JP2012190719A - 絶縁材料及び積層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化後の硬化物を白色又は白色に近い色にすることができる絶縁材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体2を導電層4に接着するために用いられる。本発明に係る絶縁材料は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物と、窒素原子を有する硬化剤と、白色フィラーとを含有する。上記白色フィラーは、第1のフィラーとして、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含む。絶縁材料100体積%中、上記白色フィラーの含有量は30体積%以上、80体積%以下である。本発明に係る絶縁材料を硬化させたときに、硬化物の反射率Y値は60以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物と硬化剤とフィラーとを含む絶縁材料に関し、より詳細には、硬化後の硬化物の白色度が高い絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体に関する。
発光ダイオード(LED)素子などの光半導体素子が、表示装置の光源等に広く用いられている。光半導体素子を用いた光半導体装置の消費電力は低く、かつ寿命は長い。また、光半導体装置は、過酷な環境下でも使用され得る。従って、光半導体装置は、携帯電話用バックライト、液晶テレビ用バックライト、自動車用ランプ、照明器具及び看板などの幅広い用途で使用されている。
照明器具及び液晶テレビ用バックライト用途などにおいて、必要な明るさをLEDで発光しようとした場合、LED素子からの発熱が大きくなって、LED素子の寿命が短くなったり、明るさが低下したりするという問題がある。この発熱による問題を低減するために、熱を効果的に放散させることが可能な絶縁接着剤が用いられている。該絶縁接着剤では、例えば、樹脂中に熱伝導率が高い無機フィラーが分散されている。
また、上記LED素子を搭載するプリント配線板では、LEDの光を有効活用するために、プリント配線板の表面に白色レジスト層が形成されている。この白色レジスト層により、プリント配線板表面での反射率が高められている。
上記絶縁接着剤の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と、無機充填材である窒化アルミニウムと、硬化剤と、分散剤であるリン酸エステルとを含む絶縁接着剤が開示されている。
特許第3751271号公報
特許文献1に記載のような従来の絶縁接着剤では、絶縁接着材料の硬化時に着色して硬化物が白色でなくなったり、硬化時点では略白色であっても、後の段階で熱の影響で経時的に着色して白色でなくなったりすることがある。このため、プリント配線板の表面に白色レジスト層を設けても、下地の絶縁接着材料における着色の影響により、レジスト層の反射率が十分に高くならないという問題がある。
さらに、特許文献1に記載の絶縁接着材料では、無機フィラーとして窒化アルミニウムを用いているため、絶縁接着材料の硬化物が充分に白くならない。さらに、特許文献1では、絶縁接着材料の硬化物の熱による白色度の低下については、何ら考慮されていない。さらに、特許文献1では、エポキシ樹脂及び硬化剤についての詳しい記載はない。
本発明の目的は、硬化後の硬化物を白色又は白色に近い色にすることができる絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体を提供することである。
本発明の限定的な目的は、硬化物を白色又は白色に近い色にすることができるだけでなく、シート状の絶縁シートであって、未硬化状態での該絶縁シートのハンドリング性に優れている絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁材料であって、エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物と、窒素原子を有する硬化剤と、白色フィラーとを含有し、該白色フィラーが、第1のフィラーとして、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含み、絶縁材料100体積%中、上記白色フィラーの含有量が30体積%以上、80体積%以下であり、絶縁材料を硬化させたときに、硬化物の反射率Y値が60以上である、絶縁材料が提供される。
上記第1のフィラーは、不純物であるFeを含まないか、又は上記第1のフィラーにおける不純物であるFeの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
上記第1のフィラーの平均粒子径が0.5μm以上、10μm以下であることが好ましい。上記第1のフィラーは破砕フィラーであることが好ましい。
上記第1のフィラーが、チタンカップリング剤で表面処理されたフィラーであるか、又は上記白色フィラーが、チタン原子を有する第2のフィラーを含み、該第2のフィラーが含まれる場合に、上記白色フィラー100体積%中、上記第2のフィラーの含有量が25体積%以下であることが好ましい。上記第2のフィラーは酸化チタンであることが好ましい。
上記硬化性化合物は、加水分解性塩素を含まないか又は含み、上記硬化性化合物100重量%中、上記加水分解性塩素の含有量は0.1重量%以下であることが好ましい。
上記窒素原子を有する硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることが好ましい。
本発明に係る絶縁材料のある特定の局面では、該絶縁材料は、シート状の絶縁シートであり、該絶縁シート100体積%中、上記白色フィラーの含有量が30体積%以上、80体積%以下である。
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体と、該熱伝導体の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記熱伝導体が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層とを備えており、上記絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁材料を硬化させることにより形成されている。上記熱伝導体は金属であることが好ましい。
