JP5895447B2 - 押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

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本発明は、押出ラミネート成形における充分な成膜性を示すと共に、ロール汚染を低減させた押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
押出ラミネート加工によって得られる積層体のうち、ポリエチレン系樹脂を少なくとも一層積層してなる積層体は、クラフト包装、軟包装、印画紙支持体、テープ、各種容器など幅広い用途分野で用いられている。従来押出ラミネート加工に用いられるポリエチレン樹脂は、その優れた成形加工性からラジカル重合により合成される分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)が主であった。
しかしながら、ラジカル重合により合成されるLDPEは重合反応がランダムに進行するため、製造された重合体の構造は均一ではなく、多種多様な副生成物が発生する。これらの副生成物のうち低分子量成分は押出ラミネート加工時にロールに析出し、ロールが汚染されることがある。ロール汚染が発生すると、ロールの拭き取りのためにラインを停止し、生産性を低下させる問題があった。
一方、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)や直鎖状高密度ポリエチレン(HDPE)などの直鎖状ポリエチレンは、重合触媒を使用したイオン重合により製造されることからその構造は比較的均一であり、副生成物の発生は少ない。そのため押出ラミネート加工時のロール汚染は良好である。特にシングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂は、構造の均一性が高く分子量分布が狭いことから低分子量成分の含有量が少ないため、耐ロール汚染性が良好である。
ただし直鎖状ポリエチレンは分子同士の絡み合いが生じにくいことから溶融弾性が低く、そのため成形加工性に乏しいという問題がある。成形加工性を良好にするためには分子構造中に長鎖分岐を導入することが有効であるが、従来イオン重合で製造したポリエチレンには製法上長鎖分岐を導入することが難しかった。成形加工性を向上させるための方法としては、直鎖状ポリエチレンとLDPEの混合物を押出ラミネート加工して積層体を得る方法がしばしば用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかしLDPEを多量に添加することで対ロール汚染性が不十分となることが懸念される。そのため、耐ロール汚染性が良好でかつ成形加工性が良好なポリエチレンを得ることは困難であった。
特開平6−65443号公報 特開平6−322189号公報 特開平7−92610号公報 特開2000−73018号公報
押出ラミネート加工に主に用いられるLDPEは、低分子量成分が押出ラミネート加工時にロール汚染が発生し、生産性を低下させる問題があった。L−LDPEやHDPEなどの直鎖状ポリエチレンは、押出ラミネート加工時のロール汚染は良好である一方、成形加工性を向上させるために、直鎖状ポリエチレンとLDPEと混合する方法が用いられている。しかし、LDPEを多量に添加することで対ロール汚染性が不十分となることが懸念される。そのため、耐ロール汚染性が良好でかつ成形加工性が良好なポリエチレンを得ることは困難であった。
本発明は、押出ラミネート成形における充分な成膜性を示すと共に、ロール汚染を低減させた押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物が、押出ラミネート成形における充分な成膜性を示すと共に、ロール汚染を低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、エチレンと炭素数3から6のα−オレフィンを共重合してなり、JIS K6760(1995年)により測定されたメルトマスフローレートが2〜100g/10分、JIS K6760(1995年)により測定された密度が920〜955kg/m、炭素数6以上の長鎖分岐を、炭素数1000個あたり0.01〜0.2個有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2以上5未満である エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が47〜89.99重量%、および、JIS K6760(1995年)により測定されたメルトマスフローレートが1〜10g/10分、JIS K6760(1995年)により測定された密度が915〜930kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(B)が10〜50重量%であり、結晶核剤(C)が0.01〜3重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
さらに、上記の樹脂組成物を押出ラミネート成形することによって得られる積層体に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンから導かれる繰り返し単位とα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン−α−オレフィン共重合体である。α−オレフィンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これらのα−オレフィンの少なくとも2種類を併用してもよい。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、密度が920〜955kg/m、好ましくは920kg/m〜945kg/m、最も好ましくは920kg/m〜935kg/mのものである。ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度が920kg/m未満の場合、押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が低下し成形加工時の熱履歴により積層体の臭気が悪化するため好ましくない。一方、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度が955kg/mより大きい場合、押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の耐熱性は良好で積層体の臭気は良好となる反面積層体のカールが大きくなり、製袋などの二次加工性が悪化するため好ましくない。なお密度の測定は、JIS K6760(1995)に準拠して密度勾配管法で測定することができる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、JIS K6760(1995年)によるメルトマスフローレート(以下、MFRと記す場合がある)が2〜100g/10分、好ましくは8〜60g/10分の範囲にあることを特徴とする。エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のMFR(以下、MFR−Aと記す場合がある)が2g/10分未満では、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時に、押出機への負荷が大きくなると共に、ドローダウン性も悪化するため好ましくない。一方、100g/10分を超える場合は、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時に、耳部の安定性が悪く、ネックイン(溶融膜の幅落ち)も大きくなって成膜安定性が悪くなるため好ましくない。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、構造中に炭素数6以上の長鎖分岐を炭素数1000個あたり0.01〜0.2個有するものである。構造中に長鎖分岐を炭素数1000個あたり0.01〜0.2個有することでエチレン−α−オレフィン共重合体(A)の溶融張力が高くなり、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成形加工性が向上する。長鎖分岐の数が炭素数1000個あたり0.01個未満である場合、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時のネックインが大きくなり好ましくない。また長鎖分岐の数が炭素数1000個あたり0.2個より多い場合、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時に、ラミネート加工性のドローダウン(高速成形性)が低下するため好ましくない。なお、長鎖分岐数とは、13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上(炭素数6以上)の分岐の数である。
