JP2012197495A - 缶用表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解条件を制御して耐黄変性に優れたリン酸塩皮膜を形成させた缶用表面処理鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】
鋼帯を脱脂し、酸洗し、鋼帯表面に錫層を形成した後、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、前記鋼帯を陰極処理の後、陽極処理を行い、さらに、陰極処理、陽極処理を行うというサイクルを繰り返すPR電解処理を行い、前記錫層上に、1.8〜3.5mg/dm2のP付着量を含有したリン酸塩皮膜を形成させることを特徴とする。
また、前記PR電解処理のサイクルが、陽極処理で終了するようにしたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】
鋼帯を脱脂し、酸洗し、鋼帯表面に錫層を形成した後、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、前記鋼帯を陰極処理の後、陽極処理を行い、さらに、陰極処理、陽極処理を行うというサイクルを繰り返すPR電解処理を行い、前記錫層上に、1.8〜3.5mg/dm2のP付着量を含有したリン酸塩皮膜を形成させることを特徴とする。
また、前記PR電解処理のサイクルが、陽極処理で終了するようにしたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、飲料缶、食缶に使用される、耐酸化性に優れたリン酸塩皮膜を有する缶用表面処理鋼板の製造方法に関する。
缶用表面処理鋼板として、従来からぶりきと称される錫めっき鋼板は広く使われており、この錫めっき鋼板は、通常、ぶりき原板に錫めっきを施した後に、重クロム酸溶液中に浸漬あるいはこの溶液中で電解することによって化成処理するのが一般的であり、この化成処理によって錫めっき層の上に形成されたクロム酸化膜は、Sn酸化膜の成長を防止し、塗料密着性及び耐錆性を向上させる作用を有する。
このため、昨今の環境問題から、クロムを規制する動きが各分野で進行しており、缶用表面処理鋼板に対してもリン酸塩溶液中で化成処理する方法が使用されている。
缶用表面処理鋼板のリン酸塩溶液中で化成処理する技術としては、例えば、特許文献1(特開昭49−028539号公報)、特許文献2(特開昭52−068832号公報)、特許文献3(特開2008−202094号公報)に、リン酸系溶液中で錫めっき鋼板を陰極としてあるいは陰極処理後に陽極として直流電解することにより、錫めっき鋼板上にCrを含有しない化成皮膜を形成した錫めっき鋼板の表面処理法が開示されている。
また、特許文献4(特開昭57−070292号公報)にはリン酸系溶液中で錫めっき鋼板を陽極として直流電解する方法が、特許文献5(特開昭59−197596号公報)にはリン酸塩処理液中でパルス電流もしくは正逆反転サイクル(Periodic Reverse)電流で電解する方法が、特許文献6(特開平6−322592号公報)には、鋼材を陽極として、リン酸塩溶液中で直流電流をパルス状に印加してリン酸塩皮膜を形成する方法が開示されている。
このため、昨今の環境問題から、クロムを規制する動きが各分野で進行しており、缶用表面処理鋼板に対してもリン酸塩溶液中で化成処理する方法が使用されている。
缶用表面処理鋼板のリン酸塩溶液中で化成処理する技術としては、例えば、特許文献1(特開昭49−028539号公報)、特許文献2(特開昭52−068832号公報)、特許文献3(特開2008−202094号公報)に、リン酸系溶液中で錫めっき鋼板を陰極としてあるいは陰極処理後に陽極として直流電解することにより、錫めっき鋼板上にCrを含有しない化成皮膜を形成した錫めっき鋼板の表面処理法が開示されている。
また、特許文献4(特開昭57−070292号公報)にはリン酸系溶液中で錫めっき鋼板を陽極として直流電解する方法が、特許文献5(特開昭59−197596号公報)にはリン酸塩処理液中でパルス電流もしくは正逆反転サイクル(Periodic Reverse)電流で電解する方法が、特許文献6(特開平6−322592号公報)には、鋼材を陽極として、リン酸塩溶液中で直流電流をパルス状に印加してリン酸塩皮膜を形成する方法が開示されている。
しかし、上記先行技術文献に記載されたリン酸塩溶液中で化成処理したリン酸塩皮膜では、耐酸化性(黄変性)において、従来の重クロム酸溶液によって形成された化成皮膜に比べると、耐酸化性(耐黄変性)が十分に得られているとはいえない。
