JP2012167406A - 蛋白質吸着性セルロース不織布 - Google Patents

蛋白質吸着性セルロース不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】高い蛋白質吸着能を有し、微細セルロース繊維から構成される多孔質セルロースの不織布を提供する。
【解決手段】下記条件(1)〜(3):
(1)平均繊維径が10nm以上500nm以下である;
(2)空孔率Pavが40%以上99%以下である{ここで、Pavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値を意味する。};及び
(3)吸水率Wavが150%以上650%以下である{ここで、Wavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値を意味する。};
を満足することを特徴とする蛋白質吸着性セルロース不織布。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細セルロース繊維から構成される蛋白質吸着性セルロースの不織布に関する。
昨今の全世界的なナノテクノロジー技術への注力に見られるように、材料開発の一つの動向として、より小さな構造単位に着眼してその構造を制御することを挙げることができる。本発明者らは、そうした技術動向の中で、以下の特許文献1や非特許文献1に開示されている、1μm以下の太さの繊維を多数含むパルプ等の天然セルロースを原料として得られる微小繊維状セルロース(マイクロフィブリレーテッドセルロース、以下、MFCと略す。)や以下の特許文献2に開示されている酢酸菌が産生する、繊維径が約数nm〜200nmの範囲にある微小かつ高結晶性のセルロースナノファイバー(バクテリアセルロース、以下、BCと略す。)の製膜技術を検討し、最大繊維径1500nm以下の繊維径を有するセルロース繊維から構成され、高空孔率で微細なネットワーク構造を有するセルロース不織布を提案している(以下、特許文献3参照)。
特許文献3に記載されるセルロース不織布は、耐溶剤性、耐熱性、高い親液性及び環境適合性等セルロース特有の優れた特徴と高空孔率を有し、かつ相分離法で得られる各種セルロース多孔膜と同一孔径で比較した場合に高い比表面積を持つことから、様々な用途への応用が期待されている。具体的な用途を記載すれば数限りないが、例えば、エアコン用フィルターや空気清浄器用フィルター等のエアフィルター、水系ではコーヒーフィルターやティーバッグ用フィルター等に、油系では家庭用・業務用の油こし紙、自動車用オイルフィルター、自動車用フュエルフィルター、その他生産工程において液体中に含まれている微粒子を除去することを目的とした工業用の液体フィルター等各種濾材・吸着剤、また血液成分の特定物質補足フィルターやウイルス等微生物の除去フィルター、細胞や微生物の培養基材、或いは抗原や抗体を吸着したイムノクロマト用支持体等のメディカル用基材、更に酵素を固定して酵素触媒反応を効率的に行うことのできる酵素固定膜等が挙げられる。
しかしながら、セルロースは古くはダイアライザー用の中空糸原料として利用されてきたように蛋白質が吸着しにくい材料であり、上記する用途の中でメディカル用基材や酵素固定膜として展開するためには、蛋白質能を付加する必要がある。従って、本発明者らは、特許文献3に記載されるセルロース不織布を上記メディカル用基材や酵素固定膜として利用すべく、製膜前の微細セルロース繊維にスルホン酸基やカルボキシル基等のカチオン基や4級アンモニウム基や2級又は3級アミノ基等のアニオン基等蛋白質吸着能を有する官能基を導入し製膜を試みたが、空孔率の低い緻密なセルロース不織布しか得られず、十分な蛋白質吸着能を付加することができなかった。また、製膜後のセルロース不織布に従来公知の方法で蛋白質吸着能を有する官能基導入を検討したが、加工工程で不織布が崩壊したり、或いは蛋白質吸着能を付加できたとしてもその値が大きくばらつく等の問題があった。
特開昭56−100801号公報 特公平6−43443号公報 国際公開第2006−004012号公報 特開2010−0980486号公報
J.Appl.Polym.Sci.,Appl.Polym.Symp.,37,797−813(1983)
本発明が解決しようとする課題は、前記した従来技術の問題をを解決し、高い蛋白質吸着性能を有し、メディカル用基材や酵素固定膜として好適な微細セルロース繊維から構成されるセルロース不織布を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、セルロース不織布の空孔率を高く維持し、かつセルロース不織布と水との親和性を適度に阻害することによって蛋白質吸着能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]下記条件(1)〜(3):
(1)平均繊維径が10nm以上500nm以下である;
(2)空孔率Pavが40%以上99%以下である{ここで、Pavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値を意味する。};及び
(3)吸水率Wavが150%以上650%以下である{ここで、Wavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値を意味する。};
を満足することを特徴とする蛋白質吸着性セルロース不織布。
[2]前記セルロースは、蛋白質吸着能を有する官能基を含む、前記[1]に記載の蛋白質吸着性セルロース繊維。
[3]前記蛋白質吸着能を有する官能基が、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、ピリジウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、メルカプト基、フェニル基、及びアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]又は[2]に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
[4]下記式(1):
X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav) 式(1)
{式中、PavとPsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味し、そしてWavとWsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味する。}で定義されるセルロース不織布の均一度パラメータXが0.015以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
[5]下記条件(1)〜(4):
(1)平均繊維径が10nm以上500nm以下である;
(2)空孔率Pavが40%以上99%以下である{ここで、Pavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値を意味する。};及び
(3)吸水率Wavが150%以上650%以下である{ここで、Wavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値を意味する。};
(4)化学結合又は物理吸着を介して蛋白質が5000μg/g以上吸着されている;
を満足することを特徴とする蛋白質吸着性セルロース不織布。
