JP2012204709A - 半導体基板保持用のパッドおよびそれを用いて半導体基板を搬送する方法 - Google Patents

半導体基板保持用のパッドおよびそれを用いて半導体基板を搬送する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保護フィルム等の副材を基板に貼付することなく、極薄の半導体基板をパッドで破損させることなく搬送できる方法の提供。
【解決手段】基板保持用パッド19面を半導体基板面w上に押し付けて半導体基板を基板保持用パッド面に保持させ、然る後にアーム1の移動により半導体基板を保持する基板保持用パッドを第二加工ステージ上へと移送し、基板保持用パッドとパッド保持基板とで形成された前記流体室2cに加圧流体を供給して基板保持用パッドを膨張させることにより半導体基板を前記第二加工ステージ上へ載置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体基板の厚みが10〜50μmと極薄であっても半導体基板を破損することなく次の加工ステージへと移送できるパッド搬送装置や基板搬送ロボットに使用される半導体基板保持用パッド、およびそれを用いて半導体基板をパッド面に保持し、次の加工ステージへと搬送する方法に関する。
吸着パッドを用いて半導体基板を保持し、次の加工ステージへと移送する方法は知られている。例えば、特開2006−253524号公報(特許文献1)は基板収納カセット内に収納された半導体基板を搬送ロボットのパッドに吸着させアームを後退、反転させて仮置台上におき、ついで、パッド搬送機器のパッドに前記半導体基板を吸着させ、ポーラスセラミック製バキュームチャック上に搬送する方法を開示する。また、図3および図4に示すように、上下に通じる刳貫き部を有し、環状底面に複数個の真空孔が穿たれた環状吸着パッド17a’、
当該環状吸着パッドの環状上面に設けられ、環状吸着パッドの前記真空孔に通じる減圧手段31、
当該環状吸着パッドパッド17a’の上面で環状吸着パッドを固定するパッド押さえ固定具37、
当該パッド押さえ固定具を回転自在に支持する旋回ア−ム38、
当該旋回ア−ム38を昇降および旋回または直線進退可能に移動させる移動機構40、および、
前記環状吸着パッドの上方より当該環状吸着パッドの刳貫き部へ洗浄液を供給する洗浄液供給手段34
を設けたことを特徴とする基板搬送機器30を開示する。
また、特開2009−59763号公報(特許文献2)は、凹部を囲繞する外周余剰領域にリング状補強部を有するウエーハ(半導体基板)を、少なくとも上下移動及び旋回運動可能な作動アームと、作動アームの先端に弾性部材を介して取り付けられた吸着パッドとを有する搬送装置により、チャックテーブルから他のチャックテーブル若しくは他のウエーハ搬送装置に受け渡すウエーハ搬送方法において、ウエーハのリング状補強部の厚さと該ウエーハに貼付された保護テープの厚さを合わせた総厚を算出する工程と、チャックテーブルの高さに該総厚を加算して吸着パッド押し込み開始点を算出する工程と、吸着パッドでチャックテーブル上のウエーハを吸着する際、吸着パッドがウエーハのリング状補強部に接してから作動アームを所定距離押し込む押し込み工程と、を具備したウエーハ搬送機器を用い、リング状補強部を有するウエーハを割ることなく搬送する搬送方法を提案する。
さらに、特開2009−206207号公報(特許文献3)は、厚み50μm以下の半導体基板と吸着パッドの保持面との間の空間に融解状態の媒体を供給し、この媒体を冷却して凝固させることで半導体基板を吸着パッドの保持面に保持させて次ステージへ搬送し、搬送後には媒体を加温融解して吸着パッドの保持面から半導体基板を離脱させる搬送方法を提案する。
さらに、特開2010−118424号公報(特許文献4)は、薄板状の半導体基板を吸着保持するフッ素樹脂からなる気孔率が30〜50%であり、気孔径がφ10〜1000μmであり、JIS K−6253で規定するショアD硬度が40〜80である多孔質材で形成されているパッド保持手段を用い、このパッド保持手段に吸着保持された半導体
基板を裏面研削装置の吸着テーブル上に移送する半導体基板の搬送装置であって、
前記パッド保持手段に保持された前記半導体基板の露出面に接触させられる吸着面を有する吸着パッドと、
該吸着パッドの前記吸着面に吸着作用を発生させる負圧源から、該吸着パッドにわたって設けられる負圧発生通路と、
前記吸着パッドを前記パッド保持手段から所定の搬送先に移動させる移動手段とを備える厚み50μm以下の半導体基板の搬送装置を提案する。
