JP4656548B1 - 発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法 - Google Patents

発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、発酵及び熟成工程を必要とせず、短時間で製造することが可能であり、しかもこれらの工程を経なくても、発酵及び熟成工程を経たチーズと同様の風味及び食感を有するチーズを製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法を提供する。当該方法は、乳に食酢又は酸味料を加えて混合すること、当該混合物からホエーを除いて固形分を得ること、当該固形分に乳化剤、食塩、重曹及び酵母エキスを加えて加熱して乳化させること、そして当該乳化物を冷やして固化させることを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法である。
ナチュラルチーズは、乳に乳酸菌を加えて乳酸発酵させ、次に凝固剤としてレンネットという酵素を加えて固形分(凝乳)を生成し、そして固形分から余分な水分やホエーを除いて得られる生鮮のもの又はそれを熟成したものである。プロセスチーズは、1種類又は数種類のナチュラルチーズを加熱して溶かし、混ぜ合わせて固化させたものであり、加熱及び溶解させることで発酵を止め、長期保存に適したものである。プロセスチーズは、発酵及び熟成工程で生じた成分、例えば香気成分やうまみ成分を有するので、チーズ独特のおいしさを備えている。
ナチュラルチーズの一種として、カッテージチーズが知られている。カッテージチーズは乳に酢やレモンを加えて凝固させたものであり、発酵及び熟成工程を経ていないことから非熟成チーズともいわれる。カッテージチーズは、発酵及び熟成工程を経ていない故に、その味は淡泊であり、わずかな酸味とさわやかな風味を有している。
下記特許文献1は、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状態で加熱して調整されるミート様フレーバを有する粉末調味料と酵母エキスを配合したチーズ風味及び/又は乳感増強剤を記載する(請求項1)。ミート用フレーバを有する粉末調味料は、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状態で、温度70〜180度で10〜180分間加熱することにより調製される(請求項5)。チーズ風味及び/又は乳感増強剤は、チーズの製造に際して添加する(請求項6)。
特開2009−261385号公報
プロセスチーズを作るためには、発酵及び熟成工程のために多くの設備が必要であり、これらの工程は製造時間を長くする。そこで、本発明は、発酵及び熟成工程を必要とせずに短時間で製造することが可能であり、しかも発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味及び食感を有するチーズを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法を提供する。当該方法は、乳に食酢又は酸味料を加えて混合すること、当該混合物からホエーを除いて固形分(凝乳)を得ること、当該固形分に乳化剤、食塩、重曹及び酵母エキスを加えて加熱して乳化させること、そして当該乳化物を冷やして固化させることを含む。
本発明のチーズの製造方法では、乳に食酢又は酸味料を加えて固形分を得る故に、発酵工程が不要である。また、本発明のチーズの製造方法では固形分を熟成させる必要がない。従って、発酵及び熟成工程のための設備が不要であり、それら設備の管理費用も不要である。また、作業スペースも少なくてすむ。さらに、チーズの製造のために要する時間を短縮することが可能である。
また、本発明のチーズの製造方法では、酵母エキスを乳化の際に加えるために、当該方法により製造されたチーズは、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同等の風味を有している。
1.固形分の生成
本発明の実施態様において、乳に食酢又は酸味料を加えて混合し、生じた混合物からホエーを除くことによって固形分が得られる。
乳は例えば、牛乳、水牛乳、山羊乳、及び羊乳の1つ又はそれらの混合物いずれであってもよい。好ましくは、乳は牛乳である。
