JP3537149B2 - 成形吸着体 - Google Patents

成形吸着体

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JP3537149B2
JP3537149B2 JP05607691A JP5607691A JP3537149B2 JP 3537149 B2 JP3537149 B2 JP 3537149B2 JP 05607691 A JP05607691 A JP 05607691A JP 5607691 A JP5607691 A JP 5607691A JP 3537149 B2 JP3537149 B2 JP 3537149B2
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武士 前田
隆義 金田
義貴 中東
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上水などを吸着処理す
る上で有用な成形吸着体に関する。
【0002】
【従来の技術】水道水中の塩素臭などを除去するため、
家庭用、業務用等の浄水器には、粒状活性炭が使用され
ている。しかしながら、前記活性炭は、粒状であるた
め、浄水器への充填、取出し作業が煩雑化し、取扱い性
が劣る。また、浄水器内へ粒状活性炭を充填すると、一
般に充填密度が高いので、圧力損失が大きくなり、吸着
処理効率が低下する。
【0003】そこで、前記粒状活性炭とバインダーとを
混合し、成形した成形吸着体が提案されている。しかし
ながら、この成形吸着体においては、一体性を高めるた
めには、バインダーの含有量を多くする必要がある。バ
インダーの含有量を多くすると、活性炭のミクロポアが
閉塞され、塩素成分などに対する吸着能及び吸着除去効
率が小さい。
【0004】一方、本発明者らは、特開平2−1600
44号公報において、吸着能を有し、粒径2〜80μm
の光学異方性多孔質炭素微小粒体が熱接着性繊維に接合
保持された、抄紙構造を有する成形吸着体を提案した。
しかしながら、この成形吸着体では、炭素微小粒体の含
有量が小さいので、吸着能を高めるには限界がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、粒径150μm〜5mmの粒状活性炭を含む吸着剤
であって、取扱いが容易であると共に、圧力損失が小さ
く、吸着能に優れた一体成形の中空筒状の成形吸着体を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、粒径150μm〜5mmの粒状活性炭1
00重量部に対して、補強繊維及び繊維状バインダーと
からなる繊維10〜100重量部を含む一体成形の中空
筒状の成形吸着体であって、繊維状バインダーの割合
が、粒状活性炭100重量部に対して、2〜10重量部
である成形吸着体を提供する。
【0007】粒状活性炭としては、粒径150μm以上
(150μm〜5mm程度)、好ましくは、200μm
以上(200μm〜5mm程度)、さらに好ましくは3
00μm〜5mm程度の活性炭が使用でき、活性炭は、
造粒されていてもよい。粒状活性炭の比表面積は、例え
ば、500〜2500m2/g程度である。
【0008】このような活性炭は、粒状であるため、通
常、高い吸着能を維持しつつ一体に成形するのが困難で
ある。しかしながら、粒状活性炭を補強繊維及び繊維状
バインダーと組み合わせて中空筒状に成形することによ
り、吸着能及び一体性に優れた抄紙構造の吸着体を構成
できる。
【0009】補強繊維としては、例えば、木綿等の天然
繊維;芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維
等の合成繊維;レーヨン等の半合成繊維;ガラス繊維、
炭素繊維、活性炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維等の
無機繊維が例示される。これらの繊維は、一種又は二種
以上使用できる。成形吸着体を補強するためには、機械
的強度の大きな合成繊維及び無機繊維が好ましい。特
に、成形吸着体の吸着能を高めることができる活性炭素
繊維が好ましい。活性炭素繊維は、例えば、ポリアクリ
ロニトリル、フェノール樹脂、セルロース、レーヨン、
ピッチなどの炭素繊維を賦活処理することにより得られ
る。活性炭素繊維の比表面積は、例えば、500〜25
00m2/g程度であり、その特異なミクロポアの構造
に起因して、吸着速度および吸着能が大きいという特徴
を有する。
【0010】繊維状バインダーとしては、例えば、パル
プ、麻;熱溶融性合成樹脂繊維などが挙げられる。前記
熱溶融性合成樹脂繊維には、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのオレフィン系繊維、ポリエステル系
繊維、アクリル系繊維、ポリアクリロニトリル繊維や複
合繊維などが含まれる。バインダーの形態は、液状、粉
末状、粒状等であってもよいが、吸引成形性に優れる繊
維状、特に熱接着性繊維であるのが好ましい。これらの
繊維状バインダーは、一種又は二種以上使用できる。
【0011】粒状活性炭と、補強繊維及び繊維状バイン
ダーとからなる繊維との割合は、粒状活性炭100重量
部に対して繊維10〜100重量部、好ましくは20〜
50重量部程度である。繊維の割合が10重量部未満で
あると、成形吸着体の強度が弱くなり、100重量部を
越えると、成形体の活性炭含有量が低下し、高い吸着能
を維持できない。また、前記繊維は、2〜10重量部、
好ましくは2〜5重量部程度の繊維状バインダーを含ん
でいる。繊維状バインダーの割合が2重量部未満である
と、成形吸着体の一体性が低下し易く、10重量部を越
えると、活性炭の細孔を塞ぎ、高い吸着能を維持できな
い。
【0012】なお、前記吸着成形体は、吸着能及び強度
に悪影響を及ぼさない範囲で、熱可塑性樹脂、天然物や
その誘導体、分散剤、安定剤、粘度調整剤、充填剤、紙
力増強剤、凝集作用を有する界面活性剤、特に高分子凝
集剤や歩留り向上剤などの種々の添加剤を含有していて
もよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー、ポリ
酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニ
ルアルコール、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアク
リロニトリル、スチレン系ポリマーなどが挙げられる。
天然物やその誘導体には、例えば、澱粉、カゼイン、ゼ
ラチン、寒天、アルギン酸、カルボキシメチルセルロー
スなどが含まれる。
【0013】このような成形吸着体は、吸着剤成分とし
て粒状活性炭を含んでいるにも拘らず、補強繊維及び繊
維状バインダーと組合せているため、一体成形性、取扱
い性に優れている。また、成形吸着体体は抄紙構造であ
るため、圧力損失が小さく、粒状活性炭の含有量を高め
ることができるので、吸着能に優れている。特に、粒状
活性炭と、補強繊維としての活性炭素繊維、及びバイン
ダーとしての熱溶融性合成樹脂繊維とを組合せる場合に
は、粒状活性炭の含有量および吸着能を高めることがで
きる。
【0014】成形吸着体の形状は、中空筒状である。本
発明の成形吸着体の形状は、厚手の成形吸着体であっ
て、シート状の成形吸着体は含まれない。
【0015】成形吸着体は、例えば、粒状活性炭、補強
繊維及びバインダーを含むスラリー中に、一端が閉塞さ
れ、多数の小孔及び吸引部を有する中空の吸引成形型を
浸漬し、この吸引成形型を吸引し、成形吸引型の表面
に、前記スラリー中の粒状活性炭などを堆積させ、次い
で、脱型した成形体を加熱乾燥することにより得ること
ができる。この吸引成形法において、成形型の表面形状
に対応する種々の形状の成形体を得ることができる。得
られた成形吸着体は、通水性、通気性に優れた抄紙構造
を有している。抄紙構造の成形吸着体とは、成形吸着体
を構成する繊維が、厚手の和紙の如くランダムにかつ緻
密に配向した構造を有することを言う。
【0016】なお、スラリーの調製に際しては、補強繊
維、繊維状バインダーを叩解するのが好ましい。また、
吸引成形による歩留りを高めるため、凝集作用を有する
界面活性剤、特に高分子凝集剤や歩留り向上剤を添加し
てもよい。さらには、吸着能及び強度に悪影響を及さな
い範囲で、分散剤、安定剤、粘度調整剤、充填剤、紙力
増強剤などの添加剤を添加してもよい。スラリー中の固
形分濃度は、例えば、0.1〜2重量%程度である。繊
維状バインダーが熱接着性を有する場合、加熱乾燥によ
り、バインダーは、粒状活性炭及び/又は補強繊維と接
合する。吸引成形後の湿潤状態の成形吸着体の加熱乾燥
は、例えば、100〜200℃程度の温度で行なうこと
ができる。
【0017】本発明の成形吸着体は、液体の脱臭脱色、
溶剤や有用物などの回収、気体及び液体中の不純物の除
去・精製などの吸着処理、特に上水中の塩素成分などを
除去する吸着処理に好適に使用される。
【0018】
【発明の効果】本発明の成形吸着体は、粒状活性炭の含
有量が多くても、取扱いが容易であると共に、圧力損失
が小さく、吸着能に優れている。
【0019】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0020】実施例1 粒径0.5mm、比表面積1000m2/gの粒状活性炭
100重量部、補強繊維としてのガラス繊維90重量
部、繊維状バインダーとしてのポリアクリロニトリル繊
維5重量部を水4000重量部に加え、スラリーを調製
した。なお、ガラス繊維およびポリアクリロニトリル繊
維は、予め1〜3mmに切断したものを使用した。
【0021】そして、内径50mmφ、深さ50mmであ
り、底板に多数の小孔が形成され、かつ吸引部が形成さ
れた吸引成形型をスラリー槽内に浸漬し、吸引成形した
後、成形体を取出して、140℃の温度で2時間乾燥
し、成形吸着体を得た。得られた吸着体の比表面積は4
60m2/gであり、密度は0.28g/ccであっ
た。
【0022】実施例2 ガラス繊維に代えて、公称比表面積1000m2/gの
ピッチ系活性炭素繊維[(株)アドール製、商品名A−
10]を用いる以外、実施例1と同様にして成形吸着体
を作製した。得られた吸着体の比表面積は990m2
gであり、密度は0.27g/ccであった。
【0023】比較例 実施例1の粒状活性炭100重量部、ポリアクリロニト
リル繊維5重量部を水2000重量部を用いる以外、実
施例1と同様にして吸引成形し、乾燥したところ、乾燥
終了後の形成吸着体は、直ちに崩壊した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中東 義貴 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大 阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−190100(JP,A) 特開 平2−160044(JP,A) 特開 昭61−168582(JP,A) 特開 昭52−34008(JP,A) 実開 平2−129237(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径150μm〜5mmの粒状活性炭1
    00重量部に対して、補強繊維及び繊維状バインダーと
    からなる繊維10〜100重量部を含む一体成形の中空
    筒状の成形吸着体であって、繊維状バインダーの割合
    が、粒状活性炭100重量部に対して、2〜10重量部
    である成形吸着体
  2. 【請求項2】 成形吸着体の構造が抄紙構造である請求
    項1記載の成形吸着体。
  3. 【請求項3】 補強繊維が活性炭素繊維である請求項1
    記載の成形吸着体。
  4. 【請求項4】 補強繊維が、比表面積500〜2500
    2/gの活性炭素繊維である請求項1記載の成形吸着
    体。
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