 B2 JP 3188815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽合金等の鋳造に用い
られる鋳造装置に関わり、特に複雑形状品の鋳造に好適
な高圧鋳造装置およびその給湯方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、精密な金型を高力で閉め
切り、その金型キャビティに溶湯を高圧力で押し込むダ
イカスト法では、複雑な形状の鋳造品を寸法精度良く量
産できることより、軽合金や樹脂部材等の製造に広く適
用されている。また、各種の鋳造装置が用いられてお
り、それら鋳造装置は、溶湯射出装置の種別によってホ
ットチャンバ方式とコールドチャンバ方式とに大別さ
れ、また、溶湯射出方向によって立形と横形とに類別さ
れているが、Al合金等の軽合金を鋳造する鋳造装置で
は通常、コールドチャンバ方式が採用されている。更に
近年では、形状の確保を主体として比較的高速で鋳造す
る一般的なダイカスト鋳造に対し、内部品質を確保する
ために、射出スリーブからの溶湯射出速度を低めて、金
型キャビテイでの溶湯圧力を高めて鋳造する方法を、一
般に高圧鋳造と称して区別している。一方、その射出ス
リーブへの給湯方法にも種々あるが、近年では、一連の
鋳造が連続的に効率良く行えることより、溶湯圧送手段
を有する給湯装置と射出スリーブとを給湯管を介して接
続し、その給湯装置から溶湯を直接的に射出スリーブに
給湯する方法が採用されるようになっている。この種の
鋳造装置の代表1例として、特開平3-238155号公報に開
示されている立形鋳造装置を〔図2〕に示す。
【0003】〔図2〕に示す従来の立形鋳造装置では、
金型(20)は移動金型(20a) と固定金型(20b) から構成さ
れると共に、その移動金型(20a) が、ここでは図示を省
略した金型保持機構によって、鋳造機本体(21)のボルス
タ(22)上に配置された固定金型(20b) に対して開放およ
び閉め切り可能とされている。また、金型(10)の下方の
ボルスタ(22)内には、先端部を固定金型(20b) に連結さ
れて該金型(20)のキャビティ(C) に連通する射出スリー
ブ(23)が配設されている。また、射出スリーブ(23)は、
ここでは図示を省略した下方のシリンダ機構によって昇
降させられるプランジヤチップ(23a) を内部に配すると
共に、後端寄りの側壁に給湯口(23b) を設けてなる。
【0004】また、鋳造機本体(21)の側方に配置された
給湯装置(25)は、溶解炉(27)と、該溶解炉(27)の保持室
(27a) と、給湯加圧室(26)と、この給湯加圧室(26)から
溶湯を送出する給湯管(24)とで構成されており、その給
湯管(24)が射出スリーブ(23)に接続されている。また、
給湯管本体(24a) は水平に配設され、その先端の立ち上
がり部(24b) が射出スリーブ(23)の給湯口(23b) に接続
されている。一方、溶解炉(27)の保持室(27a) は加圧式
で、溶湯面(L) の高さをセンシングしつつ内部の気圧を
昇降させて、給湯加圧室(26)への溶湯供給時の溶湯面
(L')の高さを調整する。また、給湯加圧室(26)は、底部
に設けた連通孔(26a) を介して保持室(27a) に連通する
と共に、その連通孔(26a) を栓(26b) で開閉する構成と
され、連通孔(26a) の閉栓後に、該給湯加圧室(26)内を
加圧することで、給湯管(24)を通して溶湯を射出スリー
ブ(23)に供給する。ここで、この給湯加圧室(26)内を大
気開放したときには、その内部の溶湯面(L')が、給湯管
(24)の立ち上がり部(24b) の任意の位置に一致するよう
に、保持室(27a) 内の気圧が制御される。また、給湯管
(24)は、射出スリーブ(23)に供給される溶湯が冷却しな
いように、保温材(29)で保温されると同時にヒータ(28)
