JP2004508180A - フィルター層におけるポリイソシアネート樹脂の使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、湿潤強力フィルター、特に、高度の膨潤容量を有するデプスフィルターに関する。該フィルターは、その表面上に化学結合されたポリイソシアネートを有するセルロース繊維を含み、かつ、空隙を有する開放気孔フィルターマトリックスを含む。態様の好ましい形態によると、該フィルターマトリックスは、その空隙中に微細に分散された微粒子を含む。また、本発明は、このタイプのフィルターを製造する方法と、食品、飲料及び医薬品工業におけるその使用にも関する。
Description
【0001】
本発明は、フィルター、特に、湿潤強力仕上げ(wet−strength finish)が施されているにもかかわらず、依然として優れた膨潤性を有する、セルロースから作られたデプスフィルター(depth filters)に関する。更に、本発明は、前記フィルターを製造する方法及び使用する方法にも関する。
【0002】
テクニカルプロセス、特に遠心分離を伴う大規模プロセスでは、固体及び/又は懸濁された物質を液体から分離するために、フィルターが用いられる。しばしば、セルロース繊維から成るフェルト又は布から作られたフィルターが用いられる。前記フィルターでは、これらの繊維布の強度は、個々の繊維を撚り合せることによってのみならず、なかんずく、電荷相互作用によって、特に、繊維を一緒に保持する水素結合によって生じる。前記フィルターを水性媒体で用いる場合、水分子が、イオン性基の間に押し通り、その結果として、セルロース布の膨潤及び強度の低下が起り、それによりフィルター構造も変化する。乾燥フィルター層のシート構造における不均質性(例えば、フィルター層製造中の凝集に因る)は、経験から考えて、水を吸収(膨潤)することによって増大し、またその不均質性によって引き起こされる繊維の異なる移動性に起因してシート構造中において欠陥が増加するので、フィルター層に濾過特性が付与される。テクニカルプロセスにおけるフィルターの膨潤は、フィルター設備の密封にかなり寄与することから特に望ましいが、力学的応力に耐える強度又は能力の低下により、フィルターの有効寿命が短縮し、フィルターをより頻繁に交換する必要が生じ、その結果として製造プロセスが頻繁に中断されるので、極めて望ましくない。望ましい膨潤と望ましくない強度の低下の双方が、同じ化学物理的プロセスによって引き起こされるが、当業者は、良好な膨潤容量と同時に充分な湿潤強さを有するフィルターを製造しようと努力している。また、フィルター層において非常に均一なフィルター構造を堆積させて、フィルター層の濾過特性を向上させることも特に望ましい。
【0003】
而して、セルロース繊維に関して顕著な電荷相互作用を示すポリエチレンイミン及び/又はポリビニルアミンを用いて湿潤強力仕上げを有する前記セルロースフィルターを提供しようとする試みが既に成されてきた。しかしながら、そのようなフィルターは、高度な湿潤強さを得るには高い電荷密度を要し、その場合、今度は、望んでいない吸着に因り濾過収率が低下するという短所を有する。更に、前記フィルター製造中に起こる高度の電荷相互作用により、セルロース繊維パルプにおいて凝集が増加し、その結果、不均質なフィルター層が生じ、それにより、濾過効率、特に前記フィルターの分離効率が損なわれる。更に、その場合、電荷相互作用のみに基づく繊維・繊維結合も、再び水によって部分的に破壊されるので、使用中に湿潤強さが急速に低下する。更に、そのように仕上げられたフィルターは、洗い出し(wash−out)効果、すなわち湿潤強力仕上げの分解生成物が濾液中に再び見出されるような湿潤強力仕上げの洗い出しを示す。それは極めて望ましくなく、特に食品及び医薬品の製造においては極めて望ましくない。
【0004】
而して、ポリアミン及び/又はポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂を用いて、セルロース繊維を含むフィルターに対して湿潤強力仕上げを付与しようとする試みが既に成されている。メラミン・ホルムアルデヒド樹脂も、前記フィルター材料の湿潤強さを増大させるためにしばしば用いられる。しかしながら、前記仕上げを有する樹脂は、塩素化合物(ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂)を遊離するか、又はメラミン・ホルムアルデヒド樹脂の場合には、熱及び水分の作用下でホルムアルデヒドが遊離されて増加し、その結果として、悪臭が発生するだけでなく、濾液も汚染される。更に、上記プロセスにより、化学的架橋により引き起こされる架橋によって湿潤強力仕上げが提供されるフィルターは、満足な膨潤挙動を示さない。更に、湿潤強力仕上げは、時間と共に化学的に分解して、湿潤強さが使用過程で低下する。
【0005】
製紙業では、ペーパプレス(paper press)において、加圧下で、ポリイソシアネート樹脂を用いて紙にサイズを塗ることは公知であり、その結果として、同様に、紙の湿潤強さが増大する。スクリーン上に繊維を沈殿させた(シート形成)後、更に、得られた紙のウェブに120kPa以下の圧力を加える2つのロール間に存在するプレス区画において紙のウェブの水気を更に切り且つ圧縮する。それによって、紙の中の繊維・繊維結合が増加し、大いに強度が増す。更に、紙表面が滑らかになり、書込みが更にし易くなる。通常、非研削状態で長さ0.6〜1.3mm、及び繊維直径15〜20μmを有する短セルロース繊維は、お互いの中にプレスされ、紙を作るために用いられる。短セルロース繊維は、軽く研削する短繊維化研削によって加工し、ペーパプレスにおいて熱の作用下で互いに結合させる。
【0006】
上記プロセスは、例えばDE−A42 11 480、WO 97/13033、EP−A−0 582 166及びWO 96/38629で説明されている。これらすべてのプロセスの目的は、吸着可能な有機ハロゲン(AOX)が工業排水中に排出されるのを防止すること、また紙及び工業排水サイクルにおいてこれらの物質が富化するのを防止することである。このタイプのサイジングにより、湿潤強力紙(wet−strength paper)が得られる。既に、製紙業では、製品の湿潤強さが乾燥強度の少なくとも15%である場合に、その製品を湿潤強力品と呼んでいる。
【0007】
しかしながら、例えばプレス作業、ゼラチン化澱粉誘導体の添加又は表面のサイジングのような強度を増大させるために製紙業で通常用いられる処置は、その処置によって、フィルター層とって必要な透過性及び多孔性が実質的に破壊されるので、フィルター層の製造においては論外である。
【0008】
しかしながら、フィルターを製造する場合、紙とは対照的に、互いに密接に並んでいる高密度充填され結合された短セルロース繊維は存在しておらず、その代わりに、より大きな繊維直径を有する実質的により長い繊維が結合して、その容量の約80%が開放気孔空隙容量から通常成っている網状構造を形成する。このようにしてのみ、濾過のために要求されるフィルター層の透過性を保証することができ、それと同時に、濾過活性フィルター材料(例えば、多孔質珪藻土)を、フィルターマトリックス中で大量に結合させることができる。更に、経験から、そのような開放フィルター層の強度は、長繊維を用いることによって向上する。
【0009】
DE 42 23 604では、1種又は複数種の水不溶性ポリマー又はポリマー誘導体が溶解されている均質な有機ポリマー(イソシアネート基又はブロックトイソシアネート基を含むことができる)溶液を含浸させることによって、セルロース、紙、わら又はそれらの誘導体から成る成形品又は圧縮成形組成物に対して湿潤強さを付与する方法が説明されている。該ポリマー又はそれらの誘導体は、油中水エマルジョンの油相中に溶解させることもできる。
【0010】
