JP2012161259A - チーズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、発酵及び熟成工程を必要とせずに短時間で製造され、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味及び食感を有するチーズと、従来のナチュラルチーズとを組み合わせて、チーズの種類の多様化およびナチュラルチーズの有効利用を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、乳に食酢又は酸味料を加えて混合し、当該混合物からホエーを除いて固形分を得る工程(A)、および当該固形分にナチュラルチーズ、乳化剤、重曹及び酵母エキス、及び必要に応じて食塩、を加えて加熱して乳化させ、そして当該乳化物を冷やして固化させる工程(B) を含む、チーズの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発酵及び熟成工程を経ないチーズとナチュラルチーズからチーズを製造する方法である。
ナチュラルチーズは、乳に乳酸菌を加えて乳酸発酵させ、次に凝固剤としてレンネットという酵素を加えて固形分(凝乳)を生成し、そして固形分から余分な水分やホエーを除いて得られる生鮮のもの又はそれを熟成したものである。プロセスチーズは、1種類又は数種類のナチュラルチーズを加熱して溶かし、混ぜ合わせて固化させたものであり、加熱及び溶解させることで発酵を止め、長期保存に適したものである。プロセスチーズは、発酵及び熟成工程で生じた成分、例えば香気成分やうまみ成分を有するので、チーズ独特のおいしさを備えている。
ナチュラルチーズの一種として、カッテージチーズが知られている。カッテージチーズは乳に酢やレモンを加えて凝固させたものであり、発酵及び熟成工程を経ていないことから非熟成チーズともいわれる。カッテージチーズは、発酵及び熟成工程を経ていない故に、その味は淡泊であり、わずかな酸味とさわやかな風味を有している。
下記特許文献1は、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状態で加熱して調整されるミート様フレーバを有する粉末調味料と酵母エキスを配合したチーズ風味及び/又は乳感増強剤を記載する(請求項1)。ミート用フレーバを有する粉末調味料は、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状態で、温度70〜180度で10〜180分間加熱することにより調製される(請求項5)。チーズ風味及び/又は乳感増強剤は、チーズの製造に際して添加する(請求項6)。
本発明者は、先に発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法を発明し、特許出願し(特願2010−197041)、特許を受けた(特許第4656548号)。ただし、該発明は、本件特許出願時に未だ非公知である。従来ナチュラルチーズを作るためには、発酵及び熟成工程のために多くの設備が必要であり、これらの工程は製造時間を長くするところ、その特許発明は、発酵及び熟成工程を必要とせずに短時間で製造することが可能であり、しかも発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味及び食感を有するチーズを製造する方法を提供する。
特開2009−261385号公報
本発明は、発酵及び熟成工程を必要とせずに短時間で製造され、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味及び食感を有するチーズと、従来のナチュラルチーズとを組み合わせて、チーズの種類の多様化およびナチュラルチーズの有効利用を図ることを目的とする。
本発明は、乳に食酢又は酸味料を加えて混合し、当該混合物からホエーを除いて固形分を得る工程(A)、および当該固形分にナチュラルチーズ、乳化剤、重曹及び酵母エキス、及び必要に応じて食塩、を加えて加熱して乳化させ、そして当該乳化物を冷やして固化させる工程(B) を含む、チーズの製造方法である。
本発明のチーズの製造方法の工程(A)では、乳に食酢又は酸味料を加えて固形分を得る故に、発酵工程が不要である。また、固形分を熟成させる必要がない。従って、発酵及び熟成工程のための設備が不要であり、それら設備の管理費用も不要である。また、作業スペースも少なくてすむ。さらに、チーズの製造のために要する時間を短縮することが可能である。
また、本発明のチーズの製造方法の工程(A)で得た固形分自体が、工程(B)での乳化の際に乳化剤、重曹及び酵母エキス、及び必要に応じて食塩などの成分を加える故に上記特許第4656548号記載のように、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味を有することになる。