が巻設されている。
【0005】この立形鋳造装置では、移動金型(20a) と
固定金型(20b) とを閉め切り、かつ射出スリーブ(23)の
プランジヤチップ(23a) を最下点に位置させた状態で、
給湯加圧室(26)の連通孔(26a) を閉栓し、溶湯面(L')高
さをセンシングしつつ内部の気圧を上げることで、給湯
管(24)を通して溶湯を射出スリーブ(23)内に所定量だけ
供給する。続いて、射出スリーブ(23)のプランジヤチッ
プ(23a) を上昇させて該射出スリーブ(23)内の溶湯を金
型(20)のキャビティ(C) に注入する。そして、プランジ
ヤチップ(23a) が上昇して給湯口(23b) を塞いだ時点
で、給湯加圧室(26)内を大気開放して、溶湯面(L')が給
湯管(24)の立ち上がり部(24b)の任意の位置に一致する
ように制御する。これにより溶湯面(L')が若干上がり同
時に立ち上がり部(24b) の溶湯面が下がって素早い湯切
れが行われる。続いて、給湯加圧室(26)の連通孔(26a)
を開栓し、同時に保持室(27a) 内の気圧を上昇させて、
消費された分の溶湯を給湯加圧室(26)に供給する。一
方、プランジヤチップ(23a) は、上昇して射出スリーブ
(23)内の溶湯を金型(20)のキャビティ(C) に注入し終わ
り、そのキャビティ(C) 内の溶湯が凝固して移動金型(2
0a) が開放されと、更に最上点まで上昇して鋳造品を固
定金型(20b)から引き離した後に最下点に下降復帰し、
1サイクルの鋳造が終了する。
【0006】なお、上記従来の立形鋳造装置(特開平3-
238155号)では、溶解炉(27)の溶湯温度を所定温度に保
持するために、その保持室(27a) 内の溶湯面(L) 上に輻
射加熱式のヒータ(27b) を配設しているが、近年では熱
効率の観点から内底部に配設した浸漬式のヒータにより
溶湯を直接的に加熱する方法が広く採用されている。
【0007】上記従来の立形鋳造装置のように、鋳造機
本体(21)の射出スリーブ(23)と給湯装置(25)とを給湯管
(24)で接続させた鋳造装置では、連続鋳造が効率良く行
うことができ、また、給湯装置(25)の給湯加圧室(26)の
圧力制御により、射出スリーブ(23)に送給した溶湯に対
する湯切時における給湯管(24)の立ち上がり部(24b)
(一般にマウスピースと称される)内の溶湯面高さを制
御する注湯方法では、射出スリーブ(23)への注湯に際す
る溶湯漏れを防止でき、また溶湯への空気の巻き込みも
低く抑えることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
に形状の確保を主体とする一般的なダイカスト鋳造で
は、射出スリーブからの金型キャビティへの溶湯射出速
度を高めて鋳造しており、通常 1.5〜2.5M/secの高速で
鋳造している。しかし、このような高速鋳造では、金型
キャビティでの溶湯流に乱流が生じ、空気の巻き込みを
回避することができなくなる。そのため、例えば、高い
信頼性を求められる航空機や高速車両用の軽合金部材な
どの鋳造では、その内部品質を確保するために、射出ス
リーブからの溶湯射出速度を低めて、金型キャビティで
の溶湯流を層流に形成すると共に、該金型キャビテイで
の溶湯圧力を高めて気泡等の巻き込みのない緻密な組織
に鋳造する高圧鋳造が採用される。
【0009】そして、例えばAl合金部材の高圧鋳造で
は、100mm 〜200mm/sec と一般的なダイカスト鋳造の場
合の1/10の低速で鋳造されるのであるが、それに伴って
1ショット当たりの鋳造時間も、例えばストロークを30
0mm とした場合、一般的なダイカスト鋳造では 0.2秒程
度であるのに対して 3.0秒程度となる。そのため、金型
キャビティでの溶湯の温度低下が大きくなって流動性が
低下し、十分な湯回りが得られなくなるだけでなく、金
型キャビティでの溶湯圧力を均等に高められなくなるの
