JP2012160628A - 基板の接合方法及び基板接合装置 - Google Patents

基板の接合方法及び基板接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 接合前の2枚の基板間において高精度に調整されたアライメント精度を維持しつつ、2枚の基板を接合可能にする基板接合方法を提供する。
【解決手段】 本開示の基板の接合方法は、次の手順で行うようにする。まず、第1の基板21の所定領域に押圧部材3を面接触させて第1の基板21に所定の荷重Pを印加する。そして、第1の基板21に、所定の荷重Pを印加すると同時に、又は、所定の荷重Pを印加した後に、押圧部材3を第1の基板21に面接触させた状態で、第1の基板21を第2の基板22に接触させる。
【選択図】 図5

Description

本開示は、基板の接合方法、及び、基板接合装置に関する。
従来、2枚のウエハを貼り合わせる手法(接合手法)としては、例えば接着剤等を用いる手法、2枚のウエハを直接接触させて接合する手法等がある。そして、後者の手法の一つとしては、ウエハの接合側表面を活性化して接合する手法がある。この接合手法は、例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)を作製する際に採用されている(例えば特許文献1参照)。
また、ウエハ表面を活性化して接合する手法を、例えば半導体素子や配線等が形成されたウエハに適用する場合には、接合時に半導体素子や配線等を破壊しない程度の温度で接合することが求められる。そこで、従来、この接合手法では、プラズマによる表面活性化接合という、低温で接合可能な手法が開発されている(例えば非特許文献1参照)。
このプラズマによる表面活性化接合の手法では、一般に、2枚のウエハの活性化した表面を互いに重ね合わせた状態で、一方のウエハの一点に荷重をかける(押圧する)ことにより、ファンデルワールス力による接合を進行させる。この際、接合時のウエハへのストレスやボイドの発生を抑制するために、ウエハにかける荷重は小さい方が好ましいとされている(例えば特許文献2参照)。なお、特許文献2では、2枚のウエハを重ね合わせて位置合わせを行った後、荷重をかけるウエハの接合手法が提案されている。また、従来、接合時の押圧手法として、ウエハエッジの面取り部分を押圧する手法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
上述のように、ウエハ表面を活性化して接合する手法においては、従来、様々な接合技術が提案されている。しかしながら、2枚のウエハを接合する際にはその接合技術だけでなく、接合前のウエハ間の位置合わせ(アライメント)技術も重要である。特に、3次元状のデバイスを作製する場合、2枚のウエハにそれぞれ形成されたパターン間の位置を精度良く合わせた後に2枚のウエハを接合する必要がある。
従来、ウエハのアライメント手法としては、ウエハの外径及び位置決め用の切り欠き(例えばオリフラ、ノッチ等)を利用して、接合装置の所定位置に設けられたピンにウエハの外周を押しつけて位置合わせを行う手法(例えば特許文献4参照)が提案されている。
また、従来、ウエハのアライメント手法として、各ウエハのパターン内に形成された所定のマークやパターンを光学的に検知し、その検知結果に基づいて位置合わせを行う手法(以下、光学アライメント手法という)も提案されている。この光学アライメント手法は、例えば上記特許文献4等で提案されている手法、すなわち、位置合わせ精度(アライメント精度)がウエハの外径精度に依存する手法に比べて、より高精度な位置合わせを実現することができる。
特開平2−183510号公報 特開2006−269850号公報 特許第3532320号 特開2002−190435号公報
S. Farrens, et. al., J. Etectrochem. Soc., Vol.142, No.11(1995)3949
上述のように、光学アライメント手法を用いて2枚のウエハ(基板)を接合した場合には、2枚の基板間の位置合わせを高精度に行うことができる。しかしながら、ウエハ接合時のウエハストレスを低減させるため、光学アライメント後にウエハのステージへの吸着を外した場合、高精度に調整されたアライメント精度を維持しつつ接合することは難しくなる。
本開示は、上記問題を解決するためになされたものである。本開示の目的は、接合前の2枚の基板間において高精度に調整されたアライメント精度を、接合後も維持することができる基板の接合方法及び基板接合装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本開示の基板の接合方法は、次の手順で行う。まず、第1の基板の所定領域に押圧部材を面接触させて第1の基板に所定の荷重を印加する。そして、第1の基板に、所定の荷重を印加すると同時に、又は、所定の荷重を印加した後に、押圧部材を第1の基板に面接触させた状態で、第1の基板を第2の基板に接触させる。
また、本開示の基板接合装置は、押圧部材と、基板駆動部とを備える構成とし、各部の機能を次のようにする。押圧部材は、第1の基板の所定領域に面接触して、所定の荷重を第1の基板に印加する。基板駆動部は、押圧部材で第1の基板に、所定の荷重を印加すると同時に、又は、所定の荷重を印加した後に、第1の基板を第2の基板に接触させる。
上述のように、本開示の基板の接合方法及び基板接合装置では、押圧部材により第1の基板に所定の荷重を印加すると同時に、又は、荷重印加後に、押圧部材を第1の基板に面接触させた状態で、第1の基板を第2の基板に接触させる。この本開示の基板の接合方法及び基板接合装置によれば、接合前の2枚の基板間において高精度に調整されたアライメント精度を、接合後も維持することができる。
本開示の一実施形態に係るウエハの接合装置の概略構成図である。 本開示の一実施形態に係る接合装置で用いる押圧部材の外観図である。 仮接合時におけるウエハの位置ずれ抑制の原理を説明するための図である。 本開示の一実施形態に係るウエハの接合手法の手順を示すフローチャートである。 低荷重時における仮接合の手法を説明するための図である。 高荷重時における仮接合の手法を説明するための図である。 比較例の押圧部材の外観図である。 比較例の押圧部材を用いたときのアライメント精度の荷重依存特性を示す図である。 本開示の一実施形態に係る接合装置におけるアライメント精度の荷重依存特性を示す図である。 変形例1の押圧部材の概略構成図である。 変形例2の押圧部材の概略構成図である。 変形例3−1の押圧部材の概略構成図である。 変形例3−2の押圧部材の概略構成図である。 変形例3−3の押圧部材の概略構成図である。 変形例4の押圧部材の概略構成図である。 変形例6−1の押圧部材の概略構成図である。 変形例6−2の押圧部材の概略構成図である。 変形例6−3の押圧部材の概略構成図である。
以下に、本開示の一実施形態に係る基板の接合手法及び接合装置の一例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。ただし、本開示は下記の例に限定されない。
1.基板の接合装置及び接合手法の基本例
2.各種変形例
<1.基板の接合装置及び接合手法の基本例>
[接合装置の構成]