[6]前記セルロースは、蛋白質吸着能を有する官能基を含む、前記[5]に記載の蛋白質吸着性セルロース繊維。
[7]下記式(1):
X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav) 式(1)
{式中、PavとPsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味し、そしてWavとWsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味する。}で定義されるセルロース不織布の均一度パラメータXが0.015以下である、前記[5]又は[6]に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
[8]吸着される蛋白質が酵素又は抗体である、前記[5]〜[7]のいずれかに記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
[9]前記[5]〜[8]のいずれかに記載の蛋白質吸着性セルロース不織布に蛋白質が吸着されたものからなるイムノクロマト用支持体。
[10]前記[5]〜[8]のいずれかに記載の蛋白質吸着性セルロース不織布に蛋白質が吸着されたものからなる酵素固定膜。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、構成する微細セルロース繊維の数平均繊維径が10nm以上500nm以下であるので、優れた蛋白質吸着能を発現できる。本発明において、蛋白質吸着性とは、化学結合又は物理吸着を介してセルロース繊維表面に蛋白質が付着することをいう。
セルロース繊維の数平均繊維径が500nmを超えると蛋白質との接触面積が低下する(比表面積が低下する)ためか、セルロース不織布重量当たりの蛋白吸着量が著しく低下する。また数平均繊維径が500nmを超えると1μmを超える粗大繊維径のセルロース繊維が多く混入するため、膜質が不均一になり、不織布の部位によって蛋白質の吸着性能のばらつきが生じる。蛋白質吸着能のばらつきを抑制するという観点からセルロース繊維の数平均繊維径の上限は400nm以下、より好ましくは300nm以下である。一方、セルロース繊維の数平均繊維径は細ければ細いほど蛋白質吸着能は向上するので好ましいが、工業的に実施するという観点においては10nmより微細化することは極めて困難である。工業生産性の観点からセルロース繊維の数平均繊維径の下限は20nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上である。
ここで、本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布を構成する微細セルロース繊維は、短繊維状(ステープル状)の微細繊維であっても、エンドレスの長繊維状(フィラメント状)であってもよいが、空孔率や蛋白質吸着能のシート内の均一性確保の観点からは短繊維状の微細繊維が好ましい。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、以下に定義する空孔率Pavが40%以上99%以下であるので、不織布内部のセルロース繊維に至るまで蛋白質接触が実現し、セルロース不織布単位重量当たりの蛋白質吸着量が著しく上昇する。本発明において空孔率Pavは、20cm角のセルロース不織布から採取された5cm角のサンプル16点それぞれの空孔率Pの平均値である。本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の空孔率Pavは、蛋白質吸着能向上の観点から45%以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。一方、シート内の空孔率ばらつき抑制の観点からは空孔率Pavの上限は90%以下が好ましく、より好ましくは85%以下である。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、以下に定義する吸水率Wavが150%以上650%以下に制御されていることによって、蛋白質吸着能を発現できる。セルロース不織布と蛋白質吸着能の関係は明らかではないが、水との親和性の指標である吸水率Wavが650%を超えるとセルロース繊維は水に膨潤する。すなわち、蛋白質溶液中に含まれる水分によってセルロース不織布が膨潤することによって、空孔が潰れるために蛋白質との接触面積が低下し、かつ蛋白質との物理的吸着性が低下するものと考えられる。セルロース不織布の吸水率Wavは蛋白質吸着性能向上の観点から600%以下が好ましく、550%以下がより好ましい。一方、吸水率Wavが150%未満になると撥水性が強くなり、不織布内部まで蛋白質溶液が浸透しにくくなり、蛋白質の吸着性能が低下するので、セルロース不織布の吸水率Wavは200%以上が好ましく、250%以上がより好ましい。本発明における吸水率Wavは、20cm角のセルロース不織布から巾1.25cm、長さ20cmのサンプルを16点切り取り、それぞれの吸水率Wを測定し、その平均値を吸水率Wavとする。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、下記式(1)で定義される均一度パラメータXが0.015以下であるが好ましい。
X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav) 式(1)
ここで、Pav及びPsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、各サンプルにつき空孔率Pを測定した時の平均値及び標準偏差であり、下記式(2)によりシート内の空孔率の均一度Xの指標となる。
=Psd/Pav 式(2)
ここで標準偏差は、下記式(3)で定義される。
sd=[Σ(P−Pav2/n]1/2(n=16) 式(3)
一方、Wav及びWsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値及び標準偏差であり、下記式(4)によりシート内の吸水率の均一度Xの指標となる。
=Wsd/Wav 式(4)
ここで標準偏差は、下記式(5)で定義される。
sd=[Σ(W−Wav2/n]1/2(n=16) 式(5)
均一度パラメータXが小さい程、シート内において空孔率と吸水率共にばらつきのないことを示し、本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は均一度パラメータXが0.015以下であることによって、シート内の蛋白質吸着能のばらつきがないことを表す。本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の均一度パラメータXはより好ましくは0.012以下、最も好ましくは0.010以下である。
また、空孔率の均一度Xは0.15以下が好ましく、より好ましくは0.12以下、最も好ましくは0.10以下である。一方、吸水率の均一度Xは0.15以下が好ましく、より好ましくは0.12以下、最も好ましくは0.10以下である。
本発明の不織布を構成する微細セルロース繊維は、架橋剤にて架橋されている、或いは撥水処理されていることが好ましい。本発明における架橋剤としては、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール樹脂、エチレン尿素系樹脂、プロピレン尿素系樹脂、ウロン系樹脂、トリアゾン系樹脂、ジメチルジヒドロキシエチレンウリア系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スルホン系樹脂、カルボン酸系樹脂等の繊維素反応型樹脂やジビニルスルホン、カルボジイミド、ジヒドラジン、ジヒドラジド、エピクロルヒドリン、多官能エポキシ化合物、イソシアネート化合物の群から少なくとも1種の架橋剤が選ばれる。
