JP2012177026A - 活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)重合開始剤と、(B)一般式(1)で表される化合物と、を含有する活性エネルギー線硬化型インク組成物。
(式中、X1は3級アルキル基を表し、R1〜R10は各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明が解決する課題は、上記の事情に照らし、記録した画像の光沢性及び基材との密着性に優れたインク組成物を提供することである。
項1. (A)重合開始剤と、(B)下記一般式(1)で表される化合物と、を含有する活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項2. 前記一般式(1)における3級アルキル基が下記一般式(1A)である、項1に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項3. 前記一般式(1)におけるX1がt−ブチル基である、項1又は項2に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項4. 前記一般式(1)におけるR1、R8、R9及びR10が水素原子である、項1〜項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項5. 前記活性エネルギー線硬化型インク組成物における前記(B)一般式(1)で表される化合物の含有量が、25〜60質量%である、項1〜項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項6. さらに前記(B)以外の重合性化合物である(C)他の重合性化合物を含む、項1〜項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項7. 前記(C)他の重合性化合物としてN−ビニル化合物を含む、項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項8. さらに(D)着色剤を含む、項1〜項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項9. インクジェット記録用である、項1〜項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
項10. 記録媒体上に、項1〜項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程、及び吐出された活性エネルギー線硬化型インク組成物に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する工程、を含む画像形成方法。
項11.前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程が、インクジェット法により活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程である、項10に記載の画像形成方法。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、(A)重合開始剤と、(B)一般式(1)で表される化合物と、を含有することを特徴とする。以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物を、単にインク組成物と称することもある。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用に好適に使用することができる。
以下、本発明のインク組成物に必須の成分について順次説明する。
本発明のインク組成物は、(B)一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
前記3級アルキル基は、好ましくは炭素数4以上12以下であり、炭素数4以上8以下であることがより好ましい。
前記3級アルキル基の具体例としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基などが挙げられ、より好ましくはt−ブチル基、t−ペンチル基であり、特に好ましくはt−ブチル基である。
X1はさらに置換基を有していてもよいが、有さないことが好ましく、すなわち炭素原子と水素原子のみからなる3級アルキル基であることが好ましい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R1a、R2a及びR3aの炭素原子の総数は、3〜11であり、3〜7であることがさらに好ましく、3〜4であることが特に好ましい。
本発明では、前記一般式(1A)におけるR1a、R2a及びR3aがメチル基であることが特に好ましい。
R1〜R10がアルキル基である場合、前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
R1〜R10がアルキル基である場合、前記アルキル基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
本発明では、一般式(1)におけるR1、R8、R9及びR10が水素原子であり、R2〜R7が各々独立に水素原子又はアルキル基であることが好ましく、R1、R8、R9及びR10が水素原子であり、R2〜R7のうち5つ以上が水素原子であることがさらに好ましく、R1〜R10の全てが水素原子であることが特に好ましい。
また、(B)成分は、1種で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明のインク組成物は重合開始剤を含有する。本発明における重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく挙げられる。光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を、重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。光には、活性エネルギー線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等が例示できる。
インク組成物における重合開始剤の好ましい含有量としては、0.1〜15質量%の範囲であることが好ましい。
また、(A)重合開始剤は、後述の必要に応じて用いることのできる(E)増感色素に対して、重合開始剤:増感色素の質量比で、200:1〜1:200、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、20:1〜1:5の範囲で含まれることが適当である。
本発明のインク組成物は、(A)重合開始剤とともに(B)一般式(1)で表される化合物を含有する。一般式(1)で表される化合物は重合性基近傍に嵩高い3級アルキル基が存在する。この一般式(1)で表される化合物を含有するインク組成物を使用することにより、記録媒体に吐出されたインク組成物を活性エネルギー線照射により硬化する際、重合がわずかに遅れ、次に吐出されるインク組成物と合一し、平坦化してから硬化することにより高い光沢が発揮されているものと考えられる。また、シクロヘキシル基の剛直さにより生成するポリマーのガラス転移温度が高くなり、高い硬化感度を発現しているものと考えられ、支持体近傍における硬化感度の向上は、密着性向上にも寄与していると考えられる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
本発明のインク組成物には、(B)成分に加えて、一般式(1)で表される化合物以外の(C)他の重合性化合物を含むことも好ましい。
本発明における他の重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン性重合性化合物のいずれであってもよいが、本発明では、ラジカル重合性化合物が好ましい。
2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、サイクリックトリメチルプロパンホルマールアクリレート(CTFA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)等のアクリル酸誘導体、
メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を含むインク組成物は疎水的になりやすく、プラスチック基材との密着性が劣る場合があるが、N−ビニル化合物によりこの問題を回避することが可能であると考えられる。
N−ビニル化合物の具体例としては、N−ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどが挙げられ、N−ビニルカプロラクタムが特に好ましい。
