JP3754818B2 - 半導体基板の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板の作製方法に関し、更に詳しくは、誘電体分離層あるいは、絶縁物上の単結晶半導体又はSi基板上の単結晶化合物半導体の層に電子デバイス、集積回路を形成するに適した半導体基板の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁物上の単結晶Si半導体層の形成は、セミコンダクタ・オン・インシュレーター(SOI)技術として広く知られ、通常のSi集積回路を作製するバルクSi基板では到達しえない数々の優位点をSOI技術を利用したデバイスが有することから多くの研究が成されてきた。すなわち、SOI技術を利用することで、
1.誘電体分離が容易で高集積化が可能、
2.対放射線耐性に優れている、
3.浮遊容量が低減され高速化が可能、
4.ウエル工程が省略できる、
5.ラッチアップを防止できる、
6.薄膜化による完全空乏型電界効果トランジスタが可能、
等の優位点が得られる。これらは例えば以下の文献に詳しい。Special Issue:"Single-crystal silicon on non-single-crystal insulators"; edited by G.W.Cullen, Journal of Crystal Growth, Vol.63, No.3, pp.429-590 (1983)
さらに、ここ数年においては、SOI基板が、MOSFETの高速化、低消費電力化を実現する基板として多くの報告がなされている。(IEEE SOI conference 1994) また、SOI構造を用いると素子の下部に絶縁層があるので、バルクSiウエハ上に素子を形成する場合と比べて、素子分離プロセスが単純化できる結果、デバイスプロセス工程が短縮される。すなわち、高性能化と合わせて、バルクSi上のMOSFET、ICに比べて、ウエハコスト、プロセスコストのトータルでの低価格化が期待されている。
【0003】
なかでも完全空乏型MOSFETは駆動力の向上による高速化、低消費電力化が期待されている。MOSFETの閾値電圧(Vth)は一般的にはチャネル部の不純物濃度により決定されるが、SOIを用いた完全空乏型(FD;Fully Depleted)MOSFETの場合には空乏層厚がSOIの膜厚の影響も受けることになる。したがって、大規模集積回路を歩留まりよく作るためには、SOI膜厚の均一性が強く望まれていた。
【0004】
また、化合物半導体上のデバイスはSiでは得られない高い性能、たとえば、高速、発光などの特徴を持っている。現在は、これらのデバイスはほとんどGaAs等の化合物半導体基板上にエピタキシャル成長をしてその中に作り込まれている。しかし、化合物半導体基板は、高価で、機械的強度が低く、大面積ウエハは作製が困難などの問題点がある。
【0005】
このようなことから、安価で、機械的強度も高く、大面積ウエハが作製できるSiウエハ上に、化合物半導体をヘテロエピタキシャル成長させる試みがなされている。
【0006】
SOI基板の形成に関する研究は1970年代頃から盛んであった。初期には、絶縁物であるサファイア基板の上に単結晶Siをヘテロエピタキシャル成長する方法(SOS:Sapphire on Silicon)や、多孔質Siの酸化による誘電体分離によりSOI構造を形成する方法(FIPOS:Fully Isolation by Porous Oxidized Silicon)、酸素イオン注入法がよく研究された。
【0007】
FIPOS法は、P型Si単結晶基板表面にN型Si層を、プロトンのイオン打ち込み、(イマイ他,J.Crystal Growth, Vol.63, 547(1983)),もしくは、エピタキシャル成長とパタ−ニングによって島状に形成し、表面よりSi島を囲むようにHF溶液中の陽極化成法によりP型Si基板のみを多孔質化したのち、増速酸化によりN型Si島を誘電体分離する方法である。本方法では、分離されているSi領域は、デバイス工程の前に決定されており、デバイス設計の自由度を制限する場合があるという問題点がある。
【0008】
酸素イオン注入法は、K.Izumiによって始めて報告されたSIMOXと呼ばれる方法である。Siウエハに酸素イオンを1017〜1018/cm2程度注入したのち、アルゴン・酸素雰囲気中で1320℃程度の高温でアニールする。その結果、イオン注入の投影飛程(Rp)に相当する深さを中心に注入された酸素イオンがSiと結合して酸化Si層が形成される。その際、酸化Si層の上部の酸素イオン注入によりアモルファス化したSi層も再結晶化して、単結晶Si層となる。表面のSi層中に含まれる欠陥は従来105/cm2と多かったが、酸素の打ち込み量を4×1017/cm2付近にすることで、〜102/cm2まで低減することに成功している。しかしながら、酸化Si層の膜質、表面Si層の結晶性等を維持できるような注入エネルギー、注入量の範囲が狭いために、表面Si層、埋め込み酸化Si層(BOX;Burried Oxide)の膜厚は特定の値に制限されていた。所望の膜厚の表面Si層を得るためには、犠牲酸化、ないしは、エピタキシャル成長することが必要であった。その場合、膜厚の分布には、これらのプロセスによる劣化分が重畳される結果、膜厚均一性が劣化するという問題点がある。
【0009】
また、BOXにはパイプと呼ばれる酸化Siの形成不良領域が存在することが報告されている。この原因のひとつとしては、注入時のダスト等の異物が考えられている。パイプの存在する部分では活性層と支持基板の間のリークによりデバイス特性の劣化が生じてしまう。
【0010】
SIMOXのイオン注入は前述の通り、通常の半導体プロセスで使用するイオン注入と比べ注入量が多いため、専用の装置が開発されてもなお、注入時間は長い。イオン注入は所定の電流量のイオンビームをラスタースキャンして、あるいは、ビームを拡げて行われるため、ウエハの大面積化に伴い、注入時間の増大が想定される。また、大面積ウエハの高温熱処理では、ウエハ内の温度分布によるスリップの発生などの問題がよりシビアになることが指摘されている。SIMOXでは1300℃以上というSi半導体プロセスでは通常使用しない高温での熱処理が必須であることから、装置開発、金属汚染、スリップなど克服すべき問題の重要性がさらに大きくなることが懸念されている。
【0011】
また、上記のような従来のSOIの形成方法とは別に、近年、Si単結晶基板を、熱酸化した別のSi単結晶基板に、熱処理又は接着剤を用いて張り合せ、SOI構造を形成する方法が注目を浴びている。この方法は、デバイスのための活性層を均一に薄膜化する必要がある。すなわち、数百μmもの厚さのSi単結晶基板をμmオ−ダ−かそれ以下に薄膜化する必要がある。この薄膜化には以下のように3種類の方法がある。
【0012】
1.研磨による薄膜化
2.局所プラズマエッチングによる薄膜化
3.選択エッチングによる薄膜化
方法1の研磨では均一に薄膜化することが困難である。特にサブμmの薄膜化は、ばらつきが数十%にもなってしまい、この均一化は大きな問題となっている。さらにウエハの大口径化が進めばその困難度は増すばかりである。
【0013】
方法2は、あらかじめ1〜3μm程度まで1の研磨による方法で薄膜化したのち、膜厚分布を全面で多点測定しておいてから、この膜厚分布にもとづいて、直径数mmのSF6などを用いたプラズマをスキャンさせることにより膜厚分布を補正しながらエッチングして、所望の膜厚まで薄膜化する。この方法では膜厚分布を±10nm程度にできることが報告されている。しかし、プラズマエッチングの際に基板上異物(パーティクル)があるとこの異物がエッチングマスクとなるために基板上に突起が形成されてしまう。
【0014】
エッチング直後には表面が荒れているために、プラズマエッチング終了後にタッチポリッシングが必要であるが、ポリッシング量の制御は時間管理によって行われるので、最終膜厚の制御、および、ポリッシングによる膜厚分布の劣化が指摘されている。さらに研磨ではコロイダルシリカ等の研磨剤が直接に活性層になる表面を擦るので、研磨による破砕層の形成、加工歪みの導入も懸念されている。さらにウエハが大面積化された場合にはウエハ面積の増大に比例して、プラズマエッチング時間が増大するため、スループットの著しい低下も懸念される。
【0015】
方法3は、あらかじめ薄膜化する基板に選択エッチング可能な膜構成をつくり込んでおく方法である。例えば、P型基板上にボロンを1019/cm3以上の濃度に含んだP+Siの薄層とP型Siの薄層をエピタキシャル成長などの方法で積層し、第1の基板とする。これを酸化膜等の絶縁層を介して、第2の基板と貼り合わせたのち、第1の基板の裏面を、研削、研磨で予め薄くしておく。その後、P型層の選択エッチングで、P+層を露出、さらにP+層の選択エッチングでP型層を露出させ、SOI構造を完成させるものである。この方法はMaszaraの報告に詳しい(W.P.Maszara, J.Electrochem.Soc., Vol.138, 341(1991))。
【0016】
選択エッチングは均一な薄膜化に有効とされているが、次のような問題がある。
・せいぜい102程度と選択比が十分でない。
・エッチング後の表面性が悪いため、エッチング後にタッチポリッシュが必要。しかし、その結果、膜厚が減少するとともに、膜厚均一性も劣化しやすい。特にポリッシングは時間によって研磨量を管理するが、研磨速度のばらつきが大きいため、研磨量の制御が困難。したがって、100nmというような極薄SOI層の形成において、特に問題となる。
・イオン注入、高濃度BドープSi層上のエピタキシャル成長あるいはヘテロエピタキシャル成長を用いているためSOI層の結晶性が悪い。また、被貼り合わせ面の表面性も通常のSiウエハより劣る。
【0017】
