JP6083181B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含むフィルム - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含むフィルム Download PDF

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Description

本発明は、フィルムにした際に、剛性、耐衝撃性、ヒートシール強度、および食品衛生性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物、並びにそれを含むフィルムに関するものである。
ポリプロピレンは、剛性、耐熱性、包装適性に優れるため、食品包装、繊維包装などの包装材料の分野で幅広く用いられている。包装材料の特性としては、剛性、耐熱性、耐衝撃性、滑り性やヒートシール性などが求められ、さらに、レトルト食品の包装材料は、高温処理が施されるレトルト殺菌に対応する必要がある。近年、このレトルト殺菌の条件が、より高温下、短時間で行われることが多く、包装材料に求められる食品衛生性も、高くなっている。例えば、特許文献1には、特定の性状を有するプロピレン重合体成分、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分、およびエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分とからなる組成物より、剛性、耐低温衝撃性、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、さらに加熱処理後においてもヒートシール強度の低下が小さいフィルムが得られることが記載され、特許文献2には、プロピレン系ブロック共重合体70〜95重量%と、密度が890〜925kg/m3であり、n−ヘキサン抽出量が0.01〜2.6重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体5〜30重量%とを含有するプロピレン系樹脂組成物より、低温での耐衝撃性、外観、ヒートシール性、食品衛生性および耐ブロッキング性に優れたフィルムが得られることが記載されている。
特開2003−96251号公報 特開2006−161033号公報
しかしながら、剛性、耐衝撃性、ヒートシール強度、および食品衛生性について、更なる改良が求められていた。
本発明の目的は、フィルムにした際に、剛性、耐衝撃性、ヒートシール強度、および食品衛生性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物、並びにそれを含むフィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、プロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が50〜80重量%であり、固体粘弾性測定(測定周波数5Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)から求めるガラス転移温度(Tg)が−80〜−60℃であるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))10〜40重量%とからなる(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする)プロピレン系共重合体(重合体(I))80〜99重量%、および密度が900kg/m以上、940kg/m未満であり、190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが0.01〜50g/10分であるエチレン−αオレフィン系重合体(重合体(II))1〜20重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする)に係るものである。また、本発明は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を含むフィルムに係るものである。
本発明によれば、フィルムにした際に、剛性、耐衝撃性、ヒートシール強度、および食品衛生性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(以下、「成分(A)」と記載することがある。)60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が50〜80重量%であり、固体粘弾性測定(測定周波数5Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)から求めるガラス転移温度(Tg)が−80〜−60℃であるプロピレン−エチレン共重合体成分(以下、「成分(B)」と記載することがある。)10〜40重量%とからなる(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする)プロピレン系共重合体(以下、「重合体(I)」と記載することがある。)80〜99重量%、および密度が900kg/m以上、940kg/m未満であり、190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが0.01〜50g/10分であるエチレン−αオレフィン系重合体(以下、「重合体(II)」と記載することがある。)1〜20重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする)である。
本発明に用いられる重合体(I)の成分(A)における「主要な構造単位」とは、該成分(A)の90重量%以上を占める構造単位を意味し、プロピレンに由来する構造単位が成分(A)の主要な構造単位である。成分(A)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは、90〜100重量%であり、より好ましくは、95〜100重量%であり、更に好ましくは、100重量%である。
成分(A)には、必要に応じて、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンを共重合させることができ、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは、10重量%以下であり、より好ましくは、5重量%以下である。炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは1−ブテンである。成分(A)として、好ましくは、プロピレンの単独重合体である。
