JP2012226026A - フォトクロミックレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム3との間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層2を有するフォトクロミック積層体4と、少なくとも一方の該光学シート又は光学フィルムの上に合成樹脂層6を有するフォトクロミックレンズであって、該光学シート又は光学フィルムと合成樹脂層との間に、水分散性ポリマーなどの高分子ポリマーからなる塗膜層5を有する。
【選択図】図1
Description
互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)の間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)を有するフォトクロミック積層体(A)と、少なくとも一方の該光学シート又は光学フィルム(A2)の上に合成樹脂層(B)を有するフォトクロミックレンズであって、
該光学シート又は光学フィルム(A2)と合成樹脂層(B)との間に、
水分散性ポリマー、水分散性ポリマーの架橋体、及び水溶性ポリマーの架橋体から選ばれる少なくとも1種の高分子ポリマーからなる塗膜層(C)を有することを特徴とするフォトクロミックレンズである。
本発明のフォトクロミック積層体は、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)との間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)を有するものである。以下、本発明において、このフォトクロミック積層体(A)における密着性とは、1)母材となる合成樹脂(B)と光学シート又は光学フィルム(A2)との密着性、さらには、2)ポリウレタン樹脂層(A1)と光学シート又は光学フィルム(A2)との密着性の両者を意味する。先ず、フォトクロミック積層体(A)を構成する、ポリウレタン樹脂層(A1)について説明する。
(ポリウレタン樹脂層(A1)を構成するポリウレタン樹脂)
本発明において、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)に使用される該ポリウレタン樹脂は、光学シート又は光学フィルム(A2)を接合できる接着剤の役割を果たす。そのため、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)の間に存在し、両者を接合できる樹脂であれば、特に制限されるものではなく、熱硬化性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンであってもよい。
該ポリウレタン樹脂に使用されるポリイソシアネート化合物としては、耐候性の観点から脂肪族ポリイソシアネート化合物、または脂環式ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。具体的には、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、オクタメチレン−1,8−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート化合物を挙げることができ、特にイソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートを用いることが好ましい。
該ポリウレタン樹脂に使用されるポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール化合物を使用することできる。中でも、耐熱性、密着性、耐候性、耐加水分解性などの観点から、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールを使用することが好ましい。該ポリオール化合物の数平均分子量は、400〜3000であることが好ましい。中でも、得られるポリウレタン樹脂層の耐熱性、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度、耐候性など)、特にフォトクロミック化合物の耐候性の観点から、数平均分子量は400〜2500であることが好ましく、400〜1500であることがより好ましい。
該ポリウレタン樹脂に使用される鎖延長剤としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基と反応しうる官能基を有する分子量50〜300の化合物である。具体的には、ジアミン化合物、トリアミン化合物、アミノアルコール化合物、アミノカルボン酸化合物、アミノチオール化合物、ジオール化合物、及びトリオール化合物を使用できる。特に、密着性、耐熱性、及びフォトクロミック特性の観点から、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミンなどのジアミン化合物を使用することが好ましい。
上述のポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、及び鎖延長剤から得られるポリウレタン樹脂の末端は、イソシアネート基であってもよいし、該イソシアネート基を反応停止剤によりキャップしていてもよい。該反応停止剤は、1つのイソシアネート基と反応しうる基と、その他、様々な機能を発揮できる基、構造を有する化合物を使用することができる。具体的には、4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンのようなイソシアネート基と反応する基を有する化合物を反応停止剤として使用することができる。
該ポリウレタン樹脂は、前記成分を用い、公知の方法で製造することができる。具体的には、所謂ワンショット法又はプレポリマー法を採用することができる。例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物と反応させ、次いで、鎖延長剤を反応させ、必要に応じて、反応停止剤を反応させる方法を採用することができる。これら成分の反応条件は、公知の条件を採用することができる。精製方法等も、公知の方法を採用することができる。
