JP2012206931A - 酸化物系耐火物 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化環境で容器の内張材などに適用されても、スラグ等の浸透が効果的に抑えられ、長期間の使用に耐えることができる酸化物系耐火物を提供する。
【解決手段】ジルコニアゾルを含浸させることにより、開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させた酸化物系耐火物である。開気孔中に分散保持されたジルコニア微粒子が、スラグ等が浸透してきた際にスラグ粘性を上昇させ、浸透速度を大幅に減速させる効果があり、これによりスラグ等の浸透が効果的に抑制される。
【選択図】なし
【解決手段】ジルコニアゾルを含浸させることにより、開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させた酸化物系耐火物である。開気孔中に分散保持されたジルコニア微粒子が、スラグ等が浸透してきた際にスラグ粘性を上昇させ、浸透速度を大幅に減速させる効果があり、これによりスラグ等の浸透が効果的に抑制される。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐スラグ浸透性に優れた酸化物系耐火物に関する。
従来、溶融金属や溶融ガラスを扱う容器に内張りされる耐火物として、アルミナ、マグネシア、シリカ、クロミア、ジルコニアなどの酸化物の1種以上を主原料とする酸化物系耐火物が使用されている(例えば、特許文献1)。このような内張り耐火物は、溶融スラグや溶融ガラス(以下、説明の便宜上「スラグ等」という)との反応によって損耗する場合が多い。特に、スラグ等が耐火物内に浸透すると、浸透部と非浸透部で物性差が生じるため、構造的スポーリングが引き起こされ、著しく損耗する。
こうしたスラグ等の浸透を抑制するために、スラグ等と濡れ性の悪い黒鉛、ピッチなどの炭素類やSiCなどの炭化物を耐火物中に添加する場合がある。しかし、炭素類や炭化物はいずれも酸化するため、耐火物を使用する環境が非酸化環境に限られてしまう。このため従来では、酸化環境で使用されるような酸化物系耐火物については、スラグ浸透を抑制するための有効な手だてはなかった。
一方、マグネシア・クロム質耐火物の改良方法として、ジルコニウムアルコキシドなどの金属アルコキシドを含浸する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、金属アルコキシドは非常に高価な化学薬品である。しかも、有機液体であるため、換気、防爆、廃液処理などに注意が必要であり、そのための特別な取り扱い設備を必要とするため、コストアップの原因となる。さらに、金属アルコキシドは、揮発性がある(例えば、ジルコニウムアルコキシドのなかで最も一般的なジルコニウムエトキシドC8H20O4Zrは沸点200℃)ため、耐火物に含浸した後に熱処理した際、揮発して耐火物中に酸化物として残留しないことが問題となる。すなわち、アルコキシドは揮発性があるため、熱処理によって酸化物を得るための原料としては歩留まりが低い。このため、耐火物に対するスラグ浸透の抑制について十分な効果が期待できない。
以上のように従来技術では、酸化環境で使用されるような酸化物系耐火物について、スラグ浸透を抑える有効な方法はなく、耐火物損耗による設備コストの上昇を招いていた。
したがって本発明の目的は、酸化環境で容器の内張材などに適用されても、スラグ等の浸透が効果的に抑えられ、長期間の使用に耐えることができる酸化物系耐火物を提供することにある。
したがって本発明の目的は、酸化環境で容器の内張材などに適用されても、スラグ等の浸透が効果的に抑えられ、長期間の使用に耐えることができる酸化物系耐火物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、ジルコニアゾルを含浸させた酸化物系耐火物は、スラグ等の浸透が効果的に抑えられ、しかも酸化環境でも問題なく使用できることを知見した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]ジルコニアゾルを含浸させることにより、開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させたことを特徴とする酸化物系耐火物。