炭素数3〜6のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンもしくはビニルシクロアルカン等のα−オレフィン、ブタジエンもしくは1,4−ヘキサジエン等のジエンを例示することができる。また、これらのオレフィンを2種類以上混合して用いることもできる。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2以上5未満である。Mw/Mnが2未満の場合、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時に、押出負荷が必要以上に高くなってラミネート加工時の押出量が制限されるため好ましくない。またMw/Mnが5以上の場合、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)中の低分子量成分の含有比率が多くなり、得られる押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のラミネート加工時のロール汚染やラミネート成形品の表面のべたつきおよびヒートシール不良などの弊害が生じることから好ましくない。なお、Mw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリエチレン換算値である重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定することにより算出することが可能である。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、如何なる方法により得られたものであってもよく、例えば後述する本願実施例の製造条件そのもの、あるいは条件因子の微調整によって任意に作り分けることが可能である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)を製造する方法に制限はなく、チーグラー触媒を用いる方法、フィリップス触媒を用いる方法、メタロセン触媒を用いる方法などで製造可能であるが、メタロセン触媒を用いる方法で製造することが好ましい。
メタロセン触媒を用いて、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)を製造する場合、用いるメタロセン触媒は、メタロセン錯体、活性化助触媒、および必要に応じて有機アルミニウム化合物を構成成分として有し、特定のメタロセン触媒によりマクロモノマーを合成し、マクロモノマーの合成と同時に、特定のメタロセン触媒により、マクロモノマーとエチレンと炭素数3〜6のオレフィンの共重合とエチレンと炭素数3〜6のオレフィンの共重合を行うことが好ましい。
マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、エチレンと炭素数3〜6のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体である。
マクロモノマーの直鎖状ポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)は、2000以上であることが好ましく、さらに好ましくは5000以上であり、最も好ましくは10000以上である。直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、4000以上であり、好ましくは10000以上であり、さらに好ましくは15000より大きい。マクロモノマーの分子量を大きくすることでエチレン−α−オレフィン共重合体(A)に導入される長鎖分岐の長さが長くなり、溶融張力が向上する。
マクロモノマーを合成する特定のメタロセン触媒は、メタロセン錯体に、非架橋型ビス(インデニル)ジルコニウム錯体、非架橋型ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体、架橋型ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体、もしくは架橋型(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(j)と記す。)を用いた触媒であることが好ましい。
成分(j)の具体例として、例えばビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができるが、これらに限定されるこのではない。
また、マクロモノマーの合成と同時に、マクロモノマーの共重合を行う特定のメタロセン触媒は、メタロセン錯体に、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体もしくは架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(k)と記す。)を用いた触媒であることが好ましい。
成分(k)の具体例として、例えばジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできるが、これらに限定されるものではない。
成分(j)に対する成分(k)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
メタロセン触媒の構成成分として用いる活性化助触媒は、メタロセン錯体、またはメタロセン錯体と有機アルミニウム化合物の反応物を、オレフィンの重合が可能な活性種に変換する役割を果たす化合物を示し、メタロセン錯体からカチオン性化合物を生成させる化合物であることが好ましく、生成したカチオン性化合物は、オレフィンを重合することが可能な重合活性種として作用する。活性化助触媒は、重合活性種を形成した後、生成したカチオン性化合物に対して弱く配位または相互作用するものの、該活性種と直接反応しない化合物を提供する化合物である。
活性化助触媒の具体的な例として、メチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン、シリカゲル担持アルキルアルミノキサン、トリス(ペンタフルオエオフェニル)ホウ素などのトリス(フッ素化アリール)ホウ素、N,N−ジメチルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などのテトラキス(フッ素化アリール)ホウ素塩などのホウ素化合物、これらのシリカゲル担持物、および粘土鉱物、有機化合物で処理した粘土鉱物などを挙げることができるが、これら活性化助触媒の中で有機化合物で処理した粘土鉱物を用いることが好ましい。
活性化助触媒として、有機化合物で処理した粘土鉱物を用いる場合、用いる粘土鉱物は、スメクタイト群に属する粘土鉱物が好ましく、具体例としてモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどを挙げることができる。また、これら粘土鉱物を複数混合して用いることも可能である。
なお、有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することを示す。