湿潤強さは、含浸によってポリマーで疎水化されているセルロースの成形品又は圧縮成形組成物で仕上げて、複合繊維構造中への水の含浸を完全に防止又は少なくとも劇的に制限することによって、達成される。しかしながら、水の侵入を防止する前記成形品は、液体が疎水化層を湿潤させず、而して殆どマイクロメートル及びサブマイクロメートル範囲のフィルター細孔内に浸透できないので、水溶液の濾過には適さない。更に、前記成形品は、膨潤挙動を示さず、また成形品全体を完全に強化しない。
【0011】
本発明の目的は、有効寿命がかなり長く、且つ未処理製品と比較して同じか又はほんのわずかに低い膨潤能力を示す、湿潤強力仕上げを有する利用可能なフィルターを作ることである。
【0012】
本発明の更なる目的は、膨潤容量が増大したにもかかわらず、他の湿潤強力樹脂(例えば、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂)を用いる技術状態にしたがって製造されるフィルターに比べて、より良好な濾過効率も有する利用可能なフィルターを作ることである。最終的に、湿潤強力仕上げを有する従来の公知のフィルターに比べて、有意に長い有効寿命を有するフィルターを利用できるようにしなければならない。更に、前記フィルターはブリードしない、すなわち、濾過生成物中にフィルターの湿潤強力仕上げを放出しない。また、最終的に、フィルターは、温度が上昇した条件下で用いる場合、安定した状態を維持し且つ上記特性を保持していなければならない。
【0013】
本発明にしたがって、上記目的は、フィルターマトリックスのセルロース繊維をポリイソシアネートで処理して、膨潤能力を向上させることによって達成される。その処理は、特に、フィルター層を形成する前に、且つ都合良くは、懸濁液中又は懸濁マッシュ(suspended mash)中で行う。
【0014】
フィルター、特にデプスフィルターは、紙と比較して、通常は、単位面積あた
り実質的により重い重量、すなわち200〜3,500g/m2を有する。更に、フィルターは、しばしば、無機フィルター活性物質(inorganic filter−active substance)を最大70重量%まで含む。
【0015】
本発明によるフィルターは、層質量を基準として、ポリイソシアネートを、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%含み、また、ほんの2重量%未満又は0.05〜2重量%の量でも通常は充分である。多くの場合において、0.1〜1.2重量%の量が有利であることが分かった。本明細書において、層質量(layer mass)という用語は、層中に含まれるすべての材料、例えばセルロース、多孔質珪藻土及びパーライトなどを包含している。本発明にしたがって、これらの量を用いた場合、好ましくは、繊維が互いに接触しかつ繊維が互いに結合する接触点においてのみポリイソシアネートが供給され、その場合でも繊維ネットの膨潤能力が維持されていることを発見した。
【0016】
しかしながら、原則として、本発明にしたがって、繊維懸濁液が充分に希釈されている場合には、大量のポリイソシアネートを用いることもできる。その場合、表面又は表面の部分又は繊維の点にイソシアネートが供給されるだけでなく、小さな懸濁されたポリマー粒子が生成され、追加のフィルター成分又は補助濾過剤として、フィルターマトリックスの空隙容量中に均一に分散されて埋め込まれ得る。
【0017】
本発明にしたがって、例えばWO 96/38629、WO 97/13033及びEP−A−564 912で説明されているように、親水性ポリイソシアネートが、好ましくはこの目的に用いられる。
【0018】
本発明にしたがって、ポリイソシアネートは、通常は、当業者には公知であって、市販のポリイソシアネートから製造できるエマルジョン(水中油)の形態で用いる。通常は、水分散性ポリイソシアネート又はそれらの混合物を、通常は水中20重量%以下、好ましくは10重量%以下の濃度で、有利には500nm以下の粒径を有する微粒子分散として、希釈形態で用いるか又はマッシュに添加する。繊維を処理するマッシュでは、ポリイソシアネート樹脂の濃度は、所望の結合効果が達成される限りにおいては、自由に選択できる。それは、より濃い濃度では、繊維懸濁液の希釈と、マトリックスにおいて補助濾過剤として組み込むことができる固体樹脂粒子の同時形成とによっても達成できる。懸濁液では、0.0001重量%〜0.5重量%又は0.00015重量%〜0.45重量%の樹脂量又は樹脂濃度が、通常は有利であることが分かったが、好ましくは、マッシュでは、0.0015重量%〜0.23重量%、特に0.0075重量%〜0.14重量%で樹脂を用いる。存在している原料、すなわち繊維及び任意の他の固体補助剤の濃度は、懸濁マッシュでは、好ましくは固形分1.5重量%〜4.5重量%である。
【0019】
本発明によるセルロース繊維は、主として、2mm超、好ましくは2〜4mm、特に2.5〜4mmの長さ及び(非研削状態で)25μm超、好ましくは30μm超の繊維直径を有する長繊維から製造される(セルロースの割合30%〜100%、好ましくは50%超)。それらは、長期安定性を示し、好ましくは、製造プロセスにおいてフィブリル化するように研削する。その場合、部分的には最大80°SRまでの大きな研削角度で行う。
【0020】
本発明によるフィルターは、好ましくは、フィルターマトリックス中に、追加のフィルター成分、例えば多糖類、セルロース誘導体、例えば酢酸セルロース、アガロース及びそれらの誘導体、デキストラン及びキトサン、及びそれらの誘導体、及び、特に、無機粒子、例えば天然シリケート化合物、例えば多孔質珪藻土、積層シリケート、パーライト、キセロゲル、長石、ゼオライト、モンモリロナイト、モレキュラーシーブ及びイオン交換体、活性炭、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、タルカムパウダー及び、合成有機ポリマー粒子(特に、上記の反応性湿潤強力樹脂から成っていても良い)、ポリビニルピロリドン(PVP又はPVPP)及び澱粉及び澱粉誘導体、例えば酸化澱粉及びアルキル化澱粉及び合成繊維材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレンを含む。フィルターは、フィルターの総含量を基準として、これらのフィルター成分を最大70重量%まで含むことができる。
【0021】
驚くべきことに、本発明によるフィルター層は、市販の湿潤強力樹脂で仕上げられた他のフィルター層に比べて、より良好な濾過効率を有することを見出した。濾過効率は、かなりの程度までフィルター層の透過性及び浄化効果と関係があり、また規定された濾過条件下で量的に記述できる。
【0022】
良好な濾過効率のために重要な前提条件は、フィルター層中において、すべてのフィルター成分が、できる限り均質に分散していることである。しかしながら、フィルター層を製造する湿潤区画で起こる例えば凝集のような不均質は、カチオン湿潤強力樹脂の使用に起因しているので、完全に回避できない。不均質であることにより、均質なシート構造が損なわれるが、不均質であることは、必要な湿潤強さのためには絶対的に必要である。フレークは、カチオン湿潤強力樹脂とその後の凝集とによる電荷の破壊の結果として起こる、フィルター材料パルプ中に存在する負に帯電した繊維及び微細材料の不安定化によって創り出される。
【0023】
