JP2005158962A - 静電チャック及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】 接着力や熱伝導性を損なわないように、接着剤層として所定の厚みを確保しつつ、静電チャック板と、ベース部材の間の接着剤層の厚みに不均一性を発生させず、静電チャック板の表面である吸着面に傾斜のない静電チャックを提供する。
【構成】 静電チャック板2の裏側平面4を、ベース部材21の表側平面23に接着剤層30を介して接着してなる静電チャック1で、両平面4,23間で接着剤層30を圧縮した際に、両平面4,23間が、所定厚さの接着剤層30を介して平行となるように、接着前の両平面間に、接着剤層30の厚さ分の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材である線材41を複数配置し、両平面間で接着剤層30を圧縮して両部材を接着した。
【選択図】 図1
【構成】 静電チャック板2の裏側平面4を、ベース部材21の表側平面23に接着剤層30を介して接着してなる静電チャック1で、両平面4,23間で接着剤層30を圧縮した際に、両平面4,23間が、所定厚さの接着剤層30を介して平行となるように、接着前の両平面間に、接着剤層30の厚さ分の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材である線材41を複数配置し、両平面間で接着剤層30を圧縮して両部材を接着した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体の製造装置等において、半導体ウエハ等の固定、矯正、搬送等を行うために用いられる静電チャックに関する。
この種の静電チャックには、セラミックス等の絶縁体の内部に、半導体ウエハ等の被吸着部材(以下、ウエハともいう)を静電力で吸着するための電極を設けた一定厚さの静電チャック板を、アルミニウム等の金属材からなる一定厚さのベース部材の表側平面(上部平面)に固定したものがある。この固定には通常、接着剤による接着が用いられている(特許文献1)。
図7は、このような静電チャック1の1例を示したものである。このものは、通常、円盤形状をなすベース部材21の表側平面に、ペースト状とした接着剤(例えばシリコーン樹脂)30をスクリーン印刷等により一定厚さに印刷(塗布)し、その接着剤層の上に、静電チャック板2を位置決めして載置し、接着剤を圧縮することで接着されていた。すなわち、ベース部材を水平面上に置き、その表側平面に形成した接着剤層の上に、静電チャック板を載置し、錘を載せ、所定時間放置することで静電チャックとして製造されていた。
ところで、静電チャックは、それが例えばウエハのエッチング装置に取り付けられるものでは、その処理を行うため、ウエハをその静電チャック板の表面に吸着して保持するところである。したがって、吸着面に微小とはいえ傾斜があれば、ウエハの表面の平面度が悪くなり、その処理において不具合を発生させる原因となる。このため、この種の静電チャックには、吸着面である静電チャック板の表側平面に高度の平面度が要求されている。また、エッチング装置への取り付け面をなすベース部材の裏側平面と、静電チャック板の表側平面との間には高度の平行度が要求されている。
特開平4−287344号公報
ところが、上記した特許文献1に記載の接合構造の静電チャックにおいては、図7に示したように、静電チャック板2の表側平面(吸着面)3が、ベース部材21の裏側平面24に対して傾斜し、ウエハ等の被吸着体を吸着、保持する吸着面に十分な平面度が確保できないという問題があった。その原因は、図7に誇張して示したように、ベース部材21と、静電チャック板2との接合に接着剤(層)30を用いていること起因する。すなわち、ベース部材21と、静電チャック板2のそれぞれについては、機械加工、或いは、研磨等によって、各部材の上下両平面は高精度の平行度、平面度で仕上げられているのであるが、静電チャック板2とベース部材21とを接着している接着剤層30の厚みが、一定厚さとならないためである。すなわち、接着後においては、同図に示したように、例えば、接着面における一方の端縁から他方の端縁に向けて接着剤層30が厚く(又は薄く)なるためである。
その原因は次のように考えられる。印刷で接着剤層を形成する際においては、その印刷厚さに誤差が発生する。また、スクリーン印刷では、印刷するペースト状の接着剤を、一方の端から他方の端に向けて印刷する際、その厚みが傾斜状に変化することがあるなど、接着面における接着剤層の厚みの不均一が発生しやすい。このため、接着において、接着剤層を挟むいずれか一方の部材の上に、錘を載せて接着剤層を圧縮したとしても、接着後の接着剤層の厚みの不均一を完全に除去することはできない。そして、このような問題は、接着剤層が厚いほど生じやすく、結果として、ベース部材の裏側平面と、静電チャック板の表側平面との間の平行度が損なわれる。
そこで考えられるのは、接着剤層の厚みをできるだけ薄くしたり、圧縮に用いる錘を重量のある大きいものとすることである。しかし、接着剤層の厚みが薄くなると、接着の安定性が失われなどの問題がある。というのは、両部材の接着面は、ともに平面に仕上げられているとはいえ、微視的に見れば、その表面にはうねりや凹凸がある。このため、接着剤層を薄くしすぎると、その凹部において接着されない部位が発生するためである。また、このようなベース部材は、静電チャック板の固定とともに、ウエハにおいて発生する熱を外部に伝導して放出し、ウエハを冷却する作用も担っている。このため、未接着部位があると、熱伝達性の低下を招く原因ともなる。