従来のナチュラルチーズ或いはそれを加工したプロセスチーズのうち、独特の強い風味・味を有するものは、それをクセとしてきつ過ぎると感じる消費者もいる。本発明においては、工程(A)で得た固形物と従来の独特の強い風味・味を有するプロセスチーズとを混合することにより、マイルドな風味・味を有するチーズを製造することが出来る。
ナチュラルチーズのカット小包装の際に端切れが出ることは避けられず、それは販売できないので、その分を販売価格に上乗せせざるを得なかった。本発明においては、端切れのチーズを利用して新たなチーズを製造できる。
また、従来では熟成過多のチーズは販売できなかったが、本発明においてそれを利用して新たな風味・味のチーズを製造することが出来る。
1.固形分の生成 工程(A)
本発明の実施態様において、乳に食酢又は酸味料を加えて混合し、生じた混合物からホエーを除くことによって固形分が得られる。
乳は例えば、牛乳、水牛乳、山羊乳、及び羊乳の1つ又はそれらの混合物いずれであってもよい。好ましくは、乳は牛乳である。
牛乳は、超高温瞬間殺菌牛乳又は低温殺菌牛乳のいずれであってもよい。超高温瞬間殺菌牛乳とは例えば、120〜130℃で2〜3秒間殺菌された牛乳をいう。低温殺菌牛乳とは、超高温瞬間殺菌よりも低い温度で殺菌された牛乳をいう。低温殺菌牛乳は例えば、75℃で15秒間殺菌された、又は低温保持殺菌(62〜65℃で30分間)された牛乳をいう。牛乳として、1又は複数の種類の牛乳が使用されてよい。好ましくは、牛乳は低温殺菌牛乳である。なぜならば、超高温瞬間殺菌牛乳は低温殺菌牛乳に比べて、食酢又は酸味料を加えて乳を凝固させた場合にばらばらとまとまりにくいので時間を要するからである。
食酢は例えば、醸造酢若しくは合成酢、又は酢を用いた調味料の1つ又はそれらの混合物であってよい。醸造酢及び合成酢は例えば、日本農林規格(JAS)の食酢品質表示基準による分類において記載された食酢である。醸造酢は例えば、穀物酢(例えば、米酢、米黒酢、大麦黒酢、穀物酢)、果実酢(例えば、りんご酢、ぶどう酢、りんご酢及びぶどう酢のいずれでもない果実酢)、及び穀物酢及び果実酢のいずれでもない醸造酢の1つ又はそれらの混合物を含む。合成酢は例えば、氷酢酸又は酢酸を水で薄め、砂糖類、酸味料、うま味調味料などで味を調えたものである。酢を用いた調味料は例えば、すし酢、甘酢、三杯酢、土佐酢、梅酢である。食酢として、1つ又は複数の食酢が使用されてよい。食酢は好ましくは、水で希釈して使用されうる。食酢の水による希釈率は、食酢の酢酸濃度にもよるが、乳から固形分を得られる濃度であれば任意の希釈濃度を使用することが可能である。
酸味料は例えば、天然由来の酸味料、及び食品添加物として指定されている酸味料の1つ又はそれらの混合物であってよい。天然由来の酸味料は例えば、レモン汁、うめ果汁である。食品添加物として指定されている酸味料は例えば、乳酸、酢酸若しくはクエン酸、又はそれらのナトリウム塩である。酸味料として、1つ又は複数の酸味料が使用されてよい。
乳に食酢又は酸味料を加えて混ぜる際に、食酢又は酸味料は複数回、例えば4〜5回、に分けて乳に混ぜられることが好ましい。食酢又は酸味料は好ましくは、乳にゆっくりと、そして撹拌しながら混ぜられる。
この際に、乳は48〜52℃に加温されることが好ましい。乳に食酢又は酸味料を加えることで生じる混合物は、当該温度範囲で固まりやすく、またまとまりやすい。
乳に食酢又は酸味料を加えて生じる混合物は、固形分及びホエーを含む。固形分は例えば、当該混合物の上清(ホエーである)をデカントすることによって、又は例えばチーズクロスを使用してホエーを除くことによって集められうる。固形分は、上記方法によって、乳1000mLから約110〜150g、平均的には約120〜140gの量で得られうる。
食酢の乳に対する混合比は、食酢の酢酸濃度によっても異なりうる。当該混合比は、乳が固形分とホエーとに分離できる濃度であればよい。
酸味料の乳に対する混合比は、乳が固形分とホエーとに分離できる濃度であればよい。
食酢又は酸味料は例えば、ホエーのpHが、5.1〜5.4になるような量及び濃度で添加されうる。例えば、乳1000容量部に、食酢(酢酸濃度約4〜4.5%)65容量部〜75容量部と水65容量部〜75容量部との混合物を加える。
上記の固形分をラップ包装して冷凍しておいて、下記の乳化物を作る前に解凍して使用することが出来る。したがって、固形分を予め量産、冷凍しておき、後に必要に応じる量で解凍して、使用できる。つまり、工程(A)と工程(B)を時間的及び場所的に別々に行うことができ、ニーズに合わせた製造が出来、利便性が高い。
2.乳化物の生成
本発明の実施態様において、上記で得た固形分にナチュラルチーズ、乳化剤、重曹及び酵母エキス、及び必要に応じて食塩、を加えて加熱して乳化させる。この際に、任意的に醤油及び/又は黄色素をさらに加えてもよい。乳として低温殺菌牛乳を用いた場合、当該固形分にスキムミルクをさらに加えてもよい。好ましい乳化を達成する為に、固形分を好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下に冷やした後に、他の材料は添加されうる。
