JP6758563B2 - エチレン系共重合体(a)、該共重合体を含んで得られるペレット、フィルムまたはシート - Google Patents

エチレン系共重合体(a)、該共重合体を含んで得られるペレット、フィルムまたはシート Download PDF

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Description

本発明は、エチレン系共重合体(A)、該共重合体を含んで得られる成形体、ならびにその用途に関する。
詳しくは、透明性に特に優れ、さらに柔軟性および機械的強度に優れるフィルムまたはシートなどの成形体を好適に得ることができる、エチレン系共重合体に関する。
近年、農業用シート、壁紙、建材、遮水シート、レザー、ホース、チューブなどにもちいる軟質材料の市場では、環境問題に対する配慮から、軟質ポリ塩化ビニルから他の材料への代替が進められている。このような分野における、軟質ポリ塩化ビニルの代替材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の汎用熱可塑性樹脂が検討されている。そして、用途によっては、引張強度および衝撃強度などの機械的特性に加えて、透明性が求められる場合がある。
特許文献1には、MFR10/MFR2.16が8.5以下であり、かつ、密度が0.850〜0.910g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体が記載されている。しかしながら、該文献に記載の発明は、履物用部品に好適な、低比重で圧縮永久歪みの小さい均一な品質の発泡成形体を製造し得るエチレン系共重合体であり、透明性については何ら記載されていない。該文献に記載の共重合体でも市場が要求する高い透明性は得られない。
また、エチレン・1−ブテン共重合体を成形して得られるフィルムやシートは、引張強度および衝撃強度等の機械的特性が優れ、1−ブテン量を増やして低密度とすることで柔軟性も賦与することができるため、様々な用途に使用されている。
特開2008−308619号公報
しかしながら、通常、エチレン・1−ブテン共重合体は、1−ブテン量を増やし、低密度のポリエチレンとするのみでは市場が要求する高い透明性は得られず、改良の余地があった。
本発明は、透明性に特に優れ、さらに柔軟性および機械的強度に優れるフィルムまたはシートなどの成形体を好適に得ることができる、エチレン系共重合体、好ましくは、エチレン・1−ブテン共重合体を提供することを目的とする。また本発明は、該共重合体を含んで得られる、透明性に優れたフィルムまたはシートを提供することを目的とする。
本発明のエチレン系共重合体(A)は、下記(a1)〜(a6)の要件を満たすことを特徴とする。
(a1)該共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と、1-ブテン由来の構成単位と、必要に応じて1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を有する。
(a2)JIS K 7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が、0.1〜50(g/10分)である。
(a3)密度Dが、860〜920(Kg/m3)である。
(a4)ASTM D 257に準拠して、該共重合体(A)をプレスシート成形法で得られた成形体におけるラメラ厚みT(Å)と、該共重合体(A)の密度D(Kg/m3)とが、以下の関係式(1)を満たす。
T≦0.667×D−554 ・・・(1)
(a5)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜4.0にある。
(a6)MFR10/MFR2.16が、8.0以上50以下である。
(ここで、MFR10は、JIS K 7210に準拠して、190℃、10kg荷重で測定したメルトフローレート(g/10分)を、MFR2.16は、JIS K 7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(g/10分)をそれぞれ表す)。
該共重合体(A)は、前記共重合体(A)中に含まれる全構成単位の合計を100重量%としたとき、エチレン由来の構成単位を50〜94重量%、1−ブテン由来の構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を合計で6〜50重量%有することが好ましい。
該共重合体(A)は、エチレンと、1-ブテンとのみを共重合してなることが好ましい。
本発明のペレットは、該共重合体(A)を含んでなる。
本発明のフィルムまたはシートは、該共重合体(A)を含んでなる。
本発明によれば、透明性に特に優れ、さらに柔軟性および機械的強度に優れるフィルムまたはシート成形体を好適に得ることができる、エチレン系共重合体を提供することができる。また本発明は、透明性に特に優れ、さらに柔軟性および機械的強度に優れるフィルムまたはシートを提供することができる。
以下、本発明について、具体的に説明する。
[エチレン系共重合体]
本発明のエチレン系共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と、1−ブテン由来の構成単位と、必要に応じて1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を有し、下記(a1)〜(a6)の要件を満たす。該共重合体(A)は、透明性に特に優れ、さらに柔軟性および機械的強度に優れるフィルムまたはシート成形体を好適に得ることができる。該共重合体(A)は、透明性などの点から、下記(a1)〜(a7)の要件全てを満たすことが、特に好ましい。
本発明の共重合体(A)の透明性がより優れる理由は、定かではないが、次のように考えている。通常、同じ密度のエチレン・α-オレフィン共重合体においては、組成分布が狭い程、より薄い結晶ラメラ構造を形成すると考えられている。結晶ラメラ構造が薄くなることで形成される球晶構造が微細になるため、屈折率の分布が狭くなり透明性が向上すると考えられているからである。
ところが、組成分布はα-オレフィンの種類によらないと考えられていたが、密度領域などの本発明の樹脂物性の範囲では、α-オレフィンとしてブテン-1を使用することが、透明性が顕著に優れるので、好ましいと推定される。
要件(a1)
本発明のエチレン系共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と、1−ブテン由来の構成単位とを有していれば、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。該共重合体(A)は、エチレンと、1-ブテンとのみを共重合してなるエチレン・1ブテン2元共重合体であることが、より透明性に優れる成形体を製造でき、また共重合体のゲル分がより少ないなどの点から好ましい。
また、該共重合体(A)は、その構成単位に、必要に応じて、1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を有していてもよい。1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィンとしては特に制限されず、たとえば、プロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等が挙げられる。炭素数3〜20のα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンである。該炭素数3〜20のα−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