図1に、本開示の一実施形態に係るウエハの接合装置の概略構成を示す。なお、図1には、説明を簡略化するため、2枚のウエハを接合する際に機能する要部のみを示す。また、図1には、接合する2枚のウエハを接合装置内に装着した状態の様子を示す。
接合装置10(基板接合装置)は、上チャック1(基板駆動部)と、下チャック2と、押圧部材3とを備える。なお、本実施形態では、接合側表面が活性化された2枚のSiウエハ(基板)の位置合わせを光学アライメント手法により行った後、2枚のSiウエハを接合するタイプの接合装置10について説明する。それゆえ、図1には示さないが、本実施形態の接合装置10は、2枚のSiウエハの位置合わせを行う光学アライメント部も備える。
上チャック1は、Siウエハ(図1中の上ウエハ21)を着脱可能に保持する板状部材である。上チャック1の外周付近には、上ウエハ21を真空吸引するための吸引口1aが設けられる。さらに、上チャック1の中央付近には、押圧部材3を上チャック1の厚さ方向に移動可能にする荷重印加部1bが設けられる。なお、図1に示す例では、荷重印加部1bを貫通穴で構成する例を説明するが、本開示はこれに限定されない。押圧部材3を上チャック1の厚さ方向に移動可能にし、押圧部材3により上ウエハ21に荷重をかけることができる構成であれば、荷重印加部1bを任意の構成にすることができる。
下チャック2は、Siウエハ(図1中の下ウエハ22)を着脱可能に保持する板状部材である。また、下チャック2は、図1には示さないが、下ウエハ22を保持するための保持部を有する。なお、その保持部は、下ウエハ22を保持することができる構成であれば任意に構成することができ、例えば、下ウエハ22を真空吸引するための吸引口や、下ウエハ22の外周部を保持するピンなどで構成することができる。
押圧部材3は、上ウエハ21に荷重を印加するための部材である。ここで、図2に、本実施形態で用いる押圧部材3の概略構成を示す。押圧部材3は、荷重印加方向(押圧方向:図2中の矢印A1の方向)に沿う方向の断面が略T字状の棒状部材である。
押圧部材3の上ウエハ21と接触する側の押圧面3a(接触面)は、略平坦面であり、その面形状は略円形である。また、押圧面3aの径、すなわち面積は、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させた際に上ウエハ21が下ウエハ22に対して回転系の位置ずれを起こさない程度の摩擦力が、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生するような値に設定される。なお、押圧面3aの径(面積)を大きくすることにより、押圧部材3及び上ウエハ21間において、押圧部材3の接触面の中心点を中心とする上ウエハ21面内の回転方向に大きな摩擦力が得られる。しかしながら、押圧面3aの径が大きすぎると、ウエハ接合時に、ウエハの中心付近にボイドが発生し易くなる。それゆえ、押圧面3aの径(面積)は、ボイド発生の影響も考慮して、適宜設定される。
また、押圧部材3は、例えばテフロン(登録商標)、PEEK(Polyetheretherketone)等の十分な剛性を有する樹脂材料で形成することができる。ただし、押圧部材3の形成材料は、この例に限定されず、例えば、押圧面3aの面積、上ウエハ21の形成材料等を考慮して適宜変更することができる。また、押圧部材3の全体形状、並びに、押圧面3aの形状及び面積等の構成は、本実施形態の例に限定されず、ウエハの接合時に、押圧部材3及び上ウエハ21間に上述した大きさの摩擦力が得られる構成であれば任意である。
[上ウエハの位置ずれ抑制の原理]
次に、本実施形態の接合装置10における、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させた際に発生する上ウエハ21の下ウエハ22に対する位置ずれの抑制原理を説明する。
本実施形態の接合装置10において、接合前のアライメント精度を接合後も維持するためには、光学アライメント後、2枚のウエハを接触させてからファンデルワールス力による仮接合が完了するまでの間、両ウエハ間の位置ずれを抑制する必要がある。
しかしながら、2枚のウエハを接触させた際の両者間の位置ずれを抑制するための手法として、例えば上記特許文献2等の手法のように、押圧部材3で上ウエハ21上の一点に荷重を印加する手法を採用した場合、次のような問題が生じる。
従来の一点加圧による荷重印加手法では、押圧部材3と上ウエハ21とが点接触した状態であり、かつ、上ウエハ21及び下ウエハ22間に空気が存在するので、上ウエハ21の保持が難しくなり、アライメント精度の維持が困難になる。具体的には、上ウエハ21が、自重により、下ウエハ22上で例えば滑ったり、回転したりして移動し、アライメント精度が低下する。この問題は、上ウエハ21に印加する荷重を大きくすることにより解消することも可能であるが、荷重が大きすぎると、上記特許文献2で示唆されているように、例えば、上ウエハ21へのストレス、ボイドの発生等の問題が生じる。
上述のような問題を解消するために、本実施形態では、次のようにして、2枚のウエハの仮接合を行う。まず、本実施形態の接合装置10では、上ウエハ21及び下ウエハ22の光学アライメントを実施した後、押圧部材3を上ウエハ21に面接触させて荷重をかける。次いで、押圧部材3による荷重の印加と同時、又は、荷重印加後に、上ウエハ21の真空吸引を解放して、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させる(仮接合する)。
本実施形態では、上述のように、仮接合時に発生する上ウエハ21の下ウエハ22に対する位置ずれを抑制するために、押圧部材3を上ウエハ21に面接触させて荷重をかける。そして、本実施形態では、両ウエハの接触時に上ウエハ21が下ウエハ22に対して位置ずれを起こさない程度の摩擦力が、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生するように、押圧部材3の押圧面3aの面積が設定されている。それゆえ、本実施形態の接合装置10では、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させた際に、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生する摩擦力により、上ウエハ21及び下ウエハ22間の位置すれが抑制される。
ここで、上述した本実施形態における上ウエハ21の位置ずれ抑制の原理を、図3を参照しながら、より具体的に説明する。なお、図3は、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させた際(仮接合時)の押圧部材3及び上ウエハ21間の接触部分の拡大図である。
本実施形態の接合装置10では、仮接合時に、まず、押圧部材3により上ウエハ21に荷重Pを印加し(図3中の白抜き矢印)、それと同時、又は、その後に上ウエハ21の真空吸引を解放して上ウエハ21を下ウエハ22に接触させる。この際、上ウエハ21及び下ウエハ22間には空気が存在するので、上ウエハ21は、自重により、下ウエハ22上で例えば滑ったり、回転したりして、移動しようとする(図3中の破線矢印)。