N−ビニル化合物の添加量は、インク組成物全量に対して、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
前記N−ビニル化合物は、下記一般式(2)の構造を有することが好ましい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
前記アルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜7であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等挙げられる。
前記アシル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜7であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、特に着色画像を形成することは必須ではないが、着色画像を形成しようとするときには着色剤を含有することができる。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、等が挙げられ、Pigment Yellow 120、155,180が好ましい。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7,28,26、等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、Pigment White 6,18,21、等が挙げられる。
これらの顔料は、目的に応じて適宜選択して使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えば、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えば、ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えば、ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(以上、オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、Neopen Yellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(以上、BASF社製)等である。
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で、分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
なお、本発明のインク組成物が、酸化チタン等の白色顔料を着色剤とする白色インク組成物である場合における着色剤の含有量は、隠蔽性を確保するために、インク組成物全体の質量に対して、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
<増感色素>
本発明のインク組成物には、重合開始剤の活性エネルギー線照射による分解を促進させるために増感色素を添加することができる。増感色素は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカルの生成を促進させるものである。
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感色素の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、さらに、その他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の質量に対し、例えば、0〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
本発明のインク組成物は、前記の如く、硬化性を有するものであり、このインク組成物による画像形成の手段には特に制限はなく、一般的な塗布法、転写法、インクジェット記録法などに適用することができる。本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として好適に使用しうるという特徴を有する。
以下、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として用いる場合の好ましい物性について説明する。
本発明の画像形成方法、及び該画像形成方法に適用しうるインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明の画像形成方法は、上記工程を含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを、例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの開始種を発生し、その開始種の機能により特定ヘテロ環式化合物や、所望により併用される他の重合性化合物の重合反応が起こり、促進されるためである。このとき、インク組成物においてラジカル重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、ラジカル重合開始剤と接触することによってその分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
更に、活性エネルギー線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示すものとする。
・NOVOPERM YELLOW 4G01(イエロー顔料、C.I.ピグメントイエロー155、クラリアントジャパン(株)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355D(マゼンタ顔料、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202との混晶、BASFジャパン(株)製)
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:4、BASFジャパン(株)製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、C.I.ピグメントブラック7、エボニック デグサ ジャパン(株)製)
・KRONOS 2300(ホワイト顔料、C.I.ピグメントホワイト6、クロノス社製)
・SOLSPERSE22000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE32000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE41000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・DISPERBYK−168(顔料分散剤、固形分30%、ビックケミー・ジャパン(株)製)
・NVC(重合性化合物、N−ビニルカプロラクタム、BASFジャパン(株)製)
・SR395(重合性化合物、イソデシルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・RAPI−CURE DVE−3(重合性化合物、トリエチレングリコールジビニルエーテル、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・SR339A(重合性化合物、2−フェノキシエチルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR9003(重合性化合物、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコール プロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR341(重合性化合物、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・シクロヘキシルアクリレート(重合性化合物、和光純薬(株)社製、後述の化合物1−1からt−Bu基を除いた化合物)
・Lucirin TPO(光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 819(光重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 184(光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製)
・FIRSTCURE ITX(増感色素、イソプロピルチオキサントン、ChemFirst Inc.製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、ChemFirst Inc.製)
<1−1の合成>
