JP2012191733A - 圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータおよび振動波モータ - Google Patents

圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータおよび振動波モータ Download PDF

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Abstract

【課題】振動波モータに用いる圧電素子の非電極部をより好ましい機械的な性質にすることができ、さらに安価な製造コストで提供することが可能となる圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータを提供する。
【解決手段】
圧電層と電極層とが重ねられて構成された電極部と、前記電極部に接して電極層を含まない圧電層から構成された非電極部と、を含む圧電素子であって、前記非電極部は、前記電極部の圧電層よりも密度が小さい領域を含む構成を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気−機械エネルギー変換機能を有する、圧電層と電極層とが重ねられた圧電素子に関し、特に、振動波モータや圧電アクチュエータなどに適した圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータおよび振動波モータに関する。
圧電材料は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する電気−機械エネルギー変換機能を有する代表的な材料である。
圧電材料からなる圧電素子はその特徴から、振動波モータや圧電アクチュエータなどを始めとして、多種多様な圧電素子を使った圧電アクチュエータに使われている。
特に最近は、単一の板状の圧電素子だけでなく、複数の圧電層と電極層とを交互に重ねて積層化し、一体焼成した積層圧電素子や単一板状に焼成した圧電素子を積み重ねて接着した積層圧電素子が使われている。
これは積層化によって、単一の板状の圧電素子と比べて低電圧で大きな変位や大きな力が得られるためである。とりわけ、小型化や薄層化には一体焼成した積層圧電素子が適している。
従来において、振動波駆動装置としての振動波モータでは、棒状の振動波モータの振動体の一部を構成する積層圧電素子に関して、多くの提案がなされている。この積層圧電素子は、複数の圧電材料からなる圧電層と、各圧電層の表面に設けられ、電極材料からなる電極層(内部電極とも呼ばれている)とから構成されている。
例えば、特許文献1では、棒状の振動波モータの振動体に用いられる積層圧電素子として、図9に示すような積層圧電素子が開示されている。
ここでは、積層圧電素子40を構成する最上層を除く複数の圧電層42の表面に、複数の電極層43が設けられている。
電極層43は4分割されて形成されている(図中では、A+、A−、B+、B−、AG+、AG−、BG+、BG−の8種類のものが示されている。)。
そして、各電極層43と接続されて圧電層42の外縁部まで延びる接続電極43a(図中、黒色に塗りつぶしている部分)が形成されている。
この各接続電極43aは、積層圧電素子40の外周部に設けられた層間の導通を図る外部電極44により接続されている。
積層圧電素子40を構成する最上層の圧電層42の表面には複数の表面電極45が設けられ、接続電極43aの位置に合わせて設けられ外部電極44と接続されている。
分極処理は、表面電極45を介して各電極層43のA+、A−、B+、B−に、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対し、直流電圧をA+に(+)、A−に(−)、B+に(+)、B−に(−)を印加する。これにより、振動波モータの駆動が可能な分極極性となるようにされている。
さらに、図10は、図9の積層圧電素子40を、棒状の振動波モータ50の振動体51に組み込んだ例を示す断面図である。
図10において、積層圧電素子40は、振動体51を構成する中空の金属部材53と金属部材54の間にフレキシブル回路基板52と一緒に挟み込まれた状態でボルト55で固定されている。
振動体51の軸方向一方の側には、ばね56とばね支持体57を介して、金属部材54の先端部と加圧されて接触するロータ58が配置され、回転するギヤ59により回転出力を取り出すことができる。
棒状の振動波モータ50の駆動方法は、振動体51に組み込んだ積層圧電素子40のA+、A−、AG+、AG−からなるA相と、B+、B−、BG+、BG−からなるB相とに、時間的位相がπ/2ほど異なる交流電圧を印加する。
