本発明は、撮像システムにおいて、特に位相差検知の原理に基づくオートフォーカスに用いられる複数の光電変換装置に関するものである。光電変換装置は、例えば、オートフォーカスセンサである。ここで、被写体を撮像するための光電変換装置を、後述のように、撮像装置と呼んで、オートフォーカスセンサなどの光電変換装置と区別することにする。
本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1の構成図である。
光電変換装置1は、画素配列PA、読み出し部10、及び制御部20を備える。
画素配列PAでは、複数の画素101,125,126が1次元的に配列されている。ここで、画素配列PAにおいて3つ画素が1次元的に配列されている場合を例示したが、画素の数は3つに限定されない。
読み出し部10は、画素配列PAから信号を読み出す。そして、読み出し部10は、後段の回路等へ画像信号を出力する。
制御部20は、画素配列PAを制御する。例えば、制御部20は、転送信号やリセット信号を画素配列PAの各画素101,125,126へ供給することにより、各画素101,125,126を制御する。
次に、画素配列PAの各画素101,125,126の構成を説明する。以下では、画素101の構成を例示的に説明するが、他の画素125,126の構成も画素101の構成と同様である。
画素101は、光電変換部102、転送部103、電荷電圧変換部104、増幅部106、及びリセット部105を含む。
光電変換部102は、光に応じた電荷を蓄積する。転送部103が非活性状態である際に光電変換部102が飽和電荷量を超えた電荷量を超えた量の電荷を発生させた場合、その一部の電荷は、光電変換部102から転送部103を超えて電荷電圧変換部104へあふれる。光電変換部102は、例えば、フォトダイオードである。光電変換部102は、例えば、半導体基板のp−well領域においてn型の不純物が埋め込まれた領域(電荷蓄積領域102a)と、その上のp型の不純物が埋め込まれた領域(保護領域102b)との境界近傍で光電変換を行う(図2参照)。光電変換部102では、光電変換により生じた電荷が電荷蓄積領域102aに蓄積される。保護領域102bは、電荷蓄積領域102aが表面に露出することを抑制し、暗電流によるノイズが信号電荷に混入することを低減する。
転送部103は、アクティブな転送信号が供給された際(活性状態)において、光電変換部102により蓄積された電荷を電荷電圧変換部104へ転送する。転送部103は、ノンアクティブな転送信号が供給された際(非活性状態)において、光電変換部102により蓄積された電荷を電荷電圧変換部104へ転送しない。転送部103は、例えば、転送MOSトランジスタである。ここで、転送部103により光電変換部102から電荷電圧変換部104へ転送された電荷を、後述する余剰電荷と区別する意味で、被転送電荷と呼ぶことにする。転送部103が光電変換部102と電荷電圧変換部104との間に設けられている(図2参照)ので、高濃度の半導体不純物層(電荷電圧変換部104)が直接的に光電変換部102に接しないように構成することが容易である。これにより、光電変換部102と電荷電圧変換部104との間において、逆方向リーク電流や暗電流によるノイズ(N)を低減できる。
電荷電圧変換部104は、転送された電荷を電圧に変換する。ここで、電荷電圧変換部104により電荷が電圧に変換される割合は、「電荷変換係数」と呼ばれ、電荷に対する電荷電圧変換部104の電圧(信号)の感度を示す。ここで、光電変換部102が電荷電圧変換部104に直接接続されていないので、電荷電圧変換部104の電荷変換係数が光電変換部102の寄生容量により低下することを避けることができる。これにより、大きな信号振幅(S)を得ることができる。
電荷電圧変換部104は、例えば、半導体基板のp−well領域においてn型の不純物が埋め込まれたフローティングディフュージョンである(図2参照)。ここで、転送部103が電荷を転送できない状態で光電変換部102から電荷電圧変換部104にあふれ出た余剰電荷は、電荷電圧変換部104により電圧に変換される。転送部103により光電変換部102から電荷電圧変換部104へ転送された電荷(被転送電荷)と、余剰電荷とが、電荷電圧変換部104で加算される。ここで、被転送電荷が転送部103(転送MOSトランジスタ)のチャネル領域103aを通過するのに対して、余剰電荷は、チャネル領域103aよりも半導体基板の内部に位置する領域103bを通過する。チャネル領域103aが半導体基板の界面近傍に位置しているので、被転送電荷に基づく信号は、その界面で電荷がトラップされることによるノイズの影響を受け得る。それに対して、領域103bが半導体基板の内部に位置しているので、余剰電荷に基づく信号は、半導体基板の界面で電荷がトラップされることによるノイズの影響を受けにくい。
増幅部106は、電荷電圧変換部104の電圧に基づく信号を増幅して信号線SL1へ出力する。増幅部106は、例えば、増幅MOSトランジスタであり、定電流源とともにソースフォロワ動作を行う。ここで、増幅部106は、余剰電荷に応じた電圧に基づく信号を増幅して余剰信号として信号線SL1へ出力する。また、増幅部106は、余剰電荷及び被転送電荷に応じた電圧に基づく信号を増幅して光信号(余剰信号+被転送信号)として信号線SL1へ出力する。ここで、被転送電荷に応じた電荷電圧変換部104の電圧に基づく信号を、余剰信号と区別する意味で、被転送信号と呼ぶことにする。
リセット部105は、アクティブなリセット信号が供給された際に、転送部103が電荷を転送できる状態で、光電変換部102及び電荷電圧変換部104をリセットする。
次に、読み出し部10の構成を説明する。
読み出し部10は、最大値検知部11及びシフトレジスタ127を含む。
最大値検知部11は、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれから余剰信号を読み出して、複数の画素101,125,126の余剰信号の最大値(第1の演算値)を検知する。最大値検知部11は、余剰信号の最大値を出力端子114及び制御部20へ出力する。また、最大値検知部11は、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれから光信号(余剰信号+被転送信号)を読み出して、光信号からノイズ信号を除去して画像信号として出力端子114へ出力する。
シフトレジスタ127は、各画素101,125,126に対応した水平走査信号を、順次にアクティブになるようにして、最大値検知部11へ供給する。これにより、最大値検知部11により読み出された各画素101,125,126の画像信号(余剰信号+被転送信号−ノイズ信号)が順次に出力端子114へ出力される。
