JP2012193716A - 遠心圧縮機のスクロール構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクロール流路13の軸方向断面形状は略円形形状からなり、該略円形形状へ接続するディフューザ出口を円形形状への接線位置より円形中心側であって該円形中心に達しない位置にシフトし、円形形状はディフューザ出口11a位置に対して軸方向に大きく張り出したスクロール室30と、該スクロール室30とは反対方向に略円形形状の残りの部分を形成したシフト室32とによって構成され、シフト室32は少なくとも渦巻きの周方向における巻き終わり部19のスクロール流路13に形成されることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
この遠心圧縮機は広い運転範囲において高圧力比と高効率化が要求され、スクロール構造について種々の工夫がされている。
図12、13に示すようにコンプレッサの羽根車01の外周側にディフューザ02が形成され、その外周側にスクロール流路03が設けられており、そのスクロール流路03の断面形状は一般的には、円形形状に形成され、スクロール流路03の巻き始めと巻き終わりの流路接続部04は、舌部05の部分で接続される。また巻き終わり以降は出口流路06を通って吐出されるようになっている。
舌部05においては、流路接続部04が図13の斜線で示すように円形部09と該円形部09に接するようにディフューザ02の出口部011が接続した形状となっている。
このため、図9(a)に示すようにディフューザ出口流れAの向きを、スクロール流路内旋回流れBの流れに適合でき、ディフューザ出口流れAとスクロール流路内旋回流れBとの干渉が防止され、該干渉に起因して生じる舌部近傍におけるはく離の発生が抑制される。
一方、高流量運転時の流れ場では、逆に、スクロール流路の舌部近傍から出口流路に向かって圧力が低下するため、舌部近傍においては、出口流路に向かう流れが生じる(図11(b)の矢印Y、スクロール流路内旋回流れBを伴って旋回しながら矢印Y方向に流れる)。
このようにシフト室が全周にわたって形成されるため、前記巻き始め部分や、巻き終わり部分にシフト室を形成することによって得られる作用効果を得つつ、さらに、シフト室を周方向の一部に形成するよりも、製造が容易化され、さらに、シフト室を周方向の一部に形成するよりもスクロール流路の周方向流れに対する損失を抑えることができる。
このため、図9(a)に示すようにディフューザ出口流れAの向きを、スクロール流路内旋回流れBの流れに適合でき、ディフューザ出口流れAとスクロール流路内旋回流れBとの干渉が防止され、該干渉に起因して生じる舌部近傍におけるはく離の発生が抑制され損失低減効果を向上できる。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の遠心圧縮機1の軸方向断面の概要図を示す。本実施形態はターボチャージャに適用される遠心圧縮機1を示すものであり、図示しないタービンに駆動された回転軸3に固定されたハブ5の表面に複数のコンプレッサ翼7が立設され、そのコンプレッサ翼7の外側をコンプレッサハウジング9が覆っている。また、コンプレッサ翼7の外周側にディフューザ11が形成され、さらに、このディフューザ11の周囲にはスクロール流路13が形成されて接続されている。
また、スクロール流路13は、スクロール流路13の回転軸3の軸方向の断面形状が略円形形状からなっている。また、本実施形態では、巻き角度θは、図2のように水平位置をθ=0°として、スクロール流路13の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部23の舌部25の位置とコンプレッサホイール8の回転軸中心Xとを結ぶ線が略θ=60°に設定されている。
図3(a)に示すように、スクロール流路13における巻き始め部17と巻き終わり部19とが交差する流路接続部23の断面形状は、巻き始め部17においては、略円形形状へ接続するディフューザ11の出口部11aを円形形状の接線位置に接続しており、その円形形状への接線状態による接続関係は巻き角度θが約360°=0°まで続く。
なお、スクロール室30とシフト室32とを合わせたスクロール流路断面形状は全体として略円形形状であるが、円形に近い長円形状や楕円形状等も含むものである。
また、シフト室32の下面は、円弧面ではなく、ディフューザ11の底面11bの端部より傾斜角αの傾斜面で形成されていてもよい。
なお、上記シフト室32下面に設けられる円弧面または傾斜面は、図3(b)のようにコンプレッサハウジング9に設けず、図3(c)のようにベアリングハウジング50に設けられていてもよい。
このため、図9(a)に示すように、ディフューザ11の出口部11aを円形形状への接線位置より円形中心側であって該円形中心に達しない位置にシフトさせている。
このため、図9(a)に示すようにディフューザ出口流れAの向きを、スクロール流路内旋回流れBの流れに適合でき、ディフューザ出口流れAとスクロール流路内旋回流れBとの干渉が防止され、該干渉に起因して生じる舌部近傍におけるはく離の発生が抑制される。
その結果、稜線部分において生じるディフューザ出口流れAとスクロール流路内旋回流れBとの干渉が抑制され、該干渉に起因して生じるはく離の発生が抑制され、流れ損失を低減できる。
具体的には図8のL1の点線に示すように、巻き角度θが約180°の位置からシフトを開始して、約360°=0°の位置で所定のシフト量δに達して、その後巻き終わり部19ではその所定のシフト量δが保持される。
次に、図4を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態のシフト室32に加えてシフト室34を、さらに巻き始め部17のスクロール流路13に形成することを特徴とする。