本発明に係る絶縁材料は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物と、硬化剤と、特定の含有量で白色フィラーとを含有し、該白色フィラーが、第1のフィラーとして、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含み、硬化物の反射率Y値が60以上であるので、本発明に係る絶縁材料を硬化させた硬化物を白色又は白色に近い色にすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁材料である。本発明に係る絶縁材料は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物(A)と、窒素原子を有する硬化剤(C1)と、白色フィラー(D)とを含む。白色フィラー(D)は、第1のフィラー(D1)として、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含む。絶縁材料100体積%中、白色フィラー(D)の含有量は30体積%以上、80体積%以下である。本発明に係る絶縁材料を硬化させた後の硬化物の反射率Y値は60以上である。
本発明に係る絶縁材料の上記構成の採用により、硬化後の硬化物を白色又は白色に近い色にすることができる。
従来、硬化後の硬化物層(絶縁層)上に白色レジスト層を形成しても、十分な反射率が得られなかったり、熱による経時変化で白色度が低下したりするという問題があった。これに対して、本発明に係る絶縁シートの上記構成の採用により、このような問題が生じるのを十分に抑制できる。
本発明に係る絶縁材料は、液状の絶縁組成物であってもよく、シート状の絶縁シートであってもよい。取り扱い性を高めるために、本発明に係る絶縁材料は、シート状の絶縁シートであることが好ましい。本発明に係る絶縁材料は上記組成を有するので、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性を高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(B)をさらに含むことが好ましい。ポリマー(B)の使用により、ハンドリング性がより一層良好な絶縁シートを得ることができる。
以下、先ず、本発明に係る絶縁材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
(硬化性化合物(A))
本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化性化合物(A)は、エポキシ基又はオキセタニル基を有していれば特に限定されない。エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物(A)として、従来公知のエポキシ化合物又はオキセタン化合物を用いることができる。硬化性化合物(A)は、窒素原子を有する硬化剤(C1)を含む硬化剤(C)の作用により硬化する。なお、硬化剤(C)には、窒素原子を有さない硬化剤も含まれうる。硬化性化合物(A)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化性化合物(A)は、エポキシ基を有するエポキシ化合物(A1)を含んでいてもよく、オキセタニル基を有するオキセタン化合物(A2)を含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性をより高める観点からは、硬化性化合物(A)は芳香族骨格を有することが好ましい。
エポキシ基を有するエポキシ化合物(A1)の具体例としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。エポキシ化合物(A1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
オキセタニル基を有するオキセタン化合物(A2)の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。オキセタン化合物(A2)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化性化合物(A)の分子量は、10000未満であることが好ましい。硬化性化合物(A)の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは1200以下、更に好ましくは600以下、特に好ましくは550以下である。硬化性化合物(A)の分子量が上記下限以上であると、硬化性化合物(A)の揮発性が低くなり、絶縁材料の取扱い性がより一層高くなる。硬化性化合物(A)の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、絶縁材料が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、硬化性化合物(A)における分子量とは、重合体ではない場合、及び構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
硬化性化合物(A)は、加水分解性塩素を含まないか又は含み、硬化性化合物(A)100重量%中、上記加水分解性塩素の含有量は0.1重量%以下であることが好ましい。上記加水分解性塩素の含有量が少ないほど、硬化物の硬化後の着色及び経時的な熱劣化による着色を効果的に抑制できる。
絶縁材料及び絶縁シートに含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)の合計100重量%中、硬化性化合物(A)の含有量は10重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中の硬化性化合物(A)の含有量は、より好ましくは20重量%以上、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。硬化性化合物(A)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性、接着性及び耐熱性がより一層高くなる。硬化性化合物(A)の含有量が上記上限以下であると、絶縁材料の塗工性及び絶縁シートのハンドリング性がより一層高くなる。なお、全樹脂成分Xとは、硬化性化合物(A)、硬化剤(C)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。全樹脂成分Xには、フィラー(D)は含まれない。
(ポリマー(B))