該共重合体(A)は、該共重合体(A)中に含まれる全構成単位の合計を100重量%としたとき、特に限定されないが、エチレン由来の構成単位を、通常50〜94重量%、好ましくは50重量%を超えて94重量%以下、より好ましくは60〜94重量%、さらに好ましくは77〜90重量%、さらにより好ましくは79〜87重量%含み、1−ブテン由来の構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を合計で、通常6〜50重量%、好ましくは6重量%以上50重量%未満、より好ましくは6〜40重量%、さらに好ましくは10〜23重量%、さらにより好ましくは13〜21重量%含む。また、該共重合体(A)は、好ましくは、前記組成比を有し、かつ、炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位の含有量に対する、1-ブテン由来の構成単位の含有量のモル比(P4/P3-20)が、好ましくは0.90〜1.00であり、より好ましくは0.95〜1.00であり、さらに好ましくは0.99〜1.00である。組成比が該範囲にあると、該共重合体(A)は、柔軟性と機械強度のバランスに優れるため好ましい。また、前記P4/P3-20が該範囲にあることで、透明性と機械強度のバランスが特に優れる。P4/P3-20は、透明性の理由から、1.00であることが好ましい態様の1つである。
また、該共重合体(A)が、エチレンと1-ブテンの2元共重合体である場合、該共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と1−ブテン由来の構成単位の合計を100重量%としたとき、特に限定されないが、エチレン由来の構成単位が、通常50〜94重量%、好ましくは50重量%を超えて94重量%以下、より好ましくは60〜94重量%、さらに好ましくは77〜90重量%、さらにより好ましくは79〜87重量%であり、1−ブテン由来の構成単位が、通常6〜50重量%、好ましくは6重量%以上50重量%未満、より好ましくは6〜40重量%、さらに好ましくは10〜23重量%、さらにより好ましくは13〜21重量%である。組成比が該範囲にあると、該共重合体(A)は、特に柔軟性に優れ、また、透明性、柔軟性および機械強度のバランスにも優れるため、好ましい。
要件(a2)
本発明にかかるエチレン系共重合体(A)のJIS K 7210に準拠したメルトフローレート(MFR2.16、荷重2.16kg、190℃で測定)は、通常0.1〜50(g/10分)の範囲にあり、好ましくは1〜20(g/10分)の範囲にあり、より好ましくは2〜10(g/10分)の範囲にある。共重合体(A)が、該範囲にあると、該共重合体を含んで得られるフィルムやシートなどの成形体は、透明性および機械強度に優れる。
要件(a3)
本発明にかかるエチレン系共重合体(A)の密度Dは、通常860〜920(Kg/m3)の範囲にあり、好ましくは870〜910(Kg/m3)、より好ましくは880〜900(Kg/m3)である。共重合体(A)が、該範囲にあると、透明性、柔軟性および機械強度に優れ、特にこれら3つの物性のバランスにも優れる。共重合体の1−ブテン含量が高い程、分子中の短鎖分岐度が上がるため、共重合体の密度は低下する。
本発明において、密度Dは、MFR2.16を測定した際に得られるストランドを空冷にて徐冷したものを用い、密度勾配管にて測定する。
要件(a4)
本発明にかかるエチレン系共重合体(A)は、ASTM D 257に準拠して、該共重合体(A)をプレスシート成形法で得られた、厚さ1200μmの成形体(シート)におけるラメラ厚みT(Å)と、該成形体(シート)の作成に用いた該共重合体(A)の密度D(Kg/cm3)とが、以下の関係式(1)を満たす。
T≦0.667×D−554 ・・・(1)
ここで、密度Dは、上記要件(a3)の密度の値を使用する。
また、ラメラ厚みTは、以下のようにして求める。
上記で得られた成形体から試験片を作製し、該試験片を用いて、小角X線散乱法によりラメラ長周期を求め、広角X線回析法により結晶化度を求める。これらの値から、ラメラ長周期(Å)×結晶化度(%)/100を計算して、ラメラ厚みT(Å)を算出する。なお、詳細については、実施例を参照できる。
本発明においては、ラメラ厚みTは、T≦40であることが好ましく、T≦38であることがより好ましい。該範囲にあれば、機械強度と透明性とのバランスが優れる。また、ラメラ厚みTの下限は特に限定されないが、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上である。
また、該共重合体(A)は、要件(a1)〜(a3)、(a5)および(a6)と共に要件(a4)を満たすため、好ましくは要件(a1)〜(a3)および(a5)〜(a7)と共に要件(a4)を満たすため、透明性、柔軟性および機械強度に優れ、特にこれらの3つの物性のバランスにも優れる。
本発明においては、ラメラ厚みTと密度Dとが上記関係にあるため、同じ密度でも結晶部分のラメラ厚がより小さいことにより光を散乱しにくくなり、より透明性が高い成形体が得られるものと考えられる。
本発明に係る要件(a4)を満たすエチレン系共重合体は、公知の製造方法で得ることができるが、好ましくは、メタロセン触媒を用いた製造方法である。
要件(a5)
本発明にかかるエチレン系共重合体(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜4.0の範囲にあり、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあり、より好ましくは1.5〜3.0の範囲にある。Mw/Mnがこの範囲にあると、より優れた透明性が得られる。
通常、共重合体の重量平均分子量(Mw)が高くなるほど、MFR2.16は低下する。共重合体の重量平均分子量(Mw)は、本発明の範囲内において、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節することができる。
要件(a6)
本発明では、エチレン系共重合体(A)におけるMFR10/MFR2.16の比が、組成分布が広く、該共重合体中に結晶が生じにくいとの理由から、8.0以上50以下である。ここで、MFR10は、JIS K 7210に準拠して、190℃、荷重10kgで測定したメルトフローレート(g/10分)を意味する。また、MFR2.16は、要件(a2)と同様であり、JIS K 7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(g/10分)を意味する。MFR10/MFR2.16の比の下限値は、好ましくは8.5以上であり、より好ましくは8.5を超える値であり、さらにより好ましくは8.6以上であり、特により好ましくは8.7以上である。また、該比の上限値は、25以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が特に好ましい。
共重合体(A)が、該範囲にあると、該共重合体を含んで得られるペレットや、フィルムやシートなどの成形体は、より機械強度と透明性のバランスに優れるため、好ましい。なお、この理由は定かではないが、ひとつには以下のように推定している。すなわち、MFR10/MFR2.16の比は長鎖分岐の存在量の一つの指標と考えることができ、この値が8.0以上であると、十分な長鎖分岐を有すると考えられる。長鎖分岐が存在すると、分岐が結晶化を阻害するため、ラメラ厚みがより小さい値となり、透明性がより優れるのではないかと推定している。長鎖分岐度の調整方法については、重合温度、ポリマー濃度等を調整することで、重合体中の長鎖分岐導入度合を調整することができる。
要件(a7)
本発明にかかるエチレン系共重合体(A)の示差走査熱量計(DSC)測定により得られる融点(Tm)は、本発明に効果を奏する限り特に限定されないが、該共重合体(A)中の結晶化を阻害し、優れた透明性が得られる点で、95℃以下が好ましく、好ましくは60〜95℃であり、より好ましくは65〜90℃であり、さらにより好ましくは70〜85℃である。Tmが、前述の範囲にあると透明性、耐熱性に優れる。また、本発明と同程度の組成分布(MFR10/MFR2.16の比)を有するエチレン系共重合体において、該共重合体の融点が95℃を超えると、優れた透明性が得られないおそれがあるため、好ましくない。これは、本発明のエチレン系共重合体(A)に比して、エチレン系共重合体中の球晶構造が大きく、屈折率の分布が広くなったためと推定される。
(その他の成分(添加剤))
