以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
図1は、第1実施形態に係わるデジタルカメラの主として電気回路を示すブロック図である。このデジタルカメラのレンズ1は、複数の光学レンズから構成され、被写体光束を集光し、撮像部2内の撮像素子2aの上に被写体像を形成する。このレンズ1は、後述するAF制御部11によってレンズ1の光軸上を移動し、自動焦点調節を行うことができる。また、レンズ1は、絞りを有しており、この絞りは後述する絞り制御部12によって絞り口径が調節され、撮像素子2aに到達する被写体光量が制御される。
レンズ1の後方に撮像部2が配置されている。撮像部2は、撮像素子2a、読出制御部2b等を有しており、撮像素子2aは前述したように、レンズ1の光軸上に配置されている。撮像素子2aはCMOSセンサから構成され、画素が2次元的に配列され、画素を構成する光電変換部によって被写体像を信号電荷に変換し、この信号電荷が蓄積される。
読出制御部2bによって信号電荷の蓄積、読み出し、増幅等の制御がなされる。本実施形態においては、レリーズ釦が操作されると、まず第1の露光を行い、第1の露光が終了すると第2の露光を行う。読出制御部2bは、第1の露光において露光制御された光電変換部の第1の信号電荷、および第2の露光において露光制御された光電変換部の第2の信号電荷をそれぞれ読み出す。撮像素子2aから読み出され,AD変換された画像データは、画像処理部3に出力される。
画像処理部3は、第1画像処理部3aおよび画像処理部3bを有し、撮像部2から画像データを入力し、種々の画像処理を行う。第1画像処理部3aは、画像データをメモリカードに記録するための記録用画像処理を行う。第2画像処理部3bはライブビュー表示や記録画像の再生表示のために、表示用画像処理を行う。
表示部4は、デジタルカメラの背面等に配置された液晶モニタ、有機ELモニタ等のモニタを有し、第2画像処理部3bによって処理された画像データを入力し、ライブビュー表示や再生表示等を行う。
メモリカード5は、デジタルカメラに内蔵もしくは装填可能な記録媒体であり、第1画像処理部3aによって処理された画像データを入力し、記録する。また、記録された画像データは読出しが可能であり、読み出された画像データは第2画像処理部3bによって処理され、表示部4に再生表示される。
AF評価値演算部6は、撮像部2から出力された画像データを入力し、AF評価値を演算する。AF評価値は、AF評価領域の画像データの高周波成分等に基づいて算出し、このAF評価値は、レンズ1のピントの合焦度合いを示す。AF評価値演算部6は、AF評価値を後述するカメラ制御部16に出力する。
撮像部温度検出部7は、撮像部2の近傍に配置され、温度によって変化する電圧、電流等の電気信号を出力するサーミスタ等のセンサを有し、この電気信号をカメラ制御部16に出力する。
露光制御部8は、カメラ制御部16からの制御信号に基づいて、撮像部2における露光制御を行う。露光制御部8は、第1の露光制御及び第2の露光制御において、撮像素子2aの暗電流や光信号に固有の影響を与えるパラメータの少なくとも1つを変更して、撮像素子2aの光電変換部の露光を制御する。本実施形態においては、暗電流成分に影響するパラメータの1つとして、後述するフォトダイオード(PD)24のリセット電圧を制御する。その他、撮像素子2aの露光時間、絞り、基板電圧、温度等の制御も可能である。
ゲイン変更部9は、カメラ制御部16からの制御信号に基づいて、撮像部2における画像信号の増幅率(ゲイン、感度)の制御を行う。
手振れ補正部10は、手振れを打ち消すように、撮像部2内の撮像素子およびレンズ1を移動させる。すなわち、後述する手振れ検出部13からの手振れ検知信号に基づいて、カメラ制御部16は手振れ補正制御信号を手振れ補正部10に出力する。手振れ補正部10は、手振れ補正制御信号に基づいて、手振れを打ち消すように、レンズ1および撮像素子を駆動する。なお、本実施形態においては、手振れ補正部10は、レンズ1および撮像部2内の撮像素子を駆動しているが、いずれか一方だけでも構わない。
AF制御部11は、レンズ1のピント合わせのための自動焦点調節を行う。前述したように、AF評価値演算部6から出力されるAF評価値がピークとなるように、AF制御部11はレンズ1を光軸方向に駆動する。
絞り制御部12は、カメラ制御部16からの制御信号に基づいて、レンズ1内の絞りの開口径を制御する。これによって、撮像部2内の撮像素子に入射する被写体光量を調節し、適正露光とすることが可能となる。
手振れ検出部13は、角速度センサ、加速度センサ、ジャイロ、6軸センサ等のセンサを有し、デジタルカメラに加えられたブレに応じた手振れ検知信号を検出し、カメラ制御部16に出力する。カメラ制御部16は、この手振れ検知信号に基づいて、手振れ補正制御信号を出力する。
カメラ操作部14は、パワースイッチ、レリーズ釦、メニュー釦、十字釦、OK釦、再生釦等の操作部材を有し、この操作部材の操作状態を検知して、カメラ制御部16に出力する。カメラ制御部16は、操作部材の操作状態に応じて、カメラ制御を行う。