この結果、軸方向に対して直交する2つの曲げ振動を回転する首ふり運動に代えて励起し、振動体51を構成する金属部材54の先端部を摩擦面として、この金属部材54に加圧されて接触するロータ58が摩擦接触により回転する。
上記従来例のように、A+、A−、B+、B−に、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対し、直流電圧をA+に(+)、A−に(−)、B+に(+)、B−に(−)を印加する分極処理を施した場合には、図9において、印加する直流電圧が(+)と(−)のように互いに逆方向の極性で隣り合う2つの電極部に挟まれた圧電層からなる非電極部46は、分極処理時に電位差が発生し、分極されてしまうことがあるという問題を生じることが知られている。
ここで、圧電層42と電極層43とを重ねた領域(圧電層上に電極層が形成された領域)を電極部と呼び、この圧電層42だけからなる電極層のない領域(電極層が形成されていない圧電層による領域)を非電極部と呼ぶこととする。
非電極部が分極されると、分極により非電極部の機械的な性質であるヤング率が変化し、分極された非電極部46と分極されていない非電極部47にはヤング率の差が発生する。この結果、非電極部46と非電極部47とを有する圧電層は、局所的にヤング率が異なることになる。さらに非電極部46と非電極部47とは、圧電層に対して互いに中心軸を通り直交する位置関係にある。例えば非電極部46をX軸とすれば、非電極部47はY軸となり、これらのX軸とY軸は直交する関係にある。このようにX軸方向とY軸方向とで異なるヤング率の領域が存在すると、この非電極部46と非電極部47とのヤング率の差は積層圧電素子40を組み込んだ振動体51では機械的性質(曲げ剛性)の異方性(剛性のむら)となり、振動振幅や位相の不均一となって現れる。
この影響は従来例の棒状の振動波モータにおいては、制御性や回転の位置精度、回転のむら、さらに均一な摩擦を阻害するなどの原因となる。
このため、特許文献2では、非電極部の幅(電極部間の距離)を広くするように工夫されている。
また別の課題として積層圧電素子はコストが高いという問題がある。圧電材料は、通常、単一の板状の単板では1200℃程度の比較的高温で焼成され、焼成後にガラスフリット入りの銀ペーストを塗布し600℃〜850℃で焼き付けて圧電素子とされる。このように圧電材料と電極材料とで焼成条件は材料の特性に応じて異なる条件で処理を行う。
一方、積層圧電素子では、圧電材料と電極とを一緒に焼成するため、電極を構成する金属材料の焼成条件まで考慮する必要がある。その結果、電極材料としては、焼成温度で溶融しない高い融点をもち、焼成しても酸化されない又は酸化され難い貴金属(銀−パラジウム合金、稀には白金など)を用いることが必要となる。
従来、積層圧電素子は圧電材料の材料組成や圧電材料の粉体粒子の微細化により、焼成温度を1150℃以下に下げ、例えば銀が70重量%、パラジウムを30重量%からなる電極材料を用いて焼成していた。
ここで、貴金属であるパラジウムや白金は特に高価であることから、電極材料費の全コストに占める割合が高く、コスト高の原因となる。
このため、低温で焼成できる圧電材料の開発が活発に行われており、低温焼成が可能となるように、銅やその他の元素を添加して焼成温度を下げる提案が多くなされている(特許文献3参照)。
特開平8−213664号公報 特開2003−111450号公報 特開平9−169566号公報
上記したように、積層圧電素子を振動体に用いた振動波モータでは、回転のむら等を抑制するため、極性が異なる2つの電極部に挟まれた非電極部の分極によって発生するヤング率の差による機械的性質の異方性を極力少なくすることが求められる。
そのため、特許文献2のように非電極部の幅を広げることは、圧電素子の出力の点で必ずしも満足の得られるものではない。
また、積層圧電素子においては、特許文献3等のように低温焼成が可能となる提案がなされているが、さらに、圧電特性は維持しつつ可能な限り焼成温度を下げて、より低温での焼成温度で製造でき、良好な圧電特性が得られるものが望まれている。
本発明は、上記課題に鑑み、振動波モータに用いる圧電素子の非電極部をより好ましい機械的な性質にすることができ、さらに安価な製造コストで提供することが可能となる圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータおよび振動波モータの提供を目的とする。
本発明の圧電素子は、圧電層と電極層とが重ねられて構成された電極部と、前記電極部に接して電極層を含まない圧電層から構成された非電極部と、を含む圧電素子であって、
前記非電極部は、前記電極部の圧電層よりも密度が小さい領域を含むことを特徴とする。
また、本発明の圧電アクチュエータは、上記した圧電素子を有することを特徴とする。
