JP5768705B2 - シリンダヘッド鋳造用鋳型 - Google Patents

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本発明は、エンジンのシリンダヘッドを重力鋳造する際に用いる鋳型に関する。
鋳造は、溶湯(溶融金属)を鋳型に注入して所定の形の鋳物を作る技術であって、複雑な形状のものや大型なものを容易且つ比較的安価に作ることができるという長所を有する。そのため、従来から、ジョイントやケース等の汎用部品やシリンダヘッドやマニホールド等の自動車部品等、様々な部品の製造に鋳造が用いられている。
鋳造法には、固定した鋳型内に上方から溶湯を注ぎ込み、重力を利用する重力鋳造(置き注ぎ法ともいう。)、高速で回転する鋳型内に溶湯を流し込み、遠心力を利用して行う遠心鋳造、溶解炉の上部に鋳型を取り付け、坩堝内の溶湯の表面に圧力をかけてストークスを通して溶湯を下方から鋳型内に注入する低圧鋳造等がある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、鋳型内に注入された金属(溶湯)は凝固する間に収縮するため、収縮により製品内部に引け巣や割れ(亀裂)等の鋳造欠陥が発生することが知られている。そのため、鋳型上部の上型に押湯と呼ばれる空洞を設け、鋳型内に溶湯を注入する際に、この押湯にも湯を充満させる手法が採られている。これにより、押湯の重さで湯に圧力を加えるとともに、凝固の際の湯の収縮分を押湯の湯で補給することで、引け巣等の鋳造欠陥の発生を防止している。一般的に、押湯は湯口の反対側や肉厚部の上方に設けられるため、例えば、シリンダヘッドのような肉厚部を有する大物部品を重力鋳造で鋳込む場合、肉厚部の上方に押湯が設けられる。
特許第3106941号公報
肉厚部は、温度低下しにくいため、凝固に最も時間がかかる。また、収縮により発生する鋳造欠陥は、最終的に凝固する部分(周囲よりも遅れて凝固する部分)にできやすい。そのため、肉厚部が最終的に凝固する部分となるのは避ける必要がある。これに対して従来は、砂で形成した上中子(上砂)に押湯を設け(言い換えると、押湯を設ける上型を砂で形成して)、押湯の周りを上中子で保温し、押湯の温度が肉厚部よりも先に低下しないようにしていた。すなわち、上中子で押湯を保温することで、押湯に充填された湯が最終的に凝固するようにし、鋳造欠陥が製品内部ではなく、押湯の内部で生じるようにしていた。
しかしながら、砂で形成される上中子は一つの鋳物を鋳造するたびに毎回製作しなければならないため、そのための砂費及び工費がかかり、上中子を製作するための工数もかかる。また、上中子は押湯を保温することはできるものの、肉厚部よりも高温状態を保つためには、熱容量を確保すべく大きな押湯を設ける必要がある。さらに、押湯の内部で凝固した金属は製品から取り除かれるため、大きな押湯は歩留まりの低下を招く。
本件はこれらのような課題に鑑み案出されたもので、コストを削減するとともに押湯を縮小して歩留まりを向上させることができるようにした、シリンダヘッド鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するシリンダヘッド鋳造用鋳型は、上方に設けられた湯口から溶湯が注入される主金型と、前記主金型の上方内側に配置され、前記主金型との間でシリンダヘッド製品部を形成する上金型と、前記上金型の上部に凹設された凹部と、前記上金型の下部において前記凹部に向かって上方に突出するように形成され、その外周が該凹部によって覆われる押湯と、前記凹部の内部に設けられ、前記シリンダヘッド製品部の上面よりも上方に位置する前記押湯を加熱するヒータと、前記凹部の内部に設けられ、前記シリンダヘッド製品部への前記ヒータの熱の伝導を防ぐ断熱材と、を備え、前記押湯と前記凹部とが隣接する部位の前記上金型の肉厚が、他の部位に比べて薄肉に形成されていることを特徴としている。
(2)また、前記断熱材が、前記ヒータの底面に設けられることが好ましい。