次に、このポリウレタン樹脂中に混合され、ポリウレタン樹脂層(A1)に含まれるフォトクロミック化合物について説明する。
本発明において、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)は、前記方法で得られるポリウレタン樹脂、及びフォトクロミック化合物とを含むフォトクロミック組成物を用いて形成できる。
本発明で使用される光学シート又は光学フィルム(A2)は、光透過性を有するシート又はフィルムが使用される。原料としてはポリカーボネート樹脂、ポリカーボネートアロイ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリレート樹脂、アリル樹脂、ポリスルフォン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。また、偏光フィルム(例えば、ポリビニルアルコール製の偏光フィルムをトリアセチルセルロース樹脂フィルムではさんだもの)も、本発明の光学フィルムとして使用することが可能である。該偏光フィルムを用いることにより、偏光フォトクロミックレンズを得ることができる。
本発明で使用するフォトクロミック積層体(A)は、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)の間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)を有してなる。このフォトクロ積層体(A)は、例えば、下記のような手順・条件により製造できる。
本発明のフォトクロミックレンズにおいて、塗膜層(C)は、必ず、光学シート又は光学フィルム(A2)と下記に詳述する合成樹脂層(B)との間に介在するものである。そして、この塗膜層(C)は、水分散性ポリマー、水分散性ポリマーの架橋体、及び水溶性ポリマーの架橋体から選ばれる少なくとも1種の高分子ポリマーからなることを特徴とする。この塗膜層(C)に、前記高分子ポリマーを使用することにより、有機溶剤系の材料を使用して得られる塗膜層と比較して、熱可塑性樹脂(合成樹脂層(B)、光学シート又は光学フィルム(A2))を溶解し難いため、優れた透明性を有するフォトクロミックレンズを得ることができる。
この水分散性ポリマーを例示すると、具体的には、水分散ポリウレタン樹脂、水分散ポリエステル樹脂、水分散アクリル樹脂、及び水分散ポリウレタン・アクリル樹脂を挙げることができる。
水分散ポリウレタン樹脂としては、少なくともポリイソシアネート化合物、及びポリオール化合物とが重合されたポリウレタン樹脂が水中に分散しているものを用いるのが好ましい。
ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、オクタメチレン−1,8−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物、
シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)デカヒドロナフタレン、1,9−ジイソシアナト−5−メチルノナン、1,1−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトシクロヘキシル)メチル]−1−メチルシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)シクロヘキシルイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)アダマンタンなどの脂環式ポリイソシアネート化合物、
フェニルシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)の異性体混合物、トルエン−2,3−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナトベンゼン)、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル) ベンゼン、キシリレンジイシシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルベンゼン、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシ(1,1’−ビフェニル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、1,2−ジイソシアナトベンゼン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、2−ドデシル−1,3−ジイソシアナトベンゼン、1−イソシアナト−4−[(2−イソシアナトシクロヘキシル)メチル]2−メチルベンゼン、1−イソシアナト−3−[(4−イソシアナトフェニル)メチル)−2−メチルベンゼン、4−[(2−イソシアナトフェニル)オキシ]フェニルイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート化合物、
を挙げることができる。これらは単独でも用いることができ、また2種以上の混合物にして用いることもできる。
素基を有するが、イソシアネート基と反応性のある活性水素基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシル基が挙げられる。また、前記ポリオール化合物に含まれる活性水素基の数は、膜物性を良好に保つという点から、2〜6が好ましく、2〜4が特に好ましい。
前記ポリオール化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール又はそれらの混合物、シリコーンポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
水分散ポリエステル樹脂としては、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合により生成する樹脂であって、分子中にウレタン結合(−NHCOO−)を含まない樹脂が挙げられる。