有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩などのアルキルアンモニウム塩を例示することができる。
メタロセン触媒は、成分(j)と成分(k)の混合物を活性化助触媒と反応させる方法、成分(j)と活性化助触媒を反応させた後、成分(k)を反応させる方法、成分(j)と成分(k)を別々に反応させる方法などで調製されるが、メタロセン触媒の調製方法に特に制限はない。
なお、メタロセン触媒は、触媒の調製時、メタロセン錯体の活性化や溶媒中の不純物の除去など、必要に応じてトリエチルアルミニウムやトリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムを用いてもよい。
本発明押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜6のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン系共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)の長鎖分岐数は、マクロモノマーの末端ビニル数を増加させることによって増加できる。マクロモノマーの末端ビニル数は、マクロモノマー合成用のメタロセン化合物の選択により制御することができる。例えば、非架橋型メタロセン化合物を架橋型メタロセン化合物に変更することによって増加させることができる。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)のMw/Mnは、マクロモノマーのMnを減少させることによって増加できる。マクロモノマーのMnは、マクロモノマー合成用のメタロセン化合物の選択により制御することができる。例えば、非架橋型メタロセン化合物を架橋型メタロセン化合物に変更することによって減少させることができる。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)は、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)は、JIS K6760(1995年)によるMFRが1〜10g/10分、好ましくは1〜5g/10分の範囲のものである。MFRが1g/10分未満の場合はポリエチレン樹脂組成物押出負荷が高くなり、生産性が低下するため好ましくない。一方、10g/10分を超える場合、溶融張力が小さくなりラミネート加工時のネックインが大きくなるため好ましくない。
また、本発明に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)は、JIS K6760(1995年)で測定された密度が915〜930kg/mの範囲にあることを特徴とする。密度が930kg/mを超える場合は、エチレン系樹脂組成物(C)の密度が高くなり、積層体のカールが大きくなることにより二次加工性が悪化するため好ましくない。一方、密度が915kg/m未満であると、フィルムの自己粘着性が増し、ブロッキングが起こり好ましくない。
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)の配合比率は、10〜50重量%である。配合比率が10重量%未満の場合は、押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のネックインが大きくなり、成膜製が劣るため好ましくなく、50重量%を超える場合は、押し出しラミネート加工時の押出負荷が大きくなるために好ましくない。
本発明に用いられる結晶核剤(C)は、結晶性高分子の結晶化過程に作用して結晶性高分子の結晶化を促進し、結晶化速度を向上するものであり、溶融拡散型、分散型、ゲル化剤がある。ここで、ゲル化剤とは、熱可塑性樹脂に添加することで、押出成形中にゲル化し、結晶核剤として作用するものである。
溶融拡散型の結晶核剤としては、有機酸塩、有機酸アミド、脂肪酸塩、脂肪酸アミドなどが例示され、例えば株式会社ADEKAからアデカスタブNA−11などが市販されている。
分散型の結晶核剤としては、無機鉱物、金属酸化物、無機塩、リン化合物などが例示される。
ゲル化剤としては、ジオール系有機化合物などが例示され、例えば新日本理化株式会社からゲルオールMDなどが市販されている。
このような結晶核剤は、市販品の中から便宜選択することができ、2種以上を混合して使用することができる。また市販されている結晶核剤には少量の不純物を含むことがあるが、効果を阻害しない範囲であれば特に構わない。
本発明における押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物に用いられる結晶核剤(C)の配合比率は、樹脂組成物に対し0.01〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%配合される。結晶核剤(C)の配合割合が0.01%未満である場合は、結晶化促進効果が乏しく、ロールが汚染され好ましくない。結晶核剤(C)の配合割合が3重量%を超える場合は、コストが高くなるために好ましくない。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の配合比率は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)が47〜89.99重量%、さらに好ましくは69.7〜89重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)が10〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、結晶核剤(C)の配合比率は、0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.3〜1重量%である。
本発明における押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のペレットと高圧法低密度ポリエチレン(B)のペレットおよび結晶核剤を固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。
また、本発明における押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤、または高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のその他の樹脂を添加してもかまわない。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物は、各種基材にラミネートし、積層体を得ることができる。成形方法としては、シングルラミネート成形法、サンドウィッチラミネート成形法、共押出ラミネート成形法等の各種押出ラミネート成形法等を挙げることができる。基材の種類は限定を受けず、クラフト紙、上質紙、グラシン紙等の紙基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子フィルム、アルミ箔、銅箔等の金属箔、セロファン等を挙げることができる。
押出ラミネート加工に供する際、基材との良好な接着性を得るため、本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物は250〜350℃の温度でダイより押し出すことが好ましい。また、押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物からなる溶融フィルムの少なくとも基材と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されていてもよい。