こうしたことから、接着剤層は、接着面の全体を確実に接着できる厚さに設定する必要があり、どうしても、ある程度の厚みを持たせる必要がある。また、錘の重さを過大にするにも生産効率上からして限界がある。したがって、ベース部材と静電チャック板との接着構造からなる静電チャックにおいては、接着剤層の厚みを適切に確保しつつ、その厚みの不同を完全に除去することには限界がある。それゆえ、ベース部材の裏側平面と静電チャック板の表側平面との平行を高精度に保持することには限界があり、吸着面に微小な傾斜が発生しがちであるといった問題があった。
本発明は、静電チャック板と、ベース部材とを接着剤にて接着してなる構造の静電チャックにおける上記した問題点に鑑みてなされたものである。その目的は、接着力や熱伝導の低下を招かないように、接着剤層として所定の厚みを確保しつつも、静電チャック板とベース部材間の接着剤層の厚みに不均一を発生させず、ベース部材の裏側平面と静電チャック板の表側平面との平行を高精度に保持できる静電チャックを提供することにある。
前記の目的達成のために請求項1に記載の本発明は、絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在し、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなり、前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材が配置され、前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とが接着されていることを特徴とする。
そして、請求項2に記載の本発明は、絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在させ、その両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなる静電チャックにおいて、
その接着にあたり、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなることを特徴とする。
そして、請求項2に記載の本発明は、絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在させ、その両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなる静電チャックにおいて、
その接着にあたり、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなることを特徴とする。
前記の構成により、本発明に係る静電チャックにおいては、接着剤層の厚みは、前記両平面の間に配置されてなる接着剤層厚さ保持部材により、前記両平面の間全体において一定の厚みに保持されて接着されている。このため、ベース部材と、静電チャック板の各部材とも、それぞれの表裏両平面が高精度の平行度、平面度で仕上げられている限り、接着剤層の厚さが厚めであっても、静電チャック板の吸着面に傾きが発生することなく、所望とする平面度を保持できる。なお、接着剤層厚さ保持部材は、その形状、個数、或いは配置に限定があるものではなく、適宜のものとすることができる。また、その材質は、寸法精度が維持されやすく、しかも、圧縮された際に変形の少ないものから選択すればよい。チタン、チタン合金、ステンレス合金などの金属、或いは、製造、加工が容易で、接着や汚染の問題のない、セラミックス、プラスチックで形成すればよい。
請求項3に記載の本発明は、前記接着剤層厚さ保持部材が、円断面で一定太さの線材(ワイヤ)とし、その線径が接着剤層厚さとなるように配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャックである。接着剤層厚さ保持部材が例えば一定厚さの板材の場合には、その板の厚さを接着剤層の厚さに設定し、その板の厚さが接着剤層の厚さとなるようにして前記両平面の間に配置しないといけない。しかも、その場合には、板材と前記両平面との各間に接着剤を挟み込まないようにしないといけない。一方、請求項3に記載のように、円断面の線材とする場合には、その太さ(外径)が接着剤層の厚さと同じものを用いることで、これをその軸線が接着面をなす各部材の表裏両平面と平行になるように適所に配置することでよい。また、このような線材は、接着剤層の設計厚さに対応した太さのものとなるために細いものである。したがって、未硬化の接着剤層中に、接着における圧縮により円滑に沈み込むことができる上に、接着面と線接触となるため、接着剤層を挟み込むことを防止しやすい。したがって、接着剤層の厚さの誤差を招きにくい。すなわち、接着における圧縮力を適切に設定することで、接着剤層の厚みを線材の径の精度とすることができるという特有の効果がある。
請求項4に記載の本発明は、前記線材が3本以上であり、各線材の軸線が平面視において放射状となるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の静電チャックである。このようにすることで、少ない本数で容易にベース部材の裏側平面と静電チャック板の表側平面との平行を高精度に保持できる。