しかしながら、この際、押圧部材3は上ウエハ21に対して上述した所定の面積で面接触している。それゆえ、仮接合時には、押圧部材3及び上ウエハ21間には、上ウエハ21が下ウエハ22上で移動しようとする力S(以下、位置ずれ力Sという)に対して、位置ずれ力S以上の大きさの摩擦力Fが作用する(図3中の実線矢印)。これにより、上ウエハ21の下ウエハ22上での移動が抑制され、上ウエハ21の位置すれが抑制される。この結果、本実施形態では、上ウエハ21と下ウエハ22とを仮接合した後も、接合前のアライメント精度を維持することができる。
上記原理から明らかなように、本実施形態では、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生する摩擦力Fが、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力S以上となるように、押圧部材3の例えば押圧面3aの面積、形成材料等の構成を設定する必要がある。より詳細には、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生する摩擦力Fは、静摩擦係数×垂直抗力で求められるので、上ウエハ21の形成材料及び印加する荷重に応じて、押圧部材3の例えば押圧面3aの形成材料等の構成を適宜設定する必要がある。
なお、本実施形態のように、上ウエハ21を真空吸引して保持するタイプの接合装置10では、上述のように、上ウエハ21の真空吸引を解放して、上ウエハ21を下ウエハ22に接触させる。これは、上ウエハ21及び下ウエハ22をそれぞれ上チャック1及び下チャック2に固定した状態で、両者を接触させた場合には、ボイドが発生し易くなるためである。ただし、両ウエハの接触時のボイド発生を抑制する別の手法としては、一方のステージを変形させる手法があるが、この手法では、そのステージ上のウエハも変形する(反る)。それゆえ、この手法では、変形したウエハ内の所定パターンで光学アライメントを実施することになるので、そのアライメント精度が低下するという欠点がある。
[接合手法]
次に、本実施形態の接合装置10におけるSiウエハの接合手法を、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、本実施形態のSiウエハの接合手法の処理手順を示すフローチャートである。
まず、Si基板上に例えば所定の素子、配線等が形成されたウエハレベルの上ウエハ21及び下ウエハ22を用意する。次いで、各ウエハの接合側表面を化学機械研磨(CMP)して、表面を平坦にする。
次いで、平坦化された各ウエハの接合側表面を活性化する(ステップS1)。具体的には、平坦化された各ウエハの接合側表面に対して親水処理(例えば、プラズマ照射,DIW(Deionized Water)洗浄等)を施し、各ウエハの接合側表面にOH基(水酸基)を生成する。
なお、各ウエハの活性化処理(ステップS1)は、ウエハの仮接合処理前のタイミングであれば、任意のタイミングで行うことができる。また、この例では、各ウエハの活性化処理を、接合装置10に上ウエハ21及び下ウエハ22を装着する前に、外部装置で行う例を説明するが、本開示はこれに限定されない。接合装置10に上ウエハ21及び下ウエハ22を装着した状態で、各ウエハの活性化処理を行ってもよい。
次いで、上述のようにして活性化された上ウエハ21及び下ウエハ22を接合装置10内の上チャック1及び下チャック2にそれぞれ装着する(ステップS2)。この際、上チャック1は、吸引口21aを介して真空吸引により上ウエハ21を保持し、下チャック2は、例えば真空吸引やピン等の手段により下ウエハ22を保持する。また、この際、上ウエハ21及び下ウエハ22は、上ウエハ21及び下ウエハ22の活性化された面が互いに対向するように、上チャック1及び下チャック2にそれぞれ装着される。
次いで、接合装置10は、光学アライメント手法により、上ウエハ21及び下ウエハ22間の位置合わせを行う(ステップS3)。具体的には、上ウエハ21及び/又は下ウエハ22のパターン内に形成された所定のマークやパターンを光学的に検知し、その検知結果に基づいて位置合わせを行う。
次いで、位置合わせ終了後、接合装置10は、押圧部材3を上ウエハ21に接触(面接触)させ、押圧部材3を介して上ウエハ21に所定の荷重を印加する(ステップS4)。次いで、上チャック1は、上ウエハ21の真空吸引を解放して上ウエハ21を下ウエハ22に接触させる(仮接合:ステップS5)。この際、上ウエハ21は、自重により、下ウエハ22上で移動しようとするが、その移動が、押圧部材3及び上ウエハ21間に発生する摩擦力により抑制され、光学アライメント手法により高精度に調整されたアライメント精度が維持される。
なお、本実施形態では、上ウエハ21に所定の荷重を印加するステップS4と、上ウエハ21の真空吸引を解放して上ウエハ21を下ウエハ22に接触させるステップS5とを同時に行うようにしてもよい。また、ステップS4及びS5では、押圧部材3をガス圧で駆動してもよいし、機械的に駆動してもよい。さらに、ステップS5において、上ウエハ21を下ウエハ22に仮接合する際に、下ウエハ22は、下チャック2に保持(固定)された状態であってもよいし、解放された状態であってもよい。
次いで、接合装置10は、仮接合された上ウエハ21及び下ウエハ22を、所定の温度でアニールして本接合し(ステップS6)、接合処理を終了する。この際、例えば、プラズマ等により低温でアニール処理して、上ウエハ21及び下ウエハ22の本接合処理を実施してもよい。本実施形態では、このようにして、Si基板上に例えば所定の素子、配線等が形成されたウエハレベルの2枚のウエハ(上ウエハ21及び下ウエハ22)を接合する。
なお、上述したステップS4及びS5の処理において、荷重が比較的小さい場合と、大きい場合とでは、上ウエハ21及び下ウエハ22間の接合過程が異なる。ここで、印加する荷重と上ウエハ21及び下ウエハ22の接合過程との関係を、図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)を用いて具体的に説明する。
図5(a)〜(c)は、上ウエハ21及び下ウエハ22を低荷重で仮接合する際の両者の接合過程の様子を示す図である。具体的には、図5(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、荷重印加前、荷重印加時、及び、真空吸引解放時の上ウエハ21及び下ウエハ22の状態を示す図である。一方、図6(a)〜(c)は、上ウエハ21及び下ウエハ22を高荷重で仮接合する際の両者の接合過程の様子を示す図である。具体的には、図6(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、荷重印加前、荷重印加時、及び、真空吸引解放時の上ウエハ21及び下ウエハ22の状態を示す図である。
押圧部材3で上ウエハ21に低荷重を印加した場合には、図5(b)に示すように、荷重印加時点(ステップS4)では、上ウエハ21はほぼ変形せず、下ウエハ22と接触しない。この場合には、図5(c)に示すように、上ウエハ21の真空吸引を解放した際(ステップS5)に初めて、上ウエハ21が下ウエハ22に接触する。
