JP2012188826A - 仮設足場用屋根構造体とそれを用いた構造物の組立方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮設足場用の既存部材と組み合わせて用いられる屋根構造体1であって、設置時に屋根勾配を構成し、棟部から軒先部までの全長を有する上弦材10と、設置時に略水平となるような下弦材11と、上弦材と下弦材との棟部側略端部同士を結ぶ合掌柱材12と、トラス構造を形成するトラス用材13・14とから片棟分の屋根構造を構成する。そして、合掌柱材には対称的に平行配置される他の合掌柱材との結合手段15を付設し、上記片棟分の屋根構造を2基結合して合掌させるように構成した屋根構造体1を提供する。
【選択図】図1
Description
特許文献1では、山形の屋根架溝を形成する、並列する上下弦材とラチス材及び母屋材とからなるユニット化されたトラスユニットを提案している。このトラスユニットは、対向して立設される建枠間に架設して構成し、端部のトラスユニットは建枠上のトラス受にスパン方向にスライド可能である。また、各トラスユニットは相互に着脱自在に構成している。
あるいは、屋根裏を屋根裏収納、ロフトなどに利用しようとすると新たに床部分を形成し、そのための構造計算からやり直さなければならない問題があった。
すなわち、仮設足場用の既存部材と組み合わせて用いられる屋根構造体であって、設置時に屋根勾配を構成し、棟部から軒先部までの全長を有する上弦材と、軒先部において設置時に略水平となるような上弦材との角度を有して連結され、軒先部から棟部の直下方までの全長を有する下弦材と、上弦材と下弦材との棟部側略端部同士を結ぶ合掌柱材と、上弦材・下弦材・合掌柱材とで囲まれた領域をトラス構造にするトラス用材とから片棟分の屋根構造を構成する。
そして、合掌柱材には対称的に平行配置される他の合掌柱材との結合手段を付設し、上記片棟分の屋根構造を2基結合して合掌させるように構成したことを特徴とする。
すなわち、延長時の棟部から鉛直下方に立設する中心柱材と、中心柱材と所定の距離だけ両方の軒先側に平行に離間し、合掌柱材と略同一な全長を有する1対の結合柱材と、中心柱材の上端である棟部から両軒先部方向に屋根勾配と等しい勾配で傾斜し、1対の結合柱材の上端とそれぞれ連結される1対の延長上弦材と、1対の結合柱材の下端同士の間に略水平に架設される延長下弦材とを備える。
以上の構成により、結合柱材の両側に片棟分の屋根構造の合掌柱材をそれぞれ結合して軒先側への各離間距離分延長することのできる延長用屋根構造体を提供する。
本方法においては、
(S1)仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程、
(S2)建枠の最上部に、U字状受け部材を嵌入して設置する受け部材設置工程、
の各工程と、これらの工程(S1)(S2)の前後又は同時に、
(S3)片棟分の屋根構造同士、又は延長用屋根構造体との結合を行って1つの屋根構造体を組み立てる屋根組立第1工程と、
(S4)建枠のスパンに一致する距離だけ平行に離間して複数の屋根構造体を配列し、屋根構造体同士を少なくとも仮設足場用筋交で連結して屋根全体を一体化する屋根組立第2工程
とからなる屋根組立工程(S3)(S4)を行い、
次いで受け部材設置工程(S2)及び屋根組立工程(S4)が完了した後に、
(S5)一体化された屋根全体の下弦材をU字状受け部材上に保持させる屋根載置工程、
(S6)建枠と屋根全体とを仮設足場用の連結部材を用いて固定する固定工程
を有する。
すなわち、
(S11)仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程、
(S12)建枠の最上部に、U字状受け部材を嵌入して設置する受け部材設置工程、
の各工程と、これらの工程(S1)(S2)の前後又は同時に、
(S13)前記片棟分の屋根構造同士、又は前記延長用屋根構造体との結合を行って1つの屋根構造体を組み立てる屋根組立第1工程を行った後、