次に、制御部20の構成を説明する。
制御部20は、しきい判定回路116及びタイミング回路118を含む。
しきい判定回路116は、水平出力線113を介して、余剰信号の最大値を受ける。しきい判定回路116は、余剰信号の最大値を第1の閾値と比較し、余剰信号の最大値が第1の閾値に達したか否かを判断する。しきい判定回路116は、判断した結果をタイミング回路118へ出力する。
タイミング回路118は、転送信号を転送信号線120へ出力し、リセット信号をリセット信号線119へ出力し、シフトレジスタ127の駆動信号を駆動信号線121へ出力する。また、タイミング回路118は、最大値制御信号を制御線115へ出力する。
例えば、タイミング回路118は、転送信号線120へ出力する転送信号をアクティブなレベルからノンアクティブなレベルに変える。これにより、制御部20は、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれにおいて、転送部103を非活性状態にすることにより、光電変換部102の電荷蓄積動作を開始させる。
例えば、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値が第1の閾値に達したと判断した場合、第1の閾値に達したことを示す信号を出力する。タイミング回路118は、第1の閾値に達したことを示す信号に応じて、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、制御部20は、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれにおいて、転送部103を活性状態にして光電変換部102から電荷電圧変換部104へ電荷を転送することにより、光電変換部102の電荷蓄積動作を完了させる。すなわち、制御部20は、複数の画素101,125,126の余剰信号の最大値が第1の閾値に達したことに応じて、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれに対して、光電変換部102の電荷蓄積動作を完了させる。
次に、読み出し部10の最大値検知部11の構成を説明する。最大値検知部11は、最大値検出回路107〜109、MOSトランジスタ110〜112、及びORゲート131〜133を含む。
ORゲート131〜133は、それぞれ、制御線115を介して制御部20から供給される最大値制御信号と、シフトレジスタ127の各段から供給される水平走査信号との論理和を演算してMOSトランジスタ110〜112へ出力する。MOSトランジスタ110〜112は、ORゲート131〜133の出力端子がゲートに接続され、最大値検出回路107〜109の出力端子122〜124がドレインに接続されている。MOSトランジスタ110〜112は、それぞれ、最大値制御信号と水平走査信号とのいずれかがアクティブである期間に、オンして、ドレインに供給されている信号をソース側へ転送する。
例えば、MOSトランジスタ110〜112のうち余剰信号の最大値がMOSトランジスタ110のドレインに供給されている場合を考える。この場合、定電流源113aが電流負荷として機能し、水平出力線113の電位がグランドレベルから余剰信号の最大値に応じて引き上げられる。一方、他のMOSトランジスタ111,112もドレインに余剰信号が供給されることがある。しかし、MOSトランジスタ111,112の出力信号は、余剰信号の最大値よりも低い(図3に示す破線405,408参照)ので、水平出力線113の電位として現れない。
これにより、出力端子114には、最大値制御信号がアクティブである期間に、水平出力線113を介して、複数の画素101,125,126の余剰信号の最大値が出力される。また、出力端子114には、各画素101,125,126に対応した水平走査信号が順次にアクティブになることにより、各画素101,125,126の画像信号が順次に出力される。
次に、最大値検知部11の最大値検出回路107〜109の構成及び動作を説明する。以下では、最大値検出回路107の構成及び動作を例示的に説明するが、他の最大値検出回路108,109も最大値検出回路107と同様である。
最大値検出回路107は、クランプ容量107a、MOSトランジスタ107b〜107f、及び差動増幅器107gを含む。
クランプ容量107aとMOSトランジスタ107bとは、クランプ回路を構成しており、光信号からノイズ信号を除去するようにクランプ動作を行う。MOSトランジスタ107c〜107fは、スイッチとして機能する。
差動増幅器107gは、出力端子と入力端子とが短絡されており、電圧フォロワを構成している。すなわち、差動増幅器107gは、ノイズ信号が除去された余剰信号を上記のクランプ回路から受け取り出力端子122へ転送する。あるいは、差動増幅器107gは、ノイズ信号が除去された光信号を上記のクランプ回路から受け取り出力端子122へ転送する。
次に、光電変換装置1の動作を図3を用いて説明する。図3は、光電変換装置1の動作を示すタイミング波形図である。
リセット期間では、画素配列PAの各画素101,125,126をリセットする。
具体的には、タイミング回路118は、アクティブなリセット信号をリセット信号線119経由で画素配列PAの各画素101,125,126へ供給し、アクティブな転送信号を転送信号線120経由で画素配列PAの各画素101,125,126へ供給する。これにより、画素配列PAの各画素101等では、リセット部105が、転送部103が電荷を転送できる状態で、光電変換部102及び電荷電圧変換部104をリセットする。 一方、最大値検知部11の最大値検出回路107等において、MOSトランジスタ107bが予めオンしており、MOSトランジスタ107c,107dがオンする。これにより、画素101から出力されたノイズ信号は、MOSトランジスタ107c、差動増幅器107g、及びMOSトランジスタ107dを経由してクランプ容量107aに蓄積される。MOSトランジスタ107c,107dがオフする。これにより、クランプ容量107aは、画素101から出力されたノイズ信号を保持する。そして、MOSトランジスタ107fがオンして、MOSトランジスタ107bがオフする。これにより、クランプ容量107aは、さらに、差動増幅器107gのオフセットを保持する。
