JP2012164906A - 貼り合わせ基板、貼り合わせ基板の製造方法、半導体デバイス、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

貼り合わせ基板、貼り合わせ基板の製造方法、半導体デバイス、及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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【課題】 本発明は、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を提供し、また、簡便でかつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができる方法により、前記優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を製造することができる貼り合わせ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 ベース基板上に絶縁膜と、該絶縁膜上に薄膜層とを有する貼り合わせ基板であって、少なくとも、前記ベース基板は抵抗率が100Ω・cm以上であり、前記ベース基板と前記絶縁膜との間に多孔質層を有するものであることを特徴とする貼り合わせ基板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、貼り合わせ基板、貼り合わせ基板の製造方法、及びこれを用いた半導体デバイス、半導体デバイスの製造方法に関する。
携帯端末やワイヤレス通信の急速な普及により、通信インターフェースを主目的としたRF(Radio Frequency;高周波)デバイスが注目されており、今後も発展すると考えられている。近年の携帯端末やPCでは低消費電力デバイスの採用が進んでおり、このような場合、SOI(Silicon on Insulator)ウェーハを使用すると、リーク電流の低減による消費電力の低下のメリットがある。更に、System on a Chip(SoC)などによって、SOIウェーハにRFデバイスを組み込むことにより、デバイス間のクロストークを減少させるというRF特性上のメリットもある。
ここで、クロストークとは、デバイス間の望まれざる電気信号の伝播のことであり、例えばデバイスの配線間のキャパシタや、あるいはウェーハを通して、電気信号がやりとりされることである。ウェーハの抵抗率が高くなればなるほどクロストークは少なくなるが、実際にはデバイス形成部のウェーハ抵抗率を極端に高くすることは出来ない。
SOIウェーハを使用することでクロストークを低減することが出来るのは、SOI層とベースウェーハの間に埋め込み酸化膜層(BOX層)が存在するため、ウェーハを通して、電気信号がやりとりされることを抑制できるからである。また、BOX層の下地となるベースウェーハにはデバイスが作製されないために、デバイス作製上の制限を受けずに高抵抗率ウェーハを使用することが可能であり、これによって一層RF特性を向上させることが可能である。
このように、RFデバイス向けにSOIウェーハを使用する際、高抵抗率ウェーハをベースウェーハに使用すると一層RF特性が向上する。しかし、高抵抗率のベースウェーハを用いた場合、SOI層に作製されたソース・ドレインやその他電子回路の配置によっては、BOX層に電界が印加され、BOX層とベースウェーハとの界面に反転層が生じるケースがあり、このような場合、高抵抗率ウェーハを使用した効果が減少し、RF特性にも悪影響を及ぼし、所望のRF特性が得られなくなるという問題があった。
その対策として、BOX層とベースウェーハとの間の界面準位密度(Dit)を高くして、キャリアを界面準位にトラップさせて反転層によるRF特性劣化を防止する技術が開示されている。このような技術として、例えば、BOX層とベースウェーハの界面にポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層を導入して、反転層が形成されないようにして、良好なRF特性のSOIウェーハを得ることができる技術が知られている(特許文献1及び2)。
また、SOI層を形成するシリコンウェーハとは異なる面方位をもつシリコンウェーハをベースウェーハとして使用しRF特性劣化を防止する方法なども紹介されている(特許文献3)。
特表2007−507093号公報 特表2007−507100号公報 特開2009−231376号公報
しかしながら、従来技術のようにポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層を導入するのでは、SOIウェーハの製造工程が複雑になるだけでなく、ボイドやブリスターなどの貼り合わせ面の欠陥が発生しやすくなるといったデメリットがあることが発見された。また、従来技術のように面方位の異なる基板を準備するには単結晶から準備が必要であり、SOIウェーハの製造工程が非常に複雑になる。さらに、これら従来技術ではキャリアをトラップする界面準位密度は不十分であった。そのため、製造工程が簡便で、製造工程における貼り合わせ面の欠陥の発生が抑制される上、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板の製造方法が望まれていた。