牛乳は、超高温瞬間殺菌牛乳又は低温殺菌牛乳のいずれであってもよい。超高温瞬間殺菌牛乳とは例えば、120〜130℃で2〜3秒間殺菌された牛乳をいう。低温殺菌牛乳とは、超高温瞬間殺菌よりも低い温度で殺菌された牛乳をいう。低温殺菌牛乳は例えば、75℃で15秒間殺菌された、又は低温保持殺菌(62〜65℃で30分間)された牛乳をいう。牛乳として、1又は複数の種類の牛乳が使用されてよい。好ましくは、牛乳は低温殺菌牛乳である。なぜならば、超高温瞬間殺菌牛乳は低温殺菌牛乳に比べて、食酢又は酸味料を加えて乳を凝固させた場合にばらばらとまとまりにくいので時間を要するからである。
食酢は例えば、醸造酢若しくは合成酢、又は酢を用いた調味料の1つ又はそれらの混合物であってよい。醸造酢及び合成酢は例えば、日本農林規格(JAS)の食酢品質表示基準による分類において記載された食酢である。醸造酢は例えば、穀物酢(例えば、米酢、米黒酢、大麦黒酢、穀物酢)、果実酢(例えば、りんご酢、ぶどう酢、りんご酢及びぶどう酢のいずれでもない果実酢)、及び穀物酢及び果実酢のいずれでもない醸造酢の1つ又はそれらの混合物を含む。合成酢は例えば、氷酢酸又は酢酸を水で薄め、砂糖類、酸味料、うま味調味料などで味を調えたものである。酢を用いた調味料は例えば、すし酢、甘酢、三杯酢、土佐酢、梅酢である。食酢として、1つ又は複数の食酢が使用されてよい。食酢は好ましくは、水で希釈して使用されうる。食酢の水による希釈率は、食酢の酢酸濃度にもよるが、乳から固形分を得られる濃度であれば任意の希釈濃度を使用することが可能である。
酸味料は例えば、天然由来の酸味料、及び食品添加物として指定されている酸味料の1つ又はそれらの混合物であってよい。天然由来の酸味料は例えば、レモン汁、うめ果汁である。食品添加物として指定されている酸味料は例えば、乳酸、酢酸若しくはクエン酸、又はそれらのナトリウム塩である。酸味料として、1つ又は複数の酸味料が使用されてよい。
乳に食酢又は酸味料を加えて混ぜる際に、食酢又は酸味料は複数回、例えば4〜5回、に分けて乳に混ぜられることが好ましい。食酢又は酸味料は好ましくは、乳にゆっくりと、そして撹拌しながら混ぜられる。
この際に、乳は48〜52℃に加温されることが好ましい。乳に食酢又は酸味料を加えることで生じる混合物は、当該温度範囲で固まりやすく、またまとまりやすい。
乳に食酢又は酸味料を加えて生じる混合物は、固形分及びホエーを含む。固形分は例えば、当該混合物の上清(ホエーである)をデカントすることによって、又は例えばチーズクロスを使用してホエーを除くことによって集められうる。固形分は、上記方法によって、乳1000mLから約110〜150g、平均的には約120〜140gの量で得られうる。
食酢の乳に対する混合比は、食酢の酢酸濃度によっても異なりうる。当該混合比は、乳が固形分とホエーとに分離できる濃度であればよい。
酸味料の乳に対する混合比は、乳が固形分とホエーとに分離できる濃度であればよい。
食酢又は酸味料は例えば、ホエーのpHが、5.1〜5.4になるような量及び濃度で添加されうる。例えば、乳1000容量部に、食酢(酢酸濃度約4〜4.5%)65容量部〜75容量部と水65容量部〜75容量部との混合物を加える。
2.乳化物の生成
本発明の実施態様において、乳化物は、固形分に、乳化剤、食塩及び重曹に加え、さらに酵母エキスを加えて加熱することによって得られる。また、固形分に、任意的に醤油及び/又は黄色素をさらに加えてもよい。また、乳として低温殺菌牛乳を用いた場合、当該固形分にスキムミルクをさらに加えてもよい。好ましい乳化を達成する為に、固形分を好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下に冷やした後に、これらの材料は添加されうる。
酵母エキスは、例えばパン製造用の酵母エキスの1又は複数の種類の混合物であってよい。酵母エキスはまた、天然酵母であってよい。酵母エキスとしては、特に、核酸高含有酵母エキスが、味の面から好ましい。核酸高含有酵母エキスは、例えば、菌体重量あたり10重量%以上のリボ核酸を含有する。核酸高含有酵母エキスは、例えば、アロマイルド(商標)であり、アロマイルド中の5’−ヌクレオチド含有量は約36%である。酵母エキスは、その量が多いとくどい味になり、一方その量が少ないと淡泊な味になる。よって、酵母エキスの種類及び所望の味によって、適宜増減されうる。例えば酵母エキスの添加量は、固形分の重量に対して、0.3〜0.9重量%、好ましくは0.4〜0.8重量%、及び特に好ましくは0.4〜0.7重量%であり、例えば0.5〜0.6重量%である。