本発明に係るエチレン系共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤(安定剤)、塩酸吸収剤、酸化防止剤、二次抗酸化剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
これら「その他の成分」の総配合量は、該共重合体100重量部に対して、一般的には10重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。
さらに必要に応じて、発泡剤、発泡助剤、核剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、補強剤、充填剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、難燃剤、離型剤などのその他の成分を配合することができる。
これらの成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
〔エチレン系共重合体(A)の製造方法〕
本発明のエチレン系共重合体(A)は、前記要件を満たすものであればよく、その製造方法は何ら限定されず、公知のオレフィン重合用触媒を用いた重合方法により製造し得るが、たとえば、以下のオレフィン重合用触媒を用いて製造することが好ましい。また、該共重合体(A)の製造方法としては、特開2008−308619号公報に記載されているメタロセン触媒等を用いて製造することも好ましい。
(オレフィン重合用触媒を用いたエチレン系共重合体(A)の製造方法)
本発明では、たとえば、下記触媒成分〔A〕および〔B〕からなるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと、1−ブテンと、必要に応じて1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合することにより製造することができる。
〔A〕本発明に係るオレフィン重合用触媒成分に含まれる(A)遷移金属化合物としては、下記一般式(I)で示されるメタロセン化合物を用いることが好ましい。
mMQn ・・・(I)
Lは、炭素、水素、窒素、酸素、硫黄、燐から選ばれる元素を含む配位子を示す。
Mは、周期表第3〜11族の遷移金属原子を示す。
Qは、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基(すなわち、前記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基)、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
mは、1〜4の整数である。
nは、Mの価数を満たす数である。
〔B〕本発明に係るオレフィン重合用触媒成分に含まれる(B)化合物は、
(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)前記メタロセン化合物〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b−3)有機アルミニウム化合物
とから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
共重合は、たとえば、このようなオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと、1−ブテンと、必要に応じて1−ブテン以外のα-オレフィンを0〜200℃の温度で溶媒の共存下で溶液重合することによって行うことができる。しかし、本発明の共重合体(A)は、上述の要件を満たす限り製造方法には何ら限定されるものではなく、たとえば、共重合において上記式[I]とは異なる構造のメタロセン化合物を使用しても良いし、前記触媒成分〔B〕以外の助触媒を使用してもよい。
以下、触媒成分〔A〕および〔B〕を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと、1−ブテンと、必要に応じて1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合する、エチレン系共重合体(A)の製造方法についてさらに説明する。
(触媒成分〔A〕)
本発明に係るオレフィン重合用触媒成分〔A〕に含まれる(A)遷移金属化合物としては、一般式[A1]で表される化合物(非架橋型メタロセン化合物)および一般式[A2]で表される化合物(架橋型メタロセン化合物)から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物が挙げられる。
Figure 0006758563
Figure 0006758563
〔上記一般式[A1]および[A2]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を示し、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよく、Cp1およびCp2は、互いに同一か又は異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基である。ここで、置換シクロペンタジエニル基は、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基およびこれらが一つ以上のハイドロカルビル基で置換された基も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部は水添されていてもよい。一般式[A2]においてYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NRa−、−P(Ra)−、−P(O)(Ra)−、−BRa−または−AlRa−を示す(但し、Raは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1〜20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基である。)。〕
これらのメタロセン化合物のうち、一般式[A2]で表される化合物が好ましく、国際公開第2001/27124号パンフレットに開示されているような一般式(1)で表される架橋型メタロセン化合物(以下の「架橋型メタロセン化合物(A3)」)が更に好ましい。
Figure 0006758563
架橋型メタロセン化合物(A3)は、構造上、次の特徴[m1]〜[m3]を備える。
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有するフルオレニル基(以下「置換フルオレニル基」ともいう。)である。
[m2]二つの配位子が、アリール(aryl)基を有する炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
[m3]メタロセン化合物を構成する遷移金属(M)が周期表第4族の原子、具体的には、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
以下、架橋型メタロセン化合物(A3)が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基)
式(A3)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基(以下、『炭化水素基(f1)』と称すこともある)、ケイ素含有基(以下、『ケイ素含有基(f2)』と称すこともある)またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、水素原子がさらに好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
例えば、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上が炭化水素基(好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基)である。その他、ハロゲン化炭化水素基(前記炭化水素基(f1)が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基)、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基を挙げることもできる。