改良された濾過効率に関する更なる追加の説明は、フィルター層中にある濾過活性フィルター成分によって保持される非常に小さな硬化ポリマー粒子を自己架橋(水性懸濁液中で可能な副反応)させることによって、小さなエマルジョン液滴の形態で水中に存在する反応性ポリイソシアネートを作ることができ、その結果、全体として利用可能で受容可能な濾過活性表面が増大し、本発明によるフィルター層の濾過効果が良い方向で影響を受けるという事実に認められる。良好な膨潤特性にもかかわらず、本発明によるフィルター層の特徴は、水による湿潤挙動が遅いことである。紙の仕上げ時のカチオン保持剤(cationic retention agent)と関連があるアニオン性修飾ポリイソシアネートに関して、この疎水化は既に説明されている(EP 0 828 890 B1)。この効果は、フィルター層を製造するときにカチオン性修飾ポリイソシアネートを用いることによっても起こり、特に、ポリイソシアネートの量を増加させ、かつ焼戻しフィルター材料パルプ(20〜60℃、好ましくは30〜45℃)における樹脂の滞留時間をより長く(5〜180分、好ましくは30〜90分)することによって起こることを見出した。フィルター材料パルプにおけるポリイソシアネート樹脂のより長い滞留時間及び温度は、本発明によるフィルター層の水に関する湿潤挙動を低下させるように、ポリイソシアネートの予備架橋及び保持に影響を及ぼすと考えられる。
【0024】
原則として、フィルター材料パルプにおけるポリイソシアネートのより長い滞留時間及び反応時間と同様に、ポリイソシアネートの電荷が増加すると、フィルター層の疎水化の増大が促進されることが分かった。温度の上昇によっても、フィルター層の疎水化が促進される。この効果は、懸濁液における繊維濃度を低下させることによって打ち消すことができる。
【0025】
フィルター層を貯蔵することによって生じる問題はこれまで起きていないが、この疎水化によって、フィルター層の空気中の湿気からの水の吸収が低下するので、湿度貯蔵寿命が延びることを見出した。
【0026】
更に、フィルターによる水の吸収が低下すると、微生物による汚染に対するフィルター材料の感受性が実質的に低下し、またフィルター層の望ましくない波動が減少することを見出した。更に、化学分解過程も、水の吸収が低下することによって、減速される。
【0027】
湿潤挙動の特徴は、製紙工業においてサイジングの程度を決定する場合のように、水溶液の浸透に対するフィルター表面の耐性によって記述される(実施例5に示してある)。
【0028】
また、本発明は、上記フィルター層を形成させる前にポリイソシアネートでセルロース繊維を処理することを特徴とする、上記フィルター層を製造する方法にも関する。本発明では、セルロース繊維は、懸濁媒体中に懸濁させ、その懸濁状態において、1種又は複数種のポリイソシアネートで処理する。好ましい懸濁媒体は、水性媒体であるが、有機成分を含む懸濁媒体、例えば油中水エマルジョン又は水中油エマルジョンを用いることもできる。セルロース繊維の処理では、繊維の表面又は繊維の部分又は繊維の点形状領域を、好ましくはポリイソシアネートで処理する。ポリイソシアネートは、繊維の表面に位置している官能基と直接に共有結合的に架橋させることもでき、また非共有結合で前記表面に吸着させて結合させることもできる。前記の結合は、熱処理によって有利に達成される。このように処理された懸濁セルロース繊維を続いて沈殿させ、通常は、懸濁剤を除去することによって、層を、特に開放気孔層を形成させて、フィルターマトリックスを製造する。その場合、ポリイソシアネートは、マトリックス中に通常は均一に分散させる。そのような濾過層を作る一般的な方法は、担体スクリーン上に、吸引によって懸濁媒体を引き取る方法である。そのようにして得られた層を、続いて、80℃超、有利には80〜200℃、好ましくは100〜180℃、特に110〜150℃の温度で乾燥させる。本発明にしたがって、所望の湿潤強さが、既に乾燥後に得られ、膨潤効果は維持されるので、更なる処理は不要であることが分かった。
【0029】
本発明による方法を用いると、200〜300g/m2、好ましくは500〜2,000g/m2の単位面積当たり重量、及び20N/5cm〜500N/5cm、好ましくは50N/5cm〜300N/5cmの湿潤強さを有するデプスフィルター層を製造できる。
【0030】
湿潤強さは、水性サンプルに関する引張試験で、そのサンプルを破断又は引裂くのに要する力を測定する独国工業規格53112パート2で説明されているようにして測定する。その力は破断力と呼ばれる。100±2mmの自由固定長さ(free clamping length)及び50mmの幅を有するサンプルを、サンプルが破断した瞬間に測定された力を表示する引張試験機に固定する。初期湿潤強さを測定するために、試料を、完全に浸漬された状態で容器中に5分間配置する。次に、永久湿潤強さを同じ方法で測定するが、水に浸す代わりに、層に異なる荷重をかけ、次に、湿潤強さについて引張試験機で試験する。好ましくは、本発明によるフィルター又は本発明にしたがって製造されるフィルターを、食品及び飲料、特にビール及びワイン、また薬剤を製造するために用いる。
【0031】
以下、実施例を掲げて、本発明を更に詳細に説明する。
セルロース繊維物質を、市販の湿潤強力剤で、すなわちメラミン・ホルムアルデヒド樹脂[Madurit MW 167 (10%溶液、Vianoova Resins)]、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂[Luresin KNU (BASF)]、ポリビニルアミン[Baso−coll 8086 (BASF)]、ポリエチレンイミン [Polyamin P (BASF)]、ポリイソシアネート [ISOVIN VP SP 42004 (Bayer)]、CMC [Tylose C30 (Clariant)]、シリカゾル [Kiar−Sol−Super (Erbslah)]、ポリアクリレート [Acronal 27 D (BASF)]で処理した。
【0032】
フィルターを製造するために、湿潤強力樹脂及び/又は更なる添加剤を、水性の懸濁液又はエマルジョンの形態で、好ましくは1〜10重量%希釈液の形態でセルロースパルプ中に撹拌する。続いて、理想的な条件下で工業的なフィルター層製造をシミュレートできる実験室シート成形機でフィルター層を作る。長網抄紙機を用いる場合は、陰圧の補助下で、スクリーンを通して繊維懸濁液を鉛直排水することによって、層形成を行う。フィルター層を形成するために、シート成形機の装填室を下から水で満たし、上からは、2%セルロースパルプ2,000mlを供給する。4リットルの目印に達したら、水の供給を停止し、パルプ懸濁液を圧縮空気と5秒間完全に混合する。次に、陰圧を施用することによって排水手順を開始する前に、その懸濁液を5秒間静置させる。液位がファイバフリースによって低下した後でも、シートから10秒間なお空気を吸引する。最後に、得られた層を130〜150℃で乾燥させる。このようにして得られたデプスフィルターの湿潤強さを、水中に5分間配置してから測定する。
【0033】
得られた値は、[1]として以下の表1に掲げてある。
次に、試験Aから試験Cとして以下で説明している方法にしたがってフィルターを処理して、永久湿潤強さを測定した。
試験A:
各回1バールの圧力(105Pa)下で、層フィルター中にあるフィルター層を、30分間水蒸気に交互にさらし、続いて、30分間pH3において10%エタノール・水混合物でそれぞれ10回すすいだ。次に、フィルター層を2.5%カセイソーダ溶液ですすぎ(10分間、500l/m2h)、続いて、幅5cm及び長さ15cmの試料について湿潤強さを測定した。
試験B:
各フィルターを121℃(0.1MPa(1バール)過剰圧力)で8回オートクレーブした。
試験C:
フィルターを、それぞれ、90℃(500l/m2h、20分)の熱水で100回すすぎ、20℃の冷水で100回すすいだ。
【0034】
実施例1(他の湿潤強力樹脂と直接比較、補助保持剤は添加していない)
試験A
多孔質珪藻土を含有していないフィルター物質(スルフェートプロセスで処理されたマツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:25°SR);単位面積あたりの重量:640g/m2;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm。