ナチュラルチーズは、従来のいずれのナチュラルチーズでもよく、例えばグラナ、ミモレット、ゴーダ、エダム、エメンタール、グリーエル、パルメジャーノ、レジャーノ等である。本発明において、ナチュラルチーズとは、プロセスチーズを包含する。
混合比は特に限定されず、ナチュラルチーズの種類、従ってその風味・味、及び最終製品に対する消費者の好みに従って適宜選択できる。好ましくは、工程(A)において得た固形分20〜90重量%とナチュラルチーズ80〜10重量%、より好ましくは工程(A)において得た固形分40〜80重量%とナチュラルチーズ60〜20重量%、更に好ましくは工程(A)において得た固形分50超〜80重量%とナチュラルチーズ50未満〜20重量%の割合である。
酵母エキスは、例えばパン製造用の酵母エキスの1又は複数の種類の混合物であってよい。酵母エキスはまた、天然酵母であってよい。酵母エキスとしては、特に、核酸高含有酵母エキスが、味の面から好ましい。核酸高含有酵母エキスは、例えば、菌体重量あたり10重量%以上のリボ核酸を含有する。核酸高含有酵母エキスは、例えば、アロマイルド(商標)であり、アロマイルド中の5’−ヌクレオチド含有量は約36%である。酵母エキスは、その量が多いとくどい味になり、一方その量が少ないと淡泊な味になる。よって、酵母エキスの種類及び所望の味によって、適宜増減されうる。例えば酵母エキスの添加量は、工程(A)において得た固形分の重量に対して、0.1〜0.9重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%、及び特に好ましくは0.3〜0.7重量%であり、例えば0.4〜0.6重量%である。ナチュラルチーズの種類、従ってナチュラルチーズの味の濃さに依存して酵母エキスの量を、製品チーズの所望の味が得られるように調節できることが、本発明の利点の一つである。
乳化剤は、プロセスチーズを製造する際に使用される乳化剤であれば特に限定されない。乳化剤は例えば、レシチン、サポニン、カゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン酸の塩、ヘキサメタリン酸の塩等の多リン酸の塩、ポリリン酸の塩、及びグルコン酸のアルカリ金属塩の1つ又はそれらの混合物を包含する。乳化剤の添加量は、乳化物が均一になるような量であれば特に限定されない。乳化剤の添加量は、例えば、工程(A)において得た固形分とナチュラルチーズの合計の重量に対して0.5〜5.0重量%、好ましくは0.7〜4.5重量%、及び特に好ましくは1.0〜4.0重量%、例えば1.5〜3.5重量%である。
食塩は、食用塩であれば特に限定されない。食塩の添加量は、工程(A)において得た固形分の重量に対して0〜1.5重量%、好ましくは0〜1.4重量%、及び特に好ましくは0.3〜1.4重量%、例えば0.5〜1.3重量%である。食塩の添加量を多くすると、最終製品において塩味が強くでるために好ましくない。ナチュラルチーズの種類、従ってナチュラルチーズに含まれる食塩の量に依存して、製品チーズの所望の味が得られるように添加する食塩の量を調節できることが、本発明の利点の一つである。ナチュラルチーズが食塩を多く含有する場合に、塩味の少ない製品を望むならば食塩を添加しない。
重曹は、pH調節のために使用される。重曹によって、適度な堅さ、粘度、水分、酸度を最終製品に与えることができる。重曹の添加量は例えば、乳化物のpHが例えば約5.8〜5.9になるように調整しうる。重曹の添加量は、例えば、工程(A)において得た固形分の重量に対して、0.3〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.2重量%、及び特に好ましくは0.7〜0.9重量%であり、例えば0.8重量%である。
スキムミルクとは、乳脂肪分を除いた牛乳からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものである。スキムミルクによって、最終製品であるチーズに適度な堅さ、粘度、水分、酸度、風味を与えることができ、更にスキムミルク由来の風味を与えることができる。スキムミルクは、特に、乳が低温殺菌牛乳の場合に添加するとよい。スキムミルクの添加量は、乳が超高温瞬間殺菌牛乳であるか、又は低温殺菌牛乳であるかによって異なりうる。乳が超高温瞬間殺菌牛乳である場合、スキムミルクを添加しなくてもよい。乳が超高温瞬間殺菌牛乳である場合、スキムミルクの添加量は、工程(A)において得た固形分の重量に対して、0超〜1重量%、好ましくは0超〜0.8重量%、特に好ましくは0超〜0.5重量%である。乳が低温殺菌牛乳である場合、スキムミルクの添加量は、固形分の重量に対して、5〜15重量%、好ましくは8〜15重量%、特に好ましくは10〜15重量%であり、例えば12〜13重量%である。