水分散アクリル樹脂としては、下記に示すようなアクリル単量体を用いて乳化重合した樹脂を用いることが好ましい。水分散アクリル樹脂の原料となるアクリル単量体として、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有アクリルル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどの水酸基含有アクリル単量体、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどの3級アミノ基含有アクリル単量体、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのヒンダードアミノ基含有アクリル単量体、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、ダイアセトンアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、4−メタクリルアミドエチルエチレンウレアなどのアミド基含有アクリル単量体、2−メタクリロイルオキシエチル−エチレンウレアなどのウレア基含有アクリル単量体、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メチルグリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有アクリル単量体などを挙げることができる。この水分散アクリル樹脂は、これらのアクリル単量体が単独で構成されていても、2種類以上の混合物で構成されていてもよい。
水分散ポリエステル・ポリウレタン樹脂としては、前記水分散ポリウレタン樹脂に用いられるポリイソシアネート化合物、及びポリオール化合物、さらに前記水分散ポリエステル樹脂に用いられる多塩基酸、及び多価アルコールなどを用いて得られる樹脂が得げられる。好適な水分散ポリエステル・ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、1000〜10万である。
水分散ポリウレタン・アクリル樹脂は、例えば、以下の方法により得ることができる。先ず、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて分子内にエチレン性不飽和結合とイソシアネ−ト基を有する自己乳化性変性プレポリマーを得る。次いで、この自己乳化性変性プレポリマーと、アクリル系単量体を主成分とするエチレン性不飽和単量体を混合した重合性混合物の水分散液を乳化重合させることにより、得ることができる。
キルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリレートが使用される。他にスチレン、酢酸ビニル、エチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド等を併用してもよい。
上記水分散ポリウレタン樹脂、水分散ポリエステル樹脂、及び水分散ポリウレタン・アクリル樹脂などの水分散性ポリマーを得るためには、樹脂構造中に界面活性作用(乳化作用)を有するイオン性、あるいはノニオン性の官能基または原子団を有する自己乳化型のものであるか、乳化剤により強制乳化される必要がある。該水分散性ポリマーを用いて得られる塗膜層(C)に対する合成樹脂層(B)の塗れ性、及び該水分散性ポリマーの保存安定性の観点から、該水分散性ポリマーに含まれる高分子成分は、自己乳化型のものであることが好ましい。
(ヒドラジド化合物)
塗膜層(C)を形成する高分子ポリマーとしては、前記水分散性ポリマーの内、カルボニル基を有するポリマーに、ヒドラジド化合物を架橋剤として配合し、架橋体として使用することもできる。架橋剤を使用することにより、該塗膜層(C)の架橋密度を向上させることができ、硬化前の合成樹脂層(B)を形成する重合性モノマーに対する耐溶解性、及び形成される合成樹脂層(B)との密着性をより向上させることができる。
Rは、炭素数2〜7の直鎖状、もしくは分岐状の2価の脂肪族残基、又は炭素数6〜8の2価の環状残基であり、
xは、1〜5の整数である)で示されるような炭酸ポリヒドラジドが挙げられる。
カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン、又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−22878号参照)などを挙げることができる。これらポリヒドラジン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
また、その他の架橋剤としては、分子中にカルボジイミド結合、すなわち−N=C=N−で示される結合を有するカルボジイミド化合物を用いることもできる。特に、分子中に2個以上のカルボジイミド結合を有するポリカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。架橋剤としてカルボジイミド化合物を用いた場合には、該カルボジイミド化合物に含まれるカルボジイミド基が、水分散性ポリマーに含まれるカルボキシル基と反応し、該水分散性ポリマーが架橋した塗膜層を得ることができる。
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたは1,3−ジイソシアナートメチルシクロヘキサンなどのジイソシアネート化合物、あるいは該ジイソシアネート化合物を三量化して得られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。
塗膜層(C)を形成する高分子ポリマーとしては、水溶性ポリマーの架橋体を使用することもできる。前記水溶性ポリマーとしては、分子内に水酸基を有し、水に溶解するポリマーが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール系重合体(PVA)を好適に用いることができる。