図4に示すように、巻き角度θがθ1、θ2、θ3の範囲である巻き始め部17において、第1実施形態で説明したシフト室32と同様のシフト室34が形成される。またシフト室34の下面は、円弧面ではなく、ディフューザ11の底面11bの端部より傾斜角αの傾斜面で形成されもよい。
シフト量δは、上記記載ではθ=180°でゼロとしたが、これは、一例を示すものでθは設計条件にて変わりうるものである。
一方、高流量運転時の流れ場では、逆に、スクロール流路13の舌部25の近傍から出口流路15に向かって圧力が低下するため、舌部25の近傍においては、出口流路15に向かう流れ(図11(a)の矢印Z)が生じる。スクロール流路内旋回流れBを伴って旋回しながら矢印Y方向に流れる。
次に、図5を参照して、第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、第1および第2実施形態に加えてシフト室36を、周方向全体にわたってスクロール流路13に形成することを特徴とする。
また、シフト室36の下面は、円弧面ではなく、ディフューザ11の出口で11aの底面の端部より傾斜角αの傾斜面で形成されていてもよい。この点は第1、2実施形態と同様である。
また、図3(c)の如く、ベアリングハウジング50で傾斜面を形成する場合、ベアリングハウジング50を周方向に均一に切削加工することができ、製造が特に容易となるメリットがある。
すなわち、スクロールを鋳造で製作する場合、スクロール流路相当部に中子が設置されるが、中子は鋳型の中に置くだけであるため、その姿勢は非常に不安定である。このため、鋳造スクロールでは、ディフューザ低面との不一致により、流路の急拡大や段差を生じることがある。
次に、図6を参照して、第4実施形態について説明する。
この第4実施形態は、巻き始め部17がスクロール流路13の巻き終わり部19へ接続する開口部39の形状が、ディフューザ11の出口部11aの幅と同一高さを有した扁平形状に形成され、該扁平形状の一方面にシフト室が設けられ、該シフト室の高さが周方向に沿って変化することを特徴とする。
そして、シフト室を、巻き終わり部に設ける場合と、巻き終わり部と巻き始め部との両方に設ける場合と、周方向全体に設ける場合の3つの例について次に説明する。なお、この3例は、それぞれ前述した第1〜3実施形態に対応するものである。
このシフト室38aは、第1実施形態と同様に巻き終わり部19におけるスクロール流路13に設けられている。断面形状は、図3のθn、θn−1の位置の形状で例示すように、ディフューザ11の出口部11aの底面11bより、シフト量δだけ下方にシフトされている。
また、シフト室38aの下面は、円弧面ではなく、ディフューザ11の底面11bの端部より傾斜角αの傾斜面で形成されていてもよい。シフト量δやシフト位置については第1実施形態の説明と同様である。
次に、図7を参照して、第5実施形態について説明する。
この第5実施形態は、第4実施形態の変形例であり、巻き始め部17がスクロール流路13の巻き終わり部19へ接続する開口部39の形状が、ディフューザ11の出口部11aの幅と同一高さを有した扁平形状に形成され、該扁平形状の一方面にシフト室40が設けられ、該シフト室40の高さが周方向に沿って変化する点については、第4実施形態と同様である。
3 回転軸
5 ハブ
7 コンプレッサ翼(羽根車)
8 コンプレッサホイール
9 コンプレッサハウジング
11 ディフューザ
11a ディフューザの出口部
11b ディフューザの底面
13 スクロール流路
15 出口流路
17 巻き始め部
19 巻き終わり部
23 流路接続部
25 舌部
30 スクロール室
32、34、36、38a、38b、38c、40 シフト室
39 扁平形状部
A ディフューザ出口流れ
B スクロール流路内旋回流れ
E スクロール流路内への流入流れ
δ シフト量
θ 巻き角度
Claims (5)
- 羽根車の外周側に設けられたディフューザと、該ディフューザの外周と接続して渦巻き状に形成されたスクロール流路とを備えた遠心圧縮機のスクロール構造において、前記スクロール流路の軸方向断面形状は略円形形状からなり、該略円形形状へ接続するディフューザ出口を円形形状への接線位置より円形中心側であって該円形中心に達しない位置にシフトし、前記略円形形状はディフューザ出口位置に対して軸方向に大きく張り出したスクロール室と、該スクロール室とは反対方向に前記略円形形状の残りの部分を形成したシフト室とによって構成され、前記シフト室は少なくとも渦巻きの周方向における巻き終わり部分のスクロール流路に形成されることを特徴とする遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記シフト室は、前記巻き終わり部分から周方向に略180度前の位置からシフトを開始し、略360度位置で最大となるように増大し、周方向角度の増大に従って線形または放物線状にシフト量を増大することを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記シフト室は、さらに巻き始め部分のスクロール流路に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記巻き始め部分のスクロール流路の巻き終わり部分への接続開口の形状が、ディフューザ出口の幅と同一高さを有した扁平形状に形成され、該扁平形状の一方面に前記シフト室が設けられ、該シフト室の高さが周方向に沿って変化することを特徴とする請求項3記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記シフト室は、周方向全体にわたってスクロール流路に形成されることを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
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