JP3078755B2 - 鋳造方法および鋳造用金型 - Google Patents

鋳造方法および鋳造用金型

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミ合金などを
重力鋳造法や低圧鋳造法等によって鋳造する場合に好適
な鋳造方法、およびそのような鋳造方法を実施するため
に使用する鋳造用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミ合金によってたとえばエンジンの
シリンダーを成形する場合、重力鋳造法や低圧鋳造法が
よく採用される。中空のシリンダーを鋳造成形するには
中子を使用する必要があるが、金型内に溶湯を高速・高
圧で注入する通常のダイカスト法などでは中子の安定保
持が難しいことなどから、上記の鋳造方法が用いられる
のである。しかし、溶湯の圧力があまり高くなく、また
凝固までに相当の時間がかかる上記のような鋳造方法を
とる場合、鋳造製品に引け巣を発生させないことと、生
産性を高めることとが重要になる。
【0003】引け巣の発生防止が重要であるのは、上記
のような鋳造方法による場合、製品となる部分のうち、
遅く凝固する箇所であって凝固収縮に対する溶湯の補給
が円滑に行われない箇所に、引け巣が生じやすいからで
ある。溶湯の補給のためには周知のように製品部分と一
体に押湯が設けられるが、押湯を設けたとしても製品の
形状や鋳造の条件などによっては引け巣の発生を皆無と
することができない。そのため従来は、溶湯の補給を円
滑化する目的で、押湯の凝固を遅らせる各種の手段がと
られている。たとえば、押湯の容積を表面積の割に大き
く定めて押湯の温度が下がりにくいようにしたり、押湯
の湯面に発熱材をふりかけたりする。なお、注入する溶
湯の温度(アルミ合金の場合は700℃前後)を高く設
定することにより押湯の凝固を遅らせることは、高温溶
湯中への固溶気体が増すため製品中に介在気泡が増える
など、好ましくない。
【0004】一方、生産性が重要視されるのは、重力鋳
造法や低圧鋳造法などでは、金型に溶湯を注入したのち
凝固が完了するまでに数秒以上の時間がかかるためであ
る。そこで、従来、製品部分をできるだけ短時間に凝固
させるべく金型を水冷構造にすることもよく行われてい
た。その一例は、実開昭55−49881号公報にも記
載されている。ただし、同公報の例を含め、従来の金型
は製品部分を全体的に冷却している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように各種の手
段を用いて押湯の凝固を遅らせても、やはり引け巣の発
生をゼロにはできない場合がある。すなわち、鋳造製品
の形状等によっては、その製品のうちで最も遅く凝固し
がちな箇所(製品の形状が一定ならその箇所は概ね一定
である)に引け巣が発生してしまう。しかも、そのよう
な引け巣にはガスや非金属介在物が付随することも多
い。また、上述のように金型を水冷しても、製品形状等
によってはやはり引け巣を皆無にすることは不可能であ
る。
【0006】押湯の凝固を遅らせる等の従来の手段によ
って製品の引け巣をゼロにすることができないのは、つ
ぎのような理由によると推定される。すなわち、製品の
うち凝固が遅くなる箇所は鋳造製品の形状によって定ま
るので、押湯の凝固を遅らせても、また金型を全体的に
冷却しても、その箇所を、溶湯が補給されやすい別の箇
所に移すことはできないからであろう。
【0007】本発明は、鋳造製品から引け巣の発生をな
くし、またはさらに鋳造製品の生産性を高めることを目
的とし、そのための鋳造方法および鋳造用金型を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の鋳造方
法は、鋳造の際、溶湯が金型内(少なくともキャビテ
ィ内)に充満するまでは押湯付近を部分的に(つまり、
他の部分を含めて全体的に、ではなく)加熱し、溶湯
の充満後に、その押湯付近の加熱を止めるとともに、