乳化剤は、プロセスチーズを製造する際に使用される乳化剤であれば特に限定されない。乳化剤は例えば、レシチン、サポニン、カゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン酸の塩、ヘキサメタリン酸の塩等の多リン酸の塩、ポリリン酸の塩、及びグルコン酸のアルカリ金属塩の1つ又はそれらの混合物を包含する。乳化剤の添加量は、乳化物が均一になるような量であれば特に限定されない。乳化剤の添加量は、例えば、固形分の重量に対して2.0〜3.5重量%、好ましくは2.4〜3.0重量%、及び特に好ましくは2.6〜3.0重量%、例えば2.7〜2.9重量%である。
食塩は、食用塩であれば特に限定されない。食塩の添加量は、固形分の重量に対して1.0〜1.5重量%、好ましくは1.1〜1.4重量%、及び特に好ましくは1.2〜1.4重量%、例えば1.3〜1.4重量%である。食塩の添加量を多くすると、最終製品において塩味が強くでるために好ましくない。
重曹は、pH調節のために使用される。重曹によって、適度な堅さ、粘度、水分、酸度を最終製品に与えることができる。重曹の添加量は例えば、乳化物のpHが例えば約5.8〜5.9になるように調整しうる。重曹の添加量は、例えば、固形分の重量に対して、0.3〜1.0重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%、及び特に好ましくは0.7〜0.9重量%であり、例えば0.8重量%である。
スキムミルクとは、乳脂肪分を除いた牛乳からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものである。スキムミルクによって、最終製品であるチーズに適度な堅さ、粘度、水分、酸度、風味を与えることができ、更にスキムミルク由来の風味を与えることができる。スキムミルクは、特に、乳が低温殺菌牛乳の場合に添加するとよい。スキムミルクの添加量は、乳が超高温瞬間殺菌牛乳であるか、又は低温殺菌牛乳であるかによって異なりうる。乳が超高温瞬間殺菌牛乳である場合、スキムミルクを添加しなくてもよい。乳が超高温瞬間殺菌牛乳である場合、スキムミルクの添加量は、固形分の重量に対して、0超〜1重量%、好ましくは0超〜0.8重量%、特に好ましくは0超〜0.5重量%である。乳が低温殺菌牛乳である場合、スキムミルクの添加量は、固形分の重量に対して、5〜15重量%、好ましくは8〜15重量%、特に好ましくは10〜15重量%であり、例えば12〜13重量%である。
醤油は、特にその種類は限定されない。醤油は、酵母エキスと相俟って、最終製品であるチーズに、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味を与えうる。しかしながら、本発明のチーズを得るために、醤油を添加せずとも、酵母エキスが添加されていればよい。醤油の添加量は、固形分の重量に対して0.7〜1.4重量%、好ましくは0.8〜1.3重量%、及び特に好ましくは0.9〜1.3重量%であり、例えば1.2〜1.3重量%である。醤油の添加量を多くすると、最終製品において醤油味が強すぎるために好ましくない。
黄色素は、食用黄色素であればその種類は特に限定されない。黄色素は例えば、ベニバラ黄色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ黄色素及びクチナシ黄色素の1つ又はそれらの混合物を含む。特に、ベニバラ黄色素が好ましい。また、一般的なチーズ色でなくても良い場合は、その他の色の色素を任意に使用することが可能である。黄色素の添加量は、最終製品であるチーズの色が、既存のプロセスチーズの色に近くなるような量であれば特に限定されない。また、黄色素の添加量は、黄色素の原料の色強度によって、適宜増減されうる。
本発明の製造方法において、蔗糖、ソルビトール、アスパルテーム等の甘味剤、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン等の安定剤、乳酸等のpH調整剤、さらにフレーバー等を固形分に任意的に添加してもよい。