(S14)屋根構造体ごとに、該U字状受け部材上に保持させる屋根構造体載置工程、
(S15)複数配列された屋根構造体同士を少なくとも仮設足場用筋交で連結して屋根全体を一体化する屋根組立第2工程、
屋根組立第2工程(S15)の前後又は同時に、
(S16)各建枠と各屋根構造体とを仮設足場用の連結部材を用いて固定する固定工程
を有する。
すなわち、本発明に係る屋根構造体は、設置現場での組立が最低限合掌柱同士の結合だけであり、かつ一般的な足場職人によれば組立可能な既存の仮設足場用部材との組み合わせによって、正確な構造計算を行った屋根付き構造物を設置することができる。
従って、特別な技術特別な技術を要さずに簡便に組立が行える屋根構造体が提供でき、高い安全性を備えた構造物を組み立てることができる。
(第1実施例)
図1は、本発明に係る屋根構造体(1)の正面図である。屋根構造体(1)には図示のような設置状態で屋根勾配を構成するように傾斜し、棟部(10a)から軒先部(10b)までの全長を有する上弦材(10)と、該軒先部(10b)から、上弦材の棟部(10a)の直下方までとの全長を有し、設置時に略水平となる下弦材(11)、さらに上弦材と下弦材との棟部側略端部同士を結ぶ合掌柱材(12)とで三角形の外枠を構成する。
そのために、各合掌柱材(12)には、平行配置される他の合掌柱材(12)との結合手段(15)(15)を設ける。
従って、本発明によれば、上記ボルトの固定だけで1つの屋根構造体を組み立てることができる。
例えば、図1のように下弦材(11)の棟側端部に外方に突出した平板体(16)を設け、両側の下弦材(11)から突出した平板体(16)(16)同士をボルトで固定する。上記結合手段と連結手段を組み合わせて使用することにより、2方向で固定することができるので組立時の屋根構造体の強化に寄与する。
上記の屋根構造体(1)において、上弦材(10)と合掌柱材(15)には、公知の筋交取付ピン(グラヴィティロック)を用いて仮設足場用筋交(20)(21)(23)が連結される。連結用に、筋交取付ピンを取り付けるための取り付け穴を上弦材(10)や合掌柱材(15)に設ける。
このほか、合掌部の筋交(22)は、A-19(規格)の筋交(22)が用いられるように取付ピン用の穴の間隔を914mmとする。
センチ規格の建枠等足場部材を用いる場合には、そのサイズに適合するように適宜、筋交い用の取付部を設けてもよい。
本発明ではこのような特徴に着目し、上弦材(10)や合掌柱材(15)にも、一般的な建枠のスパンと、容易に準備できる筋交の組み合わせに対応できる取り付け穴を設けることを提案する。
このため、熟練者の経験やノウハウに頼ることなく、初めて屋根構造体(1)を使用する職人でも容易に安全な構造物を組み立てることができる。
本発明では下弦材(11)は略水平に設置されているので、下弦材(11)間に布板を渡すことで略水平な足場を形成することができる。
また、水平な平面が得られるため、下のスペースとは別に屋根裏の収納スペース、ロフトなどとして利用することもできる。
さらに、本布板にエアコンや照明器具を設置することで、平面内の任意の場所にこれらの器具を配置することができるようになる。
ここで、本発明の第2実施例について説明する。
上記したように本発明は片棟分の屋根構造が一体的に構成されているため、現場での組立が極めて容易であり、また、片棟分であれば通常の資材と一緒に簡単に運搬することができる。
一方、構造物の幅方向(軒先同士の間隔)を自由に調整することができない。そこで、本第2実施例に示すような延長用屋根構造体(3)を提供することができる。
本実施例では、延長用結合手段(35)(35)の上方と下方に、それぞれ外方に突出する平板体(35)(35)を付設し、並列する合掌柱材(12)から出て重複した状態の平板体(15)とボルトで固定する。図示のように、合計4箇所のボルト固定を行う。
まず、本発明では既存の仮設足場と、屋根本体とを簡便に接続するための金具を提案する。