【0035】
【表1】
試験B:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm;単位面積あたりの重量:1280g/m2。
【0036】
【表2】
試験C:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm;単位面積あたりの重量:1280g/m2。
【0037】
【表3】
実施例2(保持剤の添加による効果の増大)
試験A
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2;保持剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)
【0038】
【表4】
実施例3(他の湿潤強力樹脂との組合せ)
試験A
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
【0039】
【表5】
実施例4(モデル物質の懸濁液に基づく濾過効率)
a)
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
濾過条件:試験圧力:1000ミリバール;試験時間:1800秒
モデル物質懸濁液の混濁粒子に関するフィルター層の保持能力の測定
フィルター層を、規定条件(試験圧力:1000ミリバール;試験時間:30分)下で、モデル物質懸濁液(例えば、0.7%生蔗糖溶液、Ovomaltine/コーヒー代替懸濁液 = モデル懸濁液1)にさらし、濾過挙動(処理量及び浄化効果)を測定した。測定された体積流量[l/h]及び濾液の濁度[TE/F]から、フィルター層の浸透性(透過性)及び浄化効果を量的に記述できる。前記2つの層パラメーターだけで、フィルター層の重要な効率が記述される。
【0040】
値Aを計算するための下式(下記参照)を用いると、層を直接比較する場合に、両方の濾過パラメーターを値Aによって量的に[%]記述できる。値Aは、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂を用いて作られた層に比べて、ポリイソシアネートを用いて作られた新しいフィルター層の効率が改良されていることを表している。実施例4aでは、式Aによると、ポリイソシアネートを用いて作られたフィルター層の効率は45%増加している。その増加は、この実施例では、比較層に関して、透過性が同時に増加している新しいポリイソシアネートフィルター層の浄化効率がより良好であることから生じている。
【0041】
【表6】
b)本発明によるフィルターは、実施例4a)に関して変更されたモデル物質懸濁液について優れた濾過効率も示した。モデル物質懸濁液Eura/Ovomaltineは次のようにして製造した:すなわち、1リットルの水の中に、WASA GmbH, Celleから市販されているOvomaltineを2.0g及びGuenzburger Nahrungsmittelwerke company, Guenzburgから市販されているコーヒー代替抽出物を7.0g撹拌し、次に、激しく撹拌しながら100リットルまで注ぎ足し(モデル物質懸濁液2)、水性懸濁液状態で、ワークグループTechnik/Analytik of the European Specialized Association Tiefenfiltration e.V. (EFT)の”Testing Methods Depth Filter Media Filter Layers” にしたがって濾過試験に用いた。
フィルター層組成:
スルフェートプロセスで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:43°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
濾過条件:試験圧力:1000ミリバール;試験時間:1800秒
モデル物質懸濁液2
【0042】
【表7】
説明:
以下の式において、両方の濾過パラメーター(体積流量及び濁度)は、直接に層を比較する(PIC−EPI層)場合に、値Aによって定量的に記述される。ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン層との違いは明らかである。
【0043】
A = [(体積sample/体積epi)/
(濁度sample/濁度epi)−1]x 100
評価:
パーセント差(A値)は、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂を用いて作られた層に比較して、ポリイソシアネートを用いて作られた新しいフィルター層の効率が向上していることを証明している。
【0044】
実施例5(サイジング効果)
試験条件:
フィルター層組成:多孔質珪藻土を含有していないセルロース繊維物質(スルフェートプロセスで処理されたマツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:25°SR、単位面積あたりの重量:640g/m2、実験室シート)から成り、約3%の残留水分を有する乾燥フィルター層に対して、ピペットを用いて、注意深く水を6滴たらし、水滴がフィルター層中に浸透するのに要する時間(6つの測定値の平均値)を測定する(滴下試験)。
【0045】
製紙業でサイジングの程度を測定するのと同様に、試験により、水溶液の浸透に対するフィルター表面の抵抗性が記述される。而して、フィルター層は、フィルター層の湿潤性で区別することができる。
【0046】
水滴を乾燥フィルター層(含水率:3%)に施用し、浸透時間を測定する(滴下試験)。
【0047】
【表8】
実施例6
繊維の膨潤容量を試験するために、純粋なセルロース層を試験した(試験Aと同様)。水保持能力(WRC)を次のようにして測定した:乾燥させた層を20gを水中で20分間撹拌し、次に、そのサンプルを3,000回転/分で遠心分離する。遠心分離して取り出された湿潤ケークを計量し(mmoist)、次に、乾燥器キャビネット中で乾燥させ、その乾燥重量(mdry)を新たに測定した。
【0048】
WRC(%)= (mmoist − mdry)x 100/mdry
従来の樹脂を用いると、WRC値(膨潤)が低下するが、ポリイソシアネートを用いる本発明にしたがって製造されたセルロースシートの膨潤能力は、ほとんど一定のままである。これまでは、樹脂の量は、常に、フィルター層の膨潤特性に関して特に悪い効果を有していた。測定の正確さを考慮すると、ポリイソシアネート樹脂は、他の樹脂と同程度に強くセルロースの膨潤特性を低下させないことが認められる(以下を参照されたい)。
【0049】
【表9】
* 試験3回の平均値
本発明は、フィルター、特に、湿潤強力仕上げ(wet−strength finish)が施されているにもかかわらず、依然として優れた膨潤性を有する、セルロースから作られたデプスフィルター(depth filters)に関する。更に、本発明は、前記フィルターを製造する方法及び使用する方法にも関する。
【0002】