で、高圧鋳造では、射出スリーブに給湯する溶湯の温度
を一般的なダイカスト鋳造の場合よりも高くする必要が
ある。特に複雑形状品では、十分な湯回りを得て所期の
高圧鋳造を達成するには、より高温な溶湯を給湯する必
要がある。すなわち、一般的なAl合金部材のダイカス
ト鋳造では、給湯装置での溶湯温度を 670℃程度に制御
することで鋳造する溶湯温度を 650℃程度にしていたの
に対して、複雑形状品の高圧鋳造では、鋳造する溶湯温
度を 750℃程度まで高める必要がある。
【0010】ここで、本発明者らは、前記従来の立形鋳
造装置と同様の構成の鋳造装置を用い、高温の溶湯が要
求される複雑形状品の鋳造の場合には、給湯装置での溶
湯温度を高めれば、それで要求が十分満足されると単純
に考えてきた。しかしながら、実際の複雑形状品の高圧
鋳造では、金型キャビティに注入する溶湯温度が低くな
って形状不良品が多発し、また、これを防ぐために、給
湯装置での溶湯温度をより高めると、溶湯の品質が悪化
する一方、保持室のヒータ寿命が低下して頻繁な交換を
要するという問題が発生した。そこで、この場合の給湯
管内の温度推移を計測して見たところ、給湯装置で温度
を高めた溶湯が、給湯管内に供給され、次のショットの
鋳造までの間、約50秒ほど滞留するが、この間に溶湯
は、該給湯管のヒータ能力が不足しているために、温度
降下を起こしてしまい、実際に射出スリーブに給湯され
る溶湯は、所望値よりも低い温度になっていることが判
明した。すなわち、この種の従来の鋳造装置では、給湯
管はできるだけ短くすると共に、保温材やヒータを配し
て内部を通る溶湯の温度低下を防ぐ方策は取られている
ものの、次のショットの鋳造までの間、つまり1サイク
ル間での滞留による溶湯の温度低下を防ぐに足る出力を
保有するものとはされていなく、そのままでは、給湯装
置での溶湯温度を高めて対応せざるを得ないが、その対
応策では、溶湯品質の悪化とヒータ寿命の低下と言う大
きな問題を回避することができず、更に、比較的大量の
溶湯を収容した給湯装置で溶湯温度を高めるには大きな
エネルギーを投入する必要があり、かつ熱効率に劣り、
結果として生産効率を低下させると言う問題も派生す
る。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解消す
べくなされたものであって、給湯装置での溶湯温度を比
較的低く抑えてなお、所望の高温溶湯を射出スリーブに
給湯して所期の高圧鋳造を行うことができ、よって給湯
装置での溶湯品質の悪化やヒータ寿命の低下を防止でき
ると共に、複雑形状品についても、良好な形状および内
部品質にて、安定かつ効率良く鋳造することのできる高
圧鋳造装置およびその給湯方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、金型キャビテ
イに連通させた鋳造機の射出スリーブと該鋳造機の外部
に配置された給湯装置とを、外周ないしは周壁内にヒー
タを周設した給湯管を介して接続し、その給湯管を通し
て給湯装置の溶湯を射出スリーブ内に給湯すると共に、
該射出スリーブのプランジャチップにて金型キャビテイ
に圧入させて鋳造する高圧鋳造装置において、以下の技
術的手段を講じたことを特徴とする。すなわち、請求項
1に記載の発明に係る高圧鋳造装置は、前記給湯管が、
周設したヒータを該給湯管内の溶湯を前記給湯装置での
溶湯温度よりも高い温度に加熱する高出力ヒータとし、
かつ内容積を前記射出スリーブから金型キャビテイに圧
入する1ショットの溶湯量以上の容積としてなることを
特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載の発明に係る高圧鋳
造装置は、前記給湯管が、周設したヒータを該給湯管内
の溶湯を前記給湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加