一方、押圧部材3で上ウエハ21に高荷重を印加した場合には、図6(b)に示すように、荷重印加時点(ステップS4)で、上ウエハ21の荷重印加領域が変形して下ウエハ22に接触する。すなわち、この場合には、図6(c)に示すように、上ウエハ21の真空吸引を解放して上ウエハ21全体を下ウエハ22に接触させる(ステップS5)前に、上ウエハ21の荷重印加領域が下ウエハ22に接触する。この場合、荷重印加領域を先に接触させた状態で仮接合することになるので、上ウエハ21の位置ずれ発生をより一層抑制することができる。
[アライメント精度の評価]
次に、本実施形態で行った仮接合後のアライメント精度の評価について説明する。なお、この評価では、種々の荷重における仮接合後のアライメント誤差(位置ずれ量)を測定し、アライメント精度の荷重依存特性を調べた。具体的には、荷重を8N、15N及び30Nと変化させて、アライメント精度の荷重依存特性を調べた。ただし、この評価では、押圧部材3の押圧面3aの径を4.5mmとした。
また、ここでは、本実施形態の評価結果と比較するため、上ウエハ21と点接触する押圧面を有する押圧部材(比較例)を用いた場合についてもアライメント精度の評価を行った。
図7に、この評価で用いた比較例の押圧部材の概略構成を示す。比較例の押圧部材30としては、棒状部材を用い、その先端面(押圧面30a)を凸状の球面とした。そして、図7に示す比較例の押圧部材30に対しては、8N、15N及び30Nの荷重を印加し、各荷重におけるアライメント精度の評価を行った。
図8に、比較例の評価結果を示す。図8に示す棒グラフの特性(アライメント特性)の横軸は検証した各荷重の値であり、縦軸はアライメント誤差である。
なお、図8に示す「Notch」の棒グラフは、Siウエハのノッチ部(切り欠き部)付近のアライメント特性である。図8に示す「Center」の棒グラフは、Siウエハの中心部付近のアライメント特性である。図8に示す「Top」の棒グラフは、Siウエハの中心を挟んで、Siウエハのノッチ部と対向する端部(トップ部)付近のアライメント特性である。図8に示す「Right」の棒グラフは、Siウエハのノッチ部を下にし、かつ、トップ部を上にした際のノッチ部及びトップ部間の線分に対して、Siウエハの右側の最端部付近に位置する部分のアライメント特性である。そして、図8に示す「Left」の棒グラフは、Siウエハのノッチ部を下にし、かつ、トップ部を上にした際のノッチ部及びトップ部間の線分に対して、Siウエハの左側の最端部付近に位置する部分のアライメント特性である。
図8から明らかなように、比較例では、荷重が8N及び15Nのときには、Siウエハ内の全ての検証箇所(「Notch」、「Center」、「Top」、「Right」及び「Left」)において、アライメント誤差が非常に大きくなった(30μm以上)。また、比較例では、荷重が30Nのときに、アライメント誤差が約1.5μm以下になった。なお、この検証で用いた接合装置10における光学アライメントのアライメント精度は±1.5μmであるので、比較例では、仮接合前のアライメント精度を維持するためには、30Nの高荷重をウエハにかける必要があることが分かった。
次に、本実施形態の評価結果を説明する。図9に、本実施形態の評価結果を示す。図9に示す棒グラフの特性の横軸は検証した各荷重の値であり、縦軸はアライメント誤差である。また、図9には、図8と同様に、Siウエハ内の各検証箇所(「Notch」、「Center」、「Top」、「Right」及び「Left」)で測定したアライメント精度の評価結果を示す。
本実施形態では、荷重が15N及び30Nのとき、Siウエハ内の全ての検証箇所において、アライメント誤差が約1.5μm以下になった。また、本実施形態では、荷重が8Nの場合であっても、アライメント誤差は2μm以下であった。すなわち、本実施形態では、比較例に比べて、荷重に関係なく(低荷重でも)、仮接合前の高精度に調整されたアライメント精度を、仮接合後も十分に維持できることが分かった。
<2.各種変形例>
本開示の接合装置で用い得る押圧部材の構成は、上記実施形態の構成に限定されず、様々な変形例が考えられる。以下では、押圧部材の各種変形例について説明する。なお、下記各種変形例では、上記実施形態(図2)と同様に、押圧方向(図2中の矢印A1の方向)に沿う方向の断面が略T字状の棒状部材で構成された押圧部材の例を説明するが、本開示はこれに限定されない。下記各種変形例で示す押圧部材の構成(例えば形状等)は、ウエハの仮接合時に、上記実施形態で説明したウエハ間に作用する位置ずれ力以上の力(摩擦力又は後述の吸着力)が、押圧部材及び上ウエハ間に発生する構成であれば任意である。
[変形例1]
上記実施形態では、例えばテフロン、PEEK等の樹脂材料で押圧部材3を形成する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、押圧部材を金属材料で形成してもよいし、押圧部材の押圧面のみを金属材料で形成してもよい。変形例1では、このような押圧部材の構成例を説明する。
図10(a)及び(b)に、変形例1の押圧部材の概略構成を示す。なお、図10(a)及び(b)は、押圧部材の押圧方向に沿う方向の概略断面図である。
図10(a)に示す押圧部材40は、押圧部材40全体が例えばアルミニウム、ステンレス等の金属材料で形成される。なお、図10(a)に示す押圧部材40は、形成材料が金属であること以外は、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に構成することができる。
図10(b)に示す押圧部材42は、押圧部材本体42aと、金属材部42bとで構成される。
押圧部材本体42aは、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に、例えば硬質の樹脂材料等で形成することができる。金属材部42bは、押圧部材本体42aの押圧面43側の表面上に設けられ、金属板又は金属膜で構成される。なお、図10(b)に示す押圧部材42は、押圧部材本体42aの押圧面43側の表面上に金属材部42bを設けたこと以外は、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に構成することができる。
この例においても、押圧部材40,42と上ウエハとの間に発生する摩擦力が、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、押圧面41,43の面積及び形状を適宜設定することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、この例の押圧部材40,42では、押圧面41,43を例えば樹脂等の材料より硬い金属で形成するので、押圧部材40,42で上ウエハを押圧した際の押圧面41,43の変形をより低減することができる。この場合、押圧領域(接触領域)における押圧力の均一性をより向上させることができる。
なお、この例では、押圧部材40及び押圧部材42の押圧面43を金属材料で形成する例を説明したが、本開示はこれに限定されず、上ウエハを押圧した際に押圧面の変形をより低減することのできる硬質の材料であれば、任意の材料を用いることができる。例えば、押圧部材40及び押圧部材42の押圧面43をセラミック材料で形成してもよい。
[変形例2]
変形例2では、押圧部材の押圧面を例えばゴム等の弾性材料で形成した例を説明する。図11(a)〜(c)に、変形例2の押圧部材の概略構成を示す。なお、図11(a)〜(c)は、押圧部材の押圧方向に沿う方向の概略断面図である。