テクニカルプロセス、特に遠心分離を伴う大規模プロセスでは、固体及び/又は懸濁された物質を液体から分離するために、フィルターが用いられる。しばしば、セルロース繊維から成るフェルト又は布から作られたフィルターが用いられる。前記フィルターでは、これらの繊維布の強度は、個々の繊維を撚り合せることによってのみならず、なかんずく、電荷相互作用によって、特に、繊維を一緒に保持する水素結合によって生じる。前記フィルターを水性媒体で用いる場合、水分子が、イオン性基の間に押し通り、その結果として、セルロース布の膨潤及び強度の低下が起り、それによりフィルター構造も変化する。乾燥フィルター層のシート構造における不均質性(例えば、フィルター層製造中の凝集に因る)は、経験から考えて、水を吸収(膨潤)することによって増大し、またその不均質性によって引き起こされる繊維の異なる移動性に起因してシート構造中において欠陥が増加するので、フィルター層に濾過特性が付与される。テクニカルプロセスにおけるフィルターの膨潤は、フィルター設備の密封にかなり寄与することから特に望ましいが、力学的応力に耐える強度又は能力の低下により、フィルターの有効寿命が短縮し、フィルターをより頻繁に交換する必要が生じ、その結果として製造プロセスが頻繁に中断されるので、極めて望ましくない。望ましい膨潤と望ましくない強度の低下の双方が、同じ化学物理的プロセスによって引き起こされるが、当業者は、良好な膨潤容量と同時に充分な湿潤強さを有するフィルターを製造しようと努力している。また、フィルター層において非常に均一なフィルター構造を堆積させて、フィルター層の濾過特性を向上させることも特に望ましい。
【0003】
而して、セルロース繊維に関して顕著な電荷相互作用を示すポリエチレンイミン及び/又はポリビニルアミンを用いて湿潤強力仕上げを有する前記セルロースフィルターを提供しようとする試みが既に成されてきた。しかしながら、そのようなフィルターは、高度な湿潤強さを得るには高い電荷密度を要し、その場合、今度は、望んでいない吸着に因り濾過収率が低下するという短所を有する。更に、前記フィルター製造中に起こる高度の電荷相互作用により、セルロース繊維パルプにおいて凝集が増加し、その結果、不均質なフィルター層が生じ、それにより、濾過効率、特に前記フィルターの分離効率が損なわれる。更に、その場合、電荷相互作用のみに基づく繊維・繊維結合も、再び水によって部分的に破壊されるので、使用中に湿潤強さが急速に低下する。更に、そのように仕上げられたフィルターは、洗い出し(wash−out)効果、すなわち湿潤強力仕上げの分解生成物が濾液中に再び見出されるような湿潤強力仕上げの洗い出しを示す。それは極めて望ましくなく、特に食品及び医薬品の製造においては極めて望ましくない。
【0004】
而して、ポリアミン及び/又はポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂を用いて、セルロース繊維を含むフィルターに対して湿潤強力仕上げを付与しようとする試みが既に成されている。メラミン・ホルムアルデヒド樹脂も、前記フィルター材料の湿潤強さを増大させるためにしばしば用いられる。しかしながら、前記仕上げを有する樹脂は、塩素化合物(ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂)を遊離するか、又はメラミン・ホルムアルデヒド樹脂の場合には、熱及び水分の作用下でホルムアルデヒドが遊離されて増加し、その結果として、悪臭が発生するだけでなく、濾液も汚染される。更に、上記プロセスにより、化学的架橋により引き起こされる架橋によって湿潤強力仕上げが提供されるフィルターは、満足な膨潤挙動を示さない。更に、湿潤強力仕上げは、時間と共に化学的に分解して、湿潤強さが使用過程で低下する。
【0005】
製紙業では、ペーパプレス(paper press)において、加圧下で、ポリイソシアネート樹脂を用いて紙にサイズを塗ることは公知であり、その結果として、同様に、紙の湿潤強さが増大する。スクリーン上に繊維を沈殿させた(シート形成)後、更に、得られた紙のウェブに120kPa以下の圧力を加える2つのロール間に存在するプレス区画において紙のウェブの水気を更に切り且つ圧縮する。それによって、紙の中の繊維・繊維結合が増加し、大いに強度が増す。更に、紙表面が滑らかになり、書込みが更にし易くなる。通常、非研削状態で長さ0.6〜1.3mm、及び繊維直径15〜20μmを有する短セルロース繊維は、お互いの中にプレスされ、紙を作るために用いられる。短セルロース繊維は、軽く研削する短繊維化研削によって加工し、ペーパプレスにおいて熱の作用下で互いに結合させる。
【0006】
上記プロセスは、例えばDE−A42 11 480、WO 97/13033、EP−A−0 582 166及びWO 96/38629で説明されている。これらすべてのプロセスの目的は、吸着可能な有機ハロゲン(AOX)が工業排水中に排出されるのを防止すること、また紙及び工業排水サイクルにおいてこれらの物質が富化するのを防止することである。このタイプのサイジングにより、湿潤強力紙(wet−strength paper)が得られる。既に、製紙業では、製品の湿潤強さが乾燥強度の少なくとも15%である場合に、その製品を湿潤強力品と呼んでいる。
【0007】
しかしながら、例えばプレス作業、ゼラチン化澱粉誘導体の添加又は表面のサイジングのような強度を増大させるために製紙業で通常用いられる処置は、その処置によって、フィルター層とって必要な透過性及び多孔性が実質的に破壊されるので、フィルター層の製造においては論外である。
【0008】
しかしながら、フィルターを製造する場合、紙とは対照的に、互いに密接に並んでいる高密度充填され結合された短セルロース繊維は存在しておらず、その代わりに、より大きな繊維直径を有する実質的により長い繊維が結合して、その容量の約80%が開放気孔空隙容量から通常成っている網状構造を形成する。このようにしてのみ、濾過のために要求されるフィルター層の透過性を保証することができ、それと同時に、濾過活性フィルター材料(例えば、多孔質珪藻土)を、フィルターマトリックス中で大量に結合させることができる。更に、経験から、そのような開放フィルター層の強度は、長繊維を用いることによって向上する。
【0009】
DE 42 23 604では、1種又は複数種の水不溶性ポリマー又はポリマー誘導体が溶解されている均質な有機ポリマー(イソシアネート基又はブロックトイソシアネート基を含むことができる)溶液を含浸させることによって、セルロース、紙、わら又はそれらの誘導体から成る成形品又は圧縮成形組成物に対して湿潤強さを付与する方法が説明されている。該ポリマー又はそれらの誘導体は、油中水エマルジョンの油相中に溶解させることもできる。
【0010】
湿潤強さは、含浸によってポリマーで疎水化されているセルロースの成形品又は圧縮成形組成物で仕上げて、複合繊維構造中への水の含浸を完全に防止又は少なくとも劇的に制限することによって、達成される。しかしながら、水の侵入を防止する前記成形品は、液体が疎水化層を湿潤させず、而して殆どマイクロメートル及びサブマイクロメートル範囲のフィルター細孔内に浸透できないので、水溶液の濾過には適さない。更に、前記成形品は、膨潤挙動を示さず、また成形品全体を完全に強化しない。
【0011】
本発明の目的は、有効寿命がかなり長く、且つ未処理製品と比較して同じか又はほんのわずかに低い膨潤能力を示す、湿潤強力仕上げを有する利用可能なフィルターを作ることである。
【0012】
本発明の更なる目的は、膨潤容量が増大したにもかかわらず、他の湿潤強力樹脂(例えば、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂)を用いる技術状態にしたがって製造されるフィルターに比べて、より良好な濾過効率も有する利用可能なフィルターを作ることである。最終的に、湿潤強力仕上げを有する従来の公知のフィルターに比べて、有意に長い有効寿命を有するフィルターを利用できるようにしなければならない。更に、前記フィルターはブリードしない、すなわち、濾過生成物中にフィルターの湿潤強力仕上げを放出しない。また、最終的に、フィルターは、温度が上昇した条件下で用いる場合、安定した状態を維持し且つ上記特性を保持していなければならない。
【0013】
本発明にしたがって、上記目的は、フィルターマトリックスのセルロース繊維をポリイソシアネートで処理して、膨潤能力を向上させることによって達成される。その処理は、特に、フィルター層を形成する前に、且つ都合良くは、懸濁液中又は懸濁マッシュ(suspended mash)中で行う。
【0014】
