JPH07155588A - 成形吸着体 - Google Patents

成形吸着体

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JPH07155588A
JPH07155588A JP34081093A JP34081093A JPH07155588A JP H07155588 A JPH07155588 A JP H07155588A JP 34081093 A JP34081093 A JP 34081093A JP 34081093 A JP34081093 A JP 34081093A JP H07155588 A JPH07155588 A JP H07155588A
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pulp
adsorbent
molded
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JP34081093A
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Takafumi Hayashi
隆文 林
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HAYASHI SEISAKUSHO KK
Original Assignee
HAYASHI SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形体の製造過程におけるウエット強度、乾
燥強度、湿潤強度、および湿熱強度が高く、しかも寸法
安定性および寸法精度にも優れた成形吸着体を得る。 【構成】 活性炭を主成分として成形してなる成形吸着
体において、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミ
ド繊維を結着材とし、この結着材の絡み合いで前記活性
炭を結合させる。そして、内添用の湿潤紙力増強剤とし
てエポキシ化ポリアミドポリアミンなどを適量含有させ
る。繊維の絡み合いで活性炭を結合させた構造であるた
めに、強度が高い。また、加熱溶融によらず結合させた
から、寸法安定性もよく、比較的低比率の結着材でたり
る。さらに、内添用の湿潤紙力増強剤を含有しているた
めに湿潤強度、湿熱強度に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気相或いは液相中に含
まれる着色物質、臭気成分、その他の有害物質などを吸
着除去するために使用される成形吸着体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の成形吸着体(以下単に「成形体」
ともいう)としては、結着材(バインダー)に熱溶融性
の繊維状合成樹脂を用い、これを熱溶融させることで活
性炭相互を結合(接着)させてなる構造のものが知られ
ている。そして、このものは次のようにして製造されて
いた。すなわち、例えば、繊維状の活性炭を主成分とす
る成形体にあっては、その全重量に対し、熱溶融性の繊
維状合成樹脂を10〜25重量%混合して均一な水性ス
ラリーとして調製し、この液中に成形型を浸漬して型面
に固形分を所定量、吸引法により積層して液中から取出
し、脱水処理してウエット(湿潤時)状成形体とした
後、これを成形型より取り出し、乾燥型(型枠)に装填
した状態で所定温度に加熱し、結着材を熱溶融させるこ
とで活性炭相互を結合、乾燥させるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の技術に
あっては、成形体の製造過程におけるウエット状成形体
(乾燥前の成形体)の段階では形状保持強度が著しく低
く、手で把持する場合には、よほど慎重に行わないと変
形や形崩れを起してしまうなど、ハンドリングに難点が
あった。したがって、その分、生産効率ないし歩留まり
が悪いといった問題があった。また、所定の温度まで加
熱して溶融することで活性炭相互を結合させるものであ
るために、必然的に、加熱溶融の工程(生産設備)が必
要となる。しかも、この工程においては、前記したよう
に乾燥型を用いない限り、結着材として一般的な、繊維
状の合成樹脂(ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなど)を用い
た場合にも、成形体の乾燥後の収縮が、10〜15%と
大きく、また加熱条件によっては5%以上も膨脹するも