)また、前記ヒータが、前記シリンダヘッド製品部の前記上面よりも上方に前記ヒータの下面が位置するように設けられることが好ましい。
なお、ここでいう「湯口」とは、鋳型内に溶湯を注入するための空洞を意味し、「押湯」とは、鋳造中に鋳型内の製品部分に対して圧力を作用させるための溶湯が充填される空洞を意味する。また、後記する「上がり」とは、注入時に鋳型内の空気やスラグ等を追い出す(製品部分から排除する)ための空洞を意味する。
開示のシリンダヘッド鋳造用鋳型によれば、従来のように押湯を保温するための上中子(上砂)に代えて上金型を用いるため、上中子を毎回製作する必要がなく、上中子を製作するために必要となる砂費及び工費と、上中子を製作するための工数とを削減することができる。また、ヒータが内装された上金型によって押湯を加熱するため、押湯の温度低下を防ぐことができる。そのため、押湯を最終凝固部とすることができるので、シリンダヘッド製品部での鋳造欠陥の発生を防ぐことができ、シリンダヘッド製品部の品質を向上させることができる。
さらに、上中子と違って、上金型の内部に設けられたヒータにより積極的に押湯を加熱することができる。そのため、押湯の温度低下を防ぐために大きな押湯を設ける必要がない。言い換えると、上中子を用いていた従来に比べて押湯を縮小することができる。そのため、溶湯の使用量を減らすことができ(歩留まりを向上させることができ)、溶解費を削減することができる。すなわち、シリンダヘッド製品部の品質を低下させることなく、コスト削減及び歩留まりの向上を実現させることができる。
一実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用鋳型の長手方向に対して垂直な面で切断した模式的な断面図である。 図1に示す鋳型の模式的な断面斜視図である。 図1に示す鋳型で生成された鋳物の断面図である。
以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.構造]
本実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用鋳型について、図1〜図3を用いて説明する。本鋳型は、アルミ合金製のシリンダヘッドを重力鋳造方式により鋳造するときに用いられる金型である。重力鋳造方式とは、溶かしたアルミ合金を重力によって鋳型に注入する方式である。また、ここで鋳造されるシリンダヘッドは、直列型エンジンに組み付けられる部品であり、以下の説明では、直列型エンジンのシリンダが列設される方向(直列方向)を「長手方向」と呼び、長手方向に直交する方向(幅方向)を「短手方向」と呼ぶ。
図1は本実施形態に係る鋳型1を長手方向に垂直な面で切断した断面図であり、図2は図1に示す鋳型1の断面斜視図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る鋳型1は、アルミ合金を溶解した溶湯(溶融金属,以下、湯ともいう。)が注入される主金型10と、主金型10の上方内側に配置される上金型20と、上金型20の内部に設けられたヒータ30とを備えて構成される。鋳型1内に注入された溶湯は、主金型10と上金型20との間で凝固するとシリンダヘッド製品部51を含む鋳物50(図3参照)となる。なお、図1及び図2に示す鋳型1は、シリンダヘッド製品部51の下面51b(図3参照)が下になるように構成されている。
主金型10は、鋳型1の土台を構成する下型11と、下型11の上に設けられ、鋳型1の側面を構成する四つの寄型12(図1では二つ,図2では三つを図示)とから構成される。下型11は、鋳型1の最も下方に設けられる金型である。下型11には、短手方向の中間部に、鋳型1に注入される溶湯の下部(すなわち、シリンダヘッド製品部51の下面51b)を冷却する冷却部17が設けられる。