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(B)を含むことが好ましい。但し、上記絶縁材料は、ポリマー(B)を必ずしも含んでいなくてもよい。ポリマー(B)は、重量平均分子量が10000以上であれば特に限定されない。硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、ポリマー(B)は、芳香族骨格を有することが好ましい。ポリマー(B)が芳香族骨格を有する場合には、ポリマー(B)は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。ポリマー(B)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。この場合には、絶縁材料の硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。ポリマー(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格は特に限定されない。上記芳香族骨格の具体例としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂等を用いることができる。ポリマー(B)は硬化性樹脂であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などのスーパーエンプラと呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる。上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の内のいずれか一方が用いられてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用されてもよい。
ポリマー(B)は、エポキシ樹脂、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体又はフェノキシ樹脂であることが好ましく、エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。この好ましいポリマーの使用により、絶縁材料の硬化物が酸化劣化し難くなり、かつ耐熱性がより一層高くなる。特に、エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなり、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
上記エポキシ樹脂は、フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂であることが好ましい。該エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記スチレン系重合体として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、又はスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、絶縁材料の硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。
上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式芳香族骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(11)〜(16)で表される骨格の内の少なくとも1つの骨格を主鎖中に有することがより好ましい。
Figure 2012190719
上記式(11)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−である。
Figure 2012190719
上記式(12)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 2012190719
上記式(13)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、lは0〜4の整数である。
Figure 2012190719
Figure 2012190719
上記式(15)中、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子であり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、又は−O−であり、kは0又は1である。
Figure 2012190719
ポリマー(B)として、例えば、下記式(17)又は下記式(18)で表されるフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
Figure 2012190719
上記式(17)中、Aは上記式(11)〜(13)の内のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(11)で表される構造が0〜60モル%、上記式(12)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(13)で表される構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、又は上記式(14)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。上記式(17)中、上記式(11)で表される構造は含まれていなくてもよい。
Figure 2012190719
上記式(18)中、Aは上記式(15)又は上記式(16)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
ポリマー(B)のガラス転移温度Tgは、好ましくは60℃以上、より好ましくは90℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。ポリマー(B)のTgが上記下限以上であると、樹脂が熱劣化し難い。ポリマー(B)のTgが上記上限以下であると、ポリマー(B)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、かつ絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)がフェノキシ樹脂である場合には、フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは95℃以上、より好ましくは110℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。フェノキシ樹脂のTgが上記下限以上であると、樹脂の熱劣化をより一層抑制できる。フェノキシ樹脂のTgが上記上限以下であると、フェノキシ樹脂と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)の重量平均分子量は、10000以上である。ポリマー(B)の重量平均分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。