前記特許文献1に開示される半導体基板の裏面研削装置および特許文献4に開示される裏面研削装置は、厚みが50〜100μmの半導体基板に連続自動製造するには優れたものである。これら裏面研削装置を用いて半導体基板裏面を平坦加工して厚み10〜50μmに薄肉化する際、半導体基板のプリント配線面側に紫外線照射硬化型粘着剤保護テープ(特許文献5および特許文献6参照)、加熱発泡性樹脂保護テープ(特許文献7)もしくは易剥離性密着保護シート(特許文献8参照)を貼付して半導体基板の研削加工、研磨加工、チップ化に供している。
上記特許文献8に記載の易剥離性密着保護シートは、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の少なくとも片面に、アスカーFP硬度25以上でアスカーCSC2硬度が80以下の密着層を設けた易剥離性密着保護シートであり、フジコピアン株式会社からFIXFILM(商品名)シリーズのSTD1,STD2,HG1,HG2(密着層片面)グレード名で、HGW1,HGW2(密着層両面)グレード名で、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の片面に密着層が設けられ、その反対面に粘着剤層が設けられた両面型固定フィルムがHGA1,HGA2のグレード名で販売されている。また、丸石産業株式会社よりQ−Chuck(商品名)のグレード名で販売されている。
本願発明者が測定したこれらグレード商品の前記密着層は、スチール、アルミニウム、アルミナセラミック、ABS樹脂、銅、シリコーン基盤のいずれの被着材表面と密着層との剥離力(JIS K−6854に準拠)が10mN/12.7mm幅以下で、前記被着材表面から研磨パッドを密着層と供に平行にずらす剪断力が1.0N/cm以上であるポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層で形成されていることが判明した。なお、剪断力は、特許文献8の段落0053記載のベアロンシボ板に代えて上記被着材の板状物または短冊を用い測定した。このポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂から形成される密着層の硬度は、アスカーFP硬度55で、アスカーCSC2硬度で60である。
更に、特開2002−285114号公報(特許文献9)は、研磨定盤に研磨パッドを貼り合わせる際、位置調整が容易で低温域から高温域にかけて接着強度が低下せず研磨中に研磨材の剥離がなく、研磨終了後は適度な力で研磨材を剥離することができる、アクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が100℃以上(好ましくは120℃以上)170℃以下であって前記アクリル系重合体に対して不相溶の粘着付与樹脂(好ましくは重合ロジンエステル)が10重量部以上35部以下含有されてなるアクリル系粘着剤層が、基材の両面に設けられてなる研磨材固定用テープを提案する。
先に、本願特許出願人は、上記Q−Chuck(商品名)やFIXFILM(商品名)の易剥離性密着保護シートをパッド表面層として用いたパッド搬送機構を特開2011−3691号公報(特許文献10)で提案した。このパッド搬送機構は、回転軸廻りに旋回可能に設けた流体通路を備えるアームの先端に、流体が出入り可能な微細なセルを有するポーラスセラミック製吸着パッドまたは下面に直径0.3〜1.0mmの微細孔を複数穿孔したノンポーラスセラミック板製または高分子樹脂製吸着パッドを設け、さらに前記吸着パッド下面に、粘着剤層/基材フィルム層/基板密着層よりなる積層フィルムに直径0.3〜1.0mmの微細孔を複数穿孔した積層体を前記粘着剤層側が粘着するように貼付
した基板搬送パッドを備えるパッド搬送機構であって、前記基板密着層がこの基板密着層に貼着される基板表面と基板密着層との剥離力(JIS K−6854に準拠)が10m
N/12.7mm幅以下で、前記基板密着層表面から基板を平行にずらす剪断力が1.0N/cm以上であるポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層で形成されていることを特徴とする、基板搬送パッドを備えるパッド搬送機構である。
一方、特開2001−105305号公報(特許文献11)は、図5に示す中空スピンドル軸105に軸承されたお椀状主体部104、お椀状主体部の下端部に水平方向に固定された可撓性材よりなるダイヤフラム5、ダイヤフラムに固定された中央部に鉛直方向に気体通路8aが設けられ、下面の気体通路部に通じて形成された凹部を有する剛体製支持板8、気体通路の気体を給排出できる手段、お椀状主体部の内側とダイヤフラムの上面側とで形成される加圧室17に気体を供給する手段、剛体製支持板の下面に可撓性ゴム膜19を剛体製支持板と可撓性膜で隙間が0.1〜0.3mmの機密性の高い空間が形成されるように可撓性ゴム膜を取り付けた基板キャリア部4、可撓性ゴム膜の下面よりは突出して剛体製支持板の下部外周縁に取り付けられた環状保持リング、および、環状保持リング22の側壁と前記可撓性ゴム膜の下面とで形成された基板収納ポケット部とを備える、キャリアヘッド構造を開示する。