醤油は、特にその種類は限定されない。醤油は、酵母エキスと相俟って、最終製品であるチーズに、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味を与えうる。しかしながら、本発明のチーズを得るために、醤油を添加せずとも、酵母エキスが添加されていればよい。醤油の添加量は、工程(A)において得た固形分の重量に対して0.7〜1.4重量%、好ましくは0.8〜1.3重量%、及び特に好ましくは0.9〜1.3重量%であり、例えば1.2〜1.3重量%である。醤油の添加量を多くすると、最終製品において醤油味が強すぎるために好ましくない。
黄色素は、食用黄色素であればその種類は特に限定されない。黄色素は例えば、ベニバラ黄色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ黄色素及びクチナシ黄色素の1つ又はそれらの混合物を含む。特に、ベニバラ黄色素が好ましい。また、一般的なチーズ色でなくても良い場合は、その他の色の色素を任意に使用することが可能である。黄色素の添加量は、最終製品であるチーズの色が、既存のプロセスチーズの色に近くなるような量であれば特に限定されない。また、黄色素の添加量は、黄色素の原料の色強度によって、適宜増減されうる。
本発明の製造方法において、蔗糖、ソルビトール、アスパルテーム等の甘味剤、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン等の安定剤、乳酸等のpH調整剤、さらにフレーバ等を固形分に任意的に添加してもよい。
加熱には、電子レンジを使用しうる。電子レンジによる乳化の場合、電子レンジ内の庫内の上下に温度差があるので容器の中を見ながら、吹きこぼれ等のないように当該容器を電子レンジから4〜5回取り出して撹拌し、均一の温度(80℃)に保つようにするのがよい。
また、加熱には、二重釜(ジャケット式)の加熱機を使用しうる。蒸気を混合物に直接吹き込むと、乳化物中で部分的な水分差が生じやすく、粘度にむらがでやすいので好ましくない。
加熱は例えば、65〜85℃、好ましくは80〜85℃、さらに好ましくは83〜85℃である。保存の観点からは、65〜85℃で効果がある。乳化の観点からは、83〜85℃が好ましい。上記温度に乳化物を保つことにより、完全な乳化とともに乳化物の殺菌も同時に行える。
3.乳化物の固化
乳化物は、乳化物を80℃いう高温に保ちながら型に入れられ、環境温度下で又は冷蔵条件(約4〜10℃)下で固化される。固化されたものが最終製品であるチーズである。高温下で型に入れられることから成形性がよい。また、高温下で型に入れられることから最終製品の保存性もよい。
最終製品の水分は好ましくは、約42〜46重量%であり、より好ましくは約45重量%である。
製品の味は、発酵及び熟成工程を経たプロセスチーズと同様の味及び食感(粘性、弾力、ボディ感)を有した。最終製品が発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味を有している理由は、酵母エキス、乳化剤、及び重曹、並びに所望により食塩を加えての乳化によるものであり、また酵母エキスが固形分中のタンパク質や脂肪を分解結合(糊化)させるためであると考えられる。
製品は、冷蔵条件(約4〜10℃)下で、約6ヶ月間の保存が可能である。
以下、実施例において、本発明を説明する。
(超高温瞬間殺菌牛乳を使用したチーズの製造)
超高温瞬間殺菌牛乳(メグミルク牛乳、日本ミルクコミュニティ株式会社)1,000mlを湯煎で50℃まで加熱した。その中に、食酢(株式会社 ミツカン)65mlと水65mlとの混合物を4〜5回に分けて徐々に入れ、ヘラで静かに混ぜた。その際のpHは、約5.1〜5.4であった。その結果、ばらばらとした固形物が生じた。ばらばらとなった理由は、超高温瞬間殺菌牛乳では、牛乳中のタンパク質が高温のためにタンパク分解しているからであると考えられる。さらに、65℃まで加熱した。
次に、当該固形物とホエーの混合物をガーゼに受けて、ホエーを除き、固形物を得た。ガーゼ上の固形分を、ボール中の水につけて軽く手で揉んで約30℃まで冷やした。
冷えた固形分を水中から取り出して、両手で固形分を搾って水が流れ落ちなくなるまで水分を搾った。得られた固形分は、125gであった。
上記で得た固形分70重量部を包丁で刻んだ。熟成イタリア製グラナチーズ30重量部を粉砕した。これらを混合した合計100重量部に、乳化剤(JohaSE(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.2重量部、JohaC(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.0重量部)、酵母エキス(アロマイルド(商標)、株式会社興人)0.4重量部、重曹0.6重量部、及びベニバラ黄色素(サフラワーエローコンク、保土谷化学工業株式会社)0.6重量部を加え、混合した。
混合物を85℃に加熱して、全体を乳化し、型に注ぎ、5℃で冷却し、製品チーズを得た。できあがったチーズの色は、一般的なチーズの色と同様であった。