本発明に用いられる重合体(I)の成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量としては、50〜80重量%であり、好ましくは、52〜78重量%であり、より好ましくは、55〜75重量%である(但し、成分(B)の重量を100重量%とする)。50重量%未満の場合、滑り性が悪化することがあり、80重量%を超えた場合、食品衛生性が悪化することがある。
また、成分(B)は、エチレンに由来する構造単位の他に、プロピレンに由来する構造単位を有し、プロピレンに由来する構造単位の含有量としては、20〜50重量%(但し、エチレンに由来する構造単位の含有量とプロピレンに由来する構造単位の含有量との合計の重量を100重量%とする。)であり、好ましくは、22〜48重量%であり、より好ましくは、25〜45重量%である。
本発明に用いられる重合体(I)における成分(A)の含有量としては、60〜90重量%であり、成分(B)の含有量としては、10〜40重量%である(但し、成分(A)と成分(B)の合計の重量を100重量%とする)。好ましくは、成分(A)の含有量は60〜87重量%であり、成分(B)の含有量は13〜40重量%であり、より好ましくは、成分(A)の含有量は65〜85重量%であり、成分(B)の含有量は15〜35重量%である。成分(A)の含有量が60重量%未満である(すなわち、成分(B)の含有量が40重量%を超える)場合、剛性や食品衛生性が低下することがあり、成分(A)の含有量が90重量%を超える(すなわち、成分(B)の含有量が10重量%未満となる)場合、滑り性が悪化することがある。
本発明に用いられる重合体(I)の成分(B)の固体粘弾性測定(測定周波数5Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)から求めるガラス転移温度(以下、「Tg」と記載することがある。)としては、−80〜−60℃であり、好ましくは、−75〜−60℃であり、より好ましくは、−70〜−60℃である。−80℃未満の場合、食品衛生性が悪化することがあり、−60℃を超えた場合、滑り性が悪化することがある。なお、重合体(I)の固体粘弾性測定において、温度に対して損失正接(tanδ)をプロットすると2つのピークが現れるが、より低温側のピークを成分(B)のTgと定義する。
本発明に用いられる重合体(I)の成分(A)の極限粘度(以下、「[η]A」と記載することがある。)としては、剛性や加工性を維持するという観点から、1.4〜3.0dL/gの範囲が好ましく、1.5〜2.8dL/gの範囲がさらに好ましい。
本発明に用いられる重合体(I)の成分(B)の極限粘度(以下、「[η]B」と記載することがある。)としては、滑り性や食品衛生性を維持するという観点から、好ましくは、1.8〜4.5dL/gであり、より好ましくは、2.0〜4.5dL/gであり、更に好ましくは、2.0〜4.0dL/gである。なお、本発明において、プロピレン系共重合体における成分(A)および成分(B)の極限粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定する。
本発明に用いられるプロピレン系共重合体の製造方法としては、例えば、通常の立体規則性触媒を用いて、原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。
立体規則性触媒としては、例えば、固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、さらに必要に応じて用いられる電子供与体とを接触させて形成される触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを接触させて形成される触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物とを接触させて形成される触媒が挙げられる。中でも好ましくは、固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、さらに必要に応じて用いられる電子供与体とを接触させて形成される触媒である。
固体状チタン触媒成分としては、例えば、ケイ素化合物の存在下に、チタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体触媒成分前駆体と、ハロゲン化化合物(例えば、四塩化チタン)と、電子供与体(例えば、エーテル化合物、エーテル化合物とエステル化合物の混合物)とを接触させて形成される三価のチタン化合物含有固体触媒成分が挙げられる。
有機金属化合物触媒成分としては、例えば、少なくとも分子内に一個のAl−炭素結合を有する有機アルミニウム化合物が挙げられ、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンである。
電子供与体としては、例えば、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、好ましくは、酸素含有化合物または窒素含有化合物であり、より好ましくは、酸素含有化合物であり、更に好ましくは、アルコキシケイ素類またはエーテル類である。
具体的には、例えば、Si−O結合を有するケイ素化合物の存在下に、一般式Ti(OR4−n(Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは0<n≦4の数字を表す。)で表されるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物と、エステル化合物及びエーテル化合物と、四塩化チタンとを接触させて形成される三価のチタン化合物含有固体触媒成分(以下、「成分(a)」と記載することがある。)と、有機アルミニウム化合物(以下、「成分(b)」と記載することがある。)と、Si−OR結合(Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)を有するケイ素化合物(以下、「成分(c)」と記載することがある。)とを接触させて形成される触媒が挙げられる。
また、有機アルミニウム化合物の使用量としては、成分(b)中のAl原子/成分(a)中のTi原子のモル比として、通常、1〜2000であり、好ましくは、5〜1500であり、成分(c)/成分(b)中のAl原子のモル比として、通常、0.02〜500であり、好ましくは、0.05〜50である。
