JP2012184302A - プロピレン系樹脂組成物およびそのフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロピレン重合体成分(A)50〜90重量%と、エチレン−プロピレン共重合体成分(B)50〜10重量%とからなり、MFRが1.5以上、5未満(g/10分)であるプロピレン共重合体(I)70〜90重量%、およびエチレンに由来する構造単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜940kg/m3であり、メルトフローレートが0.01以上、5未満(g/10分)であり、分子量分布が3以上であり、Eaが50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体(II)30〜10重量%を含有するプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
近年、食品包装用分野で用いられているフィルムには、例えば、レトルト食品包装体に用いられるフィルムには、耐熱性、剛性、耐ブロッキング性、熱処理後のヒートシール強度を兼ね備え、熱処理によるゆず肌の発生が軽減されたフィルムが求められている。
エチレンに由来する構造単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜940kg/m3であり、メルトフローレート(230℃)が0.01(g/10分)以上、5(g/10分)未満であり、分子量分布が3以上であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体(重合体(II))30〜10重量%を含有するプロピレン系樹脂組成物(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)に係るものである。
エチレンに由来する構造単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜940kg/m3であり、メルトフローレート(230℃)が0.01(g/10分)以上、5(g/10分)未満であり、分子量分布が3以上であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、「重合体(II)」と記載することがある。)30〜10重量%を含有する(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)。
また、成分Bは、エチレンに由来する構造単位の他に、プロピレンに由来する構造単位を有し、プロピレンに由来する構造単位の含有量としては、80〜40重量%であり、好ましくは、75〜50重量%である(但し、エチレンに由来する構造単位の含有量とプロピレンに由来する構造単位の含有量との合計の重量を100重量%とする。)。
重合体(I)の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、またはこれらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
重合体(I)の製造方法として、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性溶剤の不存在下に、第一工程で成分Aを製造し、次いで、第二工程で気相中プロピレンとエチレンとを重合して、成分Bを製造する方法である。
重合体(I)の成分Aおよび成分Bのエチレン含量、並びに重合体(I)のメルトフローレート(230℃)の調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを適切な量を加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
重合体(I)の成分Aおよび成分Bの割合は、重合体(I)の製造時の重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n(1)
Ea = |0.008314×m| (2)
aT:シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T:温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製RhiosV.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、それぞれの温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、それぞれの温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(1)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
η=η0/[1+(τ×ω)n] (3)
η:溶融複素粘度(単位:Pa・sec)
ω:角周波数(単位:rad/sec)
τ:特性緩和時間(単位:sec)
η0:エチレン−α−オレフィン共重合体毎に求まる定数(単位:Pa・sec)
n:エチレン−α−オレフィン共重合体毎に求まる定数
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
g*=[η]/([η]GPC×gSCB*) (4)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dL/g)を表し、下記式(4−1)によって定義される。[η]GPCは、下記式(4−2)によって定義されるものとした。gSCB*は、下記式(4−3)によって定義される。
[η]=23.3×log(ηrel) (4−1)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC=0.00046×Mv0.725 (4−2)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
gSCB*=(1−A)1.725 (4−3)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐の含量測定から直接求めることができる。)]
gSCB*は、エチレン−α−オレフィン共重合体に短鎖分岐を導入することによって生じるg*への寄与を表す。
式(4−2)は、L. H. Tung著 Journal of Polymer Science, 36, 130 (1959) 287−294頁に記載の式を用いた。
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)(ケミノックス1129)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、ビタミンEに代表されるα−トコフェロール類等が挙げられる。
未延伸フィルムの製造方法として、好ましくはTダイ法である。
その他のフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等が挙げられる。
本発明のフィルムとその他のフィルムを複合する方法としては、例えば、ドライラミネート法や押出ラミネート法等が挙げられる。
複合フィルムの用途として、好ましくは、重量物包装用途である。
(1)重合体(I)の成分Aおよび成分Bの含有量(単位:重量%)
重合体(I)の成分Aおよび成分Bの重合時の物質収支から、成分Aの含有量(PA)、成分Bの含有量(PB)を求めた。
(2)重合体(I)のエチレン−プロピレン共重合体成分(成分B)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:重量%)
プロピレン共重合体(重合体(I))の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って求め、下式(5)により成分Bのエチレン含量を求めた。
EB=(ET−EA×PA)/PB 式(5)