また、基材との接着性を高めるため、基材の接着面に対してアンカーコート剤処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を用いた積層体は、押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の層を少なくとも1層基材上に積層してなる積層体であること以外は特に制約はなく、3層以上の積層も可能である。具体的には、基材/ポリエチレン樹脂組成物層、ポリエチレン樹脂組成物層/基材/ポリエチレン樹脂組成物層、ポリエチレン樹脂組成物層以外の樹脂層/基材/ポリエチレン樹脂組成物層などが例示される。
なお、ポリエチレン樹脂組成物以外の樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、優れた成膜性を示すと共に、ロールの汚染が良好な樹脂組成物である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に、物性、加工性、ロール汚染の評価方法を示す。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6760(1995年)に準拠し、測定した。
(2)密度
JIS K6760(1995年)に準拠し、測定した。
(3)分子量および分子量分布
マクロモノマーおよびエチレン−α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
(4)長鎖分岐数
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の長鎖分岐数は、Varian製 VNMRS−400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによってヘキシル基以上の長鎖分岐の数を測定した。溶媒はテトラクロロエタン−d2である。主鎖メチレン炭素1,000個当たりの個数として、「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」第31巻、25号、8677〜8683ページ(1998年)に記載の下記式(4)から求めた。
長鎖分岐数=IAα/(3×IAtot) (4)
[式中、IAαはヘキシル基以上の長鎖分岐のα−炭素ピーク(化学シフト:34.6ppm)の積分強度であり、IAtotは主鎖メチレン炭素のピーク(30.0ppm)の積分強度である。]
(5)溶融張力
押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mm、流入角が90°のダイスを装着し測定した。溶融張力は、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を測定した。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。
(6)ネックイン
押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を90mmφのスクリューを有する押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)の押出機へ供給し、320℃の樹脂温度で開口幅600mmのTダイより押出し、エアギャップ長を130mm、基材の引取り速度を200m/分として、坪量50g/mのクラフト紙基材上にエチレン系樹脂組成物が10μmの厚さになるよう押出ラミネートした際の、Tダイ開口幅と押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物のコート幅との差をネックインとし、その値を測定した。
(7)ロール汚染
得られた押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を直径25mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(プラコー(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイよりスクリュー回転数200rpmで押し出し、クラフト紙上に、引き取り速度15m/分で30μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行い、連続して300m成形した際の冷却ロール表面の付着物をカッター刃で削り取り、付着量を求めた。また、冷却ロール表面の外観を目視により評価した。この際、同条件でラミネート成形した高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)よりも冷却ロール表面の汚染が少ない場合を〇、同等または多い場合を×とした。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、以下に示す方法により合成した。合成の際、重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により、合成、同定したものを用いた。
合成例1
[変性ヘクトライトの調製]
水3Lにエタノール3Lと37%濃塩酸100mLを加えた後、得られた溶液にN−メチル−ジオレイルアミン585g(1.1mol)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。
[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]
前記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7Lに懸濁させ、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド8.25g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8L(2mol)の混合液を添加し、60℃で3時間攪拌した後、静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加してマクロモノマー合成触媒(100g/L)とした。
上記で調製したマクロモノマー合成触媒にジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライドに対して10mol%のイソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド1.21g(2.22mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lのポリエチレン系樹脂製造触媒を得た。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の製造]
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを33.0kg/時、ブテン−1を4.9kg/時、水素を20NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したポリエチレン系樹脂製造触媒を連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を60℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)粉末を得た。これを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)ペレットを得た。得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)ペレットの密度は925kg/m、MFRは24.1g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.13個、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは3.8であった。またn−ヘプタン可溶分は0.12重量%であった。
なお、この合成例では、下記参考例1に示すマクロモノマーの製造と同時に、エチレンおよび1−ブテンの重合が行われている。
参考例1
[マクロモノマーの合成]
