JP2021006337A - フィルタおよびフィルタエレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着性能が高く、吸着剤に由来するダストが生じ難いフィルタの提供。【解決手段】吸着性粒子および前記吸着性粒子に絡まり前記吸着性粒子を固定する第1繊維からなる吸着層が、第2繊維を含む2枚の繊維層によって挟まれており、前記繊維層と前記吸着層とが前記第2繊維によって結合されているフィルタ。【選択図】図1

Description

本発明はフィルタおよびフィルタエレメントに関する。
従来、種々の分野において、気体中の不純物等を除去するためにフィルタが用いられている。
例えば半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド等、各種デバイスの製造プロセスのフォトリソグラフィー工程では、不純物をほとんど含まない空間内で露光する必要があるため、高度なフィルタを用い、これを通過させた空気を露光装置内へ導入している。
また、例えば一般に使用される空気清浄装置でも、気体浄化用フィルタが用いられている。
このようなフィルタによって、微細なダストや揮発性有機物質(VOC)等を除去することもできる。
このようなフィルタに関する従来法として、例えば特許文献1には、塵埃除去のための上流側および下流側の不織布の間に、少なくとも2種の粒径が異なる吸着材を混合して粉体状ホットメルト結着剤とともに配置し、加熱かつ加圧してシート状に一体化したことを特徴とする脱臭濾材が記載されている。そして、このような脱臭濾材によれば、吸着材充填量が大きい場合でも活性炭等の吸着材粒子を確実に固着保持でき、かつ濾材剛性や折り加工の際の加工性に優れ、しかも通気抵抗の低い脱臭濾材および脱臭フィルタを得ることができると記載されている。
また、特許文献2には、気体を浄化する濾材であって、有機物を吸着する活性炭と、酸性ガスまたはアルカリ性ガスを吸着するゼオライトと、複数の不織布とを備え、前記活性炭及び前記ゼオライトを前記複数の不織布の間に配置したことを特徴とする濾材が記載されている。ここで、活性炭およびゼオライトはバインダ剤(ポリエチレンやPET等)により不織布等に固定されると記載されている。そして、このような濾材によれば、湿度が低い雰囲気中で用いることができ、かつ複数の除去機能を持ち、しかも圧力損失が少ない濾材及び該濾材を備えたフィルタユニットを提供することができると記載されている。
さらに特許文献3には、粒子状又は粉末状の吸着剤と、前記吸着剤を結合して保持するバインダとしての繊維と、で主体が構成されるフィルタであって、前記吸着剤を結合して保持した繊維が粒子状に絡まってなる造粒フィルタ複数からなることを特徴とするフィルタが記載されている。そして、このようなフィルタによれば、圧縮成型や抄造といった製造法によって板状又はシート状に形成することで密度が高い状態となってしまい、密度を低くしたり調節することができず、例えば油がフィルタを通過するのに時間がかかってしまう、といったことのないフィルタを提供できると記載されている。
特開2003−320209号公報 特開2006−000744号公報 特開2008−86865号公報
しかしながら、特許文献1に記載の脱臭フィルタは、吸着剤を粉体状ホットメルト結着剤よって固定しているため、吸着剤における粉体状ホットメルト結着材が粘着した部分が吸着剤として機能しなくなり、脱臭フィルタとしての性能が低下してしまう。
また、特許文献2に記載の濾材は、活性炭およびゼオライトをバインダ剤(ポリエチレンやPET等)によって不織布等に固定しているため、活性炭およびゼオライトにおけるバインダが粘着した部分が活性炭およびゼオライトとして機能しなくなり、濾材としての性能が低下してしまう。
さらに、特許文献3に記載のフィルタでは吸着剤がフィルタ内で固定されていないため、吸着剤に由来するダスト(脱離物等)がフィルタ外へ排出されてしまう。この場合、高度に浄化された気体が必要な分野においては、利用することはできない。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は吸着性能が高く、吸着剤に由来するダストが外部へ排出され難いフィルタおよびそれを含むフィルタエレメントを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(10)である。
(1)吸着性粒子および前記吸着性粒子に絡まり前記吸着性粒子を固定する第1繊維を主として含む吸着層が、第2繊維を含む2枚の繊維層によって挟まれており、前記繊維層と前記吸着層とが前記第2繊維によって結合されているフィルタ。
(2)前記吸着層において、
前記第1繊維と前記吸着性粒子とが造粒体を形成しており、前記造粒体同士が前記第1繊維によって繋がっている、上記(1)に記載のフィルタ。
(3)前記吸着層において、
前記第1繊維と前記吸着性粒子とからなる複数のシートが積層し、前記シート同士が前記第1繊維によって繋がり積層体を形成している、上記(1)に記載のフィルタ。
(4)2枚の前記繊維層の端部同士が溶着されている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルタ。
(5)前記吸着性粒子が炭素粒子である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルタ。
(6)前記第1繊維および前記第2繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つがフィブリル化繊維である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルタ。
