JPH07116513A - 成形吸着体 - Google Patents

成形吸着体

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JPH07116513A
JPH07116513A JP28761693A JP28761693A JPH07116513A JP H07116513 A JPH07116513 A JP H07116513A JP 28761693 A JP28761693 A JP 28761693A JP 28761693 A JP28761693 A JP 28761693A JP H07116513 A JPH07116513 A JP H07116513A
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activated carbon
synthetic resin
acrylic fiber
heat
molded
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JP28761693A
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Takafumi Hayashi
隆文 林
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HAYASHI SEISAKUSHO KK
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HAYASHI SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱溶融性合成樹脂を結着材として用いたもの
のメリットを生かし、かつ成形体の製造過程におけるそ
の乾燥前の強度、および乾燥強度ともに高く、しかも寸
法安定性の点においても優れた成形吸着体を得る。 【構成】 活性炭を主成分として成形してなる成形吸着
体において、全結着材を除く成形吸着体の成分の全重量
に対して、結着材として、フィブリル化されたアクリル
繊維を、0.3〜10重量%含むとともに、このアクリ
ル繊維より融点が低いポリエチレンを、2〜10重量%
含み、活性炭をフィブリル化されたアクリル繊維の絡み
合いとポリエチレンの溶融により結合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気相或いは液相中に含
まれる着色物質、臭気成分、その他の有害物質などを吸
着除去するために使用される成形吸着体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の成形吸着体(以下単に「成形体」
ともいう)としては、結着材(バインダー)にポリエチ
レンやポリプロピレンなどの熱溶融性合成樹脂(粉末或
いは繊維状)を用い、これを熱溶融させることで活性炭
相互を結合(接着)させてなる構造のものが知られてい
る。そして、このものは次のようにして製造されてい
た。すなわち、例えば、繊維状の活性炭を主成分とする
成形体にあっては、その成分の全重量に対し、熱溶融性
の繊維状合成樹脂を10〜25重量%混合して均一な水
性スラリーとして調製し、この液中に成形型を浸漬して
型面に固形分を所定量、吸引法により積層して液中から
取出し、脱水処理してウエット(湿潤時)状成形体とし
た後、これを成形型より取り出し、乾燥型(型枠)に装
填した状態で所定温度に加熱し、結着材を熱溶融させる
ことで活性炭相互を結合、乾燥させるというものであ
る。こうして得られた成形吸着体は、熱溶融性合成樹脂
を結着材としているので、水中に長時間浸漬しておいて
も型崩れを起こさないなど、製品としての成形体の湿潤
強度(耐水性)および湿熱強度が高いといったメリット
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の成形体
はその製造過程におけるウエット状成形体(乾燥前の成
形体)の段階では形状保持強度が著しく低く、手で把持
する場合には、よほど慎重に行わないと変形や形崩れを