熱する高出力ヒータとし、かつ内容積を前記鋳造機の最
大単位鋳込容量以上の容積としてなることを特徴とす
る。
【0014】
【0015】また、請求項に記載の発明に係る高圧鋳
造装置の給湯方法は、前記給湯管内に前記射出スリーブ
から金型キャビテイに圧入する1ショットの溶湯量以上
の溶湯を収容させ、該給湯管内の溶湯を、前記ヒータに
て前記給湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加熱して
射出スリーブ内に給湯することを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1に記載の発明では、鋳造機の射出スリ
ーブと給湯装置とを接続する給湯管が、その外周ないし
は周壁内に周設したヒータを該給湯管内の溶湯を前記給
湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加熱する高出力ヒ
ータとし、かつその内容積を射出スリーブから金型キャ
ビテイに圧入する1ショットの溶湯量以上の容積として
いるので、射出スリーブによる次のショットの鋳造まで
の間に、次の1ショットに必要な量の溶湯を、給湯管内
に滞留させると共に該給湯管の高出力ヒータで加熱する
ことで、給湯装置での溶湯温度を比較的低く抑えてな
お、所望の高温溶湯を射出スリーブに給湯して、所期の
高圧鋳造を行うことができる。
【0017】請求項2に記載の発明では、鋳造機の射出
スリーブと給湯装置とを接続する給湯管が、その外周な
いしは周壁内に周設したヒータを該給湯管内の溶湯を前
記給湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加熱する高出
力ヒータとし、かつその内容積を当該鋳造機の最大単位
鋳込容量以上の容積としているので、射出スリーブによ
る次のショットの鋳造までの間に、次の1ショットに必
要十分な量の溶湯を、給湯管内に滞留させると共に該給
湯管の高出力ヒータで加熱することで、給湯装置での溶
湯温度を比較的低く抑えてなお、所望の高温溶湯を射出
スリーブに給湯して、所期の高圧鋳造を行うことができ
る。また、鋳造対象の部材の種別変更に対しても、当該
鋳造機の最大鋳込能力までの範囲内で容易に対応するこ
とができる。
【0018】
【0019】請求項に記載の発明では、給湯管内に射
出スリーブから金型キャビテイに圧入する1ショットの
溶湯量以上の溶湯を収容させ、その溶湯を、該給湯管の
ヒータにて給湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加熱
して射出スリーブ内に給湯するので、給湯装置での溶湯
温度を比較的低く抑えてなお、所望の高温であって、次
の1ショットに必要な量の溶湯を射出スリーブに給湯し
て、所期の高圧鋳造を行うことができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。〔図1〕は本発明の1実施例の立形高圧鋳造装置
の概要構成の説明図であって、 (a)図は主要部の構成配
置を示す正断面図、 (b)図は要部の横断面図である。
【0021】〔図1〕の (a)図において、(10)は金型で
あって、この金型(10)は、目的とする鋳造品の形状に対
応するキャビティ(C) を有する対の移動金型(10a) と固
定金型(10b) から構成されると共に、その移動金型(10
a) が、ここでは図示を省略した金型保持機構によっ
て、鋳造機本体(1) のボルスタ(2) 上に配置された固定
金型(10b) に対して開放および閉め切り可能とされてい
る。また、閉め切られた金型(10)のキャビティ(C) は、
移動金型(10a) と固定金型(10b) とのキス面に設けられ
た極小さな間隙ないしは脱気機構を介して大気に連通さ
れている。
【0022】また、金型(10)の下方のボルスタ(2) 内に