フラッシュROM15は、電気的書き換え可能な不揮発性メモリであり、デジタルカメラを動作させるためのプログラムが記憶されている。また、フラッシュROM15は、撮像素子2aの暗電流成分に影響するパラメータを変更する前後の光電変換部の暗電流成分の比を記憶している。その他、カメラ制御を行うための調整値も記憶している。
カメラ制御部16は、フラッシュROM15に記憶されたプログラムに従って、デジタルカメラ全体を制御する。また、カメラ制御部16は、上述の第1の露光の際に得られた第1の信号電荷、第2の露光の際に得られた第2の信号電荷に関する情報を画像処理部3より入力し、またフラッシュROM15に記憶された暗電流成分の比を読出し、撮像素子2aの画素の暗電流成分を演算し、第1の信号電荷から暗電流成分を補正する暗電流補正部としての機能を果たす。
次に、撮像部2内の撮像素子の1画素分の構成について、図2を用いて説明する。フォトダイオード(PD)24は光電変換部であり、被写体像の1画素分の輝度に応じた信号電荷を発生する。PD24のアノードは接地され、カソードは転送用トランジスタ23およびリセット用トランジスタ22を介して電源VDDpixに接続されている。
転送用トランジスタ23のゲート部は信号TX1に接続され、リセット用トランジスタ22のゲート部は信号RESに接続されている。また、PD24のカソードは、PDリセット用トランジスタ21を介して電源VDDpixに接続されている。転送用トランジスタ23は、PD24に発生した信号電荷を後述するフローティングディフュージョン25に転送する際のスイッチング用トランジスタである。また、リセット用トランジスタ22は、フローティングディフュージョン25のリセット用のスイッチングトランジスタである。
転送用トランジスタ23とリセット用トランジスタ22の接続点には、フローティングディフュージョン25の一端と、増幅用トランジスタ27のゲート部が接続されている。フローティングディフュージョン25の他端は接地されており、PD24によって発生した信号電荷(光電変換信号)を一時的に保持する。増幅用トランジスタ27は、フローティングディフュージョン25に一時保持された光電変換信号の増幅を行う。
増幅用トランジスタ27の一端は、選択用トランジスタ26介して電源VDDに接続されており、他端は、読み出し用端子OUTと定電流源28に接続されている。定電流源28の他端は接地されている。選択用トランジスタ26は、フローティングディフュージョン25に一時保持された信号電荷(光電変換信号)の読出し時にオンとなり、このとき、読み出し用端子OUTから、被写体像の1画素分の光電変換信号が出力される。
次に、本実施形態における暗電流のキャンセルの動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示すフローチャートは、フラッシュROM15に記憶されているプログラムに従って、カメラ制御部16が実行する。
デジタルカメラがスタートすると、撮像部2から出力される画像データに基づいて、表示部4にライブビュー表示を行う。撮影者がライブビュー表示を観察し、構図を決めると、カメラ操作部14の内のレリーズ釦を操作して、撮影を開始する(S1)。
レリーズ釦が操作され、撮影を開始すると、PD24によって2枚の画像を取得し、減算処理によって暗電流をキャンセルするモードか否かの判定を行う(S3)。このPD2枚暗電流キャンセルモードは、カメラ操作部14の内のメニュー釦を操作することにより、メニュー画面を表示させ、この画面の中で設定する。勿論、専用の操作部材を設ける等、他の設定方法により、PD2枚暗電流キャンセルモードを設定するようにしても構わない。
ステップS3における判定の結果、PD2枚暗電流キャンセルモードが設定されていなかった場合には、通常シーケンスを実行する(S7)。通常シーケンスでは、PD24によって1回光電変換動作を行い、このときの光電変換信号を読み出して、画像データを生成し、メモリカード5に記録する。
一方、ステップS3における判定の結果、PD2枚暗電流キャンセルモードが設定されていた場合には、次に、2枚減算処理シーケンスを実行する(S5)。ここでは、電源VDDpixに4.2Vの電圧を印加した状態でPD24に1回目の露光を行い、露光時間経過後に撮像素子2aから光電変換信号を読み出す。続いて、電源VDDpixに3.8Vを印加した状態でPD24に2回目の露光を行い、露光時間経過後に光電変換信号を読み出す。読み出された1回目と2回目の光電変換信号を減算処理することにより、暗電流がキャンセルされた画像データを取得することができる。ステップS5またはS7のシーケンスを実行すると、暗電流キャンセルのための処理を終了する。
次に、ステップS5における2枚減算処理シーケンスについて、図4に示すタイミングチャートを用いて説明する。図4において、VDは垂直同期信号のタイミングを示し、センサ動作は撮像素子2aの動作を示す。ここで、リセット(Reset)読出しのタイミングでは、信号電荷(光電変換信号)の一時保持用のフローティングディフュージョン25のリセットを行ってリセット状態を読み出し、読み出しのタイミングでは、PD24に蓄積されフローティングディフュージョン25に転送された信号電荷(光電変換信号)を順次選択用トランジスタ25をオンとすることにより読み出す。