1、R2、R3およびR4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;R1、R2、R3およびR4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
1〜R4における炭化水素基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル基)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール基)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状の脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状の脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。
炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基などが好適な例として挙げられる。
ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、N−メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
(置換フルオレニル基)
式(A3)中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、"R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であること"はない。
重合活性の視点からは、R6およびR11がいずれも水素原子ではないことが好ましく;R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことが更に好ましく;R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。また、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
5〜R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R5〜R12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R5〜R12におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式(I)〜(V)で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
(架橋部)
式(A3)中、R13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示し、Y1は炭素原子またはケイ素原子を示す。本発明のエチレン系共重合体(A)の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)基[R13およびR14]が結合していることである。製造上の容易性から、R13およびR14は互いに同一であることが好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6〜14、好ましくは6〜10の非置換アリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基が更に好ましい。
(架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
式(A3)中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、式[A1]および[A2]中におけるQと同様の原子または基を挙げることができる。
(好ましい架橋型メタロセン化合物(A3)の例示)
本発明において好適に用いられる架橋型メタロセン化合物(A3)における置換フルオレニル基としては、R6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基が挙げられる。具体的には、一般式(I)〜(V)で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。一般式(I)は、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、一般式(II)はオクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基、一般式(III)はジベンゾフルオレニル基、一般式(IV)は1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル基、一般式(V)は1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル基を表す。置換フルオレニル基は、重合活性や透明性の観点から、架橋側に置換基を有する、一般式(I)、(II)、(IV)が好ましく、一般式(I)が最も好ましい。
Figure 0006758563
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架橋型メタロセン化合物(A3)としては、例えば、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、が挙げられる。
なかでも、一般式(I)、(II)または(IV)の置換フルオレニルを有する架橋型メタロセン化合物が好ましく、具体的には、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、が好ましい。
該好ましい触媒の中でも、一般式(I)の置換フルオレニルを有する架橋型メタロセン化合物がより好ましく、具体的には、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、がより好ましい。
さらに、好ましくは、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いるのが、本願のポリマーを製造する上で最も好ましい。
架橋型メタロセン化合物(II)としては、上記例示の化合物の「ジルコニウム」を「ハフニウム」または「チタニウム」に変えた化合物、「ジクロリド」を「ジフロライド」、「ジブロミド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」、「ジエチル」、「ジn−プロピル」、「ジイソプロピル」、「ジイソブチル」、「ジベンジル」または「メチルエチル」などに代えた化合物、「シクロペンタジエニル」を「3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル」、「3,5−ジメチル−シクロペンタジエニル」、「3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル」または「3−メチル−シクロペンタジエニル」などに変えた化合物を挙げることもできる。
以上のメタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、本出願人による国際公開第2001/27174号パンフレット、国際公開第2004/029062号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
(触媒成分〔B〕)
触媒成分〔A〕を、エチレン系共重合体(A)を製造するためのオレフィン重合用触媒の成分として用いる場合、オレフィン重合用触媒は、(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)、前記メタロセン化合物〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から構成される触媒成分〔B〕を含むことが好ましい。ここで、触媒成分〔B〕は、重合活性と生成オレフィン重合体の性状の視点から、次の[c1]〜[c4]のいずれかの態様で好ましく用いられる。