ポリマー(B)の重量平均分子量が上記下限以上であると、絶縁材料が熱劣化し難い。ポリマー(B)の重量平均分子量が上記上限以下であると、ポリマー(B)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、並びに絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)は、原材料として添加されていてもよく、また本発明の絶縁材料又は絶縁シートの作製時における攪拌、塗工及び乾燥などの各工程中における反応を利用して生成されたポリマーであってもよい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、ポリマー(B)の含有量は20重量%以上、60重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中のポリマー(B)の含有量は、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以下である。ポリマー(B)の含有量が上記下限以上であると、絶縁シートの硬化物の反射率が良好になり、また未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になる。ポリマー(B)の含有量が上記上限以下であると、無機フィラー(D)の分散が容易になる。
(硬化剤(C))
本発明に係る絶縁材料は、硬化剤(C)として、窒素原子を有する硬化剤(C1)を必須で含む。本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化剤(C)は、窒素原子を有する硬化剤(C1)を含んでおり、絶縁材料を硬化させることが可能であれば特に限定されない。窒素原子を有する硬化剤(C1)は、窒素原子を有し、絶縁材料を硬化させることが可能であれば特に限定されない。硬化剤(C)及び窒素原子を有する硬化剤(C1)は、熱硬化剤であることが好ましい。硬化剤(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。窒素原子を有する硬化剤(C1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の硬化後の着色及び経時的な着色をより一層抑制する観点からは、窒素原子を有する硬化剤(C1)は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることが好ましい。窒素原子を有する硬化剤(C1)は、ジシアンジアミドであってもよく、イミダゾール化合物であってもよい。ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物などの窒素原子を有するアミン系硬化剤の一部は還元剤として作用する。このため、樹脂成分、白色フィラー及び白色フィラーに含まれるFe成分などの酸化劣化による着色を効果的に抑制できる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
窒素原子を有する硬化剤(C1)以外に、窒素原子を有する硬化剤(C1)とともに、窒素原子を有さない硬化剤(C2)を用いてもよい。着色が少なく、耐熱性及び耐湿性のバランスに優れた硬化物を得る観点からは、窒素原子を有さない硬化剤(C2)は、酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物であることが好ましい。上記酸無水物は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。
芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、特に限定されない。芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。なかでも、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
硬化剤(C)は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物、又はジシアンジアミドを含むことがより好ましい。また、硬化剤(C)は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物を含むことが好ましい。この好ましい硬化剤の使用により、硬化物の白色度、柔軟性、耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
Figure 2012190719
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Figure 2012190719
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上記式(4)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
上記窒素原子を有する硬化剤(C1)に相当するイミダゾールは、高融点のイミダゾールであることが好ましい。高融点のイミダゾール系硬化剤の使用により、反応系を容易に制御でき、かつ絶縁材料の硬化速度、及び硬化物の物性などをより一層容易に調整できる。融点100℃以上の高融点の硬化剤は、取扱性に優れている。従って、硬化剤の融点は100℃以上であることが好ましい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は0.5重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは25重量%以下である。また、上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、窒素原子を有する硬化剤(C1)の含有量は0.5重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、窒素原子を有する硬化剤(C1)の含有量は、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは25重量%以下である。硬化剤(C)及び窒素原子を有する硬化剤(C1)の含有量が上記下限以上であると、絶縁材料を充分に硬化させることが容易である。硬化剤(C)及び窒素原子を有する硬化剤(C1)の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な硬化剤(C)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