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を提供し、また、簡便でかつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができる方法により、前記優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を製造することができる貼り合わせ基板の製造方法を提供する。またこの貼り合わせ基板を用いることで、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスを提供し、前記貼り合わせ基板を用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、ベース基板上に絶縁膜と、該絶縁膜上に薄膜層とを有する貼り合わせ基板であって、少なくとも、前記ベース基板は抵抗率が100Ω・cm以上であり、前記ベース基板と前記絶縁膜との間に多孔質層を有するものであることを特徴とする貼り合わせ基板を提供する。
このように、本発明の貼り合わせ基板は、ベース基板として、抵抗率が100Ω・cm以上と高抵抗率で、かつベース基板と絶縁膜との間に多孔質層を有することを特徴とする。ベース基板の抵抗率が100Ω・cm以上と高抵抗率であればクロストークを抑制してRF特性に優れたものとなる。また、キャリアをトラップさせるための絶縁膜とベース基板との間の界面準位密度は、ベース基板表面の未結合手の密度に依存している。そのため、絶縁膜とベース基板との間を多孔質層として表面積を大きくすることで、界面準位密度が高くRF特性に優れたものとなる。これにより、前記多孔質層を有する貼り合わせ基板は、クロストークを防ぐことができ、キャリアをトラップしやすく、反転層が形成されることによって発生するRF特性の劣化を抑制できる、つまりRF特性の良好な貼り合わせ基板となる。
また、前記多孔質層の厚さが5nm以上100nm以下であることが好ましい。
前記多孔質層の厚さが5nm以上であれば、十分な表面積を得ることができるため、十分高い界面準位密度を有する貼り合わせ基板となり、100nm以下であれば、多孔質層でベース基板が剥がれるなどのトラブルが抑制された貼り合わせ基板となるため好ましい。
さらに、前記ベース基板がシリコン基板であること、及び/又は前記薄膜層がシリコンからなるものであることが好ましい。
このようなベース基板であれば、クロストークを抑制してRF特性を一層向上させることができ、またこのような薄膜層をSOI層とすれば、結晶性が良好な貼り合わせ基板となり、RFデバイス等を作製するのに好適な貼り合わせ基板となるため好ましい。さらに、構造自体も複雑なものではなく、通常のSOI基板と同じものとなっているため、低コストで歩留り良く製造できるものとなるため好ましい。
また、前記貼り合わせ基板の薄膜層に、少なくともRFデバイスが形成されたものであることを特徴とする半導体デバイスを提供する。
このように前記貼り合わせ基板を用いることで、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスとなる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明では、絶縁膜を介してベース基板とボンド基板を貼り合わせて貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
前記ベース基板の貼り合わせ面側に多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
該多孔質層の表面及び前記ボンド基板の貼り合わせ面の少なくとも一方に前記絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
該絶縁膜を介して前記ベース基板と前記ボンド基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
貼り合わせられた前記ボンド基板を薄膜化して薄膜層を形成する薄膜化工程とを有することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法を提供する。
このように、ベース基板の貼り合わせ面側に多孔質層を形成する多孔質層形成工程を有する貼り合わせ基板の製造方法であれば、簡便であり、かつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができるとともに、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間にキャリアをトラップする界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を製造することができる。
また、前記多孔質層形成工程において、前記ベース基板を陽極酸化することで前記ベース基板の貼り合わせ面側に前記多孔質層を形成することが好ましい。
このような陽極酸化法によれば前記多孔質層を一層容易に形成でき、かつ前記多孔質層の厚さ、多孔度、孔径を基板の用途に応じて容易に制御できるため好ましい。
さらに、前記ベース基板及び/又は前記ボンド基板として、シリコン基板を用いることが好ましい。