冷却部17は、下型11の短手方向中間部に形成された溝部17aとその周りにある複数の孔部17bの中を冷却水が流通するように構成される。なお、ここでは、溝部17aは下型11の短手方向中心に、その下面11bから上方に向かって一つ形成されており、孔部17bは溝部17aの短手方向外側(溝部17aの両側)に二つずつ形成されているが、冷却部17の構成はこれに限られない。
寄型12は、下型11に対して、例えば図示しないボルト等により分解可能に結合される。寄型12が下型11に結合された状態では、下型11の上面11aと寄型12の内面12a(四つの内面)とによって空間Sが形成される。この空間S内であって下型11の上面11aには、排気ポート中子14及び吸気ポート中子15が配設される。
排気ポート中子14は排気通路を作るための中子であり、吸気ポート中子15は吸気通路を作るための中子である。また、この空間S内であって下型11の上面11aから離隔した位置には、水室中子16が配設される。水室中子16は、シリンダヘッドの冷却水を流す空間(ウォータージャケットの一部となる空洞)を作るための中子である。なお、これらの中子14〜16の形状や配置はこれに限られず、エンジンの種類によって適宜変更される。
上金型20は、主金型10の下型11の上面11aの上方であって、寄型12の内面12aの内側(すなわち、空間S内)に設けられる金型である。上金型20の上部には、ヒータ30をはめ込むための凹部20eが凹設される。この凹部20eは、上方に向けて開口したへこみであり、ヒータ30と嵌合する形状に形成される。一方、金型20の下部には、後述の押湯23となる窪み20cが形成される。この窪み20cは、下方に向けて開口したへこみである。
図1に示すように、窪み20cは凹部20eに向かって上方に突出するように形成され、窪み20cの上端部はその外周を凹部20eによって覆われている。また、凹部20eと窪み20cとが隣接する部位の肉厚(厚み寸法)は、薄肉に形成される。
また、上金型20には、図2に示すように、長手方向両端部(図2では一端を図示)に、上金型20を主金型10の上面に対して固定するためのフランジ部20fが設けられる。上金型20は、四つの側面20aがいずれも寄型12の内面12aから離間し、下面20bが下型11の上方に設けられる中子14〜16から離間して設けられる。つまり、上金型20は主金型10と非接触の状態で固定され、上金型20と主金型10との間隙が空間Sとなる。
空間S内に設けられる上金型20によって、シリンダヘッド製品部51の上面51a(図1中に一点鎖線で図示)よりも上方には、湯口21及び上がり22が形成される。さらに、上金型20の下方内側であってシリンダヘッド製品部51の上面51aよりも上方には、押湯23が設けられる。
湯口21は、上金型20の一方の側面20aと短手方向両側に配設される寄型12のうちの一方の寄型12の内面12aとの間に形成される。湯口21は、鋳型1の上方から空間S内に溶湯を注ぎ込むための口であり、空間Sと外部とを連通し、長手方向に延設される空洞である。湯口21は、空間S内に上金型20が設けられることで形成される空洞のため、下部は当然空間Sに対して開放されている。また、湯口21の上部には、外部と湯口21とを連通する開口21hが設けられる。
上がり22は、上金型20の他方の側面20aと短手方向両側に配設される寄型12のうちの他方の寄型12の内面12aとの間に形成される空隙である。上がり22は、鋳型1内(空間S内)に溶湯を注入したとき、鋳型1内の空気を外部に放出する役割や、鋳型1内で発生するガス,スラグ,砂等を外部に追い出す役割を有するものである。また、上がり22は、鋳型1内に隙間なく十分に溶湯がまわったか否かを確認するためにも用いられる。
上がり22は、鋳型1の上方に設けられ、長手方向に延設される細い空隙であり、湯口21よりも短手方向長さが短い(すなわち幅が狭い)。上がり22は、空間S内に上金型20が設けられることで形成される空隙のため、下部は当然空間Sに対して開放されている。また、上がり22の上部には、外部と上がり22とを連通する開口22hが設けられ、この開口22hから空気やガス等が外部へ抜けていく。