また、図4において、信号RESはリセット用トランジスタ22のゲート部に印加するタイミングを示す。信号TX1は転送用トランジスタ23のゲート部に印加するタイミングを示し、信号TX1がHレベルの時に転送用トランジスタ23はオンとなる。信号TX2はPDリセット用トランジスタ21のゲート部に印加するタイミングを示し、信号TX2がHレベルの時にPDリセット用トランジスタ21はオンとなる。PDリセット用トランジスタ21がオフとなると、撮像素子2aは露光となり、信号電荷の蓄積を行う。
次に、図4に沿って、撮像部2の2枚減算処理シーケンス処理を説明する。まず、時刻T01〜T02において、フローティングディフュージョン25をリセットするリセット用トランジスタ22を介して、順次リセットするとともに、行を選択する選択用トランジスタ26が行ごとに順次オンする。選択用トランジスタ26がオンすると、リセットされた後のフローティングディフュージョン25の電圧は、増幅用トランジスタ27によって増幅され読出し用端子OUTを介して出力され、リセット読み出しが行われる。
時刻T03になると、信号TX2はLレベルとなることから、PDリセット用トランジスタ21はオフとなり、PD24は信号電荷の蓄積を開始する。すなわち、時刻T03以前においてPDリセット用トランジスタ21がオンであることから、PD24には電源VDDpixの4.2Vの電圧が印加されている。時刻T03においてPDリセット用トランジスタ21がオフとなると、電源VDDpixの印加が遮断され、PD24は被写体光によって発生した信号電荷によって、4.2Vから次第に電圧が低下する。
所定の露光時間(蓄積時間)が経過し、時刻T04になると信号TX1はHレベルとなり、転送用トランジスタ23がオンとなる。このため、PD24に蓄積された信号電荷(光電変換信号)は、転送用トランジスタ23を介して、フローティングディフュージョンであるフローティングディフュージョン25に転送される。
時刻T05〜T06において、読み出しの際に行を選択する選択用トランジスタ26が行ごとに順次オンする。選択用トランジスタ26がオンすると、フローティングディフュージョン25に一時保持された光電変換信号は、増幅用トランジスタ27によって増幅され、この増幅された光電変換信号は読み出し用端子OUTを介して出力される。この読み出し信号と既に読み出されたリセット読み出し信号との差分をとることでKTCノイズをキャンセルした1枚の画像が得られる。これは図2に示した画素構造における信号読出しの基本動作になる。時刻T06〜T07において、時刻T01〜T02と同様に、リセット読み出しがなされる。
1回目の露光が終了し、時刻T04以降、電源VDDpixは、4.2Vから3.8Vに降下する。時刻T05において信号TX2がオンになることから、PD24にはリセット電圧として3.8Vが印加される。時刻T08になると、信号TX2は再びLレベルとなることから、PDリセット用トランジスタ21はオフとなり、PD24は2回目の信号電荷の蓄積を開始する。
所定の露光時間が経過し、時刻T09になると信号TX1は再びHレベルとなり、転送用トランジスタ23がオンとなる。このため、PD24に蓄積された信号電荷(光電変換信号)は、転送用トランジスタ23を介して、フローティングディフュージョン25に転送される。2回目の電荷蓄積が終了すると、時刻T10〜T11において読出しを行う。
このように、本実施形態においては、PD2枚暗電流キャンセルモードが設定されている状態で、レリーズ釦が操作されると、PD24に印加する電源VDDpixを異ならせて、すなわちPDリセット電圧を異ならせて、同一被写体に対して2枚の画像信号を取得する。ここで取得した2枚の画像信号の減算演算を行うことにより、暗電流のキャンセルを行う。
次に、図5および図6を用いて、暗電流のキャンセルについて説明する。図5は、図4において暗電流のキャンセルに関与する部分について詳細に示したタイミングチャートであり、PD24への入射光輝度、電源VDDpix、およびPD24の光電変換信号Vpd(電圧)を追加して示す。PD24に入射する輝度は、2枚の画像の撮影中も一定輝度であり、遮光されることがない。
時刻T03〜T04における1回目の露光を行うと、PD24の光電変換信号Vpdは次第に信号電荷のために低下していく。この例では、露光時間は4秒とする。光電変換信号Vpd(出力A)は、光信号に暗電流Aの成分を加算したものである。また、時刻T08〜T09において2回目の露光を行うと、PD24の光電変換信号Vpdは、次第に光信号のために低下していく。2回目の露光時間は、1回目の露光時間と同じとする(4秒間)。この光電変換信号Vpd(出力B)は、光信号に暗電流Bの成分を加算したものである。
暗電流がキャンセルされた画像信号を得るには、出力Aから暗電流Aを減算すればよい。本実施形態においては、リセット電圧を異ならせて2枚の光電変換信号Vpdを得ることにより、暗電流Aを求めている。
すなわち、暗電流はリセット電圧(VDDpix)に依存性を有している。図6において、横軸はリセット電圧(VDDpix)であり、縦軸は暗電流であり、また蓄積時間4秒の際の暗電流の変化を示す。この例では、リセット電圧(VDDpix)を4.2Vとすると、暗電流Aであり、また、リセット電圧を3.8Vとすると、暗電流Bとなる。