このように、前記ベース基板にシリコン基板を用いることで、前記多孔質層をより簡単に形成することができ、またクロストーク等を防ぐことができる高抵抗率なベース基板とすることができる。一方で、前記ボンド基板にシリコン基板を用いることで、前記絶縁膜として酸化膜をより簡単に形成でき、また薄膜層としたときには結晶性が良好で、RFデバイス等を作製するのに好適な薄膜層とすることができるため好ましい。さらに、前記ベース基板及び前記ボンド基板の両方とも、シリコン基板を用いることで、製造される貼り合わせ基板は結晶性が一層良好となり、また、構造自体も複雑なものではなく、従来の工程を適用でき、低コストで歩留り良く製造することができるため好ましい。
また、前記絶縁膜形成工程において、前記多孔質層の表面に前記絶縁膜を形成する場合に、前記多孔質層の一部が残るように前記絶縁膜を形成することが好ましい。
このように絶縁膜を形成することにより、一部の多孔質層を残して貼り合わせ基板を製造することができる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明では、前記貼り合わせ基板の製造方法の前記薄膜化工程の後、前記薄膜層上にRFデバイスを形成するRFデバイス形成工程を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法を提供する。
このような半導体デバイスの製造方法であれば、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスを製造する方法となる。
以上説明したように本発明によれば、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を提供し、また、簡便でかつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができる方法により、前記優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を製造することができる貼り合わせ基板の製造方法を提供する。また該貼り合わせ基板を用いることで、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスを提供し、前記貼り合わせ基板を用いた半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
本発明の貼り合わせ基板の断面図である。 本発明の貼り合わせ基板の製造工程、及び該貼り合わせ基板上にRFデバイスを形成する工程の第一の態様を示すフロー図である。 本発明の貼り合わせ基板の製造工程、及び該貼り合わせ基板上にRFデバイスを形成する工程の第二の態様を示すフロー図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、製造工程が簡便で、製造工程における貼り合わせ面の欠陥が抑制される上、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板の開発が望まれていた。
本発明者らは、従来のポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層を導入しない簡単な構造で、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板について鋭意研究を重ね、ベース基板の抵抗率が100Ω・cm以上と高抵抗率であればクロストークを抑制してRF特性に優れたものとなることを見出し、また、キャリアをトラップさせるための絶縁膜とベース基板との間の界面準位密度は、ベース基板表面の未結合手の密度に依存していることを見出し、絶縁膜とベース基板との間を多孔質層として表面積を大きくすることで、界面準位密度が高くRF特性に優れたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明者らは、簡便でかつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができる製造工程で、RF特性に優れた貼り合わせ基板を製造する方法について検討し、ベース基板の貼り合わせ面側に多孔質層を形成する多孔質層形成工程を有する貼り合わせ基板の製造方法であれば、簡便でかつ貼り合わせ面の欠陥を抑制することができる方法により、クロストークを防ぐことができ、絶縁膜とベース基板の間にキャリアをトラップする界面準位密度(Dit)が高く、優れたRF特性を有する貼り合わせ基板を製造することができることを見出し、本発明を完成させた。以下、詳細に説明していく。
[貼り合わせ基板]
すなわち、本発明では、ベース基板上に絶縁膜と、該絶縁膜上に薄膜層とを有する貼り合わせ基板であって、少なくとも、前記ベース基板は抵抗率が100Ω・cm以上であり、前記ベース基板と前記絶縁膜との間に多孔質層を有するものであることを特徴とする貼り合わせ基板を提供する。
本発明の貼り合わせ基板の断面図を図1に示す。本発明の貼り合わせ基板10は、ベース基板1上に絶縁膜3と、該絶縁膜3上に薄膜層5とを有し、特に前記ベース基板1は抵抗率が100Ω・cm以上であり、前記ベース基板1と前記絶縁膜3との間に多孔質層2を有するものであることを特徴とする。本発明の貼り合わせ基板は、特に制限されないが、薄膜層がシリコンであるSOI基板(Silicon On Insulator)とすることができる。以下、本発明の貼り合わせ基板の各構成要素について詳述する。