以上のことは、C. Harendt, et al., J.Elect. Mater. Vol.20, 267 (1991), H. Baumgart, et al., Proceeding of the 1st International Symposium on Semiconductor Wafer Bonding: Science, Technology and Applications, (The Electrochemical Society) Vol.92-7, p.375, C. E. Hunt et al., Proceeding of the 1st International Symposium on Semiconductor Wafer Bonding: Science, Technology and Applications, (The Electrochemical Society) Vol.92-7, p.165に報告されている。
【0018】
また、選択エッチングの選択性はボロン等の不純物の濃度差とその深さ方向プロファイルの急峻性に大きく依存している。したがって、貼り合わせ強度を高めるための高温のボンディングアニールや結晶性を向上させるために高温のエピタキシャル成長を行ったりすると、不純物濃度の深さ方向分布が拡がり、エッチングの選択性が劣化してしまう。すなわち、エッチングの選択比の向上と結晶性および貼り合わせ強度の向上との両立は困難であった。
【0019】
最近、米原らはかかる問題点を解決し、膜厚均一性や結晶性に優れ、バッチ処理が可能な貼り合わせSOIを報告した(T. Yonehara et al., Appl. Phys. Letter Vol.64, 2108(1994))。この方法は、Si基板上31の多孔質層32を選択エッチングの材料として用いる。多孔質層の上に非多孔質単結晶Si層33をエピタキシャル成長した後、酸化Si層(絶縁膜)35を介して第2の基板34と貼り合わせる(図5の(a))。第1の基板を裏面より研削等の方法で薄層化し、基板全面において多孔質Siを露出させる(図5の(b))。露出させた多孔質SiはKOH、HF+H22などの選択エッチング液によりエッチングして除去する(図5の(c))。このとき、多孔質SiのバルクSi(非多孔質単結晶Si)に対するエッチングの選択比を10万倍と十分に高くできるので、あらかじめ多孔質上に成長した非多孔質単結晶Si層を膜厚を殆ど減じることなく、第2の基板の上に残し、SOI基板を形成することができる。したがって、SOIの膜厚均一性はエピタキシャル成長時にほぼ決定づけられる。エピタキシャル成長は通常半導体プロセスで使用されるCVD装置が使用できるので、佐藤らの報告(SSDM95)によれば、その均一性は例えば100nm±2%以内が実現されている。また、エピタキシャルSi層の結晶性も良好で3.5×102/cm2が報告された。
【0020】
多孔質SiはUhlir等によって1956年に半導体の電解研磨の研究過程において発見された(A.Uhlir, Bell Syst. Tech. J., Vol.35 333(1956))。多孔質SiはSi基板をHF溶液中で陽極化成(Anodization)することにより形成することができる。多孔質SiとはさながらスポンジのようにバルクSi中に電解エッチングによって微小な孔が形成されたものであって、陽極化成の条件、Siの比抵抗によって異なるが、直径数nm程度の孔が例えば1011個/cm2程度の密度で形成されたものである。
【0021】
ウナガミ等は陽極化成におけるSiの溶解反応を研究し、HF溶液中のSiの陽極反応には正孔が必要であり、その反応は、次のようであると報告している(T.Unagami, J. Electrochem. Soc., Vol.127, 476(1980))。
【0022】
Si+2HF+(2−n)e+ → SiF2+2H++ne-
SiF2+2HF → SiF4+H2
SiF4+2HF → H2SiF6
または、
Si+4HF+(4−λ)e+ → SiF4+4H++λe-
SiF4+2HF → H2SiF6
ここで、e+およびe-はそれぞれ正孔と電子を表している。また、nおよびλはそれぞれ1原子のSiが溶解するために必要な正孔の数であり、n>2またはλ>4なる条件が満たされた場合に多孔質Siが形成されるとしている。
【0023】
以上のことから、正孔の存在するP型Siは多孔質化されるが、N型Siは多孔質化されない。この多孔質化における選択性は長野等および今井によって実証されている(長野、中島、安野、大中、梶原、電子通信学会技術研究報告、Vol.79, SSD79-9549(1979))、(K. Imai, Solid-State Electronics, Vol.24, 159(1981))。
【0024】
従来の方法ではエッチングの選択性は不純物濃度の差とその深さ方向のプロファイルによっていたため、濃度分布を拡げてしまう熱処理の温度(貼り合わせ、エピタキシャル成長、酸化等)は概ね800℃以下と大きく制約されていた。一方、この方法におけるエッチングは多孔質とバルクという構造の差がエッチングの速度を決めているため、熱処理温度の制約は小さく、1180℃程度の熱処理が可能であることが報告されている。例えば貼り合わせ後の熱処理は、ウエハ同士の接着強度を高め、貼り合わせ界面に生じる空隙(void)の数、大きさを減少させることが知られている。また、斯様な構造差にもとづくエッチングでは多孔質Si上に付着したパーティクルがあっても、これが膜厚均一性に影響を及ぼさない。
【0025】
また、ガラスに代表される光透過性基板上には、一般には、その結晶構造の無秩序性から、堆積した薄膜Si層は、基板の無秩序性を反映して、非晶質か、良くて多結晶層にしかならず、高性能なデバイスは作製できない。それは、基板の結晶構造が非晶質であることによっており、単に、Si層を堆積しても、良質な単結晶層は得られない。
【0026】
しかしながら、貼り合わせを用いた半導体基板は、必ず2枚のウエハを必要とし、そのうち1枚はほとんど大部分が研磨・エッチング等により無駄に除去され捨てられてしまい、コストアップの要因となるばかりか、限りある地球の資源を無駄使いしてしまうことになりかねない。
【0027】
貼り合わせを用いるSOIの特徴を活かすためには、品質が十分なSOI基板を再現性よく作製すると同時にウエハの再使用等による省資源、コストダウンを実現する方法が望まれていた。
【0028】
貼り合わせ法において消費されてしまう、第1の基板を再利用する方法が最近坂口らによって報告された(特開平07−302889号公報)。
【0029】
彼らは、前述した多孔質Siを用いる貼り合わせ、エッチバックする方法において、第1の基板を裏面より研削、エッチング等の方法で薄層化して多孔質Siを露出させる工程に代えて以下のような方法を採用した。
【0030】
第1のSi基板41の表面層を多孔質化して多孔質層42にしたのち、その上に単結晶Si層43を形成し、この単結晶Si層43と第1のSi基板41とは別の第2のSi基板44の主面とを絶縁層45を界して貼り合わせる(図6の(a))。この後、貼り合わせたウエハを多孔質層で分割し(図6の(b))、第2のSi基体側の表面に露出した多孔質Si層を選択的にエッチングにより除去することで、SOI基板を形成するのである(図6の(c))。貼り合わせたウエハの分割は、貼り合わせたウエハに面内に対して
垂直方向にさらに面内に均一に十分な引っ張り力、ないし、圧力を加える、
超音波等の波動エネルギーを印加する、
ウエハ端面に多孔質層を表出させ、多孔質Siをある程度エッチングし、そこへ剃刀の刃のようなものを挿入する、
ウエハ端面に多孔質層を表出させ、多孔質Siに水等の液体をしみ込ませた後、貼り合わせウエハ全体を加熱あるいは冷却し液体の膨張させる、
あるいは、
第1(あるいは第2)の基板に対して第2(あるいは第1)の基板に水平方向に力を加える、
等の方法により、多孔質Si層を破壊するという方法を用いている。
【0031】
これらは、いずれも多孔質Siの機械的強度が多孔度により異なるが、バルクSiよりも十分に弱いと考えられることに基づく。たとえば、多孔度が50%であれば機械的強度はバルクの半分と考えることができる。すなわち、貼り合わせウエハに圧縮、引っ張りあるいは揃断力をかけると、まず多孔質Si層が破壊されることになる。また、多孔度を増加させればより弱い力で多孔質層を破壊できる。
【0032】
ここで、多孔度とは、多孔質層の体積の中で多孔質層の素材に対して、孔が占める体積の割合として定義される。
【0033】
しかし、特開平07−302889号公報に記載の方法では、多孔質層中の剥がれの厚さ方向における位置は規定出来ず、ウエハに層中の剥がれる場所が異なることによって、歩留まりが落ちることがあった。更には、ウエハ面内で剥がした後の多孔質Si層の残留部の残厚がばらばらで、高選択エッチングを用いても、高膜厚均一性を目指すSOIの仕様を満たすためには歩留まりが落ちることがあった。
【0034】
また、特開平8−213645号公報には多孔質層で分離する方法が記載されているが、 多孔質層の層状の構成については記載されていない。これとは別に、1996秋季応用物理学会予稿集p.673にソニーの田舎中氏らが電流を途中で変化させて多孔質Siを作製することが記されている。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−213645号公報には分離層のどこからでも剥がれる様に書かれており、言い換えれば、剥がれる位置を規定できないということである。この場合、ウエハ面内で残留多孔質Si層の厚さがばらばらであり、多孔質Siをエッチング除去するにしても非多孔質単結晶層である活性層(デバイス層)に対するエッチング速度が0でないならば、活性層を多少なりともエッチングしてしまい層厚の面内ばらつきの原因となり、また残留したまま使用するにしても、剥離位置に依存する表面段差がそのまま残ることになる。また、上記1996秋季応用物理学会予稿集p.673の方法でも多孔質Siの中央部で剥がれるとされており、必ず両方の基板側に残留した多孔質Si層の残留部を除去する必要がある。
【0036】