け巣の生じやすい箇所を部分的に(つまり金型全体では
なく)強制冷却することをまず特徴とする。
【0009】この鋳造方法では、上記のとおりはじめ
に押湯付近を加熱するため、押湯の凝固を遅らせること
ができ、押湯の流動性を高く保って製品部分にすぐれた
押湯効果(凝固収縮に対して溶湯を補給する効果)を及
ぼすことができる。したがって、押湯の大きさや注入時
の溶湯温度を適切に定めておけば、製品の凝固が終了す
るまで押湯効果を継続させることが可能である。
【0010】そして金型内に溶湯が充満したのちは、上
記のとおり引け巣の生じやすい箇所を部分的に強制冷
却し、当該箇所に引け巣ができるのを防止する。つま
り、普通なら遅く凝固して引け巣が生じやすい箇所をこ
の強制冷却によって早めに凝固させることにより、上記
による押湯効果とあいまって、そこに引け巣が生じる
のを防止するのである。これにより、その箇所とは別の
箇所で溶湯が最も遅く凝固することになるが、その箇所
が押湯効果を受けやすい部分であるなら、そこに新たな
引け巣が発生することは避けられるし、もしそこに新た
な引け巣が生じるようなら、その箇所もにしたがって
強制冷却すればよい。
【0011】引け巣が発生しやすい箇所は、前述したよ
うに遅く凝固するとともに押湯効果が及びにくい箇所で
あり、一定形状の製品においてその位置は概ね一定であ
ることから、そのような箇所を特定したうえで上記の
ようにその箇所を強制冷却すれば、引け巣の発生を効果
的に防止できることになる。その箇所の特定は、たとえ
ば試験的な鋳造を何回か行い、その鋳造製品を検査・分
析することによって可能になる。
【0012】請求項1のこの鋳造方法は、製品部分
(つまり製品を成形するキャビティの内部)の凝固が終
了する時期から、押湯首の付近をも部分的に強制冷却す
ることをさらに特徴とする。
【0013】このような鋳造方法では、前記のとおり
押湯の加熱を早期に中止するとともにのとおり製品の
凝固後に押湯首を冷却し早期凝固を図るので、製品を金
型から速やかに取り出すことができ、鋳造毎のサイクル
タイムを短縮し、鋳造製品の生産性を向上させることが
できる。
【0014】請求項2に記載した鋳造用金型は、a)押湯
付近を部分的に加熱する加熱手段を設けるとともに、b)
引け巣の発生しやすい箇所および押湯首の付近を部分的
に強制冷却する冷却手段を配置したことを特徴とする。
【0015】このような鋳造用金型では、鋳造の際、適
切なタイミングでa)の加熱手段を機能させるとともに、
そののち適切なタイミングでb)の冷却手段を機能させる
ことにより、上述の〜にしたがう鋳造方法を実現で
き、引け巣のない製品を能率的に生産することが可能に
なる。
【0016】請求項3の鋳造用金型は、上記b)の冷却手
段を、c-1)金型の外面に開口し冷却対象部分の近傍に内
奥端(最も奥にある穴の底面)をもつ(したがって非貫
通の)穴を形成するとともに、c-2)その穴の内面との間
に冷却用流体の通路となる隙間をもち先端開口が穴の内
奥端直前にまで達する内管と、その外側に嵌められてい
て内管の外面との間に冷却用流体の通路となる隙間をも
ち開口端が上記穴の開口に接続される外管とを有する二
重管を、上記の穴に取り付ける−ことによって構成した
ことを特徴とする。
【0017】c-1)およびc-2)のような冷却手段を有する
請求項3のこの金型では、冷却用流体の通路として、内
管の内側から、その先端開口および穴の内奥端がある部
分を折り返し点として、内管と穴の内面との間の隙間お
よび内管・外管間の隙間に通じる一連の通路が形成され
る。内管の内側から(または内管・外管間の隙間から)
送られた冷却用流体がこの一連の通路内を流れることに
より、金型内の冷却対象部分、すなわち前記b)にいう引
け巣の発生しやすい箇所および押湯首の付近が強制冷却
される。
【0018】上記の構成をもつ冷却手段には、作用上つ
ぎのような特徴がある。まず、金型に穴を設けて一本の
二重管を取り付けるだけであるにもかかわらず、冷却用
流体のための往路および復路を含む一連の通路が内部に