加熱には、電子レンジを使用しうる。電子レンジによる乳化の場合、電子レンジ内の庫内の上下に温度差があるので容器の中を見ながら、吹きこぼれ等のないように当該容器を電子レンジから4〜5回取り出して撹拌し、均一の温度(80℃)に保つようにするのがよい。
また、加熱には、二重釜(ジャケット式)の加熱機を使用しうる。蒸気を混合物に直接吹き込むと、乳化物中で部分的な水分差が生じやすく、粘度にむらがでやすいので好ましくない。
加熱は例えば、65〜85℃、好ましくは80〜85℃、さらに好ましくは83〜85℃である。保存の観点からは、65〜85℃で効果がある。乳化の観点からは、83〜85℃が好ましい。上記温度に乳化物を保つことにより、完全な乳化とともに乳化物の殺菌も同時に行える。
3.乳化物の固化
乳化物は、乳化物を80℃いう高温に保ちながら型に入れられ、環境温度下で又は冷蔵条件(約4〜10℃)下で固化される。固化されたものが最終製品であるチーズである。高温下で型に入れられることから成形性がよい。また、高温下で型に入れられることから最終製品の保存性もよい。
最終製品の水分は好ましくは、約42〜46重量%であり、より好ましくは約45重量%である。
最終製品の味は、発酵及び熟成工程を経たプロセスチーズと同様の味及び食感(粘性、弾力、ボディ感)を有した。最終製品が発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味を有している理由は、主に酵母エキスの添加によるものである。また、最終製品が発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味を有している理由は、酵母エキス、乳化剤、食塩及び重曹による乳化によるものであり、また酵母エキスは固形分中のタンパク質や脂肪を分解結合(糊化)させるためであると考えられる。
最終製品は、冷蔵条件(約4〜10℃)下で、約6ヶ月間の保存が可能である。
(超高温瞬間殺菌牛乳を使用したチーズの製造)
超高温瞬間殺菌牛乳(メグミルク牛乳、日本ミルクコミュニティ株式会社)1,000mlを湯煎で50℃まで加熱した。その中に、食酢(株式会社 ミツカン)65mlと水65mlとの混合物を4〜5回に分けて徐々に入れ、ヘラで静かに混ぜた。その際のpHは、約5.1〜5.4であった。その結果、ばらばらとした固形物が生じた。ばらばらとなった理由は、超高温瞬間殺菌牛乳では、牛乳中のタンパク質が高温のためにタンパク分解しているからであると考えられる。さらに、65℃まで加熱した。
次に、当該固形物とホエーの混合物をガーゼに受けて、ホエーを除き、固形物を得た。ガーゼ上の固形分を、ボール中の水につけて軽く手で揉んで約30℃まで冷やした。
冷えた固形分を水中から取り出して、両手で固形分を搾って水が流れ落ちなくなるまで水分を搾った。得られた固形分は、125gであった。
この固形分を砕いて(約1〜3cm角)、手でほぐし、広口ビン(500ml容)に入れた(広口ビン容量の約3分の1程度である)。
広口ビン中に、乳化剤(JohaSE(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)2.0g、JohaC(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.6g)、食塩1.7g、酵母エキス(アロマイルド(商標)、株式会社興人)0.7g、重曹1.0g、醤油1.6ml、及びベニバラ黄色素(サフラワーエローコンク、保土谷化学工業株式会社)0.12gをさらに加えた。
広口ビンにラップをかぶせて、家庭用電子レンジ(出力550W)で内容物を加熱溶融した。この際、広口ビンから内容物が噴きこぼれないように、広口ビンをときどき取り出して、箸でかき混ぜて撹拌した。この操作を3〜4回繰り返した。
内容物が完全に乳化したことを確認した。その際の内容物は約80℃であった。また、当該内容物のpHは、約5.8〜5.9であった。引き続き、ラップを敷いた容器に当該内容物を入れ、上からラップをかぶせた。ラップの上を手で押さえて空気を抜いた。その後、当該容器を約5℃の冷蔵庫中で冷蔵した。
約5時間冷やし、約130〜140gのチーズを得た(以下、実施例1のチーズという)。できあがったチーズの色は、一般的なチーズの色と同様であった。また、水分は約45重量%であった。
実施例1のチーズの製造に要した時間は、約7時間であった。
(官能試験)