特開2006−253524号公報 特開2009−059763号公報 特開2009−206207号公報 特開2010−118424号公報 特開2008−294287号公報 特開平5−62950号公報 特開2004−186280号公報 特開2008−162240号公報 特開2002−285114号公報 特開2011−003691号公報 特開2001−105305号公報
上記特許文献10記載のパッド搬送機構は、厚みが10〜50μmと薄い半導体基板を基板の変形を引き起こす問題がない、あるいは、TSV基板のシリコーン基盤面から頭出しした銅プラグ電極を破損することなく基板を搬送できる優れたものである。しかし、研削加工や研磨加工された基盤面上に加工屑や研削砥粒残滓や研磨砥粒残滓が乾燥して固着するのを防ぐため前記加工が施された後に半導体基板の加工面を純水で洗浄し、純水の水膜を残してパッドで半導体基板の水膜面を保持して次の加工ステージへと移送される半導体基板の種類も多く、半導体基板の水膜面を保持して次の加工ステージ上へと移送された半導体基板を加工ステージに載せた後、半導体基板面よりパッドを剥離させる際、加工ステージに載置された半導体基板の位置がずれてしまう問題がある。
本発明は、半導体基板のプリント配線面を保護テープや凝固剤、保持補強リングや補強円板を当てて搬送する必要がなく、厚みが10〜50μmと極薄の半導体基板をも搬送でき、次の加工ステージ上への半導体基板の載置が容易なパッドを備えたアーム構造およびそれを用いて半導体基板を搬送する方法を提案するものである。特に、パッド保持面素材として特許文献10に記載される密着層が特許文献11記載の可撓性ゴム膜に積層、もしくは、前記密着層形成液状樹脂塗工剤を可撓性ゴム膜に塗布し、乾燥させて積層構造とし
た基板保持面形成材として利用するものである。
請求項1の発明は、柄の長手方向部分に流体通路を有する非通気性素材よりなる剛体製アームに下面が断面円弧状凹部を有するとともに、流体通路孔を備える非通気性素材よりなる剛体製ワッフルスラブ構造のパッド保持基板を軸承し、このパッド保持基板の環状下面に接着剤を介して可撓性ゴム膜表面に密着層が形成された積層構造の基板保持用パッドを前記可撓性ゴム膜面が接着側となるように貼付して、前記パッド保持基板下面の断面円弧状凹部を流体室に形成し、この流体室に面する前記パッド保持基板の流体通路孔に前記剛体製アームの柄に設けた流体通路が連通しており、この流体室により供給された加圧流体により前記積層構造の基板保持用パッドが膨張し、この流体室より流体を排出することにより前記基板保持用パッドが原型復帰できる構造とした半導体基板搬送用の基板保持用パッドを備えたアーム構造であり、
基板保持用パッドの可撓性ゴム膜表面に形成された前記密着層は、ポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層、アクリル系樹脂粘着剤層、および、合成ゴム系粘着剤層より選らばれた密着層で形成され、この密着層と半導体基板間の剥離力(JIS K−6854に準拠)が10mN/12.7mm幅以下で、半導体基板を保持する前記基板保持用パッドを加工ステージより半導体基板と共に平行にずらす剪断力が1.0N/cm以上であることを特徴とする、基板保持用パッドを備えたアーム構造を提供するものである。
請求項2の発明は、請求項1の基板保持用パッドを備えたアーム構造を用い、第一加工ステージ上に載置された半導体基板面上に基板保持用パッドを移動させ、
ついで、基板保持用パッド面を半導体基板面上に押し付けて半導体基板を基板保持用パッド面に保持させ、
然る後にアームの移動により半導体基板を保持する基板保持用パッドを第二加工ステージ上へと移送し、
基板保持用パッドとパッド保持基板とで形成された前記流体室に加圧流体を供給して基板保持用パッドを膨張させることにより前記半導体基板を前記第二加工ステージ上へ載置する、
ことを特徴とする、半導体基板の搬送方法を提供するものである。
半導体基板のプリント配線面を保護テープで被覆、あるいは、更に保護テープで被覆された半導体基板を補強リングや補強円板を用いて搬送するという従来の搬送方法と比較して、直接、可撓性ゴム膜の膨張・収縮を利用して半導体基板のシリコーン、ガラス、サファイア等の基盤面をパッドで保持して移送できるので、保護テープ等の副材の利用が省かれる搬送方法である。
密着層は、常温で固体状態であり、粘着力が極めて小さい(剥離力は10mN/12.7mm幅以下である)ので、半導体基板の前記基盤表面に密着層残滓が残ることはない。また、搬送される半導体基板の前記加工基盤表面に洗浄液の水膜が形成された半導体基板であってもパッドの膨張により半導体基板の次加工ステージへの載置ができる。