フィルター、特にデプスフィルターは、紙と比較して、通常は、単位面積あた
り実質的により重い重量、すなわち200〜3,500g/m2を有する。更に、フィルターは、しばしば、無機フィルター活性物質(inorganic filter−active substance)を最大70重量%まで含む。
【0015】
本発明によるフィルターは、層質量を基準として、ポリイソシアネートを、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%含み、また、ほんの2重量%未満又は0.05〜2重量%の量でも通常は充分である。多くの場合において、0.1〜1.2重量%の量が有利であることが分かった。本明細書において、層質量(layer mass)という用語は、層中に含まれるすべての材料、例えばセルロース、多孔質珪藻土及びパーライトなどを包含している。本発明にしたがって、これらの量を用いた場合、好ましくは、繊維が互いに接触しかつ繊維が互いに結合する接触点においてのみポリイソシアネートが供給され、その場合でも繊維ネットの膨潤能力が維持されていることを発見した。
【0016】
しかしながら、原則として、本発明にしたがって、繊維懸濁液が充分に希釈されている場合には、大量のポリイソシアネートを用いることもできる。その場合、表面又は表面の部分又は繊維の点にイソシアネートが供給されるだけでなく、小さな懸濁されたポリマー粒子が生成され、追加のフィルター成分又は補助濾過剤として、フィルターマトリックスの空隙容量中に均一に分散されて埋め込まれ得る。
【0017】
本発明にしたがって、例えばWO 96/38629、WO 97/13033及びEP−A−564 912で説明されているように、親水性ポリイソシアネートが、好ましくはこの目的に用いられる。
【0018】
本発明にしたがって、ポリイソシアネートは、通常は、当業者には公知であって、市販のポリイソシアネートから製造できるエマルジョン(水中油)の形態で用いる。通常は、水分散性ポリイソシアネート又はそれらの混合物を、通常は水中20重量%以下、好ましくは10重量%以下の濃度で、有利には500nm以下の粒径を有する微粒子分散として、希釈形態で用いるか又はマッシュに添加する。繊維を処理するマッシュでは、ポリイソシアネート樹脂の濃度は、所望の結合効果が達成される限りにおいては、自由に選択できる。それは、より濃い濃度では、繊維懸濁液の希釈と、マトリックスにおいて補助濾過剤として組み込むことができる固体樹脂粒子の同時形成とによっても達成できる。懸濁液では、0.0001重量%〜0.5重量%又は0.00015重量%〜0.45重量%の樹脂量又は樹脂濃度が、通常は有利であることが分かったが、好ましくは、マッシュでは、0.0015重量%〜0.23重量%、特に0.0075重量%〜0.14重量%で樹脂を用いる。存在している原料、すなわち繊維及び任意の他の固体補助剤の濃度は、懸濁マッシュでは、好ましくは固形分1.5重量%〜4.5重量%である。
【0019】
本発明によるセルロース繊維は、主として、2mm超、好ましくは2〜4mm、特に2.5〜4mmの長さ及び(非研削状態で)25μm超、好ましくは30μm超の繊維直径を有する長繊維から製造される(セルロースの割合30%〜100%、好ましくは50%超)。それらは、長期安定性を示し、好ましくは、製造プロセスにおいてフィブリル化するように研削する。その場合、部分的には最大80°SRまでの大きな研削角度で行う。
【0020】
本発明によるフィルターは、好ましくは、フィルターマトリックス中に、追加のフィルター成分、例えば多糖類、セルロース誘導体、例えば酢酸セルロース、アガロース及びそれらの誘導体、デキストラン及びキトサン、及びそれらの誘導体、及び、特に、無機粒子、例えば天然シリケート化合物、例えば多孔質珪藻土、積層シリケート、パーライト、キセロゲル、長石、ゼオライト、モンモリロナイト、モレキュラーシーブ及びイオン交換体、活性炭、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、タルカムパウダー及び、合成有機ポリマー粒子(特に、上記の反応性湿潤強力樹脂から成っていても良い)、ポリビニルピロリドン(PVP又はPVPP)及び澱粉及び澱粉誘導体、例えば酸化澱粉及びアルキル化澱粉及び合成繊維材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレンを含む。フィルターは、フィルターの総含量を基準として、これらのフィルター成分を最大70重量%まで含むことができる。
【0021】
驚くべきことに、本発明によるフィルター層は、市販の湿潤強力樹脂で仕上げられた他のフィルター層に比べて、より良好な濾過効率を有することを見出した。濾過効率は、かなりの程度までフィルター層の透過性及び浄化効果と関係があり、また規定された濾過条件下で量的に記述できる。
【0022】
良好な濾過効率のために重要な前提条件は、フィルター層中において、すべてのフィルター成分が、できる限り均質に分散していることである。しかしながら、フィルター層を製造する湿潤区画で起こる例えば凝集のような不均質は、カチオン湿潤強力樹脂の使用に起因しているので、完全に回避できない。不均質であることにより、均質なシート構造が損なわれるが、不均質であることは、必要な湿潤強さのためには絶対的に必要である。フレークは、カチオン湿潤強力樹脂とその後の凝集とによる電荷の破壊の結果として起こる、フィルター材料パルプ中に存在する負に帯電した繊維及び微細材料の不安定化によって創り出される。
【0023】
改良された濾過効率に関する更なる追加の説明は、フィルター層中にある濾過活性フィルター成分によって保持される非常に小さな硬化ポリマー粒子を自己架橋(水性懸濁液中で可能な副反応)させることによって、小さなエマルジョン液滴の形態で水中に存在する反応性ポリイソシアネートを作ることができ、その結果、全体として利用可能で受容可能な濾過活性表面が増大し、本発明によるフィルター層の濾過効果が良い方向で影響を受けるという事実に認められる。良好な膨潤特性にもかかわらず、本発明によるフィルター層の特徴は、水による湿潤挙動が遅いことである。紙の仕上げ時のカチオン保持剤(cationic retention agent)と関連があるアニオン性修飾ポリイソシアネートに関して、この疎水化は既に説明されている(EP 0 828 890 B1)。この効果は、フィルター層を製造するときにカチオン性修飾ポリイソシアネートを用いることによっても起こり、特に、ポリイソシアネートの量を増加させ、かつ焼戻しフィルター材料パルプ(20〜60℃、好ましくは30〜45℃)における樹脂の滞留時間をより長く(5〜180分、好ましくは30〜90分)することによって起こることを見出した。フィルター材料パルプにおけるポリイソシアネート樹脂のより長い滞留時間及び温度は、本発明によるフィルター層の水に関する湿潤挙動を低下させるように、ポリイソシアネートの予備架橋及び保持に影響を及ぼすと考えられる。
【0024】
原則として、フィルター材料パルプにおけるポリイソシアネートのより長い滞留時間及び反応時間と同様に、ポリイソシアネートの電荷が増加すると、フィルター層の疎水化の増大が促進されることが分かった。温度の上昇によっても、フィルター層の疎水化が促進される。この効果は、懸濁液における繊維濃度を低下させることによって打ち消すことができる。
【0025】
フィルター層を貯蔵することによって生じる問題はこれまで起きていないが、この疎水化によって、フィルター層の空気中の湿気からの水の吸収が低下するので、湿度貯蔵寿命が延びることを見出した。
【0026】
更に、フィルターによる水の吸収が低下すると、微生物による汚染に対するフィルター材料の感受性が実質的に低下し、またフィルター層の望ましくない波動が減少することを見出した。更に、化学分解過程も、水の吸収が低下することによって、減速される。
【0027】