押湯23は、上金型20の下部に形成された窪み20cの底面20d近傍の空間のことであり、シリンダヘッド製品部51の最も肉厚の大きい部分の上方に設けられる。言い換えると、押湯23は、上金型20の下面20bから上方に向かって形成された窪み20cのうち、シリンダヘッド製品部51の上面51aよりも上方の空間のことであり、ここでは吸気ポート中子15と水室中子16との間の肉厚部上方に設けられる。押湯23は長手方向に沿って設けられ、押湯23の下部は空間Sに対して開放されているが、上部は外部に対して閉鎖されている。
押湯23は、空間S内のシリンダヘッド製品部51となる部分を満たした後の溶湯が満たされる部分であり、一般的に、シリンダヘッドのように厚さが一様ではない(すなわち、肉厚な部分を有する)製品を鋳造する際に設けられる。押湯23は、押湯23に充満された湯の重さによって空間S内の溶湯に対して圧力を加え、引け巣の発生やガスの追い出しに効果がある。また、鋳型1内に注入された溶湯は、凝固の際に収縮し、引け巣や空孔が発生するおそれがあるが、押湯23に充満された湯によって収縮分の湯が効率的に補給される。
なお、本実施形態では、上記した湯口21及び上がり22は、押湯23と同様の機能を有している。これは、湯口21及び上がり22は、上部が外部に対して開放されていること以外、押湯23と同様に構成されているからである。つまり、湯口21及び上がり22も、シリンダヘッド製品部51の上面51aよりも上方に設けられ、空間S内を満たした後の溶湯が満たされる。そのため、湯口21及び上がり22に充満された溶湯も、空間S内の溶湯に対して圧力を加えることができるため、押湯23と同様の働きをする。
ヒータ30は、鋳造時に溶湯を凝固させる過程でその溶湯に熱を与えるための加熱器であり、上金型20の上部に形成された凹部20eにはめ込まれる。つまり、ヒータ30は、上金型20の内部上方に設けられる。また、ヒータ30は長手方向において複数個直列に並べて設けられる。ここでは、隣合うヒータ30同士が接するように配置されているが、互いに僅かに間隔を空けて配置されていてもよく、また、一体で構成されたヒータが配置されていてもよい。ヒータ30は、その下部に上金型20の凹部20e及び窪み20cの形状に合わせた凹状の窪み30cを有する。言い換えると、ヒータ30の窪み30cは、上金型20に設けられる押湯23の周りを覆うように設けられる。
また、ここではヒータ30は、シリンダヘッド製品部51の上面51a(図1及び図3に一点鎖線で図示)よりも上方にヒータ30の下面30bが位置するように設けられる。これにより、ヒータ30は、窪み30cにおいて押湯23を加熱し、短手方向の両側面30a,30aにおいて湯口21及び上がり22を加熱する。なお、ヒータ30は、セラミックヒータや赤外線ヒータ等、種々のヒータを適用可能であり、その種類は特に限定されない。
ヒータ30の底部(下面30bの裏側)には、ヒータ30の熱がシリンダヘッド製品部51へ伝導するのを防ぐ断熱材40が設けられる。断熱材40は、ここではヒータ30の下面30bと同一の形状にセラミックで形成されており、ヒータ30の底面に沿って配置されている。なお、断熱材40はヒータ30の底面(すなわち、ヒータ30の内側)に設けられていなくてもよく、ヒータ30の外側に別設されてもよい。例えば、ヒータ30を上金型20の凹部20eにはめ込む際に、セラミック製の断熱材40をヒータ30よりも先に凹部20e内に配置して、ヒータ30の下面30bの下に設けてもよい。
また、断熱材40はセラミック製に限られず、グラスウール等の繊維系断熱材や空気層であってもよい。この場合、ヒータ30の底面近傍に仕切板(図示略)を設けて、この仕切板と底面との間の空間を作り、この空間に断熱材40を詰めることにより、又はこの空間を断熱材40として利用する(すなわち、断熱材を空気層とする)ことにより、ヒータ30の熱の伝導を防ぐ。
