JP2012193430A - 超硬質合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速切削や高送り切削においても、耐摩耗性や耐欠損性や耐溶着性に優れ、さらに従来の超硬合金よりもWCの使用量が少ない超硬質合金を提供する。
【解決手段】 WC、Ti(C,N)、(Ta,Nb)C(但し、Nb=0の場合を含む。)及びMoCを含む硬質相成分の量が80重量%〜92重量%、Co及び/又はNiの結合相成分の量が8重量%〜20重量%の範囲、硬質相成分のMoCの量が5重量%〜15重量%、Ti(C,N)の量が8重量%〜35重量%の範囲である超硬質合金であって、合金組織が、WC相と、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相(但し、Nb=0の場合を含む。)と、Ti(C,N)相と、結合相の4相で構成され、WC相の平均粒径が0.8μm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、切削工具等に用いられる超硬質合金に関し、特に、従来の超硬合金よりもWCの使用量の少ない超硬質合金において、高速切削や高送り切削においても、耐摩耗性や耐欠損性や耐溶着性に優れた特性を有するようにした点に特徴を有するものである。
従来から、切削工具等に用いる切削加工用の材料に、WC、TiC、(Ta,Nb)Cの硬質相成分とCo及び/又はNiの結合相成分とを含む超硬合金が耐摩耗性や耐欠損性に優れているとして広く使用されている。
ここで、このような超硬合金の組織は、WC相と、一般にβ相と呼ばれる立方晶からなる(W,Ti,Ta,Nb)C相と、結合相との3相からなることが知られている。
しかし、近年においては、切削工具等により切削加工を行うにあたり、さらなる高速切削や高送り切削が行われるようになり、上記のような超硬合金を用いた場合においても、十分な耐摩耗性や耐溶着性を得ることができないという問題があり、耐摩耗性や耐溶着性をさらに改善することが要望されるようになった。
また、高速切削用の材料として、TiCNを主体とするサーメットが開発され、このサーメットの組織は、TiCNを主成分とする芯部と(Ti、M)CNを主成分とする周辺組織(Mは周期律表IVa、Va、VIa族の元素)とからなるいわゆる有芯構造の硬質相と、結合相とからなることが知られている。
しかし、TiCNが多く含まれるサーメットは、上記のWCを主体とする超硬合金に比べてその強度が低く、また熱伝導度も低いために、高送り切削や高速で断続切削した場合に、欠損が生じやすい等の問題があった。
また、近年においては、WC原料の高騰と省資源の面から、WCを他の化合物で置き換えて、WCの使用量を減少させた超硬質合金の開発が進んできている。
そして、本出願人は、先の出願である特許文献1において、耐欠損性に優れているWCを主体とする超硬合金と、耐摩耗性に優れているサーメットの両方の特性を持たせた超硬質合金として、組織構成がWC相、(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相(但し、Nb=0の場合を含む)、Ti(C,N)相、結合相の4相からなる超硬質合金を提案した。
しかし、このような超硬質合金に対しても、さらなる耐摩耗性の改善が要求されている。
特開2009−275237号公報
本発明は、上記の特許文献1で示されるWCを主体とする超硬合金とサーメットの両方の特性を持った、WC相と(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相とTi(C,N)相及び結合相の4相からなる超硬質合金において、耐欠損性や耐溶着性を低下させることなく、さらに耐摩耗性を著しく向上させた超硬質合金を提供することを課題とするものである。
本発明においては、上記のような課題を解決するため、WC、Ti(C,N)、(Ta,Nb)C(但し、Nb=0の場合を含む。)及びMoCを含む硬質相成分と、Co及び/又はNiの結合相成分とを含む超硬質合金において、上記の硬質相成分のMoCの量が5重量%〜15重量%、Ti(C,N)の量が8重量%〜35重量%の範囲であって、硬質相成分の総量が80重量%〜92重量%の範囲であり、また結合相成分の量が8重量%〜20重量%の範囲であり、その合金組織が、WC相と、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相(但し、Nb=0の場合を含む。)と、Ti(C,N)相と、結合相の4相で構成されると共に、この合金組織中におけるWC相の平均粒径が0.8μm以下であるようにした。なお、上記の合金組織中におけるWC相の平均粒径は、フルマンの式を用いて算出した値である。