のがあるなど、成形吸着体(製品)の寸法の高精度化を
期待できないといった問題もあった。しかも、上記した
ように乾燥型が別途に必要となり、したがって一乾燥工
程で乾燥させる成形体の個数分、それが準備されている
必要があり、コストの上昇を招く一因ともなっていた。
【0004】こうした中、本願発明者は、活性炭を主成
分とする成形体について、結着材として種々の材料を用
いて各種の試料を製作し、試験を繰り返したところ、次
のような事実を見出だした。
【0005】すなわち、パルプ状ないしフィブリル状を
なすアラミド繊維を結着材として適量用い、その繊維の
絡み合いで活性炭を結合させたものにあっては、その製
造過程における乾燥前のウエット状成形体においても強
度が極めて高い。しかも、このアラミド繊維を溶融させ
ることなく、その絡み合いで結合させたものにあって
は、乾燥型を使用することなく乾燥させたものでも収縮
又は膨脹も数%以内に止まり、寸法安定性が極めて高
く、乾燥後(製品)の強度も高いことが解った。なお、
パルプ状ないしフィブリル状をなしてないアラミド繊維
を結着材として用いた場合には、乾燥前(ウエット時)
の強度は著しく低く、また、乾燥型を用いて加熱、溶
融、および乾燥を行った場合にも、十分な乾燥強度は得
られず、しかも寸法安定性の点でも極めて不十分である
ことが解った。
【0006】そして、内添用の湿潤紙力増強剤、とりわ
けエポキシ化ポリアミドポリアミンをパルプ状ないしフ
ィブリル状をなすアラミド繊維と併用することによっ
て、製品としての成形体の湿潤強度および湿熱強度が極
めて高くなることも解った。
【0007】本発明は、こうした知見に基づいて上記し
た従来技術の持つ問題点を解消すべく案出したものであ
って、成形体の製造過程におけるその乾燥前の(ハンド
リング)強度、乾燥強度、湿潤強度、および湿熱強度と
もに高く、しかも寸法安定性ないし寸法精度の点におい
ても優れた成形吸着体を得ることを、その目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、活性炭を主成分として成形してなる成形
吸着体において、パルプ状ないしフィブリル状のアラミ
ド繊維を結着材とし、この結着材の絡み合いで前記活性
炭を結合させてなり、しかも内添用の湿潤紙力増強剤を
含有させたことにある。本発明(明細書)において、パ
ルプ状ないしフィブリル状とは、木材パルプに似た短い
多分岐状、薄膜状又はリボン状の構造、ないし、この木
材パルプよりさらに分岐の発達した微細な樹枝状構造、
およびこれらの構造と均等若しくは近似の高い絡み合い
性を有する構造をいう。こうした構造のものを得る代表
的製法(処理法)は次のようである。すなわち、パルプ
状のものは、芳香族系重合体の溶液を沈殿剤中に導入し
て微細なパルプ状物として沈殿させることによって得ら
れ、そして、フィブリル状のものは、芳香族系重合体の
繊維状物をビーター、リファイナー又はその他の特殊装
置によって処理することにより得られるが、これらの製
法によって得られるものに限定されるものではない。
【0009】また、アラミド繊維とは、芳香族環からな
るポリアミド繊維であり、結合位置によりパラ型とメタ
型とに分けられるものであるが、本発明(明細書)にお
いては、これに耐熱性芳香族系重合体のパルプ状物であ
って芳香族ポリアミドイミドから構成されるものも含
み、また少量の芳香族基以外の成分を含んだものであっ
てもよい。また、ここにアラミド繊維は、そのろ水値が
100秒以上600秒未満のものとするとよい。ただ
し、本明細書におけるろ水値とは、次の試験法により得
られる、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミド繊
維のろ水性を評価するための値(時間)である。すなわ
ち、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミド繊維を
0.3%の水分散液(20℃)に調整してスラリーとす
る。次いで、これを1L採取して、底全面に78メッシ
ュの金網が張られている内径102mmφの円筒容器に
移してろ過させる。このとき、ろ液が500mL得られ
るのに要する時間を秒で表したものをろ水値という。
【0010】そして前記発明においては、前記アラミド
繊維と湿潤紙力増強剤とを除く前記成形吸着体の成分の
全重量に対し、前記アラミド繊維を0.3〜15重量%
とするとよい。0.3%未満であれば、成形体の製造過
程におけるその乾燥前のハンドリング強度、乾燥強度、