また、本発明の振動波モータは、上記した圧電素子と、振動体とを有し、該圧電素子により前記振動体を駆動することを特徴とする。
本発明によれば、振動波モータに用いる圧電素子の非電極部をより好ましい機械的な性質にすることができ、さらに安価な製造コストで提供することが可能となる圧電素子、圧電素子を有する圧電アクチュエータおよび振動波モータを提供することができる。
本発明の実施例1に係る積層圧電素子の構成を説明する分解斜視図及び斜視図を示す図である。 本発明の実施例1に係る積層圧電素子の電極部と非電極部を示す図である。 本発明の実施例1に係る積層圧電素子を振動波モータに組み込んだ構成を示す図である。 本発明を説明するための特性測定用のテストピースを示す図である。 本発明を説明する焼成温度と密度の関係を示す図である。 本発明を説明する焼成温度と機械電気結合係数の関係を示す図である。 本発明の実施例2に係る積層圧電素子の分解斜視図及び断面図を示す図である。 本発明の実施例3に係る単板の圧電セラミックスと圧電素子を示す図である。 従来例の積層圧電素子の構成を説明する分解斜視図及び斜視図を示す図である。 従来例の積層圧電素子を振動波モータに組み込んだ構成を示す図である。
本発明は、圧電層と電極層とが重ねられて構成された電極部と、前記電極部に接して電極層を含まない圧電層から構成された非電極部と、を含む圧電素子であって、前記非電極部は、前記電極部の圧電層よりも密度が小さい領域を含むことを特徴とするものである。
本発明において圧電素子は、単層型(1つの圧電層と2つの電極層との組み合わせであるもの)であっても積層型(圧電層と電極層とが交互に複数層積層されたもの)でも適用することができる。
本発明において、非電極部の電極部に対する密度の割合は、好ましくは94%以上97%以下であり、最適には95%以上96%以下である。
非電極部の密度が電極部の密度の94%以下になると振動特性又は機械的強度が低下し、97%以上になると本発明の効果が小さくなる。
本願発明は、圧電層を分極すると、ヤング率が変化すること、及び圧電層の密度と、分極の方法によるヤング率の変化に相関があることを見出したという知見に基づくものである。
そして、圧電層の特定の領域に積極的に密度の異なる領域を設けることにより、機械的性質(曲げ剛性)の異方性(剛性のむら)を効果的に抑制するものである。
即ち、非電極部のヤング率を均一又はヤング率の差が小さい状態にすることで、機械的性質(曲げ剛性)の異方性(剛性のむら)を効果的に抑制するものである。
また本発明は、焼結助剤としての機能を有する特定の元素(典型的には銅元素)を圧電材料に含有させることにより、本願発明の焼成条件で焼成した場合に局所的に密度が異なる焼結体を得ることができ、すなわち圧電材料の密度分布を制御できるものである。
これは焼結助剤としての機能を有する特定の元素(典型的には銅元素)を圧電材料に含有させることで焼成温度と密度との関係を制御できることを見出したという本発明者らの知見に基づくものである。そして圧電材料を一定の焼成条件で、局所的に密度の異なる領域を容易に形成することができるものである。
また本発明において圧電層の必要な個所に焼結助剤又は銀元素を含有させる場合には、圧電層の形成時にこれらの元素を含有させても良いし、圧電層形成後に圧電層表面に塗布、イオン打ち込み等によって含有させても良い。
また、電極層に銀元素を添加しておき、電極層から圧電層に銀元素を熱処理等により拡散させて含有させることもできる。
本発明において焼結(sintering)とは圧電材料の粒子が融点以下の温度で相互に結合し固く焼き締まる現象を意味する。
本発明において焼成温度とは圧電材料を熱処理する温度を意味しており、その熱処理温度を調整することによって圧電材料を焼結させるものである。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
本発明を適用した圧電素子の構成例について、図1を用いて説明する。
本発明と従来例とは、後述の圧電材料の材料組成や製造方法、焼成温度が異なっており、また電極材料の銀とパラジウムの混合比率が異なっている。
なお、以降の説明において、焼成温度とは焼成時の最高焼成温度を意味している。
図1において、積層圧電素子1を構成する複数の圧電層2の表面に、複数の電極層3が設けられている。
電極層3は、外周が圧電層2の外周よりも内周側となるように配置されると共に、圧電層2において4分割に形成されている(図中では、A+、A−、B+、B−、AG+、AG−、BG+、BG−の8種類のものが示されている。)。
同一の層に形成された各電極層3は互いに非導通となっている。
そして、圧電層2の表面には、各電極層3と接続されて圧電層2の外縁部まで延びる接続電極3a(図中黒色に塗りつぶしている部分)が形成されている。