多官能エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリシトール、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2、2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3‘−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、キシリレン−1,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,3’−ジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添加トリレンジジイソシアネート、水添加キシリレンジイソシアネート、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及びこれらの化合物と活性水素基含有化合物との反応によるNCO基末端化合物等が挙げられる。
また、有機イソシアネートにポリオールを付加させるとともにイソシアネート化触媒を加え、イソシアネート環構造を導入したポリイソシアネートの代わりに、ジイソシアネートの重合体や2官能以上のポリオール等とジイソシアネートあるいはポリメトリック体との反応で得られるプレポリマー的なイソシアネート化合物を用いても構わない。これらのポリイソシアネートは単独又は2種以上の混合物で使用することができる。以上列挙した架橋剤のうち蛋白質吸着性能やセルロース繊維との反応性や膜質均一性の観点から、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本発明における撥水剤としては、有機フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、ワックス系撥水剤、またシランカップリング剤等が挙げられるが、離脱防止の観点からシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプリピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の不織布を構成するセルロース繊維は、上記架橋剤或いは撥水剤にてそれぞれ単独で処理されていてもよいし、複数組合せて処理されていてもよい。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、蛋白質吸着能を有する官能基を含むことが、蛋白質吸着能向上の観点から好ましい。本明細書中、「蛋白質吸着能を有する官能基を含む」とは、セルロースの水酸基が直接当該官能基に置換されていてもよく、またセルロースの水酸基が置換された原子団の一部に当該官能基が含まれていてもよい。
蛋白質吸着能を有する官能基としては特に限定はないが、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、ピリジウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アゾ基、メルカプト基といった化学結合性の官能基やフェニル基及びアルキル基等の物理吸着性の官能基が挙げられ、これらの官能基が単独で導入されていても、2種以上組み合わせて導入されていてもよい。吸着性能の観点から、特にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、ピリジウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、メルカプト基、フェニル基及びアルキル基が好ましい。官能基が4級アンモニウム塩基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アゾ基、エチレンジアミン基の場合その導入量は、窒素含有量で10ppm以上が好ましく、より好ましくは50ppm以上である。一方、官能基がリン酸基の場合、リン含有量で10ppm以上が好ましく、より好ましくは50ppm以上である。また官能基がメルカプト基、スルホン酸基の場合、硫黄含有量で10ppm以上が好ましく、より好ましくは50ppm以上である。
また、本発明の不織布を構成する微細セルロース繊維は、本発明の目的を阻害しない範囲内でセルロースの水酸基の一部がアセチル基、ニトロ基等に置換されていてもよいし、セルロース表面にポリエチレングリコール等のアルキルエーテル類をグラフトさせてもよい。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、目付が1g/m以上200g/m以下であることが好ましい。微細セルロース繊維の目付が1g/m未満であると、例えセルロース不織布重量当たりの蛋白吸着能を向上させたとしても、吸着できる蛋白質の絶対量が少なく、例えば抗原や抗体を吸着して使用するイムノクロマト用支持体や酵素固定膜として利用する場合、十分な検出感度が得られなかったり、酵素反応の効率が悪かったりという問題が起こる。一方、微細セルロース繊維の目付が200g/mを超えると、空孔率を高く維持できていても、形成された空孔の径が極めて微細であり、不織布内部のセルロース繊維への蛋白質接触が困難となり、蛋白質吸着能が低下する。蛋白質吸着性セルロース不織布の目付はより好ましくは2g/m以上180g/m以下、さらに好ましくは3g/m以上150g/m以下である。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の比表面積は、セルロース繊維の数平均繊維径や空孔率等に影響されるが、蛋白質吸着能向上の観点から比表面積が1m/g以上200m/g以下の範囲で制御することが好ましく、より好ましくは5m/g以上180m/g以下である。また本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の平均孔径は0.01μm以上20μm以下であることが好ましい。セルロース不織布の平均孔径が0.01μm以上20μm以下であることによって、ナノサイズの酵素やウィルスから十数μmサイズの細胞も吸着しやすくなる。平均孔径が0.01μm以下であると不織布内部のセルロース繊維への蛋白質接触が困難となり、蛋白質吸着能が低下する。一方、微細セルロース繊維で平均孔径20μmを超える不織布を形成することは困難であると同時に、蛋白質との接触面積が低下するので吸着する蛋白質量が低下する。蛋白質吸着性セルロース繊維の平均孔径は、より好ましくは0.05μm以上15μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上10μm以下である。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の目付10g/m相当の引張強度は6N/15mm以上であることが好ましい。不織布の引張強度はその目付の大小に影響されるが、目付10g/m相当の引張強度が6N/15mm未満であると不織布の取扱い時の破損に繋がる。好ましくは、7N/15mm以上、より好ましくは8N/15mm以上である(いずれも目付10g/m相当)。