このように構成された鋳型1によって鋳造される鋳物50は、図3に示すような形状となる。シリンダヘッド製品部51は、中子14〜16があった部分は空洞となり、それ以外の部分は溶湯が凝固している。また、シリンダヘッド製品部51の上方には、湯口21,上がり22及び押湯23に溜まっていた溶湯がそれぞれ凝固して、アルミ塊52(湯口のアルミ塊521,上がりのアルミ塊522及び押湯のアルミ塊523)が形成される。このアルミ塊52は、不要な部分であるため、後続の製造工程で鋳物50から除去される。
[2.工法及び作用]
次に、本実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用鋳型を用いたシリンダヘッドの鋳造方法について説明する。
図1及び図2に示すように、まず、下型11に中子14〜16を配置し、寄型12を結合させて主金型10を完成させる。次に、上金型20の上部の凹部20eにヒータ30及び断熱材40をはめ込み、ヒータ30と断熱材40とを内装した上金型20を完成させる。そして、主金型10の内側に上金型20を位置決めしつつ配置する。これで鋳型1が完成となる。
次に、湯口21から溶解したアルミ合金(アルミ溶湯)を鋳型1内へ注ぎ込む。湯口21から鋳型1内に注入される溶湯は、中子14〜16が設けられている部分以外の空間S内を満たした後、上がり22及び押湯23の中へ上昇していく。本実施形態では、押湯23の上面が鋳型1の上面(湯口21の上面及び上がり22の上面)よりも低く設けられているため、まず押湯23内が溶湯で満たされる。
そして、湯口21から溶湯を注入し続けると、いずれ湯口21内の溶湯の湯面(溶湯の水位)が下がらなくなる。なお、湯口21の湯面は、上がり22の湯面(溶湯の水位)と同一となるため、上がり22の湯面を監視することで溶湯が空間S内に満たされているか否かを確認することができる。
鋳型1内へ十分に溶湯を注入し終えたら、冷却部17の溝部17a及び孔部17bの中に冷却水を流通させるとともに、ヒータ30による加熱を開始する。溶湯が凝固し終えたら、鋳物50から上金型20と中子14〜16とを取り外し、鋳物50を主金型10から取り外す。そして、シリンダヘッド製品部51からアルミ塊52の部分を除去し、表面処理等の仕上げ加工を行うことにより、シリンダヘッドが完成する。
次に、鋳型1内に注入された溶湯の凝固について説明する。鋳型1内の溶湯は、温度の低い冷却部17近傍から凝固していく。つまり、シリンダヘッド製品部51の下面51bが最も先に凝固し始め、そこから上方に向かって徐々に凝固が進行していく。このとき、湯口21,上がり22及び押湯23に満たされている湯が、その重さによってシリンダヘッド製品部51になる部分の溶湯(すなわち、空間S内の溶湯)に対して圧力を加える。これにより、溶湯が凝固する際に収縮する分の湯が、湯口21,上がり22及び押湯23の湯によって効率的に供給される。
特に、シリンダヘッド製品部51の肉厚部分は溶湯の体積が大きいため、周りに比べて収縮も大きく、補給すべき収縮分の溶湯の体積も大きくなる。これに対して、肉厚部分の上方に押湯23を設けることにより、肉厚部分に圧力を加えながら溶湯を補給することが可能となる。また、湯口21,上がり22及び押湯23はヒータ30によって加熱されているため、なかなか凝固が開始しない。
押湯23には、ヒータ30の熱が凹部20eと窪み20cとの間の薄肉部を介して効率的に伝達されるため、押湯23内の溶湯が長時間保温され、凝固するまでの時間が大幅に遅延する。さらに、ヒータ30の底面には断熱材40が設けられているため、ヒータ30の熱はシリンダヘッド製品部51へは伝導されにくくなる。
つまり、アルミ塊52となる部分の方が、シリンダヘッド製品部51となる部分よりも凝固が遅くなり、押湯23等を最終的に凝固する部分(最終凝固部)とすることができる。言い換えると、シリンダヘッド製品部51は、その下面51bから上方に向かって順に凝固し、アルミ塊52よりも先に凝固が終了する。