[ベース基板]
本発明の貼り合わせ基板におけるベース基板は抵抗率が100Ω・cm以上である。ベース基板を高抵抗率とすることによって薄膜層に形成されるRFデバイスのクロストークを抑制することができる。前記ベース基板としては、特に制限されないが、シリコン基板、特にシリコン単結晶基板であることが好ましい。ベース基板がシリコン基板、特にシリコン単結晶基板であれば、クロストークを抑制してRF特性を一層向上させることができ、結晶性が一層良好となり、また、構造自体も複雑なものではなく、低コストで歩留り良く製造することができる。さらに、ベース基板がシリコン基板、特にシリコン単結晶基板であれば、下記に説明するように、前記多孔質層としてポーラスシリコンを容易に形成できるため好ましい。
[絶縁膜]
本発明の貼り合わせ基板は前記ベース基板上に絶縁膜を有する。該絶縁膜によりクロストークを低減することができ、ベース基板としては高抵抗率基板を使用することが可能となりRF特性を向上させることができる。特に制限されないが、前記絶縁膜はシリコン酸化膜であることが好ましい。絶縁膜がシリコン酸化膜であれば、優れた絶縁性を有し、その膜厚の制御も容易であるため、RFデバイスを作製するために好適な貼り合わせ基板となる。
[薄膜層]
本発明の貼り合わせ基板は上記絶縁膜上に薄膜層を有する。薄膜層は、特に制限されないが、シリコン、特にシリコン単結晶からなるものであることが好ましい。前記薄膜層がシリコンであれば、結晶性が良好な貼り合わせ基板となり、RFデバイス等を作製するのに好適な貼り合わせ基板となるため好ましい。もちろん、化合物半導体等、他の半導体であっても良い。
[多孔質層]
さらに、前記ベース基板は前記絶縁膜との間において多孔質層を有する。キャリアをトラップさせるための絶縁膜とベース基板との間の界面準位密度は、ベース基板表面の未結合手の密度に依存しているため、多孔質層とすることで従来技術のポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層よりも表面積が大きくなる。従って、多孔質層を有する貼り合わせ基板は、絶縁膜とベース基板の間の界面準位密度が高いため、キャリアをトラップしやすく、よって反転層が形成されることによって発生するRF特性の劣化を抑制できる、つまりRF特性の良好な貼り合わせ基板となる。前記多孔質層としては特に制限されないがポーラスシリコンが好ましい。ポーラスシリコンは表面積が大きいためRF特性に優れた貼り合わせ基板なる。
前記多孔質層の厚さは5nm以上100nm以下であることが好ましい。前記多孔質層の厚さが5nm以上であれば、十分な表面積を得ることができるため、十分高い界面準位密度を有する貼り合わせ基板となり、また100nm以下であれば、多孔質層においてベース基板が剥がれるなどのトラブルが抑制された貼り合わせ基板となるため好ましい。
従来のポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層が導入されたSOIウェーハは高抵抗率のベース基板を用いた場合に反転層が生じて見かけ上の抵抗率が減少してしまうというデメリットがあった。しかしながら、本発明の貼り合わせ基板は、ベース基板として、抵抗率が100Ω・cm以上と高抵抗率であり、かつベース基板と絶縁膜との間に多孔質層を有することでベース基板と絶縁膜との間の界面準位密度を高いものとすることができる。この界面準位にキャリアをトラップさせることによって、高抵抗率のベース基板を用いた場合に反転層が生じて見かけ上の抵抗率が減少してしまうことを抑制することができ、よってRF特性の良好な貼り合わせ基板とすることができる。従って、低消費電力で、クロストークを低減させることのできる貼り合わせ基板とすることができる。
また、特にベース基板がシリコン単結晶基板で、薄膜層がシリコン単結晶で、絶縁膜がシリコン酸化膜である貼り合わせ基板の場合は、結晶性が一層良好となり、また、構造自体も複雑なものではなく、通常のSOIウェーハと同じものとなっているため、低コストで歩留り良く製造することができる。
[半導体デバイス]
また、本発明は、前記貼り合わせ基板10の薄膜層5に、少なくともRFデバイス6が形成されたものであることを特徴とする半導体デバイス20を提供する(図2(g)、図3(g)参照)。このような半導体デバイスであれば、良好なRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスとなる。
[貼り合わせ基板の製造方法]
さらに、本発明は、絶縁膜を介してベース基板とボンド基板を貼り合わせて貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
前記ベース基板の貼り合わせ面側に多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
該多孔質層の表面及び前記ボンド基板の貼り合わせ面の少なくとも一方に前記絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
該絶縁膜を介して前記ベース基板と前記ボンド基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