U字状受け部材(17)は、上方に開口した、下弦材(11)の形状に適合するU字状の受け部材(17a)を備え、下部には、既存の仮設足場パイプ内に嵌入可能な嵌入棒部(17b)を備えている。
また、図示するようにU字状受け部材(17a)と嵌入棒部(17b)にはそれぞれ貫通孔が形成されており、下弦材(11)や足場パイプ(24)と挿通したボルト等により抜けないように固定することもできる。
最初に、(S1)仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程を行う。本工程は公知の一般的な作業であるが、一例としては、次の通りである。
まず、設置現場にジャッキベースを並べ、例えば914mm幅の鳥居型建枠(25)をジャッキベース上に置く。各鳥居型建枠(25)間に筋交(23)を取付ながらスパン方向に順次建枠を延ばしていき、所定のスパンになるまで繰り返す。
鳥居型建枠(25)間の筋交の間隔としては、1829mm、1524mm、1219mm、914mm、610mmなどから適宜選択してもよい。
奥行きが4スパン、幅が6スパンの構造物を建築する場合、まず6スパンの建枠1段を組み立てて、その両端に、直角に延設する4スパンの建枠を連結していく。
そして、(S2)受け部材設置工程として、最高段の鳥居型建枠(25)の上端に、本発明に係るU字状受け部材(17)を嵌入して設置する。
まず、(S3)屋根組立第1工程として、片棟分の屋根構造同士を結合して屋根構造体(1)を組み立てる。好適な作業手順としては、片棟分の屋根構造を地面上で仮置きし、反対側の屋根構造も合掌部分を合わせて仮置きする。合掌させた状態でボルト位置を確認して両方の結合手段(15)同士にボルトを挿通して固定する。連結手段(16)同士も、必要によっては接続板などを用いて互いに連結する。
さらに延長用屋根構造体(3)を用いる場合には、これを介在させて結合し、1つの屋根構造体を組み立てる。
具体的にはまず2基の屋根構造体(1)を平行に立てて連結筋交(21)(22)を1スパンに付き4本設置する。これで平行な屋根構造体1組ができるので、さらにねじれ防止筋交(20)を1スパンにつき4本設置する。
さらに屋根構造体(1)間に布板(18)を設置する。
すなわち、(S5)一体化された屋根全体の下弦材(11)をU字状受け部材(17)上に保持させる屋根載置工程をクレーン(4)等で行い、位置を微調整する。U字状受け部材(17)は上向きに開口した状態で保持しているだけなので、調整作業は容易である。
図8のように、U字状受け部材(17)は上記のようにボルトで下弦材(11)及び鳥居型建枠(23)と接続する他、仮設足場用の公知の自在クランプ(5)を用いて、例えば建枠の水平なパイプと、下弦材(11)とを結合させる。
すなわち、(S11)仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程と、最高段の鳥居型建枠(25)の上端に、本発明に係るU字状受け部材(17)を嵌入して設置する(S2)受け部材設置工程を上記と同様に行う。
各建枠と各屋根構造体とを仮設足場用の連結部材(自在クランプ等)により固定する固定工程(S16)は、屋根構造体載置工程(S14)や屋根組立第2工程(S15)と共に固定できるものから順次行えばよい。
10 上弦材
11 下弦材
12 合掌柱材
13 束材
14 斜材
15 結合用平板体
16 連結用平板体
20 筋交
21 筋交
22 筋交
Claims (8)
- 仮設足場用の既存部材と組み合わせて用いられる屋根構造体であって、
設置時に屋根勾配を構成し、棟部から軒先部までの全長を有する上弦材と、
該軒先部において設置時に略水平となるような上弦材との角度を有して連結され、該軒先部から該棟部の直下方までの全長を有する下弦材と、
該上弦材と該下弦材との棟部側略端部同士を結ぶ合掌柱材と、
該上弦材・該下弦材・該合掌柱材とで囲まれた領域をトラス構造にするトラス用材と
から片棟分の屋根構造を構成し、