特に、シリンダヘッド製品部51の中央部に着目すると、押湯23の下方に位置する肉厚部(吸気ポート中子15と水室中子16との間の肉厚部)の方が、押湯23よりも先に凝固することになる。そのため、最終凝固部に発生し易い引け巣や空孔等の鋳造欠陥は、シリンダヘッド製品部51には発生せず、後工程で切除されるアルミ塊52の内部に生じる。
[3.効果]
本実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用鋳型1によれば、従来のように押湯を保温するための上中子(上砂)に代えて上金型20を用いるため、上中子を毎回製作する必要がなく、上中子を製作するために必要となる砂費及び工費を削減することができる。また、上中子を製作するための工数も削減することができる。また、ヒータ30が内装された上金型20によって押湯23を加熱するため、押湯23の温度低下を防ぐことができる。そのため、押湯23を最終凝固部とすることができるので、シリンダヘッド製品部51での鋳造欠陥の発生を防ぐことができ、シリンダヘッド製品部51の品質を向上させることができる。
さらに、上中子と違って、上金型20の内部に設けられたヒータ30により積極的に押湯23を加熱することができる。そのため、押湯23の温度低下を防ぐために大きな押湯を設ける必要がない。言い換えると、上中子を用いていた従来に比べて押湯23を縮小することができる。そのため、溶湯の使用量を減らすことができ(言い換えると、アルミ塊52の体積を減らすことができるため歩留まりを向上させることができ)、溶解費(金属を溶解させるために必要なコスト)を削減することができる。すなわち、シリンダヘッド製品部51の品質を低下させることなく、コスト削減及び歩留まりの向上を実現させることができる。
また、シリンダヘッド製品部51へのヒータ30の熱の伝導を防ぐ断熱材40が設けられているため、シリンダヘッド製品部51の凝固が遅くなることを防ぐことができる。言い換えると、押湯23を最終凝固させることができる。これにより、内部に鋳造欠陥のない品質のより高いシリンダヘッド製品部51を鋳造することができる。
特に、断熱材40がヒータ30の底面に設けられているため、シリンダヘッド製品部51への熱の伝導を確実に防ぐことができる。つまり、シリンダヘッド製品部51に最終凝固部ができることを防ぐことができ、内部に鋳造欠陥のない品質のさらに高いシリンダヘッド製品部51を鋳造することができる。
また、ヒータ30が、シリンダヘッド製品部51の上面51aよりも上方にヒータ30の下面30bが位置するように設けられるため、シリンダヘッド製品部51に熱が伝わることを最大限抑制することができるとともに、押湯23をより加熱しやすくすることができる。
また、下型11に冷却部17が設けられているため、シリンダヘッド製品部51の下面51bを最初に凝固させることができる。シリンダヘッド製品部51の下面51bは、エンジンの燃焼室に対向する面となり最も重要な部分であるため、最初に凝固させることにより、強度を高めることができる。
また、本実施形態では、湯口21及び上がり22が、押湯23と同様の機能を有しているため、シリンダヘッド製品部51の内部に引け巣等の鋳造欠陥が発生することをより防ぐことができる。
また、本実施形態に係るシリンダヘッドの鋳造方法によれば、上中子の代わりに上金型20を使うので、上中子を作るための工数と、砂費及び工費(すなわち、材料費と製造コスト)を削減することができる。また、ヒータ30が内装された上金型20によって押湯23を加熱するため、押湯23の温度低下を防ぐことができる。そのため、押湯23を最後に凝固させることができるので、シリンダヘッド製品部51の品質を向上させることができる。
さらに、ヒータ30で押湯23を加熱するので、押湯23の温度低下を防ぐために大きな押湯を設ける必要がない。言い換えると、押湯23の体積を従来に比べて大幅に減らすことができる。そのため、溶湯の使用量を減らすことができ(すなわち、歩留りを向上させることができ)、溶解費を削減することができる。また、押湯23を最終的に凝固させるため、シリンダヘッド製品部51に引け巣や空孔等の鋳造欠陥ができることを確実に防ぐことができる。言い換えると、内部に鋳造欠陥のないシリンダヘッド製品部51を鋳造することができる。