一方、本発明のセルロース不織布の引張強度の上限値は特にないが、目付10g/mあたり100N/15mmを超えることは事実上ない。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、多孔性のシート上に積層されることを除外するものではない。多孔性シートとしては、不織布或いは多孔質膜であることが好ましい。具体的には、セルロース製、ポリエチレンテレフタレート製、6,6−ナイロン製、6−ナイロン製、ポリビニルアルコール製、各種ポリウレタン製の不織布、あるいはセルロース製、ポリエチレンテレフタレート製、6,6−ナイロン製、6−ナイロン製、ポリビニルアルコール製、各種ポリウレタン製の不織布や多孔質膜を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、セルロース不織布重量に対して10重量%未満、かつ本発明の目的を阻害しない範囲内で、ポリプロピレンの短繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の複合繊維、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の複合繊維、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の複合繊維等のバインダー繊維を含有することができる。また本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、セルロース不織布重量に対して10重量%未満、かつ本発明の目的を阻害しない範囲内で、シリカ粒子、アルミナ粒子、ダイヤモンド粒子、窒化硼素、炭化珪素、酸化チタン粒子、炭酸カルシウム粒子のような無機系粒子状化合物、また、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機系微粒子を含有することができる。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、セルロース不織布1g重量あたり5000μg/g以上の高い蛋白質吸着能を有している。本発明において、蛋白質吸着能とは、化学結合又は物理吸着を介して蛋白質が付着することをいい、蛋白質吸着量は、モデル的にウシ血清アルブミン(WAKO社製、IgGフリー、プロテアーゼフリー)蛋白質を用いて評価することができる。
本発明のセルロース不織布は、高い空孔率と比表面積を持ち、かつ高い蛋白質吸着能を有することから血液成分の特定物質補足フィルターやウイルス等微生物の除去フィルター、細胞や微生物の培養基材、或いは抗原や抗体を吸着したイムノクロマト用支持体等のメディカル用基材、更に酵素を固定して酵素触媒反応を効率的に行うことのできる酵素固定膜に有効に利用することができる。
次に、本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布の製造方法について説明するが、特にこの方法に限定されるものではない。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、本発明で規定する空孔率Pavと吸水率Wavを維持し、かつ優れた膜質均一性(シート内での空孔率や吸水率の均一度が高い状態)を確保するために、〔1〕予め多孔質(空孔率Pav40%以上99%以下)かつ高膜質均一性(空孔率ばらつきのない)のセルロース不織布(原布)を抄紙製造した後、〔2〕架橋・撥水化処理を行うのが好ましい。
〔1〕の原布となるセルロース不織布の抄紙製造方法としては、基本的に前記した特許文献4(特開2010−0980486号公報)に記載された微細化方法及びエマルジョン抄紙方法を採用することが好ましいが、この方法を採用するにおいては、引き続く〔2〕架橋・撥水化処理工程における処理効率や工程安定性(原布の構造維持)を考慮して、セルロース原料や抄紙後の不織布の含水率に下記留意することが好ましい。更に好ましい原布の調製方法として不織布の孔径制御方法についても以下に説明する。
(セルロース原料)
原布となるセルロース不織布を構成する微細セルロース繊維は、天然セルロース繊維を用いることが好ましい。セルロース繊維には、一旦溶剤に溶かしたものを紡糸して得られるビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨン等の再生セルロース繊維及びリヨセルやテンセル等の精製セルロース繊維があるが、これらは天然セルロース繊維と比較して耐溶剤性、耐熱性に劣るので、〔2〕架橋・撥水処理工程において、架橋剤や撥水剤、或いは処理溶剤による変性、構造変化(収縮による空孔の潰れ等)がおきやすい。天然セルロース繊維としては、酢酸菌のようなバクテリアがナノサイズで産生するバクテリアセルロースを使用することができるし、また針葉樹パルプや広葉樹パルプ等のいわゆる木材パルプやコットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプ、ワラ由来パルプ等の非木材パルプ、その他、海藻由来のセルロースやホヤセルロースの精製物をナノオーダーまでフィブリル化(微細化)して使用することができるが、生産コストや原料の入手のし易さなどの観点から木材パルプや非木材パルプを用いるのが好ましい。またこれらセルロース原料の重合度(DP)は、〔2〕での工程安定性やセルロース不織布の強力発現の観点から300以上が好ましく、より好ましくは600以上である。
(抄紙後の不織布の含水率)
抄紙工程で得られた湿紙は、一旦ドラムドライヤーのような定長型の乾燥機で乾燥したものを〔2〕架橋・撥水処理工程の原布として利用してもよいし、乾燥せずにそのまま利用することも可能であるが、いずれの場合も不織布の含水率は60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。不織布の含水率が60重量%を超えると、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物を用いて架橋処理を行う場合、イソシアネート化合物がセルロース繊維表面に存在する水と反応してしまい、セルロースとの架橋反応率が著しく低くなるか、また架橋反応率を高められるとしても反応時間を長くする、或いは架橋剤濃度を高くする必要があり生産効率を著しく阻害してしまう。更に不織布の含水率が60%重量を超えると、シート内の空孔率や吸水率のばらつきが大きくなり(均一度低下)、膜質均一性が阻害され、結果としてシート内で蛋白質吸着能のばらつきが生じる。
(孔径制御)
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、利用される用途によっては特定の孔径を要求される場合があるが、その場合、エマルジョンスラリー調製に用いる油性化合物の種類や添加量によって調整する方法のほか、繊維径の異なるセルロース繊維を混合して抄紙用スラリーを調整する方法や特定サイズの粒子をスラリーに添加して抄紙後の後工程で溶解除去するという方法を採用することも可能である。繊維径の異なるセルロース繊維を混合する場合は、セルロース繊維の数平均繊維径が500nmを超えない範囲で必要孔径と蛋白質吸着量に関わる比表面積を考慮して混合する微細セルロース繊維の繊維径及び混合比を適宜選択採用すればよい。また孔径制御用の粒子を添加する場合は、セルロース繊維の溶解、膨潤、変性等を引き起こさない溶剤、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの含塩素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなど非プロトン性極性溶媒等の少なくとも1種に溶解するポリスチレンやポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等の特定粒径の粒子を選択採用すればよい。