ここで、本発明の超硬質合金において、上記の硬質相成分のMoCの量を5重量%〜15重量%の範囲になるようにしたのは、MoCの量を5重量%以上添加すると、超硬質合金原料を焼結させて超硬質合金を製造する際に、WC相の粒成長が著しく抑制されて、上記のように合金組織中におけるWC相の平均粒径が0.8μm以下になるように抑制することができ、この超硬質合金を切削工具に用いた場合に耐摩耗性が著しく改善される。一方、MoCの量が15重量%を超えると、相対的に硬質相成分のWC量やTiCN量が減少して、耐磨耗性や耐欠損性が悪くなるためである。
なお、上記のMoCに代えて、従来の超硬合金において、WC相の粒成長を抑制するのに使用されているCrやVの炭化物であるCrやVCを添加させる場合、これらの添加量が少ないと、超硬質合金原料を焼結させて超硬質合金を製造する際に、WC相の粒成長を抑制する効果は顕著ではなく、またこれらを5重量%以上添加させると、これらの炭化物あるいは複炭化物が形成されて、これらが合金組織中に単独で析出し、超硬質合金の強度が著しく低下するという問題が生じる。このため、CrやVの炭化物ではなく、MoCを5重量%〜15重量%の範囲で添加させることが必要になる。
また、本発明の超硬質合金において、超硬質合金における硬質相成分として、上記のようにTi(C,N)を添加させると、従来のβ相と呼ばれる立方晶からなる(W,Ti,Ta,Nb)C相の粒成長が抑制され、合金組織が細かくなって超硬質合金の耐磨耗性が向上するようになる。
そして、このTi(C,N)をある程度以上添加させると、前記のβ相が上記の(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相に変化すると共に、合金組織中に、WC相と(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相と結合相の他に、単独のTi(C,N)相が出現して4相になる。そして、このTi(C,N)相により、超硬質合金の高温での化学的安定性や高速切削時の耐溶着性が著しく改善され、切削加工時に、より美しい加工面が得られるようになると共に、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相の粒成長も抑制されて、合金組織が細かくなり、超硬質合金の耐摩耗性がさらに向上するようになる。
一方、Ti(C,N)の添加量が多くなりすぎると、WC相の面積比率が減少して、この超硬質合金における強度や熱伝導度が低下し、Ti(C,N)の添加量をさらに多くすると、その詳しい機構は不明であるが、WCが全て(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相中に固溶されて、合金組織中にWC相が存在しなくなり、さらにTiCN粒子の周りにWC、TaNbCやMoCを含んだ相が形成されて、硬質相成分がいわゆる有芯構造を有するようになり、この有芯構造の硬質相と結合相の2相の合金組織となって、超硬質合金の熱伝導度や強度が大きく低下する。
このため、本発明の超硬質合金においては、硬質相成分のTi(C,N)の量が8重量%〜35重量%の範囲になるようにしたのである。
なお、硬質相成分として添加させるTi(C,N)におけるC/N比については特に限定されず、例えば、C/N比が7/3、5/5、3/7のもの等を用いることができる。但し、Ti(C,N)におけるC/N比が高くなるほど、硬質相成分のWCや(Ta,Nb)Cと反応して、前記の(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相が形成されやすくなり、合金組織中にTi(C,N)相として残る割合が低下する。
一方、Ti(C,N)におけるC/N比が低くなるほど、前記の(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相を形成しにくくなり、合金組織中にTi(C,N)相として残る割合が高くなるが、焼結性が悪くなると共に、焼結中に脱窒が生じてポアが発生しやすくなる。但し、この場合、焼結後に不活性ガス中において約5MPaの高圧で処理するシンターピップ処理や、焼結後に約120MPaの高圧下で再度高温処理するHIP処理を行うことにより、上記のようなポアの発生を防止することができる。
また、本発明の超硬質合金において、硬質相成分の総量が80重量%〜92重量%、結合相成分の量が8重量%〜20重量%の範囲になるようにしたのは、結合相成分の量が8重量%未満になると、超硬質合金の強度が低下して耐欠損性が低下する一方、結合相成分が20重量%を越えると、超硬質合金の硬度が低下して、十分な耐磨耗性が得られなくなるためである。
