JP2012171228A - 記録装置 - Google Patents

記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2012171228A
JP2012171228A JP2011035801A JP2011035801A JP2012171228A JP 2012171228 A JP2012171228 A JP 2012171228A JP 2011035801 A JP2011035801 A JP 2011035801A JP 2011035801 A JP2011035801 A JP 2011035801A JP 2012171228 A JP2012171228 A JP 2012171228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording medium
heat
refrigerant
temperature
condenser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011035801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5751857B2 (ja
Inventor
Kazuaki Takahata
和明 高畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2011035801A priority Critical patent/JP5751857B2/ja
Priority to US13/396,957 priority patent/US8640618B2/en
Publication of JP2012171228A publication Critical patent/JP2012171228A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5751857B2 publication Critical patent/JP5751857B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0024Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using conduction means, e.g. by using a heated platen

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】ヒートポンプの凝縮過程で記録媒体を加熱する際に、記録媒体を冷媒の凝縮温度以上に加熱できるようにするインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置は、記録ヘッドHと、記録ヘッドHによってインクが吐出された記録媒体を加熱する加熱手段と、記録ヘッドHによるインクの吐出が行われ加熱手段による加熱が行われた記録媒体101を搬送するための搬送手段とを有している。加熱手段は、ヒートポンプ機構を有している。加熱手段は、凝縮器105で冷媒が凝縮する際に凝縮器105で発生する熱が、記録媒体に移動することで記録媒体101を加熱させている。冷媒は、搬送手段によって記録媒体101の搬送される搬送方向に沿って、搬送方向の下流側で凝縮器105に流入し、搬送方向の上流側で凝縮器から流出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録の行われた記録媒体を加熱するための加熱手段を有する記録装置に関する。
インクジェット方式の記録による画像形成では、インクが記録媒体上に吐出されることで記録媒体に画像が形成される。このようなインクジェット方式により高速で記録が行われる場合には、記録の行われた記録媒体が排紙位置に配置された後にすぐに次に記録の行われた記録媒体が排紙位置に到達する。従って、インクを乾燥させるために記録媒体を乾燥させるための時間が十分に確保できない。これにより、記録の行われた記録媒体の記録画像部が、次に記録の行われた記録媒体に触れることがある。また、記録の行われた記録媒体が排出された直後に次に記録の行われた記録媒体が重なると、重ねた記録媒体の裏側にインクが付着することがある。これにより、記録の行われた記録物の品質が低下する可能性がある。そこで、インクを短時間で乾燥定着させるため、記録の行われた記録媒体を加熱乾燥させる機構を備えた記録装置が用いられている。
特許文献1では、予熱ヒータと加熱ヒータが設けられた定着装置について開示されている。この定着装置では、予熱ヒータと加熱ヒータとがそれぞれ複数のヒータに分割され、記録された記録画像の画像情報によって、画像の形成された箇所に対応したヒータを加熱させている。これにより、記録媒体を定着、乾燥させるための定着装置におけるエネルギーの消費量が少なく抑えられている。
特開2003−326680号公報
一般に、記録の行われた記録媒体を加熱するための加熱源としては、発熱抵抗体、ハロゲンヒータ、誘電加熱方式等が採用されている。しかしながら、このような加熱源を用いた場合、電流により発生するジュール熱等を利用しているため、電流を熱に変換する際に損失が発生することから一般に電流−熱変換効率があまり良くなく、加熱源の熱効率は比較的小さい。
そこで、記録媒体を加熱して記録画像を定着させる定着装置に、ヒートポンプ機能を有する蒸気圧縮冷凍サイクルを利用した熱変換装置が採用されることがある。このような定着装置が用いられることで、周囲から回収された熱が冷媒に供給されつつ、その冷媒が加熱源として機能するので、定着装置における熱変換効率が向上される。これにより、記録が行われた記録媒体を加熱する際の消費エネルギーを少なく抑えることができる。
ヒートポンプを加熱源として加熱乾燥装置に利用する場合には、一般に冷媒の凝縮過程で放熱される熱が記録媒体の加熱に利用されることになる。しかしながら、記録媒体を加熱する際に凝縮器で冷媒と記録媒体との間で熱交換を行うと、冷媒の温度が凝縮温度よりも高い過熱蒸気であったしても、冷媒と記録媒体との間で熱交換が行われることで冷媒の温度が凝縮温度まですぐに低下してしまう。そのため、通常、記録媒体を冷媒の凝縮過程で加熱する際には、記録媒体の温度が凝縮温度に達してしまうと、記録媒体と冷媒の温度とが等しくなり、それ以上に記録媒体の温度を上げることができない。このように、過熱蒸気の熱を有効に用いることができず、熱効率が十分ではなかったのでその分圧縮機を余分に駆動させることになり、使用電力が余分に嵩んでしまう可能性があった。
また、記録媒体は凝縮器から放熱される熱量を十分に得ることができないので、長時間このような状態が継続されれば凝縮器の放熱不足をまねいてしまう。その結果、凝縮器で冷媒が過冷却されないまま減圧されることになるため、安定な冷凍サイクルを維持することができず、圧縮機の運転圧力が高くなってしまう。圧縮機の運転圧力と消費電力は、ほぼ比例の関係にあることから、ヒートポンプの消費電力が上がってしまう。