請求項5に記載の本発明は、前記接着剤層厚さ保持部材が、直径が同じである3以上の球であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャックである。このように、球とする場合には、その姿勢に関係なく当然の事ながらその外径は一定である。このため、球を用いる場合には、その径が接着剤層の厚さにあうものを3以上用いることで、これを適所に配置するだけでよい。しかも、このものにおいても、未硬化の接着剤層を圧縮することで、この球は接着剤層中によく沈み込む。しかも、接着面と点接触となるため、接着剤層を挟み込むことも防止しやすく、したがって、接着剤層の厚さの誤差を招きにくいという効果がある。
本発明では、接着剤層の厚さが厚めであっても、その厚さを前記両平面の間で一定にできる。しかし、接着剤層の厚さが、20μm以下となると、平面のうねりなどの凹凸により、未接着面の発生する危険性がある上に、接着剤層厚さ保持部材の製造及び取り扱いにおいても難点がある。一方、ベース部材は、静電チャック板を固定して保持するところであるとともに、処理過程のウエハに発生する熱を伝達して外部に逃がし、ウエハを冷却する役割を担うところでもある。このため、150μmを超えるようだと、接着剤層の熱伝導性の低さから、静電チャック板とベース部材の間の熱伝導性が低下する。したがって、本発明の静電チャックにおいては、その接着剤層の厚さは、20〜150μmの範囲とするとよい。
請求項6に記載の本発明は、前記接着剤層をなす接着剤がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電チャックである。
請求項7に記載の本発明は、絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在させ、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなり、
前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、
前記両平面の間で前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着することを特徴とする静電チャックの製造方法である。
前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、
前記両平面の間で前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着することを特徴とする静電チャックの製造方法である。
上記したように本発明によれば、接着剤層として所定の厚みを確保しつつも、静電チャック板とベース部材の間の接着剤層の厚みに不均一を発生させない。このため、ベース部材と、静電チャック板の各部材とも、それぞれの表裏両平面が高精度の平行度、平面度で仕上げられている限り、接着剤層の厚さが厚めであっても、静電チャック板の吸着面に傾きが発生することなく、所望とする平面度を保持できる。すなわち、ベース部材の裏側平面と静電チャック板の表側平面との平行を高精度に保持でき、静電チャック板の表面が傾斜のない所望とする平面の静電チャックとなすことができる。かくして、このような静電チャックによれば、吸着するウエハの表面を設定された平面に保持できるため、ウエハの処理において不具合が発生させることを防止できる。
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3に基いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る静電チャックの中央縦断面図及び部分拡大図であり、図2は図1の破断平面図(接着剤層厚さ保持部材の配置説明図)であり、図3は静電チャックの製造工程の説明図である。図中、1は、静電チャックであり、絶縁体製の静電チャック板2をアルミニウム合金製のベース部材21に接着剤層30によって接着して構成されている。
本例では、静電チャック板2は、アルミナ(Al2O3)を主成分とするセラミックス製(焼結体)で一定厚さ(5mm)の積層(例えば10層)構造をなす、直径が、300mm、200mm又は150mmで円形平板形状を呈している。そして、その表側平面(上面)3が半導体ウエハ等の被吸着部材(ウエハともいう)101を吸着、保持する吸着面とされ、裏側平面(下面)4がベース部材21への接着面とされ、両平面3,4は平行かつ高度の平面度に仕上げられている。この静電チャック板2は、その内部に静電力によって被吸着部材101を吸着するための電極5,5が埋設状に設けられており、外部には図示しない中継配線が引き出されている。