図1は半導体基板をアームに軸承されたパッド下面に保持した状態を示す一部を切り欠いた断面図である。 図2はパッド下面に保持された半導体基板を第二加工ステージ上へ移送した状態を示す一部を切り欠いた断面図である。 図3は特許文献1に記載される基板搬送機器の斜視図である。 図4は特許文献1に記載される基板搬送機器の正面図である。 図5は特許文献11に記載されるキャリアヘッド構造の正面断面図である。
図1および図2に示されるように、本発明の半導体基板保持用のパッドを備えたアーム構造1は、柄3aの長手方向部分に流体通路3bを有する非通気性素材よりなる剛体製アーム3に下面が断面円弧状凹部2aを有するとともに、流体通路孔2bを備える非通気性素材よりなる剛体製ワッフルスラブ構造のパッド保持基板2を軸承し、このパッド保持基板の環状下面に接着剤Sを介して可撓性ゴム膜19a表面に密着層19bが形成された積層構造の基板保持用パッド19を前記可撓性ゴム膜面が接着側となるように貼付して、前記パッド保持基板下面の断面円弧状凹部を流体室2cに形成し、この流体室2cに面する前記パッド保持基板の流体通路孔2bに前記剛体製アームの柄3aに設けた流体通路3bが連通しており、この流体室2cにより供給された加圧流体により前記積層構造の基板保持用パッド19が膨張(図2参照)する。この流体室2cより流体を排出することにより前記基板保持用パッド19が原型復帰できる構造(図1)とした半導体基板搬送用の基板保持用パッドを備えたアーム構造1である。
基板保持用パッドの可撓性ゴム19a膜素材としては、ゴム物質、ゴム物質と熱可塑性エラストマ−もしくは粘着性を有する熱可塑性樹脂の混合物が挙げられる。
ゴム物質としては、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、ブロム化スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、クロル化スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、ブロム化スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴムの水素添加物、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体ゴムの水素添加物、クロル化スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴムの水素添加物、ブロム化スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、クロル化スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、ブロム化スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴムの水素添加物、クロル化スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴムの水素添加物、フッ化ビニリデン・エチレン共重合体ゴム等が挙げられる。これらは架橋されていてもよい。
熱可塑性エラストマーまたは粘着性を有する熱可塑性樹脂としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、クロロ・スルホン化ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等が挙げられる。
混合物の場合、ゴム物質は両者中の10〜97重量%、好ましくは30〜85重量%、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂は90〜3重量%、好ましくは70〜15重量%の割合で用いられる。ゴム物質は、可撓性ゴム膜の延展性と、伸びに対する戻りの目的で、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂は、可撓性ゴム膜の強度、硬度、耐熱性向上の目的で使用される。ゴム物質、エラストマー、樹脂を含有する膜のマトリックス成分が常温(10〜30℃)で基板に対し、粘着性を示さないときは、プロセスオイル、石油樹脂、水素添加ヒマシ油、エポキシ化大豆油、アビエチン酸ロジン、ミルセン・マレイン化物、テルペン・フェノ−ル共重合体などの粘着付与物質を、膜のマトリックス成分のゴム物質、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対し、1〜10重量部を含有させる。
可撓性ゴム膜19aの物性としては、硬さ(JIS K−6301)が10〜100、
好ましくは35〜85、引張強度(JIS K−6301)が30〜200kgf/cm2
