JP2012191155A - 配線板、および、その製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スルーホールを備えながらも、その周囲に白化の発生の恐れがない配線板を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂板から構成され、スルーホールを備えた配線板において、前記繊維強化樹脂板を構成するマトリックス樹脂のみから構成された白化防止部が前記繊維強化樹脂板に一体的に形成され、かつ、該白化防止部内に前記スルーホールの貫通孔が形成されている配線板。
【選択図】図1

Description

本発明はスルーホールを備えた配線板、及び、その製造方法に関する。
ガラス繊維等の強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂板から構成された配線板において、圧接接続する端子を、配線板を貫通して備えられたスルーホールに圧入すると、配線板のスルーホールの近傍部分が白化してしまう。
このように白化が生じた配線板は外観検査により不良品であると判断され、製品率の低下を引き起こす。また、白化が生じた配線板では、高温高湿試験を行うと絶縁性が低い結果を生じ、問題となっていた。
ここで、特開2009−21016号公報(特許文献1)では、端子の形状を工夫し、端子をスルーホールに圧入する際の物理的な応力を緩和する技術が提案されている。
すなわち、図7に示すように、非接触くびれ部9d’が設けられたプレスフィット部を有するプレスフィット端子9’を用いるものであり、プレスフィット部の弾性復元力によってスルーホール7とともに埋設樹脂部のクリーブ変形を防止することができるものである。
しかし、この技術であっても、配線板のスルーホールの周囲部分の白化の発生の恐れは完全には防止できなかった。
特開2009−21016号公報
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、スルーホールを備えながらも、その周囲に白化の発生の恐れのない、配線板を提供することを目的とする。
ここで、本発明者等は白化の発生原因について詳細に調査を行った。
その結果、白化はモデル図である図8(a)中、スルーホール7に圧入される端子9の図中矢印で占められる応力を受けて繊維強化樹脂板3である配線板A内の強化繊維であるガラス繊維からなるガラスクロス3aの繊維層に含浸され硬化されている樹脂材3bが破壊されてマイクロクラックが生じ、あるいはガラスクロス3aのガラス繊維同士が剥離することで生じる現象(図8(b)参照)であり、従来技術文献1で提案されたように端子形状の変更によって端子圧入における応力を緩和させたとしても、依然として白化が生じる恐れがあることが判り、このような知見を元に本発明者等は本発明に至った。
すなわち、本発明の配線板は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、繊維強化樹脂板から構成され、スルーホールを備えた配線板において、前記繊維強化樹脂板を構成するマトリックス樹脂のみから構成された白化防止部が前記繊維強化樹脂板に一体的に形成され、かつ、該白化防止部内に前記スルーホールの貫通孔が形成されていることを特徴とする配線板である。
本発明の配線板は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の配線板において、中空状のランドが前記スルーホール部の周囲の前記配線板の表面に設けられ、かつ、該ランドの外径が前記白化防止部よりも大きいことを特徴とする。
本発明の配線板は、請求項3に記載の通り、請求項1に記載の配線板において、中空状のランドが前記スルーホール部の周囲の前記配線板の表面に設けられ、かつ、該ランドが前記配線板の配線と該配線より幅の広い幅広部を介して接続されていることを特徴とする。
本発明の配線板の製造方法は、請求項2に記載の通り、繊維強化樹脂板から構成され、スルーホールを備えた配線板の製造方法において、前記繊維強化樹脂板を成形するためのプリプレグの、前記スルーホール形成部及びその周囲部分を除去する強化繊維除去工程と、前記プリプレグを用いてプレス成形を行うプレス成形工程と、を有することを特徴とする配線板の製造方法である。
本発明の配線板によれば、スルーホールを備えながらも、その周囲に白化の発生の恐れのない、配線板を得ることができる。
また、請求項2及び請求項3に記載の配線板によれば、上記効果に加え、高温条件下で用いられたり、高温にさらされる恐れがある配線板であっても破損や断線があらかじめ防止されている。
図1は本発明の配線板のスルーホールが設けられた部分及びその周囲のモデル断面図である。 図2は本発明の配線板でスルーホールに端子が圧入される様子を示した図である。 高温時に起きる問題について説明するモデル図である。図3(a)上面図である。図3(b)上面からの透視図である。 高温時に起きる問題について説明するモデル断面図である。図4(a)熱履歴前の状態を示す図である。図4(b)高温時の状態を示す図である。 高温時に生じる問題を解決する配線板Bを示すモデル図である。図5(a)上面からの透視図である。図5(b)断面図である。 高温時に生じる問題を解決する配線板Cを示すモデル図である。 従来技術の一例を示すモデル図である。 スルーホール付近での白化発生の原因を示すモデル図である。
本発明の配線板の構成について図を用いて説明する。
図1は本発明に係る配線板Aのスルーホール7が設けられた部分及びその周囲のモデル断面図であり、スルーホール7の途中まで、端子9が圧入された状態を示す。
この配線板Aはガラスクロス3aにマトリックス樹脂(硬化性の絶縁樹脂組成物)を含浸させて構成されたプリプレグを積層し(この例では積層された2層のプリプレグの間にメタルコア2が積層されている)、前記マトリックス樹脂を硬化させて成形された繊維強化樹脂板から構成され、スルーホール7を備えたものであり、そのスルーホール7の周囲に、繊維強化樹脂板を構成するマトリックス樹脂のみから構成された白化防止部4が設けられている。