および寸法安定性に不十分であり、15%を超えるほど
は不要だからである。
【0011】なお、内添用の湿潤紙力増強剤とは、成形
吸着体(製品)の湿潤時、湿熱時の寸法安定性ないし形
状保持強度を高めるための添加剤であって、乾燥された
製品の表面に塗布(又は含浸)されて使用されるもので
なく、スラリーにおいて添加されて使用されるものをい
う。そして、この内添用の湿潤紙力増強剤としては、エ
ポキシ化ポリアミドポリアミンを用いるのが好ましく、
このエポキシ化ポリアミドポリアミンは、後述するよう
に、このものと前記アラミド繊維とを除く成形吸着体の
成分の全重量に対して、0.05〜3重量%とするとよ
い。
【0012】
【作用】本発明に係る成形吸着体は、パルプ状ないしフ
ィブリル状をなすアラミド繊維による絡み合いにより活
性炭を結合させてなるものであるために、結着力ないし
成形体の製造過程におけるウエット状成形体(乾燥前の
成形体)における形状保持力が高く、しかもその強度は
乾燥時にも保持される。したがって、ハンドリング(取
扱い)性がよく、その分生産効率を向上させることがで
きる。また、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミ
ド繊維が、水性スラリー中の活性炭などの物質を凝集さ
せる作用を成すために、成形体の均質化が図られ、した
がって、製品の高品質化が期待される。しかも、アラミ
ド繊維は、パルプや麻などの有機物と異なり、水中(湿
潤状態)で使用する場合にも腐敗やそれに起因する形崩
れを起こしにくいなどパルプや麻に比べて格段に優れて
いる。したがって、本発明は浄水器の吸着材(フィルタ
ー)として、とりわけ好適である。
【0013】また、アラミド繊維を熱溶融により結合し
た構造とすることなく、繊維の絡み合いで結合させてな
る構造であるから、乾燥型を要することなく、その熱溶
融温度以下の比較的低温での乾燥で得ることができる。
したがって、工程(設備)の簡略化が図られ、製造コス
トが低減されるとともに、乾燥にともなう収縮(膨脹)
を小さくでき、寸法安定性の高い成形体を得ることがで
きる。その上に、アラミド繊維は、通常、熱溶融せず熱
分解開始温度も400℃以上であるために、耐熱性にも
優れた成形体を得ることができる。
【0014】なお、本発明における結着材すなわちアラ
ミド繊維は、パルプ状ないしフィブリル状をなすために
結着力が強く、したがって、従来における熱溶融による
結合の場合に比べ、その使用量(組成比率)を格段に少
なくでき、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミド
繊維は、前記したように、このものと湿潤紙力増強剤と
を除く成形吸着体の成分の全重量に対し、0.3〜15
重量%程度とすることができた。このために、熱溶融性
の合成樹脂の溶融により結着させて成形したものに比べ
て、成形吸着体としての吸着能力の高度化も図られる。
このアラミド繊維の使用比率は、成形吸着体の用途など
に応じて適宜に設定すればよい。
【0015】また、アラミド繊維は、耐熱性が極めて高
く、耐湿熱性にも優れるといった特性をもっている。し
たがって、成形体に高温のスチームを当てたり通過させ
たりして吸着物を分離、除去することで再生(活性)を
する場合にも問題がないから成形体の寿命延長を図る場
合に好適である。しかも、アラミド繊維は耐溶剤性にも
優れるから溶剤吸着用の成形体としても好適である。
【0016】さらに、内添用の湿潤紙力増強剤をパルプ
状ないしフィブリル状をなすアラミド繊維と併用したこ
とにより、製品としての成形体の寸法安定性ないし形状
保持強度が一層高く、とりわけ液(水)中、湿潤状態、
或いは湿熱状態におけるその効果が著しく大きい。
【0017】
【実施例】本発明を具体化した実施例及びその製法につ
いて詳細に説明する。本例の成形吸着体は、活性炭が粒
状活性炭と繊維状活性炭を混合したものであり、また添
加物として抗菌材を付加したものであるが、その具体的
な内容(組成)、配合比率は次のようである。ただし、
本例における成形吸着体は浄水器用のもので、中空円筒
状に形成されるもので、外径が65mm、肉厚が15m
m、そして長さが250mmに設定されている。
【0018】すなわち、粒状活性炭は、ミクロポアが主
体のヤシ殻系粒状活性炭で、粒度は0.18〜0.36
mmのものとし、比表面積は1550m2 /g以上のも
のである。因みに、このものは、臭気成分等の吸着能力
が高く、浄水器用に好適とされている。また、繊維状活
性炭は、本例では石炭ピッチ系のもので、繊維太さが1