貼り合わせられた前記ボンド基板を薄膜化して薄膜層を形成する薄膜化工程とを有することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法を提供する。
以下、本発明の貼り合わせ基板の製造方法の実施形態について図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、本発明の貼り合わせ基板の製造工程、及び該貼り合わせ基板上にRFデバイスを形成する工程の第一の態様と第二の態様とを示すフロー図である。
[多孔質層形成工程]
本発明の多孔質層形成工程では、準備したベース基板1の貼り合わせ面側に多孔質層2を形成する(図2(a)(b)、図3(a)(b))。本発明の多孔質層形成工程は、特に制限されないが、前記ベース基板1を陽極酸化することで前記ベース基板1の貼り合わせ面側に前記多孔質層2を形成することが好ましい。このような陽極酸化法によれば前記多孔質層2を容易に形成でき、かつ前記多孔質層2の厚さ、多孔度、孔径を基板の用途に応じて容易に制御できるため好ましい。以下、この陽極酸化法を用いた方法について説明する。
例えばHF(フッ化水素)含有液等の陽極酸化液中でシリコン単結晶基板等のベース基板1を陽極として電流を流すことにより、ベース基板1の表面に、数nmの径の微細孔を有する多孔質層2(多孔質体)を形成する(図2(b)、図3(b))。ここで、HF含有液等の陽極酸化液の組成やイオン濃度、電流値を変更することで、多孔質層2の多孔度、厚さ、及び孔径等を調整することができる。例えば、HF濃度が30%、電流印加時間が8秒である場合には、多孔質層2の厚さが約200nm、多孔度が約40%になりうる。この陽極酸化法の条件に依存する多孔質層2の多孔度、厚さ、及び孔径等は、作製されるデバイスに要求される性能を勘案して決定することができる。最終的に貼り合わせ基板10としたとき、多孔度の割合は20%以下、厚さは5nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm未満が好ましい。前記多孔質層2の厚さが5nm以上であれば、十分な表面積を得ることができるため、十分高い界面準位密度を有する貼り合わせ基板10を製造することができ、また100nm以下であれば、多孔質層2においてベース基板1が剥がれるなどのトラブルが抑制された貼り合わせ基板10の製造方法となるため好ましい。また、多孔質の割合(多孔度)は20%以下、又は厚さが5nm以上100nm以下であれば、貼り合わせ基板10の割れ等のトラブルが抑制できるため好ましい。実際には多孔質層2が一定以上存在すれば、それ以上多孔質の割合、厚さを変化させても界面準位密度への差はない。
なお、多孔質層2は、前記陽極酸化法以外の方法によって形成されてもよい。例えば、多数の微細開口を有するマスクを通してベース基板1をドライエッチング又はウエットエッチングすることによっても多孔質層2を形成することができる。
なお、図2(a)、(d)及び図3(a)、(c)において準備する前記ベース基板1及び/又は前記ボンド基板4としては、シリコン基板、特にシリコン単結晶基板を用いることが好ましい。このように、シリコン基板を用いることで、前述の多孔質層形成工程において前記ベース基板1に前記多孔質層2をより簡単に形成することができ、上記陽極酸化法により、多孔質層2としてのポーラスシリコンを容易に形成することができるため好ましい。また前記ベース基板1がシリコン基板であれば、後述する絶縁膜形成工程において前記ボンド基板4に前記絶縁膜3をより簡単に形成できるため好ましい。また、薄膜化工程において形成される薄膜層5はいわゆるSOI層となり、結晶性が良好で、RFデバイス製造に好適に適用できる。
[絶縁膜形成工程]
本発明の絶縁膜形成工程では、前記多孔質層2の表面及び前記ボンド基板4の貼り合わせ面の少なくとも一方に前記絶縁膜3を形成する(図2(c)、図3(d))。このときの酸化条件、酸化方法は貼り合わせ基板としたときに必要な絶縁膜3の条件によって適宜変化する。前記絶縁膜形成工程としては、例えばベース基板1の多孔質層2がポーラスシリコンであり、又はボンド基板4がシリコン単結晶基板である場合には熱酸化することで酸化膜を形成し、絶縁膜3とすることができる。なお、絶縁膜形成工程において、前記多孔質層の表面及び前記ボンド基板の貼り合わせ面の両方に絶縁膜を形成することも可能である。
また、前記絶縁膜形成工程において、前記多孔質層2の表面に前記絶縁膜3を形成する場合に、前記多孔質層2の一部が残るように前記絶縁膜3を形成することが好ましい(図2(c))。このように絶縁膜3を形成することにより、一部の多孔質層2を残して貼り合わせ基板10を製造することができる(図2(e)、(f))。通常絶縁膜は厚く形成されるため、ベース基板、ボンド基板がシリコン基板、特にシリコン単結晶基板であるときは、酸化条件としてはPyro雰囲気で高温、長時間が想定される。しかしながら、本発明の貼り合わせ基板は前記多孔質層2を有することにより、キャリアをトラップしやすく、RF特性の良好な貼り合わせ基板となるため、前記多孔質層2の表面に前記絶縁膜3を形成する場合には、前記多孔質層2の一部が残るように前記絶縁膜3を形成することが好ましい(図2(c))。例えば、前記ベース基板1がシリコン基板、特にシリコン単結晶基板であり、前記多孔質層2がシリコンを含む多孔質体(例えばポーラスシリコン)である場合には、400℃程度の低温で60分の酸化を行いその後、高温に昇温する工程とすることが望ましい。なおこの場合の多孔質層2は通常のシリコン単結晶層と比べて酸化速度が1.5倍程度大きいことを我々は見出しており、注意が必要である。