接続電極3aは、8種の電極層3に対して圧電層2の一層おきに積層圧電素子1の軸方向において、円周方向でも同一の位置関係となるように形成されている。この同一の位置同士の接続電極3aは、積層圧電素子1の外周部に設けられた層間の導通を図る電極である外部電極4(図中において、A+、A−、B+、B−、AG+、AG−、BG+、BG−に対し8本)により接続されている。
積層圧電素子1を構成する最上層の圧電層の表面の外周部周辺には、周方向に沿って複数の表面電極5が設けられており、接続電極3aの位置に合わせて設けられ外部電極4と接続されている。外部電極4は電極層間の導通を図るように設けられている。
そして、この表面電極5を介して各電極層3のA+、A−、B+、B−に、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対して、直流電圧として(+)と(−)を印加し、後述の振動波モータの駆動が可能な分極極性となるように分極処理を行う。
分極処理は後述の条件で、表面電極5を介して各電極層3のA+、A−、B+、B−に、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対し、直流電圧をA+に(+)、A−に(−)、B+に(+)、B−に(−)を印加する。
すなわち、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対し、A+は極性(+)、A−は極性(−)、B+は極性(+)、B−は極性(−)になるようにする。
図2は、図1において斜線で示す断面Cを示す図で、電極部Eと非電極部Dを示す図である。
圧電層2と電極層3を交互に重ねた電極部E(破線で囲まれた領域)と、電極部Eに挟まれた圧電層2だけからなる非電極部D1(破線で囲まれた領域)と外周部に電極層のない圧電層だけからなる非電極部D2(破線で囲まれた領域)を示している。
非電極部D1は図1において非電極部6の断面に相当する。なお、図1において、非電極部7は分極されていない非電極部である。
さらに、図3は図1の積層圧電素子1を棒状の振動波モータ10の振動体11に組み込んで構成した積層型圧電アクチュエータの例を示す断面図である。
図3において、中央部に貫通孔を有する積層圧電素子1は、表面電極5がフレキシブル回路基板12と接触すると共に、振動体11を構成する中空の金属部材13と金属部材14の間に配置されている。
ボルト15を金属部材13側から挿入して金属部材14にねじ込むことにより、金属部材13と金属部材14の間に積層圧電素子1とフレキシブル回路基板12が挟み込まれた状態で固定される。
振動体11の軸方向一方の側には、ばね16とばね支持体17を介して、金属部材14の先端部と加圧されて接触するロータ18が配置されており、ロータ18と一体となり回転するギヤ19により振動波モータ10の回転出力を取り出すことができる。
フレキシブル回路基板12は、積層圧電素子1の外部電極4に接続された表面電極5と不図示の駆動回路に接続され、駆動用の交流電圧が積層圧電素子1に印加される。
棒状の振動波モータ10の駆動原理は、振動体11に組み込んだ積層圧電素子1のA+、A−、AG+、AG−からなるA相と、B+、B−、BG+、BG−からなるB相とに、時間的位相がπ/2ずれた振動体11の共振周波数近傍の交流電圧を印加する。
これにより、軸方向に対して直交するA相とB相の2つの曲げ振動を回転する首ふり運動に代えて励起することができる。
この結果、振動体11を構成する金属部材14の先端部を摩擦面として、金属部材14が首振り運動を行い、この金属部材14に加圧されて接触する接触部材であるロータ18が摩擦接触により回転する。
つぎに、本実施例における積層圧電素子の製造方法について説明する。
まず、圧電材料として、特開平5−105511号公報に示すように、Pb、SrCO、ZrO、TiOおよびNbの各粉末原料を、組成比がモル比で、Pb0.95、Sr0.08、Zr0.51、Ti0.49、Nb0.03になるように配合した。
そして、ボ−ルミル中で純水と共に5時間混合し110℃で乾燥した後、950℃で空気中で2時間仮焼しペロブスカイト相結晶構造を有する原料粉末(仮焼粉末)を調製した。
この原料粉末(仮焼粉末)にMnCOを0.015(Zr+Ti=1とした場合のモル比)添加し、同じく純水と共に混合し乾燥させた。
そして、本実施例においては、圧電材料に対して低温焼結助剤として酸化銅(CuO)を0.5重量%添加した。
さらに、一般的な粉体混合粉砕機で純水と共に混合して均一に分散させ、粒径も細かくして平均粒径を約0.4〜0.5μmとし110℃で乾燥させた。
ここで、酸化銅の添加量は少ないと効果がなく、多いと絶縁抵抗が低くなり過ぎて分極が難しくなるので0.2から0.8重量%が好ましい。
