JPH0561026B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明はダイキヤスト等の鋳造装置に用いられ
る水冷式成形金型に関するものである。

(2) 従来の技術 従来鋳造品を成形すべき成形金型に冷却水孔を
設け、この冷却水孔に冷却水を循環させることに
より成形金型を水冷して成形金型の初期温度を高
温域に設定して溶湯の流れ性、充填性を向上させ
るとともに溶湯の冷却、凝固速度をはやめるよう
にしたものは既に公知である。

(3) 発明が解決しようとする問題点 ところがたとえば内燃機関のシリンダブロツク
の如き複雑な形状をしている物品を鋳造成形する
場合には、その鋳造品には厚肉部分と薄肉部分と
が共存しているので、かかる鋳造品を成形する成
形金型の冷却条件は、厚肉部分と薄肉部分の何れ
か一方に合わせるように設定しているが、その冷
却条件を薄肉部分を成形する側に設定すると、厚
肉部分を成形する成形金型はオーバヒート傾向と
なり、また逆に冷却条件を厚肉部分を成形する側
に設定すると、薄肉部分に対応する成形金型の型
温が必要以上に下降して溶湯の充填性が低下する
という問題がある。そこで従来では冷却水の流
量、冷却時間等をそれぞれ鋳造品の形状に合わせ
て制御して前記問題に対処するようにしている
が、前記制御が難しいばかりでなく高価な制御装
置が必要となるという別の問題がある。

本発明は上記に実情にかんがみてなされたもの
で、前記問題をすべて解消した水冷式成形金型を
提供することを目的とするものである。

Ｂ 発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明は、薄肉部分
と厚肉部分とを有する鋳造品を得るために組合わ
される複数の成形金型の少なくとも１つが、該キ
ヤビテイの成形面を有する成形ブロツクと、この
成形ブロツクの背面に一体に結合され給水通路及
び排水通路を有する給排水ブロツクとを備え、前
記成形ブロツクには、その背面に開口する複数の
冷却水孔を前記キヤビテイに対応して設け、前記
給排水ブロツクには、前記複数の冷却水孔の内周
面に空〓を存して先部を挿入した複数の冷却水パ
イプの基部を装着すると共に、該空〓を前記排水
通路に連通させ、それら冷却水パイプの基端を前
記給水通路に、またその先端を対応する冷却水孔
内にそれぞれ開口させ、前記給水通路の水が各冷
却水パイプ内部を経て各冷却水孔内に流入し、更
に前記空〓を経由して前記排水通路側に排出され
るようにした水冷式成形金型において、前記複数
の冷却水孔のうち鋳造品の薄肉部分に対応するも
のの内周面には中空の断熱管を、それと冷却水パ
イプ外周面との間に前記空〓を残して挿着したこ
とを特徴とする。

(2) 作用 前記構成によれば、成形金型内で、鋳造品の厚
肉部分に対応する成形金型部分を強冷却し、また
その薄肉部分に対応する成形金型部分を弱冷却す
ることができ、冷却水の流量、冷却時間等の制御
をせずとも成形金型全体を略均一に冷却すること
ができ、鋳造品質の一層の向上が図れる。

(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説
明する。

第１図において、組立成形金型Ｍは、下金型
Mb、左、右側金型Ms，Msおよび上金型Muより
構成されており、それらによつて鋳造品を成形す
るためのキヤビテイ１がおよび該キヤビテイ１に
通じる湯道２が画成される。そしてこのキヤビテ
イ１内には、通常のようにアルミ合金用等の溶湯
が加圧注湯され、これが冷却、凝固されて鋳造品
が得られる。

前記左、右側金型Ms，Msは、下金型Mbおよ
び上金型Muに対して左右に開閉自在な支持ブロ
ツク３の前面に固設されており、前面にキヤビテ
イ１の形成面を有する成形ブロツク４と、この成
形ブロツク４の背面に一体に固設される給排水ブ
ロツク５とより構成されている。前記左、右側金
型Ms，Msには、これを水冷却するための水冷装
置Ｃがそれぞれ設けられるが、それらはいずれも
同一の構造を有するので、以下に左側金型Msの
水冷装置Ｃについて説明する。

前記成形ブロツク４には、複数の冷却水孔６₁
〜６₄が上下に間隔を存して略水平に並設される。
冷却水孔６₁〜６₆は左側金型Msのキヤビテイ１
の形成面４ａ近くまで達してその先端が閉成さ
れ、またその基端が成形ブロツク３の背面に開口
している。

成形ブロツク３の背面に接合される給排水ブロ
ツク５には前記複数の冷却水孔６₁〜６₆と略直交
して略鉛直な給水通路７と排水通路８とが並設さ
れる。給、排水通路７，８の先端は給排水ブロツ
ク５の下端近くで行止まりになつており、またそ
の基端は、給排水ブロツク５の上面に開口してい
てそれぞれ給、排水導管９，１０に接続される。
給水導管９は図示しない給水ポンプに接続され、
また排水導管１０は図示しない水溜に連通され
る。給排水ブロツク５には、前記給、排水通路
７，８に略直交して、すなわち前記冷却水孔６₁
〜６₆に略平行に、該冷却水孔６₁〜６₆と同数の
冷却水パイプ１１₁〜１１₆の各基部外周が螺着さ
れ、それらの冷却水パイプ１１₁〜１１₆の先部は
それぞれ対応する前記冷却水孔６₁〜６₆の内周面
に環状の空〓ｓを介して挿入される。そしてその
各冷却水パイプはその先端が冷却水孔６₁〜６₆
に、またその基端が前記給水通路７にそれぞれ開
口している。而して第２図の矢印に示すように、
前記給水通路７の水は各冷却水パイプ１１₁〜１
１₆内部を経て各冷却水孔６₁〜６₆内に流入し、
更に前記空〓ｓを経由して排水通路８側に排出さ
れる。