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、ヒートポンプの凝縮過程で記録媒体を加熱する際に、記録媒体をより高温に加熱することができる記録装置を提供することである。
本発明の記録装置は、記録媒体上にインクを吐出するための記録ヘッドと、前記記録ヘッドによってインクが吐出された前記記録媒体を加熱する加熱手段と、前記記録ヘッドによるインクの吐出が行われ前記加熱手段による加熱が行われた前記記録媒体を搬送するための搬送手段とを備え、前記加熱手段は冷媒の通る流路を含むヒートポンプ機構を有し、前記ヒートポンプ機構は、冷媒の圧力を高めて冷媒を圧縮させる圧縮手段と、前記圧縮手段によって圧縮された冷媒を外部と熱交換を行うことで凝縮させる凝縮手段と、前記凝縮手段で凝縮した冷媒の圧力を低下させて膨張させる膨張手段と、前記膨張手段によって膨張された冷媒を外部と熱交換を行うことで蒸発させる蒸発手段とを有し、前記加熱手段は、前記凝縮手段で冷媒が凝縮する際に前記凝縮手段で発生する熱が、記録媒体に移動することで記録媒体を加熱させ、前記冷媒は、前記搬送手段によって記録媒体の搬送される搬送方向に沿って、前記搬送方向の下流側で前記凝縮手段に流入し、前記搬送方向の上流側で前記凝縮手段から流出することを特徴とする。
本発明によれば、より高温の過熱蒸気による熱量を利用して記録媒体を加熱させるため、記録媒体をより高温に加熱することができる。従って、記録媒体を短時間で加熱することができる。また、凝縮器の放熱不足を低減させることができ、安定な冷凍サイクルを維持できるため、ヒートポンプの消費電力を少なく抑えることができ、省エネルギー効果を向上させることができる。
本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置の要部について模式的に示した斜視図である。 図1のインクジェット記録装置によって記録が行われた後の記録媒体を加熱する加熱手段について模式的に示した断面図である。 図2の加熱手段において、凝縮器について拡大して示した平面図である。 図3の凝縮器のIV−IV線に沿う断面図である。 図3の凝縮器において、x方向についての放熱板における温度分布を示したグラフである。 図2の加熱手段におけるサイクルを、圧力とエンタルピとの関係を用いて示したグラフである。 図6の圧力とエンタルピとの関係を示したグラフにおける状態Bから状態Cに冷媒の状態が移るときの温度の変化を、温度とエンタルピとの関係を用いて示したグラフである 図3の凝縮器での冷媒の変化で、冷媒が受け取るエネルギーと、エネルギーに応じた冷媒の昇温幅との関係について示したグラフである。 図2の加熱手段によって記録媒体が加熱される際に行われる制御のフローについて示したフローチャートである。 本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置において、記録が行われた後の記録媒体を加熱する加熱手段について模式的に示した断面図である。 図10の加熱手段において、凝縮器について拡大して示した平面図である。 図11の凝縮器のXII−XII線に沿う断面図である。 図11の凝縮器を用いて記録媒体の加熱が行われた際のx方向についての放熱板における温度分布と、一体の凝縮器を用いて記録媒体の加熱が行われた際のx方向についての放熱板における温度分布について示したグラフである。
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(第一実施形態)
図1は、本発明の実施形態に適用するフルラインタイプのインクジェット記録装置の一例を模式的に示す斜視図である。インクジェット記録装置1には、インクを吐出する複数の吐出部(以下、ノズルともいう)を配列してなる長尺な記録ヘッド11〜18が、複数色のインクに対応して複数本並設されている。また、記録ヘッドの長手方向(吐出口の配列方向)であるX方向と交差する方向に沿って、記録媒体Pを搬送するための搬送部として無端の搬送ベルト20が設けられている。この搬送ベルト20は、2本のローラ21,22に掛け渡されており、一方のローラを図外の駆動モーターを連続的に回転させることによって巡回移動し、記録媒体を連続的にY方向へと搬送するようになっている。
また、この実施形態におけるインクジェット記録装置1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(Bk)のインクを吐出してカラー画像を形成するようになっており、記録ヘッドは、各インク色毎に2本ずつ配置されている。すなわち、図1において、H11,H12はシアンインクを吐出する2本の記録ヘッド、H13,H14はマゼンタインクを吐出する2本の記録ヘッドを示している。また、H15,H16はイエローインクを吐出する2本の記録ヘッド、H17,H18はブラックインクを吐出する2本の記録ヘッドをそれぞれ示している。なお、以下の説明において、特に各記録ヘッドを区別する必要がない場合には、記録ヘッドに符号Hを付す場合もある。
以上のインクジェット記録装置において、記録媒体Pは、不図示の給紙機構によって搬送ベルト20上に給紙される。このとき、記録ヘッドHは、図示しない駆動ドライバによって吐出エネルギー発生素子を選択的に駆動し、各々の吐出口よりインク滴を選択的に吐出することで、記録が行われる。この搬送機構、駆動ドライバ及び記録ヘッドH11〜H18は、制御系におけるCPUによってその動作を制御される。すなわち、記録ヘッドH11〜H18は、制御系から送られる吐出データに基づき各ノズルからインクを吐出しつつ、搬送ベルト20は、記録ヘッドH11〜H18におけるインク吐出動作に同期して記録媒体Pを搬送する。この記録媒体Pの搬送動作およびインクの吐出動作によって記録媒体P上に画像が記録される。記録ヘッドH11〜H18は、色の異なる複数種類のインクを記録媒体に吐出することで記録媒体にカラー画像を形成することが可能である。なお、吐出エネルギー発生素子の具体例としては、ピエゾ素子、発熱素子、静電素子、MEMS素子等がある。本実施形態のように、フルラインタイプのインクジェット記録装置によって記録が行われている場合には、ノズルを高密度に配列することが好ましいので、本実施形態では、高密度実装が容易な電気熱変換素子が用いられている。
図2に、本発明の記録媒体の加熱部と、記録媒体の搬送手段とを有する記録媒体の加熱乾燥手段の構成についての概略的な断面図を示す。図2において、記録媒体の搬送手段は、搬送ベルト102と搬送ローラ103を有して構成されている。また、本実施形態のインクジェット記録装置は、蒸気圧縮冷凍サイクルによって運転されるヒートポンプ機構を有している。記録媒体を加熱する加熱手段は、ヒートポンプ機構を利用することで記録媒体を加熱し、加熱手段の加熱部は、圧縮機(圧縮手段)104と凝縮器(凝縮手段)105と膨張弁(膨張手段)106と蒸発器(蒸発手段)107を有して構成されている。
以下に、第一実施形態のインクジェット記録装置に用いられる記録媒体乾燥装置の、蒸気圧縮冷凍サイクルのヒートポンプを加熱源として記録媒体を加熱する際の本発明の加熱原理について説明する。