(官能試験)
実施例1のチーズを厚さ3mmぐらいにカットした。また、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)(縦45mm、横100mm、厚さ20mm)及び熟成イタリア製グラナチーズを対照として使用し、同様に厚さ3mmぐらいにカットした。
5人のパネラーを用意し、実施例1のチーズ、市販のプロセスチーズ及び熟成イタリア製グラナチーズの呈味及び食感を比較した。その際、実施例1のチーズ、市販のプロセスチーズ及び熟成イタリア製グラナチーズのいずれかであるかが特定されないように、記号を付して試験を行った。
その結果、3人のパネラーが、実施例1のチーズは、市販のプロセスチーズと同様の味及び食感を有していると評価した。また、残り2人のパネラーが、実施例1のチーズは、市販のプロセスチーズよりも旨味を有しているがグラナチーズよりもマイルドであり、且つ同様の食感を有していると評価した。また、全てのパネラーが、実施例1のチーズは、グラナチーズよりも滑らかであると評価した。
つまり、グラナチーズの風味が緩和されている。
実施例1におけるグラナチーズ30重量部に代えて、ミモレットチーズ20重量部を使用した他は、実施例1を繰り返した。
ミモレットチーズは特徴のある強い味・風味を持つが、それが緩和されたマイルドなチーズが得られた。
上記実施例1の前半と同じにして得た固形分70重量部を包丁で刻んだ。ゴーダチーズ30重量部を粉砕した。これらを混合した合計100重量部に、乳化剤(JohaSE(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.2重量部、JohaC(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.0重量部)、酵母エキス(アロマイルド(商標)、株式会社興人)0.4重量部、食塩0.8重量部、重曹0.6重量部、及びベニバラ黄色素(サフラワーエローコンク、保土谷化学工業株式会社)0.07重量部を加え、混合した。
混合物を85℃に加熱して、全体を乳化し、型に注ぎ、5℃で冷却し、製品チーズを得た。
ゴーダチーズは特徴のある強い味・風味を持つが、本実施例のチーズではそれが緩和されて、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)に近い味と食感であった。

Claims (11)

  1. 乳に食酢又は酸味料を加えて混合し、当該混合物からホエーを除いて固形分を得る工程(A)、および当該固形分にナチュラルチーズ、乳化剤、重曹及び酵母エキス、及び必要に応じて食塩、を加えて加熱して乳化させ、そして当該乳化物を冷やして固化させる工程(B) を含む、チーズの製造方法。
  2. 工程(A)において、前記固形分を40℃以下に冷やす、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(A)における固形分とナチュラルチーズの合計の重量に対して、0.1〜0.9重量%の酵母エキスを加える、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(A)において、前記乳が牛乳である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程(A)において、前記牛乳が低温殺菌牛乳であり、前記固形分にスキムミルクをさらに加えて加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酵母エキスが核酸高含有酵母エキスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(B)において、前記固形分に醤油をさらに加えて加熱することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(A)において得た固形分20〜90重量%とナチュラルチーズ80〜10重量%とを工程(B)において混合する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程(A)において得た固形分40〜80重量%とナチュラルチーズ60〜20重量%とを工程(B)において混合する、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(A)において得た固形分50超〜80重量%とナチュラルチーズ50未満〜20重量%とを工程(B)において混合する、請求項9項に記載の方法。
  11. ナチュラルチーズが、グラナ、ミモレット、ゴーダ、エダム、エメンタール、グリーエル、パルメジャーノ、およびレジャーノから選ばれる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
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