[4.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、ヒータ30は、押湯23及びこれと同様の機能を有する湯口21及び上がり22を加熱しているが、少なくとも押湯23を加熱できるように構成されていればよい。このような構成であっても、シリンダヘッド製品部51の肉厚部に収縮分の湯を補給することができるとともに、押湯23を最終凝固部とすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、鋳型1の主金型10及び上金型20の形状は、図1及び図2に示すものに限られない。さらに、溶湯(溶融金属)はアルミ合金に限られない。つまり、これらの構造は、鋳造するシリンダヘッドの構造によって適宜採用されるものである。
また、上記実施形態では、ヒータ30の下面30bがシリンダヘッド製品部51の上面51a(すなわち、シリンダヘッド製品部51とアルミ塊52との境界上)に位置するように設けられているが、ヒータ30の位置はこれに限られず、シリンダヘッド製品部51の上面51aよりも上方に設けられていれば、シリンダヘッド製品部51への熱の伝導をより防ぐことができる。この場合、シリンダヘッド製品部51までの距離が長くなるため、断熱材が設けられていなくてもよい。
また、ヒータ30の底面に厚みのある断熱材40を設ければ、シリンダヘッド製品部51への熱の伝わりを抑制できるため、ヒータ30の下面30bがシリンダヘッド製品部51とアルミ塊52との境界よりも下に位置するように設けられていてもよい。
また、断熱材40が設けられる位置は、ヒータ30の底面に限られず、シリンダヘッド製品部51の形状や押湯23の形状によって異なり、ヒータ30の熱の伝導を防ぎたい位置に設けられていればよい。
また、上記実施形態では、鋳型1内に溶湯を注入してから冷却部17に冷却水を流通させるとともに、ヒータ30による加熱を開始しているが、溶湯の注入よりも先に冷却部17に冷却水を流通させていてもよく、ヒータ30による加熱を行っていてもよい。また、ヒータ30による加熱は注入前、冷却部17による冷却は注入後としてもよく、この逆であってもよい。
1 鋳型
10 主金型
11 下型
12 寄型
17 冷却部
20 上金型
21 湯口
22 上がり
23 押湯
30 ヒータ
30b ヒータの下面
40 断熱材
50 鋳物
51 シリンダヘッド製品部
51a シリンダヘッド製品部の上面
52 アルミ塊

Claims (3)

  1. 上方に設けられた湯口から溶湯が注入される主金型と、
    前記主金型の上方内側に配置され、前記主金型との間でシリンダヘッド製品部を形成する上金型と、
    前記上金型の上部に凹設された凹部と、
    前記上金型の下部において前記凹部に向かって上方に突出するように形成され、その外周が該凹部によって覆われる押湯と、
    前記凹部の内部に設けられ、前記シリンダヘッド製品部の上面よりも上方に位置する前記押湯を加熱するヒータと、
    前記凹部の内部に設けられ、前記シリンダヘッド製品部への前記ヒータの熱の伝導を防ぐ断熱材と、を備え
    前記押湯と前記凹部とが隣接する部位の前記上金型の肉厚が、他の部位に比べて薄肉に形成されてい
    ことを特徴とする、シリンダヘッド鋳造用鋳型。
  2. 前記断熱材が、前記ヒータの底面に設けられる
    ことを特徴とする、請求項記載のシリンダヘッド鋳造用鋳型。
  3. 前記ヒータが、前記シリンダヘッド製品部の前記上面よりも上方に前記ヒータの下面が位置するように設けられる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のシリンダヘッド鋳造用鋳型
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