水溶性ポリマーの架橋体を得るためには、分子内の基、例えば、水酸基のような基と作用して分子同士を結合させる架橋剤を配合すればよい。このような架橋剤を例示すれば、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、及び有機ケイ素化合物、カルボジイミド化合物や、A1成分に使用されるポリイソシアネート化合物などが挙げられる。これら架橋剤を水溶性ポリマーと混合することにより、該水溶性ポリマーの架橋密度を向上させることができ、合成樹脂層(B)を形成す重合性モノマーに対する耐溶解性、及び形成される合成樹脂層(B)との密着性をより向上させることができる。
ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、ジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラキス(ビス(N−アミノエチル)−アミノエチル)チタネート、チタンテトラキス(N−ヒドロキシエチル−アミノエチル)チタネート、チタンテトラキス(ビス(N−ヒドロキシエチル)−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ビス(N−アミノエチル)−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(N−ヒドロキシエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ビス(N−ヒドロキシエチル)−アミノエチル)チタネート、n−ブチルトリス(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、n−ブチルイソプロピルトリス(ビス(N−アミノエチル)−アミノエチル)チタネート、n−ブチルイソプロピルトリス(N−ヒドロキシエチル−アミノエチル)チタネート、n−ブチルイソプロピルトリス(ビス(N−ヒドロキシエチル)−アミノエチル)チタネート、チタンラクテートあるいはチタンラクテートアンモニウム塩などのチタンキレート、あるいはチタンキレートアンモニウム塩;
イソプロピルイソステアロイルチタネート、イソプロポピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルアクリルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;
などが挙げられる。
本発明において、塗膜層(C)は、光学シート又は光学フィルム(A2)上に形成される。そのため、フォトクロミック積層体(A)を製造する前に、予め、光学シート又は光学フィルム(A2)上に、塗膜層(C)を形成してもよい。また、フォトクロミック積層体(A)を形成した後、該フォトクロミック積層体(A)の合成樹脂層(B)を形成する面上に、塗膜層(C)を形成することもできる。以下、光学シート又は光学フィルム(A2)上に、塗膜層(C)を形成する場合の例を説明する。
合成樹脂層(B)は、通常のプラスチックレンズ材料となる熱可塑性樹脂、又は重合性モノマーの組成物を硬化させた熱硬化性樹脂から形成することができる。中でも、塗膜層(C)を形成することの効果がより顕著に発揮されるのは、重合性モノマー組成物を硬化させた熱硬化性樹脂より合成樹脂層(B)を形成する場合である。重合性モノマー組成物としては、具体的には、(メタ)アクリレート系モノマー組成物、アリル系モノマー組成物、チオウレタン系モノマー組成物、ウレタン系モノマー組成物、チオエポキシ系モノマー組成物などの熱硬化性樹脂を形成しうる重合性モノマー組成物を挙げるとができる。
(メタ)アクリレート系モノマー組成物
(メタ)アクリレートモノマー組成物としては、下記に例示されるような(メタ)アクリレートモノマーを含んでなる組成物であり、さらには他の(メタ)アクリレートモノマー、や他の重合性モノマーを混合しても構わない。具体的な(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーテトラ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、平均分子量776の2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルメタアクリレート等の少なくとも一つの(メタ)アクリレート基を分子中に有する(メタ)アクリレートモノマーなどを挙げることができる。
アリル系モノマー組成物としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等のアリル基を有するアリルモノマーを含んでなる組成物が挙げられる。
チオウレタン系モノマー組成物は、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物の混合物からなる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、前記水分散ポリウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物に加えて、2,5−ジイソシアナートメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(4−イソシアナート−2−チアブチル)−1, 4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナートメチル−4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナート−2−チアプロピル)−1,4−ジチアン、1,3,5 − トリイソシアナートシクロヘキサン、1, 3,5−トリス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチルチオ)メタン、1,5−ジイソシアネート−2−イソシアネートメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアネートエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアネートメチルチオ)プロパン、1,1,6,6−テトラキス(イソシアネートメチル)−2,5−ジチアヘキサン、1,1,5,5 −テトラキス(イソシアネートメチル)−2,4−ジチアペンタン、1,2−ビス(イソシアネートメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン等のポリイソシアネート類、これらのポリイソシアネート類のビュレット型反応によるニ量体、これらのポリイソシアネート類の環化三量体およびこれらのポリイソシアネート類とアルコールもしくはチオールの付加物等が挙げられる。これら、ポリイソシアネート化合物は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
ニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェンジチオール、1,2 −ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、グリセリルジチオグリコーレート、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ) エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン等のポリチオール類を挙げることができる。これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
ウレタン系モノマー組成物としては、ジイソシアネート化合物、ポリオール化合物、及びジアミン硬化剤を含んでなる混合物を好適に用いることができる。
チオエポキシ系モノマー組成物としては、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン等の鎖状有機化合物等;テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の分岐状有機化合物およびこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物等;1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等の環状脂肪族有機化合物およびこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物;1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4'−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族有機化合物およびこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フォトクロミック積層体(A)の光学シート又は光学フィルムの塗膜層(C)上に、合成樹脂層(B)を積層する方法としては、以下の方法が挙げられる。具体的には、最表面に塗膜層(C)を有するフォトクロミック積層体(A)を、プラスチックレンズ製造の際に使用されるガラスモールドや金型の中に設置し、そこに該合成樹脂層(B)を形成する重合性モノマー組成物を充填する方法である。
(水分散性ポリマー)
E1;カルボニル基、及びカルボキシル基を有する水分散ポリエステル樹脂(自己乳化型:東洋紡績株式会社製「バイロナールMD−1930」、樹脂固形分濃度 31wt%)。
E2;カルボニル基、及びカルボキシル基を有する水分散ポリエステル・ポリウレタン樹脂(自己乳化型:高松油脂株式会社製「WAC−15X」、樹脂固形分濃度 20wt%)。
E3;カルボニル基、及びカルボキシル基を有する水分散ウレタン樹脂(自己乳化型:日華化学株式会社製「エバファノールHA−107C」、樹脂固形分濃度 40wt%)。
E4;カルボニル基、及びカルボキシル基を有する水分散ウレタン樹脂(自己乳化型:第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス210」、樹脂固形分濃度 35wt%)。
E5;カルボキシル基を有する水分散ウレタン樹脂(自己乳化型:DIC株式会社製「ハイドランCP−7050」、樹脂固形分濃度 25wt%)。
E6;カルボキシル基を有する水分散ウレタン樹脂(自己乳化型:荒川化学工業株式会社製「ユリアーノW600」、樹脂固形分濃度 35wt%)。
E7;カルボニル基、及びカルボキシル基を有する水分散アクリル樹脂(自己乳化型:大成ファインケミカル製「SE−953A−2」、樹脂固形分濃度 39wt%)。
E8;ポリビニルアルコール(ケン化度;99.6%、重合度1700)。
E9;ポリビニルアルコール(ケン化度;99.2%、重合度1000)。
F1;ヒドラジド化合物(アジピン酸ジヒドラジド)。
F2;カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02」)。
F3;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン。
F4;チタンラクテートアンモニウム塩。
撹拌羽、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三口フラスコに、数平均分子量800のポリカーボネートジオール(1,5−ペンタンジオールとヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートジオール)252g、イソホロンジイソシアネート100gを仕込み、窒素雰囲気下、70℃で6時間反応させ、プレポリマーを得た。その後、THF1000mlを加えた後、窒素雰囲気下でイソホロンジアミン19gを滴下しながら加え、滴下終了後25℃で1時間反応させた。
・POLYCA;ポリカーボネート製シート(厚み 0.4mm)。
・PET;ポリエチレンテレフタレート製シート(厚み 0.3mm)。
・TAC;トリアセチルセルロース製シート(厚み 0.3mm)。