なお、特許文献3等にもあるように、低温焼結助剤としては必要に応じて銅元素以外の元素、例えばタングステンや亜鉛なども添加しても良い。
本実施例の積層圧電素子1の製作の前に、テストピースを作り焼成条件について検討した。
テストピースは次の2種を作った。1つ目のテストピースTaは、積層した電極部を想定したテストピースであり、図4のように、外径15mm、厚さ約0.9mmで円板形状である。
ここで、圧電層2Taは厚み90μmで9層構造となっており、圧電層2Taのほとんど全面となる外径14.8mmに厚さ約2〜3μmの電極層3Taを形成している。そして電極層3Taは接続電極を介して1層おきに2つの外部電極4Taで導通を図っている。
なお、テストピースTaの表裏の最上層と最下層は約45μmの厚さからなる圧電層であり、絶縁層の役目をしている。
また、電極層3Taを形成する電極材料は銀95重量%とパラジウム5重量%とした。焼成後に外部電極4Taはガラスフリット入りの銀ペーストを塗布し約750℃で焼き付けて設けた。
2つ目のテストピースTbは、非電極部を想定したテストピースであり、焼成後に厚さ約90μmとなる圧電シートを電極層なしに10層重ねて形成した円板形状である。
いずれのテストピースも圧電層は同一材料(材料及び焼結助剤)であり、電極層の有無と構成層の数が異なる。
これらを焼成し、アルキメデス法により密度を測定した。そして、テストピースTaは2つの外部電極4Taのうち、一方の外部電極4Taをグランドとしもう一方の外部電極4Taに300Vを120℃オイル中で30分間ほど印加して分極処理を施した。
インピーダンスアナライザーにより共振周波数と反共振周波数を測定し圧電特性のひとつである円板の径方向振動の電気機械結合係数krを求めた。焼成温度は860℃から960℃に変え、焼成温度の保持時間は2時間とした。
図5は横軸が焼成温度であり、縦軸が密度である。焼成温度が上がるとともに密度が上がるが、電極部を想定したテストピースTaの方が密度が早く上がり緻密化が進み、焼成温度は900℃以上で密度は7.75g/cmとなりほぼ飽和し緻密化は完了しているものと考えられる。
一方、非電極部を想定したテストピースTbは密度の上がり方が遅く960℃にならないと密度の値は飽和しないことから、940℃では緻密化は完了していないと考えられる。
また、940℃で焼成した非電極部を想定したテストピースTbの密度は7.5g/cmであり、940℃以下で焼成した場合のテストピースTbの密度は電極部を想定したテストピースTaが緻密化したものであり、密度7.75g/cmの97%以下である。なお、電極部と非電極部の双方とも緻密化し焼結が完了するのは焼成温度が960℃以上である。従って本実施例のテストピースの構成を有する電極部と非電極部とが共存する圧電体素子の場合には、940℃で焼成することにより、非電極部分を局所的に低密度とすることができる。但し、上記940℃という焼成温度は、圧電材料の組成や、昇温時間、加える焼結助剤の種類や量等によっても変化するため、予め予備実験等により、温度と焼結状態との関係を把握しておき、焼成温度を決定することが好ましい。
また、図6に示すように、電極部を想定したテストピースTaの機械電気結合係数krを測定した。
図6は横軸が焼成温度であり縦軸が機械電気結合係数krであり、焼成温度が900℃以上になれば電極部の特性は本来の圧電特性であるkr56.4%にほぼ達している。
このように、低温焼結助剤を添加することにより、焼成温度は従来よりも下げられる。
また、電極部が早く焼結が進む理由は、低温焼結助剤の添加による効果以外に電極層の銀元素が圧電層へ拡散し焼結を進めていると考えられる。
銀も低温焼結助剤と同じく圧電セラミックスの結晶粒界に液相として侵入し、焼結助剤として低温での焼結を促進している。この結果、電極層の銀元素が拡散した領域(電極部に対応する領域)が、銀元素が拡散していない領域(非電極部に対応)よりも低い温度で焼結し、密度が高くなるものと考えられる。
積層圧電素子1の製造は、前述の圧電材料と有機バインダから、ドクターブレード法により圧電層となるグリーンシートを作り、このグリーンシート上の所定位置にスクリーン印刷によって電極材料のペーストからなる電極層3と接続電極3aを形成した。電極材料は銀95重量%とパラジウム5重量%とした。
電極材料ペーストは、電極材料粉末に圧電材料粉末を加え、有機バインダと有機溶剤を用いた有機ビヒクルを3本ロールで混練して作った。
そして、このグリーンシートを所定の枚数平面状に重ね、加圧して積層化した。この後、圧電層と電極層を同時焼成により一体化焼成し分極処理を行った。焼成温度は900℃から940℃で、保持時間は量産条件に合わせ2時間とした。