(ただし、ET、EAおよびEBは、それぞれ重合体(I)の全体、成分Aおよび成分Bにおけるエチレン含有量を表し、PAおよびPBは成分Aおよび成分Bの含有量を示す。)
(3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートはJIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。重合体(II)のメルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
(4)密度(単位:kg/m3)
重合体(II)の密度は、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、下記の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
装置:Waters製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSK−GEL GMH6−HT
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
分子量標準物質:標準ポリスチレン
(6)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
(7)特性緩和時間(τ、単位:秒)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、特性緩和時間(τ)を求めた。
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
(8)g*
前記式(iv)によってg*を求めた。
なお、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度(ηrel)を、熱劣化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を5重量%含むテトラリン溶液100mlに、エチレン−α−オレフィン共重合体100mgを135℃で溶解してサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて前記サンプル溶液と熱劣化防止剤としてBHTを0.5重量%のみを含むテトラリン溶液からなるブランク溶液との降下時間から算出し、式(iv−i)によって求め、[η]GPCは、(6)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布の測定から、式(iv−ii)によって求め、gSCB*は、(2)のエチレン−α−オレフィン共重合体の短鎖分岐数の測定から式(iv−iii)によって求めた。
(9)耐ブロッキング性(単位:N/12cm2)
150mm×30mmのフィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、フィルム同士を重ね合わせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけて80℃で24時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度を測定した。
(10)ヒートシール強度(単位:N/15mm巾)
東洋テスター工業(株)製ヒートシーラーを使用し次の条件でシールし、オーブンにて120℃条件下で30分熱処理を行い、シール片を15mm巾に切り、剥離角90°でオリエンテック製テンシロンを用いて測定した。
シールバー:平面両面加熱
シール温度:200℃
シール圧力:1.0kg/cm2
シール時間:1.0sec
(11)ゆず肌評価
ALP製小型レトルト滅菌器を使用し、120℃条件下で30分レトルト処理を行い、レトルト処理後の包装袋の表面層の凸凹状態(ゆず肌)を以下の基準による4段階法で目視判定した。
1・・・ゆず肌発生が全く見られない。
2・・・若干のゆず肌が観察されるものの、実用には全く影響はない。
3・・・ゆず肌が観察されるものの、実用に耐えうる。
4・・・ゆず肌がかなり観察され、実用に耐えられない。
[プロピレン共重合体(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中でプロピレン単独重合体成分(成分A) を重合し、次いで第二工程を気相中でプロピレン−エチレン共重合体成分(成分B)を重合した。得られた共重合体は、成分Aの含有量が78重量%、成分Bの含有量が22重量% 、成分Bに含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量が31重量%であった。
上記の共重合体粉末100部に水酸化カルシウム0.01重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガノックス1010(商品名)0.2重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製商品名イルガノックス168(商品名)0.05重量部、林化成株式会社製ミクロンホワイト5000S(商品名)およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られた230℃で測定したペレットのメルトフローレートは3g/10分であった。
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)3.46kgとヘキサン2.05kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール1.55kgとトルエン2.88kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、5℃に冷却し、H2O0.221kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(a)と称する。)を得た。
(2)予備重合触媒成分の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド144mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次に上記助触媒担体(a)0.5kgを投入し、オートクレーブを31℃まで降温して系内が安定した後、エチレンを0.1kg、水素を0.1リットル(常温常圧体積)仕込み、続いてトリイソブチルアルミニウム207mmolを投入して重合を開始した。エチレンと水素をそれぞれ0.6kg/Hrと0.5リットル(常温常圧体積)で連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.6kg/Hrと10.9リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(a)1g当り37gのポリエチレンを含有する予備重合触媒成分を得た。該ポリエチレンの[η]は1.51dl/gであった。
(3)エチレン−α−オレフィン共重合体(1)の製造
(2)の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。重合条件は、温度84℃、全圧2MPa、エチレンに対する水素のモル比は1.04%、エチレンに対する1−ブテンのモル比は2.16%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は0.73%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間4hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供
給した。重合により、22.9kg/hrの重合効率でエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体(PE1)のパウダーを得た。
(4)エチレン−α−オレフィン共重合体(1)パウダーの造粒