本発明に用いられる重合体(I)を製造するための重合方法は、例えば、バッチ式(ひとつの反応槽に原料を投入して反応させる形式)で行ってもよいし、連続式(複数の反応槽を連結して、各槽で順次反応させる方式)で行ってもよい。また、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのごとき不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合もしくは溶液重合、重合温度において液状のオレフィンを媒体としたバルク重合または気相重合、および、それらを連続的に行うバルク−気相重合法等が挙げられ、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性炭化水素溶媒の不存在下に、第一工程でプロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))を製造し、次いで、第二工程で気相中プロピレンとエチレンを重合しプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))を製造する方法である。重合温度としては、通常、−30〜300℃であり、好ましくは、20〜180℃である。重合圧力としては、工業的かつ経済的観点から、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは、200kPa〜5MPaである。特に後述の第二工程が気相重合であることが好ましい。
本発明に用いられる重合体(I)のプロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))およびプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))の極限粘度、エチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを適切な量を加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
本発明に用いられる重合体(I)のプロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))およびプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))のそれぞれの含有量は、プロピレン系共重合体製造時の重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
本発明に用いられる重合体(II)の密度は、900kg/m以上、940kg/m未満であり、好ましくは900kg/m3以上、935kg/m3以下、さらに好ましくは900kg/m3以上、930kg/m3以下である。密度が900kg/m以上、940kg/m未満である場合、耐衝撃性やヒートシール強度に優れる。
本発明に用いられる重合体(II)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られる共重合体である。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ヘキセデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、少なくとも2種併用してもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体である。
本発明に用いられる重合体(II)の190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートは、0.01〜50g/10分であり、好ましくは、0.1〜30g/10分であり、より好ましくは、0.5〜20g/10分である。0.01g/10分未満の場合、剛性や食品衛生性が劣ることがあり、50g/10分を超える場合、耐衝撃性やヒートシール強度が不十分となることがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、重合体(I)80〜99重量%、および重合体(II)1〜20重量%を含有する(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)。重合体(I)82〜97重量%、および重合体(II)3〜18重量%とを含有することが好ましく、重合体(I)85〜95重量%、および重合体(II)5〜15重量%とを含有することがより好ましい。重合体(I)が80重量%未満であると(すなわち、重合体(II)が20重量%を超えると)、ヒートシール強度が低下することがあり、重合体(I)が99重量%を超えると(すなわち、重合体(II)が1重量%未満であると)、食品衛生性が劣ることがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、食品衛生性や耐衝撃性を維持するという観点から、230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートとして、好ましくは、1〜5g/10分である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、通常工業的に用いられている方法により成形することにより成形物を得ることができる。例えば、押出成形法、ブロー成形法、射出成形法、圧縮成形法、カレンダ成形法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、Tダイ成形法、チューブラー成形法などの押出成形法によるフィルム用途に好ましく用いられる。特に好ましくは、Tダイ法による未延伸フィルムである。フィルムの厚みとして、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは10〜100μmである。フィルムには、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の用途として、好ましくは、高温での加熱処理が施されるレトルト食品包装用途のフィルムである。また、該フィルムは、複合フィルムの一層としても好適に使用される。複合フィルムは、本発明のフィルムとその他のフィルムからなるフィルムであって、その他のフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、未延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等が挙げられ、複合フィルムの製造方法としては、ドライラミネート法や押出ラミネート法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤や重合体(I)や重合体(II)以外の樹脂を添加しても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。重合体(I)や重合体(II)以外の樹脂としては、オレフィン系樹脂、エチレンとα−オレフィンの共重合体であるエラストマー等が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)で製造されたものであっても良い。さらに、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて説明する。なお、実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)プロピレン系共重合体(重合体(I))のプロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))およびエチレンに由来する構造単位の含有量が50〜80重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))の含有量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体(重合体(I))の成分(A)および成分(B)の製造時の物質収支から、成分(A)の含有量(以下、「P」と記載することがある。)、成分(B)の含有量(以下、「P」と記載することがある。)を求めた。