従って、リセット電圧を変化させて、出力Aおよび出力Bを求め、予め測定した暗電流Aと暗電流Bの比を用いることにより、暗電流Aを演算することができる。すなわち、下記(1)式より、暗電流Aを求めることができる。なお、(1)式では、リセット電圧として、図5の例に従って、3.8Vと4.2Vとしている。
暗電流A=(出力A−出力B)/{1−f(VDDpix3.8V)/f(VDDpix4.2V)} ・・・(1)
ここで、f(VDDpix3.8V)/f(VDDpix4.2V)は、リセット電圧の関数であり、工場出荷前に個々の画素毎に測定し、フラッシュROM16に記憶しておく。暗電流Aが求まると、次に、光信号(補正された光電変換信号)を、下記(2)式より求めることができる。
光信号=出力A−暗電流A ・・・(2)
全画素について、(1)(2)式を用いて、光信号(光電変換信号)を演算すると、補正後の被写体の画像データを得ることができる。画素毎にf(VDDpix3.8V)/f(VDDpix4.2V)は異なり、全画素に対して、この補正値を記憶することにより、補正演算の精度を向上させることができる。しかし、補正値自体の分布はある限られた範囲に分布するため、補正値を適度にランク分けして、各画素の補正値はどのランクの補正値を使用するかを記憶するようにすれば、処理の簡素化や記憶用に確保しなければならないフラッシュROMの容量を削減することが可能となる。
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、PD24に印加するリセット電圧VDDを異ならせることにより、暗電流を変化させて2回撮影を行い、このときの出力A、出力Bを用いて、暗電流を求めている。このため、撮像素子2aを遮光する必要がなく、露光したままでも、暗電流を求め、暗電流をキャンセルした光信号(光電変換信号)を取得することが可能となる。
なお、第1実施形態においては、1回目の露光の際に、リセット電圧としてVDDpix=4.2V、2回目の露光の際に、VDDpix=3.8Vを印加していた。しかし、この電圧は例示であり、この値とは異なる電圧をリセット電圧して印加するようにしても勿論かまわない。この点については、後述する第2実施形態についても同様である。
また、第1実施形態においては、1回目と2回目の露光時間を4秒としたが、これは例示であり、被写体輝度等により、適宜、適正露光となる露光時間を選択すればよい。この点については、後述する変形例についても同様である。
次に、本発明の第1実施形態において、暗電流を変化させるための変形例について、説明する。本発明の第1実施形態においては、暗電流を変化させるために、PD24のリセット電圧を変えていた。これ以外にも、暗電流は、基板電圧依存性があり、また温度依存性がある。そこで、第1変形例においては、基板電圧を1回目の露光と2回目の露光で異ならせ、また第2変形例においては、撮像素子の温度を1回目の露光と2回目の露光で異ならせている。
図7は、Nタイプの撮像素子2aの1画素分の基板断面図である。図7に示す撮像素子2aはN型基板に形成されており、PDはn−領域として形成されたフォトダイオードである。その配線層側にはp領域が形成され、これにより埋め込み型として形成され、暗電流を少なくすることが可能となっている。FDは、光電変換部PDと所定の間隔を離してn+領域として形成されたフローティングディフュージョンである。このn+領域は、信号線Maへ接続されており、信号線Maは増幅用トランジスタ27のゲート電極へ接続されるようになっている。
PDとFDとの間の基板表面にはゲート電極が形成され、トランジスタMtx1が構成されている。このトランジスタMtx1は、転送用トランジスタ23であり、そのゲート電極は、信号線TX1に接続されている。さらに、信号蓄積部FDを構成するn+領域から所定の間隔を離した位置に、他のn+領域が形成されており、このn+領域にVDDpixが接続されている。そして、これら2つのn+領域の間の基板表面にゲート電極が形成されて、トランジスタMrが構成されている。このトランジスタMrはリセット用トランジスタ22であり、そのゲート電極は、信号線RESに接続されている。
なお、図7に示していないが、PDとVDDpixが接続されているn+領域との間には、ゲート電極が形成され、トランジスタMtx2が構成されている。このトランジスタMtx2は、PDリセット用トランジスタ21であり、そのゲート電極は、信号線TX2に接続されている。N型基板には基板電圧が印加される。この基板電圧を変えることで暗電流の発生量が変化する。これは、PD周辺の電界が変化することによる。
この特性を利用して、第1実施形態とほぼ同様の考え方で暗電流を検出することが可能となる。つまり、1回目の露光と2回目の露光でN型基板の基板電圧を異ならせ、本発明の第1実施形態と同様、予め基板電圧の変化に応じた暗電流の比に応じた補正値をフラッシュROM15に記憶しておき、この補正値を用いて暗電流Aを求め、光信号(光電変換信号)を演算すればよい。
図8は、暗電流を変化させる第2変形例に関し、撮像素子2aの温度を制御する例を示す。本変形例においては、撮像素子2aの温度上昇は、画素の光信号(光電変換信号)の読み出し時に発生する熱を利用する。このため、実際には光信号を読み出さない空読み出しを繰り返し行い、撮像素子2aの温度上昇を図っている。
