JP2679714B2 - 吸着性シートおよび空気浄化用フィルター - Google Patents

吸着性シートおよび空気浄化用フィルター

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博 清水
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、吸着素子としての吸着用シート、および該
吸着シートを構成要素とする空気浄化用フィルターに関
するものである。
[従来の技術] 活性炭はエーロゾルや溶液中の溶質に対して強力な吸
着能を示すため、気体や液体の浄化域は脱臭等に利用さ
れる。活性炭を空気浄化用フィルターに適用する技術の
1つとして、シート状に成形した活性炭に、浄化したい
空気をシート面に対して直交方向に通気させる方法があ
る。しかしながら活性炭のうち吸着能力の高い微粒子状
活性炭は、それ自体では濾過膜として成形することが容
易でなく、仮に何らかの担体を用いて濾過膜を形成する
ことができたとしても担体から簡単に剥離して流失して
しまうという問題がある。こうしたことから上記微粒子
状活性炭を空気浄化用フィルターの素材として有効に利
用できる技術の開発が望まれている。
[発明が解決しようとする課題] 微粒子状活性炭を空気浄化用フィルターの素材として
有効に利用する技術の一環として、例えば微粒子状活性
炭を接着剤やフィブリル化繊維で固定する技術も提案さ
れている(特開昭55−70342号,特公昭56−49608号
等)。しかしながらこれらの技術では通気抵抗が高くな
り、空気浄化用フィルターの素材としては適用し難いと
いう問題がある。また微粒子状活性炭を多孔質なフォー
ム材に添着させたシートや、微細繊維よりなるウェッブ
に分散,固着させたシート等も提案されている(例えば
特公昭52−4934号)。しかしながらこの様な技術におい
ても、吸着容量,活性炭の脱離し易さ等の点で依然とし
て満足し得るものではなかった。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであっ
て、その目的とするところは、通気性が良好で、悪臭ガ
スに対する吸着性能にも優れ、且つ一般的特性として要
求される折り曲げ加工等の加工性においても良好な空気
浄化用フィルター、およびこの様な空気浄化用フィルタ
ーの吸着素材として最適な吸着性シートを提案する点に
ある。
[課題を解決する為の手段] 本発明に係る吸着性シートとは、 平均粒子径が60〜150μmの微粒子状活性炭:10〜80重
量部 外表面積が1m2/g以下、繊維長が3〜20mmである支持
繊維:5〜50重量部 水膨潤性繊維または熱溶融性繊維:1〜30重量部 を含む点に要旨を有するものである。
またこの吸着性シートと通気性補強シートを積層する
ことによって最適な空気浄化用フィルターが得られる。
[作用] 本発明は上記の如く構成されるが、要は所定の平均
粒子径の微粒子状活性炭、外表面積が所定値以下で繊
維長が所定の支持繊維、水膨潤性繊維または熱溶融性
繊維を、特定の割合で混抄して形成される吸着性シート
について検討したところ、吸着性能に優れ通気性も良好
であることを見出し、更にこの吸着性シートに通気性補
強シートを積層したものは、上記吸着性シートの特性を
損なうことなく加工性の点でも良好な空気浄化用フィル
ターとなり得ることを見出し、本発明を完成したもので
ある。
微粒子状活性炭は、通気性,活性炭の脱落,抄紙性等
を考慮して、平均粒子径がJIS標準ふるい(JIS Z880
1)による値で60〜150μmであることが必要であり、よ
り好ましくは100〜150μm程度である。即ち平均粒子径
が60μm未満であると通気抵抗が大きくなりすぎ、150
μmを超えると脱落が生じやすくなるばかりか空気浄化
用フィルターとしたときの折り曲げ加工性に劣る。また
微粒子状活性炭と他の繊維(上記および)の混抄率
は、微粒子状活性炭が多いほど吸着性は増大するが、一
方で吸着性シートの強度が低下する傾向を示すので好適
な範囲を選定する必要がある。こうした観点からして微
粒子状活性炭の混抄率は80重量部以下にする必要があ
る。これに対し10重量部未満になると良好な吸着性が得
られない。尚微粒子状活性炭の吸着性能は、悪臭ガスに
対する吸着性を判断する基準として、JIS K1474に準拠
して測定したときのトルエン吸着量が挙げられ、この吸
着量が20重量%以上のものであるのが好ましい。
支持繊維としては、ポリエステル,ポリアクリロニト
リル,ポリアミド,ポリオレフィン等の合成繊維の他、
リンター,木綿,麻,木材パイプ,レーヨン,ガラス繊
維,セラミック繊維,炭素繊維,活性炭素繊維等が使用
でき、好ましくは木材パルプ,レーヨンである。支持繊
維はフィブリル化したものであり、通気性,抄紙性を考
慮すればその外表面積は1m2/g以下であることが必要で
ある。また支持繊維の混抄割合は5〜50重量部とする必
要があり、5重量部未満では抄紙性が悪くなり、50重量
部を超えると吸着効果が不良となる。尚この支持繊維は
繊維長が3〜20mmの短繊維であることが必要であり、3m
m未満では通気性が悪くなり、20mmを超えると抄紙性が
悪くなる。
水膨潤性繊維や熱溶融性繊維は混抄時の接着成分(バ
インダー)となるものであり、水膨潤性繊維としてはポ
リビニルアルコール繊維、熱溶融性繊維としてはポリエ
チレン繊維やポリプロピレン−ポリエチレン複合繊維等
が挙げられる。これらの繊維は、繊維長が20mm以下であ
ることが好ましい。この繊維の混抄割合は、1〜30重量
部とする必要がある。即ち1重量部未満では接着成分と