(2)プロピレン系共重合体(重合体(I))のプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って、下式(1)により成分(B)のエチレン含量を求めた。

=(E−E×P)/P 式(1)

(ただし、E、EおよびEはそれぞれプロピレン系共重合体の全体、成分(A)および成分(B)におけるエチレン含有量を表し、PおよびPは成分(A)および成分(B)の含有量を示す。)
(3)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(3−1)成分(A)、成分(B)の極限粘度([η]A、[η]B)
第一工程の重合終了時にサンプリングした成分(A)の極限粘度([η]A)と第二工程の重合終了後に得られたプロピレン系共重合体(重合体(I))の全体の極限粘度(以下、「[η]T」と記載することがある。)、および、成分(A)の含有量(P)と成分(B)の含有量(P)を用いて、下式(2)から成分(B)の極限粘度([η]B)を算出した。

[η]A×P/100+[η]B×P/100=[η]T 式(2)
(4)ガラス転移温度(Tg、単位:℃)
ガラス転移温度は、SIIナノテクノロジー株式会社製DMS200を用いて測定した。予熱が230℃で5分間、加圧が230℃で3.5MPa下5分間、冷却が30℃で3.5MPa下5分間でプレス成形を行い、50mm長×3.0mm幅×0.3mm厚の短冊状に切り出したものを、測定試料として用いた。測定周波数は5Hzであり、引っ張りの測定モードを用いた。測定温度は−150℃から2℃/分の昇温速度で段階的に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1%以下の範囲で行った。
(5)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
メルトフローレートは、JIS K7210に従って測定した。ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートは、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。エチレン系重合体(重合体(II))のメルトフローレートは、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
(6)剛性(ヤング率、単位:MPa)
120mm×30mmのフィルム(製膜方向(MD)と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、23℃、湿度50%の雰囲気下において、安田精機製作所製オートストレインを用いて、つかみ間隔60mm、引張速度5mm/分で引張り試験を行い、引張−応力カーブのゼロ点での接線の傾きから初期弾性率を求めた。
(7)耐衝撃性(単位:kJ/m)
所定温度(−10℃、−15℃)に設定した恒温槽中にフィルムをおいて、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用して、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、フィルムの衝撃強度を測定した。
(8)食品衛生性(n−ヘキサン抽出量、単位:重量%)
FDA177.1520(d)(3)(ii)に記載の方法に従って、厚み60μmのフィルムの50℃、n−ヘキサン抽出量を測定した。
(9)ヒートシール強度(単位:kg)
康井精機製卓上型テストコーターを用いて、厚さ15μmの延伸ナイロン基材フィルム(ユニチカ製エンブレム)に、エステル系接着剤(主剤:タケラックA−310(武田薬品製)、硬化剤:タケネートA−3(武田薬品製)、主剤:硬化剤=12:1)を固形分が3.7g/m2となるように酢酸エチルを溶剤として塗布した後85℃で乾燥させ、60μmのフィルムを、コロナ処理側を接着面として40℃、3kg/cm2で圧着させた後、40℃で2日間、加熱熟成することによりドライラミネーションフィルムを得た。ドライラミネーションフィルムを2枚重ねに幅15mm×長さ80mm(フィルムの製膜方向と長辺方向が一致)で切り取り、TP−701B型ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製)を用いて幅10mmのヒートシールを上部ヒータ200℃、下部ヒーター55℃、1.0Kg/cm2の条件で1.0秒間行った。シールされたサンプルをORIENTEC社製STA−1225型引張試験機を用いて、引張速度200mm/分で引張試験を行い、剥離進行時の引張荷重をヒートシール強度とした。
[実施例1]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.8dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が3.5dL/g、エチレン含有量が55重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン系共重合体(BCPP1)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は23重量%であった。得られたプロピレン系共重合体(BCPP1)の物性値を表1に示した。