含まれるため、構成がコンパクトであるうえ取り扱いが
容易である。また、内管の先にある先端開口が穴の内奥
端直前にまで達するため、往き(つまり金型内に向かう
側)の流体と戻り(金型を出る側)の流体とが穴の内奥
端に至るまで内管で仕切られることにより澱みのない流
れを形成し、穴の内面の全域において高い熱伝達特性を
発揮する。しかも、上記のような通路において冷却用流
体は穴の内奥端に対して噴流状に衝突するため、いわゆ
る噴流熱伝達によってその内奥端(つまり冷却対象部分
の近傍)をとくに強く、効果的に冷却する。
【0019】請求項4の鋳造用金型は、冷却手段が、液
体窒素、エア(圧縮空気)または水のうちから冷却用流
体(冷却媒体)を選択して使用することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜図4に発明の実施について
一形態を示す。図1は、自動二輪車用エンジンにおける
アルミ合金製シリンダーを重力鋳造法により成形するた
めの金型1につき、要部を示す側面図である。図2およ
び図3のそれぞれは、図1におけるII−II面およびIII
−III面での断面図である。また、図4は、図1の金型
1によって上記のシリンダーを鋳造する場合の金型1内
での溶湯(または凝固片)の温度変化を時間に沿って示
す線図である。
【0021】金型1は、図1に示す上型11や中型12
・下型13にベースプレート14・15、センターピン
21および中子ピース22〜27などが組み合わされ、
それらがボルト31・32・33やピン34などを用い
て一体にされた組み金型である。鋳造時にアルミ合金の
溶湯が充満されるのは、図中、斜線を付けた部分であ
る。いくつかある中子類のうちセンターピン21とピー
ス22はシリンダーの内側の中空部分を成形するための
もの、ピース23はセンターピン21の上部を支持する
もの、そして中子ピース25・26は、シリンダーに通
じる吸気ポートと排気ポートとをそれぞれ成形するため
のものである。また、中子ピース27はシリンダー内の
冷却水通路(ウォータージャケット)を形成するもの
で、上型11からピース24にて支持されている。各部
品は、アルミ合金の溶湯よりも融点の高い鋼にて形成さ
れているが、中型12やセンターピン21等のように溶
湯と直接に接する部品には、たとえば合金工具鋼のよう
に耐熱性の高い材料が使用されている。図1は、以上の
ような金型1のうち分割面(合わせ面)よりも手前にあ
る中型12’(図2・図3参照)を取り除いた状態を示
しており、実際の鋳造時には、中型12の分割面(図1
の紙面に沿う面)に対して中型12’が接合される。
【0022】溶湯が充満される図中の斜線部分うち、符
号41の部分は製品部分(つまり、シリンダーを成形す
るキャビティの内部)であり、符号42の部分が押湯、
また符号43が湯口である。湯口43と製品部分41と
の間は、図に表れない部分を通って湯道がつながってい
る。押湯42は、断面積の小さい押湯首42aを介して
製品部分41の上部に通じており、ここに入った溶湯
が、製品部分41に圧力をかけながら凝固収縮分の溶湯
を補給する。そのほか、図中の符号44・45はガス抜
き穴である。
【0023】この金型1では、鋳造製品であるシリンダ
ーに引け巣が発生しないようにするとともに鋳造能率を
高めることを目的として、押湯42の加熱および保温、
ならびに特定部分の局部的な強制冷却を行っている。押
湯を加熱・保温するのは、押湯の流動性を高く保ってす
ぐれた押湯効果を実現するためである。また、局部的な
強制冷却を行うのは、普通なら遅く凝固して引け巣の生
じやすい箇所を早めに凝固させてそこに十分な押湯効果
を及ぼすためであり、さらには押湯首付近を早く凝固さ
せて製品を早く取り出せるようにするためである。
【0024】押湯42を加熱するには、中型12におい
て、図1および図2のように外面から押湯42の付近に
向けて穴51をあけ、その内部に抵抗発熱式のヒーター
(図示せず)を挿入することにより加熱手段50を構成