[c1](b−1)有機アルミニウムオキシ化合物のみ、
[c2](b−1)有機アルミニウムオキシ化合物と(b−3)有機アルミニウム化合物、
[c3](b−2)触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物と(b−3)有機アルミニウム化合物、
[c4](b−1)有機アルミニウムオキシ化合物と(b−2)触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物。
ただし、触媒成分〔A〕として、一般式[I]においてQがシリレン基であるメタロセン化合物を用いる場合は、〔B〕成分としては、(b−2)触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物が使用されることはなく、上記の好ましい〔B〕成分;[c1]〜[c4]においても、[c1]と[c2]のみが採用される。
以下、触媒成分〔B〕を構成しうる各成分について具体的に説明する。
((b−1)有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用できる。具体的には、下記一般式[II]および/または一般式[III]で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006758563
(式[II]または[III]中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。)で代表される化合物を挙げることができ、特にRがメチル基であるメチルアルミノキサンでnが3以上、好ましくは10以上のものが利用される。(一般式[II]または[III]においてRがメチル基である有機アルミニウムオキシ化合物を、以下「メチルアルノキサン」と呼ぶ場合がある。)
また、有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、飽和炭化水素に溶解するメチルアルミノキサン類縁体を用いることも好ましく、たとえば下記一般式[IV]のような修飾メチルアルミノキサンを例示できる。
Figure 0006758563
(式[IV]中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基、m、nは2以上の整数を示す。)
前記一般式[IV]で表わされる修飾メチルアルミノキサンは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製され(例えば、US4960878やUS5041584等に製造法が開示)、東ソー・ファインケム社等メーカーからトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製された、Rがイソブチル基であるものがMMAO、TMAOといった商品名で商業生産されている(例えば、「東ソー研究・技術報告」第47巻55(2003)参照)。
さらに有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、特開平2-78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物を用いてもよく、下記一般式[V]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を用いてもよい。
Figure 0006758563
(式[V]中、Rcは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
なお、上述した(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物中には若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。
((b−2)触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物)
上記触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下、「イオン性化合物(b−2)」と略称する場合がある。)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、イオン性化合物(b−2)としては、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
本発明において、好ましく採用されるイオン性化合物(b−2)は、下記一般式[VI]で表される化合物である。
Figure 0006758563
式[VI]中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。Rf〜Riは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基である。
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウムカチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオン、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN, N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
上記のうち、Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウムカチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩であるイオン性化合物(b−2)としては、具体的には、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
アンモニウム塩であるイオン性化合物(b−2)としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩などを挙げることができる。
トリアルキル置換アンモニウム塩であるイオン性化合物(b−2)としては、具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
N, N-ジアルキルアニリニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、たとえばN, N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
その他のイオン性化合物(b−2)としては、本出願人によって開示(特開2004−51676号公報)されているイオン性化合物も制限無く使用が可能である。
上記のイオン性化合物(b−2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いることもできる。
((b−3)有機アルミニウム化合物)
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、例えば下記一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式[VIII]で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
amAl(ORb)npq・・・[VII]
(式[VII]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
上記一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C49)xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra2.5Al(ORb0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