加熱部は、圧縮機104、凝縮器105、膨張弁106、蒸発器107、圧力計108、ファン(不図示)、インバータ制御器を有して構成されている。また、凝縮器105には温度測定用の温度センサー(不図示)が設けられている。使用した冷媒は一般的な代替フロン(ハイドロフルオロカーボン)である。圧力計108により凝縮器105内の冷媒の圧力が把握でき、またその時の凝縮温度がわかる。インバータ制御器により周波数を30Hzから75Hzまで調整することで、圧縮機104の回転数が変わり冷媒の循環量の制御ができ、凝縮器105の放熱量を調整できる。蒸発器107にファンが取り付けられていることにより、蒸発器107の周囲から高効率で熱を回収することができる。凝縮器105は搬送ベルト102の下に取り付けられており、搬送ベルト102が凝縮器105に密着するように搬送ベルト102が取り付けられている。記録の行われた記録媒体101は、搬送ベルト102を介して凝縮器105との間で熱交換が行われ、記録媒体が加熱される。
このように、インクジェット記録装置は、加熱手段として、凝縮器105における放熱部の温度を測定する温度測定手段を有している。また、インクジェット記録装置は、記録媒体の搬送方向における下流側の放熱部の温度が冷媒の凝縮温度以上となるように圧縮機104を駆動させるモーター(圧縮手段駆動モーター)の回転数を決定する演算手段を有している。そして、インクジェット記録装置は、圧縮機を駆動させるモーターの回転数を制御する制御手段を有している。本実施形態では、インクジェット記録装置のCPUが、演算手段及び制御手段として機能している。
図3は、凝縮器105における熱交換の行われる面を上方から見て、冷媒の流路を部分的に示した平面図である。図4は、図3におけるIV−IV線に沿う断面図である。凝縮器105は、アルミプレート112によって形成された直方体状の放熱板120の内部に銅管111が蛇行するように配置されて形成されている。なお、銅管111の配置は、図3に示される配置に限定されず、他の配置であっても良い。銅管111とアルミプレート112との接触面積は大きいことが好ましく、接触面積が増加することで、冷媒とアルミプレート112との熱変換効率が高まる。アルミプレート112と銅管111は伝熱性を向上させるため密着性が高い加工がされている。また、銅管111は圧縮機104から過熱蒸気B入口まで断熱処理されており、過熱蒸気Bの熱量が周囲へ放熱することを防いでいる。搬送ベルト102と接触するアルミプレート112の表面は、搬送ベルト102との密着性を高めるために平滑度が高く、かつ摩擦による磨耗を少なくするため、例えば、Tiなどによりメッキ処理がされている。一方、裏面及び側面側は搬送ベルト102以外への放熱を防ぐため断熱処理がされている。また、温度センサーは、放熱板120における紙幅方向中央部の過熱蒸気B入口側付近に取り付けられている。
圧縮機104により所望温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力まで圧縮して過熱蒸気Bとなった冷媒は、過熱蒸気Bのまま入口側から入り蛇行して配置された銅管111を通りながら凝縮し出口側へ流れる。このとき、冷媒が過熱蒸気となって流れている銅管111が配置されている放熱板120の表面温度は、冷媒の凝縮温度以上となっている。よって、放熱板120とベルトとの接触面である放熱面の温度分布は、図3に示されるx方向に向かうにつれて高温となる。この時の凝縮器105における放熱板120の放熱面の温度分布の一例について図5に示す。
また、図2に示される搬送手段には、記録媒体101を搬送ベルト102に吸着させるための吸引機構(不図示)が設けられている。搬送ベルト102には、記録媒体101を吸引するための小さい穴が形成されている。また、放熱板120には、記録媒体101を放熱板120に吸着させるための複数の空気吸引孔が形成されると共に、この空気吸引孔の下方には吸引ファンが配置されている。この吸引ファンによって空気吸引孔から空気を吸引することにより、記録媒体101が搬送ベルト102に吸着され、記録媒体101と搬送ベルト102とが密着した状態で記録媒体が放熱板上を搬送される。
なお、記録媒体101と搬送ベルト102とを密着させる密着方法については、吸引機構によって記録媒体を搬送手段に吸着させるものに限定されず、静電的な方法を用いて記録媒体101を搬送ベルト102に密着させてもよい。その場合、搬送手段は、搬送ローラ103に搬送ベルト102を巻いた搬送部と記録媒体101を静電的に吸着するための機構(不図示)を有して構成される。記録媒体を搬送手段に静電的に吸着させる場合、搬送ベルト102は、ポリイミド樹脂の無端状に形成した数〜数十μmのフィルム表面に、数μm単位の導電層および離型層(抵抗層)を順次コーティングした多層に形成されても良い。このとき搬送ベルト102の導電層は不図示の電気的接続によりアースに落とされ、絶縁層でもある離型層、あるいはさらにその上にくる記録媒体101との間に電荷を付与することで記録媒体101を静電的に吸着して、放熱板上を搬送することができる。
本実施形態におけるヒートポンプで用いられる蒸気圧縮冷凍サイクルについて、圧力PとエンタルピhによるP−h線図に示したものを図6に示す。本実施形態で用いられるヒートポンプ機構は、図6のP−h線図に示されるように、図6のAの状態にあるときの過熱蒸気Aを、圧縮機104により所望温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力まで圧縮し、図6における状態Bの過熱蒸気Bにして凝縮器105に送る。凝縮器105に送られた過熱蒸気は、凝縮器105より熱量Q1を放熱することで冷やされ、液化して図2の状態Cに示される過冷却液Cになる。この過冷却液Cは膨張弁106に送られ、膨張弁106によって等エンタルピ膨張を行って図2の状態Dに示される湿り蒸気Dになり、蒸発器107に送られる。蒸発器107に送られた湿り蒸気Dは、周囲から熱量Q2を得て気化して過熱蒸気Aになり、再び圧縮機104に送られ、熱サイクルが繰り返される。
記録媒体の加熱を行う際には、凝縮器と記録媒体との間で熱交換が行われ、凝縮器によって外部に放熱された熱によって記録媒体が加熱される。凝縮器と記録媒体との間で熱交換が行われる際の、凝縮器から放熱される熱量について説明する。図7に、凝縮器105より放熱される熱量Q1のエンタルピ変化と温度の関係を示す。過熱蒸気の状態がBからB’まで変化したときの顕熱変化では、温度が低下しながらエンタルピはhからhB’と変化する。凝縮の行われている状態である図7の状態B’から状態C’への過程では、潜熱が放熱されるので、温度が一定のままエンタルピがhB’からhへと変化する。過冷却の状態である状態C’から状態Cまでの顕熱変化では、温度が低下しながらエンタルピがhC’からhへ変化する。また、図7に示される状態Bのときの過熱蒸気Bから状態B’のときの過熱蒸気B’に至る過程で、冷媒から外部へ放熱される熱量をQ1’’とする。エンタルピがhB’からhまで変化する際に、冷媒から外部に放熱される熱量をQ1’とする。