している。また押湯42の保温のためには、中型12の
うち押湯42を溜める部分の内壁面42bに耐火断熱材
の層を設けることとしている。
【0025】一方、局部的な強制冷却は、中型12の製
品部分41のうち上記中子ピース27にて冷却水通路が
成形される部分の直下と、円筒壁(ボア部)における掃
気ポート部分(図示せず)のすぐ下の箇所、および押湯
首42aの付近とに対して行っている。
【0026】先に記した二箇所は、事前に試鋳造を行っ
たときそれらの箇所に引け巣が発生しがちであったこと
から、その付近を早期凝固させるべく選定したもので、
その箇所へ向けて図3に示す冷却手段60を装着してい
る。冷却手段60は、中型12の外面から上記二箇所の
近傍にまで非貫通の穴61をあけ、そこに冷却水を流す
べく二重管62を取り付けたものである。二重管62は
外管64の内側に内管63を通したもので、内管63の
先端開口63a(図2の引出し部分を参照)を穴61の
内奥端直前にまで延ばすとともに、外管64の開口端6
4aを穴61の開口に接続している。内管63の内側に
圧力をかけて冷却水を送ると、冷却水は先端開口63a
から噴出して穴61の内奥端に当たったうえ(図2の引
出し部分を参照)、内管63と穴61の内面との間の隙
間を通り、さらに内管63・外管64間の隙間を通って
供給源(図示せず)に戻る。穴61の内側を澱むことな
く冷却水が流れるので中型12に対する冷却効果が高い
が、その穴61の先端付近には、内管63の先端開口6
3aからの噴出水によってとくに強い冷却効果がもたら
される。
【0027】上記のうち後にあげた押湯首42a付近の
冷却は、前述のように製品の取り出しを速やかに行うべ
く実施するもので、図2に示す冷却手段65を押湯首4
2aの付近に配置している。冷却手段65は、上記した
冷却手段60と同様に構成しており、内管63と外管6
4とを含む二重管62を図のように穴61に装着したう
え、内管63の内側から冷却水を送る(引出し部分を参
照)。なお、以上は中型12について述べたが、それと
接合して使用する中型12’についても同様に(分割面
12aに関して対称的に)加熱手段50と冷却手段60
・65を設けている。
【0028】さて、図4は、金型1のうち製品部分41
における鋳造時の溶湯温度(およびその後の凝固片の温
度)の時間的変化を、縦軸に温度、横軸に時間経過をと
って表した線図である。準備時間T0 をおいた時刻Aに
おいて湯口43から溶湯を注入すると、製品部分41で
は温度が急上昇しながら溶湯が増え、時間T1 を経た時
刻Bにおいてそこに溶湯が充満する。溶湯はさらに押湯
42にも溜まるが、製品部分41の溶湯は所定の温度に
達したのち次第に温度降下し、充満してから時間T2
経た時刻Cで全体が凝固する。凝固した製品(シリンダ
ー)は、さらに時間T3 をおいた時刻Dに金型1を開く
ことによって取り出している。
【0029】発明者は、上述した図1の金型1を使用し
て引け巣の発生防止と鋳造能率の向上とを高いレベルで
実現すべく、加熱手段50による押湯42の加熱と冷却
手段60および65による上記特定部分の強制冷却と
を、鋳造の際それぞれ適切なタイミングで行うこととし
た。図1の構造図と図4の線図とを参照しながらそのタ
イミングを説明すると下記のとおりである。
【0030】 離型剤などによる塗型を行ったり金型
1を組み立てたりする事前の準備時間T0 と、溶湯注入
ののち製品部分41に溶湯が充満するまでの時間T1
の間は、加熱手段50のヒータ(図示せず)に通電して
押湯42を外側から加熱(図4における加熱P)する。
【0031】 溶湯が製品部分41に充満する時刻B
において、上記ヒータへの通電を停止して加熱手段50
をオフにするとともに、前述した中子ピース27(ウォ
ータージャケット)の直下と円筒壁(ボア部)の一部と
に対して各冷却手段60(図3参照)による局部的な強
制冷却(図4の冷却Q)を開始する。この冷却は、冷却
手段60の内管63から穴61へ向けて通水を始めるこ
とによって開始し、製品を取り出す時刻Dまでの時間T