多孔質層のエッチング工程は、良質の貼り合わせSOI基板を作製する為には、必須の工程と考えられてきた。しかしながら、エッチング工程は、エッチング装置内への基板の搬入や搬出、エッチング装置やエッチャントの管理、エッチング後の洗浄等の実工程以外の付随した工程を要する。エッチング工程を省略することが出来るならば、SOI基板の製造時間は大幅に短縮可能である。
【0037】
従来のエッチング工程全てを省略できなくとも、エッチング時間を大幅に短縮できれば、SOI基板の製造時間は短くなり、安価にSOI基板を提供できることになる。
【0038】
本発明の目的は、多孔質層の選択エッチング工程を省略乃至短縮し得る半導体基板の作製方法を提供することにある。
【0039】
本発明の別の目的は、良質のSOI基板に代表される半導体基板を安価に作製出来る半導体基板の作製方法を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔度の異なる少なくとも2つの層を含む多孔質領域と、該多孔質領域上の非多孔質層とを有する第1の基体を用意する工程、前記第1の基体と第2の基体とを前記非多孔質層が内側に位置するように貼り合わせる工程、前記第1及び前記第2の基体を分離して、前記非多孔質層を前記第2の基体に移す工程、及び、その後に、前記非多孔質層を有する前記第2の基体を水素を含む雰囲気中で熱処理する工程とを含み、前記第1の基体を用意する工程は、厚さ1μm以下の第1の多孔質層と、該第1の多孔質層に隣接し且つ、前記第1の多孔質層より多孔度の高い第2の多孔質層と、前記第1の多孔質層に隣接する前記非多孔質層とを形成する工程を含む。
本発明は、前記第1の多孔質層に隣接する前記非多孔質層を形成する工程は、前記多孔質領域を酸素雰囲気中で熱処理し、多孔質の孔壁を酸化膜で覆った後、前記多孔質領域上に前記非多孔質層を形成する工程であることを特徴とする。
本発明は、前記多孔質の孔壁を酸化膜で覆う工程と前記多孔質領域上に前記非多孔質層を形成する工程との間に前記多孔質領域表面を水素中で熱処理する工程を有することを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による半導体基板の作製方法を示す図である。図1の(a)に示すように、多孔度が互いに異なる少なくとも2つの層12,13を含む多孔質領域1と、前記多孔質領域1の上の非多孔質層14と、を有する第1の基体2を用意する。11は基板である。
【0042】
次に図1の(b)に示すように第1の基体2の非多孔質層14の表面と、第2の基体3の表面と、を貼り合わせる。15は非多孔質の絶縁層、16は基板である。
【0043】
そして、図1の(c)に示すように、第1の基体2と第2の基体3とを分離して、非多孔質層14を第2の基体3に移す。
【0044】
その後、図1の(d)に示すように、第2の基体3の分離面に残留していた多孔質の層12の残留部12′を除去又は非多孔質化して、その分離面を平滑化する。
【0045】
特に図1の(a)に示したように第1の基体2を用意する場合には、多孔質領域のうち非多孔質層14に隣接する第1の多孔質層12の厚さを1μm以下より好ましくは0.5μm以下とする。そして、第1の多孔質層12に隣接する第2の多孔質層13の多孔度(PS2)を、第1の多孔質層12の多孔度(PS1)より高くする。
【0046】
非多孔質層14と高多孔度(PS2)の第2の多孔質層との間にある低多孔質(PS1)の第1の多孔質層の厚さを1μm以下に薄くすることにより、非多孔質層14の表面と平行な第1の多孔質層と第2の多孔質層との界面付近で両基体が分離される。
【0047】
第2の基体に移った非多孔質層表面上に残留する第1の多孔質層の残留部12′は、低多孔度(PS1)であり、その厚みが薄く、しかも分離面全面に亘って厚みがほぼ均一になる。そして、第1の多孔質層の残留部12′は、非酸化性雰囲気中で残留部12′を熱処理することにより、非多孔質に変質し、下地の非多孔質層14と一体化し、その表面は平滑化される。このように残留部12の除去の際に、選択エッチングや選択研磨を全く行わないか、非常に短時間のエッチングで済む。
【0048】
本発明の第1の多孔質層の多孔度PS1は、40%を越えない範囲から選択される。具体的には1%〜40%である。
【0049】
より好ましくは、上限が25%を越えない範囲から選択する。具体的には1%〜25%である。
【0050】
本発明の第2の多孔質層の多孔度PS2は、PS2>PS1の関係を満足するものであればよい。好ましくは25%より高く、より好ましくは40%より高くするとよい。具体的には25%〜90%より好ましくは40%〜90%である。
【0051】
そして、第2の多孔質層の厚みは、10nm以上で1μm以下の範囲内から選択し得る。そして、より好ましくは第2の多孔質層の厚さを、第1の多孔質層の厚さより厚くすることが望ましい。
【0052】
本発明に用いられる第1の基体としては、半導体基板11の表面を多孔質化した後、その多孔質領域上に非多孔質層を形成したもの、基板11の上に多孔質層及び非多孔質層を形成したもの、基板の表面を多孔質化した後、多孔質化した領域の表層を非多孔質に戻したもの等が挙げられる。
【0053】
本発明に用いられる非多孔質層としては、多孔質領域上へのエピタキシャル成長や、多孔質領域の非多孔質化処理の少なくともいずれか一方により形成された半導体が挙げられる。
【0054】
具体的には、非多孔質単結晶Si,GaAs,InPなどの半導体である。また、これらの薄膜は全面に形成されていることが必須ではなく、パターニング処理により、部分的にエッチングされていてもよい。
【0055】
そして、非多孔質層の表面側には酸化膜のような絶縁層が形成されていてもよい。
【0056】
例えば、多孔質領域は、Si基板をHF溶液中で陽極化成(Anodization)することにより形成することができる。多孔質層は10-1〜10nm程度の直径の孔が10-1〜10nm程度の間隔で並んだスポンジのような構造をしている。その密度は、単結晶Siの密度2.33g/cm3に比べて、HF溶液濃度を50〜20%の範囲で変化させたり、アルコール添加比率を変化させたり、電流密度を変化させることで2.1〜0.6g/cm3の範囲に変化させることができる。また、多孔質化される部分の比抵抗と電気伝導型を予め変調しておけば、これに基づいて多孔度を変更することも可能である。p型においては、同じ陽極化成条件においては、縮退基板(P+)に比べ、非縮退基板(P-)は孔径は細くなるものの孔密度が1桁程度増加し、多孔度が高い。すなわち、多孔度はこれらの諸条件を可変することによって制御することが可能である。このように多孔質Siの密度は単結晶Siに比べると、半分以下にできるにもかかわらず、単結晶性は維持されており、多孔質層の上部へ単結晶Si層をエピタキシャル成長させることも可能である。ただし、1000℃以上では、内部の孔の再配列が起こり、増速エッチングの特性が損なわれる。このため、多孔質層上のSi層のエピタキシャル成長には、分子線エピタキシャル成長、プラズマCVD、減圧CVD法、光CVD、バイアス・スパッタ−法、液相成長法等の低温成長が好適とされている。しかし、あらかじめ酸化等の方法により多孔質層の孔の側壁表面にあらかじめ保護膜を形成しておけば、高温成長も可能である。
【0057】
そして、多孔質層は、その内部に微細な空隙が大量に形成されるため、体積に比べて表面積が飛躍的に増大する。同時に半導体材料は極薄な壁としてしか存在しない。そのため、その化学エッチング速度は、エッチング液の毛細管現象による染み込みとあいまって、通常の単結晶層のエッチング速度に比べて、著しく増速される。
【0058】
多孔質領域の機械的強度は多孔度により異なるが、バルクよりも弱いと考えられる。また、多孔度が高いほど機械的強度は弱くなる。すなわち、貼り合わせウエハに圧縮、引っ張りあるいは揃断力をかけると、まず多孔質層が破壊されることになる。また、多孔度を増加させれば、より弱い力で多孔質層を破壊できる。
【0059】
本発明における多孔質領域の層構造は、表面側からの2層が順に低多孔度の薄層、高多孔度の層である少なくとも2層以上の多孔度の異なる層を有する。表面に低多孔度の多孔質層を配置することによって、多孔質領域上に形成する非多孔質層、特にエピタキシャル層の結晶性と表面ラフネス(surface roughness)が著しく向上する。結晶性は本半導体基板上に形成される電子デバイスの特性はもとより、歩留まりに大きく影響する。例えば、多孔度50%の多孔質上のエピタキシャルSi層の結晶欠陥が1×105/cm2ある場合、同じ成長条件で多孔度20%の多孔質上のエピタキシャル層の結晶欠陥は5×103/cm2と1桁半も異なる。また、表面ラフネスを50μm角の領域における原子間力顕微鏡での測定においての平均二乗粗さRrmsで表すとそれぞれ1.2nmと0.3nmと大きく異なる。なお、表面ラフネスが大きいと貼り合わせ工程において不利である。
【0060】
表面の低多孔度の第1の多孔質層は概ね1μm以下であるが、より好ましくは0.5μm以下の厚みであれば、分離工程後の表面平滑化処理によって、残留した層を非多孔質化し、かつ、表面を平滑化することが可能である。この条件の上で、低多孔度の第1の多孔質層の多孔度は40%以下、より好ましくは25%以下であれば、エピタキシャル層の結晶品質と表面粗さを両立させることが可能である。
【0061】
低多孔度の第1の多孔質層直下の高多孔度の第2の多孔質層は上記したような陽極化成の諸条件を制御することによって作製できる。第2の高多孔質層の厚みは、10nm以上あれば十分であり、剥離位置を限定する意味から1μm以下、より好ましくは0.5μm以下であることが望ましい。第2の多孔質層層より下に更に第3の多孔質層を形成しても特に支障はないが、高多孔度層直下の第3の多孔質層の多孔度を高多孔度の第2の多孔質層よりも低くすることにより、剥離位置がより安定化し、分離工程後の表面平滑化処理後の表面ラフネスが向上する。
【0062】
また、高多孔度の第2の多孔質層は多孔質化処理とイオン注入を併用することによっても形成可能である。
【0063】