起してしまうなど、ハンドリングに難点があった。した
がって、その分、生産効率ないし歩留まりが悪いといっ
た問題があった。また、加熱溶融および乾燥の工程にお
いては、前記したように乾燥型を用いない限り、結着材
として一般的な、繊維状の熱溶融性合成樹脂(ポリエチ
レン、ポリプロピレン)を用いた場合にも、成形体の乾
燥後の収縮が、10〜15%と大きく、また加熱条件に
よっては5%以上も膨脹するものがあるなど、成形吸着
体(製品)の寸法の高精度化を期待できないといった問
題もあった。しかも、上記したように乾燥型が別途に必
要となり、したがって一乾燥工程で乾燥させる成形体の
個数分、それが準備されている必要があり、コストの上
昇を招く一因ともなっていた。
【0004】こうした中、本願発明者は、活性炭を主成
分とする成形体について、結着材として種々の材料を用
いて各種の試料を製作し、試験を繰り返したところ、次
のような事実を見出だした。すなわち、フィブリル化さ
れたアクリル繊維を結着材として適量用い、その繊維の
絡み合いで活性炭を結合させたものにあっては、その製
造過程における乾燥前のウエット状成形体においても強
度が極めて高い。しかも、このアクリル繊維を溶融させ
ることなく、その絡み合いで結合させたものにあって
は、乾燥型を使用することなく乾燥させたものでも収縮
又は膨脹は数%以内に止まり、寸法安定性が極めて高
く、乾燥後(製品)の強度も高いことが解った。なお、
フィブリル化してないアクリル繊維を結着材として用い
た場合には、乾燥前(ウエット時)の強度は著しく低
く、また、乾燥型を用いて加熱、溶融、および乾燥を行
った場合にも(250〜350℃、3時間)、十分な乾
燥強度は得られず、しかも寸法安定性の点でも極めて不
十分であることが解った。
【0005】かくして本願発明者は種々の試験を繰返し
たところ、結着材として、熱溶融性合成樹脂に加えて、
フィブリル化されたアクリル繊維を適量併用することに
よって、製品としての成形体の湿潤強度および湿熱強度
が極めて高い上に、成形体の製造過程におけるその乾燥
前の(ハンドリング)強度、および乾燥強度ともに高
く、さらに寸法安定性(精度)の点においても優れた成
形吸着体を得られることが解った。本発明は、こうした
知見に基づいて案出したものであって、熱溶融性合成樹
脂を結着材として用いたもののメリットを生かし、かつ
成形体の製造過程におけるその乾燥前の(ハンドリン
グ)強度、および乾燥強度ともに高く、しかも寸法安定
性(精度)の点においても優れた成形吸着体を得ること
をその目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、活性炭を主成分として成形してなる成形
吸着体において、前記活性炭を、フィブリル化されたア
クリル繊維による絡み合いと、このアクリル繊維より融
点が低い熱溶融性合成樹脂による溶融により結合させて
なることにある。ここに、フィブリル化とは、アクリル
繊維の単位(糸状体)を、絡み合いやすい微細な樹枝状
構造のものにすることをいう。また、ここにアクリル繊
維とは、アクリロニトリルの重合物を主成分とする合成
繊維をいう。この場合、前記アクリル繊維と前記熱溶融
性合成樹脂とを除く前記成形吸着体の成分の全重量に対
し、前記アクリル繊維を0.3〜10重量%とし、前記
熱溶融性合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンな
ど)を2〜10重量%とするとよい。熱溶融性合成樹脂
は、ポリエチレン又はポリプロピレンがとくに好適であ
る。
【0007】因みに、アクリル繊維の融点は、約250
℃であるのに対してポリエチレン、ポリプロピレンのそ
れは、それぞれ、70〜135℃程度、155〜175
℃程度である。さらに、ポリエチレン又はポリプロピレ
ンなど、前記熱溶融性合成樹脂は、パルプ状をなしてい
る合成パルプを用いるとよい。ここに、合成パルプと
は、合成高分子を木材パルプに似た短い多分岐状の繊維
(パルプ状)にしたものをいう。この合成パルプは、パ
ルプ状をなしているために、ウエット時においても絡み