次に、AGC期間では、光電変換装置1がオートゲインコントロール(以下、AGCとする)を行う。AGCとは、オートフォーカスセンサのフォトダイオードが発生させた電荷量に応じて、オートフォーカスなど制御動作に用いられる信号のレベルを調節することを意味している。AGCは、例えば、オートフォーカスなど制御動作に適したレベルの信号が得られるように、光電変換部102による電荷の蓄積時間を制御することである。以下では、画素101>画素125>画素126の順に強い光が入射する場合を考える。
具体的には、タイミング402において、タイミング回路118が、ノンアクティブなリセット信号をリセット信号線119経由で画素配列PAの各画素101,125,126へ供給する。タイミング回路118は、ノンアクティブな転送信号を転送信号線120経由で画素配列PAの各画素101,125,126へ供給する。これらにより、画素配列PAの各画素101等の光電変換部102が電荷蓄積動作を開始する。
また、最大値検出回路107〜109では、MOSトランジスタ107c,107dがオンする。これにより、画素101、125,126から信号が出力された場合に、その信号がMOSトランジスタ107d、差動増幅器107g、及びMOSトランジスタ107eを経由して、クランプ容量107aへ供給可能な状態になる。
さらに、タイミング回路118は、アクティブな最大値制御信号を制御線115へ出力する。これにより、MOSトランジスタ110〜112がいずれもオンし、最大値検出回路107〜109の出力端子122〜124は、互いに短絡された状態になる。出力端子114に、最大値検出回路107〜109により各画素101,125,126から読み出された余剰信号の最大値が現れることが可能な状態になる。
また、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値と第1の閾値Vrとを比較する動作を開始する。
タイミング402〜タイミング403の期間では、光が入射しても、各画素101,125,126の光電変換部102が飽和していないので、余剰電荷が光電変換部102から電荷電圧変換部104へあふれ出していない。これにより、出力端子122〜124の信号は変化しない。この場合、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値が第1の閾値Vrに達していないと判断する。
タイミング403では、画素101において、光電変換部102が飽和電荷量以上の電荷を蓄積し、転送部103が電荷を転送できない状態で、光電変換部102から電荷電圧変換部104へ余剰電荷があふれ出す。最大値検出回路107は、画素101から余剰信号を読み出す。最大値検出回路107では、余剰信号+(差動増幅器107gのオフセット)が、MOSトランジスタ107d、差動増幅器107g及びMOSトランジスタ107eを経由して、クランプ容量107aへ供給される。クランプ容量107aは、余剰信号+オフセットからノイズ信号+オフセットを除去して、ノイズ信号が除去された余剰信号を差動増幅器107gへ供給する。差動増幅器107gは、ノイズ信号が除去された余剰信号を増幅して出力する。すなわち、最大値検出回路107は、余剰電荷に基づく余剰信号を画素101から読み出して出力端子122へ出力する。
一方、他の画素125,126では、余剰信号は発生していない。これにより、最大値検出回路108,109は、破線405,408で示すように、信号を出力端子123,124へ出力しない。出力端子114には、画素101から読み出された余剰信号が余剰信号の最大値として現れる。この場合、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値が第1の閾値Vrに達していないと判断する。
なお、破線405,408は、それぞれ、仮にMOSトランジスタ111,112がオフしていた場合に、出力端子123,124に現れる信号を示す。
タイミング404では、画素125において、光電変換部102が飽和電荷量以上の電荷を蓄積し、転送部103が電荷を転送できない状態で、光電変換部102から電荷電圧変換部104へ余剰電荷があふれ出す。これにより、最大値検出回路107及び最大値検出回路108は、それぞれ、余剰電荷に基づく余剰信号を画素101,125から読み出して出力端子122,123へ出力する。ここで、画素125の余剰信号が画素101の余剰信号より小さい(破線405参照)ので、出力端子123の信号は、出力端子122の信号と同じレベルになる(実線406参照)。一方、画素126では、余剰信号は発生していない。これにより、最大値検出回路109は、破線408で示すように、信号を出力端子124へ出力しない。これにより、出力端子114には、画素101から読み出された余剰信号が余剰信号の最大値として現れる。この場合、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値が第1の閾値Vrに達していないと判断する。
タイミング407では、画素126において、光電変換部102が飽和電荷量以上の電荷を蓄積し、転送部103が電荷を転送できない状態で、光電変換部102から電荷電圧変換部104へ余剰電荷があふれ出す。これにより、最大値検出回路107〜109は、それぞれ、余剰電荷に基づく余剰信号を画素101,125,126から読み出して出力端子122〜124へ出力する。ここで、画素125,126の余剰信号が画素101の余剰信号より小さい(破線405,408参照)ので、出力端子123,124の信号は、出力端子122の信号と同じレベルになる(実線406,415参照)。これにより、出力端子114には、画素101から読み出された余剰信号が余剰信号の最大値として現れる。この場合、しきい判定回路116は、余剰信号の最大値が第1の閾値Vrに達していないと判断する。
タイミング409では、しきい判定回路116が、余剰信号の最大値が第1の閾値Vrに達したと判断する。しきい判定回路116は、第1の閾値Vrに達したことを示す信号をタイミング回路118へ出力する。タイミング回路118は、第1の閾値Vrに達したことを示す信号に応じて、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれにおいて、転送部103が光電変換部102から電荷電圧変換部104に電荷を転送するので、光電変換部102の電荷蓄積動作が完了する。各画素101,125,126の電荷電圧変換部104では、転送部103により光電変換部102から電荷電圧変換部104へ転送された電荷(被転送電荷)と、余剰電荷とが加算され始める。