本実施形態では、記録媒体と凝縮器との間で熱交換が行われる際には、記録媒体101は搬送手段により、冷媒が凝縮器105から流出する冷媒出口側から冷媒が凝縮器105に流入する冷媒入口側へ向かって搬送される。つまり、冷媒は、搬送手段によって記録媒体101の搬送される搬送方向に沿って、記録媒体の搬送方向の下流側で凝縮器105に流入する。また、冷媒は、記録媒体の搬送方向の上流側で凝縮器105から流出する。従って、記録媒体は、まず凝縮器105における冷媒の流出する冷媒出口側で加熱され、記録媒体の温度が十分に上昇した状態で、凝縮器105における冷媒の流入する冷媒入口側で記録媒体と凝縮器105との間の熱交換が行われる。凝縮器105における冷媒の流出する冷媒出口側では、冷媒の温度が冷媒の凝縮温度T0付近なので、記録媒体101の温度がT0付近まで上昇する。その後、記録媒体101が、冷媒の凝縮器105に流入する冷媒入口側に搬送され、そこで記録媒体101と凝縮器105との間で熱交換が行われる。このときには、記録媒体の温度が既に冷媒の凝縮温度T0付近まで上昇しているので、記録媒体101が凝縮器105との間で熱交換を行う際に記録媒体101が凝縮器105に接触しても、その際の凝縮器105の温度の低下を少なく抑えることができる。
従って、凝縮器105からの熱量Q1を利用して記録媒体を加熱する際に、まず、エンタルピ変化が比較的大きい潜熱変化(hB’→hC’)及び過冷却時の顕熱変化(hC’→h)の際の熱量Q1’(hB’→h)が用いられて記録媒体の加熱が行われる。これによって、まず冷媒の凝縮温度T0付近まで記録媒体の温度を上昇させる。さらに、その後、過熱蒸気の顕熱変化(h→hB’)によってエンタルピが変化する際の放熱による熱量Q1’’によって、凝縮器と記録媒体との間でさらに熱交換が行われる。これにより、記録媒体の温度が、凝縮温度T0から、それ以上の温度T1付近まで上昇する。
このように、記録媒体101が凝縮器105と熱交換を行う際には、記録媒体101が凝縮器105における冷媒出口側から冷媒入口側へ搬送されながら熱交換が行われる。そのため、記録媒体が冷えた状態で凝縮器105の冷媒入口側に接触することが抑えられ、これによって記録媒体101が冷媒の温度を低下させてしまうことを抑えることができる。従って、まず記録媒体が冷媒の凝縮温度T0付近まで加熱された後に、凝縮器105における入口側の高温の過熱蒸気により、凝縮温度T0を超えた温度T1付近まで記録媒体の温度を上昇させることができる。このように、本実施形態では、記録媒体101が、凝縮器105における冷媒出口側から冷媒入口側に向かって搬送されるので、記録媒体が徐々に加熱されて、冷媒の顕熱による熱を有効に利用することができる。従って、記録媒体を乾燥させるための熱効率をさらに向上させることができる。また、このとき、記録媒体101の熱容量は比較的小さいので、エンタルピ変化の比較的小さい過熱蒸気の熱量Q1’’でも十分に温度を上昇させることができ、記録媒体101の温度を凝縮温度T0より大きいT1まで加熱することができる。
過熱蒸気の顕熱の変化による放熱によって記録媒体の温度の上昇する温度変化について説明する。図6及び図7に示されるように、熱量Q1を放熱する際には、冷媒におけるエンタルピはhからhまで変化する。そのうち、過熱蒸気における顕熱の変化では、冷媒のエンタルピは、hからhB'まで変化する。このときの、エンタルピの変化の比としては、冷媒の顕熱変化によって放熱される熱量Q1’’は、冷媒の凝縮の際に放熱される全体の熱量Q1の約20%程度である。ヒートポンプの能力として、Q1が2500W程度見込まれる場合には、過熱蒸気の顕熱変化による放熱の分は、500W程度となる。
図8に、記録の行われた記録媒体が凝縮器から単位時間当たりに受け取るエネルギーと、そのときに昇温する温度幅の計算結果の一例について示す。ここでは、用紙坪量105g/mのA4サイズの普通紙の記録媒体に、4plのインク滴を1200dpiの間隔で100%Duty記録が行われる。この条件で、一分間に60枚の記録媒体に記録が行われる搬送速度で記録媒体が搬送されるときの記録媒体の昇温する温度幅と、一分間に100枚の記録媒体に記録が行われる搬送速度で記録媒体が搬送されるときの記録媒体の昇温する温度幅が、図8に示されている。ここでは、単位時間当たりに記録媒体が、凝縮温度以上である顕熱での熱量Q1’’による500Wのエネルギーを受け取って加熱される際の温度上昇幅が示されている。このとき、図8に示されるように、記録媒体の温度は、一分間に60枚の記録が行われる搬送速度で記録媒体が搬送されるときでは、計算上約40℃上昇させることができる。また、一分間に100枚の記録が行われる搬送速度で記録媒体が搬送されるときでは、記録媒体の温度を約25℃上昇させることができる。ただし、実際は、熱交換の際の損失や記録媒体の昇温とともにインク中の水分蒸発によってエネルギーの一部が無駄に消費されるため、Q1’’の500Wを全て昇温のためには利用できない。従って、上記で算出した温度よりも低くなる。しかしながら、過熱蒸気の熱量を利用して記録媒体を昇温することで、さらに記録媒体の加熱の熱効率を向上させることができるので、消費電力を低減させつつ、インクの乾燥速度を向上させることができる。
図9に本実施形態のヒートポンプ機構による記録媒体の加熱についてのフローチャートを示す。図9を用いて本実施形態におけるヒートポンプ機構による記録媒体の加熱についてのフローを以下に説明する。ヒートポンプ機構による記録媒体の加熱についてのフローがスタートすると、加熱部のヒートポンプの圧縮機104が駆動し凝縮器105における放熱板120のウォーミングアップが開始される(ステップS101)。同時に記録ヘッドからのインクの吐出が行われる前の回復動作が始められ、記録動作準備が開始される(ステップS102)。記録動作準備が終了した後、出力する画像情報を受信するまで待機モードとなる(ステップS103)。その間、凝縮器105の放熱板120のウォーミングアップ開始と同時に温度検知手段にて放熱板120の温度が測定され、記録媒体における記録の行われた面を乾燥させるのに必要な温度に達したかどうかを判断する(ステップS104)。
凝縮器105における放熱板120の温度が記録媒体における記録の行われた面の乾燥に必要な加熱温度に達していない場合には、凝縮器105はウォーミングアップを継続する。そして、凝縮器105の放熱板120の温度が加熱温度に達すると、ヒートポンプ機構は待機モード(ステップS105)に移行する。待機モード(ステップS105)では、圧縮機の回転数は、凝縮器105に設けられた放熱板120の温度が乾燥に必要な加熱温度を維持するのに必要とされる回転数に維持される。その後、画像情報がインクジェット記録装置に送信され、インクジェット記録装置によって記録動作が実行される(ステップS106)と、加熱部のヒートポンプの圧力計108により圧力が測定される(ステップS107)。