例えば、バルクSi中にヘリウムや水素のイオンを注入し、熱処理を加えると注入された領域に直径数nm〜数十nmの微小な空洞(micro−cavity)が〜1016-17/cm3もの密度で形成されることが報告されている(例えば、A. Van Veen, C. C. Griffioen, and J. H. Evans, Mat, Res. Soc. Symp. Poroc. 107 (1988, Material Res. Soc. Pittsburgh,Pennsylvania) p.449)。
【0064】
最近はこれら微小空洞群を金属不純物のゲッタリングサイトとして利用することも研究されている。
【0065】
V. RaineriとS. U. Campisanoは、バルクSi中にヘリウムイオンを注入、熱処理して空洞群を形成した後、基板に溝を形成して空洞群の空洞の側面を露出し酸化処理を施した。その結果、空洞群は選択的に酸化されて埋め込み酸化Si層を形成した。すなわち、SOI構造を形成できることを報告した(V. Raineri, and S. U. Canpisano, Appl. Phys. Lett. 66 (1995) p.3654)。しかしながら、彼らの方法では表面Si層と埋め込み酸化Si層の厚みは空洞群の形成と酸化時の体積膨張により導入されるストレスの緩和の両方を両立させる点に限定されている上に選択酸化のために溝の形成が必要であり、基板全面にSOI構造を形成することができなかった。斯様な空洞群の形成は、金属への軽元素の注入に伴う現象として、これら空洞群の膨れ、ないし、剥離現象とともに、核融合炉の第一炉壁に関する研究の一環として報告されてきた。
【0066】
イオン注入層には、上記のように気泡が生じることはよく知られており、あたかも多孔質を内部に形成したような構造となる。したがって、この層は、機械的にもろく、さらには、陽極化成の多孔質と同様に増速酸化や増速エッチングが可能となる。
【0067】
イオン注入元素は水素や希ガスに限定されることはなく、界面付近に注入損傷層、注入元素の高濃度層(ひずみ層)あるいはバブル層が形成されれば良い。
【0068】
陽極化成により形成された多孔質層中に投影飛程が含まれるようにイオン注入を行なえば、投影飛程近傍では多孔質の孔壁中に気泡が形成され、多孔度が高まる。イオン注入は陽極化成による多孔質層形成の前であっても、後であっても構わない。さらには、非多孔質層構造を形成した後であっても構わない。
【0069】
多孔質層上のエピタキシャル成長工程では、その第1ステップとして多孔質Siの表面孔を埋めるためのH2中のベーキング(熱処理)がエピタキシャル層の高品質化には極めて有効である(N. Sato, et al., J. Electrochem. Soc., Vol.142, No.9, 3116 (1995))。このH2ベークで多孔質の最表面層の構成原子は孔を埋めるために消費される。したがって、H2ベーク前の最表面が低多孔度の薄層であれば、この水素ベークにおける孔の封止は促進される。この低多孔度の薄層を概ね1μm以下、より好ましくは0.5μm以下に薄くすれば、エピタキシャル成長後のエピタキシャル層下方近くに多孔度の大きい多孔質層を配することが可能で、これによってエピタキシャル層近傍の多孔質領域中で分離可能であり、かつ、分離後に残留する低多孔度薄層の厚さは1μm未満、時には0.5μm未満にできるので、後の平滑化処理により平滑化可能である。また、H2ベークに先立って多孔質領域を形成した基体をHF含有液中に浸すことにより多孔質層の表面近傍の多孔質の孔の側壁の酸化膜を除去しておけば、HFで酸化膜が除されて露出した表面層のうち非多孔質化されなかった部分はこのH2ベーク中を含む熱処理工程中で、孔の凝集が起こり、孔の側壁の酸化膜もなく機械強度が弱くなり、分離しやすい層が形成される。
【0070】
陽極化成後、多孔質層を低温酸化せずにエピタキシャル成長、表面酸化、貼り合わせ熱処理等の高温プロセスを通すと、多孔質層は構造変化をおこし、陽極化成時は微小孔であったものが孔が凝集して孔の拡大が起こる。これを利用するとエピタキシ層直下の孔の拡大と多孔質SiとエピタキシャルSiとの間のひずみによりエピタキシャル層の下方近傍での分離を促進することができる。
【0071】
本発明では、貼り合わせたウエハの高多孔度の第2の多孔質層における分離に引き続いて、転写された非多孔質層の表面上に残留する低多孔度の残留部の平滑化処理を行なう。
【0072】
平滑化処理としては、非酸化性雰囲気での熱処理、ないしは、真空中での熱処理が好適であるが、これに限定されるものではない。熱処理においては、特に非酸化性雰囲気として水素、ないしは、He、Ne、N、Ar、kr、Xe等の不活性ガス、あるいは、これらの混合雰囲気が望ましい。真空中での熱処理においては、真空度は10-7Torr以下であることが望ましい。いずれの場合においても、雰囲気内に不純物として残る残留酸素、水分は、表面を酸化して保護膜にして表面の平滑化を阻害するので、低く抑制することが必要である。マイナス92℃以下の露点を呈する雰囲気にすることが望ましい。
【0073】
斯様な雰囲気中であれば、表面の凹凸は表面エネルギーを最小化すべく表面原子のマイグレーションによって平滑化される。特に雰囲気中に水素を含めば、その還元作用により、保護膜の形成を抑制し、表面平滑化を促進する。本発明者らは、かかる表面平滑化効果と残留多孔質層の厚みの関係について検討した結果、概ね1μm以下、より好ましくは0.5μm以下の多孔質層であれば、熱処理によって表面が平滑化され、かつ、平滑化された後の層中に残留孔に起因する空洞が生成されないようにできること、すなわち、非多孔質化できることを知見するに至った。残留多孔質層厚が厚い場合には残留孔が空洞として内部に残ってしまいやすい。熱処理による平坦化においては、主として表面の平滑化は表面原子のマイグレーションにより進行するのであるから、エッチング量は極めて低く抑制される。特に雰囲気中の残留酸素、水分を低く抑制した場合にはエッチング量はほとんど0にできる。
【0074】
従来報告されていたが如く、長い選択エッチング工程を用いる必要がないため、工程短縮ないし削減の効果はもとより、エッチングの選択比が十分でないような場合に生じる非多孔質層の過剰エッチングによる膜厚均一性の劣化といった問題も生じにくい。よって、非多結晶層としてのエピタキシャルSi膜の均一性は一切劣化することがない。
【0075】
本発明によれば、特に単結晶多孔質層上に形成した非多結晶としてのエピタキシャルSi膜を分離して選択エッチングをすることなく、別の基板に移設することができる。特にエピタキシャルSi膜には、バルクSiに特有の欠陥が伝播しないため、デバイスの歩留まりを向上させることが可能となる。現在でも、CPU等の高性能LSIには、エピタキシャルウエハが使用されている。今後ウエハの大口径化が進み、高品質結晶の引き上げ法による製造が難しくなると言われており、バルクウエハの品質維持には困難が予想される。よって、ますます、エピタキシャルウエハの必要性は高まる。当然、バルクウエハを置き換えんとするSOI基板においてもエピタキシャル膜の必要性は高まる。
【0076】
また、非多孔質層の電気伝導型や、不純物濃度は、エピタキシャル成長時の電気伝導型や、不純物濃度を制御して任意に設定できるため、同じ第1の基板から電気伝導型や不純物濃度の異なる多種のSOI基板を作製することができる。
【0077】
さらに、電気伝導型や、不純物濃度の異なる多層構造のエピタキシャル膜を形成すれば、元から多層SOI基板として、特に高濃度埋め込み層をもつSOI基板を作製することもできる。
【0078】
上記広範な多様な作用は、特開平5−211128の様なバルクウエハの最表面層をイオン注入で剥がして別基板に転写する方法では不可能である。
【0079】
また、多孔質領域および非多孔質層中の多孔質領域と接する下層部がともにエピタキシャル成長した層の場合には、第1の基板は、何度使用しても基板の厚さを減じることがなく、半永久的に再使用できる。よって、上記高品質化に加えて、特に大口径ウエハでは省資源、コスト面で大変なメリットがある。
【0080】
また、化合物半導体単結晶は、大口径で結晶性の良好なウエハを得ることは困難、かつ、高価であった。しかし、本方法によれば、多孔質Si領域上へのヘテロエピタキシャル成長を利用することにより、結晶性の良好な化合物半導体単結晶膜を大面積基板上に形成することが可能である。
【0081】
一方、本発明においては、基板を多孔質化させてから、融点以下の温度による熱処理により、多孔質化した基板の表面層を非多孔質単結晶層にすることができる。この場合、シラン等の半導体ソースガスを用いることなく、結晶性の良好な非多孔質単結晶層を多孔質化した基板上の表面に形成できる。さらに、形成した非多結晶単結晶層の表面を酸化してもう一方の基板に貼り合わせたり、又は、表面を酸化したもう一方の基板に非多孔質単結晶層を貼り合わせたり、あるいは、両方の表面を酸化して貼り合わせた後に、高多孔度層より剥離したのち、残留する低多孔度の部分を平滑化すれば、酸化層上に良質な単結晶構造を有する、大面積に渡り均一平坦な、欠陥の著しく少ない単結晶層を形成することができる。
【0082】
さらに本発明の半導体基板の作製方法は、上記方法で分離された第1のSi基体は残留する多孔質層を除去した後、あるいは除去しなくても良ければそのまま、さらに表面平坦性が不十分であれば表面平坦化処理を行うことにより、再び第1の基板、あるいは次の第2の基板として、あるいは他の用途の基板として再利用することが可能である。この表面平坦化処理は通常半導体プロセスで使用される研磨、エッチング等の方法でもよいが、非酸化性雰囲気での熱処理によっても構わない。非酸化性雰囲気としては特に水素、ないしは、不活性ガス、あるいはこれらの混合ガス雰囲気が好適である。または、真空中での熱処理であっても構わない。この熱処理は条件を選ぶことにより、局所的には原子ステップが表出するほど平坦にすることができる。
【0083】
また、非多孔質を転写した後の第1の基板を、再度繰り返し第1の基板として用いる場合には、この第1の基板は強度的に使用不可となるまで何度でも再使用することが可能である。
【0084】