[貼り合わせ工程]
本発明の貼り合わせ工程では、前記絶縁膜3を介して前記ベース基板1と前記ボンド基板4を貼り合わせる(図2(e)、図3(e))。また、本発明の貼り合わせ工程では、貼り合わせ後に結合強度を上げるために結合熱処理を行うこともできる。この貼り合わせ工程の条件は特に限定されず、通常の貼り合わせ基板を作製する条件のいずれをも適用することができる。
[薄膜化工程]
本発明の薄膜化工程では、前記貼り合わせ工程後に、貼り合わせられた前記ボンド基板4を薄膜化して薄膜層5を形成する(図2(f)、図3(f))。この場合の薄膜化方法としては、研磨による方法も可能であるし、貼り合わせ前に前記ボンド基板4に水素イオンを注入してイオン注入層を形成し、その後熱処理して該イオン注入層で剥離、薄膜化する方法でも良い。
前記薄膜化工程後に、薄膜層5の表面改質のため、熱処理や仕上げの研磨、さらにはエピタキシャル成長を行うことも可能である。これらの表面改質等の処理としては、センサーデバイスで求められる表面品質に合わせた処理を適宜選択することが出来る。こうして、本発明にかかる多孔質層2を有する貼り合わせ基板10を製造することができる。
従来はポリシリコン層や窒化酸化物のような中間層を導入することで貼り合わせ基板の製造工程が複雑になるだけでなくボイドやブリスター等の貼り合わせ面の欠陥が発生しやすくなるといったデメリットがあった。しかし、以上のように本発明の貼り合わせ基板の製造方法では、このような工程がなく、通常通りの貼り合わせが行われ、貼り合わせ基板の製造プロセスにおいて、多孔質層形成工程を含めるのみで、表面積が大きく、キャリアをトラップしやすく、RF特性の劣化を抑制できる多孔質層を形成することが可能である。すなわち、本発明の貼り合わせ基板の製造方法であれば、中間層を形成しない簡単な工程で、貼り合わせ不良のないRF特性の良好な貼り合わせ基板を製造することができる。さらに、以下に本発明により製造された貼り合わせ基板を用いてRFデバイスを製造する工程について例示する。
[RFデバイス作製工程]
また、本発明では前記薄膜化工程の後、前記薄膜層上にRFデバイスを形成するRFデバイス形成工程を行うことができる。以上のようにして作製された貼り合わせ基板10の薄膜層5の表面側にRFデバイス6をつくり込むことで高性能な高周波用の半導体デバイス20が完成する(図2(g)、図3(g))。本発明の貼り合わせ基板を用いて作製された半導体デバイス20は、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイス20となる。
以下、実施例、比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板として、このベース基板に対してHF濃度が25%、電流印加時間が500秒で陽極酸化を行い、厚さが約1000nm、多孔度が約20%の多孔質層を作成した(多孔質層形成工程)。この陽極酸化後に、このベース基板に対して1150℃/Pyro雰囲気で6時間処理を行い、多孔質層を50nm残し、絶縁膜として酸化膜を950nm形成した(絶縁膜形成工程)。このベース基板に、ボンド基板として抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板を貼り合わせ、1150℃で結合熱処理を行った(貼り合わせ工程)。その後、ボンド基板を研磨により薄膜化することでシリコン層厚5μmの薄膜層を形成し(薄膜化工程)、本発明の貼り合わせ基板(A−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(A−II)を作製した。
そして、特開2006−13100号公報に記載されているように、水銀プローブを薄膜層に接触させて絶縁膜と薄膜層界面の電気特性の評価を行うことのできる擬似MOSFET法により、貼り合わせ基板(A−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板として、このベース基板に対してHF濃度が25%、電流印加時間が10秒で陽極酸化を行い、多孔質層の厚さが約20nm、多孔度が約20%の多孔質層を作成した。また、抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をボンド基板として、このボンド基板に対して1150℃/Pyro雰囲気で6時間処理を行い、絶縁膜として1000nmの酸化膜を形成した。その後、絶縁膜を介してボンド基板とベース基板とを貼り合わせ、1150℃で結合熱処理を行った。その後、ボンド基板を研磨により薄膜化することでシリコン層厚5μmの薄膜層を形成し、貼り合わせ基板(B−I)とした。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(B−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(B−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