湿潤挙動の特徴は、製紙工業においてサイジングの程度を決定する場合のように、水溶液の浸透に対するフィルター表面の耐性によって記述される(実施例5に示してある)。
【0028】
また、本発明は、上記フィルター層を形成させる前にポリイソシアネートでセルロース繊維を処理することを特徴とする、上記フィルター層を製造する方法にも関する。本発明では、セルロース繊維は、懸濁媒体中に懸濁させ、その懸濁状態において、1種又は複数種のポリイソシアネートで処理する。好ましい懸濁媒体は、水性媒体であるが、有機成分を含む懸濁媒体、例えば油中水エマルジョン又は水中油エマルジョンを用いることもできる。セルロース繊維の処理では、繊維の表面又は繊維の部分又は繊維の点形状領域を、好ましくはポリイソシアネートで処理する。ポリイソシアネートは、繊維の表面に位置している官能基と直接に共有結合的に架橋させることもでき、また非共有結合で前記表面に吸着させて結合させることもできる。前記の結合は、熱処理によって有利に達成される。このように処理された懸濁セルロース繊維を続いて沈殿させ、通常は、懸濁剤を除去することによって、層を、特に開放気孔層を形成させて、フィルターマトリックスを製造する。その場合、ポリイソシアネートは、マトリックス中に通常は均一に分散させる。そのような濾過層を作る一般的な方法は、担体スクリーン上に、吸引によって懸濁媒体を引き取る方法である。そのようにして得られた層を、続いて、80℃超、有利には80〜200℃、好ましくは100〜180℃、特に110〜150℃の温度で乾燥させる。本発明にしたがって、所望の湿潤強さが、既に乾燥後に得られ、膨潤効果は維持されるので、更なる処理は不要であることが分かった。
【0029】
本発明による方法を用いると、200〜300g/m2、好ましくは500〜2,000g/m2の単位面積当たり重量、及び20N/5cm〜500N/5cm、好ましくは50N/5cm〜300N/5cmの湿潤強さを有するデプスフィルター層を製造できる。
【0030】
湿潤強さは、水性サンプルに関する引張試験で、そのサンプルを破断又は引裂くのに要する力を測定する独国工業規格53112パート2で説明されているようにして測定する。その力は破断力と呼ばれる。100±2mmの自由固定長さ(free clamping length)及び50mmの幅を有するサンプルを、サンプルが破断した瞬間に測定された力を表示する引張試験機に固定する。初期湿潤強さを測定するために、試料を、完全に浸漬された状態で容器中に5分間配置する。次に、永久湿潤強さを同じ方法で測定するが、水に浸す代わりに、層に異なる荷重をかけ、次に、湿潤強さについて引張試験機で試験する。好ましくは、本発明によるフィルター又は本発明にしたがって製造されるフィルターを、食品及び飲料、特にビール及びワイン、また薬剤を製造するために用いる。
【0031】
以下、実施例を掲げて、本発明を更に詳細に説明する。
セルロース繊維物質を、市販の湿潤強力剤で、すなわちメラミン・ホルムアルデヒド樹脂[Madurit MW 167 (10%溶液、Vianoova Resins)]、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂[Luresin KNU (BASF)]、ポリビニルアミン[Baso−coll 8086 (BASF)]、ポリエチレンイミン [Polyamin P (BASF)]、ポリイソシアネート [ISOVIN VP SP 42004 (Bayer)]、CMC [Tylose C30 (Clariant)]、シリカゾル [Kiar−Sol−Super (Erbslah)]、ポリアクリレート [Acronal 27 D (BASF)]で処理した。
【0032】
フィルターを製造するために、湿潤強力樹脂及び/又は更なる添加剤を、水性の懸濁液又はエマルジョンの形態で、好ましくは1〜10重量%希釈液の形態でセルロースパルプ中に撹拌する。続いて、理想的な条件下で工業的なフィルター層製造をシミュレートできる実験室シート成形機でフィルター層を作る。長網抄紙機を用いる場合は、陰圧の補助下で、スクリーンを通して繊維懸濁液を鉛直排水することによって、層形成を行う。フィルター層を形成するために、シート成形機の装填室を下から水で満たし、上からは、2%セルロースパルプ2,000mlを供給する。4リットルの目印に達したら、水の供給を停止し、パルプ懸濁液を圧縮空気と5秒間完全に混合する。次に、陰圧を施用することによって排水手順を開始する前に、その懸濁液を5秒間静置させる。液位がファイバフリースによって低下した後でも、シートから10秒間なお空気を吸引する。最後に、得られた層を130〜150℃で乾燥させる。このようにして得られたデプスフィルターの湿潤強さを、水中に5分間配置してから測定する。
【0033】
得られた値は、[1]として以下の表1に掲げてある。
次に、試験Aから試験Cとして以下で説明している方法にしたがってフィルターを処理して、永久湿潤強さを測定した。
試験A:
各回1バールの圧力(105Pa)下で、層フィルター中にあるフィルター層を、30分間水蒸気に交互にさらし、続いて、30分間pH3において10%エタノール・水混合物でそれぞれ10回すすいだ。次に、フィルター層を2.5%カセイソーダ溶液ですすぎ(10分間、500l/m2h)、続いて、幅5cm及び長さ15cmの試料について湿潤強さを測定した。
試験B:
各フィルターを121℃(0.1MPa(1バール)過剰圧力)で8回オートクレーブした。
試験C:
フィルターを、それぞれ、90℃(500l/m2h、20分)の熱水で100回すすぎ、20℃の冷水で100回すすいだ。
【0034】
実施例1(他の湿潤強力樹脂と直接比較、補助保持剤は添加していない)
試験A
多孔質珪藻土を含有していないフィルター物質(スルフェートプロセスで処理されたマツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:25°SR);単位面積あたりの重量:640g/m2;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm。
【0035】
【表1】
試験B:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm;単位面積あたりの重量:1280g/m2。
【0036】
【表2】
試験C:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;初期湿潤強さ[1]及び永久湿潤強さ[2]、単位N/5cm;単位面積あたりの重量:1280g/m2。
【0037】
【表3】
実施例2(保持剤の添加による効果の増大)
試験A
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2;保持剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)
【0038】
【表4】
実施例3(他の湿潤強力樹脂との組合せ)
試験A
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
【0039】
【表5】
実施例4(モデル物質の懸濁液に基づく濾過効率)
a)
フィルター層組成:
スルフェートプロセス/リンターで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:30°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
濾過条件:試験圧力:1000ミリバール;試験時間:1800秒
モデル物質懸濁液の混濁粒子に関するフィルター層の保持能力の測定