第1の基板はその表面層以外は多孔質化されることなく元のまま保持されているため、第1の基板の両面を共に主面とし、その面にそれぞれ支持基板を貼り合わせることにより、2枚の貼り合わせSOI基板を同時に1枚の第1の基板から作製することができるので、工程を短縮し、生産性を向上することができる。もちろん、分離された第1の基体は再利用することが可能である。
【0085】
こうして得られた基板はSOI構造の大規模集積回路を作製する際にも、高価なSOSや、SIMOXの代替足り得る。
【0086】
第2の基体としては、例えばSi基板、Si基板に酸化Si膜を形成したものがある。或いは、石英、溶融石英、シリカガラス、ガラス、サファイヤのような光透過性絶縁性基板でもよいし、あるいは、金属基板などでもよく特に限定されるものではない。
【0087】
図2を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0088】
図2の(a)に示すように第1のSi単結晶基板11を用意して、主表面上に表面側から低多孔度の第1の多孔質層12、高多孔度の第2の多孔質層13を有する少なくとも2層からなる多孔質領域を形成する。層13は少なくとも1層からなる。多孔質Siは、Si基板をHF溶液中で陽極化成することにより形成することができる。低多孔度薄層の厚みは前述したとおりである。一方、第2の多孔質層である高多孔度層は低多孔度薄層より多孔度が高いことはもちろんのこと、この高多孔度層よりも下層に更に第3の多孔質層がある場合は、この第2の多孔質層の多孔度はこの第3の多孔質層よりも多孔度が高いことが望ましい。換言すると第2の多孔質層の多孔度は多孔質領域中最大の多孔度を有することが望ましい。また、2番目の多孔質層の厚みは、前述したとおりである。
【0089】
図2の(b)に示すように、多孔質領域12、13上に少なくとも1層の非多孔質層14を形成する。非多孔質層14は、前述した材料から選ばれ、具体的には、単結晶Si、多結晶Si、非晶質Si、金属膜、化合物半導体薄膜、超伝導薄膜などである。この非多孔質層には、MOSFET等の素子構造を形成しても構わない。多層構造であれば、埋め込み層を持ったSOIにもなる。さらに、最表面層にSiO2などの絶縁膜15を形成しておいた方が、貼合わせ界面の界面準位を活性層から離すことが出来るという意味でもよい。
【0090】
そして、図2の(c)に示すように、第2の基板16の表面と第1の基板の表面とを室温で密着させる。
【0091】
図2の(c)は第2の基板と第1の基板とが、絶縁層15を介して貼り合わされた様子を示してあるが、非多孔質層14がSiでない場合、あるいは第2の基板がSiでない場合には絶縁層15はなくてもよい。
【0092】
貼り合わせに際しては絶縁性の薄板をはさみ3枚重ねで貼り合わせることも可能である。
【0093】
次に、図2の(d)に示すように第2の多孔質層13における第1多孔質層12側の最表面の薄い層で基板を分離する。分離する方法としては、加圧、引っ張り、剪断、楔、等による外圧をかける方法、超音波を印加する方法、熱をかける方法、酸化により多孔質領域を周辺から膨張させ多孔質領域内に内圧をかける方法、パルス状に加熱し、熱応力をかける方法、あるいは軟化させる方法等があるがこの方法に限定されるものではない。
【0094】
続いて、第2の基板側の表面に対して第1の多孔質層14の残留部の非多孔質化作用も伴うその表面の平滑化処理を行なう。平滑化処理は、前述したとおりである。
【0095】
以上の結果、図2の(e)に示すような半導体基板が得られる。第2の基板16上に非多孔質層14、例えば単結晶Si薄膜が平坦に、しかも均一に薄層化されて、ウエハ全域に、大面積に形成される。第2の基板と第1の基板とを間に絶縁層15が介在するように貼り合わせれば、絶縁分離された電子素子作製に好適な半導体基板になる。
【0096】
第1のSi単結晶基板11は図2の(f)のように第2の多孔質層の残留部が不要であれば除去して、表面平滑性が許容できないほど荒れている場合には表面平滑化を行った後、再度、第1の基板11、あるいは第2の基板16として使用し、図2に示した工程を再び繰り返して、もう1つの半導体基板を作り得る。
【0097】
図1、2に示した工程を第2の基体を2枚用いることにより第1の基体の両面に基板作製のプロセスを施し、半導体基板を同時に2枚作製することもできる。その様子を図3に示す。
第1の基板11は、両面上の残留多孔質層13を不要であれば除去して、表面平坦性が許容できないほど荒れている場合には表面平滑化を行った後、再度、第1の基板11として利用できる。あるいは2つの第2の基板16のうち一方としても使用できる。
【0098】
2つの支持基板16は、その大きさや材料が同一でなくても良い。
【0099】
2つの非多孔質層14は、その大きさや材料が同一でなくてもよい。
【0100】
絶縁層15はなくてもよい。
【0101】
従来の貼り合わせ基板の作製方法は第1のSi基板を研削やエッチングにより片面から順次除去していく方法を用いているため、第1のSi基板の両面を有効活用し支持基板に貼り合わせることは不可能である。しかし、上記実施例によれば、第1のSi基板はその表面層以外は元のまま保持されているため、第1のSi基板の両面を共に主面とし、その面にそれぞれ支持基板を貼り合わせることにより、2枚の貼り合わせ基板を同時に1枚の第1のSi基板から作製することができるので、工程を短縮し、生産性を向上することができる。もちろん、分離された第1のSi基体は再利用することが可能である。
【0102】
例えば、シリコンの場合はSi基板を多孔質化させてから、融点以下の温度により熱処理して、多孔質化したシリコン基板の表面層を非多孔質シリコン単結晶層にすることで、シラン等のシリコン含有ソースガスを用いることなく、結晶性の良好なシリコン単結晶層を多孔質化したシリコン基板上の表面に形成できる。
【0103】
図4は、本発明による第1の多孔質層と第2の多孔質層との形成工程と、非多孔質層の形成工程と、分離工程における多孔質領域の様子を模式的に示す。
【0104】
図4の(a)は孔P1をもつ低多孔度の層12aと、孔P1より大きな径の孔P2をもつ高多孔度の第2の多孔質層13とが基板11の表面に形成されている様子を模式的に示している。
【0105】
図4の(b)は非多孔質層の形成工程として、低多孔度の層12aの表面側の部分を熱処理により非多孔質化し、非多孔質層14を形成した時の様子を模式的に示している。つまり、基板11の表面には、第2の多孔質層13、第1の多孔質層12、非多孔質層14が積層体が形成されている。
【0106】
図4の(c)は、分離後の様子を模式的に示しており、第1の多孔質層12と第2の多孔質層13との界面if側にある、第2の多孔質層の界面部分が崩壊して分離されている時の様子を示している。
【0107】
図4は、本発明の理解を容易にする為に模式的に示しているが、多孔質層の孔の形状や、分離された面の形状はより複雑であることが多い。
【0108】
又、非多孔質化の工程(b)の後、エピタキシャル成長等を行って非多孔質層14の厚さを増大させてもよい。
【0109】
【実施例】
[実施例1]
第1の単結晶Si基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0110】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0111】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: t(min)
多孔質Siの厚み:x(μm)
さらに、
電流密度: 50(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 10(sec)
多孔質Siの厚み:0.2(μm)
第1の陽極化成の時間tを、第1の低多孔度多孔質層厚xが0, 0.2, 0.5, 1.0, 1.5μmとなるように、それぞれ0, 0.2, 0.5, 1.0, 1.5minと変えて行った。
【0112】
電流密度を50mA・cm-2としたこの陽極化成により、第2の多孔質Si層の多孔度は大きくなり、構造的に脆弱な高多孔度薄層が形成された。
【0113】
このウエハをエピタキシャル装置に入れた後、水素中に配置して1060℃ベークした。この状態でサンプルを取出して走査型電子顕微鏡で観察すると多孔質Siの表面孔は封止されていることが確認された。結果として、低多孔度薄層の最表面層は孔を埋めるために消費され、非多孔質状態になった。特に、低多孔度の層を1.0μm以下の所定層厚に形成し、その後、表面層を非多孔質化して、残りの低多孔質度の層の厚さは0.5μm以下になった。引き続いて多孔質Si上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0114】
ソ−スガス: SiH2Cl2/H2
ガス流量: 0.2/180 l/min
ガス圧力: 760 Torr
温度: 1060 ℃
成長速度: 0.15 μm/min
さらに、このエピタキシャルSi層表面に熱酸化により200nmのSiO2層を形成した。
【0115】
前記SiO2層表面を別に用意したSi基板(第2の基板)の表面に重ね合わせ、接触させた後、1180℃で5分間アニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0116】
貼り合わせウエハを分離させたところ、高多孔度層中の高多孔度層と低多孔度層との界面付近で分割された。そのどの方法でも分離することは可能であった。引き続いて、常圧の水素雰囲気中に基板を設置し、1100度4時間の熱処理を施した。その結果、第2の基板上に残留していた低多孔度薄層はすべて非多孔質化された。断面を電子顕微鏡で観察したところ、残留する空洞等は確認できなかった。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さは低多孔度層の厚みが0, 0.2, 0.5, 1.0, 1.5μmに対してそれぞれ、およそ0.5, 0.2, 0.2, 0.4, 1.5nmで、1.0μm以下の厚さの低多孔度薄層に対する表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。同様に結晶欠陥密度を測定したところ、積層欠陥密度は低多孔度層の厚みが0, 0.2, 0.5, 1.0, 1.5μmに対してそれぞれ、およそ1×105,6×103,5×103,5×103,5×103/cm2で、低多孔度薄層を導入することによって結晶欠陥密度は激減した。