実施例1のチーズを厚さ3mmぐらいにカットした。また、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)(縦45mm、横100mm、厚さ20mm)を対照として使用し、同様に厚さ3mmぐらいにカットした。
5人のパネラーを用意し、実施例1のチーズと市販のプロセスチーズとの呈味及び食感を比較した。その際、実施例1のチーズと市販のプロセスチーズのいずれかが特定されないように記号を付して試験を行った。
その結果、全てのパネラーが、実施例1のチーズは、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)と同様の味及び食感を有すると評価した。
(保存試験)
実施例1のチーズを、冷蔵庫において6ヶ月間保存した。6ヶ月後に、その官能試験を行ったところ、品質が維持されていることが示された。
(低温殺菌牛乳を使用したチーズの製造)
低温殺菌牛乳(タカナシ乳業株式会社)1,000mlを湯煎で50℃まで加熱した。その中に、食酢(株式会社 ミツカン)70mlと水70mlとの混合物を4〜5回に分けて徐々に入れ、ヘラで静かに混ぜた。その際のpHは、約5.1〜5.4である。その結果、団子状の固形物が生じた。さらに、65℃まで加熱した。
次に、当該固形物とホエーの混合物をざるに受けて、ホエーを除き、固形物を得た。ざる上の固形分を、ボール中の水につけて軽く手で揉んで約30℃まで冷やした。
冷えた固形分を水中から取り出して、両手で固形分を搾って水が流れ落ちなくなるまで水分を搾った。得られた固形分は、137gであった。
この固形分を砕いて(約1〜3cm角)、手でほぐし、広口ビン(500ml容)に入れた(広口ビン容量の約3分の1程度である)。
広口ビン中に、スキムミルク(森永乳業株式会社)17.3g、乳化剤(JohaSE(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)2.1g、JohaC(ビーケー・ギューリニ・ジャパン株式会社)1.7g)、食塩1.8g、酵母エキス(アロマイルド(商標)、株式会社興人)0.8g、重曹1.1g、醤油1.7ml、及びベニバラ黄色素(サフラワーエローコンク、保土谷化学工業株式会社)0.14gをさらに加えた。
広口ビンにラップをかぶせて、家庭用電子レンジ(出力550W)で内容物を加熱溶融した。この際、広口ビンから内容物が噴きこぼれないように、広口ビンをときどき取り出して、箸でかき混ぜて撹拌した。この操作を3〜4回繰り返した。
内容物が完全に乳化したことを確認した。その際の内容物は約80℃であった。また、当該内容物のpHは、約5.8〜5.9であった。引き続き、ラップを敷いた容器に当該内容物を入れ、上からラップをかぶせた。ラップの上を手で押さえて空気を抜いた。その後、当該容器を約5℃の冷蔵庫中で冷蔵した。
約5時間冷やし、約140〜150gのチーズを得た(以下、実施例2のチーズという)。できあがったチーズの色は、一般的なチーズの色と同様であった。また、水分は約45重量%であった。
実施例2のチーズの製造に要した時間は、約7時間であった。
(官能試験)
実施例2のチーズについて、実施例1と同じ試験方法で官能検査を行った。その結果、全てのパネラーが、実施例2のチーズは、市販のプロセスチーズと同様の味及び食感を有すると評価した。
(保存試験)
実施例2のチーズを、冷蔵庫において6ヶ月間保存した。6ヶ月後に、その官能試験を実施例1と同じ試験方法で行ったところ、品質が維持されていることが示された。
固形分に醤油を添加しない以外は、実施例2の記載に従いチーズを製造した。その結果、全てのパネラーが、実施例3で製造されたチーズは、市販のプロセスチーズと変わらない程度の味及び食感を有すると評価した。しかしながら、2人のパネラーが、実施例3で製造されたチーズは、実施例2で製造されたチーズに比べて多少味の面で劣っていると評価した。
(比較例1)
酵母エキスを添加しない以外は、実施例1と同様にしてチーズを得た。得られたチーズは、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)と比べて味及び食感の面で劣り、かつ、実施例1で得られたチーズと比べても味及び食感の面で劣っていた。
(比較例2)
酵母エキスを添加しない以外は、実施例2と同様にしてチーズを得た。得られたチーズは、市販のプロセスチーズ(雪印プロセスチーズ100タイプ、雪印乳業株式会社)と比べて味及び食感の面で劣り、かつ、実施例2で得られたチーズと比べても味及び食感の面で劣っていた。