また、本発明の超硬質合金においては、上記の相成分中に、周期律表IVa、Va、VIa族(但し、W,Ti,Ta,Nb,Moを除く。)の化合物を2重量%以下含有させることができる。
ここで、上記の化合物としては、炭化物や窒化物や炭窒化物を用いることができる。そして、例えば、CrやVの炭化物を2重量%以下の量で添加した場合には、上記のMoCと相俟って、WC相の粒成長がより一層抑制されるようになる。しかし、CrやVの炭化物を添加させる量が2重量%を超えると、合金組織中にCrやVの炭化物やこれらの複炭化物が析出して、超硬質合金の強度が低下する。
本発明の超硬質合金においては、上記のように硬質相成分のMoCの量が5重量%〜15重量%、Ti(C,N)の量が8重量%〜35重量%の範囲であって、硬質相成分の総量が80重量%〜92重量%の範囲であり、結合相成分の量が8重量%〜20重量%の範囲であり、その合金組織が、WC相と、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相(但し、Nb=0の場合を含む。)と、Ti(C,N)相と、結合相の4相で構成されると共に、この合金組織中におけるWC相の平均粒径が0.8μm以下になるようにしたため、従来の超硬合金に比べて、WCの使用量を少なくすることができると共に耐摩耗性や耐溶着性や大きく向上し、またサーメットに比べて耐欠損性が大きく向上し、さらに前記の特許文献1に示した超硬質合金に比べても、耐欠損性や耐溶着性が低下することなく、耐摩耗性が大きく向上し、鋼やステンレスの高速切削や高送り切削においても、摩耗や欠損や切屑の溶着が適切に防止されるようになった。
平均粒径が0.75μmのWC粉末を用いて作製した実施例2の超硬質合金の組織状態を示した図である。 平均粒径が0.75μmのWC粉末を用いて作製した比較例2の超硬質合金の組織状態を示した図である。
次に、本発明に係る超硬質合金について、実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施例に係る超硬質合金を用いたチップを正面フライスに使用してフライス加工と旋削加工とを行った場合に、チップにおける摩耗や欠損や切屑の溶着が防止されることを、比較例を挙げて明らかにする。なお、本発明に係る超硬質合金は、特に下記の実施例に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1〜8及び比較例1〜14)
実施例1〜8及び比較例1〜14においては、硬質相成分として、平均粒径が0.20μmと0.56μmと0.75μmの3種類のWC粉と、平均粒径が1.5μmでC/N比が5/5のTi(C,N)粉と、平均粒径が1.2μmでTa/Nb比が2/1の(Ta,Nb)C粉と、結合相成分として、平均粒径が1.3μmのCo粉を用いるようにした。
また実施例1〜8及び比較例2、3、7、9〜14においては、硬質相成分として平均粒径が2.5μmのMoC粉を、実施例6及び比較例6、14においては、結合相成分として平均粒径が1.5μmのNi粉を用いるようにした。さらに、周期律表IVa、Va、VIa族(但し、W,Ti,Ta,Nb,Moを除く。)の化合物であるその他の成分として、実施例4及び比較例4においては、平均粒径が1.2μmのVC粉を、実施例5及び比較例5においては、平均粒径が1.2μmのCr粉を用いるようにした。なお、実施例1〜8及び比較例2、3、7、9〜14においては、硬質相成分としてMoC粉を用いるようにしたが、MoC粉に代えてMo粉を用い、下記の焼成時にこのMo粉を炭化させるようにすることもできる。
そして、実施例1〜8及び比較例1〜14においては、上記の硬質相成分と結合相成分とその他の成分とを、それぞれ下記の表1に示す重量比になるように配合し、混合溶剤にアセトンを使用し、超硬合金製ボールを用いたボールミルにより、それぞれ48時間混合させた後、各混合物に対してそれぞれ2重量%のパラフィンを添加し、これを乾燥させて各超硬質合金の原料粉末を得た。
なお、表1に示すように、実施例1〜8と比較例1〜8とは、MoC粉の量を変更させた対応する関係にあり、実施例2〜6と対応する比較例2〜6においては、実施例2〜6において硬質相成分として用いたMoC粉の全部又は一部を硬質相成分のWC粉に変更させ、また実施例7と対応する比較例7においては、実施例7において硬質相成分として用いたMoC粉の一部を硬質相成分のWC粉とTi(C,N)粉とに変更させ、また実施例1,8と対応する比較例1,8においては、実施例1,8において硬質相成分として用いたMoC粉の全部を硬質相成分のWC粉と結合相成分のCo粉とに変更させた。