該合掌柱材には対称的に平行配置される他の合掌柱材との結合手段を付設し、上記片棟分の屋根構造を2基結合して合掌させるように構成した
ことを特徴とする屋根構造体。 - 前記屋根構造体において、
前記下弦材には、合掌時に隣接する他方の下弦材と連結可能な連結手段を付設した
請求項1に記載の屋根構造体。 - 前記屋根構造体において、
前記上弦材及び前記合掌柱材を、仮設足場用筋交が連結可能な形状に構成し、
前記1組の屋根構造体を建枠のスパン方向に複数平行に設置する際に、その対向する屋根構造体間に、仮設足場用筋交を設置できるようにした
請求項1又は2に記載の屋根構造体。 - 前記屋根構造体において、
前記下弦材を、仮設足場用布板が連結可能な形状に構成し、
前記1組の屋根構造体を建枠のスパン方向に複数平行に設置する際に、その対向する屋根構造体間で、仮設足場用布板をスパン方向に略水平に設置できるようにした
請求項1ないし3のいずれかに記載の屋根構造体。 - 前記屋根構造体において、
前記下弦材の形状に適合して下側から保持可能なU字状受け部材を備え、
該U字状受け部材の下部には、仮設足場パイプ内に嵌入可能な嵌入棒部を備えた
請求項1ないし4のいずれかに記載の屋根構造体。 - 前記屋根構造体と共に用いられる延長用屋根構造体であって、
延長時の棟部から鉛直下方に立設する中心柱材と、
該中心柱材と所定の距離だけ両方の軒先側に平行に離間し、前記合掌柱材と略同一な全長を有する1対の結合柱材と、
該中心柱材の上端である棟部から両軒先部方向に前記屋根勾配と等しい勾配で傾斜し、該1対の結合柱材の上端とそれぞれ連結される1対の延長上弦材と、
該1対の結合柱材の下端同士の間に略水平に架設される延長下弦材と
を備え、
該結合柱材の両側に前記片棟分の屋根構造の合掌柱材をそれぞれ結合して該軒先側への各離間距離分延長する
ことを特徴とする延長用屋根構造体。 - 前記請求項1ないし6に記載の屋根構造体、又は屋根構造体と前記延長用屋根構造体との組み合わせ体(以下、屋根構造体等)を用いた構造物の組立方法であって、
仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程、
該建枠の最上部に、前記U字状受け部材を嵌入して設置する受け部材設置工程、
該建枠組立工程及び受け部材設置工程の前後又は同時に、
前記片棟分の屋根構造同士、又は前記延長用屋根構造体との結合を行って1つの屋根構造体を組み立てる屋根組立第1工程と
該建枠のスパンに一致する距離だけ平行に離間して複数の屋根構造体を配列し、該屋根構造体同士を少なくとも仮設足場用筋交で連結して屋根全体を一体化する屋根組立第2工程と
からなる屋根組立工程を行い、次いで
該受け部材設置工程及び該屋根組立工程が完了した後に、該一体化された屋根全体の前記下弦材を前記U字状受け部材上に保持させる屋根載置工程、
該建枠と該屋根全体とを仮設足場用の連結部材を用いて固定する固定工程
を有することを特徴とする構造物の組立方法。 - 前記請求項1ないし6に記載の屋根構造体、又は屋根構造体と前記延長用屋根構造体との組み合わせ体(以下、屋根構造体等)を用いた構造物の組立方法であって、
仮設足場用部材を用いて所定のスパン数の建枠を平行に組み立てる建枠組立工程、
該建枠の最上部に、前記U字状受け部材を嵌入して設置する受け部材設置工程、
該建枠組立工程及び受け部材設置工程の前後又は同時に、
前記片棟分の屋根構造同士、又は前記延長用屋根構造体との結合を行って1つの屋根構造体を組み立てる屋根組立第1工程を行った後、
該屋根構造体ごとに、該U字状受け部材上に保持させる屋根構造体載置工程、
複数配列された屋根構造体同士を少なくとも仮設足場用筋交で連結して屋根全体を一体化する屋根組立第2工程、
該屋根組立第2工程の前後又は同時に、
各建枠と各屋根構造体とを仮設足場用の連結部材を用いて固定する固定工程
を有することを特徴とする構造物の組立方法。
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