なお、窒素原子を有する硬化剤(C1)のみを用いる場合には、上記硬化剤(C)の含有量は、窒素原子を有する硬化剤(C1)の含有量である。窒素原子を有する硬化剤(C1)と窒素原子を有さない硬化剤(C2)とを併用する場合には、上記硬化剤(C)の含有量は、窒素原子を有する硬化剤(C1)と窒素原子を有さない硬化剤(C2)との合計の含有量を示す。
(白色フィラー(D))
本発明に係る絶縁材料に含まれている白色フィラー(D)は、第1のフィラー(D1)として、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含む。第1のフィラー(D1)は、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナであるか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカである。この第1のフィラー(D1)の使用により、硬化物の白色度と熱伝導性とを高めることができる。硬化物の熱伝導性が高くなる結果、硬化物の放熱性が高くなる。第1のフィラー(D1)の熱伝導率が10W/m・Kよりも小さいと、硬化物の熱伝導性を充分に高めることは困難である。第1のフィラー(D1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第1のフィラー(D1)は、不純物であるFeを含まないか、又は第1のフィラー(D1)における不純物であるFeの含有量が500ppm以下であることが好ましい。第1のフィラー(D1)における不純物であるFeの含有量は、より好ましくは300ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Feの含有量が上記上限以下であると、Feの酸化劣化による着色がより一層生じ難くなり、硬化物の白色度の低下をより一層抑制できる。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、フィラー(D)及び第1のフィラー(D1)は、無機フィラーであることが好ましい。
第1のフィラー(D1)の平均粒子径は0.5μm以上、10μm以下であることが好ましい。第1のフィラー(D1)の平均粒子径が上記下限以上であると、可視光が充分に散乱し、硬化物の白色度をより一層高めることができる。第1のフィラー(D1)の平均粒子径が上記上限以下であると、フィラーの表面積の低下により樹脂とフィラーとの界面での可視光の反射頻度が高くなり、硬化物の白色度をより一層高めることができる。
白色フィラー(D)及び第1のフィラー(D1)は球状のフィラーであってもよく、破砕されたフィラー(破砕フィラー)であってもよい。白色フィラー(D)及び第1のフィラー(D1)は、破砕フィラーであることが特に好ましい。破砕フィラーは、同体積の球状フィラーと比較して表面積が大きいため、破砕フィラーの使用により、可視光の散乱がより効果的におこり、硬化物の白色度がより一層高くなる。
破砕フィラーのアスペクト比は、特に限定されない。破砕フィラーのアスペクト比は、1.5以上、20以下であることが好ましい。アスペクト比が1.5未満のフィラーは、比較的高価である。従って、絶縁材料のコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、破砕フィラーの充填が容易である。
破砕フィラーのアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて、フィラーの破砕面を測定することにより求めることができる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
硬化物の白色度をより一層高める観点からは、白色フィラー(D)は、チタンカップリング剤で表面処理されたフィラーであることが好ましい。さらに、硬化物の白色度をより一層高める観点からは、第1のフィラー(D1)が、チタンカップリング剤で表面処理されたフィラーであるか、又は白色フィラー(D)が、チタン原子を有する第2のフィラー(D2)を含むことが好ましい。第2のフィラー(D2)は、チタン原子を有するフィラーである。硬化物の白色度をより一層高める観点からは、第2のフィラー(D2)は酸化チタンであることが好ましい。
硬化物の放熱性及び白色度をより一層高める観点からは、白色フィラー(D)100体積%中、第1のフィラー(D1)の含有量は、好ましくは50体積%以上、より好ましくは75体積%以上、更に好ましくは80体積%以上、100体積%以下、好ましくは99.9体積%以下、より好ましくは95体積%以下である。白色フィラー(D)の全量が第1のフィラー(D1)であってもよい。但し、硬化物の白色度をより一層高めることが容易であるため、第1のフィラー(D1)とともに第1のフィラー(D1)以外のフィラーを用いることが好ましく、第1のフィラー(D1)とともに第2のフィラー(D2)を用いることがより好ましい。なお、上述のように、第1のフィラー(D1)は、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナであるか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカであり、第2のフィラー(D2)は、チタン原子を有するフィラーである。
硬化物の放熱性及び白色度をより一層高める観点からは、白色フィラー(D)100体積%中、第2のフィラー(D2)の含有量は、好ましくは0体積%以上、0.1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、好ましくは50体積%以下、より好ましくは25体積%以下、更に好ましくは20体積%以下である。
絶縁材料100体積%中及び絶縁シート100体積%中、白色フィラー(D)の含有量(第1,第2のフィラー(D1),(D2)を含む場合には第1,第2のフィラー(D1),(D2)の合計の含有量)は、30体積%以上、80体積%以下である。白色フィラー(D)の含有量が上記範囲内であると、硬化物の放熱性がより一層高くなり、更に未硬化状態での絶縁組成物の塗布性及び未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になる。絶縁シート100体積%中の白色フィラー(D)の含有量は、より好ましくは35体積%以上、より好ましくは70体積%以下、更に好ましくは60体積%以下である。白色フィラー(D)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性及び白色度がより一層高くなる。白色フィラー(D)の含有量が上記上限以下であると、絶縁組成物の塗布性及び絶縁シートのハンドリング性がより一層高くなる。
(他の成分)