(7)前記繊維層を構成する2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面の前記スラリーの上へ、前記第1繊維と前記吸着性粒子との混合物を塗布し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が前記混合物と接するように重ね、それらを密着させた状態を保ったまま乾燥させることで上記(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルタを得る、フィルタの製造方法。
(8)前記繊維層を構成する2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面の前記スラリーの上へ前記吸着層を配置し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が前記混合物と接するように重ね、それらを密着させた状態を保ったまま乾燥させることで上記(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルタを得る、フィルタの製造方法。
(9)上記(7)または(8)に記載の製造方法によって得られるフィルタ。
(10)上記(1)〜(6)のいずれか、または上記(9)に記載のフィルタを内部に含み、内部を流れるガスが各フィルタを通過するように前記フィルタが冶具に固定され配置されている、フィルタエレメント。
本発明によれば、吸着性能が高く、吸着剤に由来するダストが外部へ排出され難いフィルタおよびそれを含むフィルタエレメントを提供することができる。
本発明のフィルタを主面に垂直な方向で切った概略断面図である。 好適例である本発明のフィルタを主面に垂直な方向で切った概略断面図である。 別の好適例である本発明のフィルタを主面に垂直な方向で切った概略断面図である。 複数の本発明のフィルタを内部に含むフィルタエレメントの概略一部断面図である。 実施例1で得られた造粒体を走査型電子顕微鏡で観察して得た拡大写真である。 実施例1における本発明のフィルタの作成手順を示す図である。 実施例2で得られた本発明のフィルタを走査型電子顕微鏡で観察して得た拡大断面写真である。
本発明のフィルタについて説明する。
本発明は、吸着性粒子および前記吸着性粒子に絡まり前記吸着性粒子を固定する第1繊維を主として含む吸着層が、第2繊維を含む2枚の繊維層によって挟まれており、前記繊維層と前記吸着層とが前記第2繊維によって結合されているフィルタである。
本発明のフィルタについて図を用いて説明する。
図1は、本発明のフィルタ20を主面に垂直な方向で切った概略断面図である。
<吸着層>
本発明のフィルタ20は吸着層21が、2枚の繊維層(繊維層23、繊維層25)によって挟まれた構成を備えている。
吸着層21は、吸着性粒子211および第1繊維213を主として含む。
ここで、「主として」とは含有率が50質量%以上であることを意味する。すなわち、吸着層21における吸着性粒子211および第1繊維213の合計含有率は50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。ここで「実質的に100質量%である」とは、製造工程や原料等から不可避的に含まれてしまう不純物(不可避的不純物)以外は含まないことを意味する。
吸着層21に含まれる第1繊維213の体積比率は特に限定されないが、吸着層21に占める第1繊維の体積比率は(つまり、第1繊維213の体積/吸着層21の体積×100が)、0.1〜10%であることが好ましく、0.5〜5%であることがより好ましい。
吸着層21は吸着性粒子211および第1繊維213以外のものとして、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維等の無機繊維やこれらの粒子など、吸着性粒子の吸着性能に影響を及ぼさない無機材料などからなる繊維が挙げられる。
吸着層における吸着性粒子、第1繊維などの含有率(体積比率)は、図7(b)に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて60倍で観察して得る写真)において、吸着層の観察視野における各要素の面積を測定し、体積換算(2分の3乗)して求めるものとする。また、吸着層における吸着性粒子、第1繊維などの質量比率は、求めた体積比率に各要素の比重を乗じて各要素の質量を求めた後、比率を算出して求めるものとする。
そして、図1に示すように第1繊維213は吸着性粒子211に絡まっていて、これによって吸着性粒子211は固定されているので、一方の繊維層から入ったガスが吸着層を通過して他方の繊維層から系外へ排出される際、吸着性粒子211は流動し難く、また、吸着性粒子211に由来するダストが合わせて系外に排出されてしまうことが、ほとんどない。
吸着層21の厚さは特に限定されないが、0.5〜5mmであることが好ましく、1〜2mmであることがより好ましい。
なお、吸着層の厚さは、次のように求めるものとする。
本発明のフィルタの主面に垂直な方向における断面(図7のような断面)の拡大写真(60倍)を得た後、その断面の拡大写真において吸着層の厚さを無作為に選択した10か所にて測定し、それらの単純平均値を求める。そして、得られた平均値をその吸着層の厚さとする。
吸着層21の密度は特に限定されないが、0.01〜0.5g/cm3であることが好ましく、0.05〜0.2g/cm3であることがより好ましい。
なお、吸着層の密度は、次のように求めるものとする。
本発明のフィルタの主面に垂直な方向における断面(図7のような断面)の拡大写真(60倍)を得た後、その断面の拡大写真において吸着層の厚さを無作為に選択した10か所にて測定し、それらの単純平均値を吸着層の厚さとし、特定面積の吸着層の重量を測定し、その厚さと面積より体積を求め、吸着層の重量と体積から密度を求める。
吸着性粒子について説明する。
吸着性粒子211は、本発明のフィルタを通過する気体中に含まれるダスト等を吸着する性能を有する粒子であれば特に限定されない。吸着性粒子として、セピオライト、ゼオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、珪藻土、珪藻土頁岩、活性炭等の炭素粒子、多孔質シリカ、水酸化アルミニウム、繊維状酸化チタン、アロフェン、イモゴライト、非晶質アルミニウム珪酸塩、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウム珪酸塩からなるアルミニウム珪酸塩複合体等の無機系吸着剤、ポリアクリル酸系に代表される吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系吸着剤等、公知のものを用いることができる。
吸着性粒子は炭素粒子であることが好ましく、活性炭からなる粒子であることが好ましい。
活性炭としては、竹活性炭の他、例えば、他の植物系活性炭(例えばヤシ殻、木粉、素灰などを原料とする活性炭)、鉱物系活性炭(例えばピート炭、レキ炭、ピッチ、コークスなどを原料とする活性炭)、樹脂系活性炭(例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂などを原料とする活性炭)などが挙げられ、これらを単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
吸着性粒子211は比表面積が100〜5000m2/gであることが好ましく、300〜3000m2/gであることがより好ましい。
吸着性粒子211は平均細孔径が1〜100Åであることが好ましく、5〜20Åであることがより好ましい。
なお、吸着性粒子211の比表面積は、窒素吸着法で得た吸着等温線から求めた値を意味するものとする。
また、吸着性粒子211の平均細孔径は、BJH(Barret−Joyner−Halenda)法における脱着等温線から求めた値を意味する。
ここで、窒素吸着法について説明する。
まず、測定対象物を乾燥させたものを試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着等温線・脱着等温線を得る。この窒素吸着等温線を用いてBET理論により比表面積を求める。また、脱着等温線を用いてBJH(Barret−Joyner−Halenda)法により、試料の細孔径分布曲線を得て、その曲線に現れるメソ孔(粒子表面の細孔)側およびマクロ孔(粒子間細孔)側のピークのうち、メソ孔側のピークの細孔径を平均細孔径として求める。この窒素吸着法は、例えば従来公知の細孔分布測定装置を用いて行うことができる。
吸着性粒子211は平均粒子径が0.1〜1000μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、30μm程度であることがさらに好ましい。
なお、吸着性粒子の平均粒子径は、測定対象物(担体)をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液へ添加し、超音波分散および攪拌によって分散させて、透過率が70〜90%となるように調節した後、従来公知のレーザ散乱法を用いて粒度分布を測定し算出した値(メジアン径)を意味するものとする。
第1繊維について説明する。
第1繊維は、木材繊維、天然繊維または合成繊維などであってよく、木材繊維、天然繊維または合成繊維などを叩解機等によってフィブリル化したもの(フィブリル化繊維)であることが好ましい。第1繊維がフィブリル化繊維であると、層間の結合強度が高めやすく、また、後述する粒子の造粒が容易になるからである。ここでフィブリル化とは、繊維が毛羽立ち、ささくれ等を生じさせることを意味する。
第1繊維は複数の種類のものからなってよい。後述する第2繊維についても同様である。
なお、第1繊維は無機繊維を含まない。ただし、前述のように、吸着層21は吸着性粒子211および第1繊維213以外のものとして無機繊維を含んでもよい。
ここで木材繊維としては針葉樹、広葉樹からなるMP、CP、GP、RGP、CGP、SP、AP、KP、SCP等が挙げられ、これらは未晒しパルプでも晒しパルプでもよい。
また、天然繊維としては、木綿、わら、竹、エスパルト、バガス、リンター、マニラ麻、亜麻、麻、黄麻、雁皮等のパルプ化繊維がある。
さらに、合成繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のオレフィン樹脂繊維等の合成高分子繊維の他、ポリアセタール、ポリイミド、PBO、PTFE等のフッ素系樹脂、スチレン及びその共重合体、アクリル酸エステル及びその共重合体等が挙げられる。
叩解機として、例えば、SDR、DDR、ビーター等で適宜行なうことができ、繊維の叩解度としては、カナダ標準濾水度(JIS P 8121)で、750CSF〜50CSFとすることが好ましく、500CSF〜100CSFとすることがより好ましい。
第1繊維の繊維長は0.1〜10mmであることが好ましく、0.3〜2mmであることがより好ましい。
第1繊維の繊維長は、図7に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて30倍で観察して得る写真)において、吸着層の観察視野における全ての第1繊維の繊維長を測定し、それらを単純平均して求めるものとする。
第1繊維の繊維径は0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜5μm未満であることがより好ましい。
第1繊維の繊維径は、図7に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて30倍で観察して得る写真)において、吸着層の観察視野における全ての第1繊維の太さを測定し、その単純平均値を第1繊維の繊維径とする。
<繊維層>
本発明のフィルタ20は2枚の繊維層(繊維層23、繊維層25)が吸着層21を挟んだ構成を備えている。
繊維層23と繊維層25とは同じものであっても、異なるものであってもよい。
繊維層23、25は、有機物および/または無機物の繊維からなるものであることが好ましく、有機繊維からなる層であることがより好ましく、有機物からなる不織布であることがさらに好ましい。
なお、繊維層を構成する有機物や無機物等の繊維(フィブリル化繊維等の第1繊維および第2繊維は含まない)を、以下では「繊維層構成用繊維」という場合もある。
繊維層構成用繊維として、具体的には、例えば、ポリクラール繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリプロピレン織維、ポリエチレン繊維、あるいは複数の樹脂成分からなる複合繊維などの合成繊維や、これら合成繊維に芳香剤、抗菌剤や抗かび剤などを混入し、芳香性、抗菌性や抗かび性などの機能を有する繊維や、レーヨン、ビスコースなどの再生繊維や、アセテートなどの半合成繊維や、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維などを使用できる。これらの中でも、ポリクラール繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維は難燃性に優れており、ポリエステル繊維は耐薬品性、耐熱性に優れているため好ましく使用できる。
繊維層構成用繊維は複数の種類のものからなってよい。
また、不織布とは、一本一本の繊維をシート状に集積した後、その繊維同士を高分子樹脂等のバインダで化学的に結合させる(ラテックスボンド法)、あるいは熱により繊維同士を圧着させる(サーマルボンド法)、または機械的に繊維同士を絡ませる(ニードルパンチ法,水流絡合法)等によってできる布のことをいい、繊維をシート状に集積する方法としては、繊維の元の原料自体から直に繊維を紡糸するスパンボンド法,メルトブロー法,フラッシュスピニング法、または繊維を紡績に似たカードで機械的に並べてつくるカード法、あるいは紙を漉す方法と同様にして漉し上げる湿式法等が挙げられる。
ここで不織布(好ましくは有機物からなる不織布、より好ましくはPET製不織布)の坪量は10〜300g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることがより好ましい。
繊維層の厚さは特に限定されないが、0.05〜10mmであることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。
繊維層の厚さは、次のように求めるものとする。
本発明のフィルタの主面に垂直な方向における断面(図7(b)のような断面)の拡大写真(60倍)を得た後、その断面の拡大写真において繊維層の厚さを無作為に選択した10か所にて測定し、それらの単純平均値を求める。そして、得られた平均値をその繊維層の厚さとする。
繊維層の密度は特に限定されないが、0.01〜1g/cm3であることが好ましく、0.1〜0.5g/cm3であることがより好ましい。
なお、繊維層の密度は、次のように求めるものとする。
本発明のフィルタの主面に垂直な方向における断面(図7のような断面)の拡大写真(60倍)を得た後、その断面の拡大写真において繊維層の厚さを無作為に選択した10か所にて測定し、それらの単純平均値を吸着層の厚さとし、特定面積の繊維層の重量を測定し、その厚さと面積より体積を求め、繊維層重量を体積で割って求める。
繊維層構成用繊維の長さは特に限定されないが、1〜50mmであることが好ましく、3〜10mmであることがより好ましい。
繊維層構成用繊維の長さは、図1に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて30倍で観察して得る写真)において、繊維層の観察視野における全ての繊維の長さを測定し、それらを単純平均して求めるものとする。
繊維層構成用繊維の繊維径は0.1〜300μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
繊維層構成用繊維の繊維径は、図1に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて30倍で観察して得る写真)において、繊維層の観察視野における全ての繊維層構成用繊維の太さを測定し、その単純平均値を繊維層構成用繊維の繊維径とする。
繊維層23、25は、繊維層構成用繊維および第2繊維215を主として含む。
ここで、「主として」とは含有率が50質量%以上であることを意味する。すなわち、繊維層23、25における、繊維層構成用繊維および第2繊維215の合計含有率は50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。ここで「実質的に100質量%である」とは、製造工程や原料等から不可避的に含まれてしまう不純物(不可避的不純物)以外は含まないことを意味する。
繊維層23、25に含まれる第2繊維215の体積比は特に限定されないが、繊維層に占める第2繊維の体積比率は(つまり、第2繊維の体積/繊維層の体積×100が)、0.5〜5%であることが好ましく、1〜3%であることがより好ましい。
繊維層23、25が含んでもよい第2繊維215以外のものとして、例えば、セラミック繊維、金属繊維等の無機繊維などが挙げられる。
繊維層23、25における繊維層構成用繊維および第2繊維等の含有率(体積比率)は、図7(b)に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて60倍で観察して得る写真)において、繊維層23、25の観察視野における各要素の面積を測定し、体積換算(2分の3乗)して求めるものとする。また、繊維層23、25における繊維層構成用繊維および第2繊維等の質量比率は、求めた体積比率に各要素の比重を乗じて各要素の質量を求めた後、比率を算出して求めるものとする。
なお、繊維層23、25において第2繊維は、吸着層21と接する主面に近い部位ほど、その含有率が高いことが好ましい。したがって、上記のように断面写真を用いて第2繊維の含有率を求める場合、繊維層における吸着層21と近い部位および遠い部位を含む、多くの観察視野(概ね十か所以上の視野)において各要素の含有率を測定し、得られた値の平均値を求め、それを各要素の含有率とする。
第2繊維は前述の第1繊維と同じものであってもよい。
第2繊維として、第1繊維と同じものを用いることが好ましい。
第2繊維はフィブリル化繊維であることがより好ましい。
第1繊維と第2繊維とは、その少なくとも一部が繊維層に存在しているか否かによって区別するものとする。つまり、繊維層内にその少なくとも一部が存在しているものが第2繊維であり、その全てが吸着層内に存在しているものを第1繊維とする。
本発明のフィルタ20は上記のような吸着層21が、上記のような2枚の繊維層(繊維層23、繊維層25)によって挟まれた構成を備え、さらに、繊維層23、25と吸着層21とが、第2繊維215によって結合されている。つまり、図1に示すように、繊維層23、25に含まれている第2繊維215が、吸着層21の吸着性粒子211や第1繊維213に絡まっている。このような構成であるため、樹脂等のバインダを用いることなく、吸着層21と繊維層23、25とを結合させることができる。バインダを用いると、吸着性粒子におけるバインダが粘着した部分が吸着性粒子(吸着剤)として機能しなくなってしまうため、フィルタとしての性能(吸着能)が低下してしまう。しかし、本発明のフィルタではバインダを用いる必要がないので、本発明のフィルタは性能(吸着性能)が高い。また、第1繊維および第2繊維が吸着性粒子を強固に固定しているため、一方の繊維層から入ったガスが吸着層を通過して他方の繊維層から系外へ排出される際、吸着性粒子211は流動し難く、また、吸着性粒子211に由来するダストが合わせて系外に排出されてしまうことが、ほとんどない。
本発明のフィルタの製造方法は特に限定されない。
例えば、2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面のスラリーの上へ、第1繊維と吸着性粒子との混合物を塗布し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が前記混合物と接するように重ね、各層を密着させた状態を保ったまま乾燥させることで形成することができる。
また、2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面のスラリーの上へ、予め作成した第1繊維と吸着性粒子とからなる吸着層を配置し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が吸着層と接するように重ね、各層を密着させた状態を保ったまま乾燥させることで形成することができる。
また、本発明のフィルタに用いられる繊維(第1繊維および第2繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つ)が天然繊維を含む場合には、容易にプリーツ加工することができる。水(蒸気)で湿らせることで、パルプが膨潤して柔らかくなるので、加工形状のまま乾燥させて形状を維持することができる。
本発明のフィルタの好適態様について、図2を用いて説明する。
図2に示す本発明のフィルタ30は、本発明のフィルタの好適態様であり、図1に示した本発明のフィルタ20とは吸着層が異なる。その他の部分は原則、同じである。
図2に示す本発明のフィルタ30において、吸着層31では第1繊維213と吸着性粒子211とが造粒体33を形成している。そして、この造粒体33の内部において第1繊維213は吸着性粒子211に絡まり固定するので、造粒体としての形状を維持することができる。
なお、図2では、造粒体33の内部に存在し吸着性粒子211を固定しているものを第1繊維213と表し、造粒体33同士を繋げているものを第1繊維217と表して区別しているが、これらはいずれも第1繊維である。
造粒体33の形状は特に限定されない。
造粒体33の大きさも特に限定されないが、平均粒子径が0.05〜3mmであることが好ましく、0.1〜1mmであることがより好ましい。
ここで造粒体の平均粒子径は、初めに、走査型電子顕微鏡を用いて30倍に拡大して写真撮影する。次に、得られた写真において造粒体の最大径を長軸とし、また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定して短径とする。そして、長径と短径との平均値を求め、その粒子の粒子径とする。このようにして50個の粒子について粒子径を測定し、それらの個数平均値を算出して得た値を造粒体の平均粒子径とする。
造粒体33に含まれる第1繊維213の体積比は特に限定されないが、造粒体33を構成する吸着性粒子211の体積に対して(つまり、第1繊維の体積/造粒体33を構成する吸着性粒子211の体積×100が)、0.05〜0.5%であることが好ましく、0.07〜0.2%であることがより好ましい。
なお、造粒体33に含まれる第1繊維213の含有率(体積比率)は、前述のように、図7(b)に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて60倍で観察して得る写真)において、吸着層の観察視野における各要素の面積を測定し、体積換算(2分の3乗)して求めるものとする。また、吸着層における造粒体33、第1繊維213の質量比率は、求めた体積比率に各要素の比重を乗じて各要素の質量を求めた後、比率を算出して求めるものとする。
造粒体33の製造方法は特に限定されない。
例えば、攪拌混合容器内に、吸着性粒子211と、第1繊維213と、水とを投入する。投入する際はこれらを別々に投入してもよく、内部に収容された際に混合された状態となればよい。
次に、攪拌混合手段によって攪拌混合を行う。そして、攪拌混合しながら同時にまたは攪拌混合をした後で混合物の脱水を行うことで、吸着性粒子211に第1繊維213が絡みついた状態となる。
次に、得られたスラリーをパンチングメタルの表面に塗布し、加熱乾燥により水分含有率が1〜10質量%となるように乾燥させる。ここでパンチングメタルは、例えばその主面に直径500μmの略円形の貫通孔が多数形成されたものである。
その後、乾燥したスラリーをヘラでパンチングメタルへ押し付けることで貫通孔を通過させて、直径が約500μmの造粒体を得ることができる。
その他、回転容器に吸着性粒子を入れて回転させている最中に、第1繊維を水に分散させた水分散液をスプレーなどで吹きかけると同時に、熱風を吹きかけるという方法によって造粒体33を製造することもできる。
図2に示した好適態様では、上記のような造粒体33が別の造粒体33と第1繊維217によって繋がっている。つまり、第1繊維217が複数の造粒体33に絡まって、これらを繋げている。
好適態様である本発明のフィルタ30は、上記のような吸着層31が、上記のような2枚の繊維層(繊維層23、繊維層25)によって挟まれた構成を備え、さらに、繊維層23、25と吸着層31とが、第2繊維215によって結合されている。つまり、図2に示すように、繊維層23、25に含まれている第2繊維215が、吸着層31の造粒体33に絡まっている。このような構成であるため、バインダを用いることなく、吸着層31と繊維層23、25とを結合させることができる。バインダを用いると、吸着性粒子におけるバインダが粘着した部分が吸着性粒子(吸着剤)として機能しなくなってしまうため、フィルタとしての吸着能が低下してしまう。しかし、本発明のフィルタではバインダを用いる必要がないので、本発明のフィルタは吸着性能が高い。また、第1繊維213が吸着性粒子211と共に造粒体33を構成し、その造粒体33を第1繊維217および第2繊維215が強固に固定しているため、一方の繊維層から入ったガスが吸着層を通過して他方の繊維層から系外へ排出される際、吸着性粒子211は流動し難く、また、吸着性粒子211に由来するダストが合わせて系外に排出されてしまうことが、ほとんどない。
本発明のフィルタの好適態様について、図3を用いて説明する。
図3に示す本発明のフィルタ40は、本発明のフィルタの好適態様であり、図1に示した本発明のフィルタ20とは吸着層が異なる。その他の部分は原則、同じである。
図3に示す本発明のフィルタ40において、吸着層41では第1繊維213と吸着性粒子211とがシートを形成している。第1繊維213が吸着性粒子211に絡まり固定しているので、シートとしての形状を維持することができる。
図3では例として3枚のシート(シート411、シート413、シート415)を示しているが、シートの枚数は限定されない。例えば2〜5枚のシートが積層していることが好ましい。
そして、これら複数のシート同士が第1繊維217によって繋がっていて積層体を構成している。
なお、図3では、シートの内部に存在し吸着性粒子211を固定しているものを第1繊維213と表し、シート同士を繋げているものを第1繊維217と表して区別しているが、これらはいずれも第1繊維である。
積層体は、例えば、各シートの主面に第1繊維を含むスラリーを塗布し、各シートを密着させた状態を保ったまま乾燥させることで形成することができる。
シート411、413、415の厚さは特に限定されないが、各々、0.1〜3mmであることが好ましく、0.5〜1mmであることがより好ましい。
ここでシート411、413、415の厚さは、次のように求めるものとする。
本発明のフィルタの主面に垂直な方向における断面(図3のような断面)の走査型電子顕微鏡による拡大写真(60倍)を得た後、その断面の拡大写真においてシートの厚さを無作為に選択した10か所にて測定し、それらの単純平均値を求める。そして、得られた平均値をそのシートの厚さとする。
シートが積層してなる積層体としての厚さも、同様にして求めるものとする。
シート411、413、415に含まれる第1繊維の体積比は特に限定されないが、1枚のシート(例えばシート411)を構成する吸着性粒子211の体積に対して(つまり、第1繊維の体積/シート411を構成する吸着性粒子211の体積×100が)、0.1〜10%であることが好ましく、0.5〜5%であることがより好ましい。
なお、シート411、413、415に含まれる第1繊維の含有率(体積比率)は、前述のように、図7(b)に示すような断面写真(走査型電子顕微鏡を用いて60倍で観察して得る写真)において、吸着層の観察視野における各要素の面積を測定し、体積換算(2分の3乗)して求めるものとする。
シートの製造方法は特に限定されない。
例えば、攪拌混合容器内に、吸着性粒子211と、第1繊維213と、溶媒(水や有機溶媒)とを投入する。投入する際はこれらを別々に投入してもよく、内部に収容された際に混合された状態となればよい。
次に、攪拌混合手段による混合物の攪拌混合を行う。そして、従来公知の抄造方法によってシートを得ることができる。シート内では吸着性粒子211に第1繊維213が絡みついた状態となる。
その他、吸着性粒子211と第1繊維213と、溶媒(水や有機溶剤)とを混合した塗料を基材に塗工して、乾燥で溶媒を除去して、最後に基材からはがしてシートを得るという方法によってシートを製造することもできる。
図3に示した好適態様では、上記のようなシート(例えばシート411)が別のシート(例えばシート413)と第1繊維217によって繋がっている。つまり、第1繊維213がシート411とシート413と繋げている。同様に、第1繊維213がシート413とシート415と繋げている。
好適態様である本発明のフィルタ40は、上記のような吸着層41が、上記のような2枚の繊維層(繊維層23、繊維層25)によって挟まれた構成を備え、さらに、繊維層23、25と吸着層41とが、第2繊維215によって結合されている。つまり、図3に示すように、繊維層23、25に含まれている第2繊維215が、吸着層41のシート411、415に絡まっている。このような構成であるため、バインダを用いることなく、吸着層41と繊維層23、25とを結合させることができる。バインダを用いると、吸着性粒子におけるバインダが粘着した部分が吸着性粒子(吸着剤)として機能しなくなってしまうため、フィルタとしての吸着能が低下してしまう。しかし、本発明のフィルタではバインダを用いる必要がないので、本発明のフィルタは吸着性能が高い。また、第1繊維213が吸着性粒子211と共にシート411、413、415を構成し、そのシートを第1繊維217および第2繊維215が強固に固定しているため、一方の繊維層から入ったガスが吸着層を通過して他方の繊維層から系外へ排出される際、吸着性粒子211は流動し難く、また、吸着性粒子211に由来するダストが合わせて系外に排出されてしまうことが、ほとんどない。
本発明のフィルタでは、2枚の繊維層23、25の端部同士が溶着されていることが好ましい。例えば図1において、繊維層23と繊維層25との間には吸着層21が存在しているが、端部のみは2枚の繊維層の間に吸着層が存在せずに、これらが溶着されていることが好ましい。
2枚の繊維層同士を直接接触(密着)させて、これらを容易に溶着させることができる。繊維層が有機物を含む場合(または有機物からなる場合)、2枚の繊維層同士を密着させた状態で熱を加えることで、これらを溶着することができる。つまり、ヒートシールを施すことができる。
次に、本発明のフィルタを内部に含み、内部を流れるガスが各フィルタを通過するように本発明のフィルタが冶具に固定され配置されているフィルタエレメントについて、図4を用いて説明する。
図4は、複数の本発明のフィルタを内部に含むフィルタエレメント60の概略断面の一部を示す図である。
図4では、2枚の繊維層の端部同士が溶着されている本発明のフィルタ50が4つ示されている。
そして、その溶着された端部51が、冶具61に差し込まれることで、本発明のフィルタ50がフィルタエレメント60の内部において固定されている。
例えば図4に示すように本発明のフィルタ50を冶具61に固定して配置することで、フィルタエレメント60の内部を流れるガス70が、各フィルタを通過する。そして、ガスの流れを想定通りにすることができる。
<実施例1>
ビーカー内に49.5gのイオン交換水を用意し、ここへ3gの炭素粒子(東洋炭素社製、クノーベル(登録商標)、グレード:MH、平均粒子径:30μm)と、0.5gのパルプ(ダイセルファインケム社製、KY100G)とを加え、十分に撹拌することでスラリーを得た。
そして、得られたスラリーをパンチングメタルの表面に塗布し、80℃の乾燥機1時間乾燥し、水分含有率を1〜10質量%とした。ここでパンチングメタルは、厚さが500μmであり、その主面に直径500μmの略円形の貫通孔が多数形成されたものである。
その後、乾燥したスラリーをヘラでパンチングメタルへ押し付けることで貫通孔を通過させて、直径が約500μmの造粒体を得た。
この造粒体の拡大写真を図5に示す。図5(a)が30倍、(b)が100倍、(c)が400倍の拡大写真である。
このようにして得た造粒体を用い、図6に示す手順で本発明のフィルタを作成した。
まず、PET製不織布1(宇部エクシモ社製、リモレイ、目付30g/m2)を2枚用意した(図6(a))。
次に、ビーカー内に99gのイオン交換水を用意し、ここへ1gのパルプ(ダイセルファインケム社製、KY100G)を加え、十分に撹拌してパルプスラリー3を得た。
次に、得られたパルプスラリー3を2枚のPET製不織布の各々の主面に塗布した(図6(b))。塗布量は、PET製不織布の質量に対するパルプスラリー3に含まれるフィブリル化繊維の質量が10%となる塗布量とした。
次に、塗布したパルプスラリー3が造粒体5に接するように、2枚のPET製不織布で造粒体を挟み込んだ(図6(c))。そして、水平面上に置き、上部からおもりを乗せた状態80℃の乾燥機で乾燥させた(図6(d))。
次に、2枚のPET製不織布の端部同士を密着させた状態で、端部に熱を加えることで、これらを接着させた(図6(e))。
このようにして本発明のフィルタ10を得た。なお、図6(f)は本発明のフィルタの例を示す写真である。
このようにして得られた本発明のフィルタは、その内部の炭素材が流動し難く、炭素材の細粒(ダスト)がPET製不織布を通過して外部へ排出され難い。
また、このような本発明のフィルタについて通気性を測定したところ、良好な通気度を示した。
<実施例2>
ビーカー内に49.5gのIPA(イソプロピルアルコール)を用意し、ここへ3gの炭素粒子(東洋炭素社製、クノーベル(登録商標)、グレード:MH、平均粒子径:30μm)と、0.5gのパルプ(ダイセルファインケム社製、KY100G)とを加え、十分に撹拌した後、これを用いて炭素粒子担持シートを複数枚、抄造した。
得られた炭素粒子担持シートは、坪量130g/m2、厚さ1.8mmであった。
次に、ビーカー内に99gの(イオン交換水)を用意し、ここへ1gのパルプ(ダイセルファインケム社製、KY100G)を加え、十分に撹拌してパルプスラリーXを得た。
次に、得られたパルプスラリーXを複数枚の炭素粒子担持シートの各々の主面に塗布した後、積層することで積層体を得た。
ここでパルプスラリーXの塗布量は、炭素粒子担持シートの質量に対するパルプスラリーXに含まれるフィブリル化繊維の質量が10%となる塗布量とした。
次に、PET製不織布(宇部エクシモ社製、リモレイ、目付30g/m2)を2枚用意した。
次に、得られたパルプスラリーXを2枚のPET製不織布の各々の主面に塗布した。塗布量は、PET製不織布の質量に対するパルプスラリーXに含まれるフィブリル化繊維の質量が5%となる塗布量とした。
次に、塗布したパルプスラリーXが積層体に接するように、2枚のPET製不織布で積層体を挟み込んだ。そして、水平面上に置き、上部からおもりを乗せた状態で80℃の乾燥機で乾燥させて、本発明のフィルタYを得た。
このようにして得られた本発明のフィルタYの表面写真を図7(a)、断面写真を図7(b)に示す。なお、積層した炭素粒子担持シートの枚数が1枚(1層)の場合、2枚(2層)の場合、3枚(3層)の場合、各々について、表面写真および断面写真を示す。
このようにして得られた本発明のフィルタYは、その内部の炭素材が流動し難く、炭素材の細粒(ダスト)がPET製不織布を通過して外部へ排出され難い。
また、このような本発明のフィルタYについて通気性を測定したところ、良好な通気度を示した。
本発明のフィルタはクリーンルームの清浄装置用フィルタとして用いることができる。その他の用途として、空気清浄用のエアーフィルター、各種マスク、脱臭フィルター、等が挙げられる。
1 PET製不織布(繊維層)
3 パルプスラリー
5 造粒体
9 おもり
10 本発明のフィルタ
20 本発明のフィルタ
21 吸着層
211 吸着性粒子
213 第1繊維
23、25 繊維層
215 第2繊維
30 本発明のフィルタ
31 吸着層
33 造粒体
217 第1繊維
40 本発明のフィルタ
41 吸着層
411、413、415 シート
50 本発明のフィルタ
51 端部
60 フィルタエレメント
61 冶具
70 ガス

Claims (10)

  1. 吸着性粒子および前記吸着性粒子に絡まり前記吸着性粒子を固定する第1繊維を主として含む吸着層が、第2繊維を含む2枚の繊維層によって挟まれており、前記繊維層と前記吸着層とが前記第2繊維によって結合されているフィルタ。
  2. 前記吸着層において、
    前記第1繊維と前記吸着性粒子とが造粒体を形成しており、前記造粒体同士が前記第1繊維によって繋がっている、請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記吸着層において、
    前記第1繊維と前記吸着性粒子とからなる複数のシートが積層し、前記シート同士が前記第1繊維によって繋がり積層体を形成している、請求項1に記載のフィルタ。
  4. 2枚の前記繊維層の端部同士が溶着されている、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルタ。
  5. 前記吸着性粒子が炭素粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルタ。
  6. 前記第1繊維および前記第2繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つがフィブリル化繊維である、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルタ。
  7. 前記繊維層を構成する2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面の前記スラリーの上へ、前記第1繊維と前記吸着性粒子との混合物を塗布し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が前記混合物と接するように重ね、それらを密着させた状態を保ったまま乾燥させることで請求項1〜6のいずれかに記載のフィルタを得る、フィルタの製造方法。
  8. 前記繊維層を構成する2つの繊維層構成用繊維の主面に第2繊維を含むスラリーを塗布し、そのうちの1つの繊維層構成用繊維の主面の前記スラリーの上へ前記吸着層を配置し、さらにその上へ別の繊維層構成用繊維を、そのスラリーを塗布した面が前記混合物と接するように重ね、それらを密着させた状態を保ったまま乾燥させることで請求項1〜6のいずれかに記載のフィルタを得る、フィルタの製造方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の製造方法によって得られるフィルタ。
  10. 請求項1〜6のいずれか、または請求項9に記載のフィルタを内部に含み、内部を流れるガスが各フィルタを通過するように前記フィルタが冶具に固定され配置されている、フィルタエレメント。
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