そこで、本発明は、電解条件を制御して耐黄変性に優れたリン酸塩皮膜を形成させた缶用表面処理鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、電解条件を制御して耐黄変性に優れたリン酸塩皮膜を形成させた缶用表面処理鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の缶用表面処理鋼板の製造方法は、鋼帯を脱脂、酸洗し、電気錫めっき及び錫の加熱溶融処理をして鋼帯表面に錫層を形成した後、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、前記鋼帯を陰極処理の後、陽極処理を行うPR電解処理を少なくとも1サイクル行い、前記錫層上に、1.8〜3.5mg/dm2のP付着量を含有したリン酸塩皮膜を形成させることを特徴とする。
(2)本発明の缶用表面処理鋼板の製造方法は、前記(1)において、前記PR電解処理のサイクルが、陽極処理で終了するようにしたことを特徴とする。
(2)本発明の缶用表面処理鋼板の製造方法は、前記(1)において、前記PR電解処理のサイクルが、陽極処理で終了するようにしたことを特徴とする。
本発明の表面処理鋼板の製造方法によれば、PR電解処理浴を用いて電解条件を制御することにより、耐酸化性(耐黄変性)に優れたリン酸塩皮膜を具備した缶用表面処理鋼板を提供することができる。
(鋼帯)
本発明において、表明処理鋼板として使用する鋼帯は特に制限を設ける必要はない。従来から缶用鋼板に使用されているアルミキルド鋼や低炭素鋼等の成分系の鋼帯が問題なく使用でき、鋼帯の厚みや調質度は、使用目的に適したグレードを適宜選択することができる。
本発明において、表明処理鋼板として使用する鋼帯は特に制限を設ける必要はない。従来から缶用鋼板に使用されているアルミキルド鋼や低炭素鋼等の成分系の鋼帯が問題なく使用でき、鋼帯の厚みや調質度は、使用目的に適したグレードを適宜選択することができる。
(錫層)
また、本発明においては、鋼帯の表面に錫層が形成されている。錫層は、これに限定されないが、錫量が0.6〜11.2g/m2の範囲となるように鋼帯表面に電気めっき等の手段により形成されていることが望ましい。
上記範囲の錫層が形成されていることにより、鋼帯自体の耐食性を向上させると共に、本発明のPR電解処理浴により形成されるリン酸塩皮膜との組み合わせにより、耐酸化性(耐黄変性)の向上を図ることが可能になる。
また、錫層は、電気錫めっき後、錫の加熱溶融処理をしたものでもよい。すなわち、鋼帯上に錫めっきしためっき層の鋼帯側の一部を加熱溶融処理によって錫鉄合金とし、錫めっき層/錫鉄合金層の二層構成にすることもできる。
また、本発明においては、鋼帯の表面に錫層が形成されている。錫層は、これに限定されないが、錫量が0.6〜11.2g/m2の範囲となるように鋼帯表面に電気めっき等の手段により形成されていることが望ましい。
上記範囲の錫層が形成されていることにより、鋼帯自体の耐食性を向上させると共に、本発明のPR電解処理浴により形成されるリン酸塩皮膜との組み合わせにより、耐酸化性(耐黄変性)の向上を図ることが可能になる。
また、錫層は、電気錫めっき後、錫の加熱溶融処理をしたものでもよい。すなわち、鋼帯上に錫めっきしためっき層の鋼帯側の一部を加熱溶融処理によって錫鉄合金とし、錫めっき層/錫鉄合金層の二層構成にすることもできる。
(リン酸塩皮膜の形成)
本発明においては、前記錫層を形成した鋼帯上にリン酸塩皮膜を形成する。リン酸塩皮膜の形成に用いるPR電解処理浴は、無機リン酸化合物を含有する水溶液として、リン酸、リン酸ナトリウム、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸などの1種または2種以上の混合液を用いることができる。
本発明においては、前記錫層を形成した鋼帯上にリン酸塩皮膜を形成する。リン酸塩皮膜の形成に用いるPR電解処理浴は、無機リン酸化合物を含有する水溶液として、リン酸、リン酸ナトリウム、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸などの1種または2種以上の混合液を用いることができる。
(PR電解処理浴中での電解処理の極性)
本発明において、リン酸塩皮膜の形成は、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、少なくとも1サイクルの正逆反転サイクル(Periodic Reverse)電流により電解するPR電解処理によって得ることができる。すなわち、上記錫層を形成した鋼帯を、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、陰極処理(C処理)の後、陽極処理(A処理)を行うPR電解処理を、1サイクル以上行うことによって得ることができる。
また、PR電解処理のサイクルの最終処理の鋼帯の極性を陽極とすることにより、耐酸化性(耐黄変性)を向上させることが可能になる。