は、先端部を固定金型(10b) に連結されて、その金型(1
0)のキャビティ(C) に連通する射出スリーブ(3) が配設
されている。また、この射出スリーブ(3) は、ここでは
図示を省略した下方のシリンダ機構によって昇降させら
れるプランジヤチップ(3a)を内部に配すると共に、後端
寄りに給湯口(3b)を設けてなり、その給湯口(3b)が、鋳
造機本体(1) の側方に配置された給湯装置(5) に給湯管
(4) を介して接続されている。
【0023】また、給湯装置(5) は、内底部に複数の浸
漬ヒータ(7b)を配すると共に、上開口部をフロート(7a)
で塞いだ溶湯保持室(7) と、底部に設けた連通孔(6a)を
介して溶湯保持室(7) に連通すると共に、その連通孔(6
a)を開閉する溶湯栓(6b)を備える加圧出湯室(6) と、こ
の給湯加圧室(6) に接続された給湯管(4) とで構成され
ており、その給湯管(4) の先端が射出スリーブ(3) の給
湯口(3b)に着脱可能に接続されている。
【0024】また、給湯管(4) は、水平方向に配された
給湯管本体(4b)と、この給湯管本体(4b)の先端部に設け
られ、斜め上方の立ち上がり部を形成するマウスピース
(4a)とを有してなると共に、その内容積が、射出スリー
ブ(3) の最大ストロークでの内容積、つまり最大単位鋳
込容量より僅かに大きな容積となるように、内径および
長さが設定されている。更にまた、 (b)図に示すよう
に、それらの外周に断熱材(9) を巻設すると共に、その
断熱材(9) との間にヒータ(8) を配している。
【0025】ここで、この給湯管(4) のヒータ(8) は、
粉末冶金法による金属発熱体で、従来の鋳造装置の給湯
管に一般的に設けられている保温用のシース線式ヒータ
が、700℃前後を最高使用温度としていたのに対して、
その最高使用温度を1420℃とする高耐熱性の高出力ヒー
タである。また、このヒータ(8) は (b)図に示すよう
に、周方向に所定ピッチで配列されると共に、給湯管
(4) の長手方向では、給湯管本体(4b)で2ゾーン、マウ
スピース(4a)で1ゾーンの計3ゾーンに分割して設けら
れ、それぞれのゾーンが独立して入力制御するものとさ
れている。また、ここでは図示を省略したが、各ゾーン
に対応する給湯管(4) の 長手方向部位の壁内には、内
部の溶湯温度を計測するための熱電対が埋設されると共
に、それら熱電対がヒータ(8) の入力制御装置に接続さ
れており、各熱電対で計測した溶湯温度値に基づいて、
それぞれのゾーンのヒータ(8) に対する入力制御を行っ
て、給湯管(4) 内の溶湯(M) を所望の高温に加熱できる
ものとされている。
【0026】一方、給湯装置(5) の加圧出湯室(6) は、
密封断熱容器状に形成されると共に、その上部が、ここ
では図示を省略した送気管を介して加圧ガス供給源に接
続されており、その底部の連通孔(6a)を閉栓すると共
に、加圧ガス供給源から導入した加圧ガスによって内部
の溶湯面にガス圧をかけ、つまり内圧を高めることで、
所定量の溶湯(M) を、給湯管(4) を通して射出スリーブ
(3) に給湯できるものとされている。また、溶湯保持室
(7) は、フロート(7a)とのバランスにて、内部の溶湯
(M) の湯面高さを一定に保つ構成とされており、それに
よって、加圧出湯室(6) の加圧が解除されて連通孔(6a)
が開栓されたときに、該加圧出湯室(6) に送り込む溶湯
(M) の湯面高さを、給湯管(4) のマウスピース(4a)先端
開口の下端面よりも少し低い高さ位置、つまり射出スリ
ーブ(3) の給湯口(3b)下端面よりも少し低い高さ位置に
保てるようにされている。従って、加圧出湯室(6) の加
圧が解除されると共に、射出スリーブ(3) 内が大気開放
されると、給湯管(4) 内の溶湯(M) がマウスピース(4a)
の先端開口高さより低く引き戻されて、その射出スリー