一方、ベース部材21は、一定厚さの円板形状を呈しており、表側平面(上面)23に、静電チャック板2をその裏側平面4を接着剤層(例えば、シリコーン樹脂からなる接着剤)30を介して接着して固定している。ただし、この接着剤層30の中には、詳しくは後述するが、本発明の要旨であるところの接着剤層厚さ保持部材として、本形態では一定太さ(直径)で、円断面の樹脂製の線材(ワイヤー)41が、その軸線を両平面4,23に平行にして接着剤層30とともに挟みつけられる(圧縮される)形で配置されている。ここで、接着前の接着剤層30の厚さは、線材41の直径より大きいが、両平面4,23にて潰されるように圧縮され、線材41にてその潰されが止められたものとなっている。なお、線材41は同一長さとされ、図2に示したように、ベース部材21の表側平面23において、平面視、中心から放射状に、例えば45度間隔で、大小2つの円周上において配置されている。なお、図2中の39は、吸着後のウエハ101を分離するための、突き出しピン挿通用のピン突き出し穴であり、本例では1つの円上において、等角度間隔で3箇所穿孔されている。したがって、本形態では接着剤層30は、このピン突き出し穴39を避ける形で存在している。なお、ベース部材21の表裏両平面23、24も、互いに平行で、高度の平面度に仕上げられたものが使用されている。
このような本形態の静電チャック1は、ベース部材21の裏側平面24を介して、例えば半導体ウエハのエッチング処理装置に搭載、固定されて使用される。すなわち、ウエハ101は、その吸着面である静電チャック板2の表側平面3に載置され、埋設された電極5間に所定の電圧を印加することで発生する静電力によって吸着、保持された状態でエッチングされる。この際、本形態の静電チャック1においては、次のような特有の効果がある。
本形態の静電チャック1は、静電チャック板2と、ベース部材21とを接合する接着剤層30中に、同じ直径の線材41が配置され、その状態の下で、接着剤層30とともに線材41をその径方向に圧縮することで接着された構造をなしている。このため、接着剤層30の厚さTは、線材41の太さ(直径)に保持され、接着剤層30のどの部位においても同一に保持されている。したがって、静電チャック板2の表側平面3は、ベース部材21の裏側平面24に対し、正しく平行に保持されている。これにより、ウエハ101を、静電チャック板2の表側平面3において傾斜することなく吸着、保持できるため、エッチング処理において不具合の発生を招くことを防止できる。なお、本形態の静電チャック1の構造から理解されるが、接着剤層30の厚みが大きいとしても、その厚さの不均一を発生させない。
ここで、上記形態の静電チャック1の製法の具体例について、図3に基づいて詳細に説明する。すなわち、図3−Aに示した、表裏両平面23,24が平行に仕上げられたベース部材21の表側平面23の全体に、図3−Bに示したようにペースト状とした接着剤をスクリーン印刷にて、1回又は複数回印刷し、所定の厚さとなるように形成する。ここに所定の厚さは、接着における圧縮(潰され)を考慮し、本形態では、接着後の設計上の接着剤層30の厚み(線材41の太さ)の例えば1.4倍としている。なお、シリコーン樹脂を用いる場合には、トルエン、アセトンなどの有機溶剤で溶解してペースト状として使用する。
次に、印刷した接着剤層30の表面に、例えば、図2に示したような、放射状の配置で、線材41を載置する(図3−C参照)。このような放射状の配置は例示である。すなわち、接着剤層30の有無に関係なく、静電チャック板2の裏側平面4と、ベース部材21の表側平面23の間で、線材41を挟みつけた際に、両平面4,23が、平行となるように配置すればよい。したがって、短い線材を用いる場合には、3本以上を配置することになる。また、例えば、長い線材をリング状(或いはC字状)に曲げ、静電チャック板2の中央に同心リング状に配置してもよい。しかし、その場合には、接着における圧縮において、リングの内側に存在する余剰の接着剤層の逃げ道が閉ざされるようになる。これに対して放射状に配置とすると、接着剤層を圧縮して両平面が線材に当接するまでの過程で、押し潰された余剰の接着剤を外方に円滑に移動させやすいという効果がある。
そして、図3−Dに示したように、静電チャック板2を、その吸着面である表側平面3を上にして位置決めし、接着剤層30及び線材41の上に載せる。次に、図3−Eに示したように、静電チャック板2の表側平面3の上に所定のウエイトの錘45を載せ、接着剤層30を圧縮し、線材41で両部材の平面4,23を支持させるようにする。したがって、錘45は、この圧縮において、線材41を接着剤層30中に沈みこませるとともに、静電チャック板2とベース部材21の両部材の平面4,23が線材41に当接させることのできるものを用いるのが好ましい。このためには、接着面において、例えば、30〜35g/cm2の面圧が得られる重量のある錘を用いるのが好ましい。こうして、所定時間(20〜24時間)放置し、両者を接着する。こうすることで、接着剤層30が一定厚さ(本形態では線材の直径)となり、かつ両部材の平面4,23が平行の静電チャックが得られる。なお、接着においては、図3−Eに示したように、両平面(接着面)4,23の周縁から余剰の接着剤30がはみ出すが、これは接着後において研削等により除去すればよい。
すなわち、本形態に係る静電チャック1においては、その接着における接着剤層30の圧縮過程で、接着剤層30は圧縮されるが、接着剤層厚さ保持部材である線材41が存在するため、接着剤層30の厚みは、接着面の全体において、線材41の線径(外径)と同じになる。したがって、これにより製造された静電チャック1は、その吸着面である表側平面3に傾斜が発生することがない。かくして、その吸着面に吸着、保持される半導体ウエハ等の被吸着部材の上面は、所望とする平面精度に保持される。