【0117】
こうして、Si酸化膜上に低欠陥密度の単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性はそれぞれ211nm±4nm、412nm±9nm、690nm±14nm、1201nm±24nm、1707nm±34nm、であった。この単結晶Si層は、低多孔度の層が非多孔質化した部分も含むので厚さが異なっている。
【0118】
第1のSi基板側に残った荒れは、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して表面平滑化処理をして後、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用することができた。この時、多孔質Siが比較的多く残っている場合には、予め49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングし、その後、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施せば、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用できる。
【0119】
[実施例2]
第1の単結晶Siウエハの表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0120】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0121】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 0.1(min)
第1の多孔質Siの層厚み:0.1(μm)
さらに、
電流密度: 50(mA・cm-2
陽極化成溶液:HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 5(sec)
第2の多孔質Si層の厚み: 0.1(μm)
さらに3層目を作製してもよい。条件は例えば
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 1(min)
第3の多孔質層Siの厚み:1(μm)
この陽極化成により、50(mA・cm-2)による多孔質Si層の多孔度は多孔質領域中もっとも大きくなり、構造的に脆弱な高多孔度層が低多孔度薄層の下に形成された。
【0122】
このウエハを酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。このウエハを1%のHF水溶液に30秒程度浸積することで多孔質表面および、表面近傍の孔の内壁に形成された極薄の熱酸化膜を除去した。このウエハを超高真空装置に入れた後、1×10-9Torrで1000℃で5分間ベークした。この状態でサンプルを取出して走査型電子顕微鏡で観察すると多孔質Siの表面孔を封止されていることが確認された。結果として、低多孔度薄層の最表面層は孔を埋めるために消費され、非多孔質状態になった。この基板をエピタキシャル成長装置に設置し、多孔質Si上にCVD法により単結晶Siを1.0μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0123】
ソ−スガス: SiH2Cl2/H2
ガス流量: 0.4/180 l/min
ガス圧力: 80 Torr
温度: 900 ℃
成長速度: 0.15 μm/min
さらに、このエピタキシャルSi層表面に熱酸化により200nmのSiO2層を形成した。
【0124】
前記SiO2層表面を別に用意したSi基板(第2の基板)の表面に重ね合わせ、接触させた後、1100℃で10分間でアニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0125】
貼り合わせウエハを分離させたところ、3層目の化成電流密度が7mA/cm2とした方は2層目の高多孔度層の第1の多孔質層と第2の多孔質層との界面付近で分割された。すなわち、2層目の多孔度を多孔質層構造中最大多孔度とすると分割しやすかった。引き続いて、水素雰囲気、50Torrの圧力下に第2の基板を設置し、1100度2時間の熱処理を施した。その結果、第2の基板上の転写されたエピタキシャルSi層表面に残留する低多孔度薄層はすべて非多孔質化された。断面を電子顕微鏡で観察したところ、残留する空洞等は確認できなかった。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.3nmで表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。同様に結晶欠陥密度を測定したところ、積層欠陥密度は 5×103/cm2で、低多孔度薄層を導入することによって結晶欠陥密度は激減した。
【0126】
以上の結果、第2の基板のSi酸化膜上に低欠陥密度の単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性はそれぞれ1011nm±22nmであった。
【0127】
酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形成しても同様の結果が得られた。
【0128】
第2の基板表面に残っていた多孔質Siは、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニールの表面処理を施して再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用できるようにした。
【0129】
[実施例3]
第1の単結晶Si基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0130】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0131】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 3(min)
多孔質Siの厚み:3(μm)
この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。このウエハ表面から投影飛程が多孔質Si中でかつ表面から0.3μm付近になるようにイオン打ち込みした。このイオン注入される元素は限定されることはなく、界面付近に注入損傷層、注入元素の高濃度層(ひずみ層)あるいはバブル層が形成されれば良い。
【0132】
多孔質Si上にCVD法により単結晶Siを0.15μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0133】
ソ−スガス: SiH2Cl2/H2
ガス流量: 0.5/180 l/min
ガス圧力: 80 Torr
温度: 900 ℃
成長速度: 0.15 μm/min
さらに、このエピタキシャルSi層表面に熱酸化により100nmのSiO2層を形成した。
【0134】
前記SiO2層表面と別に用意したSi基板(第2の基板)の表面とを重ね合わせ、接触させた後、アニールしたところ、貼り合わせは強固になった。アニール条件は、上記注入損傷層、注入元素の高濃度層(ひずみ層)あるいはバブル層が拡散しない条件で行う。この状態の断面を電子顕微鏡で観察するとイオン注入した位置の多孔質の多孔度が上昇していることが確認された。すなわち、イオン注入によって後に分離層となる高多孔度層が形成された。
【0135】
貼り合わせウエハを分離させたところ、イオン注入によって形成された高多孔度層で分割された。
【0136】
引き続いて、H2をArで希釈した雰囲気中に第2の基板を設置し、1200度2時間の熱処理を施した。その結果、第2の基板の転写された単結晶Si層上に残留する低多孔度薄層はすべて非多孔質化された。断面を電子顕微鏡で観察したところ、残留する空洞等は確認できなかった。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.3nmで表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。同様に結晶欠陥密度を測定したところ、積層欠陥密度は6×103/cm2で、低多孔度薄層を導入することによって結晶欠陥密度は激減した。
【0137】
以上の結果、Si酸化膜上に低欠陥密度の単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性はそれぞれ311nm±6.2nmであった。
【0138】
第1の基板の表面に残っている多結晶Siは、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニールの表面処理を第1の基板に施して再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用できるようにした。
【0139】
[実施例4]
第1のp-単結晶Si基板の表面に予めボロンを拡散し、p+層をおよそ0.2μmの厚さに形成した。
【0140】
続いて、この基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0141】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0142】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 2(min)