[2]上記[1]の酸化物系耐火物において、マグクロ耐火物であることを特徴とする酸化物系耐火物。
[2]上記[1]の酸化物系耐火物において、マグクロ耐火物であることを特徴とする酸化物系耐火物。
本発明の酸化物系耐火物は、酸化環境で容器の内張材などに使用されても、スラグ等の浸透を効果的に抑えることができ、長期間の使用に耐えることができる。
本発明の酸化物系耐火物は、ジルコニアゾルを含浸させることにより、開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させたものである。
ここで、酸化物系耐火物とは、アルミナ、マグネシア、シリカ、クロミア、ジルコニアなどの酸化物の1種以上を主原料とする耐火物レンガのことである。
ここで、酸化物系耐火物とは、アルミナ、マグネシア、シリカ、クロミア、ジルコニアなどの酸化物の1種以上を主原料とする耐火物レンガのことである。
酸化物系耐火物に分散保持させるジルコニア微粒子の量は、少なすぎるとスラグ浸透防止効果が小さいので、製品としての酸化物系耐火物中の割合で0.5mass%以上とすることが好ましい。一方、ジルコニア微粒子量の上限は特にないが、一般には、6mass%を超えるような量のジルコニア微粒子を耐火物中に浸透させることは技術的に困難であり、通常は、ジルコニア微粒子量は6mass%程度が実質的な上限となる。
本発明は、特にマグクロ耐火物に好適である。マグクロ耐火物は、カルシア−シリカ系スラグへの溶解度が低く、耐食性に優れているが、スラグ浸透による構造的スポーリングの結果、著しく損耗することが多い。しかし、本発明によりスラグ浸透が抑制でき、長期間の使用に耐えることが可能となる。
本発明は、特にマグクロ耐火物に好適である。マグクロ耐火物は、カルシア−シリカ系スラグへの溶解度が低く、耐食性に優れているが、スラグ浸透による構造的スポーリングの結果、著しく損耗することが多い。しかし、本発明によりスラグ浸透が抑制でき、長期間の使用に耐えることが可能となる。
ジルコニアゾルは、5〜300nm程度(通常、10〜100nm)の1次粒子径を持つジルコニア微粒子(超微粒子)を水やアルコールなどの液体の分散媒に分散させたものである。
一方、酸化物系耐火物の全体には、微細な開気孔(通常、孔径1μm以上)が形成されている。
一方、酸化物系耐火物の全体には、微細な開気孔(通常、孔径1μm以上)が形成されている。
本発明の酸化物系耐火物は、成型された酸化物系耐火物(レンガ)にジルコニアゾルを含浸させた後、このジルコニアゾルの分散媒を揮発させることにより、耐火物の開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させたものである。
酸化物系耐火物をジルコニアゾル中に浸漬することで、ジルコニアゾルを含浸させることができる。このジルコニアゾルの含浸を真空容器中で行うこと、或いはジルコニアゾルを沸騰させながら行うことにより、耐火物中の気体を最小限にすることができるので、耐火物中へのジルコニアゾルの浸透を促進することができる。
酸化物系耐火物をジルコニアゾル中に浸漬することで、ジルコニアゾルを含浸させることができる。このジルコニアゾルの含浸を真空容器中で行うこと、或いはジルコニアゾルを沸騰させながら行うことにより、耐火物中の気体を最小限にすることができるので、耐火物中へのジルコニアゾルの浸透を促進することができる。
また、ジルコニアゾル中でのジルコニア微粒子の濃度が低すぎると、耐火物中に浸透させるジルコニア微粒子量が少なくなり、一方、ジルコニア微粒子の濃度が高すぎると耐火物中に浸透しにくくなるので、ジルコニアゾル中でのジルコニア微粒子の濃度は10〜40mass%程度が適当である。
耐火物をジルコニアゾルに一定の時間浸漬させた後、取り出し、耐火物中のジルコニアゾルの分散媒を揮発させる。このため、ジルコニアゾルから取り出した耐火物を、ジルコニアゾルに含まれる分散媒の沸点以上の温度に加熱保持する必要がある。
このようにして分散媒を揮発させることにより、耐火物の開気孔中にはジルコニア微粒子が分散保持され、本発明の酸化物系耐火物が得られる。
耐火物をジルコニアゾルに一定の時間浸漬させた後、取り出し、耐火物中のジルコニアゾルの分散媒を揮発させる。このため、ジルコニアゾルから取り出した耐火物を、ジルコニアゾルに含まれる分散媒の沸点以上の温度に加熱保持する必要がある。
このようにして分散媒を揮発させることにより、耐火物の開気孔中にはジルコニア微粒子が分散保持され、本発明の酸化物系耐火物が得られる。