抵抗率100Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板及びボンド基板として用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の貼り合わせ基板(C−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(C−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(C−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例4]
抵抗率100Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板及びボンド基板として用いた以外は実施例2と同様にして、本発明の貼り合わせ基板(D−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(D−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(D−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板及びボンド基板として用い、絶縁膜形成工程で多孔質層を5nm残し、絶縁膜として酸化膜を995nm形成した以外は実施例1と同様にして、本発明の貼り合わせ基板(E−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(E−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(E−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例6]
抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板及びボンド基板として用い、絶縁膜形成工程で多孔質層を100nm残し、絶縁膜として酸化膜を900nm形成した以外は実施例1と同様にして、本発明の貼り合わせ基板(F−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(F−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(F−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
次に、比較例1として、多孔質層形成工程を行わない従来法について説明する。抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板として、このベース基板に対して1150℃/Pyro雰囲気で6時間処理を行い、絶縁膜として1000nmの厚さの酸化膜を形成した(絶縁膜形成工程)。このベース基板に、ボンド基板として抵抗率120Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板を貼り合わせ、1150℃で結合熱処理を行った(貼り合わせ工程)。その後、ボンド基板を研磨により薄膜化することでシリコン層厚5μmの薄膜層を形成し(薄膜化工程)、貼り合わせ基板(G−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(G−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(G−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
また、抵抗率90Ω・cmのボロンドープ直径150mmシリコン単結晶基板をベース基板及びボンド基板として用いた以外は実施例1と同様にして、貼り合わせ基板(H−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(H−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(H−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
また、多孔質層形成工程を行わず、貼り合わせ工程前に、低圧化学気相成長(LPCVD)によりボンド基板にポリシリコン層を50nm堆積した以外は実施例1と同様にして、貼り合わせ基板(I−I)を作製した。
一方で、絶縁膜とベース基板との界面の界面準位密度を測定する目的で、貼り合わせ工程までは上記と同様にして作製した基板を、薄膜化工程でボンド基板ではなくベース基板を研磨により膜厚70nmに薄膜化した貼り合わせ基板(I−II)を作製した。そして、前記同様に、貼り合わせ基板(I−II)の絶縁膜と薄膜化されたベース基板の界面における界面準位密度(Dit)及び電子移動度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2012164906