次いで、上記のようにして得た各超硬質合金の原料粉末をそれぞれ所定の形状にプレス成形した後、それぞれアルゴン雰囲気中で100Paの減圧下において1450℃で60分間焼結させて、各超硬質合金を得た。
そして、上記のようにして得た各超硬質合金の面を鏡面仕上げし、鏡面仕上げされた面について、走査型電子顕微鏡(SEM)により8000倍のCOMPO像を撮影して、各超硬質合金の組織構造を調べ、その結果を下記の表1に示した。
この結果、実施例1〜8及び比較例1〜12の各超硬質合金においては、その合金組織が、WC相と、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相又は(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相と、Ti(C,N)相と、結合相の4相構造になっていたのに対して、比較例13の超硬質合金においては、Ti(C,N)粉の量が少なかったため、その合金組織中にTi(C,N)相が形成されず、Ti(C,N)相のない3相構造となっており、また比較例14の超硬質合金においては、Ti(C,N)の量が多いため、合金組織中にWC相が存在しなくなり、TiCN粒子の周りにWC、TaNbCやMoCを含んだ相が形成されて、有芯構造の硬質相と結合相の2相構造になっていた。
また、平均粒径が0.75μmのWC粉を用いて作製した実施例2及び比較例2の超硬質合金について、上記のように走査型電子顕微鏡(SEM)により8000倍にしてCOMPO像を撮影し、実施例2の超硬質合金におけるSEM写真を図1に、比較例2の超硬質合金におけるSEM写真を図2に示した。ここで、図1及び図2において、1として示した白色の部分はWC相、2として示した黒い部分はTi(C,N)相、3として示した薄い灰色の部分は(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相又は(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相、4として示した濃い灰色の部分は結合相であり、何れの超硬質合金も、合金組織が4相構造になっていた。また、図1と図2とを比較すると、実施例2の超硬質合金におけるWC相の粒径が、比較例2の超硬質合金におけるWC相の粒径に比べて小さくなっていることが分かる。
次に、平均粒径が0.20μmと0.56μmと0.75μmの3種類のWC粉を用いて作製した実施例1〜8及び対応する比較例1〜8の各超硬質合金について、合金組織中におけるWC相の平均粒径を求め、その結果を下記の表2に示した。ここで、上記の各超硬質合金の合金組織中におけるWC相の平均粒径については、上記のように走査型電子顕微鏡(SEM)により8000倍にして撮影したCOMPO像を、1視野12×16μmの大きさで、10視野についてそれぞれWC相の粒径を測定し、その平均粒径をフルマンの式より求めた。
この結果、硬質相成分のMoC粉の配合量を5〜15重量%の範囲にした実施例1〜8の各超硬質合金においては、原料のWC粉として、平均粒径が0.20μmと0.56μmと0.75μmの何れのWC粉を用いた場合においても、合金組織中におけるWC相の平均粒径は何れも0.8μm以下になっていた。
これに対して、硬質相成分のMoC粉の配合量が5重量%未満である比較例1〜8の各超硬質合金においては、原料のWC粉として、平均粒径が0.20μmと0.56μmと0.75μmの何れのWC粉を用いた場合においても、合金組織中におけるWC相の平均粒径は何れも0.8μmを超えた値になっていた。これは、比較例1〜8の各超硬質合金においては、硬質相成分のMoC粉の配合量が少ないため、焼結時にWC相が粒成長したためであると考えられる。
また、上記のように平均粒径が0.20μmと0.56μmと0.75μmの3種類のWC粉を用いて作製した実施例1〜8及び対応する比較例1〜8の各超硬質合金について、それぞれ1kgのビッカース硬さ(Hv)を求め、その結果を下記の表3に示した。
この結果、対応する実施例1〜8と比較例1〜8の各超硬質合金について、ビッカース硬さ(Hv)を比較すると、実施例1〜8の各超硬質合金は、それぞれ対応する比較例1〜8の各超硬質合金に比べて、ビッカース硬さ(Hv)が高くなっていた。これは、上記のように実施例1〜8の各超硬質合金は、それぞれ対応する比較例1〜8の各超硬質合金に比べて、WC相の平均粒径が小さくなっていたためであると考えられる。
次に、平均粒径が0.75μmのWC粉を用いて作製した実施例1〜8及び比較例1〜14の各超硬質合金を用いて作製した各チップを使用し、第1切削試験においてはフライス加工を、第2切削試験においては旋削加工を行った。