各々作製した、塗膜層(C)を有するフォトクロミック積層体(A)を、直径65mmの円形に裁断し、ガスケットを有するガラスモールド内(0.00D、レンズ径70mm、肉厚3.0mmに設定)に設置した。このガラスモールド内に、下記に記載する重合性モノマー組成物を注入し、下記条件により硬化させた後、外周を玉摺機にて研磨することにより、直径60mmのフォトクロミックレンズを得た。なお、比較例1〜3は、塗膜層(C)を有していないフォトクロミック積層体(A)を使用した。
重合性モノマー組成物として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(重合開始剤)3質量部、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100質量部を準備した。
ラジカル重合性単量体であるトリメチロールプロパントリメタクリレート 20質量部、平均分子量522のポリエチレングリコールジアクリレート 40質量部、ウレタンアクリレート(ダイセル化学工業製EBECRYL4858) 40質量部の混合物を準備した。
重合性モノマー組成物として、ジシクロヘキシルメタン−4 ,4 ’−ジイソシアネート43.5質量部、イソホロンジイソシアネート43.5質量部、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン63.0質量部、及び重合開始剤としてジブチルチンジラウレート0.1質量部の混合物を準備した。
重合性モノマー組成物として、ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン95質量部、2−メルカプトエタノール5質量部、及び重合触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド0 . 1 重量部の混合物を準備した。
重合性モノマー組成物として、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールからなる数平均分子量1000のポリエステルポリオール 100質量部と4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物78質量部、及び芳香族ジアミン硬化剤としての2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン/2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン17質量部を準備した。
(塗膜層(C)の形成)
水分散ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製「バイロナールMD−1930」)300g、メタノール60g、水250g、及びFZ-2104(東レダウコーニング株式会社製界面活性剤)1gを混合、撹拌することで、塗膜層形成用組成物(A1−1)を得た。この塗膜層形成用組成物(A1−1)を、厚さ0.4mmのポリカーボネート製シート(光学シート又は光学フィルム(A2):POLYCA)の一方の面に塗布し、110℃で30分乾燥、硬化させることにより、膜厚5μmの塗膜層を有する光学シートを得た。
ポリウレタン樹脂層(A1)形成用組成物の前記調製方法で得られたフォトクロミック組成物を、PET製フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製ピューレックスフィルム、シリコン塗膜付)に塗布し、50℃で30分乾燥させ、厚み約40μmのポリウレタン樹脂層(A1)を得た。次いで、得られたポリウレタン樹脂層(A1)を、前記方法により塗膜層(C)を形成したPOLYCAシート(ポリカーボネート製シート)2枚の間に挟み、40℃で24時間静置した後、さらに110℃で60分加熱処理した。そして、目的のフォトクロミック特性を有するフォトクロミック積層体(A:(S1))を得た。得られたフォトクロミック積層体(A:(S1))は、ポリウレタン樹脂層(A1)と接していない面にのみ塗膜層(C)を有していた。
上記のアリル系モノマー組成物を用いて、上記の方法に従いフォトクロミックレンズを作製した。
得られたフォトクロミックレンズを試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、積層体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、フォトクロミックレンズのフォトクロミック特性を測定した。
下記2点の観点から、目視評価を実施した。
得られたフォトクロミックレンズは、複数の界面を有しており、各層間の密着性評価を目視により実施した。この密着性評価、1)初期、2)前述の劣化促進試験(48時間)後、さらに3)蒸留水による煮沸試験(1時間、2時間、及び3時間)後に実施した。評価基準は、下記の通りである。
0;各層間で、全くハガレが見られない。
1;塗膜層と合成樹脂層間で、少なくとも一部でハガレが見られる。
2;光学シートとポリウレタン樹脂層間の、少なくとも一部でハガレが見られる。
得られたフォトクロミックレンズの色調を、集光機を用いた目視評価により実施した。評価基準は、下記の通りである。
0;白濁や、黄変等の色調不良が見られず、透明性が高い。
1;集光機を当てることにより、わずかに白濁などの色調不良を確認することができるが、実用上問題ないレベル。
2;集光機を当てなくとも、白濁などの色調不良を確認することができる。
塗膜層(C)の形成
表1に示す塗膜層形成用組成物(A1−1〜A1−9)、及び光学シート(A2)を用いた以外は、実施例1記載の方法と同様にして、光学シート(A2)表面(片面、または両面)に、塗膜層(C)を形成させた。表1の塗膜層の積層面の欄において、片面と記載したものは、光学シートの合成樹脂層が積層される面にのみ塗膜層を設けたものを指す。また、両面と記載したものは、光学シートの両面に塗膜層を設けたものを指す。
実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂層(A1)を作製し、次いで、上記で得た塗膜層(C)を有する光学シートを用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック積層体(A:(S2)〜(S20))を得た。