合い性をもっているため、ウエット成形体における強度
を高める作用もあるからである。また、このものは、親
水性があり、水に分散しやすいので、格別の分散剤や凝
集材を添加しなくとも均等に混ざるといったメリットも
ある。しかも、繊維長が1〜2mm程度と短いために、
活性炭の重量を多くすることができ、したがって、吸着
能力の向上を図ることができる。
【0008】
【作用】本発明に係る成形吸着体は、熱溶融性合成樹脂
の溶融と、フィブリル化されたアクリル繊維の樹枝状構
造による絡み合いの、両手段により活性炭を結合させて
なるものである。すなわち、熱溶融性合成樹脂の溶融に
より活性炭を結合させているので、製品としての成形体
の湿潤強度および湿熱強度が極めて高い。したがって、
水中で露出状態で使用されるような過酷な条件下の使用
やスチーム処理により、再生使用される浄水器の吸着材
(フィルター)として適する。その上に、フィブリル化
されたアクリル繊維の樹枝状構造による絡み合いによっ
ても活性炭を結合させているので、成形体の製造過程に
おけるウエット状成形体(乾燥前の成形体)における形
状保持力が高く、しかもその強度は乾燥時にも保持され
る。したがって、ハンドリング(取扱い)性がよく、そ
の分生産効率を向上させることができる。また、フィブ
リル化されているアクリル繊維が、水性スラリー中の活
性炭などの物質を凝集させる作用を成すために、成形体
の均質化が図られ、したがって、製品の高品質化が期待
される。しかも、アクリル繊維は、パルプや麻などの有
機物と異なり、水中(湿潤状態)で使用する場合にも腐
敗やそれに起因する形崩れを起こしにくいなど耐水性に
も比較的優れている。また、熱溶融性合成樹脂の熱溶融
のみによる結合構造とすることなく、フィブリル化され
たアクリル繊維の絡み合いでも結合させてなる構造であ
るから、乾燥型を要することなく製造することができ
る。したがって、工程(設備)の簡略化が図られ、製造
コストが低減されるとともに、乾燥にともなう収縮(膨
脹)を小さくでき、寸法安定性の高い成形体を得ること
ができる。
【0009】さらに、本発明においては、熱溶融性合成
樹脂にフィブリル化されているアクリル繊維が併用され
ており、このアクリル繊維は、フィブリル化されている
ために結着力が強く、したがって、従来における熱溶融
性合成樹脂の熱溶融のみによる結合の場合に比べ、熱溶
融性合成樹脂の使用量(組成比率)を格段に少なくでき
る。したがって、結着材の使用比率を熱溶融性合成樹脂
のみを使用したものに比べ低減できるので、成形吸着体
としての吸着能力の高度化も図られる。結着材の使用比
率は、成形吸着体の用途などに応じて適宜に設定すれば
よいが、一般的には、フィブリル化されたアクリル繊維
と熱溶融性合成樹脂(以下、全結着材ともいう)を除く
成形吸着体の成分の全重量に対し、熱溶融性合成樹脂を
2〜10重量%程度とし、フィブリル化されたアクリル
繊維を0.3〜10重量%程度とするとよい。熱溶融性
合成樹脂が2重量%未満であれば、耐湿潤性や耐湿熱性
が不十分となるし、10重量%を超えると、吸着性能の
低下を招くからである。フィブリル化されたアクリル繊
維が0.3重量%未満であれば、成形体の製造過程にお
けるその乾燥前のハンドリング強度、乾燥強度、および
寸法安定性に不十分であり、10重量%を超えるほど
は、不要だからである。
【0010】
【実施例】本発明を具体化した実施例及びその製法につ
いて詳細に説明する。ただし、本例の成形吸着体は、活
性炭が粒状活性炭と繊維状活性炭を混合したものであ
り、また添加物として抗菌材を付加したものであるが、
その具体的な内容(組成)、配合比率は次のようであ
る。なお、本例における成形吸着体は浄水器用のもの
で、中空円筒状に形成されるもので、外径が65mm、
肉厚が15mm、そして長さが250mmに設定されて
いる。すなわち、粒状活性炭は、ミクロポアが主体のヤ
シ殻系粒状活性炭で、粒度は0.18〜0.36mmの
ものとし、比表面積は1550m2 /g以上のものであ
る。因みに、このものは、臭気成分等の吸着能力が高
く、浄水器用に好適とされている。また、繊維状活性炭