本発明において、リン酸塩皮膜の形成は、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、少なくとも1サイクルの正逆反転サイクル(Periodic Reverse)電流により電解するPR電解処理によって得ることができる。すなわち、上記錫層を形成した鋼帯を、無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、陰極処理(C処理)の後、陽極処理(A処理)を行うPR電解処理を、1サイクル以上行うことによって得ることができる。
また、PR電解処理のサイクルの最終処理の鋼帯の極性を陽極とすることにより、耐酸化性(耐黄変性)を向上させることが可能になる。
(P付着量)
本発明においては、PR電解法により形成されるリン酸塩皮膜中に含有されるP付着量は、1.8〜3.5mg/dm2とすることが好ましく、1.8〜3.4mg/dm2とすることがより好ましい。1.8mg/dm2未満であれば、PR電解法により生成させるP付着量が不安定となり、均質なリン酸塩皮膜を得ることが困難なため、十分な耐黄変性を得ることが困難である。一方、P付着量が3.5mg/dm2を超えた場合は、耐黄変性は良好となるが、PR電解法により形成されるリン酸塩皮膜が疎で脆くなるため、このようなリン酸塩皮膜の凝集破壊により密着性は低下するので、好ましくない。
本発明においては、PR電解法により形成されるリン酸塩皮膜中に含有されるP付着量は、1.8〜3.5mg/dm2とすることが好ましく、1.8〜3.4mg/dm2とすることがより好ましい。1.8mg/dm2未満であれば、PR電解法により生成させるP付着量が不安定となり、均質なリン酸塩皮膜を得ることが困難なため、十分な耐黄変性を得ることが困難である。一方、P付着量が3.5mg/dm2を超えた場合は、耐黄変性は良好となるが、PR電解法により形成されるリン酸塩皮膜が疎で脆くなるため、このようなリン酸塩皮膜の凝集破壊により密着性は低下するので、好ましくない。
以下、本発明を、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
(鋼帯)
低炭素冷延鋼板を鋼帯1として、アルカリ水溶液中で脱脂、水洗、硫酸酸洗し、水洗した後、5.6g/m2の錫めっき層を鋼帯上に形成した。
さらに、鋼帯上の錫めっきを加熱溶融処理(リフロー処理)を行うことにより、錫めっき層の鋼帯側の一部を錫鉄合金とし、錫めっき層/錫鉄合金層の二層構成の鋼板とした。
この鋼板上に、下記の実施例に示すように、種々の方法によってリン酸塩皮膜を形成した。
実施例においては、リン酸:10g/L、リン酸ナトリウム:30g/LのPR電解処理浴を用い、浴温を40℃、電流密度を2〜5A/dm2の条件で、サイクル数を変えてPR電解処理を施した。
(鋼帯)
低炭素冷延鋼板を鋼帯1として、アルカリ水溶液中で脱脂、水洗、硫酸酸洗し、水洗した後、5.6g/m2の錫めっき層を鋼帯上に形成した。
さらに、鋼帯上の錫めっきを加熱溶融処理(リフロー処理)を行うことにより、錫めっき層の鋼帯側の一部を錫鉄合金とし、錫めっき層/錫鉄合金層の二層構成の鋼板とした。
この鋼板上に、下記の実施例に示すように、種々の方法によってリン酸塩皮膜を形成した。
実施例においては、リン酸:10g/L、リン酸ナトリウム:30g/LのPR電解処理浴を用い、浴温を40℃、電流密度を2〜5A/dm2の条件で、サイクル数を変えてPR電解処理を施した。
(P付着量の測定)
PR電解処理によって形成されたリン酸塩皮膜中のP付着量は、予め作成した検量線を用いて、蛍光X線強度から測定した。
PR電解処理によって形成されたリン酸塩皮膜中のP付着量は、予め作成した検量線を用いて、蛍光X線強度から測定した。
(耐黄変性の評価)
耐黄変性は、リン酸塩皮膜を形成した表面処理鋼板を室温で1週間経時させた後、色差計(ミノルタ株式会社製分光測色計CM−3500d)を用いて、L、a、b値(黄変度)を測定し、黄色味を示すb値で評価した。
また、同時に外観観察し黄変の発生程度を評価した。
b値=0〜4:黄変発生せず良好(表1中の黄変性の欄に○で表記した)
b値=4〜10:黄変発生使用上可(表1中の黄変性の欄に△で表記した)
b値=10以上:黄変発生不良(表1中の黄変性の欄に×で表記した)
耐黄変性は、リン酸塩皮膜を形成した表面処理鋼板を室温で1週間経時させた後、色差計(ミノルタ株式会社製分光測色計CM−3500d)を用いて、L、a、b値(黄変度)を測定し、黄色味を示すb値で評価した。
また、同時に外観観察し黄変の発生程度を評価した。
b値=0〜4:黄変発生せず良好(表1中の黄変性の欄に○で表記した)
b値=4〜10:黄変発生使用上可(表1中の黄変性の欄に△で表記した)
b値=10以上:黄変発生不良(表1中の黄変性の欄に×で表記した)
[実施例1〜6]
実施例1〜6においては、上記PR電解処理浴中で電流密度を2、3、5A/dm2と変化させ、下記のようにPR電解処理を施した。PR電解処理は、図1に示す波形を用い、C処理の後、A処理を行うサイクルで実施しA処理で終了するようにした。