そして、圧力計108によって測定された圧力から、図2に示されるP−h線図によって冷媒の凝縮温度が算出される(ステップS108)。凝縮器105に設けられた放熱板120の温度検知手段にて凝縮器105に設けられた放熱板120の温度が測定され、凝縮器105の放熱板温度が冷媒の凝縮温度以上となっているかをステップS108で算出された温度と比較して判断する(ステップS109)。放熱板120の温度が冷媒の凝縮温度以上となっていない場合には、インバータ制御部により圧縮機の周波数を上げて回転数を上げる制御を行う(ステップS110)。回転数が増加すると、その増加に伴い冷媒の循環量が増え、凝縮器105の放熱板120から放熱される熱量が増加する。放熱板120の温度が凝縮温度以上になっている場合には、記録動作終了かを判断する(ステップS111)。記録動作が終了せず継続する場合は、ステップS102に戻り記録動作終了までS102〜S111が繰り返される。記録動作を終了させる場合には、ヒートポンプを停止(ステップS112)させ、記録ヘッドが待機位置に戻り電力供給が停止され、インクジェット記録装置による記録動作を停止させる(ステップS113)。
上述したような加熱部を有する記録媒体の加熱乾燥手段により、記録の行われた記録媒体101は、搬送中に凝縮器105に設けられた放熱板120と熱交換を行うことで加熱される。記録の行われた記録媒体101は、凝縮器105の放熱板120の銅管111における低温側となる冷媒の出口側から高温側となる過熱蒸気Bの入口側へ搬送されることにより、ヒートポンプ機構における冷媒の凝縮温度以上まで加熱することできる。従って、インクの乾燥速度を向上させることができる。
以下に、本実施形態のヒートポンプ機構による記録媒体の加熱の際の具体的な効果について説明する。本実施形態では、図3に示されるヒートポンプ機構の凝縮器105に設けられた放熱板120における熱が外部に放熱される放熱面の大きさは320mm×400mmとした。放熱板120は、アルミプレートによって中空の箱状に形成されており、記録媒体と熱交換が行われる面については熱伝達が可能に形成され、記録媒体との間で熱交換が行われない面については断熱面として形成されている。この放熱板内に、銅管が約5m蛇行して配置されている。銅管内部では冷媒が流通し、圧縮機を運転してから120秒程度で放熱面の過熱蒸気入口側の温度が乾燥に必要な加熱温度である70℃となるようにヒートポンプ内の冷媒量が調整されている。冷媒は、代替フロン(ハイドロフルオロカーボン)であるR134aが使用されている。
ヒートポンプにおける圧縮機104を最大周波数である75Hzで稼動させ、放熱面の冷媒入口側の温度が70℃になったところで、圧縮機104の周波数を調整しながら放熱面の温度を維持した。搬送速度400mm/secでインクが記録された記録媒体を連続的に搬送開始し、予め記録媒体の加熱温度に維持しておいた待機中の凝縮器105における放熱板上を記録媒体に通過させ、記録媒体を加熱乾燥させた。記録媒体には、A4サイズで厚さ100μmの普通紙を用いた。このとき、ヒートポンプ機構としての消費電力は、約280Wであった。凝縮器105と膨張弁106の間に取り付けられた凝縮器の圧力ゲージ108の値は1.6MPaで凝縮温度は60℃程度であった。また、凝縮器105である放熱板120の温度は、冷媒入口側が68℃で、凝縮温度よりも高くなっていた。なお、上述のように、凝縮器の放熱面における搬送方向の長さが400mmで搬送速度が400mm/secであるので、記録媒体の加熱時間は1秒であった。
本実施形態では、加熱部を有する記録媒体の加熱乾燥手段により、記録媒体101は凝縮器105における放熱板120の冷媒出口側から冷媒入口側へ搬送される。このとき、凝縮器105の放熱面からの加熱が行われた記録媒体101上の表面温度は、25℃から63℃まで上昇していた。記録媒体101は凝縮器105における放熱板中央部付近まで搬送される間に、凝縮温度とほぼ同じ温度の凝縮器105である放熱板120の温度まで加熱され、凝縮器105である放熱板冷媒入口付近の搬送終盤でさらに温度が上昇した。
一方、これに対し記録媒体101を、本実施形態とは逆方向の、凝縮器105における放熱板120の冷媒入口側から冷媒出口側へ搬送したところ、記録媒体101上の表面温度は25℃から58℃までしか上昇しなかった。これは、凝縮器105において過熱蒸気の流れる冷媒入口側の放熱板120が、まだ加熱されていない記録媒体101によって冷やされるので、過熱蒸気が凝縮温度まで低下してしまうためである。過熱蒸気の有する熱が記録媒体へ放熱されると、過熱蒸気は熱容量が小さいので高温を維持できずに、凝縮器105における放熱板120の温度が凝縮温度とほぼ同じ温度まで低下する。この記録媒体の搬送方向では、凝縮器105における放熱板120の温度が60℃まで低下する。
従って、記録媒体101の搬送方向は、凝縮器105における放熱板120の低温側となる冷媒出口側から高温側となる冷媒入口側へ搬送する方が、凝縮器から記録媒体への熱伝達を効率的に行うことができる。つまり、記録媒体は、冷媒の放熱板内の循環方向と対向する凝縮器105である放熱板120の低温側から高温側へ搬送される方が、凝縮器と記録媒体との間の熱交換を効率的に行うことができる。
以上より、本実施形態によれば、消費電力を上昇させずにヒートポンプ機構による記録媒体101の加熱温度を上昇させることができるので、記録媒体の加熱に要する時間を短縮させることができる。従って、記録媒体を短時間で加熱することができる。また、凝縮器の内部で冷媒の放熱がより効率的に行われることで、凝縮器を通る冷媒による放熱をより確実に行うことができる。そのため、凝縮器の放熱不足を低減させることができ、冷凍サイクルを安定して運転することができるので、圧縮機の運転圧力を低下させることができる。従って、圧縮機を運転するのに消費される電力を少なく抑えることができ、冷凍サイクルの運転コストを低く抑えることができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図10は、第二実施形態における、記録ヘッドによりインクが記録された記録媒体101を加熱する加熱乾燥手段についての構成を概略的に示した断面図である。第二実施形態のヒートポンプ機構では、凝縮器105a、105bが二つに分離している点で第一実施形態のヒートポンプ機構と異なる。第二実施形態では、凝縮器105は、湿り蒸気となった冷媒が凝縮器から流出する冷媒の出口側の凝縮器105aと、過熱蒸気の状態の冷媒が凝縮器に流入する冷媒の入口側の凝縮器105bとに分離されている。それぞれの凝縮器105a、105bにおける放熱板を放熱板120a、120bとする。
図11に、第二実施形態における凝縮器105が冷媒の入口側と出口側とに分離した構成を示し、冷媒の流路について部分的に示した平面図である。図12は、図11のXII-XII線に沿う断面図である。図11、12に示される凝縮器105a、105bは、放熱板120a、120bが冷媒の入口側と冷媒の出口側とで分離した構成以外は第一実施形態と同様である。
凝縮器を冷媒の入口側と冷媒の出口側とで分離させる分離位置について、条件の一例を図6及び図7のグラフを用いて説明する。記録媒体101が搬送されながら図11の凝縮器105における放熱板120a、120bと熱交換することで加熱される際、ヒートポンプの冷凍サイクルが図6及び図7のように運転されるとする。