ブ(3) に対する湯切れが自動的に行われるようになって
いる。
【0027】本実施例では、上記構成の立形高圧鋳造装
置によって、一連のAl合金部材の鋳造を連続的に行っ
た。ここで、本実施例でのAl合金部材は、内部品質の
要求が厳しい複雑形状品であって、所期の形状および内
部品質を得るためには、射出スリーブ(3) に給湯される
溶湯温度を 750℃程度とし、かつ、200mm/sec 以下の低
い溶湯射出速度で高圧鋳造するが必要とされるものであ
る。
【0028】このAl合金部材を鋳造するについて、ま
ず、給湯装置(5) の溶湯保持室(7)での溶湯温度を 700
℃に制御して保持させる一方、鋳造機本体(1) 側では、
移動金型(10a) と固定金型(10b) を閉め切り、かつ、射
出スリーブ(3) のプランジヤチップ(3a)を給湯口(3b)下
端と略同高さとなる基準位置に位置させておく。次い
で、給湯装置(5) の加圧出湯室(6) の連通孔(6a)を
し、 700℃に加熱された溶湯保持室(7) 内の溶湯(M)
を、加圧出湯室(6) を通して、給湯管(4) 内に流出させ
る。このとき、射出スリーブ(3) は金型(10)のキャビテ
ィ(C) を介して大気に連通されているので、給湯管(4)
内に流出した溶湯(M) は、この給湯管(4) のマウスピー
ス(4a)内で射出スリーブ(3) の給湯口(3b)下端面よりも
少し低い高さ位置で溶湯面を形成して、該給湯管(4) 内
に充満する。
【0029】そして、この状態から一連の鋳造を開始す
るのであるが、このとき給湯管(4)内に充満した溶湯(M)
の温度を、前記図示省略の熱電対で計測し、その計測
値に基づいて3ゾーンのヒータ(8) に対する入力を制御
することで、内部に充満した溶湯(M) を加熱して 750℃
まで昇温させ、続いて、加圧出湯室(6) の連通孔(6a)を
閉栓すると共に加圧ガスを導入して内圧を高め、この加
圧出湯室(6) から1ショット分の溶湯(M) を給湯管(4)
に圧送することで、該給湯管(4) 内で 750℃まで加熱し
た溶湯(M) を押し出して、射出スリーブ(3) 内に給湯す
る。
【0030】続いて、射出スリーブ(3) のプランジヤチ
ップ(3a)を上昇させて、該射出スリーブ(3) 内の溶湯
(M) を、200mm/sec 以下の低射出速度で、金型(10)のキ
ャビティ(C) に圧入する。またこのとき、上昇するプラ
ンジヤチップ(3a)が給湯口(3b)を塞いだ時点で加圧出湯
室(6) の加圧が解除され、これによりプランジヤチップ
(3a)が給湯口(3b)を越えて上昇して射出スリーブ(3) の
内下部が大気開放されると、給湯管(4) 内の溶湯(M) が
マウスピース(4a)の先端開口高さより低く引き戻され
て、射出スリーブ(3) に対する湯切れが自動的に行われ
る。また続いて、加圧出湯室(6) の連通孔(6a)が開栓さ
れ、消費した分の溶湯(M) が溶湯保持室(7)から給湯加
圧室(6) に供給される。一方、プランジヤチップ(3a)
は、続いて上昇して、射出スリーブ(3) 内の溶湯(M) を
金型(20)のキャビティ(C) に注入し終わり、その溶湯
(M) が冷却・凝固して移動金型(20a) が開放されると、
予め設定された上限まで、再び上昇して鋳造品を固定金
型(10b) から引き離し、しかる後に基準位置に下降復帰
して、1サイクルの鋳造が終了する。
【0031】ここで、上記1サイクル当たり所要時間は
約50秒となり、その間、給湯管(4)内に溶湯(M) が充満
して滞留することになるが、本実施例では、この時間帯
を利用して、該給湯管(4) 内に充満した溶湯(M) の温度
を、前記と同様に3ゾーンのヒータ(8) にて 750℃まで
加熱しておき、上記先行サイクルの終了と同時に、前記
と同様に加圧出湯室(6) から新たな溶湯(M) を給湯管
(4) に圧送することで、該給湯管(4) 内で 750℃まで加
熱した溶湯(M) を押し出して、射出スリーブ(3)内に給