PR電解サイクル数を1回とした場合、ON-Time(図1中、陽極処理時間a、陰極処理時間cで示す電解処理時間)を0.44秒とし、OFF-Time(図1中、b、dで示す電解処理を休止する時間)を0.5秒とした。
また、PR電解サイクル数を2回とした場合、ON-Time(図1中、陽極処理時間a、陰極処理時間c)を0.22秒とし、OFF-Time(図1中、b、dで示す電解処理を休止する時間)を0.25秒とした。
例えば、図1に示す例では、最初、5A/dm2の電流密度で陰極処理し、OFF-Timeを設けた後、5A/dm2の電流密度で陽極処理をし、OFF-Timeを設け、このようなサイクルで、各種の陰極・陽極処理時間によってPR電解処理を繰り返した。
実施例1〜6においては、上記PR電解処理浴中で電流密度を2、3、5A/dm2と変化させ、下記のようにPR電解処理を施した。PR電解処理は、図1に示す波形を用い、C処理の後、A処理を行うサイクルで実施しA処理で終了するようにした。
PR電解サイクル数を1回とした場合、ON-Time(図1中、陽極処理時間a、陰極処理時間cで示す電解処理時間)を0.44秒とし、OFF-Time(図1中、b、dで示す電解処理を休止する時間)を0.5秒とした。
また、PR電解サイクル数を2回とした場合、ON-Time(図1中、陽極処理時間a、陰極処理時間c)を0.22秒とし、OFF-Time(図1中、b、dで示す電解処理を休止する時間)を0.25秒とした。
例えば、図1に示す例では、最初、5A/dm2の電流密度で陰極処理し、OFF-Timeを設けた後、5A/dm2の電流密度で陽極処理をし、OFF-Timeを設け、このようなサイクルで、各種の陰極・陽極処理時間によってPR電解処理を繰り返した。
実施例1〜6において製造した表面処理鋼板を室温で1週間経時させたところ、b値は全て4以下となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変は発生せず良好であった。これらの評価結果を表1及び図2に示す。
評価結果に示すように、PR電解処理によるP付着量が1.8〜3.4mg/m2の表面処理鋼板は、室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は全て4以下であり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変は発生せず良好であった。
評価結果に示すように、PR電解処理によるP付着量が1.8〜3.4mg/m2の表面処理鋼板は、室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は全て4以下であり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変は発生せず良好であった。
また、PR電解処理の波形は、正逆の陽極・陰極処理の間に、OFF-Timeを設けることが好適である。OFF-Timeを設けることにより、図3に示すような、リン酸塩処理を連続的に行う装置に適用することが可能となり、高速生産性に適する。
OFF-Timeの時間は、P付着量を左右するものではないので、その時の用いる装置の仕様、必要性に応じて適宜設定することが可能である。
正逆反転サイクル数は、所望するP付着量に応じて設定すれば良く、また、処理タンク4の数の変更、あるいは電極3の分割によるサイクル数を変更しても良い。
なお、図4に示すような電解処理波形を採用することにより、OFF-Time設けずに正逆反転サイクルを連続して行うこともできる。
OFF-Timeの時間は、P付着量を左右するものではないので、その時の用いる装置の仕様、必要性に応じて適宜設定することが可能である。
正逆反転サイクル数は、所望するP付着量に応じて設定すれば良く、また、処理タンク4の数の変更、あるいは電極3の分割によるサイクル数を変更しても良い。
なお、図4に示すような電解処理波形を採用することにより、OFF-Time設けずに正逆反転サイクルを連続して行うこともできる。
[比較例1〜3]
比較例1〜3においては、図5に示す直流電解による連続電解処理を施した。鋼帯の極性を陰極(C)とし、0.44秒間連続通電により処理をしたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表2及び図2に示す。P付着量が1.1mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は14.3〜14.9となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