この基板を走査型電子顕微鏡で観察すると表面に多孔度20%の層がおよそ0.2μmの厚さ、その下に多孔度50%の多孔質層がおよそ0.4μm形成されていた。
【0143】
この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。このウエハをエピタキシ装置に入れた後、水素中で1060℃で5分間ベークし、さらにSiソースを微小量供給しながら、ベークすることで、多孔質Siの表面孔を埋めた。表面孔の埋まった多孔質Si上にCVD法により単結晶Siをp−エピタキシャル層を0.45μm 、n+エピタキシャル層を1.0μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0144】
ソ−スガス: SiH2Cl2/H2
ガス流量: 0.5/180 l/min
ガス圧力: 80 Torr
温度: 900 ℃
成長速度: 0.15 μm/min
さらに、このエピタキシャルSi層表面に熱酸化により100nmのSiO2層を形成した。
【0145】
前記SiO2層表面と別に用意したSi基板(第2の基板)の表面をO2プラズマで処理をし、水洗した後に重ね合わせ、接触させた後、400℃で60分間アニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0146】
貼り合わせウエハを分離させたところ、低多孔質層側界面付近の高多孔度層で分割された。
【0147】
引き続いて、残留酸素、水分を十分に除去した超高真空装置中に第2の基板を設置し、1×10-9Torrの圧力下で950度4時間の熱処理を施した。その結果、第2の基板上に残留する低多孔度薄層はすべて非多孔質化された。断面を電子顕微鏡で観察したところ、残留する空洞等は確認できなかった。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.5nmで表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。同様に結晶欠陥密度を測定したところ、積層欠陥密度は6×103/cm2で、低多孔度薄層を導入することによって結晶欠陥密度は激減した。
【0148】
以上の結果、第2の基板のSi酸化膜上にn+埋込み層を含み1.6μmの厚みを持った単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性は1.6μm±0.03μmであった。
【0149】
第1の基板側に残った荒れは、水素アニールの表面処理を施して表面平坦化処理をして後、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用することができた。多孔質Siが残っている場合には、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングし、その後、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施せば、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として投入することができる。
【0150】
[実施例5]
第1の単結晶Si基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0151】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0152】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 0.1(min)
多孔質Siの厚み:0.1(μm)
続いて、溶液の濃度を下記の通り変えて、陽極化成を行なった。
【0153】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:2:1
時間: 1(min)
多孔質Siの厚み:0.6(μm)
この基板を走査型電子顕微鏡で観察すると第2の化成に相当する高多孔度層が表面からおよそ0.1μmの深さに形成されていた。
【0154】
この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。この多孔質Siの表面付近の酸化膜をHF除去した。このウエハをエピタキシ装置に入れた後、水素中で1040℃で5分間ベークし、多孔質Siの表面孔を埋めた。表面孔の埋まった多孔質Si上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により単結晶GaAsを0.5μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0155】
ソ−スガス: TMG/AsH3/H2
ガス圧力: 80 Torr
温度: 700 ℃
前記GaAs層表面と別に用意したSi基板(第2の基板)の表面とを重ね合わせ、接触させた後、700℃で1時間でアニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0156】
貼り合わせウエハを分離させたところ、低多孔度層側界面近傍の高多孔度層で分割された。
【0157】
以上の結果、第2のSi基板上に0.5μmの厚みを持った単結晶GaAS層が形成できた。形成された単結晶GaAs層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性は0.5μm±0.01μmであった。
【0158】
GaAs層の表面は荒れており、さらに多孔質Siの残さが残っている可能性があったため、表面タッチポリッシュを行った。その結果、通常市販されているGaAsウエハと同等な表面平滑性が得られた。
【0159】
透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Si層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶性が維持されていることが確認された。
【0160】
第2の基板としては、Si基板の代わりに表面を酸化したSi基板を用いることもできる。また、Si基板あるいはGaAs層表面に堆積SiO2膜を形成して後、貼り合せてもよい。この場合には、出来た基板は絶縁性基板上のGaAsとして使用される。
【0161】
第1の基板側に残った荒れは、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して表面平坦化処理をすれば、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用することができる。多孔質Siが残っている場合には、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングすればよく、その後、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1の基板としてあるいは第2の基板として使用できる。
【0162】
[実施例6]
第1の単結晶Si基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0163】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0164】
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 0.2(min)
多孔質Siの厚み:0.2(μm)
さらに、
電流密度: 50(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 10(sec)
多孔質Siの厚み:0.2(μm)
この陽極化成により、50(mA・cm-2)による多孔質Si層の多孔度は大きくなり、構造的に脆弱な高多孔度薄層が形成された。
【0165】
このウエハをエピタキシ装置に入れた後、水素中で1060℃で5分間ベークした。この状態でサンプルを取出して走査型電子顕微鏡で観察すると多孔質Siの表面孔を封止されていることが確認された。結果として、低多孔度薄層の最表面は孔を埋めるために消費され、非多孔質状態になった。引き続いて多孔質Si上にCVD法により単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。
【0166】
ソ−スガス: SiH2Cl2/H2
ガス流量: 0.2/180 l/min
ガス圧力: 760 Torr
温度: 1060 ℃
成長速度: 0.15 μm/min
さらに、このエピタキシャルSi層表面に熱酸化により200nmのSiO2層を形成した。
【0167】
前記SiO2層表面と別に用意した石英基板(第2の基板)の表面とN2プラズマで処理をし、水洗した後に重ね合わせ、接触させた後、400℃で60分間でアニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0168】
貼り合わせウエハを分離させたところ、低多孔度層側界面近傍の高多孔度層で分割された。引き続いて80Torrの水素雰囲気中に第2の基板を設置し、950度6時間の熱処理を施した。その結果、第2の基板上に残留する低多孔度薄層はすべて非多孔質化された。断面を電子顕微鏡で観察したところ、残留する空洞等は確認できなかった。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さは0.4nmで、表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。同様に結晶欠陥密度を測定したところ、積層欠陥密度は5×103/cm2であった。
【0169】
以上の結果、第2の基板のSi酸化膜上に低欠陥密度の単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性はそれぞれ412nm±9nmであった。
【0170】