なお、配置する線材41は、静電チャック板2、ベース部材21の両平面4,23間で接着剤層30を圧縮した際にその接着剤層30が所定の厚さとなり、かつ両平面4,23が平行となるように、適宜の数、配置で配置すればよく、上記もしたが、3本以上を適宜の配置とすることでもよい。なお、本形態では、接着剤層厚さ保持部材に、断面が円で一定太さの線材を用いている。このため、接着後の設計上の接着剤層の厚さにあう太さの線材を選定すればよい。
さて、次に本発明の静電チャックの別の実施の形態について、その破断平面図である図4に基づいて説明する。このものは、図4に示したように、接着剤層厚さ保持部材として、前記形態における線材に代えて、同一直径の多数の球(球体)42を用いた点が相違するだけであるため、詳細な説明は省略し、同一部位には同一の符号を付すにとめる。すなわち、このものでは、設計上の接着剤層30の厚さTを直径として有する例えばステンレス鋼製の微小な球42を多数、ベース部材21の表側平面23に形成した接着剤層30の上面全体に、平均的に点在する配置で載置し、その上に、上記の静電チャックと同様に静電チャック板2を載置し、これを圧縮して接着したものである。
本形態では、接着剤層厚さ保持部材を多数の3以上の球42としたため、これをベース部材21の表側平面23と、静電チャック板2の裏側平面4とで挟みつける時には、両平面4,23は常に平行となる。また、球42は、ベース部材21の表側平面23と、静電チャック板2の裏側平面4とで挟みつけられる形となり、いわば点接触状態となる。このため、このような接着剤層厚さ保持部材も接着剤層に沈み込ませやすいというメリットがある。また、球は、線材に比べるとハンドリングが容易なため、接着剤層30の上面に配置するのが容易であるといった効果もある。
接着剤層厚さ保持部材は、上記もしたが、円断面の線材や球以外とすることも可能である。例えば、平板材、角棒など、適宜の形のものを用いることもできる。すなわち、接着剤層厚さ保持部材は、接着剤層30の設計上の厚さ分の寸法を有し、ベース部材21と、静電チャック板2との両平面23,4の間に配置し、その両平面の間で接着剤層を圧縮した際に、その接着剤層厚さが得られるものであり、かつ両平面が平行となるものであればよい。また、その材質について、上記においては、金属製のものとしたが、もちろんこれに限定されるものではない。接着時の圧縮において変形したりせず、静電チャックとして、不具合を招かないものであれば、適宜の材質で形成すればよい。
また、上記の各形態では、ベース部材21の表側平面23に接着剤を印刷し、その接着剤層30の上に接着剤層厚さ保持部材を置き、さらに静電チャック板2を載せて、両者の平面4,23の間で接着剤層30を圧縮する場合を説明したが、接着における方法ないし手順は、これに限定されるものではない。すなわち、これとは逆に、静電チャック板2の裏側平面4に接着剤層30を印刷し、その接着剤層30の上に接着剤層厚さ保持部材を置き、その上に、ベース部材21をその表側平面23が接するように載置して、両者の平面4,23間で接着剤層30を圧縮して接着してもよい。
また、接着剤層を、ベース部材又は静電チャック板のいずれの部材にも印刷することなく、プリプレグ(prepreg)のような、シート状の接着剤層を挟んで接着する場合においても具体化できる。すなわち、図5−A、Bに示したように、シート状の接着剤層30の一方の面に、接着剤層厚さ保持部材である例えば線材41を載置状に配置しておき、その状態のものを、ベース部材21の表側平面23と、静電チャック板2の裏側平面4とで同時に挟みつけ、その下で圧縮することとしてもよい。
さらに、予め、ベース部材の表側平面の適所に、接着後における設計上の接着剤層の厚さ分の高さ(寸法)を有する、接着剤層厚さ保持部材を接着等により固定或いは一体化しておき、その状態のベース部材の表側平面に接着剤層を印刷してから、静電チャック板をその接着剤層の上に載せて接着してもよい。すなわち、図6−Aに示したように、ベース部材21の表側平面23の適所に、接着後における設計上の接着剤層の厚さT分の高さを有する、接着剤層厚さ保持部材43を接着等により固定或いは一体化し、形成しておく。そして、図6−Bに示したように、ベース部材21の表側平面23に、厚さTより厚めに接着剤層30を印刷する。次に、図6−C、Dに示したように、この接着剤層30の上に、静電チャック板2を載置し、錘45を載せて圧縮して接着する。このようにしても、本発明の静電チャックとなすことができる。
その他、本発明は、上記した各実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜に設計変更して具体化できる。また、上記においては、静電チャック板として、アルミナを用いたがこれに限定されるものでない。SiCやAlNや絶縁性プラスチックを用いることもできる。さらに、接着剤として、シリコーン樹脂を用いたが、これに限定されるものではない。アミン系、エポキシ系等の有機性接着剤、或いはガラスを用いることもできる。ただし、シリコーン樹脂は、耐熱性も高く、接着後においても高弾性を有するため、ベース部材と静電チャック板との間に発生する熱応力の緩和、吸収に有効である。すなわち、静電チャック板としてはセラミックス製が好ましく、ベース部材としては高熱伝導で、加工の容易なアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが好ましい。しかし、このような異なる材質間では、熱膨張係数差が大きいため、半導体ウエハのドライエッチング装置の静電チャックとして使用される場合には、静電チャック板に亀裂等の不具合が発生することがある。しかし、接着剤層にシリコーン樹脂を用いる場合には、シリコーンが高弾性を有する(伸び率が大きい)ために伸縮差を吸収するから、そのような問題を有効に解消できる。なお、ここにシリコーン樹脂とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する半無機、半有機的結合のケイ素化合物重合体を意味する。