前記複数の冷却水孔６₁〜６₆のうち鋳造品の薄
肉部分に対応する冷却水孔６₄〜６₆の内周面に
は、第２図に明瞭に示すように中空の断熱管１２
が密に挿着されており、その各断熱管１２の内周
面と、対応する冷却水パイプ１１₄〜１１₆外周面
との間には、前記空〓ｓが、該断熱管１２により
完全に塞がれることなく残される。この断熱管１
２……の両端部外周と、冷却水孔６₁〜６₆の内周
壁間はＯリング１３，１３によつてシールされ
る。断熱管１２……の先端は前記冷却水パイプ１
１₁〜１１₆の近くまで達しており、またその基端
は成形ブロツク４の背面と略面一である。

前記冷却水孔６₁〜６₆と排水通路８の連通部の
外周は、成形ブロツク４と給排水ブロツク５との
接合面間に介在されるＯリング１４によつてシー
ルされている。

なお、図中１５は、キヤビテイ１内に収容され
た側金型Ms，Msによつて支持される砂中子であ
る。

次に本発明の実施例の作用について説明する。

いま下金型Mb、左、右側金型Ms，Msおよび
上金型Muをセツトすれば、その内部にキヤビテ
イ１が画成され、該キヤビテイ１内に通常のよう
にアルミ合金溶湯等の溶湯を加圧注湯してシリン
ダブロツク等の鋳造品を鋳造成形することができ
る。

また図示しない給水ポンプより加圧冷却水を給
水導管９を通して給水通路７に圧送すれば、該冷
却水は給水通路７より複数の冷却水パイプ１１₁
〜１１₆に分配されて第２図矢印に示すように冷
却水パイプ１１₁〜１１₆の先端より冷却水孔６₁
〜６₆に流入し、Ｕターンしてそれらの内周壁に
沿つて流れ、排水通路８を通つて排出される。

ところで冷却水が冷却水孔６₁〜６₆を流れる間
に側成形金型Msは水冷却されるが、この場合鋳
造品の厚肉部分に対応する側成形金型Msの一部
分は冷却水孔６₁〜６₃を流れる冷たい冷却水によ
つて直接的に強冷されて鋳造品の厚肉部分に対応
するキヤビテイ１へ流れる流量の多い溶湯を能率
良く冷却することができ、一方鋳造品の薄肉部分
に対応する側成形金型Msの他部分は冷却水孔６₄
〜６₆を流れる冷却水により断熱管１２……を介
して間接的に弱冷されて鋳造品の薄肉部分に対応
するキヤビテイ１へ流れる流量の少ない溶湯を徐
冷することができ溶湯の流れ通路が狭くてもその
流れ性、充填性が高められる。

なお、断熱管１２の厚さ、長さ等は鋳造品の厚
さ、形状等を考慮して適宜に設定される。

以上の実施例では本発明装置を左、右側金型
Ms，Msに実施した場合を説明したが、下金型
Mb、上金型Muにも実施できることは勿論であ
る。

Ｃ 発明の効果 以上のように本発明によれば、複数の冷却水孔
のうち鋳造品の薄肉部分に対応するものの内周面
には中空の断熱管を、それと冷却水パイプ外周面
との間に空〓を残して挿着したので、その断熱管
の断熱作用により成形金型の、鋳造品薄肉部分に
対応した部分の冷却の程度を比較的弱くすること
ができ、従つて、鋳造品の肉厚変化が大きいよう
な場合でも、冷却水量や冷却時間の複雑面倒な制
御を行うことなく、上記断熱管を単に増設するだ
けで成形金型を全体的に均一に冷却することがで
きるから、コスト節減を図りつつ、肉厚変化の大
きい鋳造品の品質を大幅に向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は本発明水冷式成形金型を備えた組立成形金型の
一部の縦断面図、第２図は第１図の一部の拡大図
である。 ｓ……空〓、１……キヤビテイ、４……成形ブ
ロツク、５……給排水ブロツク、６₁〜６₆……冷
却水孔、７……給水通路、８……排水通路、１１
_１，１１₆……冷却水パイプ、１２……断熱管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 薄肉部分と厚肉部分とを有する鋳造品を得る
   ために組合わされる複数の成形金型Ms，Mu，
   Mbの少なくとも１つが、キヤビテイ１の成形面
   を有する成形ブロツク４と、この成形ブロツク４
   の背面に一体に結合され給水通路７及び排水通路
   ８を有する給排水ブロツク５とを備え、前記成形
   ブロツク４には、その背面に開口する複数の冷却
   水孔６₁〜６₆を前記キヤビテイ１に対応して設
   け、前記給排水ブロツク５には、前記複数の冷却
   水孔６₁〜６₆の内周面に空〓ｓを存して先部を挿
   入した複数の冷却水パイプ１１₁〜１１₆の基部を
   装着すると共に、該空〓ｓを前記排水通路８に連
   通させ、それら冷却水パイプ１１₁〜１１₆の基端
   を前記給水通路７に、またその先端を対応する冷
   却水孔６₁〜６₆内にそれぞれ開口させ、前記給水
   通路７の水が各冷却水パイプ１１₁〜１１₆内部を
   経て各冷却水孔６₁〜６₆内に流入し、更に前記空
   〓ｓを経由して前記排水通路８側に排出されるよ
   うにした水冷式成形金型において、前記複数の冷
   却水孔６₁〜６₆のうち鋳造品の薄肉部分に対応す
   るもの６₄〜６₆の内周面には中空の断熱管１２
   を、それと冷却水パイプ１１₄〜１１₆外周面との
   間に前記空〓ｓを残して挿着したことを特徴とす
   る、水冷式成形金型。