フィルター層を、規定条件(試験圧力:1000ミリバール;試験時間:30分)下で、モデル物質懸濁液(例えば、0.7%生蔗糖溶液、Ovomaltine/コーヒー代替懸濁液 = モデル懸濁液1)にさらし、濾過挙動(処理量及び浄化効果)を測定した。測定された体積流量[l/h]及び濾液の濁度[TE/F]から、フィルター層の浸透性(透過性)及び浄化効果を量的に記述できる。前記2つの層パラメーターだけで、フィルター層の重要な効率が記述される。
【0040】
値Aを計算するための下式(下記参照)を用いると、層を直接比較する場合に、両方の濾過パラメーターを値Aによって量的に[%]記述できる。値Aは、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂を用いて作られた層に比べて、ポリイソシアネートを用いて作られた新しいフィルター層の効率が改良されていることを表している。実施例4aでは、式Aによると、ポリイソシアネートを用いて作られたフィルター層の効率は45%増加している。その増加は、この実施例では、比較層に関して、透過性が同時に増加している新しいポリイソシアネートフィルター層の浄化効率がより良好であることから生じている。
【0041】
【表6】
b)本発明によるフィルターは、実施例4a)に関して変更されたモデル物質懸濁液について優れた濾過効率も示した。モデル物質懸濁液Eura/Ovomaltineは次のようにして製造した:すなわち、1リットルの水の中に、WASA GmbH, Celleから市販されているOvomaltineを2.0g及びGuenzburger Nahrungsmittelwerke company, Guenzburgから市販されているコーヒー代替抽出物を7.0g撹拌し、次に、激しく撹拌しながら100リットルまで注ぎ足し(モデル物質懸濁液2)、水性懸濁液状態で、ワークグループTechnik/Analytik of the European Specialized Association Tiefenfiltration e.V. (EFT)の”Testing Methods Depth Filter Media Filter Layers” にしたがって濾過試験に用いた。
フィルター層組成:
スルフェートプロセスで処理された55%マツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:43°SR;45%多孔質珪藻土;単位面積あたりの重量:1280g/m2
濾過条件:試験圧力:1000ミリバール;試験時間:1800秒
モデル物質懸濁液2
【0042】
【表7】
説明:
以下の式において、両方の濾過パラメーター(体積流量及び濁度)は、直接に層を比較する(PIC−EPI層)場合に、値Aによって定量的に記述される。ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン層との違いは明らかである。
【0043】
A = [(体積sample/体積epi)/
(濁度sample/濁度epi)−1]x 100
評価:
パーセント差(A値)は、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂を用いて作られた層に比較して、ポリイソシアネートを用いて作られた新しいフィルター層の効率が向上していることを証明している。
【0044】
実施例5(サイジング効果)
試験条件:
フィルター層組成:多孔質珪藻土を含有していないセルロース繊維物質(スルフェートプロセスで処理されたマツ材料、パルプ密度:3%、研削角度:25°SR、単位面積あたりの重量:640g/m2、実験室シート)から成り、約3%の残留水分を有する乾燥フィルター層に対して、ピペットを用いて、注意深く水を6滴たらし、水滴がフィルター層中に浸透するのに要する時間(6つの測定値の平均値)を測定する(滴下試験)。
【0045】
製紙業でサイジングの程度を測定するのと同様に、試験により、水溶液の浸透に対するフィルター表面の抵抗性が記述される。而して、フィルター層は、フィルター層の湿潤性で区別することができる。
【0046】
水滴を乾燥フィルター層(含水率:3%)に施用し、浸透時間を測定する(滴下試験)。
【0047】
【表8】
実施例6
繊維の膨潤容量を試験するために、純粋なセルロース層を試験した(試験Aと同様)。水保持能力(WRC)を次のようにして測定した:乾燥させた層を20gを水中で20分間撹拌し、次に、そのサンプルを3,000回転/分で遠心分離する。遠心分離して取り出された湿潤ケークを計量し(mmoist)、次に、乾燥器キャビネット中で乾燥させ、その乾燥重量(mdry)を新たに測定した。
【0048】
WRC(%)= (mmoist − mdry)x 100/mdry
従来の樹脂を用いると、WRC値(膨潤)が低下するが、ポリイソシアネートを用いる本発明にしたがって製造されたセルロースシートの膨潤能力は、ほとんど一定のままである。これまでは、樹脂の量は、常に、フィルター層の膨潤特性に関して特に悪い効果を有していた。測定の正確さを考慮すると、ポリイソシアネート樹脂は、他の樹脂と同程度に強くセルロースの膨潤特性を低下させないことが認められる(以下を参照されたい)。
【0049】
【表9】
* 試験3回の平均値
Claims (12)
- 湿潤強力仕上げを有するフィルター、特に、セルロース繊維を含み、かつ開放気孔空隙容量を有するフィルターマトリックスを含み、該セルロース繊維がその表面上に化学的に結合されたポリイソシアネートを有することを特徴とする、高度の膨潤容量を有するデプスフィルター。
- 該セルロース繊維が、ポリイソシアネートによって互いに結合されていることを特徴とする請求項1記載の親水性フィルター。
- 該フィルターマトリックスが、その空隙容量中に細かく分散された微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載のフィルター。
- 該微粒子が、ポリアクリレート、カルボキシメチルセルロース、多孔質珪藻土、シリカゲル、ポリイソシアネート、多糖類、アクリルアクリレート、澱粉、カルボキシメチル澱粉、酸化澱粉及び/又はイオン交換体を含むことを特徴とする請求項3記載のフィルター。
- 該フィルターが、該フィルター層中に、5〜70%、好ましくは20〜60%の量で少なくとも1種類の追加のフィルター成分を含むことを特徴とする請求項4記載のフィルター。
- 該フィルターが、該フィルター層の総含量を基準として、ポリイソシアネートを0.01〜10重量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のフィルター。
- 該ポリイソシアネートが、親水性ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のフィルター。
- 該ポリイソシアネートが、カチオンポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のフィルター。
- 該セルロース繊維及び/又は該フィルターを、層形成前にポリイソシアネートで処理することを特徴とする、改良された濾過特性及び膨潤特性を有する該セルロース繊維を含む永久湿潤強力仕上げを用いて、特に、請求項1〜8のいずれか一つに記載されているようにして該フィルターを製造する方法。
- 該セルロース繊維を、ポリイソシアネートを有する懸濁液で処理することを特徴とする請求項9記載の方法。
- セルロース繊維の水性懸濁液を調製する工程、ポリイソシアネート濃度0.0001重量%〜0.5重量%及び固体濃度1重量%〜5重量%の1種類以上のポリイソシアネートで懸濁セルロース繊維の表面を処理する工程、層を形成させる工程、及びそのようにして得られた層を乾燥させる工程を含む請求項9又は請求項10のいずれか一つに記載の方法。
- 食品、飲料、化学製剤及び医薬製剤を製造するための請求項1〜8のいずれか一つに記載のフィルターの使用。
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