そして、両面ラップ加工と外径を研削加工により仕上げた。
本実施例の積層圧電素子1は、外径が約10mm、内径が約2.8mm、厚さが2.4mmであり、圧電層2の厚さは約90μm、圧電層2の層数は24層とした。
電極層3の厚さは約2〜3μmで、電極層3の層数は25層とした。また、電極層3の外径は9mmである。また、圧電層24層の上下には保護層と呼ばれる不活性な層を1層ずつ設けてある。
なお、電極層3を4つに分割する非電極部D1の幅0.5mmとした。外周の非電極部D2の幅は0.5mmである。
加工後に外部電極4と表面電極5はガラスフリット入りの銀電極ペーストをスクリーン印刷で印刷し、約750℃で焼き付けて設けた。
分極処理は、表面電極5を介して各電極層3のA+、A−、B+、B−に、グランドであるAG+、AG−、BG+、BG−に対し、つぎのように分極処理を行った。
すなわち、直流電圧として+300Vと−300Vを30分間、120℃のオイル中で印加し、振動波モータの駆動が可能な分極極性となるように分極処理を行った。
ここで、焼成後の積層圧電素子1の断面を観察すると電極部Eと非電極部D1、D2は色調が異なり、充分に緻密化した電極部Eは黒色化している。
これに対して、2つの電極部Eに挟まれた非電極部D1と外周部の非電極部D2は、上記電極部Eの黒色とは異なり茶色からこげ茶色であり、まだ充分に緻密化していないことが観察された。
本発明において「充分に緻密化」とは、焼成温度を変化させた場合の当該焼結体の密度変化を測定した場合に、焼成温度を上昇させても密度が全く増加しない、又は増加する割合が小さく飽和しているとみなせる状態を意味する。
また、適正な焼成温度以上に上げ過ぎると、密度の低下を招く場合がある。さらに同時に、圧電特性である先に示した電気機械結合係数krの低下を招くこともある。この関係から、圧電層のテストピース(サンプル)の焼成温度と密度との関係を調べ、焼成温度を上昇させていった場合に、密度が低下し始めたら、焼成温度が高すぎると判断できる。
本発明においては焼成温度を上昇させた場合に密度の変化が0.2%以下であれば「充分に緻密化」とみなす。また、本発明において上記密度は、アルキメデス法により測定することが好ましい。
本発明において焼成温度の決定は、電極部は充分緻密化する温度で、かつ非電極部は電極部の密度に対して94%以上97%以下となる温度を選択することが重要である。焼成温度の決定方法は、先に説明したように、圧電層の電極部のテストピースと非電極部のテストピースの焼成温度と密度の変化の関係を予め求めておき、その結果に基づいて設定することが好ましい。
また、焼成温度を860から960℃まで変えて焼成した積層圧電素子1から電極部Eと2つの電極部Eに挟まれた非電極部Dをダイサーにより試験片を切出し密度を測定したところ、図5とほぼ同じ密度であることも確認した。
密度が同じであることから機械電気結合係数krも同じであると予想できる。
さらに、非電極部は密度が小さく緻密化していないのでヤング率も低いことを示しており、電極部で発生する変位や応力に対して拘束力は少なくなる。
そして、極性の異なる電極部で挟まれた非電極部D1の圧電特性も密度が低く緻密化していないので従来例の非電極部より分極後の圧電特性も劣り、分極によるヤング率の変化も少なくなる。即ち分極に対して鈍感になり、その結果非電極部のヤング率は分極工程の前後で大きく変化しない。
例えば、図5において、テストピースTbの940℃での密度はテストピースTaの880℃での密度とほぼ同じである。
そして、図6で、テストピースTaの940℃と880℃では特性には明らかに差があり、テストピースTbの940℃での圧電特性が劣っていると推測できる。
この焼成温度900℃〜940の℃積層圧電素子1を用いて、棒状の振動波モータ10に組み込んでモータ性能を測定した。
その結果、従来の銀70重量%とパラジウム30重量%の電極材料を用いて焼成温度1150℃で作った積層圧電素子と同等で遜色のないモータ性能(回転数とトルク)となった。
そして、振動波モータにとって不要な機械的特性の異方性の影響も減少し、振動波モータの回転位置精度や回転のむらなどは実際に測定し評価すると回転位置精度は高くなり、回転むらは少なくなった。さらに、摩耗の状態なども改善されていることが確認できた。
以上のように、テストピースTaのように電極部Eの焼成が完了し緻密化するような焼成温度900〜940℃で積層圧電素子を焼成することで、テストピースTbのように非電極部Dがまだ充分に緻密化されていなくとも電極部Eで充分な圧電特性を発揮できる。
つまり、電極部Eと非電極部Dの双方が緻密化する焼成温度よりも約20〜60℃ほど低い温度(焼成温度に対する温度差が20〜60℃)での焼成が可能である。
以上の実験では、電極材料は銀95重量%とパラジウム5重量%とした。もちろんパラジウム5重量%以上でも問題はなかった。