0μm〜15μmで、比表面積が1500m2 /g以上
のものであって、長さが0.5mm程度に調製されてい
る。なお、このものは繊維状活性炭としては比較的安価
で吸着性能(速度)も高く、また粒(粉)状活性炭より
小さい分子径をもつ物質を吸着できるものである。そし
て、抗菌材は、ゼオライトに抗菌性金属イオンが付与さ
れた抗菌性ゼオライト(粉体)である。このものは、成
形体中の残留水中における細菌の繁殖を防ぐ作用がある
上に、安全性も高いので浄水器用に好適とされている。
なお、本例におけるこれらの混合比(重量)は、45:
45:10(wt%)に設定されている。
【0019】一方、結着材(バインダー)としてのアラ
ミド繊維は、本例では、木材パルプに似た短い多分岐
状、薄膜状、又はリボン状の構造を持つメタ型のもの
で、その粒子の径(幅)は1〜200μmの範囲に分布
し、長さは平均1〜3mm程度に調製されたものであ
る。また、ろ水値が275秒程度のものである。ただ
し、この量は、このアラミド繊維と湿潤紙力増強剤を除
く成形体100重量%に対して、本例では5重量%であ
る。
【0020】さらに、本例において添加される内添用の
湿潤紙力増強剤は、エポキシ化ポリアミドポリアミン
(10%水溶液)であって、このエポキシ化ポリアミド
ポリアミンと上記パルプ状ないしフィブリル状をなすア
ラミド繊維とを除く成形吸着体の成分の全重量に対し
て、約0.5重量%を次記するスラリーにおいて添加す
る。
【0021】こうして調製された材料は、パルパーに溜
められた水中に、攪拌しながら順次、投入して水性スラ
リーとし、次いでスラリー濃度調整用タンクに流送し、
水量を加減してその濃度を0.5%の均一な水性スラリ
ーとし、要すれば、適宜の添加材(薬剤)を添加し、成
形用タンクに流送する。なお、こうした過程において
は、アラミド繊維が、スラリー中の活性炭および抗菌材
を凝集する作用がある。
【0022】そして、成形用タンク内におけるスラリー
中に所定の成形型を浸漬し、型面に固形分を所定量、吸
引(バキューム成形)法により積層し、これを液中から
取出して脱水処理し、脱型してウエット状成形体を得る
のである。なお、こうして得られた本例における成形体
の製造過程におけるウエット状成形体(乾燥前の成形
体)は、パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミド繊
維の絡み合いにより活性炭を結合し、形状を保持してい
るために、ハンドリング強度が極めて高く、脱型時の変
形ないし形崩れも殆どなく、したがって、その取扱いが
極めて容易となった。この場合、吸引成形工程から乾燥
工程へ移る前に、このウエット状成形体の表面を平板の
上で回転させたり、回転ロールを用いて回転させたり、
或いは、平板を用いて叩いたりして凹凸を少なくしてお
くとよい。
【0023】さて、次にこのウエット状成形体を、乾燥
型に装填することなく、所定温度(アラミド繊維の熱分
解開始温度以下)、本例では120℃に3時間保持し加
熱、乾燥させた。かくして、パルプ状ないしフィブリル
状をなすアラミド繊維の絡み合いにより活性炭を結合し
た状態のものから、水分のみ蒸発により除去された高強
度のドライ状成形体すなわち成形吸着体(製品)を得る
ことができた。本例においては、凹凸の極めて少ない高
精度の成形吸着体を得ることができた。なお、こうして
得られた本例の成形吸着体は、乾燥型を要せずして乾燥
時の縮みを表1中、実施例1(アラミド繊維の含有比
率;5重量%)として示した通り、0.5〜1%程度に
著しく低減できた。なお、結果は試料数10個のおよそ
の平均値である。比較例は乾燥型を用いず熱溶融により
結着させた従来技術による場合である。
【0024】
【表1】 なお、表1中、実施例2,3は、パルプ状ないしフィブ
リル状をなすアラミド繊維の含有比率を、3重量%,1
0重量%とした場合であり、それぞれ、乾燥時の収縮
は、0.2〜0.5%、0.7〜2%であり、比較例の
それより格段に小さい。このことからも本発明の効果が
理解される。
【0025】また、比較例として、パルプ状ないしフィ
ブリル状をなすアラミド繊維(メタ型)に代えて、パル
プ状ないしフィブリル状をなさないアラミド繊維を結着
材とした点のみ変更し、他は上記実施例と同じ条件で、
同じ大きさ形状の試料を100個製作し、それぞれのハ
ンドリング強度(脱型時の外観不良)を比較した。結果
は、表2中、実施例1として示した通りである。
【0026】
【表2】 表2より、脱型時の許容できない変形や形崩(外観不