ここで空読み出しとはPDやFDの電荷や電圧の状態に全く影響を与えないように、つまり何らセンサ内の信号情報を破壊することなく、読み出し動作を行うことである。これは、図2におけるリセット用トランジスタ22、転送用トランジスタ23のトランジスタをオフしたまま、それ以外の読み出し動作を行う等の方法で比較的簡単に実現できるものである。また、フォトダイオードPDに発生する暗電流は温度依存性があり、例えば、8°C上昇で暗電流は2倍になるといった特性を持っている。
この特性を利用して、第1実施形態と同様の考え方で暗電流を検出することが可能になる。つまり、図8において、時刻T03〜T04の間に1回目の露光を行う。このときは、露光中に空読み出しを行わない。時刻T05〜T07の間、光信号(光電変換信号)の読み出し動作を行うことから、撮像素子2aの温度は上昇する。
時刻T08〜T09の間は、2回目の露光である。2回目の露光にあたっては、空読み出しのオンオフ動作を繰り返すことにより、撮像素子2aの温度を急速に上昇させる。この温度上昇にあたっては、2通りのやり方がある。タイプ1として、図8に示すように、垂直同期信号VDに同期して空読み出しオンと空読み出しオフを繰り返す。このタイプでは、空読み出しオンの際には温度が上昇し、空読み出しオフの際には温度が低下する。また、タイプ2として、垂直同期信号VD内できめ細かい制御を行う。タイプ2では、図8に示すように、垂直同期信号VD内で空読み出しオンとオフを繰り返す。これは例えば図示していない水平同期信号HD単位でのオンとオフの繰り返しを行うことで実現できる。空読み出しのオン、オフ自体は撮像部温度検出部7によって撮像素子2a周辺の温度を測定して制御する。
このように、2回目の露光の際には、露光中に空読み出しを行うことにより、急速に撮像素子2aの温度を上昇させることができる。1回目の露光において、例えば、平均30°C程度であれば、2回目の露光においては、平均50°C程度に、温度を上昇させる。図示の例では、2回目の露光中において温度を、47°C〜52°Cの間で保つように空読み出しを行う。これによって、露光中に発生する暗電流は平均として50°Cで発生する暗電流相当にすることになる。時刻T10〜T11の間は、実際に光信号を読み出すことから、図8に示すように、撮像素子2aの温度が上昇する。
本発明の第1実施形態の第2変形例においては、1回目の露光と2回目の露光で撮像素子2aの温度を変化させ、本発明の第1実施形態と同様、予め撮像素子2aの温度変化に応じた暗電流の比に応じた補正値をフラッシュROM15に記憶しておき、この補正値を用いて暗電流Aを求め、光信号(光電変換信号)を演算すればよい。また、1回目の露光と2回目の露光の際には、撮像部温度検出部7によって撮像素子2a周辺の温度を測定し、所定の温度となるように制御する。
なお、本変形例においては、1回目の露光時には30°C、2回目の露光時の平均温度を50°Cとしたが、これは例示であり、周囲の環境に応じて異なる値としてもよい。また、撮像素子2aの温度は、周囲の環境によって異なることから、複数の温度に対する暗電流の比に応じた補正値を記憶しておき、撮像部温度検出部7によって撮像素子2aの温度を測定し、適切な補正値を選択するようにすればよい。また、2回目の露光の最中に温度上昇を開始させた例を示したが、露光前に平均50°C程度の温度に安定させ、その後に2回目の露光を開始することで検出精度を向上させる方法をとることも可能である。
次に、本発明の第1実施形態の第3変形例について、図9を用いて説明する。上述した実施例や変形例は、1回目の露光と2回目の露光のパラメータを変更することにより、暗電流成分を変化させていた。絞りのみを変更した場合には、暗電流は変化せず、光信号のみが変化する。そこで、第3変形例においては、絞り変更のみを行うことにより、光信号と暗電流を分離し、光信号を決定し、これに基づいて、補正した光信号を算出するようにしている。この補正を行うために、フラッシュROM15には、1回目の露光と2回目の露光の際に、絞りを変更したことに基づく光信号成分の比に関する情報を、予め記憶しておく。
本変形例における撮像素子における処理は、図5に示した撮像素子における暗電流のキャンセルのタイミングチャートを、図9に示すタイミングチャートに変更するだけである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図9に示すタイミングチャートにおいて、時刻T03〜T08までは、図5に示した第1実施形態の場合と同様である。すなわち、時刻T03〜T04の間で、1回目の露光が行われ、このときの露光時間は図示の例では4秒間であり、また絞り値F=2である。ただし、第1実施形態では絞りがいくつかは言及していなかった(シーケンス内で絞りを変えることはなかった)。しかし、本変形例では1回目の露光中の絞りはF=2とする。露光中は、光信号Aおよび暗電流Aが蓄積され、PD24の出力Aは次第に低下する。時刻T04において1回目の露光が終了すると、図4を用いて説明したように、出力Aの読み出しが行われる。
時刻T08になると、2回目の露光が開始する。このときの露光時間は、第1実施形態と同様、4秒間である。しかし、第1実施形態とは異なり、リセット電圧は1回目の露光と2回目の露光では同じであり、また、絞り値はF=4に絞り込む。このため、2回目の露光中は、暗電流Bは1回目の暗電流Aと同じであるが、光信号は絞り値がF=2からF=4に変わることから、1回目の1/4となる。