本発明に係る絶縁材料は、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、絶縁材料の応力緩和性及び柔軟性を高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、分散剤を含んでいてもよい。該分散剤の使用により、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。上記分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、及びフェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。上記官能基のpKaが上記下限以上であると、上記分散剤の酸性度が高くなりすぎない。従って、絶縁材料の貯蔵安定性がより一層高くなる。上記官能基のpKaが上記上限以下であると、上記分散剤としての機能が充分に果たされ、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基は、カルボキシル基又はリン酸基であることが好ましい。この場合には、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がさらに一層高くなる。
上記分散剤としては、具体的には、例えば、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、及びポリシロキサン系フェノール等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、上記分散剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、白色フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の放熱性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
ハンドリング性をより一層高めるために、上記絶縁シートは、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布等の基材物質を含んでいてもよい。ただし、上記基材物質を含まなくても、上記組成を有するシート状の絶縁材料(絶縁シート)は室温(23℃)において自立性を有し、かつ優れたハンドリング性を有する。よって、絶縁シートは基材物質を含まないことが好ましく、特にガラスクロスを含まないことが好ましい。絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、絶縁シートの厚みを薄くすることができ、かつ硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。さらに、絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、必要に応じて絶縁シートにレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこともできる。なお、自立性とは、PETフィルム又は銅箔といった支持体が存在しなくても、シートの形状を保持し、シートとして取り扱うことができることをいう。
さらに、本発明に係る絶縁シートは、必要に応じて、粘着性付与剤、可塑剤、カップリング剤、チキソ性付与剤、難燃剤、光増感剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
(絶縁材料)
本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる。
硬化物を白色又は白色に近い色にするために、本発明に係る絶縁材料を硬化させたときに、硬化物の反射率Y値が60以上である。該硬化物の反射率Y値は、好ましくは70以上、より好ましくは80以上である。上記反射率Y値は、好ましくは絶縁材料を120℃で1時間硬化させた後、200℃でさらに1時間硬化させた硬化物において測定される。
上記絶縁シートの製造方法は特に限定されない。絶縁シートは、例えば、上述した材料を混合した混合物を溶剤キャスト法又は押し出し成膜法等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。シート状に成形する際に、脱泡することが好ましい。
絶縁シートの厚みは特に限定されない。絶縁シートの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは70μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは120μm以下である。厚みが上記下限以上であると、絶縁シートの硬化物の絶縁性が高くなる。厚みが上記上限以下であると、金属体を導電層に接着したときに放熱性が高くなる。
未硬化状態での絶縁材料のガラス転移温度Tgは、25℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が25℃以下であると、絶縁材料が室温において固く、かつ脆くなり難い。このため、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性が高くなる。
絶縁材料の硬化物の熱伝導率は、好ましくは0.7W/m・K以上、より好ましくは1.0W/m・K以上、更に好ましくは1.5W/m・K以上である。熱伝導率が高いほど、絶縁材料の硬化物の放熱性が十分に高くなる。
絶縁材料の硬化物の絶縁破壊電圧は、好ましくは40kV/mm以上、より好ましくは60kV/mm以上、更に好ましくは80kV/mm以上、特に好ましくは100kV/mm以上である。絶縁破壊電圧が高いほど、絶縁材料が例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性を十分に確保できる。
(積層構造体)
本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されている積層構造体の絶縁層を構成するために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る絶縁材料を用いた積層構造体の一例を示す。
図1に示す積層構造体1は、熱伝導体2と、熱伝導体2の第1の表面2aに積層された絶縁層3と、絶縁層3の熱伝導体2が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層4とを備える。熱伝導体2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2bには、絶縁層及び導電層は積層されていない。絶縁層3は、本発明に係る絶縁材料を硬化させることにより形成されている。熱伝導体2の熱伝導率は10W/m・K以上である。
熱伝導体の少なくとも一方の面に、絶縁層と導電層とがこの順に積層されていればよく、熱伝導体の他方の面にも、絶縁層と導電層とがこの順に積層されていてもよい。