M2AlRa4 ・・・ [VIII]
(式[VIII]中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
〔エチレン系共重合体(A)を含んでなる成形体〕
本発明のエチレン系共重合体(A)、好ましくはエチレン・1ブテン共重合体は、従来公知のポリオレフィン用途に広く用いることができ、たとえば、ペレット、シート、発泡シート、未延伸または延伸フィルム、フィラメント、他の種々形状の成形体にして利用することができる。本発明の成形体は、エチレン系共重合体(A)を含んでなり、一般のフィルム成形やシート成形、ブロー成形、インジェクション成形および押出成形等により加工される。
本発明の成形体は、透明性に優れ、また、柔軟性および機械的強度に優れ、さらに、成形性にも優れる。
本発明のエチレン系共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と共に、1−ブテン由来の構成単位を必須として含む。従来のエチレン系共重合体に1−ブテン由来の構成単位を含む場合、1−ブテンは、エチレン連鎖が形成する結晶に取り込まれやすいため、透明性は、他のαオレフィンを含むエチレン系共重合体に比べて劣ると考えられてきた。しかしながら、意外なことに、本発明の特定の構成および物性によれば、エチレン由来の構成単位と共に、1−ブテン由来の構成単位を含むエチレン系共重合体の方が、従来のエチレン系共重合体に比べて、透明性に非常に優れることが分かった。
さらに本発明のエチレン系共重合体(A)を含んで得られたフィルムまたはシートは、同程度の密度を有する従来のエチレン系共重合体を含んで得られたフィルムまたはシートと比べて、結晶化度が低く、融点が低い。そのため、より低温でヒートシールができ、低温ヒートシール性が優れている。これは、炭素数5以上のα−オレフィンを含み同程度の密度を有するエチレン系共重合体に比べて、本発明の1−ブテンを含んだエチレン系共重合体の方が、組成分布が狭くなることに由来していると考えられる。
(粉末、顆粒またはペレット)
本発明の共重合体(A)は、その形状が、粉末、顆粒またはペレットのいずれかであってもよい。粉末、顆粒は、共重合体(A)から得られ、ペレットは、粉末、顆粒を造粒することによって得られる。
また、本発明に係るシートは、公知の方法、たとえば、粉末、顆粒、ペレットを溶融押出し成形、またはプレス成形することで得られる。
本発明の共重合体(A)が、粉末、顆粒またはペレットである場合は、粉末であれば、特に限定されないが、通常、平均粒径が、たとえば、50〜150μm程度であり、顆粒であれば、特に限定されないが、通常、平均粒径が、たとえば、150〜2000μm程度であり、ペレットであれば、特に限定されないが、通常、平均粒径が2〜10mm程度、高さが1〜5mm程度である。
(シートおよびその製造方法)
本発明のシートの厚みは、目的、用途等により異なり特に限定されないが、通常50μm〜5mmであり、好ましくは200μm〜2mm、より好ましくは300μm〜1.5mmである。シートの厚みが、50μm未満であると、押出量が安定せずフィルム外観が悪化することもあり、5mmを超えると、押出量が上がらず安定したフィルムが成形できないこともある。
シートは、たとえばインフレーション法、Tダイキャスト法などの押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法など公知のシート成形法によって製造することができる。たとえば、エチレン系共重合体(A)に、必要に応じて各種添加剤(酸防剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)をあらかじめドライブレンドし、通常230℃程度の押出温度にてシート状に押出成形することで得られる。また、シートの透明性は一般的なプレス法にて作成するプレスシートで確認することができる。
(フィルム)
本発明のフィルムは、押出ラミネ−ト成形、Tダイフィルム成形、インフレ−ション成形(空冷、水冷、多段冷却、高速加工)など公知の成形法により製造することができる。
延伸フィルムは、押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方法により延伸して得ることができる。シートまたは未延伸フィルムを延伸する際の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度である。延伸によって、厚み1〜500μm、好ましくは5〜200μm程度の延伸フィルムを得ることが望ましい。
本発明のフィルムは、本発明のエチレン系共重合体(A)に、必要に応じて、各種酸化防止剤(イルガノックス1010、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、イルガフォス168など)や、ステアリン酸カルシウムなどの各種添加剤を添加しながら、180〜280℃の範囲で溶融押出し、得られた原反シートを、たとえば、一軸延伸では、100〜160℃で2〜10倍に機械方向(原反シートを作成する際に押出される樹脂の流れと平行な方向)に延伸することにより得ることができ、また、二軸延伸では、一軸延伸によって得られたフィルムを更に一軸延伸と同様な条件で機械方向とは直角に逐次延伸することや機械方向及び機械方向とは直角な方向への延伸を同時に行う同時二軸延伸を行うことによって得ることができる。なお、シート成形時または造粒(ペレダイズ)時には、窒素シールをしておくことが好ましい。
工業的には、たとえば、チューブラーフィルム法、テンター法など、種々公知の同時二軸あるいは逐次二軸延伸方法により、フィルムを得ることができる。
テンター法では、Tダイから溶融押し出しされた溶融シートを冷却ロールで固化させ、該シートを必要により予熱したあと延伸ゾーンに導入し、次いで100〜160℃の温度で縦方向に3〜7倍、横方向に5〜11倍で延伸される。合計の延伸面倍率は、20〜70倍、好ましくは30〜50倍であり、20倍より低いとフィルム強度が大きくならず、70倍を超えるとボイドが生じ易く、幅方向の強度が低くなり、長さ方向に裂けやすい。
(積層体)
得られたフィルムは単層でも使用することができるが、多層構成とすることでさらに様々な機能を付与することができる。積層体の場合には、前記各成成形法における共押出法が挙げられる。一方、押出ラミネート成形やドライラミネート法のような貼合ラミネート成形法によっても積層が可能である。ブロー成形やインジェクション成形、押出成形での、共押出法による多層化高機能製品の作製については、フィルム成形と同様に可能である。
〔用途〕
本発明の共重合体(A)を含んでなる成形体は、極めて透明性に優れ、柔軟性および機械的強度に優れる。農業用ポリオレフィンフィルム、産業用フィルム(プロテクトフィルム)、食品包材用フィルム、シートなどの用途に適用できる。また、ブロー輸液バック、ブローボトル、押出成形によるチューブ、パイプ、日用雑貨品等射出成形物などにも用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、各種物性は以下のようにして測定した。
[物性評価]
圧縮成形機には(株)神藤金属工業製圧縮成形機SFA−70を用いて、厚さ5mmの鉄製プレス板の間に、0.5mmアルミ板、16cm×16cm四方の穴の開いた厚さ1mmのアルミスペーサー、厚さ0.1mmPETフィルムの順に重ね、その上に製造例で得られた共重合体(樹脂ペレット)約30gを乗せたのち、上側にも厚さ0.1mmPETフィルム、0.5mmアルミ板を乗せて、該樹脂ペレットをシート状に成形した。予熱は130℃にて5分間行い、40kgfの荷重にて1分間加圧を行った後、10回ガス抜きを実施した。その後、同型の圧縮成形機にて23℃、40kgfで4分間冷却を行い、厚さ約1200μmのシートを成形した。
特に断りのない限り、該シートを用いて、以下の物性を評価した。
(1)メルトフローレート(MFR、g/10分)
共重合体のMFR2.16の測定は、JIS K 7210に準拠して、荷重2.16kg、温度190℃にて測定した。