良)は、本例(実施例1)のものでは、0%であったの
に対して、比較例のものは100%であった。外観不良
の点においても著しい効果があることが解る。また、こ
うした不良は、表2中、実施例2,3として示した通
り、前記パルプ状ないしフィブリル状をなすアラミド繊
維(メタ型)が、それと湿潤紙力増強剤とを除く前記成
形体の成分の全重量に対し、0.2重量%のときには、
25%であったが、0.3重量%のときには2%となっ
た。このことより、外観不良の防止のためには、なるべ
く0.3重量%以上とするとよいことがわかる。
【0027】また、上記実施例と同様にして、直径50
mm,厚さ20mmの試料(円板)を10個製作し、比
較例として内添用の湿潤紙力増強剤(エポキシ化ポリア
ミドポリアミン)を添加しない点を除き、同じ条件で製
作した同じ大きさ形状の試料を10個製作し、それぞれ
を沸騰水中にいれて型崩れの発生まで煮沸し、湿潤強度
及び湿熱強度を比較した。結果は、表3に示した通りで
ある。
【0028】
【表3】 表3より、上記実施例による試料(実施例1)は24時
間経過後においても形状の崩れはみられなかったが、内
添用の湿潤紙力増強剤の添加されてない試料(比較例)
においては、2〜3時間煮沸後、いずれのものも形状が
崩れてしまった。この結果からも実証されるように、本
例に係る成形吸着体は、湿潤状態及び湿熱状態における
強度(寸法安定性ないし形状保持力)が著しく高いこと
がわかる。したがって、水中において露出状態で使用さ
れる場合やスチーム処理による再生などの過酷な条件下
にも十分耐えることができる。
【0029】なお、表3中、実施例2,3として示した
ように、内添用の湿潤紙力増強剤(エポキシ化ポリアミ
ドポリアミン)の量が、これとパルプ状ないしフィブリ
ル状をなすアラミド繊維とを除く成形吸着体の成分の全
重量に対して、0.05重量%の場合には、上記試験に
おいて試料10個中、2個が2〜3時間煮沸後に形状が
崩れ始め、0.1重量%の場合には試料10個中、3個
が5〜6時間煮沸後に形状が崩れ始めたが、いずれにお
いても比較例より格段に優れていることが解る。
【0030】本例では、加熱乾燥させた場合を例示した
が、本発明における成形吸着体は、自然乾燥によっても
得ることができる。なお、本例では、低廉な粒(粉)状
活性炭を適量比、混合したために、著しい低コスト化が
可能となった。当然のことながら、この混合比は適宜の
ものに設定することができる。ただし、活性炭に粒体を
使用する場合には、本例におけるように、粒径が0.1
8〜0.36mmのものとするとよい。この範囲のもの
とすると、バキューム成形が可能であり、しかも通水性
能の低下を招くこともなく、また十分な比表面積(活性
炭の吸着面積)を保持できるからである。
【0031】上記実施例では、活性炭は、粒状活性炭と
繊維状活性炭を混合したものとしたが、本発明において
は、粒(粉)状活性炭または、繊維状活性炭のみを活性
炭として用いた場合にも具体化できる。なお、フレーク
状などこれら以外の形態をなす活性炭を用いることもで
きる。また活性炭は、石油ピッチ系など成形吸着体の用
途などに応じて、適宜のものを選択、使用すればよい。
因みに、繊維状活性炭にあっては、その繊維直径が2〜
30μm、繊維長が0.5〜10mm、半径が8〜20
オングストローム程度の細孔を有し、比表面積が150
0〜2500m2 /g程度のものを用いるのが好まし
い。
【0032】そして、結着材としての、パルプ状ないし
フィブリル状のアラミド繊維は、絡み合い性が高いほど
よく、前記したようにろ水値が100秒以上600秒未
満のものが好ましく、とくに150秒以上500秒未満
のものが好ましい。100秒未満であると成形体の強度
が低くなり、600秒以上であると吸引成形時のろ水性
が悪くなるからである。また、フィブリル化の度合いが
高いほど、湿潤紙力増強剤(液体)を凝集しやすく、し
たがって、スラリー吸引成形時における湿潤紙力増強剤
(液体)の歩留まりを高めることができる。すなわち、
スラリー中に混入された湿潤紙力増強剤(液体)がその
吸引成形時に成形型面(通水孔)を透過してしまう割合
が小さくなる。
【0033】なお、上記実施例ではパルプ状ないしフィ
ブリル状をなすアラミド繊維として、メタ型のものを使
用したが、パルプ状ないしフィブリル状をなすものであ
ればパラ型のものを用いることもできる。なお、メタ
型、パラ型にかかわらず、アラミド繊維は絡み合い性が
高いほどよいが、メタ型、パラ型いずれにおいても、パ