得られたプロピレン系共重合体(BCPP1)90重量%に対して、エチレン−αオレフィン系重合体として、スミカセンE FV103(住友化学株式会社製、エチレン−1−ヘキセン共重合体、密度=904kg/m3、MFR=1g/10分)10重量%を均一に混合した。この混合物100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、イルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.2重量部、イルガフォス168(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.05重量部を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型、田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて、250℃で溶融混練して、MFR=1.9(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス株式会社製V−50−F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて、樹脂温度280℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを50℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[実施例2]
エチレン−αオレフィン系重合体を、スミカセンE FV401(住友化学株式会社製、エチレン−1−ヘキセン共重合体、密度=904kg/m3、MFR=4g/10分)に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、MFR=2.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[実施例3]
プロピレン系共重合体(BCPP1)を95重量%とし、エチレン−αオレフィン系重合体としてスミカセンE FV405(住友化学株式会社製、エチレン−1−ヘキセン共重合体、密度=924kg/m3、MFR=4g/10分)を5重量%用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、MFR=2.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[実施例4]
プロピレン系共重合体(BCPP1)を90重量%とし、エチレン−αオレフィン系重合体を10重量%とした以外は、実施例3と同様の方法によって、MFR=2.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[比較例1]
プロピレン系共重合体(BCPP1)を100重量%とし、エチレン−αオレフィン系重合体を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によって、MFR=2.2(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[比較例2]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.8dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が3.4dL/g、エチレン含有量が30重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン系共重合体(BCPP2)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は23重量%であった。得られたプロピレン系共重合体(BCPP2)の物性値を表1に示した。
得られたプロピレン系共重合体(BCPP2)95重量%に対して、エチレン−αオレフィン系重合体として、スミカセンE FV405(住友化学株式会社製、エチレン−1−ヘキセン共重合体、密度=924kg/m3、MFR=4g/10分)5重量%を均一に混合した。この混合物100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、イルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.2重量部、イルガフォス168(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.05重量部を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型、田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて、250℃で溶融混練して、MFR=4.2(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
[比較例3]
プロピレン系共重合体(BCPP2)を90重量%とし、エチレン−αオレフィン系重合体としてタフマー P0180(三井化学株式会社製、エチレン−プロピレン共重合体、密度=870kg/m3、MFR=5g/10分)を10重量%用いた以外は、比較例2と同様の方法によって、MFR=5.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表3に示した。
Figure 0006083181
Figure 0006083181
Figure 0006083181

Claims (2)

  1. プロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が50〜80重量%であり、固体粘弾性測定(測定周波数5Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)から求めるガラス転移温度(Tg)が−80〜−60℃であるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))10〜40重量%とからなる(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする)プロピレン系共重合体(重合体(I))80〜99重量%、および密度が900kg/m以上、940kg/m未満であり、190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが0.01〜50g/10分であるエチレン−αオレフィン系重合体(重合体(II))1〜20重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする)を含むフィルムであって、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物の230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが1〜5g/10分であるフィルム
  2. エチレン−αオレフィン系重合体(重合体(II))のメルトフローレートが0.5〜20g/10分である請求項1に記載のフィルム
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