、好ましくは50〜150kgf/cm2、引張伸度(JIS K−6301)が50〜1000%、200〜800%、厚み 0.03〜3mm、好ましくは、0.05〜1.5
mmである。
半導体基板と直接接触する前記密着層19bは、ポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層、アクリル系樹脂粘着剤層、および、合成ゴム系粘着剤層より選らばれた密着層で形成され、この密着層と半導体基板間の剥離力(JIS K−6854に準拠)が10mN/12.7mm幅以下で、半導体基板を保持する前記基板保持用パッドを加工ステージより半導体基板と共に平行にずらす剪断力が1.0N/cm以上である。
密着層19bの厚みは、5〜100μm、好ましくは5〜30μmである。前記可撓性ゴム膜19aとの接着力が50gf/25mm幅以下より低いときは、接着剤、粘着剤、または、プライマーの0.5〜10μm層を可撓性ゴム膜19a上に設けてから密着層形成液状塗工剤を塗布し、乾燥させて密着層19bを形成させる。
前記密着層19bは、市場で販売されている剥離紙/粘着剤層/ベースフィルム/密着層19b/剥離紙積層体よりなる両面固定シート、例えば、フジコピアン株式会社からFIXFILM(商品名)シリーズのSTD1,STD2,HG1,HG2(密着層片面)グレード名で、HGW1,HGW2(密着層両面)、あるいは丸石産業株式会社より販売されている“Q-Chuck”シリーズ(商品名)の剥離紙/ポリオルガノシロキサン系
シリコーン樹脂粘着剤層、合成ゴム系粘着剤層またはアクリル系粘着剤層/ベースフィルム/密着層19b/剥離紙積層体もしくは剥離紙/ポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂粘着剤層、合成ゴム系粘着剤層またはアクリル系粘着剤層/密着層19b/剥離紙積層体を購入し、剥離紙を引き剥がしてから用いてもよい。
密着層19b素材としては、前述のゴム物質、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等の素材の外に、ポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層、重合ロジンエステル含有アクリル系樹脂粘着剤層、および、液状エポキシ樹脂ゴム、液状ブタジエンゴム、シリコーンゴム等の液状ゴムに石油樹脂、テルペン・フェノール共重合体、アロオシメン・テルペン・フェノール共重合体、マレイン酸変性アロオシメンの水素添加物、マレイン酸変性ミルセンの水素添加物、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の粘着剤およびポリ(四フッ化エチレン)、メラミン、イソシアヌル酸、メラミンイソシアヌレート複塩、タルク等の滑剤、炭酸カルシウムやカオリンクレイなどの充填剤を配合して粘着力を低下させた合成ゴム系粘着剤層より選らばれた密着層が使用できる。滑剤や充填剤の配合量、用いるアクリレートモノマーの種類およびその共重合モル比の調整により被保持材(半導体基板)との剥離力の値を調整できる。
密着層のポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂素材としては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端にのみビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを共重合および架橋させて得たポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂が利用できる。
架橋剤としては、オルガノハイドロジエンポリシロキサンが好ましい。
架橋促進剤としては、3−メチル−1−ブテン−3−オールが好ましい。
架橋反応に用いる白金系触媒としては、塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白
金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩などがあげられる。架橋反応して得たポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂は、シリコーンゲルのような柔軟性を持ったものとなり、この柔軟性が被着体である半導体基板wとの密着を容易にさせる。
このポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂から形成される密着層の硬度は、アスカーFP硬度25以上で、アスカーCSC2硬度で80以下である。
前記剛体製アーム3、柄3aの素材としては、アルミニウム、ポリアセタール樹脂、ガラス繊維補強エポキシ樹脂、PEEK等が軽量であるので適切である。