は、本例では石炭ピッチ系のもので、繊維太さが10μ
m〜15μmで、比表面積が1500m2 /g以上のも
のであって、長さが0.5mm程度に調製されている。
なお、このものは繊維状活性炭としては比較的安価で吸
着性能(速度)も高く、また粒(粉)状活性炭より小さ
い分子径をもつ物質を吸着できるものである。そして、
抗菌材は、ゼオライトに抗菌性金属イオンが付与された
抗菌性ゼオライト(粉体)である。このものは、活性炭
中の残留水中の細菌の繁殖を防ぐ作用がある上に、安全
性も高いので浄水器用に好適とされている。なお、本例
におけるこれらの混合比(重量)は、45:45:10
(wt%)に設定されている。
【0011】一方、結着材としての熱溶融性合成樹脂は
ポリエチレンであり、本例では、繊維状で、2〜5デニ
ールで繊維長が3〜5mmのものを、全結着材を除く上
記(成分)全重量に対して、3重量%とした。また、結
着材としてのアクリル繊維は、全結着材を除く上記全重
量に対して、本例では5重量%であって、3デニール、
3mmカット品をリファイナー及びビーターにより、十
分にフィブリル化させ、繊維を絡み合いやすい微細な樹
枝状構造としたものに調製されている。
【0012】こうして調製された材料は、パルパーに溜
められた水中に、攪拌しながら順次、投入して水性スラ
リーとし、次いでスラリー濃度調整用タンクに流送し、
水量を加減してその濃度を0.5%の均一な水性スラリ
ーとし、要すれば、適宜の添加材(薬剤)を添加し、成
形用タンクに流送する。なお、こうした過程において
は、フィブリル化したアクリル繊維が、スラリー中の活
性炭および抗菌材を凝集する作用がある。そして、成形
用タンク内におけるスラリー中に所定の成形型を浸漬
し、型面に固形分を所定量、吸引(バキューム成形)法
により積層し、これを液中から取出して脱水処理し、脱
型してウエット状成形体を得るのである。なお、こうし
て得られた本例における成形体の製造過程におけるウエ
ット状成形体(乾燥前の成形体)は、フィブリル化され
たアクリル繊維の絡み合いにより活性炭を結合し、形状
を保持しているために、ハンドリング強度が極めて高
く、脱型時の変形ないし形崩れも殆どなく、したがっ
て、その取扱いが極めて容易となった。
【0013】さて、次にこのウエット状成形体を、乾燥
型に装填することなく、所定温度(アクリル繊維の融点
(250℃)以下であってポリエチレンの融点(130
℃)以上)、本例では140℃に5時間保持し、加熱、
乾燥させた。この加熱により、結着材中のこのポリエチ
レンのみ熱溶融し、活性炭相互を結合するとともに、水
分のみ蒸発により除去される。そして、フィブリル化さ
れたアクリル繊維の絡み合いによっても活性炭が結合さ
れてなる高強度のドライ状成形体すなわち成形吸着体
(製品)を得ることができた。なお本例においては、乾
燥型を要せずして乾燥時の縮みを0.5〜1%程度に保
持できた。
【0014】なお、比較例として、フィブリル化された
アクリル繊維を結着材として含まない点を除き、上記実
施例と同じ条件で、同じ大きさ、形状の試料を10個製
作し、それぞれのハンドリング強度を比較した。その結
果、脱型時の許容できない変形や形崩(外観不良)は、
本例のものでは、0%であったのに対して、比較例のも
のは、100%であった。また、こうした不良は、本発
明において、前記フィブリル化されたアクリル繊維が全
結着材を除く前記成形体の成分の全重量に対し、0.2
重量%のときには、25%であったが、0.3重量%の
ときには、ほぼ0%となった。因みに、本例のものにお
いては、沸騰水中に12時間継続して浸漬しても形状の
崩れはみられなかった。なお、熱溶融性合成樹脂(ポリ
エチレン)の量が、全結着材を除く成形体の成分の全重
量に対して、1重量%の場合には、2〜3時間継続後に
形状が崩れ始めたものがあったが、2重量%の場合には
3時間継続後においても形状の崩れが生じないことを確
認している。
【0015】また、本例では、低廉な粒(粉)状活性炭
を適量比、混合したために、著しい低コスト化が可能と
なった。当然のことながら、この混合比は適宜のものに
設定することができる。ただし、活性炭に粒体を使用す
