JP6432474B2 - 静電チャック - Google Patents

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Description

本発明の態様は、静電チャックに関する。
エッチング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオン注入、アッシング、露光、検査などを行う基板処理装置において、半導体ウェーハやガラス基板などの被吸着物(処理対象物)を吸着保持する手段として静電チャックが用いられている。
静電チャックは、アルミナ等のセラミック誘電体基板のあいだに電極を挟み込み、焼成することで作製される。静電チャックは、内蔵する電極に静電吸着用電力を印加し、シリコンウェーハ等の基板を静電力によって吸着するものである。
このような基板処理装置においては、高スループット化のために、プラズマプロセスの高出力化およびプラズマプロセスの高温化が進んでいる。高スループット化のためには、被吸着物の冷却機能が要点の1つとなる。また、高スループット化を実現することは、基板処理装置に入力される熱量の増加につながる。そのため、静電チャックに使用可能な部材の材料は、高耐熱性の材料に限定される。
例えば、セラミック誘電体基板と、セラミック誘電体基板を支持する金属プレートと、を接合する接着剤には、高温時におけるセラミックと金属との接合強度、セラミックから金属への熱伝達性、熱膨張の差によるせん断応力に対応可能な柔軟性、および電気絶縁性などが求められる。比較的高い熱伝導率の接着剤や、比較的優れた耐熱性および耐プラズマ性を有する接着剤がある一方で、セラミックや金属などと比較すると、プラズマプロセスにおける接着剤の耐プラズマ性が、静電チャックに用いられる部材の中で最も低い。そのため、接着剤の寿命が静電チャックの寿命となっている。
接着剤がエッチングなどのプロセスでダメージを受けると、熱伝導を向上させるセラミックフィラー成分や、ガス化できなかったエラストマー成分が、パーティクル源となることがある。また、接着剤がダメージを受けると接着剤の熱伝導率が低下し、熱伝導の機能および被吸着物の温度を均一に保持する機能を果たさなくなることがある。そこで、接着剤が受けるダメージを低減することができる静電チャックが望まれている。
特開2004−31665号公報 実用新案登録第3154629号公報
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、接着剤のプラズマ耐久性にかかわらず、プラズマにより接着剤が受けるダメージを低減することができる、さらに接着剤がダメージを受けてもパーティクルの飛散を低減することができる静電チャックを提供することを目的とする。
第1の発明は、吸着の対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第2主面から前記第1主面にかけて設けられた貫通孔と、を有するセラミック誘電体基板と、前記セラミック誘電体基板を支持し、前記貫通孔と連通するガス導入路を有する金属製のベースプレートと、前記セラミック誘電体基板と前記ベースプレートとの間に設けられ樹脂材料を含む接合層と、を備え、前記接合層は、前記第2主面における前記貫通孔の開口部と、前記ガス導入路と、の間に設けられ前記開口部よりも水平方向に大きい空間を有し、前記空間の側の前記接合層の端面が前記第2主面と交わる第1の領域は、前記第1の領域とは異なる前記端面の他の第2の領域よりも前記開口部から後退し、前記接合層は、前記端面を有し前記空間を形成する端部を有し、前記第2主面が前記端部と接触する面は、前記第2主面が前記接合層により接着される面と同じ平面上にあり、前記ベースプレートが前記端部と接触する面は、前記ベースプレートが前記接合層により接着される面と同じ平面上にあることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。また、この静電チャックによれば、端部の代わりにOリングが設けられた場合とは異なり、接合層の端部は、セラミック誘電体基板とベースプレートとの接合に寄与することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記第2主面の法線に対して垂直方向にみたときの前記第1の領域では、前記第2主面と前記端面とのなす角度は、前記第2主面に向かうと大きくなることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
第3の発明は、第2の発明において、前記第2主面から前記法線の方向に遠ざかると前記第2主面と前記端面とのなす角度が小さくなる第3の領域が、設けられたことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
第4の発明は、第1の発明において、互いに向かい合う前記端面同士の間の距離が、前記第2主面から前記第2主面の法線の方向に遠ざかると短くなることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、前記第1の領域における前記端面と前記貫通孔の中心との間の距離d、および前記第2の領域において互いに向かい合う前記端面同士の間の距離Dにおいては、2d≧Dの関係式が成り立つことを特徴とする静電チャックである。
端面の断面構造が非対称(アシンメトリック)である場合には、距離dは、第1の領域における端面と貫通孔の中心との間の距離のうちで最大値の距離であるとする。この静電チャックによれば、パーティクルが堆積可能なポケットを形成することができる。
第6の発明は、第5の発明において、前記距離dは、0.1ミリメートル以上、5.0ミリメートル以下であることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤が受けるダメージの量の低減と、対象物の温度分布の均一化と、の両立を図ることができる。
第7の発明は、第1〜6のいずれか1つの発明において、前記接合層は、前記第2主面と前記ベースプレートとを接合する接合部を有し、前記接合部の材料は、前記端部の材料とは異なることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、端部が熱伝導率を向上させるフィラーを含まないようにし、パーティクルの発生を低減することができる。また、接合部としてシリコーン接着剤を用いる場合には、シリコーン接着剤よりも耐プラズマ性に優れた材料を端部に用いることができる。