比較例1〜3においては、図5に示す直流電解による連続電解処理を施した。鋼帯の極性を陰極(C)とし、0.44秒間連続通電により処理をしたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表2及び図2に示す。P付着量が1.1mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は14.3〜14.9となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
[比較例4〜6]
比較例4〜6においては、図5に示すような直流電解による連続電解処理を施し、鋼帯の極性を陽極(A)とし、0.44秒間連続通電により処理をしたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表2及び図2に示す。P付着量が0.8〜0.9mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は15.8〜16.7となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
比較例4〜6においては、図5に示すような直流電解による連続電解処理を施し、鋼帯の極性を陽極(A)とし、0.44秒間連続通電により処理をしたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表2及び図2に示す。P付着量が0.8〜0.9mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は15.8〜16.7となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
[比較例7]
比較例7においては、図6に示すようなパルス電解により、鋼帯の極性を陰極(C)とし、ON-Time(図6のc)を0.44秒、OFF-Time(図6のb)を0.5秒とし、2サイクルのパルス電解したこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表3及び図2に示す。P付着量が1.2mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は14.4となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
比較例7においては、図6に示すようなパルス電解により、鋼帯の極性を陰極(C)とし、ON-Time(図6のc)を0.44秒、OFF-Time(図6のb)を0.5秒とし、2サイクルのパルス電解したこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表3及び図2に示す。P付着量が1.2mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は14.4となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
[比較例8〜13]
比較例8〜13においては、鋼帯の最終処理極性を陰極(C)としたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表3及び図2に示す。P付着量が1.3〜2.0mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は11.0〜15.2となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
比較例8〜13においては、鋼帯の最終処理極性を陰極(C)としたこと以外は、実施例1〜6と同様の条件で電解処理をした。
耐黄変性の評価結果を表3及び図2に示す。P付着量が1.3〜2.0mg/m2の表面処理鋼板を室温で1週間経時したところ、黄色味を示すb値は11.0〜15.2となり、鋼帯の表面に錫の酸化による黄変が発生した。
本発明の表面処理鋼板の製造方法によれば、PR電解処理浴を用いて電解条件を制御することにより、耐黄変性に優れたリン酸塩皮膜を形成させることができ、産業上の利用可能性が極めて高い。
a 陽極処理時間
b、d OFF-Time
c 陰極処理時間
1 鋼帯
3 電極
4 処理タンク
b、d OFF-Time
c 陰極処理時間
1 鋼帯
3 電極
4 処理タンク
Claims (2)
- 鋼帯を脱脂し、酸洗し、鋼帯表面に錫層を形成した後、
無機リン酸化合物を含有するPR電解処理浴中で、
前記鋼帯を陰極処理の後、陽極処理を行うPR電解処理を少なくとも1サイクル行い、
前記錫層上に、1.8〜3.5mg/dm2のP付着量を含有したリン酸塩皮膜を形成させることを特徴とする缶用表面処理鋼板の製造方法。 - 前記PR電解処理のサイクルが、
陽極処理で終了するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の缶用表面処理鋼板の製造方法。
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