合成例1[エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の製造]において、ポリエチレン系樹脂製造触媒の代わりに合成例1[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したマクロモノマー合成触媒を用いたこと以外は、合成例1と同様に行い、マクロモノマーペレットを得た。得られたマクロモノマーペレットのMn=15000であり、Mw/Mn=2.5であった。また、マクロモノマーペレットの末端構造を解析したところ、1000炭素当りの末端ビニル数は0.07個であった。
合成例2
[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]
合成例1[変性ヘクトライトの調製]で調製した変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7Lに懸濁させ、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド7.85g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8L(2mol)の混合液を添加し、60℃で3時間攪拌した後、静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加してマクロモノマー合成触媒(100g/L)とした。
上記で調製したマクロモノマー合成触媒にビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドに対して5mol%のイソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.57g(1.05mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lのポリエチレン系樹脂製造触媒を得た。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の製造]
合成例1[エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の製造]において、ブテン−1を4.9kg/時から0.5kg/時、水素供給量を20NL/時から5NL/時、重合温度を60℃から85℃に変え、触媒を上記[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したポリエチレン系樹脂製造触媒に変更したこと以外は、合成例1と同様に行い、エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)を得た。得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の密度は955kg/m、MFRは11.3g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.03個、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは2.4であった。また、n−ヘプタン可溶分は0.09重量%であった。
なお、この合成例では、下記参考例2に示すマクロモノマーの製造と同時に、エチレンおよび1−ブテンの重合が行われている。
参考例2
[マクロモノマーの合成]
合成例2[エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の製造]において、ポリエチレン系樹脂製造触媒の代わりに合成例2[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したマクロモノマー合成触媒を用いたこと以外は、合成例2と同様に行い、マクロモノマーペレットを得た。得られたマクロモノマーペレットのMn=20000であり、Mw/Mn=2.2であった。また、マクロモノマーペレットの末端構造を解析したところ、1000炭素当りの末端ビニル数は0.02個であった。
合成例3
[エチレン−α−オレフィン共重合体(A3)の製造]
合成例1[エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の製造]において、ブテン−1を4.9kg/時から0.5kg/時、水素供給量を20NL/時から30NL/時、重合温度を60℃から85℃に変え、触媒を合成例2[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したポリエチレン系樹脂製造触媒に変更したこと以外は、合成例1と同様に行い、エチレン−α−オレフィン共重合体(A3)を得た。得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(A3)の密度は955kg/m、MFRは38.4g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.03個、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは2.3であった。また、n−ヘプタン可溶分は0.11重量%であった。
なお、この合成例では、下記参考例3に示すマクロモノマーの製造と同時に、エチレンおよび1−ブテンの重合が行われている。
参考例3
[マクロモノマーの合成]
合成例3[エチレン−α−オレフィン共重合体(A3)の製造]において、ポリエチレン系樹脂製造触媒の代わりに合成例2[ポリエチレン系樹脂製造触媒の調製]で調製したマクロモノマー合成触媒を用いたこと以外は、合成例3と同様に行い、マクロモノマーペレットを得た。得られたマクロモノマーペレットのMn=17000であり、Mw/Mn=2.3であった。また、マクロモノマーペレットの末端構造を解析したところ、1000炭素当りの末端ビニル数は0.02個であった。
Figure 0005895447
実施例1
合成例1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、合成例1で得たエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を74重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)としてMFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 商品名ペトロセン360)(B1)を25重量%、結晶核剤(C)として有機酸塩(株式会社ADEKA製 商品名アデカスタブNA11)(C1)を1重量%を、タンブラーミキサーにて予備混合した後、シリンダー温度180℃に調整した単軸押出機((株)プラコー製、型式 PDA50)で溶融混練してペレット化した。得られた押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物について、密度、MFR、溶融張力を測定した。また、得られた押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を用いて押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。これらの評価結果を表2に示す。
実施例2
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を49重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)として、実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を50重量%、結晶核剤(C)として実施例1で用いた有機酸塩(C1)を1重量%配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして、押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例3