図11(a)に示す押圧部材44は、押圧部材本体44aと、弾性材部44bとで構成される。
押圧部材本体44aは、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に、例えば硬質の樹脂材料等で形成することができる。弾性材部44bは、押圧部材本体44aの押圧面45側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。なお、図11(a)に示す押圧部材44は、押圧部材本体44aの押圧面45側の表面上に弾性材部44bを設けたこと以外は、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に構成することができる。
図11(b)に示す押圧部材46は、押圧部材本体46aと、金属材部46bと、弾性材部46cとで構成される。
押圧部材本体46aは、図11(a)に示す押圧部材本体44aと同様の構成である。金属材部46bは、押圧部材本体46aの押圧面47側の表面上に設けられ、金属板又は金属膜で構成される。弾性材部46cは、金属材部46bの押圧面47側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。すなわち、押圧部材46は、図11(a)に示す押圧部材44において、押圧部材本体44aと弾性材部44bとの間に金属材部46bを設けた構成であり、それ以外の構成は、図11(a)に示す押圧部材44と同様の構成である。
また、図11(c)に示す押圧部材48は、押圧部材本体48aと、弾性材部48bとで構成される。
押圧部材本体48aは、金属材料で形成される。弾性材部48bは、押圧部材本体48aの押圧面49側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。すなわち、押圧部材48は、図11(a)に示す押圧部材44において、押圧部材本体44aの形成材料を金属に変更した構成であり、それ以外の構成は、図11(a)に示す押圧部材44と同様の構成である。
この例においても、押圧部材44,46,48と上ウエハとの間に発生する摩擦力が、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、押圧面45,47,49の面積及び形状を適宜設定することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、この例では、押圧面45,47,49を例えばゴム等の弾性材料で形成するので、各押圧部材と上ウエハとの間において、大きな摩擦力をより容易に発生させることができる。
[変形例3]
上記実施形態の接合装置では、上述のように、押圧部材と上ウエハとの間に発生する摩擦力が仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるようにする。それゆえ、押圧部材及び上ウエハ間で所望の摩擦力を得るためには、押圧部材を上ウエハに接触させた際に、押圧部材の押圧面全体が上ウエハに接触することが好ましい。この状態を実現するためには、押圧部材の押圧面と上ウエハの表面とが平行であることが望ましい。しかしながら、実際には、例えば上ウエハの反りや押圧部材の取り付け精度等の影響により押圧部材の押圧面と上ウエハの表面とが十分に平行でない場合もあり得る。この場合、押圧部材及び上ウエハ間の接触面積が小さくなり、両者間で所望の摩擦力が得られない可能性もある。そこで、変形例3では、上述のような問題を解決可能な押圧部材の各種構成例を説明する。
(1)変形例3−1
図12(a)及び(b)に、変形例3−1の押圧部材の概略構成を示す。なお、図12(a)及び(b)は、押圧部材の押圧方向に沿う方向の概略断面図である。
図12(a)に示す押圧部材50は、支持部50aと、押圧部50bと、支持部50a及び押圧部50bを繋ぐ接続部50cとで構成される。
支持部50aは、押圧方向(図12(a)の矢印A1の方向)に延在した棒状部材で構成される。そして、支持部50aの一方の端部が、接続部50cに接続される。なお、支持部50aは、十分な剛性を有する材料であれば任意の材料で形成することができ、例えば金属、硬質の樹脂等の材料で形成することができる。
押圧部50bは、略板状部材であり、その一方の表面が平坦面で構成され、他方の表面が凸状面で構成される。そして、一方の表面が押圧面51となり、他方の表面の凸部の先端が接続部50cに接続される。なお、押圧部50bは、十分な剛性を有する材料であれば任意の材料で形成することができ、例えば金属、硬質の樹脂等の材料で形成することができる。また、押圧部50bは、支持部50aと同じ材料で形成してもよいし、別の材料で形成してもよい。
接続部50cは、球状部材を有し、該球状部材を介して、支持部50aと押圧部50bとを接続する。この際、押圧部50bは、接続部50cの球状部材を支点として回動可能(図12(a)中の矢印A2方向への回転可能)となるように接続部50cに取り付けられる。すなわち、本実施形態の押圧部材50は、支持部50a及び押圧部50bを、接続部50cによりボールジョイントした構成となる。なお、接続部50cは、十分な剛性を有し、かつ、押圧部50bの回動動作を妨げないような材料であれば、任意の材料で形成することができ、例えば金属、硬質の樹脂等の材料で形成することができる。
図12(b)に示す押圧部材52は、押圧部材本体52aと、弾性材部52bとで構成される。なお、図12(b)に示す押圧部材52において、図12(a)に示す押圧部材50と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
押圧部材本体52aは、図12(a)に示す押圧部材50と同様の構成であり、支持部50aと、押圧部50bと、接続部50cとで構成される。
弾性材部52bは、押圧部50bの押圧面53側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。なお、図12(b)に示す押圧部材52は、押圧部50bの押圧面53側の表面上に弾性材部52bを設けたこと以外は、図12(a)に示す押圧部材50と同様に構成することができる。
この例の押圧部材50,52は、上述のように、押圧部50bが、接続部50cの球状部材を支点にして回動可能な構成である。それゆえ、押圧面51,53と上ウエハの表面とが平行でない場合、押圧面51,53を上ウエハに接触させると、押圧面51,53が接続部50cの球状部材を支点にして回動し、押圧面51,53の全面が上ウエハの表面に接触する。この結果、この例では、押圧面51,53と上ウエハの表面とが平行でない場合であっても、押圧部材50,52及び上ウエハ間の接触面積が所望の面積となり、両者間で所望の摩擦力を得ることができる。すなわち、この例では、押圧面51,53と上ウエハの表面とが平行でない場合であっても、より確実に上ウエハの位置ずれを防止することができる。
(2)変形例3−2
上記変形例3−1では、支持部50aと押圧部50bとを接続部50cを介してボールジョイントする構成例を説明したが、本開示はこれに限定されず、例えば、支持部と押圧部とを直接接続した構成にしてもよい。変形例3−2では、そのような押圧部材の構成例を説明する。