1回目と2回目の露光の際に得た、出力Aおよび出力Bを用いて、暗電流分を補正した光信号を、下記(3)〜(4)式より求めることができる。
光信号=(出力A−出力B)/{1−f(F4)/f(F2)} ・・・(3)
=(出力A−出力B)×4/3 ・・・・・・・・・・・・・・・(4)
このように、本変形例においては、1回目の露光と2回目の露光の際に、絞り値を変化させることにより、暗電流成分は変化させず、光電流成分のみを変化させている。そして、1回目と2回目の露光の際に得た、出力Aおよび出力Bを用いて、暗電流分を補正した光信号を得ることができる。なお、本実施形態においては、1回目の露光時の絞り値をF=2とし、2回目の露光時の絞り値をF=4としたが、これは例示であり、異なる絞り値を用いてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について、図10を用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、暗電流を異ならせるためのパラメータ(例えば、PD24のリセット電圧、基板電圧、温度、絞り値)のみを変更し、それ以外は一定のままで変更することはなかった。それに対して、第2実施形態においては、撮像素子2aの暗電流成分に影響するパラメータを変化させると共に、露光制御部8によって1回目露光と2回目の露光における露光時間を異ならせている。
1回目の露光に対して2回目の露光の露光時間を変更すると、暗電流および光電流(光電変換信号)に対しても完全に同等に変更される。例えば、2回目の露光の露光時間を半分にすると、暗電流および光電流も完全に半分になる。2回目の露光の露光時間が半分の場合における暗電流Aを求める演算式は、下記(5)式となる。
暗電流A=(出力A−出力B×2)/{1−f(VDDpix3.8V)/f(VDDpix4.2V)} ・・・(5)
2回目の露光時間が1回目の半分でない場合には、1回目と2回目の露光時間の比に応じた係数で乗算すればよい。暗電流Aが求まると、前述の(2)式を用いて、暗電流Aをキャンセルした光信号(光電変換信号)を算出できる。
なお、PD24のリセット電圧を変更する方法では飽和レベルが減るが、この露光時間を変更する方法では、飽和レベルが減ってしまうという不都合を回避することができる。すなわち、露光時間を変更する方法では、飽和レベルに対する余裕度を増やすことができる。
本実施形態における構成は、第1実施形態の場合と同様であり、図5に示した撮像素子における暗電流のキャンセルのタイミングチャートを、図10に示すタイミングチャートに変更するだけである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図10に示すタイミングチャートにおいて、時刻T03〜T08までは、図5に示した第1実施形態の場合と同様である。すなわち、時刻T03〜T04の間で、1回目の露光が行われ、このときの露光時間は図示の例では4秒間であり、また露光前のPD24のリセット電圧は4.2Vである。露光中は、光信号および暗電流Aが蓄積され、PD24の出力Aは次第に低下する。時刻T04において1回目の露光が終了すると、図4を用いて説明したように、出力Aの読み出しが行われる。
時刻T08になると、2回目の露光が開始する。露光前のPD24のリセット電圧は3.8Vであり、また露光時間は1回目の露光時間の半分である2秒間である。露光時間が半分になることから、暗電流はリセット電圧3.8Vに対応する暗電流Bの半分となり、また光信号も半分となる。このため、リセット電圧3.8Vに対応する飽和レベルBに比較し、出力Bの余裕度が大きくなる。
このように、本発明の第2実施形態においては、2回目の露光の際にPD24のリセット電圧等、暗電流を変化させるパラメータを1回目とは異ならせると共に、露光時間も1回目と2回目で異ならせている。このため、2回目の露光の際に遮光する必要がなく、また、2回目の露光の際のPD24の出力が、リセット電圧変更により低下した飽和レベルBに対して余裕度をとることができ、さらに、2回目の露光時間が1回目の露光時間の半分になっているため、全体のシーケンス時間が短くなる効果がある。
なお、第2実施形態においては、1回目の露光時間を4秒とし、2回目の露光時間を2秒とした。しかし、この時間は例示であり、1回目の露光時間を適正露光になる時間等とし、2回目の露光時間を、1回目の露光時間より少ない時間を適宜選択すればよい。
次に、本発明の第2実施形態の変形例について、図11および図12を用いて説明する。第2実施形態においては、暗電流を異ならせるためのパラメータを変更すると共に、1回目の露光と2回目の露光において露光時間を異ならせていた。第1及び第2変形例においては、絞りまたは感度を変更するようにしている。
図11は、第2実施形態の第1変形例に係わるタイミングチャートを示しており、この第1変形例では、1回目の露光と2回目の露光において絞り値を異ならせている。なお、絞り値は、カメラ制御部16からの指示に従って絞り制御部12が制御する。絞りを変化させる場合には、暗電流は変化させず、光信号のみを減らすことができる。このため、PD24のリセット電圧の変更によって飽和レベルが減る不都合を回避することができる。また、検出対象である暗電流が減らずに済むことから、検出精度を向上させることができる。