る場合には、本例におけるように、粒径が0.18〜
0.36mmのものとするとよい。この範囲のものとす
ると、バキューム成形が可能であり、しかも通水性能の
低下を招くこともなく、また十分な比表面積(活性炭の
吸着面積)を保持できるからである。
【0016】上記実施例では、活性炭は、粒状活性炭と
繊維状活性炭を混合したものとしたが、本発明において
は、粒(粉)状活性炭または、繊維状活性炭のみを活性
炭として用いた場合にも具体化できる。なお、フレーク
状などこれら以外の形態をなす活性炭を用いることもで
きる。また活性炭は、石油ピッチ系など成形吸着体の用
途などに応じて、適宜のものを選択、使用すればよい。
因みに、繊維状活性炭にあっては、その繊維直径が2〜
30μm、繊維長が0.5〜10mm、半径が8〜20
オングストローム程度の細孔を有し、比表面積が150
0〜2500m2 /g程度のものを用いるのが好まし
い。
【0017】一方、結着材としてのポリエチレンは、粉
末のものでもよいが、好ましくは繊維状のものがよく、
さらに好ましくは繊維状のものであって、パルプ状のも
の(合成パルプ)がよい。また、粉体、繊維状のものに
かかわらず、ポリエチレンに代えてポリプロピレンな
ど、適宜の熱溶融性合成樹脂を用いることもできる。な
お、こうした繊維状の熱溶融性合成樹脂については、例
えば、ポリエステル繊維(芯材)の表面にポリエチレン
が付与(被覆)されてなる断面二重構造の繊維を用いる
こともできる。このものは、表面側のポリエチレンに比
べ芯材の融点が高く、両融点の間の温度では表面のみが
溶融し、活性炭等を融着、結合する。また、結着材とし
てのポリエチレンは、湿潤紙力増強剤の代替品としても
働く。そして、結着材としてのアクリル繊維のフィブリ
ル化は、絡み合い性を高めるために、ビーターなどでな
るべく長時間、10〜40時間程度行うのが好ましい。
長時間行うほど、成形体の強度が高くなり、しかも収縮
率が低下する。また、フィブリル化の度合いが高いほ
ど、ポリエチレン(粉体)を凝集しやすく、したがっ
て、スラリー吸引成形時におけるポリエチレン(粉体)
の歩留まりを高めることができる。すなわち、スラリー
中に混入されたポリエチレン(粉体)がその吸引成形時
に成形型面(通水孔)を透過してしまう割合が小さくな
る。なお、フィブリル化するアクリル繊維は、1〜5デ
ニール程度のものが好適である。ただし、この範囲のも
のに限定されるものでないことは言うまでもない。ま
た、その繊維の長さは、1〜10mm程度のものが、ビ
ーティングの作業性の点から好ましい。また、本発明に
おけるアクリル繊維には、フィブリル化するものであっ
てアクリル繊維に膠着性物質(ゼラチン等)としてアク
リル酸ソーダなどの物質を含んだアクリル系の繊維であ
ってもよい。このものにあっては、乾燥時には繊維の絡
み合いに加えて膠着ないし接着による結合力もあるため
に、一層高い形状安定性がある。
【0018】また、フィブリル化されたアクリル繊維の
配合比は、成形吸着体の用途などに応じて適宜に設定す
ることになるが、水を精製、濾過するための浄水器用の
吸着材に使用する場合には、前記フィブリル化されたア
クリル繊維と前記熱溶融性合成樹脂とを除く成形吸着体
の成分の全重量に対し、0.5〜7重量%程度が適当で
ある。なお、この配合比率が大きい程、強度が増大する
が、吸着能力は低下する。反面、この配合比率が小さい
と、これらの逆となる。ただし、乾燥にともなう収縮の
低減のためには小さい方がよい。この比率を上記の実施
例において全結着材を除く成形吸着体の成分の全重量に
対し、10重量%とした場合には0.7〜1.5%程
度、また、3重量%とした場合には0.2〜0.5%程
度の収縮率であった。
【0019】さらに、熱溶融性合成樹脂(上記実施例で
はポリエチレン)の配合比も、成形吸着体の用途などに
応じて適宜に設定することになるが、水を精製、濾過す
るための浄水器用の吸着材に使用する場合には、全結着
材を除く成形吸着体の成分全重量に対し、2〜5重量%
程度が適当である。2重量%未満であると、製品として
の湿熱強度、湿潤強度の向上に殆ど寄与しない。一方、