積層構造体1では、絶縁層3が高い熱伝導率を有するので、導電層4側からの熱が絶縁層3を介して熱伝導体2に伝わりやすい。積層構造体1では、熱伝導体2によって熱を効率的に放散させることができる。
例えば、両面に銅回路が設けられた積層板又は多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子又は半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁材料を介して金属体を接着した後、絶縁材料を硬化させることにより、積層構造体1を得ることができる。
上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は特に限定されない。上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体としては、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びグラファイトシート等が挙げられる。中でも、上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は、銅又はアルミニウムであることが好ましい。銅又はアルミニウムは、放熱性に優れている。
本発明に係る絶縁材料は、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するために好適に用いられる。
本発明に係る絶縁材料は、半導体素子以外の電子部品素子が基板上に搭載されている電子部品装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するためにも好適に用いられる。
なお、本発明に係る絶縁材料は、積層構造体1以外の用途に用いてもよい。良好な白色度を有する硬化物層を形成することが求められる用途に、本発明に係る絶縁材料は好適に用いられる。
また、本発明に係る絶縁材料の硬化物は白色であるか又は白色に近い色であるので、絶縁材料をLED素子を搭載するプリント配線板に用いた場合に、光の利用効率を高めることができる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
[硬化性化合物(A)]
(1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂1(三菱化学社製、商品名:エピコート828、Mw=370、加水分解性塩素の含有量0.15重量%)
(2)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂2(三菱化学社製、商品名:エピコート828US、Mw=370、加水分解性塩素の含有量0.08重量%)
(3)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂3(DIC社製、商品名:EPICLON850CRP、Mw=344、加水分解性塩素の含有量0.006重量%)
(4)フルオレン骨格エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、商品名:オンコートEX1011、Mw=486、加水分解性塩素の含有量0.002重量%)
(5)ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂(DIC社製、商品名:EPICLON HP−4032D、Mw=304、加水分解性塩素の含有量0.009重量%)
(6)ベンゼン骨格含有オキセタン樹脂(宇部興産社製、商品名:エタナコールOXTP、Mw=362.4、加水分解性塩素の含有量0.017重量%)
[ポリマー(B)]
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:E1256、Mw=51000、Tg=98℃)
(2)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43700、Tg=163℃)
(3)エポキシ基含有スチレン樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100000、Tg=93℃)
[他のポリマー]
(1)エポキシ基含有アクリル樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9000、Tg=69℃)
[窒素原子を有する硬化剤(C1)]
(1)ジシアンジアミド
(2)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
(3)メラミン骨格系フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
[窒素原子を有さない硬化剤(C2)]
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャパン社製、商品名:SMAレジンEF60)
(3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(4)テルペン系骨格酸無水物(三菱化学社製、商品名:エピキュアYH−306)
[第1のフィラー(D1)]
(1)5μm破砕アルミナ(破砕フィラー、昭和電工社製、商品名:AL−43−KT、平均粒子径4.6μm、熱伝導率36W/m・K、純度99.9%、Fe:200ppm)
(2)0.5μm破砕アルミナ(破砕フィラー、住友化学社製、商品名:AKP−3000、平均粒子径0.5μm、熱伝導率36W/m・K、純度99.99%、Fe:20ppm)
(3)25μm球状アルミナ(球状フィラー、マイクロン社製、商品名:AX−25、平均粒子径25μm、熱伝導率36W/m・K、純度99.8%、Fe:140ppm)
(4)5μm結晶性シリカ(龍森社製、商品名:クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm、熱伝導率10W/m・K、純度99.9%、Fe:200ppm)
[純度が99.8%未満である他の白色フィラー1]
(1)1.8μm破砕アルミナ(昭和電工製、商品名:AL−170、平均粒子径1.8μm、熱伝導率36W/m・K、純度99.7%、Fe:100ppm)
(2)12μm破砕アルミナ(昭和電工製、商品名:AS−40、平均粒子径12μm、熱伝導率36W/m・K、純度99.7%、Fe:600ppm)
[第2のフィラー(D2)]
(1)酸化チタン1(堺化学社製、商品名:D−918)
(2)酸化チタン2(石原産業社製、商品名:CR−97)
[フィラー(D)以外の他の白色フィラー2]
(1)タルク(日本タルク社製、商品名:K−1、平均粒子径8μm)
[添加剤]