1回目の露光の際の絞り値がF=2、2回目の露光の際の絞り値がF=4とすると、光量は1/4となる。この場合、暗電流Aを求める演算式は、下記(6)式となる。
暗電流A=(出力A−出力B×4)/{1−f(VDDpix3.8V)×4/f(VDDpix4.2V)} ・・・(6)
2回目の露光の絞りによって総光量が1回目の1/4に減少しない場合には、1回目と2回目の総光量の比に応じた係数で乗算すればよい。暗電流Aが求まると、前述の(2)式を用いて、暗電流Aをキャンセルした光信号(光電変換信号)を算出できる。第2実施形態の場合と同様、PD24のリセット電圧を変更する方法では飽和レベルが減るが、この絞り値を変更する方法を追加することにより、飽和レベルが減ってしまうという不都合を回避することができる。
図11に示すタイミングチャートにおいて、時刻T03〜T08までは、図5に示した第1実施形態の場合と同様である。すなわち、時刻T03〜T04の間で、1回目の露光が行われ、このときの露光時間は図示の例では4秒間であり、絞り値はF=2であり、また露光前のPD24のリセット電圧は4.2Vである。露光中は、光信号および暗電流Aが蓄積され、PD24の出力Aは次第に低下する。時刻T04において1回目の露光が終了すると、図4を用いて説明したように、出力Aの読み出しが行われる。
時刻T08になると、2回目の露光が開始する。露光前のPD24のリセット電圧は3.8Vであり、また絞り値はF=4に絞り込まれ、露光時間は1回目の露光時間と同様4秒間である。絞り値が半分になることから、光電流は1回目の露光の1/4となり、暗電流は1回目の露光と同等となる。このため、1回目の露光(リセット電圧3.8V)における飽和レベルBに比較し、出力Bの余裕度が大きくなる。
このように、本発明の第2実施形態の第1変形例においては、2回目の露光の際にPD24のリセット電圧等、暗電流を変化させるパラメータを1回目とは異ならせると共に、絞り値を1回目と2回目で異ならせている。このため、2回目の露光の際に遮光する必要がなく、また、2回目の露光の際のPD24の出力が飽和レベルBに対して余裕度を大きくとることができる。
なお、本変形例においては、1回目の露光の際にF=2、2回目の露光の際にF=4としていたが、これは例示であり、異なる絞り値を適宜選択してもよい。
図12は、第2実施形態の第2変形例に係わるタイミングチャートを示しており、この第2変形例では、1回目の露光と2回目の露光において撮像素子の感度を異ならせている。感度は、カメラ制御部16からの指示に基づいてゲイン変更部9が制御する。これまでの実施形態では感度がいくつかは言及していなかった(シーケンス内で感度を変えることはなかった)。感度を高くすることにより、蓄積時間を伸ばさずに、光信号と暗電流を増幅することができる。ゲイン変更部9によって撮像素子内の飽和レベルを疑似的に増加させることに相当する。図12に示す例では、2回目の露光の露光時間を短くすると共に、感度を高くしている。
1回目の露光の際の感度が1、2回目の露光の際の感度が×2とし、また露光時間を半分にした場合、暗電流Aを求める演算式は、下記(7)式となる。
暗電流A=(出力A−出力B)/{1−f(VDDpix3.8V)/f(VDDpix4.2V)} ・・・(7)
2回目の露光の露光時間および感度によって出力が1倍とならない場合には、1回目と2回目の出力の比に応じた係数で乗算すればよい。暗電流Aが求まると、前述の(2)式を用いて、暗電流Aをキャンセルした光信号(光電変換信号)を算出できる。第2実施形態の場合と同様、PD24のリセット電圧を変更する方法では飽和レベルが減るが、この感度を変更する方法を追加することにより、飽和レベルが減ってしまうという不都合を回避することができる。
図12に示すタイミングチャートにおいて、時刻T03〜T08までは、図5に示した第1実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。ただし、感度(センサゲイン)は、時刻T03〜T04の間では、×1倍である。
時刻T08になると、2回目の露光が開始する。露光前のPD24のリセット電圧は3.8Vであり、また感度は×2倍と高くなり、露光時間は1回目の露光時間の半分である2秒間である。露光時間が半分になるが、感度が2倍になることから、暗電流Bは1倍であり、光信号も1倍となる。
なお、本変形例においては、1回目の露光の際に感度(ゲイン)=1、2回目の露光の際に感度(ゲイン)=×2としていたが、これは例示であり、異なる感度や異なるシャッタ速度を適宜選択してもよい。
このように、本発明の第2実施形態の第2変形例においては、2回目の露光の際にPD24のリセット電圧等、暗電流を変化させるパラメータを1回目とは異ならせると共に、露光時間および感度も1回目と2回目で異ならせている。このため、2回目の露光の際に遮光する必要がない。また、暗電流Bも増幅されることから、暗電流の検出レベルが高くなり、2回目の露光時間が1回目の露光時間の半分になっているため、全体のシーケンス時間が短くなる効果がある。