図13(a)及び(b)に、変形例3−2の押圧部材の概略構成を示す。なお、図13(a)及び(b)は、押圧部材の押圧方向に沿う方向の概略断面図である。
図13(a)に示す押圧部材60は、支持部60aと、押圧部60bとで構成される。
支持部60aは、押圧方向(図13(a)の矢印A1の方向)に延在した棒状部材で構成される。また、支持部60aの一方の端部には、雄ネジ部60cが形成される。なお、支持部60aは、柔軟性及び弾性を有する任意の材料で形成することができ、例えば樹脂等の材料で形成することができる。
押圧部60bは、略板状部材であり、その一方の表面が平坦面で構成され、他方の表面が凸状面で構成される。そして、一方の表面が押圧面61となり、他方の表面の凸部の先端が支持部60aに接続される。また、押圧部60bの他方の表面の凸部の先端には、支持部60aの雄ネジ部60cと嵌合する雌ネジ部60dが形成される。なお、押圧部60bは、十分な剛性を有する任意の材料で形成することができ、例えば、金属、硬質の樹脂等の材料で形成することができる。
そして、図13(a)に示す押圧部材60では、支持部60aの雄ネジ部60cを押圧部60bの雌ネジ部60dにねじ込むことにより、両者が接続される。
図13(b)に示す押圧部材62は、支持部62aと、押圧部62bとで構成される。
支持部62aは、押圧方向(図13(b)の矢印A1の方向)に延在した棒状部材で構成される。ただし、図13(b)に示す押圧部材62では、支持部62aの一方の端部に、雌ネジ部62cを形成する。なお、支持部62aは、柔軟性及び弾性を有する任意の材料で形成することができ、例えば樹脂等の材料で形成することができる。
押圧部62bは、略板状部材であり、その一方の表面が平坦面で構成され、他方の表面が凸状面で構成される。そして、一方の表面が押圧面63となり、他方の表面の凸部の先端が支持部62aに接続される。ただし、図13(b)に示す押圧部材62では、押圧部62bの他方の表面の凸部の先端には、支持部62aの雌ネジ部62cと嵌合する雄ネジ部62dが形成される。なお、押圧部62bは、十分な剛性を有する任意の材料で形成することができ、例えば、金属、硬質の樹脂等の材料で形成することができる。
そして、図13(b)に示す押圧部材62では、押圧部62bの雄ネジ部62dを支持部62aの雌ネジ部62cにねじ込むことにより、両者が接続される。
この例の押圧部材60,62では、押圧部60b,62bが柔軟性及び弾性を有する支持部60a,62aの中心軸(図13(a)及び(b)中の一点鎖線AX)に対して回動可能(図13(a)及び(b)中の矢印A2方向への回転可能)になる。それゆえ、押圧面61,63と上ウエハの表面とが平行でない場合、押圧面61,63を上ウエハに接触させると、押圧面61,63が支持部60a,62aの中心軸に対して回動し、押圧面61,63の全面が上ウエハの表面に接触する。この結果、この例では、押圧面61,63と上ウエハの表面とが平行でない場合であっても、押圧部材60,62及び上ウエハ間の接触面積が所望の面積となり両者間で所望の摩擦力を得ることができる。すなわち、この例においても、上記変形例3−1と同様の効果が得られる。
(3)変形例3−3
変形例3−3では、上記変形例3−2で説明した押圧部材に、さらに変形例2の構成を組み合わせた構成例を説明する。
図14(a)及び(b)に、変形例3−3の押圧部材の概略構成を示す。図14(a)及び(b)は、押圧部材の押圧方向に沿う方向の概略断面図である。なお、図14(a)及び(b)にそれぞれ示す押圧部材64及び66において、図13(a)及び(b)にそれぞれ示す変形例3−2の押圧部材60及び62と同じ構成には、同じ符号を付して示す。
図14(a)に示す押圧部材64は、押圧部材本体64aと、弾性材部64bとで構成される。
押圧部材本体64aは、支持部60aと、押圧部60bとで構成される。なお、押圧部材本体64aは、図13(a)に示す押圧部材60と同様の構成であるので、ここでは、押圧部材本体64aの各部の構成の説明は省略する。弾性材部64bは、押圧部60bの押圧面65側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。
図14(b)に示す押圧部材66は、押圧部材本体66aと、弾性材部66bとで構成される。
押圧部材本体66aは、支持部62aと、押圧部62bとで構成される。なお、押圧部材本体66aは、図13(b)に示す押圧部材62と同様の構成であるので、ここでは、押圧部材本体66aの各部の構成の説明は省略する。弾性材部66bは、押圧部62bの押圧面67側の表面上に設けられ、例えばゴム等の材料からなる板状(層状)部材で構成される。
この例の押圧部材64,66では、押圧面65,67が柔軟性及び弾性を有する支持部60a,62aの中心軸(図14(a)及び(b)中の一点鎖線AX)に対して回動可能(図14(a)及び(b)中の矢印A2方向への回転可能)になる。それゆえ、この例では、上記変形例3−2と同様の効果が得られる。さらに、この例では、押圧面65,67を例えばゴム等の弾性材料で形成するので、押圧部材64,66と上ウエハとの間において、大きな摩擦力をより容易に発生させることができる。
なお、図14(a)及び(b)に示す例では、上記変形例3−2の押圧部材に変形例2の構成を組み合わせる例を示したが、本開示はこれに限定されない。上記変形例3−1の押圧部材に変形例2の構成を組み合わせてもよく、この場合も変形例3−3と同様の効果が得られる。
[変形例4]
上記実施形態及び各種変形例では、押圧部材の押圧面(接触面)の形状を円形とする例を説明したが、本開示はこれに限定されない。押圧部材及び上ウエハ間に発生する摩擦力が仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるような接触面積が得られる形状であれば、押圧面の形状を任意に設定することができる。
例えば、押圧面の形状がリング状であってもよい。その一構成例を、図15(a)及び(b)に示す。なお、図15(a)は、押圧部材の押圧方向(図15(a)中の矢印A1の方向)に沿う方向の概略断面図であり、より具体的には、図15(b)中のB−B断面図である。また、図15(b)は、押圧面側から見た押圧部材の下面図である。
この例の押圧部材70では、その押圧面71側の表面の中央部分に、開口が円形状の凹部70aを形成する。これにより、リング状の押圧面71が形成される。なお、この例の押圧部材70は、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に、例えば金属、硬質の樹脂等の十分な剛性を有する材料で形成することができる。
この例では、押圧部材70及び上ウエハ間に発生する摩擦力が仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、押圧面71の外径、及び、押圧面71の半径方向の幅を適宜調節する。これにより、この例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、変形例4の押圧部材の構成は図15(a)及び(b)に示す例に限定されず、例えば、変形例4の構成と変形例1〜3の少なくとも一つの構成とを適宜組み合わせてもよい。
[変形例5]