湯し、前記と同様のショツトを行って次の1サイクルの
鋳造を終了させ、以上を繰り返すことで一連の高圧鋳造
を連続して行う。
【0032】以上のようにして射出スリーブに注湯し
て、複雑形状のAl合金部材を連続鋳造する本実施例で
は、給湯管の内容積を、当該鋳造機の最大単位鋳込容量
よりも多い量、つまり1ショットの溶湯量以上の溶湯を
収容する容積とし、1サイクルの鋳造所要時間に対応す
る給湯管内滞留時間を利用して、該給湯管内の溶湯を、
低い溶湯射出速度での高圧鋳造を安定して行える高温(7
50℃) に加熱するので、すなわち、従来では溶湯温度の
低下を防ぐための保温対策を主体とし、かつできるだけ
短く設けることが常識とされていた給湯管を比較的長く
設け、この給湯管で溶湯を積極的に加熱するので、給湯
装置での溶湯温度を一般的なダイキャス鋳造の場合と同
等温度(700℃) と比較的低く抑えても、所望の高温溶湯
を射出スリーブに給湯して所期の高圧鋳造を達成でき、
良好な形状および内部品質のAl合金部材を安定して得
ることができた。また、比較的大量の溶湯を収容した給
湯装置で温度を高めるに比べて、給湯管内では1ショッ
トに必要十分な量だけの溶湯を加熱すれば良いので、投
入エネルギーも格段に低減できて熱効率を向上させるこ
とができ、更に、給湯管内では溶湯面が先端マウスピー
ス内のみに形成され、給湯装置で形成される溶湯面の面
積に比較して非常に小さく、かつ高温での保持時間が1
サイクル相当時間と短いので、加熱温度の増大による溶
湯品質の悪化を極小さく抑えることができた。更にま
た、給湯装置での溶湯温度を高めることで生じる溶湯品
質の悪化や浸漬ヒータ寿命の低下を防止することがで
き、これらのことにより、生産効率を大幅に向上させる
ことができた。
【0033】なお、上記実施例では、立形の高圧鋳造装
置について述べたが、鋳造機本体の射出スリーブと給湯
装置とを接続する給湯管が本発明の要旨を逸脱するもの
でない限り、横形の高圧鋳造装置に適用されて同様な効
果が得られることは言うまでもない。また、上記実施例
では、Al合金部材の鋳造について述べたが、本発明
は、より高温な溶湯を要求される高圧鋳造であれば、M
g合金等の他の種の軽合金の鋳造に適用されて同様の効
果が得られることは言うまでもない。
【0034】また、上記実施例の高圧鋳造装置では、給
湯管の内容積を、当該鋳造機の最大単位鋳込容量よりも
僅かに大きな容積としたが、これは鋳造対象の部材の種
別変更に対し、その最大鋳込能力までの範囲内の全てに
即応できて、少量多品種の生産に好適であるからであっ
て、例えば、同じ部材を連続して多量に生産する場合に
は、その給湯管を1ショットの溶湯量より僅かに大きな
内容積を有するものとすることが、熱効率面で有利とな
るので推奨される。また、例えば、その給湯管を長さ方
向で分割組立可能なものとして、その一部を組み換える
ことで、鋳造対象部材に対する1ショットの溶湯量に対
応する内容積に変更できる構成さとされることも望まし
い実施態様である。また、その給湯管に設けるヒータ
も、内部に滞留した溶湯を効率良く所望の高温に制御加
熱できるものであれば、必ずしも上記実施例のように複
数ゾーンに分割して設けなくても良く、また、螺旋状に
巻設されても良いことは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る高圧
鋳造装置およびその給湯方法よれば、給湯装置での溶湯
温度を比較的低く抑えても、1ショットに必要十分な量
だけの溶湯を給湯管内で熱効率良く加熱し、所望の高温
溶湯を射出スリーブに給湯して所期の高圧鋳造を行うこ
とができ、よって消費エネルギーの低減が図れ、かつ給
湯装置での溶湯品質の悪化やヒータ寿命の低下を防止で
きると共に、複雑形状品についても、良好な形状および