共重合体のMFR10の測定は、JIS K 7210に準拠して、荷重10kg、温度190℃にて測定した。
JIS K 7210に準拠して、荷重10kg、温度190℃で測定したMFR10値と、JIS K 7210に準拠して、荷重2.16kg、温度190℃で測定したMFR2.16値との比(MFR10/MFR2.16)を、I10/I2として、算出した。
(2)密度(D、Kg/m3
JIS K 7210に準拠して、MFR2.16測定(荷重2.16kg、温度190℃)後のストランドを鉄板にて徐冷したのち、密度勾配管にて測定した。
(3)融点(Tm、℃)
JIS K 7121に準拠してDSCで測定した。パーキンエルマー社製DSC8500装置を用いて行なった。吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)は、厚み約300μmのプレスシートから切り出した試料約5mgを底が平らなアルミパンに詰め、窒素雰囲気下(窒素:20ml/min)で、230℃で5分間保持したのち、230℃から10℃/分で30℃まで降温し、30℃で1分間保持し、30℃から230℃まで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、ウォーターズ社製GPC/V2000を用い、以下のようにして測定した。ガードカラムはShodex AT-G、分析カラムはAT-806を2本使用し、カラム温度は145℃とした。移動相にはo-ジクロロベンゼンを用い、酸化防止剤としてBHT0.3重量%を用い、流速は、1.0ml/分とした。試料濃度は0.1重量%とし、検出器として示差屈折計、キャピラリー粘度計を用いた。分子量は、標準ポリスチレン法により換算して求め、標品は東ソー社製を用いた。分子量計算は、粘度計と屈折計から実測粘度を算出し、実測ユニバーサルキャリブレーションより算出した。
(5)エチレン系共重合体のα−オレフィン含量の測定(重量%)
エチレン系共重合体のα−オレフィン含量(重量%)は、下記測定条件により、共重合体のカーボン核磁気共鳴(13C-NMR)スペクトルを測定して求めた。
(測定条件)
装置:Bruker社製AVANCE III 500
測定プローブ:5mmクライオプローブ
サンプル濃度:約60mg/0.6mL
測定溶媒:o-ジクロルベンゼン/ベンゼン-d6=4/1(体積比)の混合液
測定温度:120℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:5.5秒
化学シフト基準:主鎖メチレンδδ(29.73ppm)
積算回数:128回
αオレフィン含量は、mol%を重量%に換算して得られた。
(6)ラメラ厚み(T、Å)
ラメラ厚みの測定には、ASTM D 257に準拠して、共重合体をプレスシート成形法で得られた、厚さ1200μmのシートを用いた。プレスシートの作成条件について、厚さ1mmのスペーサーを用いて180℃、10分間ホールドし、その後水冷条件にて5分間冷却を行った。
広角X線回折装置として、リガク製、RINT2500を用いた。また、小角X線散乱装置としてリガク製NANO-Viewerを用いた。X線源としてCuKαを用い、出力40kV、370mAにて測定を行った。検出器としてシンチレーションカウンターを用いて測定を行った。プレスシートを回転試料台に固定し、広角X線回折測定を行うことにより結晶化度を求め、小角X線散乱を測定することによりラメラ長周期を求めた。
ラメラ厚みT(Å)=ラメラ長周期(Å)×結晶化度(%)/100
の計算式によりラメラ厚みを求めた。
(7)引張弾性率(MPa)
形温度160℃にて射出成形機を用いてダンベル片を作成し、JIS K7161、JIS K7162に従い、温度23℃として、引張った際の応力−歪曲線の初期勾配より求めた。
(8)ヘイズ(%)および透過率(%)
該シートの透明性(ヘイズおよび透過率)をヘイズメータにて評価した。
(9)体積抵抗率(Ω・cm)
該シートの体積抵抗率をASTM D257:2007に準ずる方法にて評価した。使用機器は、ADCMT(登録商標)製デジタル超高抵抗/微少電流計8340Aであった。
[共重合体の製造例]
(1)製造例1
<オレフィン重合用触媒(1)の調製>
充分に窒素置換された攪拌機付きの容量120LSUS製容器に脱水ヘキサンを26.3L装入し、ジャケットにブライン(冷媒)を通液した。次いで、ジイソブチルアルミニウムハイドライド1.6L(Al原子換算で1.125mol)、トリイソブチルアルミニウム2.1L(Al原子換算で1.125mol)を装入し、次いで下記の化学式(1)で表される遷移金属錯体3.6g(Zr原子換算で4.5mmol)を装入し、1時間隔拌した。次いで、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを10.8g(B原子換算で13.5mmol)装入し、攪拌しながら5℃前後で6時間以上反応させて、オレフィン重合用触媒(1)を得た。
Figure 0006758563
<エチレン・1−ブテン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを40.0L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを4.5kg/時の流量で、ブテン−1を7.9kg/時の流量で連続的に供給した。そして、オレフィン重合用触媒(1)を0.01mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度160℃、全圧2.9MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行った。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・ブテン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・ブテン−1共重合体として4.0kg/時の速度で連続的に排出させた。
(2)製造例2
<オレフィン重合用触媒(2)の調製>
充分に窒素置換された攪拌機付きの容量110LSUS製容器に脱水ヘキサンを40L装入し、ジャケットにブライン(冷媒)を通液した。次いで、メチルアルモキサン/ヘキサン溶液2.04L(Al原子換算で3mol)、次いで製造例1で用いた化学式(1)で表される遷移金属錯体4.8g(Zr原子換算で6mmol)を挿入し、攪拌しながら5℃前後で2時間以上反応させて、オレフィン重合用触媒(2)を得た。
<エチレン・1−ブテン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを27.4L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを5.1kg/時の流量で、ブテン−1を4.7kg/時の流量で連続的に供給した。そして、オレフィン重合用触媒(2)を0.045mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度165℃、全圧2.9MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行った。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・ブテン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・ブテン−1共重合体として4.8kg/時の速度で連続的に排出させた。
(3)製造例3
<エチレン・1−ブテン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを27.4L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを4.8kg/時の流量で、ブテン−1を4.8kg/時の流量で連続的に供給した。そして、オレフィン重合用触媒(2)を0.045mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度165℃、全圧3.4MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行った。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・ブテン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・ブテン−1共重合体として4.8kg/時の速度で連続的に排出させた。