次に〔2〕架橋・撥水化処理工程について、架橋処理と撥水処理に分けて説明する。
(架橋処理)
〔1〕の工程で得られたセルロース不織布を、各種架橋剤を分散或いは溶解させた溶媒中に浸漬し、熱処理することで目的とする吸水率を有するセルロース不織布を得ることができる。
ここで利用される架橋剤としては、前述したとおり尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール樹脂、エチレン尿素系樹脂、プロピレン尿素系樹脂、ウロン系樹脂、トリアゾン系樹脂、ジメチルジヒドロキシエチレンウリア系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スルホン系樹脂、カルボン酸系樹脂等の繊維素反応型樹脂やジビニルスルホン、カルボジイミド、ジヒドラジン、ジヒドラジド、エピクロルヒドリン、多官能エポキシ化合物、イソシアネート化合物の群から少なくとも1種が選ばれるが、蛋白質吸着性能やセルロース繊維との反応性、また膜質均一性の観点から尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
処理溶媒としては、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの含塩素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなど非プロトン性極性溶媒などが挙げられ、使用する架橋剤との適性に応じて選択することが好ましい。またこれらの溶媒には水が含まれていてもよいが、その場合、処理溶媒の水分率が50重量%以下であることが好ましい。処理溶媒の水分率が50重量%を超えると架橋剤が水と反応してしまうため、反応率の低下を引き起こし、結果として目的とする吸水率を有するセルロース不織布が得られない。また処理溶媒の水分率が50重量%を超えると目的とする空孔率を有するセルロース不織布が得られないか、または空孔率のシート内のばらつきが生じる。処理溶媒の水分率はより好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
上記処理溶媒に各種架橋剤を分散或いは溶解させるが、この場合架橋剤の濃度は0.05重量%以上20重量%以下が好ましい。架橋剤濃度が0.05%未満であると目的とする吸水率を有するセルロース不織布が得られない。架橋剤濃度が20重量%を超えると吸水率のシート内ばらつきが大きくなる傾向がある。より好ましくは0.1重量%以上15重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上10重量%以下である。
浸漬処理温度と時間は、架橋剤の種類に応じて設定すればよいが、処理温度が200℃を超えるとセルロース不織布が熱劣化し、蛋白質吸着能や強力の低下を引き起こすので、180℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。また処理温度が低いと処理に長時間要するので、10℃以上が好ましく、より好ましくは15℃以上である。処理時間の適正範囲は温度によって異なるが、30秒間〜24時間である。
所定温度・時間で浸漬処理されたセルロース不織布を熱処理するが、この場合30g/10cm以上の張力下で熱処理することが空孔率を高く維持し、かつシート内の空孔率ばらつきが抑制されたセルロース不織布を得ることができるため好ましい。熱処理時の張力の上限は、処理溶剤を含んだセルロース不織布が破損しない範囲であればよい。熱処理温度は、架橋剤の種類に応じて設定すればよいが、好ましくは、45℃以上200℃以下、さらに好ましくは、60℃以上180℃以下の範囲とすれば、目的とする吸水率を有するセルロース不織布を効率的に製造することができる。場合によっては、100℃以下の低温熱処理と100℃以上の高温熱処理を多段で実施することも、膜質均一性に優れたセルロース不織布を得るためには有効であることもある。
(撥水化処理)
〔1〕の工程で得られたセルロース不織布を、各種撥水剤を分散或いは溶解させた溶媒中に浸漬し、熱処理することで目的とする吸水率を有するセルロース不織布を得ることができる。
本発明で利用される撥水処理剤としては、前述のとおり有機フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、ワックス系撥水剤、また、シランカップリング剤等が挙げられるが、離脱防止や膜質均一性(シート内の吸水率ばらつき抑制)の観点からシランカップリング剤が好ましい。また、好ましいシランカップリング剤の種類についても前述のとおりであるが、溶液中での形態保持性が必ずしも優れているとはいえない不織布(場合によっては、崩壊することもある)の構造(高空孔率と膜質均一性)を維持したまま効率的に反応させるという観点からメチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
上記カップリング反応において用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられるが、シランカップリング剤の分散性・溶解性及びセルロース不織布の空孔率制御の観点からメタノール、アセトンなどを使用することが好ましい。これらの処理溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの溶媒には水が含まれていてもよいが、水分率が50重量%以下であることが好ましい。処理溶媒の水分率が50重量%を超えると目的とする吸水率を有するセルロース不織布が得られない。また処理溶媒の水分率が50重量%を超えると目的とする空孔率を有するセルロース不織布が得られないか、または空孔率のシート内のばらつきが生じる。処理溶媒の水分率はより好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
シランカップリング反応に用いられる上記シランカップリング剤は、上記溶媒に分散或いは溶解させるが、この場合、シランカップリング剤の濃度は、0.01重量%以上50重量%以下が好ましい。シランカップリング剤濃度が0.01重量%未満であると、目的とする吸水率を有するセルロース不織布が得られない。シランカップリング剤の濃度が、50重量%を超えると、シランカップリング剤同士で反応が促進され、副反応が生じるため、結果として、セルロース不織布に撥水効果を付与することができなくなる。より好ましくは0.05重量%以上40重量%以下であり、更に好ましくは0.1重量%以上30重量%以下である。