凝縮器105bに流入した冷媒は、過熱蒸気Bの状態から過熱蒸気B’の状態に移りながら凝縮器105b内の冷媒の流路を流れ、一旦凝縮器105bから流出する。その後、冷媒は凝縮器105aに流入し、凝縮器105aの内部で湿り蒸気B’の状態から過冷却液Cの状態に移る。このとき、記録媒体101は凝縮器105aの放熱板120aと搬送ベルト102との接触面から放熱される熱量Q1’と、凝縮器105bの放熱板120bと搬送ベルト102との接触面から放熱される熱量Q1’’により加熱されることになる。
このとき、本実施形態では、それぞれの放熱板で放熱されるQ1’とQ1’’の熱量比(エンタルピ変化量の比)は、凝縮器105bの放熱板120bの放熱面積と凝縮器105aの放熱板120aの放熱面積の比となるように構成されることが好ましい。記録媒体の違いや搬送速度の違いなどにより、凝縮器105である放熱板と記録媒体101との間の熱交換の状態が変化する場合がある。このような場合には、図6及び図7の冷凍サイクルが変化し放熱量比(エンタルピ変化量の比)が変わる可能性がある。この場合、図6及び図7に示される冷凍サイクルが維持されるために、圧縮機104に設けられたインバータ制御手段で圧縮機104の回転数を制御し、冷媒循環量を調整すればよい。具体的には、図9に示すステップS107からのフローに従って、ヒートポンプ機構が運転される。本実施形態では、凝縮器における温度検知手段は、図12の凝縮器105bにおける放熱板120bの温度測定位置に設けられている。
以上のように、本実施形態では、凝縮器の放熱板が二つに分離されているので、冷媒の入口側の凝縮器における比較的高温の放熱板から冷媒の出口側の凝縮器における比較的低温の放熱板に熱が移動することが抑えられる。従って、冷媒の入口側の凝縮器における比較的高温の放熱板の温度が低下することが抑えられ、冷媒の入口側の凝縮器における放熱板の温度が高温のまま維持される。従って、放熱板の過熱蒸気入口側の温度をより高温にすることができ、加熱された記録媒体の温度をより高温にすることができる。
二つの凝縮器105a、105bのそれぞれの放熱板で放熱されるQ1’とQ1’’とを比べると、過熱蒸気での顕熱Q1’’は、Q1’よりも小さい。従って、二つに分離された凝縮器のうち、記録媒体の搬送方向における下流側の部分は、熱容量が記録媒体の搬送方向における上流側の熱容量よりも小さい方が好ましい。
このように、冷媒の入口側の凝縮器105bの温度を、第一実施形態における凝縮器105の過熱蒸気Bの入口側の冷媒温度よりも高温にすることができるので、記録媒体を高温の冷媒によって加熱することができる。従って、加熱が行われたときに、さらに記録媒体101の温度を上昇させることができる。凝縮器105a、105bの放熱板120a、120bにおいて記録媒体との間で熱交換の行われる熱量が増えるので、記録媒体の加熱をより効率的に行うことができる。また、凝縮器105a、105bにおける放熱板120a、120bからの放熱をより確実に行うことができるので、冷凍サイクルの運転を安定して行うことができ、ヒートポンプの消費電力を少なく抑えることができる。
本実施形態で示される分離された凝縮器105a、105bにおける放熱板120a、120bの放熱面の温度分布と、第一実施形態のように、一体に形成された放熱板の凝縮器が用いられた際の凝縮器における放熱板の温度分布を図13に示す。図13を用いて、本実施形態による記録媒体の加熱の効果について説明する。本実施形態では、凝縮器105bにおける放熱板120bの放熱面サイズは320mm×80mm、凝縮器105aにおける放熱板120aの放熱面サイズは320mm×320mmとし、それぞれの間を5mm程度離間させた。2つのプレート内に蛇行して配置した銅管の全長は約5mで、ヒートポンプ内の冷媒量は第一実施形態と同じにした。また、本実施形態の記録媒体の加熱プロセスのフローは図9と同じである。
ヒートポンプを圧縮機104の最大周波数である75Hzで稼動し、凝縮器105bである放熱板の温度が乾燥に必要な加熱温度である80℃になったところで、圧縮機104の周波数を調整しながら放熱面温度を維持した。搬送速度400mm/secでインクが記録された記録媒体を連続的に搬送開始し、予め加熱可能となって待機中の凝縮器105である放熱板上を通し加熱乾燥させた。記録媒体101には、A4サイズで厚さ100μmの普通紙を用いた。この時、ヒートポンプの消費電力は約280Wであった。凝縮器105と膨張弁106の間に取り付けられた凝縮部の圧力ゲージ108の値は1.6MPaで凝縮温度は60℃であった。また、凝縮器105bである放熱板120bの温度は75℃で凝縮温度よりも高く、さらに実施形態1の凝縮器105である放熱板温度よりも高くなっていた。
加熱部を有する記録媒体の加熱乾燥手段により記録媒体101は、凝縮器105aである放熱板120aの冷媒出口側から凝縮器105bである放熱板の冷媒入口側へ搬送され、記録媒体上の表面温度は25℃から68℃まで上昇していた。記録媒体101は凝縮器105aである放熱板上を搬送される間に凝縮温度付近まで加熱され、第一実施形態における放熱板冷媒入口付近より高い温度の凝縮器105bである放熱板上を搬送されることでさらに温度が上昇した。その結果、第一実施形態で行われた記録媒体の加熱よりも記録媒体上の表面温度をさらに5℃上げることができた。また、記録媒体の連続搬送中に凝縮器105と膨張弁106の間に取り付けられた凝縮部の圧力ゲージ108は1.6MPaで安定に維持され、圧縮機104の消費電力は280Wで一定であった。
以上のように、ヒートポンプを熱源とした加熱部を有する加熱乾燥手段において、インクが記録された記録媒体の温度が冷媒の凝縮温度以上に上昇することで、乾燥に必要な時間をさらに短縮することができる。また、放熱板との熱交換効率が上がるため放熱不足が低減し、安定した冷凍サイクルを維持できるため、圧縮機の消費電力を必要以上に上げずに記録媒体の加熱乾燥ができるので、さらに省エネルギー効果が高まる。近年、高温利用可能なCO冷媒によりヒートポンプの加熱温度を高くすることが可能となっている。これを利用することにより、さらに乾燥時間の短縮化を図ることができる。
なお、本実施形態では、凝縮器における放熱板は二つに分離されているが、本発明はこれに限定されない。凝縮器における放熱板は、二つ以上に分離されても良い。凝縮器における高温側の放熱板をさらに細かく分割することで、一つの放熱板を通る冷媒の温度差が少なく抑えられ、放熱板内で温度が均一化されることにより高温側の放熱板の温度が低下してしまうことが抑えられる。従って、冷媒入口側の温度の低下をさらに抑えることができ、凝縮器の入口側の放熱板の温度をさらに高く維持できる。
なお、上記実施形態では、インクジェット記録装置は、記録媒体の幅方向の全域に亘って延在する記録ヘッドを用いるフルラインタイプのインクジェット記録装置を用いることとしたが、本発明はこれに限定されない。記録ヘッドの主走査方向の移動と、記録媒体の副走査方向の搬送と、を伴って画像を記録媒体に記録するいわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置が用いられても良い。