このような配線板Aは例えば次のようにして得ることができる。
すなわち、ガラスクロスにマトリックス樹脂(熱硬化性樹脂)を含浸させて構成されたプリプレグの、配線板となったときにスルーホールが形成される部分及びその周囲を除去する(強化繊維除去工程)。
次いで、このように孔が形成されたプリプレグを必要に応じて積層し、プレス成形で上記のマトリックス樹脂に適した条件(加熱温度、圧力、時間)で硬化させ、成形する。この成形過程でマトリックス樹脂は流動性を持ち、上記で部分的にプリプレグが除去された部分に達し、結果として、マトリックス樹脂のみから構成された部分(スルーホール形成部)が繊維強化樹脂板に一体的に形成される。
このようにして成形した後、スルーホール形成部に貫通孔を設け、その後一般的な配線板の製造方法に従いスルーホールを形成することにより、スルーホール7周囲に繊維強化樹脂板を構成するマトリックス樹脂のみから構成された白化防止部4が設けられた配線板を製造することができる。
このような配線板では、スルーホール7の周囲に設けられた白化防止部4の存在によりスルーホール7とガラスクロス3aとの距離が離間しているために、図2(a)及び図2(b)にモデル的に示したように、スルーホール7に端子9が圧入されたときに、図中矢印で示した圧入応力を受けてスルーホール7の半径方向に応力がかかった場合であっても、ガラスクロス3aの繊維同士の剥離、及び、ガラスクロス3aの繊維層に含浸され硬化されている樹脂材の破壊があらかじめ防止されており、その結果、白化が生じない。
なお、上記例では配線板Aにはメタルコア2が1層配されていたが、このメタルコアを複数有する配線板であっても、あるいはメタルコアがない配線板であっても本発明に属し、このとき、本発明特有の効果が得られる。
本発明の配線板において、高温環境での使用、あるいは、ダッシュボード付近やドア内部等で一時的に高温となることがある場合などでは、マトリックス樹脂のみから構成された白化防止部と繊維強化樹脂板部分との熱膨張率の違いから、ランド自体、及び/または、ランドに接続された配線板の配線との間にストレスが加わり、その結果、破損や断線の発生が懸念される。
具体的に説明すると、図3(a)のモデル上面図に示すように配線板Aのスルーホール周囲にそのスルーホールと同軸に中空円盤状のランド7aが設けられており、ランド7aには配線板Bの配線10が(この例では一体に)接続されている。
図3(b)のモデル半透視図に示すようにランド7aの縁付近は白化防止部4となっており、白化防止部4の周囲に繊維強化樹脂板3が設けられている。なお、図3(b)中、楕円で囲まれた部分はランド7aと配線10との接続部である。
図4(a)にこのような配線板Aのスルーホール7付近での断面図を示す。
ランド7aの縁付近が白化防止部4になっており、このような構造であると、ガラスクロス3a及び樹脂材3bから構成された繊維強化樹脂板部分に比べて、ガラスクロス3aの存在しない白化防止部4では熱を受けたときに膨張しやすく(膨張状態をモデル的に両矢印で図中に示す)、そのとき、図4(b)中に楕円で示されたランド7aと配線10との接続部で破損や断線が生じる懸念がある。
このようなランド7aと配線10との接続部で破損や断線を防止するために、図5(a)に上面図をモデル的に示した配線板Bでは図示すように、ランド7aの外径を白化防止部4の径よりも大きくすることで、ランド7aと配線10との接続部は白化防止部4にかからなくなり、白化防止部4の熱による膨張が生じた場合であってもその影響が及ばなくなって接続部での破損や断線があらかじめ防止される。
また、このようにランド7aを白化防止部4よりも大きくする以外に、配線10のランド7aへの接続部に配線10よりも幅広い拡幅部を設けるという方法が挙げられる。
具体的な例について図6に示す。図6に示された例では、白化防止部4よりも小さいランド7aが設けられているものの、白化防止部4と繊維強化樹脂板3との境界部分に該当する部分に配線10よりも幅広い拡幅部10aを配していることで、ランド7aはこの拡幅部10aを介して配線10と接続している。このような拡幅部10aにより白化防止部4の熱による膨張が生じた場合に生じるストレスに対して拮抗することが可能となり、その結果、図6中楕円で示されたランド7aと配あ線10との接続部での破損や断線があらかじめ防止される。
上記実施形態では、一例として中空円盤状のランドについて説明したが、本発明は円盤状のランドに限られるものではなく、楕円や四角等の他の形状のランドであっても本発明を適用でき、その場合も,本発明に含まれる。
A、B、C 配線板
3 プリプレグから構成される部分
3a ガラスクロス
3b 樹脂材
4 白化防止部
7 スルーホール
7a ランド
9 端子
10 (配線板の)配線

Claims (4)

  1. 繊維強化樹脂板から構成され、スルーホールを備えた配線板において、
    前記繊維強化樹脂板を構成するマトリックス樹脂のみから構成された白化防止部が前記繊維強化樹脂板に一体的に形成され、かつ、該白化防止部内に前記スルーホールの貫通孔が形成されていることを特徴とする配線板。
  2. 中空状のランドが前記スルーホール部の周囲の前記配線板の表面に設けられ、かつ、該ランドの外径が前記白化防止部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の配線板。
  3. 中空状のランドが前記スルーホール部の周囲の前記配線板の表面に設けられ、かつ、該ランドが前記配線板の配線と該配線より幅の広い幅広部を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の配線板。
  4. 繊維強化樹脂板から構成され、スルーホールを備えた配線板の製造方法において、
    前記繊維強化樹脂板を成形するためのプリプレグの、前記スルーホール形成部及びその周囲部分を除去する強化繊維除去工程と、
    前記プリプレグを用いてプレス成形を行うプレス成形工程と、
    を有することを特徴とする配線板の製造方法。
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