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を79重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)として、実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を20重量%、結晶核剤(C)として実施例1で用いた有機酸塩(C1)を1重量%配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして、押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表1に示す。
実施例4
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、合成例2で得たエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)を配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして、押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例5
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、合成例3で得たエチレン−α−オレフィン共重合体(A3)を配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして、押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例6
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を74.7重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)として、実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を25重量%、結晶核剤(C)として実施例1で用いた有機酸塩(C1)を0.3重量%配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例7
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を73重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)として、実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を25重量%、結晶核剤(C)として実施例1で用いた有機酸塩(C1)を2重量%配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例8
結晶核剤(C)として、有機酸塩系核剤(C1)の代わりに無機鉱物(タルク)(C2)を配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
実施例9
結晶核剤(C)として、有機酸塩系核剤(C1)の代わりにジオール系有機化合物(新日本理化株式会社製ゲルオールMD)(C3)を配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表2に示す。
比較例1
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を99重量%、結晶核剤(C)として有機酸塩(C1)を1重量%とし、高圧法低密度ポリエチレン(B)を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表3に示すが、ネックインが大きく成膜性に劣っていた。
比較例2
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)を75重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)として、高圧法低密度ポリエチレン(B1)を25重量%とし、結晶核剤(C)を加えなかったこと以外は実施例6と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表3に示すが、ロール汚染性に劣っていた。
比較例3
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)として、実施例4で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)を75重量%とし、高圧法低密度ポリエチレン(B)として実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を25重量%とし、結晶核剤を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート加工を行って積層体を得、ネックイン、ロール汚染性を評価した。押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物の特性およびネックイン、ロール汚染性評価の結果を表3に示すが、ロール汚染性に劣っていた。
比較例4
高圧法低密度ポリエチレン(B)として、実施例1で用いた高圧法低密度ポリエチレン(B1)を99重量%、結晶核剤(C)として実施例1で用いた有機酸塩系結晶核剤(C1)を1重量%配合した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物を得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート成形を試みたが、押出負荷が大きく、加工することができなかった。
Figure 0005895447
Figure 0005895447
本発明の押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物は、充分な成膜性を示すと共に、対ロール汚染性に優れることから、押出ラミネートの生産効率を向上させることができる。そのため、押出ラミネート分野において、クラフト包装、軟包装、印画紙支持体、テープ、各種容器の原料として幅広い用途での利用が大いに期待される。

Claims (3)

  1. エチレンと炭素数3から6のα−オレフィンを共重合してなり、JIS K6760(1995年)により測定されたメルトマスフローレートが2〜100g/10分、JIS K6760(1995年)により測定された密度が920〜955kg/m、炭素数6以上の長鎖分岐を炭素数1000個あたり0.01〜0.2個有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2以上5未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が47〜89.99重量%、および、JIS K6760(1995年)により測定されたメルトマスフローレートが1〜10g/10分、JIS K6760(1995年)により測定された密度が915〜930kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(B)が10〜50重量%であり、結晶核剤(C)が0.01〜3重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物。
  2. 結晶核剤(C)が、溶融拡散型結晶核剤、分散型結晶核剤、ゲル化剤のうち1種または2種以上を混合して使用することを特徴とした、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリエチレン樹脂組成物の層を少なくとも1層基材上に積層してなる積層体。
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