被保持材である半導体基板としては、シリコーン基盤、ガラス基盤、窒化珪素基盤、炭化珪素基盤、サファイア基盤等の基盤表面に配線プリントが施された半導体基板、TSV基板、SOI基板等が挙げられる。
本発明の半導体基板保持用のパッドを備えたアーム構造1は、従来のバキューム吸着搬送パッドや基板搬送ロボットのアームハンド構造に替えて使用される。また、基板保持用パッド構造を従来のキャリア構造の可撓性ゴム膜に替えて使用される。
半導体基板保持用のパッドを備えたアーム構造1の流体室2cに供給される流体としては、空気、窒素、炭酸ガス等の気体、水等の液体で、空気が安価であり、取り扱い易いので一番好ましい。加圧は、1.01〜3.5PKaの圧力で充分である。
加工ステージとしては、半導体基板収納カセット、ポーラスセラミック製バキュームチャック、半導体基板洗浄装置、エッチング装置などが挙げられる。
本発明の基板保持用パッドを備えたアーム構造1を用い、第一加工ステージ上に載置された半導体基板w面上に基板保持用パッド19をアーム軸を前進、後退、回転、上昇あるいは下降させることにより移動させ、ついで、必要により加圧室2cに加圧気体を供給して基板保持用パッド19面を半導体基板w面上に押し付けて半導体基板を基板保持用パッド19面に保持させる。保持後、必要により加圧空気を流体室より排気する。
然る後にアームの移動により半導体基板を保持する基板保持用パッド19を第二加工ステージ上へと移送する。
基板保持用パッド19とパッド保持基板2とで形成された前記流体室2cに加圧気体を供給して基板保持用パッド19を膨張させることにより前記半導体基板wを基板保持用パッド19面より離して前記第二加工ステージ上へ載せるように移送する。この剥離工程の際、半導体基板wを自然落下させるか、基板保持用パッド19を第二加工ステージ上より遠ざかる上方向へ上昇させる。
膨張した基板保持用パッド19面から半導体基板wが剥離した後、前記流体室2c内の加圧気体を排気して基板保持用パッド19面を収縮させて原型復帰させる。
半導体基板のプリント配線面を保護テープで被覆、あるいは、更に保護テープで被覆された半導体基板を補強リングや補強円板を用いて搬送するという従来の基板の搬送方法と比較して、直接、可撓性ゴム膜の膨張・収縮を利用して半導体基板のシリコーン、ガラス、サファイア等の基盤面をパッドで保持して移送できるので、保護テープ等の副材の利用が省かれる搬送方法である。
1 基板保持用パッドを備えたアーム構造
2 パッド保持基板
2a 断面円弧状凹部
2b 流体通路孔
2c 流体室
3 剛体製アーム
3a 柄
3b 流体通路
19 基板保持用パッド
19a 可撓性ゴム膜
19b 密着層
S 接着剤
w 半導体基板

Claims (2)

  1. 柄の長手方向部分に流体通路を有する非通気性素材よりなる剛体製アームに下面が断面円弧状凹部を有するとともに、流体通路孔を備える非通気性素材よりなる剛体製ワッフルスラブ構造のパッド保持基板を軸承し、このパッド保持基板の環状下面に接着剤を介して可撓性ゴム膜表面に密着層が形成された積層構造の基板保持用パッドを前記可撓性ゴム膜面が接着側となるように貼付して、前記パッド保持基板下面の断面円弧状凹部を流体室に形成し、この流体室に面する前記パッド保持基板の流体通路孔に前記剛体製アームの柄に設けた流体通路が連通しており、この流体室により供給された加圧流体により前記積層構造の基板保持用パッドが膨張し、この流体室より流体を排出することにより前記基板保持用パッドが原型復帰できる構造とした半導体基板搬送用の基板保持用パッドを備えたアーム構造であり、
    基板保持用パッドの可撓性ゴム膜表面に形成された前記密着層は、ポリオルガノシロキサン系シリコーン樹脂層、アクリル系樹脂粘着剤層、および、合成ゴム系粘着剤層より選らばれた密着層で形成され、この密着層と半導体基板間の剥離力(JIS K−6854に準拠)が10mN/12.7mm幅以下で、半導体基板を保持する前記基板保持用パッドを加工ステージより半導体基板と共に平行にずらす剪断力が1.0N/cm以上であることを特徴とする、基板保持用パッドを備えたアーム構造。
  2. 請求項1の基板保持用パッドを備えたアーム構造を用い、第一加工ステージ上に載置された半導体基板面上に基板保持用パッドを移動させ、
    ついで、基板保持用パッド面を半導体基板面上に押し付けて半導体基板を基板保持用パッド面に保持させ、
    然る後にアームの移動により半導体基板を保持する基板保持用パッドを第二加工ステージ上へと移送し、
    基板保持用パッドとパッド保持基板とで形成された前記流体室に加圧流体を供給して基板保持用パッドを膨張させることにより前記半導体基板を前記第二加工ステージ上へ載置する、
    ことを特徴とする、半導体基板の搬送方法。
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