2−t−ブチルシクロヘキサノール(アルドリッチ(株)社製)78.0g(0.5mol)の酢酸エチル300mL溶液を0℃に冷却し、アクリロイルクロリド(和光純薬(株)社製)49.5g(0.55mol)を加えた。この溶液にトリエチルアミン(和光純薬(株)社製)60.7g(0.6mol)の酢酸エチル100mL溶液を内温を0〜10℃の範囲に保ちながら30分かけて滴下した後、 室温にて1時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを300mL追加し、水1Lを加えて分液し有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後固体をろ過した。この溶液に4−メトキシフェノール(和光純薬(株)社製)を0.1g加え、酢酸エチル溶液を減圧留去した後、減圧蒸留にて精製し、無色透明液体として化合物1−1を67g(0.32mol)得た。
シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック、ホワイトの各ミルベースを表1の組成にて混合し、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて10分撹拌した。その後、ビーズミル分散機DISPERMAT LS(VMA社製)に入れ、直径0.65mmのYTZボール((株)ニッカトー製)を用い、2,500回転/分で6時間分散を行った。
表2の成分を、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌した。その後、日本ポール(株)製カートリッジフィルター(製品名:プロファイルII AB01A01014J)を用いてろ過し、各色のインク組成物を得た。
イエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1及びホワイトインクW1よりなるインクセット1を富士フイルム(株)製UVインクジェットプリンターLuxelJet UV350GTWに装填し、クオリティモードで王子製紙(株)製コート紙(製品名OKトップコート+)上にテスト画像を印刷し、光沢性評価及び密着性評価を行った。結果を表6に示す。
コンポジットブラック(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各濃度100%設定)の光沢度をコニカミノルタセンシング(株)製光沢計(製品名GM−60)を用いて60°光沢を測定した。値が高いほど高光沢であり、鮮やかな印刷物が得られる。光沢性は20以上であれば合格であり、27以上であることが特に好ましい。
記録媒体との密着性はクロスハッチテスト(EN ISO2409)により評価し、ASTM法による表記5B〜1Bで表す。5Bが最も密着性に優れ、3B、4B、5Bは実用上問題のないレベルであると評価する。記録媒体にはポリ塩化ビニル製シート(Avery社製、Fasson 400)を用いた。実用上は3B以上であることが必要であり、4B以上であることが好ましい。
化合物1−1に代えて、シクロヘキシルアクリレート(和光純薬(株)社製、化合物1−1から t−Bu基を除いた化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
実施例1で用いたインクセットのうち、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクについて、化合物1−1を3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレートに、NVCをActilane421に、SR395をPhotomer2017に変更し、それぞれの添加量を表3のように変更した以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
NVC 13.8質量部の全量を、SR395に置き換えた以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
実施例1で用いたインクセットのうち、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクについて、化合物1−1、NVC、SR395の割合を表4のように変更し、それ以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
実施例1で用いたインクセットのうち、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクについて、化合物1−1、NVC、SR395の割合を表5のように変更し、それ以外は実施例1と同様にして評価を行った。
実施例1で用いたインクセットに含まれる(C)他の重合性化合物である、SR9003、SR339A(以上ミルベース調整に使用)、NVC、SR395、SR341,DVE3をすべて化合物1−1に変更し、それ以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
化合物1−1に代えて、1−2を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。なお化合物1−2は、対応するアルコールから1−1と同様の手法にて合成した。
化合物1−1に代えて、1−4を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。なお化合物1−4は、対応するアルコールから1−1と同様の手法にて合成した。
硬化性は、触感による印刷物表面のべたつきと、印刷物を重ねて1日放置した時の画像部の転写の有無を下記基準で評価した。実用上は○以上であることが必要であり、◎であることが好ましい。
◎:印刷物表面にべたつきは全く無く、転写も無かった。
○:印刷物表面が僅かにべたついているが、転写は無かった。
△:印刷物表面にべたつきがあり、僅かに転写が生じた。
×:印刷物表面が非常にべたついており、酷い転写を生じた。
Claims (11)
- (A)重合開始剤と、
(B)下記一般式(1)で表される化合物と、
を含有する活性エネルギー線硬化型インク組成物。
(式中、X1は3級アルキル基を表し、R1〜R10は各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。) - 前記一般式(1)における3級アルキル基が下記一般式(1A)である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
(式中、R1a、R2a及びR3aは各々独立にアルキル基を表し、R1a、R2a及びR3aの少なくとも2つが互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R1a、R2a及びR3aに含まれる炭素原子の総数は3以上11以下である。*は結合位置を表す。) - 前記一般式(1)におけるX1がt−ブチル基である、請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記一般式(1)におけるR1、R8、R9及びR10が水素原子である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化型インク組成物における前記(B)一般式(1)で表される化合物の含有量が、25〜60質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- さらに前記(B)以外の重合性化合物である(C)他の重合性化合物を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記(C)他の重合性化合物としてN−ビニル化合物を含む、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- さらに(D)着色剤を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- インクジェット記録用である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 記録媒体上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程、及び吐出された活性エネルギー線硬化型インク組成物に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する工程、を含む画像形成方法。
- 前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程が、インクジェット法により活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する工程である、請求項10に記載の画像形成方法。
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