なお、入射光量が小さく、一定時間過ぎても余剰信号(余剰電荷)の最大値が閾値を超えない場合があり得る。その際は、あらかじめ最大許容できる蓄積時間を設定しておき、その時間経過したら強制的に蓄積終了させるようにすればよい。
タイミング413では、画素101の電荷電圧変換部104において、被転送電荷と余剰電荷とが完全に加算され、電荷電圧変換部104が光信号(被転送信号+余剰信号)を保持するようになる。最大値検出回路107は、画素101から光信号を読み出す。最大値検出回路107では、光信号+オフセットが、MOSトランジスタ107d及びMOSトランジスタ107eを経由して、クランプ容量107aへ供給される。クランプ容量107aは、光信号+オフセットからノイズ信号+オフセットを除去して、画像信号(被転送信号+余剰信号−ノイズ信号)を差動増幅器107gへ供給する。差動増幅器107gは、画像信号を増幅して出力する。すなわち、最大値検出回路107は、画像信号を画素101から読み出して出力端子122へ出力する。
同様にして、最大値検出回路108,109は、画像信号を画素125,126から読み出して出力端子123,124へ出力する。すなわち、出力端子122〜124には、それぞれ、V1>V2>V3の電圧(画像信号)が現れるようになる。
タイミング414以降の期間(映像信号出力期間)では、シフトレジスタ127が、MOSトランジスタ110〜112を排他的に順次にオンする。これにより、出力端子122〜124に現れている画像信号が順次に出力端子114を介して後段へ出力される。
以上のように、画素配列PAの各画素において、転送部103が電荷を転送できない状態で光電変換部102がその飽和電荷量以上の電荷を蓄積した場合、光電変換部102から転送部103を超えて電荷電圧変換部104へあふれた余剰電荷はリセットされない。そして、その余剰電荷に基づく余剰信号の複数の画素における最大値が第1の閾値に達したことに応じて、各画素の光電変換部の電荷蓄積動作を完了させる。これにより、オートフォーカスなど制御動作に適したレベルの信号が得られるように、光電変換部102による電荷の蓄積時間を制御することができる。
また、各画素101,125,126において、転送部103が光電変換部102と電荷電圧変換部104との間に設けられている(図2参照)。これにより、各画素101,125,126を、高濃度の半導体不純物層(電荷電圧変換部104)が光電変換部102に直接的に接しないように構成することが容易である。このため、光電変換部102と電荷電圧変換部104との間において、逆方向リーク電流や暗電流によるノイズ(N)を低減できる。また、光電変換部102が電荷電圧変換部104に直接接続されていないので、電荷電圧変換部104の電荷変換係数が光電変換部102の寄生容量により低下することを避けることができる。これにより、大きな信号振幅(S)を得ることができる。すなわち、信号対雑音比(SN比)を向上できる。
さらに、転送部103が電荷を転送できない状態で光電変換部102から電荷電圧変換部104にあふれ出た余剰電荷をリセット部105によりリセットせずに、最大値検知部11が複数の画素101等の余剰電荷の最大値を出力端子114から出力する。これにより、余剰電荷の最大値を、光電変換装置1の後段の増幅器のゲインを調整するために用いることができる。このため、転送部103が光電変換部102と電荷電圧変換部104との間に設けられるように各画素101,125,126を構成した場合でも、AGC(光電変換部102による電荷の蓄積時間を制御)を行うことができる。
このように、信号対雑音比(SN比)を向上しながら、AGCを行うことができる。したがって、この光電変換装置を撮像システムに用いれば、正確なオートフォーカスやその他の制御動作(自動露出制御など)を実現することができる。
さらに、光電変換部102が飽和して光電変換部102からあふれ出た余剰信号も画像信号に含めるようにしたので、光電変換部102のダイナミックレンジを拡大することができる。ここで、各画素101,125,126において、光電変換部102からあふれ出した電荷のうち電荷電圧変換部104へ入力される割合が互いに等しければ、光電変換部102の飽和電荷数のばらつきの影響を受けない、正しい画像信号を得ることができる。
なお、画素配列PAでは、複数の画素が2次元的に配列されたものであっても良い。
また、各画素101等において、光電変換部102をリセット部105によりリセットする際に、光電変換部102を完全に空乏化させることが好ましい。ただし、このことは、本発明の必須要件ではない。
また、各画素101等において、光電変換部102内の電荷を電荷電圧変換部104に転送する際にすべての電荷を転送する(画素内電荷完全転送の原理を用いる)ことが好ましい。フォトゲート構造やその他の構造は、画素内電荷完全転送の原理に適した構造になっていてもよい。例えば、図4に示すように、電荷に対する転送部(転送MOSトランジスタ)103のチャネル領域のポテンシャルは、オフした状態において、電荷に対する光電変換部102の周辺のポテンシャル301より低くなっていてもよい。この構造は、被転送電荷だけでなく余剰電荷も完全に光電変換部102から電荷電圧変換部104へ供給されるようにできるので、画素内電荷完全転送の原理に適している。
ただし、画素内電荷完全転送の原理を用いることは、本発明の必須要件ではない。例えば、余剰電荷が生み出す電圧信号が十分なSN比を有すればよいので、光電変換部102から溢れた電荷の大多数、もしくは一部のみが電荷電圧変換部104に移送されるようなポテンシャルの大小関係であったとしても本発明の効果は十分に発揮される。
さらに、制御部20のしきい判定回路116は、連続的に動作をする。この連続的という意味は、しきい判定の比較動作の周期が、画素の光電変換部の蓄積時間に比べて十分短いという意味で用いている。たとえば、スイッチトキャパシタやクロックトコンパレタを用いてしきい判定回路116を構成している場合、しきい判定回路116が余剰信号の最大値と第1の閾値とを比較する動作の周期が蓄積時間に比べて十分短ければ、その動作を連続的な動作とみなす。
次に、本発明の光電変換装置を適用した撮像システムの一例を図5に示す。
撮像システム90は、図5に示すように、主として、光学系、2つの光電変換装置1、撮像装置86及び信号処理部を備える。光学系は、主として、シャッター91、撮影レンズ92及び絞り93を備える。信号処理部は、主として、撮像信号処理回路95、A/D変換器96、画像信号処理部97、メモリ部87、外部I/F部89、タイミング発生部98、全体制御・演算部99、記録媒体88及び記録媒体制御I/F部94を備える。なお、信号処理部は、記録媒体88を備えなくても良い。