本発明の酸化物系耐火物では、開気孔中に分散保持されたジルコニア微粒子が、スラグ等が浸透してきた際にスラグ粘性を上昇させ、浸透速度を大幅に減速させる効果がある。これによりスラグ等の浸透が効果的に抑制される。また、ジルコニアは安定な酸化物であるため、酸化環境で使用しても何ら問題なく、その性能を維持することができる。
本発明の酸化物系耐火物は、種々の用途に適用できるが、容器に内張りされてスラグ等と接触する部位の耐火物として好適であり、特にCaO−SiO2−Al2O3−MgOを主成分とする製鉄プロセスで発生するスラグと接触する部位の耐火物として最適である。但し、これらに限定されるものではない。
本発明の酸化物系耐火物は、種々の用途に適用できるが、容器に内張りされてスラグ等と接触する部位の耐火物として好適であり、特にCaO−SiO2−Al2O3−MgOを主成分とする製鉄プロセスで発生するスラグと接触する部位の耐火物として最適である。但し、これらに限定されるものではない。
2種の焼成煉瓦(マグクロ耐火物、マグネシア耐火物)を用意し、坩堝形状の試験体を作製した。本発明例と比較例の一部では、試験体をゾル(分散媒:水)に浸漬することで内部にゾルを含浸させた後、取り出し、110℃で8時間加熱保持することにより分散媒を揮発させ、開気孔中にゾルを構成する無機酸化物微粒子が分散保持された試験体とした。
また、比較のため、ジルコニウムアルコキシドのなかで最も一般的なジルコニウムエトキシドC8H2OO4Zrを同様に含浸した後、大気中、1400℃で3時間焼成し、坩堝形状の試験体を作成した。
スラグ(塩基度:0.6のスラグ)を用意し、これを試験体(坩堝)に入れ、1400℃で8時間保持することで、溶融したスラグを試験体に浸透させた。冷却後、試験体を中央で切断し、試験体(坩堝)底部のスラグ浸透深さを測定した。
スラグ(塩基度:0.6のスラグ)を用意し、これを試験体(坩堝)に入れ、1400℃で8時間保持することで、溶融したスラグを試験体に浸透させた。冷却後、試験体を中央で切断し、試験体(坩堝)底部のスラグ浸透深さを測定した。
その結果を、使用したゾルの詳細、耐火物中に含浸させた微粒子量(製品中での微粒子量)、ゾル含浸前後の耐火物(試験体)気孔率などとともに表1に示す。なお、試験体の気孔率は、アルキメデス法(JIS−R2205)により測定した。また、耐火物中に含浸させた微粒子量(製品中での微粒子量)は、含浸前と含浸・乾燥後(比較例4については含浸・焼成後)の耐火物の質量変化に基づいて算出した。
表1に示されるように、比較例1〜3の耐火物はスラグ浸透深さが大きく、試験体の底部全体にスラグ浸透が観察された。これに対して本発明の耐火物は、試験体の底部でのスラグ浸透深さは非常に小さい。
また、比較例4の耐火物は、含浸させたアルコキシドが揮発性のため、酸化物としての歩留りが低く、その結果、わずかにスラグ浸透深さは改善されたものの、本発明例よりも明らかに劣っている。
また、比較例4の耐火物は、含浸させたアルコキシドが揮発性のため、酸化物としての歩留りが低く、その結果、わずかにスラグ浸透深さは改善されたものの、本発明例よりも明らかに劣っている。
Claims (2)
- ジルコニアゾルを含浸させることにより、開気孔中にジルコニア微粒子を分散保持させたことを特徴とする酸化物系耐火物。
- マグクロ耐火物であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物系耐火物。
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JP2012050298A JP2012206931A (ja) | 2011-03-16 | 2012-03-07 | 酸化物系耐火物 |
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KR100366104B1 (ko) * | 2000-11-14 | 2002-12-27 | 삼성에스디아이 주식회사 | 플라즈마 표시 패널의 구동방법 |
JP2015048293A (ja) * | 2013-09-04 | 2015-03-16 | Jfeスチール株式会社 | 定形耐火物およびその製造方法 |
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