ルプ状ないしフィブリル状の状態において、その繊維
が、粒子の径(幅)が1〜200μmの範囲で、長さが
平均0.1〜3mm程度のものが好ましく、とくに長さ
が平均0.2〜2mm程度のものが成形体の強度保持の
点から好ましい。
【0034】前例において、メタ型のアラミド繊維(ろ
水値275秒程度)に代えて、パラ型のアラミド繊維
(ろ水値250秒程度)を用いた点のみ条件を代えて、
成形吸着体(製品)を得たが、そのものの乾燥時の縮み
は、乾燥型を用いない場合でも、0.5〜1%程度に保
持できた。また、前同様にしてハンドリング強度を比較
したが、脱型時の許容できない変形や形崩(外観不良)
は、本例のものも0%であった。さらに、こうした不良
は、本発明において、前記パルプ状ないしフィブリル状
をなすアラミド繊維(パラ型)が、それと湿潤紙力増強
剤とを除く前記成形体の成分の全重量に対し、0.2重
量%のときには、25%であったが、0.3重量%のと
きにはほぼ0%となり、メタ型の場合と同様であった。
【0035】また、パルプ状ないしフィブリル状をなす
アラミド繊維の配合比は、成形吸着体の用途などに応じ
て適宜に設定することになるが、水を精製、ろ過するた
めの浄水器用の吸着材に使用する場合には、前記パルプ
状ないしフィブリル状をなすアラミド繊維と湿潤紙力増
強剤とを除く成形吸着体の成分の全重量に対し、メタ
型、パラ型いずれにおいても、0.5〜7重量%程度が
とりわけ好適である。なお、この配合比率が大きい程、
強度が増大するが、吸着能力は低下する。反面、この配
合比率が小さいと、これらの逆となる。ただし、乾燥に
ともなう収縮の低減のためには小さい方がよい。
【0036】さらに、エポキシ化ポリアミドポリアミン
などの内添用の湿潤紙力増強剤のスラリーにおける添加
量は、その種類や成形吸着体の使用目的、用途によって
適宜に設定すればよいが、パルプ状ないしフィブリル状
をなすアラミド繊維と同湿潤紙力増強剤を除く成形吸着
体の成分の全重量に対して、0.05〜3重量%の範囲
がよい。0.05重量%以下であると、前記したように
製品としての湿熱強度、湿潤強度の向上に殆ど寄与しな
い。一方、3重量%を超えるほど多く添加すると、成形
時における歩留まりを低下させる(スラリー吸引時に成
形型面の通水孔を透過してしまう割合が大となり無駄が
多い)上に、過剰に添加となり、それに見合う湿潤強
度、湿熱強度の向上は期待できない。また、活性炭の細
孔を塞ぎやすくなり、成形吸着体の吸着性能の低下を招
いてしまう。なお、内添用の湿潤紙力増強剤としては、
エポキシ化ポリアミドポリアミンが、とりわけカチオン
性のものが凝集性がよく、歩留まりの点から好適といえ
る。これ以外の内添用の湿潤紙力増強剤として、例え
ば、尿素ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミンなどが代
表的なものとして挙げられる。ただし、これらにおいて
もその添加量は、エポキシ化ポリアミドポリアミンの場
合と同程度が好ましい。なお、エポキシ化ポリアミドポ
リアミンは、ホルマリンを含有していないので浄水器
(食品)用に適する。
【0037】なお、本発明における成形吸着体は、その
性能を損なわないかぎり、用途によっては、歩留り向上
剤(アニオン性を有し、比表面積の大きいフィブリル状
のアクリル系繊維が最適である)、乾燥紙力増強剤、凝
集剤を添加してもよいし、通水性能を高めるための繊維
状物質(材料)を混合してもよい。また、本発明におい
てはフィブリル化されたアクリル繊維若しくはパルプ状
ないしフィブリル状をなす合成繊維、熱溶融性合成繊維
などの結着剤などが適量添加されていてもよい。さら
に、要すれば成形吸着体の使用目的などに応じ、適宜そ
の他の添加物を添加することも可能である。因みに、添
加物としては、亜硫酸カルシウムに代表される脱塩素性
能を有する物質、活性炭以外の吸着性能を有する物質
(ゼオライト、セピオライト、けいそう土、アパタイ
ト、骨粉、シリカゲル、キレート樹脂など)、抗菌性能
を有する物質、イオン交換性能を有する物質、さらに
は、ミネラル成分(カルシウムイオン、マグネシウムイ
オン、ナトリウムイオンなど)を有する物質を挙げるこ
とができる。
【0038】本発明に係る成形吸着体は、飲料水の脱
臭、脱色、塩素成分の除去に使用される浄水器用の吸着
材(フィルター)、空気清浄器用の吸着材、或いは、化
学工場における溶剤などの回収に使用される吸着材な
ど、種々の用途に適用できる。なお、成形吸着体は、両
端が開口された円筒形のみならず、多角形断面の角筒形