また、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わずに用いられる。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または記録媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録装置」とは、プリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置などのプリント機能を有する装置、ならびにインクジェット技術を用いて物品の製造を行なう製造装置を含む。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものを表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
1 インクジェット記録装置
H 記録ヘッド
104 圧縮機
105 凝縮器
106 膨張弁
107 蒸発器

Claims (4)

  1. 記録媒体上にインクを吐出するための記録ヘッドと、前記記録ヘッドによってインクが吐出された前記記録媒体を加熱する加熱手段と、前記記録ヘッドによるインクの吐出が行われ前記加熱手段による加熱が行われた前記記録媒体を搬送するための搬送手段とを備え、
    前記加熱手段は冷媒の通る流路を含むヒートポンプ機構を有し、
    前記ヒートポンプ機構は、冷媒の圧力を高めて冷媒を圧縮させる圧縮手段と、前記圧縮手段によって圧縮された冷媒を外部と熱交換を行うことで凝縮させる凝縮手段と、前記凝縮手段で凝縮した冷媒の圧力を低下させて膨張させる膨張手段と、前記膨張手段によって膨張された冷媒を外部と熱交換を行うことで蒸発させる蒸発手段とを有し、
    前記加熱手段は、前記凝縮手段で冷媒が凝縮する際に前記凝縮手段で発生する熱が、記録媒体に移動することで記録媒体を加熱させ、
    前記冷媒は、前記搬送手段によって記録媒体の搬送される搬送方向に沿って、前記搬送方向の下流側で前記凝縮手段に流入し、前記搬送方向の上流側で前記凝縮手段から流出することを特徴とする記録装置。
  2. 前記凝縮手段は、前記搬送手段によって記録媒体の搬送される搬送方向に沿って、少なくとも二つ以上に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記凝縮手段は二つに分離され、二つに分離された前記凝縮手段のうち、記録媒体の搬送方向における下流側の部分は、熱容量が記録媒体の搬送方向における上流側の熱容量よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記加熱手段は、前記凝縮手段の温度を測定する温度測定手段と、記録媒体の搬送方向における下流側の前記凝縮手段の温度が冷媒の凝縮温度以上となるように前記圧縮手段を駆動させる圧縮手段駆動モーターの回転数を決定する演算手段と、前記圧縮手段駆動モーターの回転数を制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
JP2011035801A 2011-02-22 2011-02-22 記録装置 Expired - Fee Related JP5751857B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011035801A JP5751857B2 (ja) 2011-02-22 2011-02-22 記録装置
US13/396,957 US8640618B2 (en) 2011-02-22 2012-02-15 Printing apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011035801A JP5751857B2 (ja) 2011-02-22 2011-02-22 記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012171228A true JP2012171228A (ja) 2012-09-10
JP5751857B2 JP5751857B2 (ja) 2015-07-22

Family

ID=46652373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011035801A Expired - Fee Related JP5751857B2 (ja) 2011-02-22 2011-02-22 記録装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8640618B2 (ja)
JP (1) JP5751857B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105939865A (zh) * 2014-02-07 2016-09-14 惠普发展公司,有限责任合伙企业 干燥控制
JP2019166827A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation 水性インク印刷機において被覆基材上の画像を乾燥させるための印刷機および乾燥機

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108349237B (zh) 2015-08-14 2020-06-19 M&R印刷设备有限公司 丝网印刷和直接服装印刷的混合型印刷机及其方法
CN106864064A (zh) * 2017-03-06 2017-06-20 无锡赛丽特科技有限公司 布料环保防水印花工艺
CN108296143B (zh) * 2017-12-15 2021-06-08 陕西北人印刷机械有限责任公司 一种水基涂料的低温高效烘干系统
CN109383119B (zh) * 2018-12-20 2020-12-04 于婉晴 印刷机传动用陶瓷滚筒
US11938716B2 (en) * 2019-08-15 2024-03-26 Bobst Bielefeld Gmbh Refrigeration unit for a printing machine and printing machine
US11077676B2 (en) 2019-10-18 2021-08-03 M&R Printing Equipment, Inc. Digital-to-garment inkjet printing machine
US11318760B2 (en) * 2019-12-23 2022-05-03 Xerox Corporation Media transport belt that attenuates thermal artifacts in images on substrates printed by aqueous ink printers
CN111300979A (zh) * 2020-03-24 2020-06-19 佛山市恺盛印务有限公司 一种印刷的镜面化妆镜退镜方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003326680A (ja) * 2002-05-09 2003-11-19 Seiko Instruments Inc 定着装置および画像形成装置