本発明におけるカップリング反応は上記列記した溶媒中で触媒を用いて行うことが好ましい。本発明で用いられる触媒としては、アルカリ金属水酸化物、遷移金属化合物、無機酸、有機酸、有機アミン塩、アミンが挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウムが挙げられる。遷移金属化合物としては、特に限定されず、例えば、白金 単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸がある。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸が挙げられる。有機アミン塩としては、硫酸アンモニウム塩、塩化アンモニウム又は硝酸アンモニウム、硫酸グアニジウム、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、トリエチルアンモニウム塩酸塩又はトリエチルアンモニウム硫酸塩、ピリジン塩酸塩又はピリジン硫酸塩、アミンとしては、メチルアミン、エーテルアミン 、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン 、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン (TMEDA)、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、アマンタジン 、スペルミジン、スペルミンなどが挙げられる。カップリング反応では、これらの触媒で何ら制限はないが、セルロース不織布との反応性及び空孔率制御の観点から、酢酸、ピリジン、エチレンジアミンなどを使用することが好ましい。
本発明におけるカップリング反応の温度は、好ましくは0℃以上200℃以下である。反応温度が0℃を下回ると、カップリング反応が進行せず、目的とする吸水率を有するセルロース不織布が得られない。また、200℃を超えると、セルロース不織布が熱劣化し、蛋白質吸着能や強力の低下を引き起こす。より好ましくは20℃以上180℃以下、特に好ましくは50℃以上150℃以下である。反応時間は、好ましくは0.1〜600分間である。反応時間が0.1分を下回ると、反応が進行しない。600分を超えると、セルロース不織布が熱劣化し、また、重合度低下が起こるため、メディカル用支持体や酵素固定膜として十分な強度が得られない。より好ましくは0.5〜100分間、さらに好ましくは1〜60分間である。カップリング反応は、各成分を反応容器に一括で仕込んで実施してもよいし、一方の成分に他方の成分を断続的にもしくは連続的に添加しながら行ってもよい。
本発明の〔2〕架橋・撥水化処理工程は、上記(1)架橋処理と(2)撥水化処理をそれぞれ単独で実施してもよいし、(1)及び(2)両方を実施してもよい。(1)及び(2)両方を実施する場合は、同時に処理を行ってもよいし、工程を分けて実施してもよい。尚、本発明の〔2〕架橋・撥水化処理工程において、蛋白質吸着能を有するスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、2級アミノ基、3級アミノ基、アゾ基、イミノジ酢酸基、メルカプト基、エチレンジアミン基といった化学結合性の官能基やフェニル基及びアルキル基等の物理吸着性の官能基を別途導入することも可能であり、その場合、上記(1)及び/又は(2)に記載した好ましい条件の範囲内において、公知の方法に従って実施すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
物性は以下の方法で測定した。
(1)微細セルロース繊維の数平均繊維径
微細セルロース繊維からなる不織布シートの表面に関して、無作為に3箇所、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を10000倍相当の倍率で行う。得られたSEM画像に対し、画面に対し水平方向と垂直方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の繊維径を拡大画像から実測し、交差する繊維の個数と各繊維の繊維径を数える。こうして一つの画像につき縦横2系列の測定結果を用いて数平均繊維径を算出する。さらに抽出した他の2つのSEM画像についても同じように数平均繊維径を算出し、合計3画像分の結果を平均化し、対象とする試料の数平均繊維径とする。
(2)空孔率(Pav
20cm角のセルロース不織布から5cm角のサンプルを16点切り取り、それぞれ島津製作所製の細孔分布測定装置Pore Sizer9320を用いて水銀圧入法により空孔率Pを測定する。16点の平均値を空孔率(Pav)とする。
(3)吸水率(Wav
20cm角のセルロース不織布から巾1.25cm、長さ20cmのサンプルを16点切り取り、端から2cm部分に線を入れる。このサンプルを予め重量測定した秤量瓶(W1)にいれ、105℃で6時間乾燥させた。乾燥終了後、サンプル上部(2cm部に線を入れた方)をクリップで挟み、つるした状態でサンプルを浸漬させた。2分後、サンプルを引き上げ、1分間静置させ余分な水滴を落下させた後、2cm線より下部の部分切り取り、秤量瓶(W1)に入れ重量を測定した(W:秤量瓶+含水セルロース不織布)。
次いで、105℃で6時間絶乾させた後、その重量を測定した(W:秤量瓶+絶乾セルロース不織布)。下記式(6)により、吸水率Wを算出した。サンプル16点の平均を吸水率Wavとする
吸水率W(%)=(W−W)/(W−W1)×100 式(6)
(4)均一度パラメータX
上記(2)の方法で得られた空孔率Pの平均値(Pav)と標準偏差(Psd)、並びに上記(3)の方法で得られた吸水率Wの平均値(Wav)と標準偏差(Wsd)から下記式(1)に従い、均一度パラメータXを算出する。
X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav) 式(1)
ここで、標準偏差(Psd)は、下記式(3)で定義され、また標準偏差(Wsd)は、下記式(5)で定義される。
sd=[Σ(P−Pav2/n]1/2(n=16) 式(3)
sd=[Σ(W−Wav2/n]1/2(n=16) 式(5)
(5)引張強力
引張強力の評価は、JIS P 8113にて定義される方法に従い、熊谷理機工業(株)の卓上型横型引張試験機(No.2000)を用い、幅15mmのサンプル10点について測定し、その平均値を引張強力とした。目付けの違いを考慮して、10g/m目付け相当の値で評価した。
(6)蛋白質吸着量
蛋白質はウシ血清アルブミン(WAKO社製、IgGフリー、プロテアーゼフリー)を用いた。リン酸緩衝水溶液(WAKO社製、pH7.4)に、1500μg/mlの濃度になるようにウシ血清アルブミンを溶解する。調製溶液5mlに、所定量a(g)のセルロース不織布を30℃、24時間浸漬させ、その後取り出す。残液サンプルにBCA Working Reagent(WAKO社、BCA Protein Assay Kit -Reducing Agent)を添加し、37℃で30分間インキュベートする。次いで、5分間、20℃で冷却し、マイクロプレートに200μl加え、マイクロプレートリーダー(日立ハイテク社製、SH-1000)により562nmの吸光度を測定する。その吸光度から求めた水溶液中のウシ血清アルブミン濃度b(μg/ml)を用いて、蛋白質吸着量c(μg/g)を下記式(7)にて求めた。
c(μg/g)=(1500−b)/a 式(7)
1サンプルにつき、以上の操作をn=3実施し、それらの平均値を蛋白質吸着量とした。
(7)原布とするセルロース不織布の含水率
5mlアセトンを入れたサンプル管中に金属製スパチュラにて2cm角にカットした不織布を投入し、セルロースが均一に崩壊、分散するまで手で強く振とうする。前記サンプル管を1時間静置し、上澄み液からマイクロシリンジで評価液を採取し、ガスクロにて分析を行う。ガスクロチャートに現れる水のピークとスラリーに添加した油性化合物のピーク面積比と、更に下記方法で求められる水溶性高分子濃度(Q)と固形分濃度(Q)から不織布に含まれる含水率を算出する。