や、一端部が閉鎖された筒形(コップ形)、或いは、平
坦な板状など、適宜の形状のものとして具体化できる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
における成形吸着体は、パルプ状ないしフィブリル状を
なすアラミド繊維による絡み合いにより活性炭を結合さ
せてなるものであるために、結着力ないし、成形体の製
造過程におけるウエット状成形体(乾燥前の成形体)に
おける形状保持力が高い。したがって、従来において
は、脱型に際して極めて慎重に取り扱わないと形崩れを
起し易いなど、ハンドリング(作業性)に著しい困難さ
があったが、本発明における成形吸着体においては、取
扱における損傷や変形の発生を著しく低減できるため
に、作業性ないし生産性の向上に極めて有効である。し
かもその強度は乾燥時にも保持される。
【0040】また、熱溶融によることなく、アラミド繊
維の絡み合いで結合させてなる構造であるから、常温又
は比較的低温乾燥で得ることができ、格別の溶融工程
(設備)や乾燥型を不要とできる。したがって、その面
でも生産効率の向上ないし低コスト化が期待され、しか
も、乾燥時の収縮(膨脹)が小さいから、寸法安定性な
いし寸法精度の高い成形体となすことができる。さら
に、結着力が強く、結着材の使用量(組成比率)を低減
できる分、成形吸着体としての通水性能や吸着能力の向
上も期待される。
【0041】しかも、アラミド繊維は、耐熱性、耐湿熱
性に優れているために、スチーム処理による再生にも問
題がなく、したがって、本発明に係る成形体は、その寿
命の延長が極めて容易となる。また、アラミド繊維の耐
溶剤性や耐薬品性により、本発明に係る成形体は溶剤の
吸着(回収)用にも好適である。
【0042】さらに、内添用の湿潤紙力増強剤が含有さ
れているために、製品としての成形体の寸法安定性ない
し形状保持強度が一層高く、とりわけ液(水)中、湿潤
状態、或いは湿熱状態におけるその効果が著しく大き
い。露出状態で使用されるような過酷な条件下の使用や
スチーム処理による再生にも十分耐えることができるの
で、再生使用される浄水器の吸着材(フィルター)とし
て好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7199−3B D21H 5/22 C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭を主成分として成形してなる成形
    吸着体において、パルプ状ないしフィブリル状のアラミ
    ド繊維を結着材とし、この結着材の絡み合いで前記活性
    炭を結合させてなり、しかも内添用の湿潤紙力増強剤を
    含有していることを特徴とする成形吸着体。
  2. 【請求項2】 前記アラミド繊維のろ水値が、100秒
    以上600秒未満である請求項1記載の成形吸着体。
  3. 【請求項3】 前記アラミド繊維が、このアラミド繊維
    と前記湿潤紙力増強剤とを除く成形吸着体の成分の全重
    量に対し、0.3〜15重量%である請求項1又は2記
    載の成形吸着体。
  4. 【請求項4】 前記湿潤紙力増強剤としてエポキシ化ポ
    リアミドポリアミンを使用してなる請求項1ないし3記
    載の成形吸着体。
  5. 【請求項5】 前記アラミド繊維と前記エポキシ化ポリ
    アミドポリアミンとを除く成形吸着体の成分の全重量に
    対し、前記エポキシ化ポリアミドポリアミンが0.05
    〜3重量%である請求項4記載の成形吸着体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10131099A (ja) * 1996-10-18 1998-05-19 Oji Paper Co Ltd パルプモールド
US8603221B2 (en) 2009-05-08 2013-12-10 Uop Llc Rapid cycle, gas permeable, adsorbent-containing paper containing p-aramid fibrids and zeolite
JP2018027522A (ja) * 2016-08-18 2018-02-22 株式会社カサイ エアフィルターの製造方法
JP2019084469A (ja) * 2017-11-01 2019-06-06 フタムラ化学株式会社 浄水フィルター体

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