また、本発明の静電チャックは、内部に一対の電極を備えてその電極間に電圧を印加することで靜電力を発生させる双極型のものに限られるものではなく、当然のことながら、単極型のもの、すなわち、内部の電極とウエハとの間に電圧を印加することで、静電チャック板上にウエハを吸着させるものにおいても具体化できる。さらに、静電チャックは、その吸着面が円形のものに限定されるものでもない。そして、本発明に係る静電チャックは、ウエハを、CVDやスパッタリングによる成膜処理やイオン注入(不純物注入)といったエッチング処理以外の処理に使用する際においても広く使用できる。
1 静電チャック
2 静電チャック板
4 静電チャック板の裏側平面
21 ベース部材
23 ベース部材の表側平面
30 接着剤層
41 線材(接着剤層厚さ保持部材)
42 球(接着剤層厚さ保持部材)
43 接着剤層厚さ保持部材
2 静電チャック板
4 静電チャック板の裏側平面
21 ベース部材
23 ベース部材の表側平面
30 接着剤層
41 線材(接着剤層厚さ保持部材)
42 球(接着剤層厚さ保持部材)
43 接着剤層厚さ保持部材
Claims (7)
- 絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在し、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなり、前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材が配置され、前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とが接着されていることを特徴とする静電チャック。
- 絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在させ、その両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなる静電チャックにおいて、
その接着にあたり、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、前記両平面の間で該接着剤層を圧縮して前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなることを特徴とする静電チャック。 - 前記接着剤層厚さ保持部材が、円断面で一定太さの線材とし、その線径が接着剤層の厚さとなるように配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャック。
- 前記線材が3本以上であり、各線材の軸線が平面視において放射状となるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の静電チャック。
- 前記接着剤層厚さ保持部材が、直径が同じである3以上の球であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャック。
- 前記接着剤層をなす接着剤がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電チャック。
- 絶縁材製の静電チャック板の裏側平面と、ベース部材の表側平面との間に接着剤層を介在させ、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着してなり、
前記両平面の間で該接着剤層を圧縮した際に該接着剤層が所定の厚さとなりかつ前記両平面が平行となるように、接着前の前記両平面の間に、所定の寸法を有する接着剤層厚さ保持部材を配置し、
前記両平面の間で前記接着剤層厚さ保持部材を前記両平面によって挟みつけて、前記静電チャック板と前記ベース部材とを接着することを特徴とする静電チャックの製造方法。
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JP2003394508A JP2005158962A (ja) | 2003-11-25 | 2003-11-25 | 静電チャック及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2005158962A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-11-25 JP JP2003394508A patent/JP2005158962A/ja active Pending
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