(水溶性高分子濃度)
不織布1gを、500gの冷水(5℃以下のイオン交換水を使用)に分散させ、家庭用ミキサーで5分間分散させる。次に分散液の温度を5℃以下に保持しながら、30分間放置し、繊維に付着している水溶性高分子を完全に水相へ溶解させる(この間、10分間に1回の割合で手で軽くゆする)。この後、得られた繊維の分散液をガラスフィルター等で濾過・洗浄し、濾液を回収し、さらにエバポレーターにて該濾液の濃縮を行い、得られた濃縮液を、内部標準を加えた重水中に適量溶かし、1H−NMRのピーク強度により溶解している各成分の濃度を評価する。
重水へ濃縮液の溶解量、先に行った濃縮工程の濃縮度等を考慮し、1H−NMRによる溶解成分の濃度から、セルロースシート中の溶解成分の含有率(Q)を算出する。
(不織布の固形分濃度)
約10cm角にカットした不織布を秤量瓶(W)に投入し重量の重量(W:秤量瓶+水+微細セルロース繊維+水溶性高分子+油性化合物)を測定し、105℃の電気乾燥機内で6時間乾燥し、デシケータ中で30分間冷却した後重量を求める(W:秤量瓶+微細セルロース繊維+水溶性高分子)。固形分濃度(Q)は、下記式(7)にて求める。尚、水溶性高分子重量(W)は、上記水溶性高分子濃度(Q)に記載した方法で別途算出する。
不織布の固形分濃度(Q)=(W−W−W)/(W−W)×100 式(8)
[参考例1:原布1の調製]
重合度(DP)1750のコットンリンター原綿を10重量%となるように水に浸液させて、オートクレーブ内で130℃、4時間の熱処理を行い、得られた膨潤パルプを何度も水洗し、水を含浸した状態の膨潤パルプを得た。
該膨潤パルプを固形分1.5重量%となるように水中に分散させて水分散体(400L)とし、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lの該水分散体に対して、20分間叩解処理を進めた後、引き続きクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で叩解処理を続けた。経時的にサンプリングを行い、サンプリングスラリーに対して、JIS P 8121で定義されるパルプのカナダ標準ろ水度試験方法(以下、CSF法)のCSF値を評価したところ、CSF値は経時的に減少していき、一旦、ゼロ近くとなった後、さらに叩解処理を続けると、増大していく傾向が確認された。クリアランスをゼロ近くとしてから10分間、上記条件で叩解処理を続け、CSF値で73ml↑の叩解スラリーを得た。得られた叩解スラリーを、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS015H)を用いて操作圧力100MPa下で5回の微細化処理を実施し、ミクロフィブリル化セルロースの水系分散液M(固形分濃度:1.5重量%)を得た。
次に、このM66.67g(0.2重量%)、油性化合物として1−ヘキサノールを6.00g(1.2重量%)及び2重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を3.00g(0.012重量%)、水424.33g添加し、家庭用ミキサーで4分間乳化・分散を行った後、200rpmで10分間攪拌しエマルジョンスラリー500gを調製した。
PET/ナイロン混紡製の平織物(敷島カンバス社製、NT20)をセットしたバッチ式抄紙機(熊谷理機工業社製、自動角型シートマシーン 25cm×25cm、80メッシュ)に目付10g/m目安に、上記調整したエマルジョンスラリー312.5gを投入し、その後大気圧に対する減圧度を7kPaとして抄紙(脱水)し、湿潤状態の濃縮組成物からなる湿紙を得た。当該湿紙にカバー布(NT20)を被せて、1kg/cmの圧力で1分間プレスした。湿紙面をドラム面に接触させるようにして、湿紙/濾布の2層の状態で表面温度が130℃に設定されたドラムドライヤーにやはり湿紙がドラム面に接触するようにして約120秒間乾燥させ、得られた乾燥した2層体からセルロースのシート状構造物から濾布を剥離させて、白色の均一な微細セルロース繊維から構成される原布1を得た。原布1は以下の表1に示すとおり、微細セルロース繊維から構成され、高空孔率を有し、かつ膜質均一性の高いものであった。
[参考例2:原布2の調製]
参考例1と同様にして得られた不織布をエンボス加工機(由利ロール株式会社製 油圧式2本ロールテストエンボス機 YURI ROLL−H2TEM300型)で熱圧着処理して原布2を得た。原布2の物性を以下の表1に示す。
・加熱ロール:スチールロール(S45C:熱処理材)
・プレスロール:アラミドロール(硬度:88°±1°)
・処理温度&線圧:70℃×20kg/cm
[参考例3:原布3の調製]
1−ヘキサノールを添加せずにその重量分を水で調整した以外は、参考例1と同様に抄紙用スラリーを調製し、抄紙・プレス処理・乾燥を行い、原布3を得た。原布3の物性を以下の表1に示す。
[参考例4:原布4の調製]
参考例1の微細化処理工程において、ディスクリファイナー装置でCSF値98ml↓まで叩解した時点で微細化処理を終了した以外は、参考例1と同様に抄紙スラリーを調製し、抄紙・プレス処理・乾燥を行い、原布4を得た。原布4の物性を以下の表1に示す。
[参考例5:原布5の調製]
参考例5においてプレス処理後の乾燥を行わなかった以外は、参考例1と同様に抄紙スラリーを調製し、抄紙・プレス処理を行い、原布5を得た。原布5の物性を以下の表1に示す。
Figure 2012167406
[実施例1]
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をトルエンに6wt%希釈した処理液に、参考例1で得られた原布1(0.5g)を20℃で3分間含浸させた。次いで、含浸処理を行ったものを厚紙で挟み込み、1kg/cmで1分間圧搾した後、2分間風乾させ、50g/10cm張力下、内温130℃に制御された乾燥機で5分間熱処理を実施した。乾燥機から取り出し、トルエン洗浄した後、50g/10cm張力下風乾しセルロース不織布S1を得た。S1は、以下の表2に示すとおり高い空孔率を有し、かつ吸水率も本発明で規定する範囲にコントロールされており、その結果蛋白質吸着量が12743μg/gと高い蛋白質吸着能を示した。更にS1は均一度パラメータXが0.009と膜質均一性の高いものであった。
[実施例2と実施例3]
MDIの濃度を以下の表2に示す条件で実施した以外は、実施例1と同様に処理を行いセルロース不織布S2及びS3を得た。S2及びS3は、以下の表2に示すとおり蛋白質吸着量5000μg/g以上の高い蛋白質吸着能を示した。
[実施例4]
メラミン樹脂(ベッカミンM−3、DIC北日本ポリマー社製)をメタノールに3wt%希釈した液に、有機アミン塩(キャタリストACX、DIC北日本ポリマー社製)をベッカミンM−3に対して30wt%添加したものを処理液とし、原布1(0.5g)を20℃で3分間含浸させた。次いで、含浸処理を行ったものを厚紙で挟み込み、1kg/cmで1分間圧搾した後、2分間風乾させ、50g/10cm張力下、内温160℃に制御された乾燥機で5分間熱処理を実施した。乾燥機から取り出し、メタノール洗浄した後、50g/10cm張力下風乾しセルロース不織布S4を得た。S4は、以下の表2に示すとおり蛋白質吸着量5000μg/g以上の蛋白質吸着能を示し、かつ膜質均一性の高いものであった。
[実施例5]