JP2010188638A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Seiko Epson Corp 記録装置、記録方法
JP2010274524A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Canon Inc インク乾燥装置およびインクジェット記録装置
JP2011020318A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Seiko I Infotech Inc インクジェット記録装置及びその記録方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10123489B4 (de) * 2001-05-15 2009-04-02 Goss Contiweb B.V. Vorrichtung zum Kühlen einer Materialbahn
DE10354454B4 (de) * 2003-11-21 2009-11-26 Technotrans Ag Temperiervorrichtung für Druckmaschinen

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003326680A (ja) * 2002-05-09 2003-11-19 Seiko Instruments Inc 定着装置および画像形成装置
JP2010188638A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Seiko Epson Corp 記録装置、記録方法
JP2010274524A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Canon Inc インク乾燥装置およびインクジェット記録装置
JP2011020318A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Seiko I Infotech Inc インクジェット記録装置及びその記録方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105939865A (zh) * 2014-02-07 2016-09-14 惠普发展公司,有限责任合伙企业 干燥控制
CN105939865B (zh) * 2014-02-07 2018-01-19 惠普发展公司,有限责任合伙企业 干燥控制
US10195873B2 (en) 2014-02-07 2019-02-05 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Drying control
JP2019166827A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation 水性インク印刷機において被覆基材上の画像を乾燥させるための印刷機および乾燥機
JP7130578B2 (ja) 2018-03-23 2022-09-05 ゼロックス コーポレイション 水性インク印刷機において被覆基材上の画像を乾燥させるための印刷機および乾燥機

Also Published As

Publication number Publication date
US8640618B2 (en) 2014-02-04
US20120212537A1 (en) 2012-08-23
JP5751857B2 (ja) 2015-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5751857B2 (ja) 記録装置
US8292396B2 (en) Image forming apparatus which adjusts ink temperature
US7860418B2 (en) System and method for cooling a roller having multiple heating zones
JP2023505035A (ja) Itm内部に埋め込まれた粒子によって吸収された赤外線放射を使用したデジタル印刷におけるインクの乾燥
US8509664B2 (en) Image forming apparatus
JP5367629B2 (ja) インクジェットプリンタ
CN102886994B (zh) 图像形成装置和图像形成方法
US8622505B2 (en) Image forming apparatus including cooling device that cools a recording medium and image forming method including cooling a recording medium
US20100073417A1 (en) Heated Drum Assembly Having A Multiple Speed Fan For Use In A Printer
JP7276705B2 (ja) 冷却装置及び画像形成装置
US20140198164A1 (en) Inkjet Printer Having An Image Drum Heating And Cooling System
JP5483931B2 (ja) インク乾燥装置およびインクジェット記録装置
US8827438B2 (en) Recording apparatus
JP2012045764A (ja) 画像記録装置および乾燥制御方法
JP2010076424A (ja) 印刷装置
JP2017537004A (ja) 記録基材処理装置、印刷システム及び乾燥方法
JP2007076060A (ja) 液滴吐出装置
US20110025751A1 (en) Inkjet printer with ink temperature adjustment mechanism
JP2017039579A (ja) 記録する装置、装置、乾燥する装置
JP5080427B2 (ja) 印刷機
US11872825B2 (en) Head cooling device, inkjet recording device and cooling control method
JP5687830B2 (ja) 熱交換器及び印刷装置
JP5940879B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
US20210245529A1 (en) Heating roller for ink-based image forming apparatus
JP2001277617A (ja) インクジェットプリンタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150519

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees