JP3767722B2 - 吸着性シート及び空気浄化用フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にガス中の粉塵及び悪臭の吸着除去に用いる吸着性シート、並びに、該吸着性シートを構成要素とする空気浄化用フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、粒状活性炭は、安価且つ通気性が良好な上、エアロゾルや溶液中の溶質に対して強力な吸着能を示すため、気体や液体の浄化或いは脱臭等を目的に一般的に利用されている。
【0003】
この様な粒状活性炭を空気浄化用フィルターに適用する技術の1つとして、浄化したい空気をシート面に対して直交方向に通気させて用いるシート状吸着材がある。しかしながら、かかるシート状吸着材の中の粒状活性炭は、それ自体のみではろ過膜として成形することが容易ではなく、仮に何らかの担体を用いて濾過膜を形成することができたとしても担体から簡単に剥離して流失してしまうという問題を有していた。
【0004】
このような事情から、粒状活性炭を空気浄化用フィルターの素材として有効に利用し得る技術の開発が進められ、これまでに、不織布、ネット状基材、ポリウレタンフォームに活性炭を担持することにより粒状活性炭を有効に利用する方法などが開発されている。
【0005】
例えば、特開昭48―72088には、不織布に接着剤を付着させ、その後活性炭を散布して得られた吸着性シートが開示されている。しかし、かような吸着性シートは、活性炭を強固に固持しようとすれば接着剤を多量に不織布一面に覆うことが必要となり、その結果、通気抵抗が高くなり、また比較的粗い粉塵たとえば、花粉、砂塵、スパイク粉塵等に対して早期の目詰まりを起こしやすいという問題があった。
【0006】
また、特開平9―285531や特開平9―173752には、通気抵抗を低減するためにネット状基材にバインダーを塗布しその後活性炭を担持させた吸着性シートや、ポリウレタンフォームにバインダーを塗布しその後活性炭を担持させた吸着性シートが開示されている。しかし、どちらの場合もネット状であり開孔率が非常に大きいため、脱臭効率が低く、活性炭が脱落する可能性が大きい。また、さらに活性炭脱落のためにシートを積層しても、脱臭効率の低下は免れなかった。
【0007】
上記で説明した通り、粒状活性炭を不織布状のシートに固定した空気浄化用のフィルター素材であって、悪臭ガスに対する吸着性能や粉塵に対する除塵性能が優れているのは当然のこととして、折り曲げ加工時の活性炭の脱落性においても、粉塵に対する目詰まり・通気抵抗においても充分満足し得る吸着性シートや空気浄化用フィルターは得られていないのが現状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、優れた通気性(低圧力損失、長寿命)と加工性(粒状活性炭の保持性)が共に優れた吸着性シート及び空気浄化用フィルターを提供することにある。
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、粒状活性炭を含む吸着性シートの厚み方向に微小な通気し得る程度の大きさの孔を設けることにより、粒状活性炭の保持性を十分に担保しつつも、通気性に優れた吸着性シートが得られることを見出した。
【0010】
即ち、上記において、驚いたことに、孔の大きさを粉塵の大きさよりもかなり大きく設定した場合でさえ、粉塵の漏れは予測に反して極めて少ない量となり、これに対して、粉塵の保持量及び通気抵抗は大幅に改善され、同時に、吸着性シートの寿命も大きく延長されることを見出した。
【0011】
また、上記において、孔の開口面積を数mm程度の一定の大きさにすることにより、特に、粒状活性炭の保持性能を維持したままで、通気抵抗や粉塵保持量を改善し得ることを見出した。
【0012】
本発明者らは上記の知見を基に、更に重ねて検討した結果、本発明に到達したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
平均粒子径60〜600μmの粒状活性炭を支持部材に接着固定してなる粒状活性炭含有シートを含んでなる吸着性シートであって、該吸着性シートの厚み方向に実質的に通気孔を形成せしめてなる吸着性シートを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、
平均粒子径60〜600μmの粒状活性炭を支持部材に接着固定してなる粒状活性炭含有シートを含んでなる吸着性シートであって、該吸着性シートの厚み方向に、孔一個当たりの平均開孔面積が0.5mm2〜3mm2である孔を形成せしめてなる吸着性シートを提供するものである。
【0015】
本発明の吸着性シートの好ましい実施態様は、前記通気孔の開孔率が3%〜10%である。
【0016】
本発明の吸着性シートの好ましい実施態様は、前記粒状活性炭含有シートが、主に支持繊維と接着性繊維からなる繊維層と、繊維層を形成する支持繊維と接着性繊維の連続した部分により粒状活性炭が接着固定されてなる活性炭層とが一体的に形成されてなるものである。
【0017】
本発明の吸着性シートの好ましい実施態様は、前記活性炭含有シートに通気性シートを積層してなる。
【0018】
本発明の吸着性シートの好ましい実施態様は、前記通気性シートがエレクトレット不織布である。
【0019】
さらに、本発明は、上記の吸着性シートをプリーツ状又は波状に成型してなる空気浄化用フィルターを提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の吸着性シートは、平均粒子径60〜600μmの粒状活性炭を支持部材に接着固定してなる粒状活性炭含有シートを含むことが必要である。粒状活性炭含有シートを含むことにより、効果的に臭気成分の吸着・除去を行うためである。
【0021】
本発明の吸着性シートにおいて、粒状活性炭を支持部材に接着固定してなる粒状活性炭含有シートとしては、支持部材として不織布、ネット状基材、ポリウレタンフォームを用いて、かかる支持部材に接着剤により粒状活性炭を接着固定せしめた粒状活性炭含有シート等が好適に用いられる。
【0022】
本発明の吸着性シートは、該吸着性シートの厚み方向に実質的に通気し得る微細な孔を形成せしめてなることが必要である。かかる微細な孔を形成せしめることにより、通気抵抗を低下させると同時に、粉塵保持量を大きく向上させ、さらには、吸着シートの寿命を大幅に改善することができるからである。
なお、かかる微細な孔は、吸着性シートを貫通していても、貫通していなくてもよく、吸着性シートの厚み方向に設けられた孔であり、実質的に通気し得る孔であればよい。
【0023】
また、本発明の吸着性シートは、該吸着性シートの厚み方向に、孔1個当たりの平均開孔面積が0.5mm2〜3mm2の孔を形成せしめてなることが好ましく、孔1個当たりの平均開孔面積が1mm2〜2mm2の孔を形成せしめてなればより好ましい。かような孔を形成せしめることにより通気抵抗を低下させ、粉塵保持量を大きく向上させ、さらに吸着シートの寿命を大幅に改善することが可能となるからである。なお、平均開孔面積が0.5mm2未満の場合には通気抵抗低下や粉塵に対する目詰まり低減の効果が小さくなり、平均開孔面積が3mm2を越える場合には、粒状活性炭の固持が不十分となり、粒状活性炭の脱落が発生する恐れを生じる。
【0024】
なお、孔1個当たりの平均開孔面積の測定は、吸着性シートの任意の3点から1cm角の大きさでサンプリングしたサンプルについて、面積測定機能の付属した顕微鏡、例えばキーエンス社製高精細デジタルマイクロスコープVH−6300により各孔の面積を測定し、それらの値を平均して求める。
【0025】
本発明の吸着性シートに形成された孔の開孔率は、3%〜10%であることが好ましく、5%〜8%であればより好ましい。開孔率が3%未満の場合には通気抵抗低下や粉塵に対する目詰まり低減の効果が小さい。開孔率が10%を越える場合には、粒状活性炭の固持が不十分となり、粒状活性炭の脱落が発生する恐れがある。
【0026】
なお、上記の開孔率の測定は、吸着性シートの任意の3点から1cm角の大きさでサンプリングしたサンプルについて、面積測定機能の付属した顕微鏡、例えばキーエンス社製高精細デジタルマイクロスコープVH−6300により開孔面積の総和を求め、下記式により求める。
開孔率=開孔面積の総和/サンプル面積×100
【0027】
本発明の吸着性シートに形成された孔を開孔する方法は、特に限定されるものではなく、ニードルパンチ法、エアパンチ法、水流交絡法等を単独、又は組み合わせて用いる方法などが好適に用いられる。また、開孔部の形状も特に限定されるものではなく、円筒状、円錐状等が好適に用いられる。
【0028】
本発明の吸着性シートに用いられる粒状活性炭含有シートは、主に支持繊維及び接着性繊維からなる繊維層と、繊維層を形成する支持繊維と接着性繊維の連続した部分により粒状活性炭が接着固定されてなる活性炭層とが一体的に形成されてなることが好ましい。かような繊維層を有することにより、粒状活性炭に触れずに折り曲げ加工等が可能となり、また、かような活性炭層を有することにより、粒状活性炭は粒状活性炭含有シートに強固に一体的に固定され、折り曲げ加工時の粒状活性炭脱落が極めて生じ難くなるためである。
さらに、本発明の吸着性シートは、上記の構成とすることにより、溶融させた接着性繊維や接着剤の使用を最小限とし、粒状活性炭本来の脱臭性能を最大限に利用することを可能とすると同時に、シート全体の通気抵抗を低く維持することを可能としたものである。
【0029】
本発明の吸着性シートに用いられる粒状活性炭の平均粒子径は、60〜600μmであることが必要であり、100〜550μmであれば好ましく、200〜500μmであればより好ましい。平均粒子径が60μm未満の場合には、一定の高吸着容量を得るのに通気抵抗が大きくなりすぎ、また、同時にシート充填密度が高くなりやすく、粉塵供給時に早期の圧損上昇を引き起こす原因にもなる。平均粒子径が600μmを越える場合には、脱落が生じやすくなり、またワンパスでの初期吸着性能が極端に低くなり、更にはプリーツ形状及びハニカム状等の空気浄化用フィルターとしたときの折り曲げ、及び波状加工時の加工性が悪くなる。
なお、上記の粒状活性炭は、通常の分級機を使用して所定の粒度調整をすることにより、得ることが可能である。
また、上記の平均粒子径は、JIS標準ふるい(JISZ8801)により求めた値である。
【0030】
本発明の吸着性シートに用いられる粒状活性炭の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、ヤシガラ系、木質系、石炭系等が好適に用いられる。
また、上記の粒状活性炭は、形状的には破砕炭、造粒炭、ビーズ炭等が好適に用いられる。
【0031】
本発明の吸着性シートに用いられる粒状活性炭のJISK1474に準拠して測定したときのトルエン吸着量は、20重量%以上が好ましい。悪臭ガス等の無極性のガス状及び液状物質に対して高い吸着性能を必要とするためである。
【0032】
本発明の吸着性シートに用いられる粒状活性炭は、極性物質の吸着性能を向上することを目的として、薬品処理を施して用いてもよい。
ガス薬品処理に用いられる薬品としては、アルデヒド系ガスやNOx等の窒素化合物、SOx等の硫黄化合物、酢酸等の酸性の極性物質に対しては、例えばエタノールアミン、ポリエチレンイミン、アニリン、アニシジン等のアミン系薬剤や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸グアニジン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が好適に用いられ、アンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン等の塩基性の極性物質に対しては、例えば、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が好適に用いられる。
なお、薬品処理は、例えば、粒状活性炭に薬品を担持させたり、添着することにより行う。
また、活性炭に直接薬品を処理する以外に、シート面表面付近に通常のコーティング法等で添着加工する方法やシート全体に含浸添着することも可能である。
【0033】
本発明の吸着性シートに含まれる粒状活性炭含有シートは、粒状活性炭を30〜80重量%含有することが好ましい。30重量%未満の場合には、良好な吸着性能が得られず、80重量%を越える場合には、吸着性シートの強度が低下する。
【0034】
本発明の吸着性シートに含まれる粒状活性炭含有シートは、支持部材として支持繊維を5〜50重量%含有することが好ましい。5重量%未満では、抄紙性が悪くなり、50重量%を超える場合には、吸着効果が不良となる。
【0035】
上記の支持繊維の外表面積は、1m2/g以下であることが好ましい。1m2/gを越える場合には、通気性及び抄紙性が低下するためである。
なお、上記の支持繊維としては、フィブリル化した繊維、フィブリル化していない繊維の両者が用いられる。
【0036】
上記の支持繊維の繊維長は、3〜20mmであることが好ましい。3mm未満の場合には、通気性が悪くなり、20mmを超える場合には、抄紙性やシートの地合が悪くなり、通気抵抗、吸着性能のバラツキが大きくなる。
【0037】
上記の支持繊維の比重は、0.8〜1.7g/ccであることが好ましい。比重が0.8g/cc未満の場合には、抄紙スラリー生成時に、支持繊維と粒状活性炭とが分離して形成されるため、表面層に支持繊維の緻密な層が形成され、通気抵抗が高くなり、また、支持繊維による粒状活性炭の固持が不十分となり、粒状活性炭の脱落が大きくなる。比重が1.7g/ccをこえる場合には、粒状活性炭(比重約1.8)との比重差が小さいため、表面層が形成されず、本来の目的を達成できない。
また、上記の支持繊維としては、親水性のあるのものが好ましい。活性炭含有シートをより強固に形成するためである。
【0038】
上記の支持繊維の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオレフィン等の合成繊維の他、リンター、木綿、麻、木材パルプ、レーヨン、ガラス繊維等が用いられる。好ましくは、木材パルプ、レーヨン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドである。
なお、繊維形状は同心円形でも異形断面でもよい。また倦縮のかかった繊維も使用できる。
【0039】
本発明の吸着性シートに含まれる粒状活性炭含有シートの製造工程は、予め活性炭、支持繊維、接着性繊維を水中に分散させスラリー状とし、これを長網式、短網式、円網式等の方法によって水分を除去し湿潤ウェッブをつくり、その後プレスローラーで軽く絞り、あるいは吸引後、回転乾燥ドラムにて接触乾燥する方法で吸着性シートの連続物を製造できる。また、スラリー中に高分子系、無機系の分散剤や凝集剤を適量添加して歩留まりを向上させることもできる。また、通気性のある穴のあいた金型や樹脂型に上記スラリーを流し込み、その後吸引、乾燥する方法でも本発明の吸着性シートを製造できる。また、支持繊維、接着性繊維を含む不織布ウェッブを予め作製しておき、この中に活性炭を分散させその後、熱風を吹き付ける方法でシート化する方法でも製造可能であるが、活性炭の均一分散性を考慮すると前述の水中に分散する工程を介して製造するのがより好ましい。
【0040】
本発明の吸着性シートに含まれる粒状活性炭含有シートは、接着剤として、接着性繊維を有することが好ましい。
【0041】
上記の接着性繊維は、水膨潤性繊維や熱溶融性繊維等、混抄時の接着成分(バインダー)となるものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン−ポリエチレン、ポリエステル複合繊維、ポリアミド複合繊維等が好適に用いられる。
また、これらの繊維はシースコア構造でも、サイドバイサイド構造、あるいは倦縮のある繊維でもよい。
【0042】
上記の接着性繊維の比重は、0.8〜1.7g/ccであることが好ましい。抄紙スラリー生成後に、支持繊維の近傍に存在し、粒状活性炭含有シートの表面層及び裏面層の形態保持性を良好なものとするためである。
【0043】
上記の接着性繊維の繊維長は、1〜20mmであることが好ましい。1mm未満の場合には、通気性が悪くなり、20mmを超える場合には、抄紙性やシートの地合が悪くなり、通気抵抗、吸着性能のバラツキが大きくなる。
【0044】
上記の接着性繊維の混抄割合は、1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部であればより好ましい。1重量部未満の場合には、接着成分としての機能を発揮することができず、30重量部を超える場合には、吸着性が相対的に低下し、通気抵抗も上昇する。
【0045】
本発明の吸着性シートは、抗菌剤、抗かび剤、抗ウイルス剤、難燃剤等の付随的機能を有する成分等を含めて構成してもよい。これらの成分は繊維類中に練り込んでも、後加工で添着、及び担持して付与してもよい。
例えば、難燃剤を含めて構成することにより、FMVSS.302で規定されている遅燃性の基準やUL難燃規格に合致した吸着性シートを製造することが可能である。
【0046】
上記の付随的機能を有する成分は、粒状活性炭へ添着又は担持してもよい。但し、この際には、粒状活性炭本来の吸着機能を損なわないよう留意する必要がある。
また、繊維類に吸着性能を有する繊維、例えば、イオン交換繊維等を用いることにより、脱臭機能を強化することも可能である。
【0047】
本発明の吸着性シートの厚みは、0.5〜2.7mmが好ましい。通気性や加工性を良好にするためである。
【0048】
本発明の吸着性シートの坪量は、70g/m2以上が好ましく、220g/m2以上であればさらなる高吸着能化が実現でき、より官能的に除去効果が感じられるものとなるため好適である。
【0049】
本発明の吸着性シートに含まれる粒状活性炭含有シートの充填密度は、0.15〜0.3g/ccであれば好ましく、0.17〜0.25g/ccであればより好ましい。0.15g/cc未満の場合には、粉塵除去効率が低くなり、0.3g/ccを超える場合には、目詰まりにより早期の通気抵抗上昇を引き起こし、フィルターとしては好ましくない。 このようなシート密度に調整するには、支持繊維中に繊維径15μm以上のものを適量混抄することにより、繊維と活性炭間に空隙を持たせることが容易となるためより好ましい。
【0050】
本発明の吸着性シートの使用法は支持繊維、接着性繊維からなる表面層側を下流に配置するのがよい。なぜなら、所定の風圧を与えた場合に粒状活性炭の脱落を抑えることができるためである。また、シート厚み方向の充填密度を考えた場合、粗から密の状態を実現できているため、粉塵を上流側から負荷した場合にシート厚み方向に比較的まんべんなく粉塵が保持できるため早期の目詰まりによる圧損上昇がおこりにくくなる。
【0051】
本発明の吸着性シートの粒状活性炭が多く含まれる裏面層に通気性シートを積層することもできる。ここでいう通気性シートの種類は不織布状、織物状、ニット状等形態は特に問わない。材質は木材パルプ、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリクラール等を単独、及び混合物の使用ができるがこの限りではない。
【0052】
前記通気性シートとして、特に、永久帯電されたいわゆるエレクトレット化されたシートを積層すれば、タバコ煙粒子、カーボン粒子、海塩粒子をはじめとするサブミクロン粒子に対する除去効果も増大することができる。かかるエレクトレット化されたシートを得る方法としては、エレクトレット化が可能な原料からなる繊維を不織布に成形してコロナ荷電処理を施したり、エレクトレット化されたフィルムを割繊繊維化して不織布に成形するフィルムスプリット法等公知の方法を使用する事が出来るが、特に荷電効率が高く、嵩高い状態でのシート化が可能で通気抵抗を低く抑える事が可能であるフィルムスプリット法を用いる事が好ましい。
【0053】
積層方法は単純に暈ね合わせるだけでもよく、また少量の接着剤の塗布、あるいは熱融着性を利用した接着法、たとえば、接着繊維を被接着体に吹きかける方法、接着性シートをシート間に挿入し接着する方法や、超音波により融着させ接着する方法等もあるが、強固に接着出来る一方で、通気抵抗が上昇する可能性がある。通気抵抗の上昇を防止するためにもバインダーを使用しない、ニードルパンチや水流交絡法の様な方法で交絡する方法がより好ましい。いずれにしても、上流側に配置することになるので、風圧により通気性シートが簡単にはがれることがない。このためあまり強固な接着は不要である。
【0054】
本発明の吸着性シート、及び吸着性シートと補強シートを積層したシートはプリーツ状や波状に成型することによりフィルターユニット化が可能となる。この際のフィルター厚みはカーエアコン内部装着をはじめとする車載用途や家庭用空気清浄機であれば、通常の内部スペースの関係から、10〜60mm程度、ビル空調用途へよく設置される大型のフィルタユニットであれば40〜400mm程度が収納スペースから考えると適している。ひだ山頂点間隔は2〜30mm程度が適している。2mm以下ではひだ山間が密着しすぎでデッドスペースが多く、効率的にシートを活用できなくなる。一方、30mm以上ではシート展開面積が小さくなるためフィルター厚みに応じた除去効果を得ることができなくなる。
【0055】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0056】
尚、実施例中の数値は以下のような方法で測定した値である。
▲1▼JIS15種※)粉塵保持量
(線速30cm/s、供給濃度0.5g/m3の条件下で測定)
粉塵に対する目詰まり度の代用特性。初期圧損から150Pa上昇したときを寿命と判 断し、該時点において濾材に堆積した粉塵量を天秤で秤量した値である。
※)以下の混合粉体である。
JIS8種(平均約8μm、関東ローム) 72%
カーボンブラック(平均約0.1μm) 23%
コットンリンタ(平均約1.5μm) 5%
【0057】
▲2▼通気抵抗は線速30cm/sの条件下での値で、差圧計を用いて測定した値である。
【0058】
▲3▼シート充填密度
シート充填密度(g/cc)=シート目付/シート厚み
[シート厚みは180gf/cm2の荷重下での値]
【0059】
(実施例1)
活性炭を70重量部、8デニール×繊維長8mmのレーヨン繊維を18重量部、水熱溶融性繊維である1デニール×繊維長3mmのポリビニルアルコール12部とをパルパーで水中に分散し湿式抄紙用原液を調整した。これを長網式抄紙法にて抄紙して湿潤ウェッブをつくり、その後プレスローラーで軽く絞り140℃で回転乾燥ドラムにて乾燥し、目付300g/m2、シート充填密度0.21g/ccの低充填密度吸着シートを得た。このシートは抄紙スクリーン上で粒状活性炭とレーヨン(比重約1.5)、ポリビニルアルコール(比重約1.3)の比重差により、沈降速度の差異が生じ、その結果活性炭含有層(裏面層)と支持繊維及び接着性繊維からなる表面層を形成できた。
【0060】
この吸着性シートに、ニードルパンチ装置を用いて平均開孔面積1.2mm2、開孔率5%の孔を開け、得られたシートの通気抵抗を測定したところ59Paと低く、トルエン吸着量はシート重量の33%もあり非常に高吸着能を有するシートになった。またフィルターとして使用中に粒状活性炭の脱落もなく、取り扱い性に非常に優れたものであった。また、特筆すべき点は、JIS15種の粉塵負荷した場合に終圧に達するまでの圧損上昇がゆるやかで目詰まりしにくく、最終的に27g/m2もの粉塵を保持できた事である。すなわち脱臭機能だけでなく、除塵機能も優れたシートである。また、このシートをレシプロ式ひだおり機にてフィルター厚み30mm、ひだ山頂点間隔7mmのプリーツ状に加工しフィルターユニットにしたところ、ひだ山折り目で割れの発生もなく、またこのフィルターは十分堅固であり、折り山側から4m/sの面風速を与えても山崩れせず加工性にも問題が無いことがわかった。
【0061】
(比較例1)
ニードルパンチ装置により孔を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、吸着性シートを作成した。この吸着性シートについて、通気抵抗を測定したところ82Paと実施例1の場合より通気抵抗が大きかった。また、JIS15種の粉塵負荷した場合に終圧に達するまでの圧損上昇が実施例1と比較し速く目詰まりしやすい。最終的に20g/m2しか粉塵を保持できなかった。
【0062】
(実施例2)
実施例1で得られた吸着性シートと、通気性シートとしてスプリットファイバー型エレクトレット不織布とを重ね、ニードルパンチ加工を行ったところ強度的に問題無く積層された。それと同時に平均開孔面積1.2mm2、開孔率8%の孔が開孔した。このシートの裏面層を上流に配置し通気抵抗を測定したところ73Paと低かった。またフィルターとして使用中に粒状活性炭の脱落もなく、取り扱い性に非常に優れたものであった。更に、特筆すべきはJIS15種の粉塵負荷した場合に終圧に達するまでの圧損上昇が非常にゆるやかで目詰まりしにくく、最終的に45g/m2もの粉塵を保持できた。すなわち脱臭機能だけでなく、除塵機能も優れたシートである。また、このシートをレシプロ式ひだおり機にてフィルター厚み40mm、ひだ山頂点間隔9mmのプリーツ状に加工しフィルターユニットにしたところ、ひだ山折り目で割れの発生もなく、またこのフィルターは堅固であり、折り山側から4m/sの面風速を与えても山崩れせず非常に加工性にすぐれ、かつ取り扱い性に優れたものであることがわかった。
【0063】
(比較例2)
比較例1で得られた吸着性シートにホットメルト樹脂を噴霧し、通気性シートとしてスプリットファイバー型エレクトレット不織布を重ね接着したところ強度的に問題無く積層された。このシートの裏面層を上流に配置し通気抵抗を測定したところ112Paであり、JIS15種の粉塵負荷した場合に終圧に達するまでの粉塵保持量が30g/m2となり、実施例2と比較すると通気抵抗が高く、目詰まりし易くなった。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の吸着性シート及び空気浄化用フィルターは、通気性及び粒状活性炭の保持性が良好で、悪臭ガスに対する吸着性能に優れ、粉塵に対する目詰まりを生じ難く、更には、折り曲げ加工性も良好である。
特に本発明はカーエアコン等の高風速領域での使用条件において優れた性能を発現することが可能であり、本発明の産業上の利用性は大である。
Claims (7)
- 平均粒子径60〜600μmの粒状活性炭を支持部材に接着固定してなる粒状活性炭含有シートを含んでなる吸着性シートであって、該吸着性シートの厚み方向に実質的に通気し得る、微細な孔をニードルパンチ法、エアパンチ法、水流交絡法何れか単独、又は組み合わせにより形成せしめてなることを特徴とする吸着性シート。
- 前記微細な孔の平均開孔面積が0.5mm2〜3mm2であることを特徴とする請求項1記載の吸着性シート。
- 前記孔の開孔率が3%〜10%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸着性シート。
- 前記粒状活性炭含有シートが、主に支持繊維と接着性繊維からなる繊維層と、繊維層を形成する支持繊維と接着性繊維の連続した部分により粒状活性炭が接着固定されてなる活性炭層とが一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の吸着性シート。
- 前記活性炭含有シートに通気性シートを積層してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の吸着性シート。
- 前記通気性シートがエレクトレット不織布であることを特徴とする請求項5に記載の吸着性シート。
- 請求項1乃至6いずれかに記載の吸着性シートをプリーツ状又は波状に成型してなることを特徴とする空気浄化用フィルター。
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