以上より、多孔質層を有さない比較例1、ベース基板の抵抗率が100Ω・cm未満の比較例2、多孔質層の代わりにポリシリコン層を有する比較例3の貼り合わせ基板では界面準位密度(Dit)が低く、電子移動度が高いためクロストークが起こりやすく、RF特性に乏しい貼り合わせ基板となることが示された。これに対し、本発明の実施例1〜6の貼り合わせ基板は、多孔質層を有することにより界面準位密度(Dit)が高く、電子移動度が低いものとなることが示された。すなわち、本発明の貼り合わせ基板は、高抵抗率の基板を用いることによってクロストークを抑制することができ、また、高い界面準位密度にキャリアをトラップさせることができるため、反転層が生じて見かけ上の抵抗率が減少してしまうことを抑制することができ、RF特性に優れる貼り合わせ基板となることが示された。
また、実施例5より、多孔質層の厚さが5nm以上であれば、十分な表面積を得ることができるため、十分高い界面準位密度を有する貼り合わせ基板となることが示され、実施例6より、多孔質層の厚さが100nm以下であれば、多孔質層でベース基板が剥がれるなどのトラブルが抑制された貼り合わせ基板となることが示された。
さらに、実施例1〜実施例6の貼り合わせ基板の製造方法では多孔質層形成工程が含まれるものの、貼り合わせ基板製造工程全体からすれば簡単な工程が付加されたに過ぎないため、製造コスト、及び製造時間は比較例1〜比較例2の貼り合わせ基板の製造とほとんど変わらないものであった。その上、実施例1〜実施例6の貼り合わせ基板の製造方法では貼り合わせ面の欠陥を抑制することができた。他方で、多孔質層の代わりにポリシリコン層を形成した比較例3は、気相成長装置を用いた複雑な工程を必要とし、その上、形成されたポリシリコン層は貼り合わせ面の欠陥となり歩留まりの悪い製造方法であった。
また、このように優れたRF特性を有する実施例1〜実施例6の貼り合わせ基板を用いて、その薄膜層上にRFデバイスを形成した半導体デバイスは、優れたRF特性を有し、更なる高機能化を達成できる半導体デバイスとなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…ベース基板、 2…多孔質層、 3…絶縁膜、 4…ボンド基板、 5…薄膜層、 6…RFデバイス、 10…貼り合わせ基板 、20…半導体デバイス

Claims (9)

  1. ベース基板上に絶縁膜と、該絶縁膜上に薄膜層とを有する貼り合わせ基板であって、少なくとも、前記ベース基板は抵抗率が100Ω・cm以上であり、前記ベース基板と前記絶縁膜との間に多孔質層を有するものであることを特徴とする貼り合わせ基板。
  2. 前記多孔質層の厚さが5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせ基板。
  3. 前記ベース基板がシリコン基板であること、及び/又は前記薄膜層がシリコンからなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせ基板。
  4. 請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の貼り合わせ基板の薄膜層に、少なくともRFデバイスが形成されたものであることを特徴とする半導体デバイス。
  5. 絶縁膜を介してベース基板とボンド基板を貼り合わせて貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
    前記ベース基板の貼り合わせ面側に多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
    該多孔質層の表面及び前記ボンド基板の貼り合わせ面の少なくとも一方に前記絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
    該絶縁膜を介して前記ベース基板と前記ボンド基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
    貼り合わせられた前記ボンド基板を薄膜化して薄膜層を形成する薄膜化工程とを有することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法。
  6. 前記多孔質層形成工程において、前記ベース基板を陽極酸化することで前記ベース基板の貼り合わせ面側に前記多孔質層を形成することを特徴とする請求項5に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  7. 前記ベース基板及び/又は前記ボンド基板として、シリコン基板を用いることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  8. 前記絶縁膜形成工程において、前記多孔質層の表面に前記絶縁膜を形成する場合に、前記多孔質層の一部が残るように前記絶縁膜を形成することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  9. 請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法の前記薄膜化工程の後、前記薄膜層上にRFデバイスを形成するRFデバイス形成工程を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。

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