シャッター91は、光路上において撮影レンズ92の手前に設けられ、露出を制御する。
撮影レンズ92は、入射した光を屈折させて、撮像装置86の画素配列(撮像面)に被写体の像を形成する。また、撮影レンズ92は、異なる光路を介して複数の光電変換装置1のそれぞれの画素配列(撮像面)へ像を形成する。なお、撮影レンズ92の近傍には、撮影レンズ92を光軸方向に駆動するためのレンズ駆動部92aが設けられている。
絞り93は、光路上において撮影レンズ92と撮像装置86との間に設けられ、撮影レンズ92を通過後に撮像装置86へ導かれる光の量を調節する。
2つのハーフミラーは、それぞれ、絞り93と撮像装置86との間に設けられ、絞り93を通過した光の一部を2つの光電変換装置1へ導く。
2つの光電変換装置1は、それぞれ、撮像装置86と光学的に共役な位置に設けられている。2つの光電変換装置1は、画素配列(撮像面)に形成された被写体の像を画像信号に変換する。各光電変換装置1は、その画像信号を画素配列から読み出して出力する。
撮像装置86は、画素配列に形成された被写体の像を画像信号に変換する。撮像装置86は、その画像信号を画素配列から読み出して出力する。
撮像信号処理回路95は、撮像装置86及び2つの光電変換装置1に接続されており、撮像装置86及び2つの光電変換装置1から出力された画像信号を処理する。
A/D変換器96は、撮像信号処理回路95に接続されており、撮像信号処理回路95から出力された処理後の画像信号(アナログ信号)をデジタル信号へ変換する。
画像信号処理部97は、A/D変換器96に接続されており、A/D変換器96から出力された画像信号(デジタル信号)に各種の補正等の演算処理を行い、画像データを生成する。この画像データは、メモリ部87、外部I/F部89、全体制御・演算部99及び記録媒体制御I/F部94などへ供給される。
この画像信号処理部97は、デフォーカス検知部97aを含む。デフォーカス検知部97aは、複数の光電変換装置1のそれぞれから出力された画像信号が示す画像の位相差を検知することにより、光学系(撮影レンズ92)のデフォーカス量を検知する。デフォーカス検知部97aは、デフォーカス量の情報を全体制御・演算部99へ出力する。
メモリ部87は、画像信号処理部97に接続されており、画像信号処理部97から出力された画像データを記憶する。
外部I/F部89は、画像信号処理部97に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、外部I/F部89を介して外部の機器(パソコン等)へ転送する。
タイミング発生部98は、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97に接続されている。これにより、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97へタイミング信号を供給する。そして、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97がタイミング信号に同期して動作する。
全体制御・演算部99は、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94に接続されており、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94を全体的に制御する。
この全体制御・演算部99は、デフォーカス補正部99aを含む。デフォーカス補正部99aは、デフォーカス検知部97aにより検知されたデフォーカス量に基づいて、デフォーカスが補正されるように、レンズ駆動部92aを制御する。これにより、撮影レンズ92は、デフォーカスが補正されるように、光軸方向に駆動される。
記録媒体88は、記録媒体制御I/F部94に取り外し可能に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、記録媒体制御I/F部94を介して記録媒体88へ記録する。
以上の構成により、位相差検知方式のオートフォーカスを行うことができる。また、撮像装置86において良好な画像信号が得られれば、良好な画像(画像データ)を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置501を、図6を用いて説明する。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分の説明を省略する。
光電変換装置501は、読み出し部510及び制御部520を備える点で第1実施形態と異なる。
読み出し部510は、最小値検知部512をさらに含む。最小値検知部512は、転送部103が電荷を転送できない状態で光電変換部102から電荷電圧変換部104にあふれ出た余剰電荷に基づく余剰信号を画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれから読み出す。最小値検知部512は、複数の画素101等の余剰信号の最小値(第2の演算値)を検知する。
例えば、出力端子522〜524のうち余剰信号の最小値が出力端子524に供給されている場合を考える。この場合、定電流源506aが電流負荷として機能し、水平出力線506の電位が電源レベルから余剰信号の最小値に応じて引き下げられる。一方、他のMOSトランジスタ111,112もドレインに余剰信号が供給されることがある。しかし、MOSトランジスタ111,112の出力信号は、余剰信号の最小値よりも大きいので、水平出力線506の電位として現れない。
制御部520は、しきい判定回路516及びタイミング回路518を含む。しきい判定回路516は、水平出力線506を介して、余剰信号の最小値を受ける。しきい判定回路516は、余剰信号の最大値と余剰信号の最小値との差分であるコントラスト信号(差分信号)を求める(図7参照)。しきい判定回路516は、コントラスト信号を第2の閾値Vr2と比較し、コントラスト信号が第2の閾値に達したか否かを判断する。しきい判定回路516は、判断した結果をタイミング回路518へ出力する。
例えば、しきい判定回路516は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達したと判断した場合、第2の閾値Vr2に達したことを示す信号をタイミング回路518へ出力する。タイミング回路518は、第2の閾値Vr2に達したことを示す信号に応じて、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、制御部520は、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれにおいて、転送部103が光電変換部102から電荷電圧変換部104に電荷を転送するようにして光電変換部102の電荷蓄積動作を完了させる。すなわち、制御部520は、複数の画素101,125,126のコントラスト信号が一定になるように、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれの光電変換部102の電荷蓄積動作を制御する。