2 およびT3 にわたって継続する。
【0032】 製品部分41の溶湯が凝固する時刻C
からはさらに、冷却手段65(図2参照)によって押湯
首42aの付近を局部的に強制冷却(図4の冷却R)
し、やはり製品を取り出す時刻Dまで継続する。この冷
却も、冷却手段60による上記の冷却と同じ要領で行
う。なお、上記からこのまでの加熱と冷却とを時間
を追って行うには、上記のヒーターおよび各給水装置等
を制御装置(図示せず)によってシーケンシャルにコン
トロールするのが好ましい。
【0033】上記〜のような手順をとった場合、鋳
造製品であるシリンダーに引け巣が発生せず、しかも鋳
造能率が高くなるという期待どおりの成果を得ることが
できた。初めに押湯42を加熱・保温するので押湯効果
が長く保たれ、溶湯が製品部分41に充満した後は引け
巣の生じやすい箇所を冷却手段60にて強制冷却するの
で、その箇所が押湯効果を享受しながら早期に凝固する
結果、引け巣を生じないものと推定される。また、押湯
42の加熱を早期に中止するとともに製品の凝固後は冷
却手段65にて押湯首42aを冷却し早期凝固を図るの
で、製品を早く取り出せるようになり、鋳造一回あたり
のサイクルタイムが短縮された。具体的に述べれば、加
熱も冷却も行わない従来の方法で鋳造した場合と比較し
て、図4に示す時間T2 (従来は約30秒所要)が約3
秒短縮され、時間T3 (従来は約30秒所要)は約5秒
短縮される結果となった。
【0034】以上が実施の一形態であるが、本発明はつ
ぎのように他の形態で実施することも可能である。すな
わち、 a) 上記では、冷却手段60による局部冷却の箇所とし
て、図1・図3のように、中子ピース27(ウォーター
ジャケットの成形部分)の直下と円筒壁(ボア部)にお
ける掃気ポート部分の直下とを選定したが、これに限る
理由はない。試鋳造の結果などによって他の箇所に引け
巣が発生しやすいことが分かれば、その箇所を局部的に
強制冷却すればよいのである。ただし一般的には、引け
巣は、すぐ上に中子があるなど、上方の押湯から溶湯が
補給されにくい箇所に発生しやすい。
【0035】b) 上記〜に示した加熱または冷却の
タイミングは、厳密に上記の時期に開始および終了せね
ばならないわけではない。たとえば、引け巣の発生しや
すい箇所に対する冷却手段60による冷却は、図4にお
ける時刻B(溶湯が製品部分41に充満するとき)では
なく、それよりやや後の、押湯42にも溶湯が充満した
時点から開始してもよい。
【0036】c) 冷却手段60や同手段65に用いる冷
却流体として、上記した冷却水のほかに圧縮空気や液体
窒素を使用することもできる。圧縮空気は、冷却能力が
高いとはいえないが、低コストであるうえ戻りの管路を
設ける必要がない(冷却手段60のうち外管64は単に
内管63を穴61内に取り付ける機能をなせばよく、極
めて短くてすむ)という利点がある。液体窒素は、コス
ト上の難点はあるものの冷却能力が高く、また、水とは
違って金型を錆び付かせたり水アカを付着させたりする
不都合がないので冷却能力を維持するのが容易である。
【0037】d) 加熱手段50としては、電気式のヒー
ターのみでなくバーナーを使用することも可能である。
【0038】e) 重力鋳造法によるばかりではなく、低
圧鋳造法によって鋳造製品を得る場合にも本発明を実施
することができる。ただし、低圧鋳造法による場合には
湯口(アンダーライザー)が押湯の機能をなすので、そ
の湯口を上述の「押湯」として扱うことにより鋳造を行
う必要がある。
【0039】
【発明の効果】請求項1に記載の鋳造方法は、溶湯の補
給が必要な時期に押湯の流動性を高く保って押湯効果を
保証するとともに、引け巣の生じやすい箇所を早く凝固
させてそこに押湯効果が及ぶようにする。したがって、
この方法によれば、鋳造製品中に引け巣の発生するのが
効果的に防止される。
【0040】またこの鋳造方法は、適切な時期から冷却
して早く凝固させることにより、製品を金型から速やか