第1の基板側に残った荒れは、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して表面平滑化処理をして後、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として用いるすることができる。多孔質Siが残っている場合には、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングして、その後、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1の基板としてあるいは第2の基板として用いることができた。
【0171】
[実施例7]
第1の単結晶Si基板の表面層をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0172】
陽極化成条件は以下の通りであった。
【0173】
電流密度: 1(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 2(min)
多孔質Siの厚み:0.4(μm)
さらに、
電流密度: 50(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 5(sec)
多孔質Siの厚み:0.1(μm)
さらに3層目を作製してもよい。条件は例えば
電流密度: 7(mA・cm-2
陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1
時間: 1(min)
多孔質Siの厚み:1(μm)
この陽極化成により、50(mA・cm-2)による多孔質Si層の多孔度は大きくなり、構造的に脆弱な高多孔度層が形成された。
【0174】
この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。このウエハを水素ベーク装置に入れた後、水素中で1040℃で5分間ベークし、多孔質Siの表面孔を埋めた。結果として、低多孔度薄層(1mA・cm-2で形成した層)の表面近傍は孔を埋めるために消費され、非多孔質状態になった。すなわち、良質な非多孔質単結晶層がおよそ0.05μmの厚さで形成された。
【0175】
さらに、この非多孔質単結晶層表面に熱酸化により20nmのSiO2層を形成した。
【0176】
前記SiO2層表面と別に用意したSi基板(第2の基板)の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180℃で5分間アニールしたところ、貼り合わせは強固になった。
【0177】
貼り合わせウエハを分離させたところ、低多孔度層側界面近傍の高多孔度層で分割された。
【0178】
引き続いて80Torrの水素雰囲気中に基板を設置し、1100度6時間の熱処理を施した結果、第2の基板の表面に残留する低多孔度層はすべて非多孔質化され単結晶シリコン層と同一化していた。表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm角の領域での平均2乗粗さは0.4nmで、表面ラフネスは通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0179】
以上の結果、Si酸化膜上に400nmの厚みを持った単結晶Si層が形成できた。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点を測定したところ、膜厚の均一性は403nm±8nmであった。
【0180】
透過電子顕微鏡による断面観察の結果、Si層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶性が維持されていることが確認された。
【0181】
第1の基板側に残った荒れは、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して表面平坦化処理をして後、再び第1の基板としてあるいは第2の基板として用いることができる。多孔質Siが残っている場合には、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で攪はんしながら選択エッチングし、その後、水素アニール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1の基板としてあるいは第2の基板として用いることができる。
【0182】
図に示したように、第1の基板の両面において、前述した各実施例の方法を実施できる。
【0183】
各実施例において、貼り合わせ基板分離後の第1の基板側に残った多孔質Si層を除去するのに以下に示す選択エッチング液を用いてもよい。
【0184】
弗酸、
弗酸+過酸化水素水
弗酸+アルコール
弗酸+アルコール+過酸化水素水
バッファード弗酸、
バッファード弗酸+過酸化水素水
バッファード弗酸+アルコール
バッファード弗酸+アルコール+過酸化水素水
また、一般的なSiのエッチング液を用いても、多孔質Siの膨大な表面積によってある程度選択エッチング出来る。
【0185】
以上の各実施例によれば、選択エッチング工程を用いる必要がないため、工程削減の効果はもとより、エッチングの選択比が十分でないような場合に生じる非多孔質層の過剰エッチングによる膜厚均一性の劣化といった問題も生じにくく、第2の基板に転写された膜の均一性は一切劣化することがない。
【0186】
そして、各実施例によれば、大面積にわたって多孔質層領域中の高多孔度層と低多孔質層との界面又は前記界面付近の高多孔度層中でウエハ全面に渡って分離することが出来る。このため、分離後には第2の基板側の残留する低多孔度薄層を平滑化すればよいのであって、多孔質層の残留層の研削、研磨、エッチングなどによる除去工程を短縮ないし省略することが出来る。更に、残留層の厚みは多孔質層構造の形成条件によって制御できる。特に熱処理を行なえば、残留する低多孔度薄層は熱処理工程によって、内部に空洞を残留させることなく非多孔質化し、表面も平滑化できる。こうして、膜厚均一性を向上させることが出来る。これは、超高均一性の要求に対しても歩留まりよくウエハを作製できることを意味する。
【0187】
また、分離後の第1の基板を次のSOI基板作製サイクル時に再び第1の基板として用いる場合には、この第1の基板は強度的に使用不可となるまで何度でも再使用することが可能である。
【0188】
また、多孔質層構造および非多孔質層構造中の低多孔度薄層構造と接する層がともにエピタキシャル層の場合には、第1の基板は、何度使用しても基板の厚さを減じることなく半永久的に再使用できるため、上記高品質化に加えて、省資源、コスト面で大変なメリットがある。
【0189】
ヘテロエピタキシの材料の差による格子定数の違いからその界面あるいはエピタキシャル層には欠陥が導入されることが知られている。さらに、ダブルヘテロエピタキシの場合、両者の膜厚との関係により片方が超薄膜の場合、そちら側に欠陥を導入しやすい。したがって、超薄膜エピタキシャル層上にさらに異種材料をエピタキシャル成長すると超薄膜エピタキシ層に欠陥が導入されることになる。このように格子定数の差と欠陥導入により界面が弱くなり、そこから剥がれることになる。
【0190】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質層の選択エッチング工程を省略乃至短縮することができ、SOI構造の大規模集積回路を作製する際にも、高価なSOSや、SIMOXの代替足り得る安価で高品質の半導体基板の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体基板の作製工程を説明するための模式的断面図である。
【図2】本発明による半導体基板の作製工程の別の例を説明するための模式的断面図である。
【図3】本発明の別の半導体基板の作製工程を説明するための模式的断面図である。
【図4】非多孔質化工程を示す模式的断面図である。
【図5】第1の従来例の工程を説明するための模式的断面図である。
【図6】第2の従来例の工程を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
1 多孔質領域
2 基板
3 第2の基板
11 基板
12 低多孔度薄層
13 高多孔度層
14 非多孔質層
15 第2の層構造あるいは第2の基板の表面に形成した層
16 第2の基板
31 基板
32 多孔質層
33 非多孔質単結晶層
34 支持基板
35 絶縁層
41 基板
42 多孔質
43 非多孔質単結晶層
44 支持基板
45 絶縁層

Claims (3)

  1. 多孔度の異なる少なくとも2つの層を含む多孔質領域と、該多孔質領域上の非多孔質層とを有する第1の基体を用意する工程、
    前記第1の基体と第2の基体とを前記非多孔質層が内側に位置するように貼り合わせる工程、
    前記第1及び前記第2の基体を分離して、前記非多孔質層を前記第2の基体に移す工程、及び、その後に、
    前記非多孔質層を有する前記第2の基体を水素を含む雰囲気中で熱処理する工程とを含み、
    前記第1の基体を用意する工程は、厚さ1μm以下の第1の多孔質層と、該第1の多孔質層に隣接し且つ、前記第1の多孔質層より多孔度の高い第2の多孔質層と、前記第1の多孔質層に隣接する前記非多孔質層とを形成する工程を含むことを特徴とする半導体基板の作製方法。
  2. 前記第1の多孔質層に隣接する前記非多孔質層を形成する工程は、前記多孔質領域を酸素雰囲気中で熱処理し、多孔質の孔壁を酸化膜で覆った後、前記多孔質領域上に前記非多孔質層を形成する工程であることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の作製方法。
  3. 前記多孔質の孔壁を酸化膜で覆う工程と前記多孔質領域上に前記非多孔質層を形成する工程との間に前記多孔質領域表面を水素中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項2記載の半導体基板の作製方法。
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