なお、撮像素子の暗電流成分には、電圧敏感性成分としてのリセット電圧敏感成分や基板電圧敏感成分と温度敏感性成分があり、特定のパラメータに敏感な暗電流成分が支配的である場合には、その一つのパラメータで検出するだけで十分である。しかし、複数のパラメータに敏感な場合は、その複数のパラメータで検出することで検出精度を向上させることが可能になる。
例えば、基板電圧に敏感な暗電流成分とリセット電圧に敏感な暗電流成分がともに支配的であった場合は、基板電圧のみを変化させた場合の暗電流検出と、リセット電圧のみを変化させた場合の暗電流検出をそれぞれ行うことで、暗電流を精度よく検出することが可能となる。このためには、例えば、さらに1回、露光を追加し、これまで述べたようなリセット電圧のみを変化させた場合(第1実施形態)と、基板電圧のみを変化させた場合(第1実施形態の第1変形例)を行えばよい。また、ほぼ同等に敏感な場合は制御の容易性や副作用(デメリット)、検出精度の観点から総合的に有利な手段を選ぶことになる。
また、本発明の第1実施形態、第2実施形態、およびそれらの変形例において、補正後の光信号(光電変換信号)について、(1)式〜(7)式を用いて説明した。これらの式の一般式は、下記(8)式のようになる。
Va’=Va−k1(Va−k2・Vb)/(1−k3・Db/Da) ・・・(8)
ここで、Vaは1回目の露光時における出力A(光電変換信号、第1の信号電荷)、Vbは2回目の露光時における出力B(光電変換信号、第2の信号電荷)、Daは1回目の露光時における暗電流成分、Dbは2回目の露光時における暗電流成分、k1〜k3は係数であり、リセット電圧、基板電圧、温度、露光時間、絞り値、感度等に応じて決まる。第1実施形態の第3変形例のように光信号を変化させた例においては、数式上、Da=Db、k3が負となる場合であり、やはり式(8)内に含まれる。
以上説明したように、本発明の各実施形態や変形例においては、1回目の露光時の第1の信号電荷、2回目の露光時の第2の信号電荷、及び記憶された暗電流成分や光信号の比に基づいて撮像素子2aの画素の暗電流成分を演算し、第1の信号電荷から暗電流成分を補正するようにしている。このため、2回目の撮影の際に遮光することなく、撮像素子の暗時電流をキャンセルした信号電荷(光電変換信号)を取得することができる。
なお、本発明の各実施形態や各変形例においては、リセット電圧、露光時間、絞り値、温度、感度等において、種々、数値を示したが、これらはいずれも例示であり、これと異なる数値を適宜選択するようにしてもよい。また、撮影にあたって、1回目の露光と2回目の露光、合計、2回の露光を行っていた。しかし、これに限らず、3回以上、露光を行い、2つ以上の暗電流あるいは光信号に固有に影響するパラメータを順次変えて暗電流をキャンセルするようにしても勿論かまわない。すなわち、暗電流あるいは光信号に固有に影響するパラメータを変えないで第1の露光制御を行い、この第1の露光制御後、パラメータを変えて第2の露光制御を行うにあたって、第1の露光制御や第2の露光制御において、複数の露光を行うようにしても構わない。
また、本発明の各実施形態や各変形例においては、撮像素子2aの暗電流成分に影響するパラメータとして、PD24のリセット電圧、撮像素子2aの基板電圧、撮像素子2aの温度の例について説明したが、これ以外にも暗電流成分に影響するパラメータであれば、これを1回目と2回目の露光時に異ならせるようにしてもよい。また、光信号に影響するパラメータとして、絞りについて説明したが、これ以外にも光電流に固有の影響を与えるパラメータであれば、これを1回目と2回目の露光時に異ならせるようにしてもよい。
さらに、露光回数を増やさずに、暗電流の複数の成分や光信号を2回目の露光で同時に変える複雑な組合せも、それぞれのパラメータに応じて暗電流成分あるいは光電流に固有の変化をもたらすのであれば、検出の際の演算や検出精度の劣化を伴うが、これまで述べてきた方法と同様の考えに基づいて理論上検出可能である。第2実施形態の第1変形例は、飽和レベルの改善が目的であったが、暗電流固有に影響するパラメータであるリセット電圧と光信号固有に影響する絞りを同時に2回目の露光で変化させており、これに該当する例の1つにもなっている。
また、本発明の各実施形態や各変形例においては、リセット電圧や絞り等、暗電流や光信号固有に影響するパラメータを1回目と2回目の露光時に異ならせると共に、露光時間、絞り、感度を異ならせることで、リセット電圧変更や基板電圧変更に伴って低下する飽和レベルへの影響軽減や、暗電流検出精度向上、シーケンス時間の短縮を図った。これ以外にも暗電流成分検出に直接関わらないが検出精度向上あるいはシーケンス時間短縮に関わる要素を1つ又は複数組み合わせるようにしても勿論かまわない。また、光信号に影響するパラメータの変更方法としては、絞りだけに限らない、光信号に固有の影響をもたらす他の方法、例えばNDフィルタ等もこうした目的に適っており、そのような種々の方法もあり得る。
また、本発明の各実施形態や各変形例においては、2回目の露光時に撮像素子2a
を遮光する遮光部材を有さないデジタルカメラを前提に説明したが、遮光部材を有するデジタルカメラにも本発明を適用することは可能である。
また、本発明の各実施形態や各変形例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。