また、光電変換装置501の動作が、図7に示すように、次の点で第1実施形態と異なる。
タイミング601では、しきい判定回路516が、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達したと判断する。しきい判定回路516は、第2の閾値Vr2に達したことを示す信号をタイミング回路518へ出力する。タイミング回路518は、第2の閾値Vr2に達したことを示す信号に応じて、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、画素配列PAの複数の画素101,125,126のそれぞれにおいて、転送部103が光電変換部102から電荷電圧変換部104に電荷を転送するので、光電変換部102の電荷蓄積動作が完了する。各画素101,125,126の電荷電圧変換部104では、転送部103により光電変換部102から電荷電圧変換部104へ転送された電荷(被転送電荷)と、余剰電荷とが加算され始める。
このように、余剰信号のAC成分であるコントラスト信号に基づいてAGC(光電変換部102による蓄積時間の制御)を行うので、AGCの精度をさらに向上できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置501を適用した撮像システムの一例を図8に示す。
撮像システム590は、図8に示すように、撮像信号処理回路595を備える。撮像信号処理回路595は、差分演算装置703、増幅器704、及びゲイン決定装置702を含む。
差分演算装置703は、光電変換装置501の最大値検知部11により検知された余剰信号の最大値と、光電変換装置501の最小値検知部512により検知された余剰信号の最小値との差分であるコントラスト信号を求める。差分演算装置703は、コントラスト信号の情報をゲイン決定装置702へ出力する。ゲイン決定装置702は、コントラスト信号に基づいて、増幅器704のゲインを決定する。ゲイン決定装置702は、図9に示すようなテーブルを参照して、増幅器704のゲインを決定する。
例えば、ゲイン決定装置702は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを1倍に決定する。例えば、ゲイン決定装置702は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2以下であって0.5×Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを2倍に決定する。例えば、ゲイン決定装置702は、コントラスト信号が0.5×Vr2以下であって0.25×Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを4倍に決定する。例えば、ゲイン決定装置702は、コントラスト信号が0.25×Vr2以下である場合、増幅器704のゲインを8倍に決定する。
差分演算装置703は、光電変換装置501から出力された画像信号を増幅器704へ供給する。増幅器704は、ゲイン決定装置702により決定されたゲインで、画像信号を増幅する。例えば、AD変換器のダイナミックレンジがVr2〜2×Vr2であるとすれば、増幅器704は、コントラスト信号がAD変換器のダイナミックレンジに収まるように、コントラスト信号を調整してAD変換器96へ供給できる。これにより、AD変換器96によりAD変換が安定して行われるようにすることができる。
なお、図9に例示したコントラスト信号とそれに対応して決定されるゲインとは、AD変換器96のダイナミックレンジに適した値によって様々に変更される設計パラメータである。
また、本実施形態では、図6に示す光電変換装置501を適用した撮像システムの一例を説明したが、たとえば、図1に示す光電変換装置1を適用した撮像システムの一例に置き換えることもできる。その場合、ゲイン決定装置702は、光電変換装置1の最大値検知部11により検知された余剰信号の最大値に基づいて、増幅器704のゲインを決定することになる。
次に、本発明の第3実施形態に係る光電変換装置1001を、図10を用いて説明する。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分の説明を省略する。
光電変換装置1001は、画素配列PA1000を備える点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
画素配列PA1000は、複数の画素1101,1125,1126が1次元的に配列されている。画素1101は、電荷電圧変換部1104を含む。
電荷電圧変換部1104は、第1の蓄積部902、第2の蓄積部901、及びスイッチ903を含む。第1の蓄積部902は、転送部103を介して光電変換部102に接続されている。第2の蓄積部901は、転送部103が電荷を転送できない状態で光電変換部102からあふれ出た余剰電荷を一時的に保持する。スイッチ903は、転送部103及び第1の蓄積部902と第2の蓄積部901との間に設けられている。スイッチ903は、制御端子904を介してアクティブな(Hiレベルの)制御信号が供給された際に、オンして、転送部103及び第1の蓄積部902と第2の蓄積部901とを導通させる。これにより、電荷電圧変換部1104の容量は、第1の蓄積部902の容量と第2の蓄積部901の容量とが合成された第1の容量C1になる。スイッチ903は、制御端子904を介してノンアクティブな(Loレベルの)制御信号が供給された際に、オフして、転送部103及び第1の蓄積部902と第2の蓄積部901とを遮断させる。これにより、電荷電圧変換部1104の容量は、第1の蓄積部902の容量である第2の容量C2(<C1)になる。ここで、制御信号は、出力端子114を介して出力される余剰信号の最大値に応じて、外部(図11に示すゲイン決定装置1002)で生成される信号である。すなわち、電荷電圧変換部1104の容量は、余剰信号の最大値に応じて変わる。
次に、本発明の第3実施形態に係る光電変換装置1001を適用した撮像システムの一例を図11に示す。