に取り出して鋳造毎のサイクルタイムを短縮し、鋳造製
品の生産性を向上させることができる。
【0041】請求項2に記載した鋳造用金型において
は、その加熱手段および各冷却手段を適切なタイミング
で機能させることによって請求項1の鋳造方法を実現で
きるので、引け巣のない製品を能率的に生産することが
可能になる。
【0042】請求項3の鋳造用金型は、冷却手段とし
て、構成がコンパクトで取り扱いが容易であるうえ、冷
却用流体が澱みなく流れること等から冷却特性の高いも
のを備えるため、必要な箇所を簡単にかつ強く冷却して
所期の効果をもたらすことができる。
【0043】請求項4の鋳造用金型は、冷却手段の冷却
用流体として液体窒素を使用すれば、冷却能力が高いう
え錆びや水アカに対するメンテナンスが不要であり、ま
たその流体が漏出した際にも大きなトラブルが発生しな
い、といった利点をもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施について一形態を示す図であり、自
動二輪車用エンジンにおけるシリンダーを鋳造成形する
ための金型1について要部を示す側面図である。
【図2】同じ金型1に関する図であり、図1におけるII
−II面での断面図である。
【図3】同じ金型1に関する図であり、図1におけるII
I−III面での断面図である。
【図4】金型1によって上記シリンダーを鋳造する場合
の金型1内での溶湯(または凝固片)の温度変化を時間
に沿って示す線図である。
【符号の説明】
1 金型 41 製品部分 42 押湯 42a 押湯首 50 加熱手段 60 (引け巣の発生しやすい箇所に対する)冷却手段 61 穴 62 二重管 65 (押湯首付近に対する)冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 富士男 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 特開 平1−237067(JP,A) 特開 昭61−189866(JP,A) 特開 平5−269563(JP,A) 特開 平7−256423(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 18/04 B22C 9/06 B22D 17/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造の際、溶湯が金型内に充満するまで
    は押湯付近を部分的に加熱し、充満後に、その押湯付近
    の加熱を止めるとともに、引け巣の生じやすい箇所を部
    分的に強制冷却すること、 さらに、製品部分の凝固が終了する時期から、押湯首の
    付近をも部分的に強制冷却することを特徴とする鋳造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1の鋳造方法を実施するために、
    押湯付近を部分的に加熱する加熱手段を備えるととも
    に、引け巣の発生しやすい箇所および押湯首の付近を部
    分的に強制冷却する冷却手段を有することを特徴とする
    鋳造用金型。
  3. 【請求項3】 金型の外面に開口し冷却対象部分の近傍
    に内奥端をもつ穴を形成するとともに、 その穴の内面との間に冷却用流体の通路となる隙間をも
    ち先端開口が穴の内奥端直前にまで達する内管と、その
    外側に嵌められていて内管の外面との間に冷却用流体の
    通路となる隙間をもち開口端が上記穴の開口に接続され
    る外管とを有する二重管を、上記の穴に取り付けること
    により上記の冷却手段が構成されていることを特徴とす
    る請求項2に記載の鋳造用金型。
  4. 【請求項4】 冷却手段が、液体窒素、エアまたは水の
    うちから冷却用流体を選択して使用することを特徴とす
    る請求項3に記載の鋳造用金型。
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