(4)製造例4
<エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを19.9L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを5.3kg/時の流量で、ヘキセン−1を7.7kg/時の流量で連続的に供給した。そして、製造例2で得られたオレフィン重合用触媒(2)を0.025mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度165℃、全圧2.9MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行った。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・ヘキセン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・ヘキセン−1共重合体として5.0kg/時の速度で連続的に排出させた。
(5)製造例5
<エチレン・1−オクテン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを40.0L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを4.5kg/時の流量で、オクテン−1を7.9kg/時の流量で連続的に供給する。そして、製造例1で得られたオレフィン重合用触媒(1)を0.01mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度160℃、全圧2.9MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行う。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・オクテン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・オクテン−1共重合体として4.0kg/時の速度で連続的に排出させた。
(6)製造例6
<エチレン・1−オクテン共重合体の製造>
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn−ヘキサンを40.0L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、エチレンを4.5kg/時の流量で、オクテン−1を6.7kg/時の流量で連続的に供給する。そして、製造例1で得られたオレフィン重合用触媒(1)を0.01mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度160℃、全圧2.9MPa−G(G=ゲージ圧力)、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行う。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・オクテン−1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・オクテン−1共重合体として4.0kg/時の速度で連続的に排出させた。
[共重合体]
〔実施例1〕
製造例1で得られたエチレン・1−ブテン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
製造例2で得られたエチレン・1−ブテン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
製造例3で得られたエチレン・1−ブテン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
製造例4で得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例5で得られたエチレン・1−オクテン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
製造例6で得られたエチレン・1−オクテン共重合体を用いて、各種物性などを評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006758563
表1から明らかなように、本発明のエチレン系共重合体は、本発明の要件を満たし、特に、ラメラ厚みTと密度Dとが関係式(1)を満たすため、同程度の密度を有する共重合体に比べ、結晶部分のラメラ厚がより小さいことにより光を散乱しにくい。そのため、より透明性が高く、さらに柔軟性および機械的強度に優れる成形体が得られることが分かる。
比較例の場合、実施例と比べて同じ密度、弾性率であるが透明性に劣っている。これは、同程度の密度を有する共重合体に比べ、結晶部分のラメラ厚がより大きいことにより光を散乱しやすくなるためである。

Claims (6)

  1. 下記(a1)〜(a6)の要件を満たすことを特徴とするエチレン系共重合体(A);
    (a1)該共重合体(A)は、エチレン由来の構成単位と、1-ブテン由来の構成単位とを有する。
    (a2)JIS K 7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が、0.1〜50(g/10分)である。
    (a3)密度Dが、860〜920(Kg/m3)である。
    (a4)ASTM D 257に準拠して、該共重合体(A)をプレスシート成形法で得られた成形体におけるラメラ厚みT(Å)と、該共重合体(A)の密度D(Kg/m3)とが、以下の関係式(1)を満たす。
    T≦0.667×D−554 ・・・(1)
    (a5)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜4.0にある。
    (a6)MFR10/MFR2.16が、8.0以上50以下である。
    (ここで、MFR10は、JIS K 7210に準拠して、190℃、10kg荷重で測定したメルトフローレート(g/10分)を、MFR2.16は、JIS K 7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(g/10分)をそれぞれ表す)。
  2. 前記共重合体(A)は、前記共重合体(A)中に含まれる全構成単位の合計を100重量%としたとき、エチレン由来の構成単位を50〜94重量%、1−ブテン由来の構成単位を6〜50重量%有することを特徴とする請求項1に記載のエチレン系共重合体(A)。
  3. エチレン由来の構成単位と、1-ブテン由来の構成単位と、1−ブテン以外の炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有する請求項1に記載のエチレン系共重合体(A)
  4. 前記共重合体(A)中に含まれる全構成単位の合計を100重量%としたとき、エチレン由来の構成単位を50〜94重量%、1−ブテン由来の構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位を合計で6〜50重量%有する請求項3に記載のエチレン系共重合体(A)。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエチレン系共重合体(A)を含んでなるペレット。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエチレン系共重合体(A)を含んでなるフィルムまたはシート。
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