撮像システム1090は、図11に示すように、撮像信号処理回路1095を備える。撮像信号処理回路1095は、ゲイン決定装置1002を含む。
ゲイン決定装置1002は、光電変換装置1001から余剰信号の最大値を受ける。ゲイン決定装置1002は、余剰信号の最大値に基づいて、増幅器704のゲインと、光電変換装置1001の画素1101等の電荷電圧変換部1104の容量とを制御する。ゲイン決定装置1002は、図12に示すようなテーブルを参照して、増幅器704のゲインを制御する。
例えば、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを1倍に決定して、1倍のゲインになるように増幅器704を制御する。この場合、ゲイン決定装置1002は、制御信号をHiに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C1に制御する。
例えば、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2以下であって0.5×Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを2倍に決定して、2倍のゲインになるように増幅器704を制御する。この場合、ゲイン決定装置1002は、制御信号をHiに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C1に制御する。
例えば、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号が0.5×Vr2以下であって0.25×Vr2より大きい場合、増幅器704のゲインを4倍に決定して、4倍のゲインになるように増幅器704を制御する。この場合、ゲイン決定装置1002は、制御信号をHiに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C1に制御する。
例えば、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号が0.25×Vr2以下であり、かつ、余剰信号の最大値が所定の閾値δより大きい場合、増幅器704のゲインを8倍に決定して、8倍のゲインになるように増幅器704を制御する。この場合、ゲイン決定装置1002は、制御信号をHiに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C1に制御する。
例えば、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号が0.25×Vr2以下であり、かつ、余剰信号の最大値が所定の閾値δ以下である場合、増幅器704のゲインを1倍に決定して、1倍のゲインになるように増幅器704を制御する。この場合、ゲイン決定装置1002は、制御信号をLoに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C2(<C1)に制御する。
また、光電変換装置1001の動作が、図13に示すように、次の点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。以下では、いずれの画素1101等も飽和しない場合における光電変換装置1001の動作を説明する。
タイミング1201では、タイミング回路518が、タイミング402から一定期間が経過したことに応じて、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、画素配列PAの複数の画素1101,1125,1126のそれぞれにおいて、転送部103が光電変換部102から電荷電圧変換部104に電荷を転送するので、光電変換部102の電荷蓄積動作が完了する。各画素1101,1125,1126の電荷電圧変換部104では、転送部103により光電変換部102から電荷電圧変換部104へ転送された電荷(被転送電荷)のみが保持される。
このとき、ゲイン決定装置1002は、コントラスト信号がゼロであり、かつ、余剰信号の最大値がゼロであることに応じて、増幅器704のゲインを1倍に決定して、1倍のゲインになるように増幅器704を制御する。また、ゲイン決定装置1002は、制御信号をLoに決定することにより電荷電圧変換部1104の容量を第1の容量C2(<C1)に決定する。
タイミング1202では、画素1101の電荷電圧変換部1104の第1の蓄積部902が、被転送電荷のみを光信号として保持する。最大値検出回路107は、画素1101から光信号を読み出す。最大値検出回路107では、光信号+オフセットが、MOSトランジスタ107d及びMOSトランジスタ107eを経由して、クランプ容量107aへ供給される。クランプ容量107aは、光信号(被転送信号)+オフセットからノイズ信号+オフセットを除去して、画像信号(被転送信号−ノイズ信号)を差動増幅器107gへ供給する。差動増幅器107gは、画像信号を増幅して出力する。すなわち、最大値検出回路107は、画像信号を画素1101から読み出して出力端子122へ出力する。
同様にして、最大値検出回路108,109は、画像信号を画素1125,1126から読み出して出力端子123,124へ出力する。すなわち、出力端子122〜124には、それぞれ、V1>V2>V3の電圧(画像信号)が現れるようになる。
このように、余剰信号の最大値に応じて、電荷電圧変換部1104の容量を変えるので、光電変換部102の電荷蓄積動作に加えて、電荷電圧変換部1104における電荷変換係数を制御できる。すなわち、余剰信号の最大値が小さい場合に電荷電圧変換部1104における電荷変換係数を小さくすることにより画素内におけるゲインを大きくできる。余剰信号の最大値が大きい場合に電荷電圧変換部1104における電荷変換係数を大きくすることにより画素内におけるゲインを小さくできる。したがって、AGCを行うことができる。
ここで、余剰信号の最大値が小さくすることにより初期段階で(光電変換装置1001の画素内で)ゲインを大きくするので、その後の読み出し系における熱雑音などのランダムノイズの影響を低減させることができるため、S/Nの向上が実現される。
すなわち、ランダムノイズのうち増幅部106で発生するノイズ(熱雑音や1/fノイズなど)が余剰信号に混入する前に余剰信号のゲインを大きくするので、余剰信号に対するそのノイズの影響を低減できる。
なお、図12に示す所定の閾値δは、余剰信号の最大値に含まれる固定パターンノイズおよびランダムノイズを加味した設計パラメータとなる。余剰信号の最大値が常にゼロにあるということを検知できるのであれば、他のパラメータや手法を導入してもよい。