(1)エポキシシランカップリング剤(堺化学社製、商品名:D−918)
(2)チタン系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製、商品名:プレンアクト138S)
[溶剤]
(1)メチルエチルケトン
(実施例1〜30及び比較例1〜6)
ホモディスパー型撹拌機を用いて、下記の表1〜2に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
厚み50μmの離型PETシートに、上記絶縁材料を100μmの厚みになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(評価)
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを有する積層シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから熱硬化前の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
[ハンドリング性の判定基準]
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるものの、シート伸び又は破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置「DSC220C」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、3℃/分の昇温速度で、未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度を測定した。
(3)熱伝導率
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率を測定した。
(4)反射率Y値
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出した後に銅箔を剥離して、評価サンプルを得た。
色彩・色差計(コニカミノルタ社製、CR−400)を用いて、露出した絶縁層の表面のY値を測定した。そのY値を反射率とした。反射率Y値が、75以上の場合を「○○」、70以上、75未満の場合を「○」、60以上、70未満の場合を「△」、60未満の場合を「×」と判定した。
(5)耐熱劣化試験(耐熱性)
上記(4)で得られた評価サンプルの絶縁層の表面のL*、a*、b*を測定した。また、該評価サンプルを260℃オーブン内で30分放置(熱処理)し、その後の絶縁層の表面のL*、a*、b*を再度測定した。これら2つの測定値からΔE*abを求めた。ΔE*abが、2以下の場合を「○」、2を超え、3以下の場合を「△」、3を超える場合を「×」と判定した。
(6)絶縁破壊電圧(耐電圧性)
絶縁シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。絶縁シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
結果を下記の表1〜2に示す。下記の表1〜2において、*1は全樹脂成分X100重量%中の含有量(重量%)を示す。*2は、白色フィラー100体積%中の含有量を示す。*3は、絶縁シート100体積%中の含有量(体積%)を示す。
Figure 2012190719
Figure 2012190719
1…積層構造体
2…熱伝導体
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…絶縁層
4…導電層

Claims (11)

  1. 熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁材料であって、
    エポキシ基又はオキセタニル基を有する硬化性化合物と、
    窒素原子を有する硬化剤と、
    白色フィラーとを含有し、
    前記白色フィラーが、第1のフィラーとして、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上であるアルミナを含むか、又は熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ純度が99.8%以上である結晶性シリカを含み、
    絶縁材料100体積%中、前記白色フィラーの含有量が30体積%以上、80体積%以下であり、
    絶縁材料を硬化させたときに、硬化物の反射率Y値が60以上である、絶縁材料。
  2. 前記第1のフィラーが、不純物であるFeを含まないか、又前記第1のフィラーにおけるFeの含有量が500ppm以下である、請求項1に記載の絶縁材料。
  3. 前記第1のフィラーの平均粒子径が0.5μm以上、10μm以下である、請求項1又は2に記載の絶縁材料。
  4. 前記第1のフィラーが破砕フィラーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  5. 前記第1のフィラーが、チタンカップリング剤で表面処理されたフィラーであるか、又は前記白色フィラーが、チタン原子を有する第2のフィラーを含み、
    前記第2のフィラーが含まれる場合に、前記白色フィラー100体積%中、前記第2のフィラーの含有量が25体積%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  6. 前記第2のフィラーが酸化チタンである、請求項5に記載の絶縁材料。
  7. 前記硬化性化合物が、加水分解性塩素を含まないか又は含み、
    前記硬化性化合物100重量%中、前記加水分解性塩素の含有量が0.1重量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  8. 前記窒素原子を有する硬化剤が、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  9. シート状の絶縁シートであり、
    前記絶縁シート100体積%中、前記白色フィラーの含有量が30体積%以上、80体積%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  10. 熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体と、
    前記熱伝導体の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁材料を硬化させることにより形成されている、積層構造体。
  11. 前記熱伝導体が金属である、請求項10に記載の積層構造体。
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