また、この焼成温度900〜940℃であれば、銀の融点は約960℃であるので銀100重量%においても機械電気結合係数krが56.4%前後の健全な圧電素子を得ることができた。
但し、銀100重量%では使用する環境が高湿下では、銀イオンが移動してショートを起こす、いわゆるマイグレーションが起こる懸念もあるため、多少のパラジウムは添加しても良いと思われる。
940℃以下の焼成温度において、好ましい銀とパラジウムの比率は銀100重量%から銀95重量%パラジウム5重量%である。
なお、本発明の圧電素子には厳密に言うと、圧電積層素子の表裏に厚さ約90μmの1層の圧電層2があるが、この部分も非電極部Dに近い同じ密度となって充分緻密化してはいない。
しかし、実際に振動波モータに組み込んで駆動しても、この表裏に厚さ約90μmの圧電層の振動波モータへの影響はないことも確認できた。
また、高温高湿(80℃,90%RH)の環境試験においても、従来のものと比べて遜色のないことが確認された。
すなわち、圧電積層素子の表裏の厚さ約90μmの圧電層や外周部の非電極部Dは電極部Eを覆う電気的な絶縁層として、また機械的な保護層としての機能を長時間、充分に果たし、従来と比べも遜色のないことが確認された。
[実施例2]
実施例2として、実施例1と別の形態の積層圧電素子1’の構成例を図7を用いて説明する。
図7(a)は積層圧電素子1’の分解斜視図であり、(b)は(a)において矢印で示す断面図である。
実施例1と圧電材料の材料組成や製造方法、焼成温度などは同じである。積層圧電素子1’と実施例1の積層圧電素子1との違いは二つある。
一つは、圧電層2’の上に設けた電極層3’が外周に露出しており内周部には非電極部を有していることである。
他の一つは、積層圧電素子1での外部電極4の代わりに、8本の導電材料が充填されたスルーホール5’によって各電極層3’間の導通を図るようにしたことである。
なお、スルーホール5’は電極層や圧電層と一緒に一体焼成して作られる。スルーホール5’に充填された導電材料も電極層と同じ銀とパラジウムからなる。
スルーホール5’は最上層の圧電層2’と表面からわずかに突出し、振動波モータの振動体に組み込んだ場合は図3の積層圧電素子1と同じようにフレキシブル回路基板12と接触し導通を図ることができる。
本実施例においても、電極部Eの焼成が完了し緻密化するような焼成温度900〜940℃で積層圧電素子1’を焼成した。
結果は実施例1と同様に、非電極部Dがまだ充分に緻密化されていなくとも電極部Eで振動波モータとしての積層圧電素子として充分な圧電特性となった。
以上で説明した本発明の圧電素子は、例えば特開2001−267646号公報の、本発明と同じように電極層(内部電極)が形成されていない非電極部を有する積層型圧電アクチュエータ等に、好適に適用することができる。
本発明の圧電アクチュエータにおいては、非電極部は電極部よりヤング率が低いので、電極部に対して拘束力の発生が少なく応力緩和層と同等な性質を有する。そのため、圧電素子のクラックの抑制を図ることが可能となる。
また、本発明の構成によれば、振動波モータにおいて、その回転位置精度や回転のむらを改善し、均一な摩耗による長寿命化などの効果が期待できる。
また、より低温での焼成が可能となり高価な貴金属であるパラジウムの使用量を少なくできる。
さらに、低温での焼成は使用する電力消費量の低減、焼成炉の管理の容易化なども実現できる。これらにより、製造コストを下げ安価な圧電素子を提供することが可能となる。
さらには、非電極部は緻密化していないので電極部よりも密度やヤング率が小さくなり、さらに分極されても圧電特性は劣るので、電極部で発生する変位や応力に対して非電極部の影響を少なくすることができる。
具体的には、振動波モータに用いている積層圧電素子の分割された電極部間の非電極部や外周部や内周部の非電極部の電極部への不要な拘束力を少なくすることができる。
同様に、従来の積層型圧電アクチュエータに起こり易い、電極部と非電極部との境界でのクラックの抑制を図ることが可能となる。
[実施例3]
実施例1の図5の非電極部を想定したテストピースTbはすでに述べたように、積層圧電素子であるテストピースTaとは異なり、960℃にならないと緻密化は完了しない。
しかし、テストピースTbのような言わば1層の圧電層からなる単板の圧電セラミックス(単層型)であっても、より低温で焼成が可能となることは好ましい。そこで、実施例3として、テストピースTbのような単板の圧電セラミックスをより低温での焼成が可能となる方法について、図8を用いて説明する。
図8(a)は焼成前のテストピースTb’であり、実施例1のテストピースTbと実施例1で用いた銀95重量%とパラジウム5重量%からなる電極材料ペーストを表面(表裏)に印刷塗布した電極層である電極3Tb’とからなる。