また、ここで、余剰信号の最大値が常にゼロであると認識された場合の増幅器704のゲインは、図12に示す「1倍」のゲインに限定されない。具体的には、容量901や902、およびAD変換器のダイナミックレンジや増幅器704のダイナミックレンジによって決定される設計パラメータである。本質的には、画素の電荷電圧変換部1104での電荷を電圧に変換するゲインが上昇した際に、画素以降の出力系で信号がオーバーフローしないようなゲインを設定すればよい。
次に、本発明の第4実施形態に係る光電変換装置1401を、図14を用いて説明する。以下では、第1実施形態〜第3実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分の説明を省略する。
光電変換装置1401は、画素配列PA1400及び制御部1420を備える点で第1実施形態〜第3実施形態と異なる。
画素配列PA1400は、複数の画素1401,1425,1426が1次元的に配列されている。画素1401は、電荷電圧変換部1404を含む。
電荷電圧変換部1404は、スイッチ1903を含む。スイッチ1903は、制御線1904を介してアクティブな(Hiレベルの)制御信号が供給された際に、オンして、転送部103及び第1の蓄積部902と第2の蓄積部901とを導通させる。これにより、電荷電圧変換部1404の容量は、第1の蓄積部902の容量と第2の蓄積部901の容量とが合成された第1の容量C1になる。スイッチ1903は、制御線1904を介してノンアクティブな(Loレベルの)制御信号が供給された際に、オフして、転送部103及び第1の蓄積部902と第2の蓄積部901とを遮断させる。これにより、電荷電圧変換部1104の容量は、第1の蓄積部902の容量である第2の容量C2(<C1)になる。
一方、制御部1420は、タイミング回路1418を含む。タイミング回路1418は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達していないことを示す信号に応じて、ノンアクティブな制御信号を制御線1904へ供給することにより、電荷電圧変換部1404の容量を第1の容量C1に制御する。あるいは、タイミング回路1418は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達したことを示す信号に応じて、アクティブな制御信号を制御線1904へ供給することにより、電荷電圧変換部1404の容量を第2の容量C2(<C1)に制御する。すなわち、制御部1420は、余剰信号の最大値と最小値との差分であるコントラスト信号に応じて、電荷電圧変換部1404の容量を制御する。
また、光電変換装置1401の動作が、図15に示すように、次の点で第1実施形態〜第3実施形態と異なる。
タイミング1501では、しきい判定回路516が、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達したと判断する。しきい判定回路516は、第2の閾値Vr2に達したことを示す信号をタイミング回路1418へ出力する。タイミング回路1418は、コントラスト信号が第2の閾値Vr2に達したことを示す信号に応じて、アクティブな制御信号を制御線1904へ供給する。これにより、各画素1401等の電荷電圧変換部1404のスイッチ1903がオフするので、第2の蓄積部901は、余剰電荷を保持する。
タイミング1502では、タイミング回路1418が、リセット信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、画素配列PA1400の複数の画素1401等のそれぞれにおいて、リセット部105が第1の蓄積部902をリセットするので、出力端子122〜124に出力される信号もゼロ(ノイズレベル)になる。このとき、第2の蓄積部901は、余剰電荷を保持している。
タイミング1503では、タイミング回路1418が、転送信号をノンアクティブなレベルからアクティブなレベルに変える。これにより、画素配列PA1400の複数の画素1401等のそれぞれにおいて、転送部103が光電変換部102から第1の蓄積部902に電荷を転送するので、光電変換部102の電荷蓄積動作が完了する。このとき、第2の蓄積部901は、余剰電荷を保持している。
ここで、画素1401、1425の光電変換部102が飽和しているので、出力端子122,123には画像信号(被転送信号−ノイズ信号)として飽和信号量Vsatが現れる。画素1426の光電変換部102が飽和していないので、出力端子124には画像信号(被転送信号−ノイズ信号)として入射光量に依存した信号V3が現れる。
タイミング1504以降の期間(被転送信号出力期間)では、シフトレジスタ127が、MOSトランジスタ110〜112を排他的に順次にオンする。これにより、出力端子122〜124に現れている画像信号(被転送信号−ノイズ信号)が順次に出力端子114を介して後段へ出力される。
タイミング1505以降の期間(余剰信号出力期間)では、タイミング回路1418が、ノンアクティブな制御信号を制御線1904へ供給する。これにより、各画素1401等の電荷電圧変換部1404のスイッチ1903がオンするので、第2の蓄積部901に保持された余剰電荷が第1の蓄積部902へ転送される。そして、出力端子122,123には、それぞれ、ノイズ信号が除去された余剰信号V1,V2が現れる。出力端子124には、余剰信号が現れず微小な信号Vnが現れる。
そして、シフトレジスタ127は、MOSトランジスタ110〜112を排他的に順次にオンする。これにより、出力端子122〜124に現れている信号が順次に出力端子114を介して後段へ出力される。
このように、各画素1401等に対して、余剰信号を第2の蓄積部901に保持させた後に、被転送信号を順次に出力させ、さらに、第2の蓄積部901に保持させた余剰信号を順次に出力するようにしている。これにより、弱い光量しか入射しない画素1426の画像信号V3を高感度で読み出すことにより他の画素1401等の光電変換部102が飽和した場合でも、それらの画素に入射した光量に応じた信号を被転送信号+余剰信号として読み出すことができる。この結果、画素の光電変換部が飽和する場合であっても信号対雑音比(SN比)を向上できる。
なお、V3と、V1およびV2は、それぞれ異なる電荷変換係数で読み出されており、かつ増幅器704のゲインも異なる場合があるので、それらのゲインをアナログ的、もしくはデジタル的に調整することが好ましい。