メラミン樹脂(ベッカミンM−3、DIC北日本ポリマー社製)の濃度を以下の表2に示す条件で実施した以外は、実施例4と同様に処理を行いセルロース不織布S5を得た。S5は、以下の表2に示すとおり蛋白質吸着量5000μg/g以上の蛋白質吸着能を示し、かつ膜質均一性の高いものであった。
[実施例6]
参考例2で得られた原布2を使用した以外は実施例1と同様に処理を行いセルロース不織布S6を得た。S6は、以下の表2に示すとおり高い蛋白質吸着能を示した。
[比較例1]
参考例1で得られた原布1について特に架橋処理や撥水処理を施すことなく蛋白質吸着評価を実施した。以下の表2に示すとおり吸水率Wavは801%で本発明で規定する範囲から外れており、蛋白質吸着量も3620μg/gと蛋白質吸着能は低かった。
[比較例2]
参考例3で得られた空孔率(Pav)37%の原布3を用いた以外は実施例1と同様に実施してセルロース不織布C1を得た。以下の表2に示すとおり蛋白質吸着量が3030μg/gと蛋白質吸着能は非常に低かった。また膜質均一性も劣るものであった。
[比較例3]
参考例4で得られた数平均繊維径が500nmを超える原布4を用いた以外は実施例1と同様に実施してセルロース不織布C2を得た。以下の表2に示すとおり蛋白質吸着量が2382μg/gと蛋白質吸着能は非常に低かった。
Figure 2012167406
[実施例7〜10]
エチレンジアミン触媒を7.7重量%添加溶解したアセトンに以下の表3に示す組成でシランカップリング剤を溶解させたものを処理液とし、参考例1で得られた原布1(0.5g)を20℃で1分間浸漬させた。次いで、含浸処理を行ったものを厚紙で挟み込み、1kg/cmで1分間圧搾した後、50g/10cm張力下、内温100℃に制御させた乾燥機で5分間熱処理を実施した。乾燥機から取り出し、ヘキサン、メタノール、アセトンの順番で洗浄した後、50g/10cm張力下風乾しセルロース不織布S7〜S10を得た。以下の表3に示すように、S7〜S10は、いずれも高い蛋白質吸着能を示し、かつ膜質均一性の高いものであった。特にシランカップリング剤Aと官能基にアミノ基を有するシランカップリング剤Bを組み合わせたS9及びS10は、非常に高い蛋白質吸着能を示した。
Figure 2012167406
[比較例4]
処理溶媒にメタノール水溶液(水分率60重量%)を用いた以外は実施例1と同様に実施してセルロース不織布C3を得た。C3の吸水率は725%とほとんど反応が進行しておらず、また乾燥時の収縮のため空孔率が45%まで低下しており、その結果、蛋白質吸着量は2787μg/gと非常に低かった。
[実施例11]
参考例5で得られた含水率が72.4%の原布5を用いた以外は実施例1と同様に実施してセルロース不織布C4を得た。3回実施した蛋白質吸着評価結果は、平均で5117μg/gであった。しかしながら、空孔率均一度Xが0.189、吸水率均一度Xが0.169で、均一度パラメータXが0.032と均一性が劣り、蛋白質吸着量は、5932μg/g、3245μg/g及び6173μg/gとばらつきが大きかった。
本発明の蛋白質吸着性セルロース不織布は、高い空孔率と比表面積を持ち、かつ高い蛋白質吸着能を有することから、血液成分の特定物質補足フィルターやウイルス等微生物の除去フィルター、細胞や微生物の培養基材、或いは抗原や抗体を吸着したイムノクロマト用支持体等のメディカル用基材、更に酵素を固定して酵素触媒反応を効率的に行うことのできる酵素固定膜に好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. 下記条件(1)〜(3):
    (1)平均繊維径が10nm以上500nm以下である;
    (2)空孔率Pavが40%以上99%以下である{ここで、Pavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値を意味する。};及び
    (3)吸水率Wavが150%以上650%以下である{ここで、Wavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値を意味する。};
    を満足することを特徴とする蛋白質吸着性セルロース不織布。
  2. 前記セルロースは、蛋白質吸着能を有する官能基を含む、請求項1に記載の蛋白質吸着性セルロース繊維。
  3. 前記蛋白質吸着能を有する官能基が、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、ピリジウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、メルカプト基、フェニル基、及びアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
  4. 下記式(1):
    X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav
    {式中、PavとPsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味し、そしてWavとWsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味する。}で定義されるセルロース不織布の均一度パラメータXが0.015以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
  5. 下記条件(1)〜(4):
    (1)平均繊維径が10nm以上500nm以下である;
    (2)空孔率Pavが40%以上99%以下である{ここで、Pavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値を意味する。};及び
    (3)吸水率Wavが150%以上650%以下である{ここで、Wavは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値を意味する。};
    (4)化学結合又は物理吸着を介して蛋白質が5000μg/g以上吸着されている;
    を満足することを特徴とする蛋白質吸着性セルロース不織布。
  6. 前記セルロースは、蛋白質吸着能を有する官能基を含む、請求項5に記載の蛋白質吸着性セルロース繊維。
  7. 下記式(1):
    X=(Psd/Pav)×(Wsd/Wav
    {式中、PavとPsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ空孔率Pを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味し、そしてWavとWsdは、20cm角のセルロース不織布を16等分し、それぞれ吸水率Wを測定した時の平均値及び標準偏差をそれぞれ意味する。}で定義されるセルロース不織布の均一度パラメータXが0.015以下である、請求項5又は6に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
  8. 吸着される蛋白質が酵素又は抗体である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布に蛋白質が吸着されたものからなるイムノクロマト用支持体。
  10. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の蛋白質吸着性セルロース不織布に蛋白質が吸着されたものからなる酵素固定膜。
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