上記実施形態及び各種変形例では、押圧部材の押圧面(接触面)が連続的な領域で形成されている例を説明したが、本開示はこれに限定されず、互いに独立した複数の領域で押圧部材の押圧面が構成されていてもよい(変形例5)。
例えば、複数の押圧部材を用いて、上ウエハを複数の面領域(多点)で押圧する構成にしてもよい。この場合、複数の押圧面の面積のトータル値を、押圧部材及び上ウエハ間に発生する摩擦力が仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるような接触面積に設定することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この例の各押圧部材としては、上記実施形態及び各種変形例と同様の構成の押圧部材を用いることができる。ただし、この場合、各押圧部材の押圧面の面積は、各押圧部材と上ウエハとの間に発生する摩擦力が仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力より小さくなるような面積でもよい。
また、この例のように複数の押圧部材を用いて上ウエハを押圧する場合、ボイド抑制の観点から、複数の押圧部材は、上ウエハの中心に対して点対称となる位置に配置することが好ましい。
[変形例6]
上記実施形態及び各種変形例では、押圧部材及び上ウエハ間の摩擦力により、仮接合時の上ウエハの位置ずれを抑制する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、押圧部材に上ウエハを吸着させて、上ウエハの位置ずれを抑制してもよい。すなわち、仮接合時の上ウエハの位置ずれの抑制力として、吸着力を用いてもよい。変形例6では、上ウエハを吸着可能な押圧部材の各種構成例を説明する。
(1)変形例6−1
変形例6−1では、押圧部材の押圧面に吸盤を設けて、上ウエハを押圧部材に吸着させる押圧部材の構成例を説明する。図16(a)及び(b)に、変形例6−1の押圧部材の概略構成を示す。なお、図16(a)は、押圧部材の押圧方向(図16(a)中の矢印A1の方向)に沿う方向の概略断面図であり、より具体的には、図16(b)中のC−C断面図である。また、図16(b)は、押圧面側から見た押圧部材の下面図である。
この例の押圧部材80は、上記実施形態と同様に、例えば金属、硬質の樹脂等の十分な剛性を有する材料で形成することができる。また、この例では、押圧部材80の押圧面81に複数の凹部80aを形成する。なお、複数の凹部80aは、押圧面81の全面に渡って、所定間隔で形成される。
各凹部80aの表面形状は、球面状とする。また、各凹部80aのサイズ(径及び深さ)は、各凹部80aが吸盤として作用するように適宜設定される。なお、この例では、複数の凹部80aのサイズが全て同じである例を示すが、本開示はこれに限定されず、複数種のサイズの異なる凹部80aを押圧面81に形成してもよい。
この例では、押圧部材80を上ウエハに接触させた際(荷重印加時)に、押圧面81に形成された複数の凹部80aの吸盤作用により、上ウエハが押圧部材80に吸着される。
そして、この例では、押圧部材80及び上ウエハ間に発生する吸着力が、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、複数の凹部80aの構成(例えば各凹部80aのサイズ、凹部80aの数等)を適宜設定する。これにより、この例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(2)変形例6−2
変形例6−2では、上ウエハを真空吸引して吸着させる押圧部材の構成例を説明する。図17に、変形例6−2の押圧部材の概略構成を示す。なお、図17は、押圧部材の押圧方向(図17中の矢印A1の方向)に沿う方向の概略断面図である。
この例の押圧部材82は、押圧部材本体82aと、吸引部82bと、押圧部82cと、吸引配管82dとで構成される。
押圧部材本体82aは、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に、例えば樹脂、硬質の金属等の十分な剛性を有する材料で形成することができる。
吸引部82bは、メッシュ状の層状(板状)部材であり、押圧部材本体82aの押圧面83側の表面上に設けられる。吸引部82bは、例えばセラミック等の材料からなる層に穴を形成することにより作製される。
押圧部82cは、吸引部82bの押圧面83側の表面上に設けられる。押圧部82cは、押圧面83の平行度を確保(及び維持)するために、例えば金属、樹脂、セラミック等の十分な剛性を有する材料で形成する。なお、この例では、押圧面83上の一部に吸引部82bの一部が露出するように、吸引部82b及び押圧部82cを構成する。
吸引配管82dは、その一方の端部が吸引部82bの押圧部材本体82a側の表面に到達するように、押圧部材本体82aに取り付けられる。また、吸引配管82dの他方の端部は、外部の吸引装置(不図示)に接続される。
この例では、押圧部材82を上ウエハに接触させた際に、吸引配管82d及び吸引部82bを介して上ウエハを真空吸引することにより、上ウエハを押圧部材82に吸着させる。
そして、この例では、押圧部材82及び上ウエハ間に発生する吸着力が、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、真空吸引の吸引力を適宜調整する。これにより、この例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(3)変形例6−3
変形例6−3では、静電チャック手法により、上ウエハを押圧部材に吸着させる押圧部材の構成例を説明する。図18に、変形例6−3の押圧部材の概略構成を示す。なお、図18は、押圧部材の押圧方向(図18中の矢印A1の方向)に沿う方向の概略断面図である。
この例の押圧部材84は、押圧部材本体84aと、電極部84bと、押圧部84cとで構成される。
押圧部材本体84aは、上記実施形態の押圧部材3(図2)と同様に、例えば樹脂、硬質の金属等の十分な剛性を有する材料で形成することができる。
電極部84bは、層状(板状)の金属製部材であり、押圧部材本体84aの押圧面85側の表面上に設けられる。また、電極部84bは、外部の電源100に電気的に接続される。
押圧部84cは、電極部84bの押圧面85側の表面上に設けられる。押圧部84cは、押圧面85の平行度を確保(及び維持)するため、並びに、押圧部84c及び上ウエハ間の絶縁性を確保するために、例えばセラミック等の十分な剛性を有する絶縁性材料で形成される。
この例では、電極部84bに電圧を印加した状態で押圧部材84を上ウエハに接触させる。又は、押圧部材84を上ウエハに接触させた後に電極部84bに電圧を印加する。この際、押圧部84cを介して押圧部材84及び上ウエハ間に作用する静電力により、上ウエハを押圧部材84に吸着させる。
そして、この例では、押圧部材84及び上ウエハ間に発生する吸着力が、仮接合時にウエハ間に発生する位置ずれ力以上となるように、例えば、電極部84bに印加する電圧等を適宜調整する。これにより、この例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、変形例6の押圧部材の構成は上述した各種構成例に限定されず、例えば、変形例6−1〜6−3のいずれかの構成に変形例1〜5の少なくとも一つの構成を適宜組み合わせてもよい。この場合、仮接合時における上ウエハの位置ずれの抑制効果をより一層向上させることができる。