ここで、第1切削試験においては、上記の実施例1〜8及び比較例1〜14の各超硬質合金を用いて作製したISO規格SEKN1203AFTNの各チップを使用し、炭素鋼S53C生材に対して、切削速度200m/min、送り0.3mm/刃、切り込み2.0mm、切削幅75mm、乾式切削の条件でフライス加工を行い、切削時間20分後の各チップにおける逃げ面の摩耗量、チッピング及び溶着の有無を調べ、その結果を下記の表4に示した。
この結果、実施例1〜8の各超硬質合金を用いて作製した各チップにおいては、チッピングや溶着が発生せず、また逃げ面の摩耗量も、対応する比較例1〜8の各超硬質合金を用いて作製した各チップに比べて減少していた。
また、結合相成分が少ない比較例9の超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、チッピングが発生しており、結合相成分が多い比較例8,10の各超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、溶着が発生すると共に摩耗量が大きくなっていた。また、Ti(C,N)粉の量が少ない比較例11の超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、溶着が発生すると共に摩耗量が大きくなっており、Ti(C,N)粉の量が多い比較例12の超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、チッピングが発生していた。また、Ti(C,N)粉の量がさらに少なくてTi(C,N)相が形成されず、3相構造となっている比較例13の超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、溶着が発生しており、Ti(C,N)粉の量がさらに多くて有芯構造の硬質相が形成されて、2相構造となっている比較例13の超硬質合金を用いて作製したチップにおいては、チッピングが発生していた。
また、第2切削試験においては、上記の実施例1〜8及び比較例1〜14の各超硬質合金を用いて作製したCNMG120408のチップを用い、SUS304に対して、切削速度150m/min、送り0.2mm/rev、切り込み2.0mm、湿式切削の条件で旋削加工を行い、20分後の各チップにおける逃げ面の切削境界部分における摩耗量、チッピングの有無を調べ、その結果を下記の表5に示した。
この結果、第2切削試験においても、実施例1〜8の各超硬質合金を用いて作製した各チップにおいては、チッピングが発生せず、また上記の摩耗量も、対応する比較例1〜8の各超硬質合金を用いて作製した各チップに比べて減少していた。
また、上記の比較例9,12,14の各超硬質合金を用いて作製した各チップにおいては、チッピングが発生しており、上記の比較例10,11,13の各超硬質合金を用いて作製した各チップにおいては、上記の摩耗量が大きくなっていた。
また、本発明における超硬質合金の表面に、通常行われている物理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)等により硬質層を形成して、この超硬質合金の表面を硬質層で被覆させると、上記のように切削加工する際に、この超硬質合金の耐摩耗性がさらに向上する。
1 WC相
2 Ti(C,N)相
3 (W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相又は(W,Ti,Ta,Nb)(C,N)相
4 結合相

Claims (2)

  1. WC、Ti(C,N)、(Ta,Nb)C(但し、Nb=0の場合を含む。)及びMoCを含む硬質相成分と、Co及び/又はNiの結合相成分とを含む超硬質合金において、上記の硬質相成分のMoCの量が5重量%〜15重量%、Ti(C,N)の量が8重量%〜35重量%の範囲であって、硬質相成分の総量が80重量%〜92重量%の範囲であり、また結合相成分の量が8重量%〜20重量%の範囲であり、その合金組織が、WC相と、(W,Ti,Ta,Nb,Mo)(C,N)相(但し、Nb=0の場合を含む。)と、Ti(C,N)相と、結合相の4相で構成されると共に、この合金組織中におけるWC相の平均粒径が0.8μm以下であることを特徴とする超硬質合金。
  2. 請求項1に記載の超硬質合金において、上記の相成分中に、周期律表IVa、Va、VIa族(但し、W,Ti,Ta,Nb,Moを除く。)の化合物が2重量%以下含有されていることを特徴とする超硬質合金。
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