表2に示す塗膜層(C)を有するフォトクロミック積層体(A)、及び合成樹脂層(B)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミックレンズを作製した。また、得られたフォトクロミックレンズの評価結果を表2に示す。
フォトクロミック積層体(A)の作製
実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂層(A1)を作製し、表1に示す光学シートを用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック積層体(A:(S21)〜(S23))を得た。得られたフォトクロミック積層体(A:(S21)〜(S23))は、塗膜層(C)を有していない。
表2に示すフォトクロミック積層体(A)、及び合成樹脂層(B)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミックレンズを作製した。また、得られたフォトクロミックレンズの評価結果を表2に示す。
塗膜層(C)の形成
トリエチレングリコールジメタクリレート 50g、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート 50g、及びIrgacure1870(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルーペンチルフォスフィンオキサイドの混合物(重量比3:7)、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.3gを混合、撹拌することで、塗膜層形成用組成物(A1−10)を得た。
実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂層(A1)を作製し、次いで、上記で得た塗膜層(C)を有する光学シートを用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック積層体(A:(S24))を得た。得られたフォトクロミック積層体(A:(S24))は、光学シート(A2)のポリウレタン樹脂層(A1)と接していない面にのみ塗膜層(C)を有していた。
表2に示す塗膜層(C)を有するフォトクロミック積層体(A)、及び合成樹脂層(B)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミックレンズを作製した。また、得られたフォトクロミックレンズの評価結果を表2に示す。
2 フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)
3 光学シート又は光学フィルム(A2)
4 フォトクロミック積層体(A)
5 塗膜層(C)
6 合成樹脂層(B)
Claims (8)
- 互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)との間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)を有するフォトクロミック積層体(A)と、少なくとも一方の該光学シート又は光学フィルム(A2)の上に合成樹脂層(B)を有するフォトクロミックレンズであって、
該光学シート又は光学フィルム(A2)と合成樹脂層(B)との間に、
水分散性ポリマー、水分散性ポリマーの架橋体、及び水溶性ポリマーの架橋体から選ばれる少なくとも1種の高分子ポリマーからなる塗膜層(C)を有することを特徴とするフォトクロミックレンズ。 - 前記塗膜層(C)が、カルボニル基を有する水分散性ポリマーとヒドラジド化合物とを反応させて得られる水分散性ポリマーの架橋体からなることを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミックレンズ。
- 前記塗膜層(C)が、カルボキシル基を有する水分散性ポリマーとカルボジイミド化合物とを反応させて得られる水分散性ポリマーの架橋体からなることを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミックレンズ。
- 前記ポリウレタン樹脂層(A1)と前記光学シート又は光学フィルム(A2)との間に、さらに、前記塗膜層(C)を有することを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミックレンズ。
- 請求項1に記載のフォトクロミックレンズを製造する方法であって、
水分散ポリマーが水に分散した水分散液を光学シート又は光学フィルム(A2)上に塗布し、乾燥することにより、水分散性ポリマーからなる塗膜層(C)を形成する工程を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。 - 請求項1に記載のフォトクロミックレンズを製造する方法であって、
水分散ポリマーが水に分散した水分散液又は水溶性ポリマーが水に溶解した水溶液と、これらポリマーを架橋する架橋剤とを混合した後、得られた混合物を光学シート又は光学フィルム(A2)上に塗布し、乾燥することにより、水分散性ポリマーの架橋体又は水溶性ポリマーの架橋体よりなる塗膜層(C)を形成する工程を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。 - 互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルム(A2)との間に、フォトクロミック化合物を含むポリウレタン樹脂層(A1)を有するフォトクロミック積層体(A)の少なくとも一方の該光学シート又は光学フィルム(A2)の上に、
水分散性ポリマー、水分散性ポリマーの架橋体、及び水溶性ポリマーの架橋体から選ばれる少なくとも1種の高分子ポリマーからなる塗膜層(C)を積層してなる積層体。 - 請求項7に記載の積層体において、該光学シート又は光学フィルム(A2)と前記ポリウレタン樹脂層(A1)との間に、さらに、前記塗膜層(C)を有する積層体。
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