(比較例3)
実施例2において、酵母エキス0.8gの代わりに、グルタミン酸ソーダ(味の素(商標))0.7g、味噌3g、醤油3ml、食塩3g、又はだしの素1.5gをそれぞれ使用し、チーズを製造した。酵母エキスの代わりに上記材料をそれぞれ使用して製造されたチーズは、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味や食感が再現されなかった。また、グルタミン酸ソーダを上記量よりも多く添加した場合には旨味過剰でくどく、一方、それよりも少なく添加した場合には単調で深み不足であった。また、味噌を上記量よりも多く添加した場合には塩味とかび臭が強く、一方、それよりも少なく添加した場合には大豆味が出た。また、醤油を上記量よりも多く添加した場合には塩味が強すぎ、一方、それよりも少なく添加した場合には大豆味が出て単調であった。また、食塩を上記量よりも多く添加した場合には塩辛く旨味がなく、一方、それよりも少なく添加した場合には旨味が不足し単調であった。また、だしの素を上記量よりも多く添加した場合にはかつお味臭がし、一方、それよりも少なく添加した場合には単調な味であった。
一方、実施例1及び2に示すように、酵母エキス(アロマイルド(商標))を使用することによって、発酵及び熟成工程を経て製造されたチーズと同様の味、そして食感が再現された。
(比較例4)
固形分を得るまでの工程は、実施例1と同じである。固形分を冷やさずに、スキムミルク、乳化剤、重曹、酵母エキス、食塩、醤油、及びベニバラ黄色素(添加量は実施例1と同じ)を加えた。その結果、加えたものがだまになり、さらに重曹が泡を吹いて広口ビンからこぼれた。これは乳化不良の原因となる。
一方、実施例1及び2に示すように、固形分を水中に入れて30℃まで冷やすことで、加えたものがだまにならず、さらに乳化不良にならなかった。
(参考例1)
低温殺菌牛乳(タカナシ乳業株式会社)1,000mlを湯煎で50℃まで加熱した。その中に、食酢(株式会社 ミツカン)70mlと水70mlとの混合物を一度に投入した。その結果、固形分の堅さが均一にならなかった。
一方、実施例1及び2に示すように、上記混合物を撹拌しながら数回に分けて入れることで、固形分の堅さがが均一になった。
(参考例2)
低温殺菌牛乳(タカナシ乳業株式会社)1,000mlを湯煎で50℃まで加熱した。その中に、食酢(株式会社 ミツカン)70mlと水70mlとの混合物を4〜5回に分けて徐々に入れて、強く(1秒間に数回転程度)撹拌した。その結果、固形物が分散してしまいまとまらなかった。
一方、実施例1及び2に示すように、撹拌を静かに(1秒間に0.5回転程度)行うことで、団子状の固形物が生成された。
(参考例3)
実施例2で製造された固形分にスキムミルクを入れなかったところ、水分が多くどろどろでスプレッド様になった。
一方、実施例2では、スキムミルクを使用して所定の硬さが確保できた。

Claims (7)

  1. 乳に食酢又は酸味料を加えて混合すること、当該混合物からホエーを除いて固形分を得ること、当該固形分に乳化剤、食塩、重曹及び酵母エキスを加えて加熱して乳化させること、そして当該乳化物を冷やして固化させることを含む、発酵及び熟成工程を経ないチーズの製造方法。
  2. 前記固形分を40℃以下に冷やした後に、乳化剤、食塩、重曹及び酵母エキスを加える、請求項1に記載の方法。
  3. 固形分の重量に対して、0.3〜0.9重量%の酵母エキスを加える、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記乳が牛乳である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記牛乳が低温殺菌牛乳であり、前記固形分にスキムミルクをさらに加えて加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酵母エキスが核酸高含有酵母エキスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記固形分に醤油をさらに加えて加熱することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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