このテストピースTb’を焼成すると、電極3Tb’の銀元素が圧電セラミックス内部に拡散し、圧電材料に含まれる低温焼結助剤である酸化銅の効果とともに、圧電セラミックスの焼結を実施例1と同じように早く進めることできる。
このように、単板の圧電セラミックスの焼成においても、銀元素の拡散が可能となるように銀元素を含む電極層をあらかじめ形成しておくことで、銀元素の拡散を促し、より低温での焼成が可能となる。
しかしながら、テストピースTb’は実施例1の図5のテストピースTaとは異なり、焼成温度の保持時間が2時間では焼成温度900℃では緻密化せず、935℃から945℃で緻密化した。
これは、テストピースTb’は厚み1.0mmの単板形状で表面に電極3Tb’が印刷された状態であり、厚み90μmで9層の圧電層2Taと、この圧電層2Taを挟む厚さ約2〜3μmの電極層3Taからなる、テストピースTaとは焼成時の圧電層への銀元素の拡散状態が異なるためである。
焼成したテストピースTb’は電極3Tb’を形成した圧電素子としてそのまま使う場合もあるが、通常、焼成しただけの状態では、圧電セラミックスの変形やその表面には凹凸が発生する。
そこで、図8(b)のように、焼成後にテストピースTb’に両面ラップ加工を施し、その表面に印刷塗布した電極3Tb’とその近傍の圧電セラミックスを削り落とし厚さを0.9mmから0.5mmに加工して平坦化した。その後、図8(c)のように電極4Tb’を設け圧電素子とした。
この電極4Tb’は実施例1で用いた外部電極4Taと同じように、ガラスフリット入りの銀ペーストを塗布し約750℃で焼き付けてある。
そして、2つの電極4Tb’の一方をグランドとし、もう一方に1.5kVを120℃のオイル中で30分間ほど印加して分極処理を施した。
その結果、テストピースTb’は圧電素子としての機械電気結合係数krは55.2%になった。単板の圧電セラミックの厚さや焼成温度や焼成温度の保持時間を変えることによって、密度や機械電気結合係数は異なってくる。
さらに、単板の圧電セラミックスの焼成において、銀元素の拡散が可能となる銀電極を含む電極の外形形状(パターン)を変えることで、圧電セラミックス板に任意の外形形状の緻密化した領域を形成することが可能となる。
すなわち、これは実施例1の積層圧電素子1の電極層3のように4つに分割された電極層と、電極層とは密度の異なる電極層3に挟まれた非電極部6、7を、単板の圧電セラミックスにも形成することが可能であることを意味する。
以上のように、本発明によれば圧電素子ばかりでなく、圧電層が1層で電極層が2層からなるような単層型である単板の圧電セラミックスにも、より低温で焼成が可能になり、また単板の圧電セラミックスにも密度の小さい領域を設けることが可能となる。
1、1’:積層圧電素子
2、2’:圧電層
3、3’:電極層
4:外部電極
5:表面電極
5’:スルーホール
10:振動波モータ
11:振動体
D:非電極部
E:電極部

Claims (8)

  1. 圧電層と電極層とが重ねられて構成された電極部と、前記電極部に接して電極層を含まない圧電層から構成された非電極部と、を含む圧電素子であって、
    前記非電極部は、前記電極部の圧電層よりも密度が小さい領域を含むことを特徴とする圧電素子。
  2. 前記圧電層は低温焼結助剤を含み、前記電極層は銀元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記低温焼結助剤は、銅元素を含むことを特徴とする請求項2に記載の圧電素子。
  4. 前記圧電素子は、最高焼成温度が940℃以下で焼成されて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧電素子。
  5. 前記非電極部の密度は、前記電極部の密度の94%以上、97%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧電素子。
  6. 前記非電極部は、分極極性の異なる隣り合う2つの電極部によって挟まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧電素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電素子を有することを特徴とする圧電アクチュエータ。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電素子と、振動体とを有し、前記圧電素子により前記振動体を駆動することを特徴とする振動波モータ。
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