しての機能を発揮することができ、30重量部を超えると
接着性が相対的に低下する。尚この繊維の好ましい割合
は5〜20重量部程度である。
上記各要素を混抄することによって吸着性シートが形
成されるが、その他脱臭,防かび等の付随的機能を有す
る成分等を含んでいてもよい。尚この吸着性シートの厚
みは、通気性や加工性を考慮すれば、0.5〜1.2mm程度の
ものが好ましい。また坪量は吸着性の点から100g/m2
上が好ましい。
上記吸着性シートと通気性補強シートを積層すること
によって最適な空気浄化用フィルターが実現できる。通
気性補強シートとしては木材パルプ,レーヨン,アセテ
ート,ポリエステル,ポリアクリロニトリル,ポリアミ
ド,ポリオレフィン等を素材とした紙や不織布、布等が
使用できるが、前記吸着性シートとの接着性の面から紙
や不織布等の不織シートの形態であることが好ましい。
この通気性補強シートは通気抵抗の増大の原因になって
はならないので、薄く且つ粗な構造であることが必要で
あり、また適度に強靭であることが必要である。こうし
たことから、該補強シートを形成する際における繊維成
分とバインダーの配合は重量割合で60/40〜80/20程度が
好ましい。また該シートの厚みは0.15〜0.3mm、坪量は2
0〜40g/m2程度が好ましい。
尚吸着性シートと通気性シートを積層する際には、吸
着性シートが湿潤状態であることが必要であるが、この
ときの含水率は100重量%以上であることが好ましい。
また両シートは積層後、乾燥前に充分にプレスすること
が好ましい。
第1図は、本発明に係る空気浄化用フィルターを長網
式抄紙法によって製造する際の装置構成例を示す概略説
明図であり、1は網状無端ベルト、2は微粒子状活性炭
支持繊維および接着成分を懸垂させた液を入れる容器、
3,4はプレスロール、5はシート運搬用無端ベルト、6
は回転式乾燥ドラム、7は巻取ロール、8は吸着性シー
ト、9は通気性補強シート、10は空気浄化用フィルター
を夫々示す。
容器2からカスケード式に網状無端ベルト1上に落下
された懸垂液は、網状無端ベルト1上で濾過されて該ベ
ルト1上に吸着性シート8を形成する。この吸着性シー
ト8は網状無端ベルト1上に載って移動され、プレスロ
ース3でプレスされた後シート運搬用無端ベルト5に載
って湿潤状態のままで移動される。一方別途形成された
通気性補強シートは乾燥状態で回転乾燥ドラム6に導か
れ、該回転乾燥ドラム6上で前記吸着性シート8と積層
されて空気浄化用フィルター10となる。このフィルター
10は、プレスロール4でプレスされた後積層されたまま
乾燥され、巻取ロール7に巻き取られる。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前
・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発
明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例] 各種の微粒子状活性炭、支持繊維および接着成分を、
下記第1表の比率となる様に混抄した後、TAPPI式抄紙
機で坪量150g/m2の各種吸着性シートを作成した。これ
らの吸着性シートを湿潤状態で、ポリプロピレンからな
る通気性補強シート(坪量30g/m2、厚み0.2mm)と積層
後120〜130℃に加熱して乾燥し、空気浄化用フィルター
を作成した。
得られた各空気浄化用フィルターについて、トルエン
吸着性、圧損、引張強度、活性炭脱落性、抄紙性等の各
特性を調査した。この結果を第1表に併記する。
第1表から明らかである様に、本発明で規定する要件
を満足する実施例は、空気浄化用フィルターとして最適
な特性を備えている。尚実施例のものは加工性の点につ
いてもいずれも良好であった。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、通気性が良好で、悪
臭ガスに対する吸着性能にも優れ、且つ折り曲げ加工性
においても良好な空気浄化用フィルターおよびこの様な
空気浄化用フィルターの吸着素材として最適な吸着性シ
ートが実現できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る空気浄化用フィルターを長網式抄
紙法によって製造する際の装置構成例を示す概略説明図
である。 1……網状無端ベルト、2……容器 3,4……プレスロール 5……シート運搬用無端ベルト 6……回転式乾燥ドラム 7……巻取ロール、8……吸着性シート 9……通気性補強シート 10……空気浄化用フィルター

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が60〜150μmの微粒子状活
    性炭:10〜80重量部 外表面積が1m2/g以下、繊維長が3〜20mmである支持
    繊維:5〜50重量部 水膨潤性繊維または熱溶融性繊維:1〜30重量部 を含むことを特徴とする吸着性シート。
  2. 【請求項2】浄化すべき空気をシート面に対して直交方
    向に通過させるものである請求項1に記載の吸着性シー
    ト。
  3. 【請求項3】厚みが0.5〜1.2mmである請求項(1)また
    は(2)に記載の吸着性シート。
  4. 【請求項4】請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の
    吸着性シートと通気性補強シートを積層して構成される
    ことを特徴とする空気浄化用フィルター。
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