内部品質にて、安定かつ効率良く鋳造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】〔図1〕は本発明の1実施例の立形高圧鋳造装
置の概要構成の説明図であって、 (a)図は主要部の構成
配置を示す正断面図、 (b)図は要部の横断面図である。
【図2】従来の立形鋳造装置の概要構成を示す正断面図
である。
【符号の説明】
(1) --鋳造機本体、(2) --ボルスタ、(3) --射出スリー
ブ、(3a)--プランジヤチップ、(3b)--給湯口、(4) --給
湯管、(4a)--マウスピース、(4b)--給湯管本体、(5) --
給湯装置、(6) --加圧出湯室、(6a)--連通孔、(6b)--溶
湯栓、(7) --溶湯保持室、(7a)--フロート、(7b)--浸漬
ヒータ、(8) --ヒータ、(9) --断熱材、(10)--金型、
(10a)--移動金型、 (10b)--固定金型、(c) --キャビテ
ィ、(M) --溶湯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津根 清志 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所 高砂製作所内 (56)参考文献 特開 平6−238416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/30 B22D 35/00 B22D 35/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型キャビテイに連通させた鋳造機の射
    出スリーブと該鋳造機の外部に配置された給湯装置と
    を、外周ないしは周壁内にヒータを周設した給湯管を介
    して接続し、その給湯管を通して給湯装置の溶湯を射出
    スリーブ内に給湯すると共に、該射出スリーブのプラン
    ジャチップにて金型キャビテイに圧入させて鋳造する高
    圧鋳造装置において、前記給湯管が、周設したヒータを
    該給湯管内の溶湯を前記給湯装置での溶湯温度よりも高
    い温度に加熱する高出力ヒータとし、かつ内容積を前記
    射出スリーブから金型キャビテイに圧入する1ショット
    の溶湯量以上の容積としてなることを特徴とする高圧鋳
    造装置。
  2. 【請求項2】 金型キャビテイに連通させた鋳造機の射
    出スリーブと該鋳造機の外部に配置された給湯装置と
    を、外周ないしは周壁内にヒータを周設した給湯管を介
    して接続し、その給湯管を通して給湯装置の溶湯を射出
    スリーブ内に給湯すると共に、該射出スリーブのプラン
    ジャチップにて金型キャビテイに圧入させて鋳造する高
    圧鋳造装置において、前記給湯管が、周設したヒータを
    該給湯管内の溶湯を前記給湯装置での溶湯温度よりも高
    い温度に加熱する高出力ヒータとし、かつ内容積を前記
    鋳造機の最大単位鋳込容量以上の容積としてなることを
    特徴とする高圧鋳造装置。
  3. 【請求項3】 金型キャビテイに連通させた鋳造機の射
    出スリーブと該鋳造機の外部に配置された給湯装置と
    を、外周ないしは周壁内にヒータを周設した給湯管を介
    して接続し、その給湯管を通して給湯装置の溶湯を射出
    スリーブ内に給湯すると共に、該射出スリーブのプラン
    ジャチップにて金型キャビテイに圧入させる高圧鋳造装
    置の給湯方法において、前記給湯管内に前記射出スリー
    ブから金型キャビテイに圧入する1ショットの溶湯量以
    上の溶湯を収容させ、該給湯管内の溶湯を、前記ヒータ
    にて前記給湯装置での溶湯温度よりも高い温度に加熱し
    て射出スリーブ内に給湯することを特徴とする高圧鋳造
    装置の給湯方法。
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