5重量%を超えるほど入れても、それに見合う湿潤強
度、湿熱強度の向上は期待できない。また、活性炭の細
孔を塞ぎ易くなり、成形吸着体の吸着性能の低下を招い
てしまうからである。なお、熱溶融性合成樹脂に、ポリ
エチレンに代えてポリプロピレンを用いたものでも、ほ
ぼ同じである。なお、本発明における成形吸着体は、そ
の性能を損なわないかぎり、用途によっては、歩留り向
上剤、乾燥紙力増強剤、凝集剤を添加してもよいし、通
水性能を高めるための繊維状物質(材料)を混合しても
よい。また、本発明においては、湿潤紙力増強剤やフィ
ブリル化されたアラミド繊維若しくはフィブリル化可能
な合成繊維、その他の結着剤が適量添加されていてもよ
い。
【0020】本発明に係る成形吸着体は、飲料水の脱
臭、脱色、塩素成分の除去に使用される浄水器用の吸着
材(フィルター)、空気清浄器用の吸着材、或いは、化
学工場における溶剤などの回収に使用される吸着材な
ど、種々の用途に適用できる。なお、成形吸着体は、両
端が開口された円筒形のみならず、多角形断面の角筒形
や、一端部が閉鎖された筒形(コップ形)、或いは、平
坦な板状など、適宜の形状のものとして具体化できる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
における成形吸着体は、次のような効果がある。すなわ
ち、熱溶融性合成樹脂の溶融により、製品としての成形
体の湿潤強度および湿熱強度が高いといったメリットが
ある上に、フィブリル化されてなるアクリル繊維におけ
る、その樹枝状構造による絡み合いにより活性炭を結合
させてなるものであるために、結着力が強く、成形体の
製造過程におけるウエット状成形体(乾燥前の成形体)
での形状保持力が高い。したがって、従来においては、
脱型に際して極めて慎重に取り扱わないと形崩れを起し
易いなど、ハンドリング(作業性)に著しい困難さがあ
ったが、本発明における成形吸着体においては、取扱に
おける損傷や変形の発生を著しく低減できるために、作
業性ないし生産性の向上に極めて有効である。しかもそ
の強度は乾燥時にも保持される。
【0022】また、乾燥時の収縮(膨脹)が小さいか
ら、寸法安定性の高い成形体となすことができる。そし
て、乾燥型を要しないし、結着材としての熱溶融性合成
樹脂の使用量(組成比率)を低減できる分、成形吸着体
としての通水性能や吸着能力の向上も期待される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭を主成分として成形してなる成形
    吸着体において、前記活性炭を、フィブリル化されたア
    クリル繊維による絡み合いと、このアクリル繊維より融
    点が低い熱溶融性合成樹脂による溶融により結合させて
    なることを特徴とする成形吸着体。
  2. 【請求項2】 前記アクリル繊維と前記熱溶融性合成樹
    脂とを除く前記成形吸着体の成分の全重量に対し、前記
    アクリル繊維を0.3〜10重量%含有し、前記熱溶融
    性合成樹脂を2〜10重量%含有する請求項1記載の成
    形吸着体。
  3. 【請求項3】 前記熱溶融性合成樹脂がポリエチレン又
    はポリプロピレンである請求項1又は2記載の成形吸着
    体。
  4. 【請求項4】 前記熱溶融性合成樹脂がパルプ状をなし
    ている合成パルプである請求項1ないし3記載の成形吸
    着体。
JP28761693A 1993-10-22 1993-10-22 成形吸着体 Pending JPH07116513A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7673757B2 (en) 2006-02-17 2010-03-09 Millipore Corporation Adsorbent filter media for removal of biological contaminants in process liquids

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