上記で得たPE1のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE1のペレットを得た。PE1のペレットの評価結果を表1に示す。
(1)予備重合触媒成分の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド144mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次に助触媒担体(a)0.5kgを投入し、オートクレーブを31℃まで降温して系内が安定した後、エチレンを0.1kg、水素を0.1リットル(常温常圧体積)仕込み、続いてトリイソブチルアルミニウム207mmolを投入して重合を開始した。エチレンと水素をそれぞれ0.6kg/Hrと0.5リットル(常温常圧体積)で連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.6kg/Hrと10.9リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(a)1g当り37gのポリエチレンを含有する予備重合触媒成分を得た。該ポリエチレンの[η]は1.51dl/gであった。
(2)エチレン−α−オレフィン共重合体(2)の製造
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。重合条件は、温度84℃、全圧2MPa、エチレンに対する水素のモル比は1.4%、エチレンに対する1−ブテンのモル比は2.3%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は1.0%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間4hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、22.9kg/hrの重合効率でエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE2と称する。)のパウダーを得た。
(3)エチレン−α−オレフィン共重合体(2)の造粒
上記で得たPE2のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE2のペレットを得た。PE2のペレットの評価結果を表1に示す。
PE3として、エチレン−ブテン−1共重合体である住友化学株式会社製のスミカセン−L FS150(商品名)を用いた。230℃で測定したメルトフローレートは1.8g/10分、密度は920kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は3.4、流動の活性化エネルギー(Ea)は28kJ/molであった。PE3のペレットの評価結果を表1に示す。
PE4として、エチレン−オクテン−1共重合体であるダウケミカル株式会社製のエンゲージ EG8150(商品名)を用いた。230℃で測定したメルトフローレートは0.9g/10分、密度は868kg/m3であった。PE4のペレットの評価結果を表1に示す。
プロピレン共重合体(1)85重量部とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)15重量部をペレットブレンドした混合物を得た。この混合物100重量部に対して、酸化防止剤として、住友化学株式会社製のスミライザーGP(商品名)(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)0.05重量部、住友化学株式会社製のスミライザーGS(商品名)(2,4―ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート)0.05重量部を加え、濾過精度40μmの金属フィルターを使用した90mmφ押出機、および2台の65mmφ押出機を用いて溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度1.5mm)に導入して、ダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜を、50m/分で回転する冷却温度40℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ70μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを用いてフィルムのブロッキング性およびメルトフローレートを測定した。
続いて、得られた未延伸フィルムと、厚み7μmのアルミ箔および厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムをドライラミネート法で積層した。この積層体を用いて積層体のヒートシール強度を測定した。
さらにこの積層体の15cm×18cmの包装袋を作成し、市販のレトルト食品である大塚食品(株)製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を用い、未延伸フィルム同士をヒートシールして封入した。この包装袋を用いてゆず肌評価を行った。その結果を表2に示す。
エチレン−α−オレフィン共重合体として、エチレン−α−オレフィン共重合体(2)15重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、未延伸フィルムのブロッキング性、メルトフローレート、ヒートシール強度を測定し、ゆず肌評価を行った。
プロピレン共重合体(1)100重量部を実施例1と同様の方法によって、未延伸フィルムのブロッキング性、メルトフローレート、ヒートシール強度を測定し、ゆず肌評価を行った。
エチレン−α−オレフィン共重合体として、エチレン−α−オレフィン共重合体(3)15重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、未延伸フィルムのブロッキング性、メルトフローレート、ヒートシール強度を測定し、ゆず肌評価を行った。
エチレン−α−オレフィン共重合体として、エチレン−α−オレフィン共重合体(4)15重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、未延伸フィルムのブロッキング性、メルトフローレート、ヒートシール強度を測定し、ゆず肌評価を行った。
Claims (3)
- プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位である重合体成分(成分A)50〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜60重量%であるエチレン−プロピレン共重合体成分(成分B)50〜10重量%(但し、成分Aと成分Bとの合計の重量を100重量%とする。)とからなり、メルトフローレート(230℃)が1.5(g/10分)以上、5(g/10分)未満であるプロピレン共重合体(重合体(I))70〜90重量%、および
エチレンに由来する構造単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜940kg/m3であり、メルトフローレート(230℃)が0.01(g/10分)以上、5(g/10分)未満であり、分子量分布が3以上であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体(重合体(II))30〜10重量%を含有するプロピレン系樹脂組成物(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)。 - メルトフローレート(230℃)が0.1(g/10分)以上、5(g/10分)未満である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物から形成されるフィルム。
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