[その他の各種変形例]
上記実施形態及び各種変形例では、各ウエハの接合面(貼り合わせ面)を親水処理等の処理により活性化して、2枚のウエハを直接接合する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば接着剤等を介して2枚のウエハを貼り合わせる場合にも、上記実施形態及び各種変形例で説明したウエハの接合手法及び接合装置は同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。
上記実施形態及び各種変形例のウエハの接合手法及び貼り合わせ装置では、押圧部材で上ウエハの中央付近に荷重を印加する例を説明したが、本開示はこれに限定されず、例えば用途等に応じて荷重の印加位置を適宜変更することができる。例えば、上ウエハの外周端部付近に、押圧部材により荷重を印加する構成にしてもよい。ただし、ボイド抑制の観点では、上記実施形態及び各種変形例のように、荷重の印加位置を上ウエハの中央付近に設定することが好ましい。
上記実施形態及び各種変形例では、2枚のウエハを上下に配置して接合する手法及び接合装置について説明したが、本開示はこれに限定ざれない。例えば、2枚のウエハを左右に縦置きにして接合する場合にも、上記実施形態及び各種変形例で説明したウエハの接合手法及び接合装置は同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。
上記実施形態及び各種変形例では、Si基板上に例えば所定の素子、配線等が形成されたウエハレベルの2枚のウエハを接合する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、基板上に例えば所定の素子、配線等が形成されていない2枚のウエハを接合する場合にも、上記実施形態及び各種変形例で説明したウエハの接合手法及び接合装置は同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。
なお、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)
第1の基板の所定領域に押圧部材を面接触させて該第1の基板に所定の荷重を印加するステップと、
前記第1の基板に、前記所定の荷重を印加すると同時に、又は、前記所定の荷重を印加した後に、前記押圧部材を前記第1の基板に面接触させた状態で、前記第1の基板を第2の基板に接触させるステップと
を含む基板の接合方法。
(2)
前記第1の基板を前記第2の基板に接触させた際に発生する前記第1の基板が前記第2の基板に対して相対的に移動しようとする第1の力を打ち消す第2の力が前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生するように、前記押圧部材を前記第1の基板に面接触させる
(1)に記載の基板の接合方法。
(3)
前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記第2の力が摩擦力であり、該摩擦力が前記第1の力以上となるように、前記押圧部材及び前記第1の基板間の接触面の面積が設定されている
(2)に記載の基板の接合方法。
(4)
複数の押圧部材を前記第1の基板に面接触させ、複数の接触面のトータル値が、前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記摩擦力が前記第1の力以上となるように設定されている
(3)に記載の基板の接合方法。
(5)
前記押圧部材を前記第1の基板に接触させた際に、前記押圧部材の押圧面が、前記第1の基板の被押圧面と平行になるように回動する
(3)又は(4)に記載の基板の接合方法。
(6)
前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記第2の力が吸着力である
(2)〜(5)のいずれか一項に記載の基板の接合方法。
(7)
さらに、前記押圧部材を前記第1の基板に接触させる前に、前記第1の基板及び前記第2の基板間の位置合わせを行うステップを含む
(1)〜(6)のいずれか一項に記載の基板の接合方法。
(8)
第1の基板の所定領域に面接触して、所定の荷重を該第1の基板に印加する押圧部材と、
前記押圧部材で前記第1の基板に、前記所定の荷重を印加すると同時に、又は、前記所定の荷重を印加した後に、前記第1の基板を第2の基板に接触させる基板駆動部と
を備える基板接合装置。
1…上チャック、1a…吸引口、1b…荷重印加部、2…下チャック、3…押圧部材、3a…押圧面、10…接合装置、21…上ウエハ、22…下ウエハ、P…荷重、F…摩擦力、S…位置ずれ力

Claims (8)

  1. 第1の基板の所定領域に押圧部材を面接触させて該第1の基板に所定の荷重を印加するステップと、
    前記第1の基板に、前記所定の荷重を印加すると同時に、又は、前記所定の荷重を印加した後に、前記押圧部材を前記第1の基板に面接触させた状態で、前記第1の基板を第2の基板に接触させるステップと
    を含む基板の接合方法。
  2. 前記第1の基板を前記第2の基板に接触させた際に発生する前記第1の基板が前記第2の基板に対して相対的に移動しようとする第1の力を打ち消す第2の力が前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生するように、前記押圧部材を前記第1の基板に面接触させる
    請求項1に記載の基板の接合方法。
  3. 前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記第2の力が摩擦力であり、該摩擦力が前記第1の力以上となるように、前記押圧部材及び前記第1の基板間の接触面の面積が設定されている
    請求項2に記載の基板の接合方法。
  4. 前記押圧部材を前記第1の基板に接触させた際に、前記押圧部材の押圧面が、前記第1の基板の被押圧面と平行になるように回動する
    請求項3に記載の基板の接合方法。
  5. 複数の押圧部材を前記第1の基板に面接触させ、複数の接触面のトータル値が、前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記摩擦力が前記第1の力以上となるように設定されている
    請求項3に記載の基板の接合方法。
  6. 前記押圧部材及び前記第1の基板間に発生する前記第2の力が吸着力である
    請求項2に記載の基板の接合方法。
  7. さらに、前記押圧部材を前記第1の基板に接触させる前に、前記第1の基板及び前記第2の基板間の位置合わせを行うステップを含む
    請求項1に記載の基板の接合方法。
  8. 第1の基板の所定領域に面接触して、所定の荷重を該第1の基板に印加する押圧部材と、
    前記押圧部材で前記第1の基板に、前記所定の荷重を印加すると同時に、又は、前記所定の荷重を印加した後に、前記第1の基板を第2の基板に接触させる基板駆動部と
    を備える基板接合装置。
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