第8の発明は、第1〜6のいずれか1つの発明において、前記接合層は、前記第2主面と前記ベースプレートとを接合する接合部を有し、前記接合部の材料は、前記端部の材料と同じであることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接合部と端部との接着力をより高めることができる。
第9の発明は、第7または8の発明において、前記接合部に用いる接着剤の熱伝導率は、0.1ワット/メートル・ケルビン以上であり、前記接合部に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、1キロボルト/ミリメートル以上であり、前記接合部に用いる接着剤の耐熱温度は、40℃以上であることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、静電チャックが高温プロセスにおいて使用されても、良好な熱伝達を保ちつつ絶縁を保つことが可能な接着剤を使用することができる。また、セラミック誘電体基板の熱膨張とベースプレートの熱膨張との差を緩和可能な弾性を有することができる。
第10の発明は、第5または6の発明において、前記ガス導入路に設けられた多孔体をさらに備え、前記距離dおよび前記多孔体の半径Rにおいては、d>Rの関係式が成り立つことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、パーティクルが堆積可能なポケットを形成し、ポケットにパーティクルが堆積しやすいような伝達ガスの対流を空間につくることができる。つまり、ポケットにパーティクルを選択的に堆積させる伝達ガスの対流を空間において制御することができる。そのため、仮に、パーティクルが発生しても、パーティクルの飛散を低減することができる。また、多孔体が設けられたことで、貫通孔及びガス導入路において高い耐電圧性を有することができる。
第11の発明は、第5、6および10のいずれか1つの発明において、前記距離dは、前記第1主面の側の前記貫通孔の開口部の半径よりも大きいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
第12の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明において、前記空間の前記水平方向の長さは、前記接合層の厚さよりも長いことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
第13の発明は、第7または8の発明において、前記端部は、前記第2主面および前記ベースプレートのそれぞれと面で接触し、前記端部が前記第2主面および前記ベースプレートのそれぞれと接触した前記面の前記水平方向の長さは、前記接合層の厚さよりも長いことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、端部の代わりにOリングが設けられた場合とは異なり、接合層の端部は、セラミック誘電体基板とベースプレートとの接合に寄与することができる。
第14の発明は、第13の発明において、前記端部の外周部であって前記端部からみて前記空間とは反対側の外周部は、前記樹脂材料により充填されたことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、端部の代わりにOリングが設けられた場合とは異なり、接合層に空間が生ずることを抑えることができる。接合層の端部は、セラミック誘電体基板とベースプレートとの接合に寄与することができ、セラミック誘電体基板とベースプレートとを互いにより強固に接着することができる。
第15の発明は、第13または14の発明において、前記第1の領域における前記端面の曲率は、前記第2の領域における前記端面の曲率よりも大きいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、端部の代わりにOリングが設けられた場合とは異なり、接合層の端部は、セラミック誘電体基板とベースプレートとの接合に寄与することができる。
第16の発明は、第1〜15のいずれか1つの発明において、前記セラミック誘電体基板は、体積抵抗率が1×1014オーム・センチメートル以上のクーロン素材を有することを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、接着剤自身の耐久性にかかわらず、接合層が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
本発明の態様によれば、プラズマにより接着剤が受けるダメージを低減することができる静電チャックが提供される。
本実施形態に係る静電チャックの構成を例示する模式的断面図である。 本実施形態の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 図1に示すA部の変形例の模式的拡大断面図である。 距離dと温度差との間の関係を例示するグラフ図および距離dとコンダクタンスとの間の関係を例示するグラフ図である。 本実施形態の他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。 本シミュレーションの条件を表す模式的断面図である。 本シミュレーションの結果の一例を例示する模式的斜視図である。 本シミュレーションの結果の一例を例示する模式的斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
図1は、本実施形態に係る静電チャックの構成を例示する模式的断面図である。
図2は、本実施形態の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図3は、図1に示すA部の変形例の模式的拡大断面図である。
図4は、距離dと温度差との間の関係を例示するグラフ図および距離dとコンダクタンスとの間の関係を例示するグラフ図である。
なお、図2は、ベースプレートのガス導入路の中心を通る切断面における模式的断面図である。以下の模式的断面図は、上記切断面におけるものである。
図2(a)は、図1に示すA部の模式的拡大図である。図2(b)は、図2(a)に示すB部の模式的拡大図である。説明の便宜上、図2(a)においては電極12を省略している。電極12の省略は、図3、図5および図6において同様である。
図4(a)は、図2(a)に表した領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dと、伝達ガスのコンダクタンスと、の間の関係を例示するグラフ図である。図4(b)は、図2(a)に表した領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dと、対象物Wの面内における温度差と、の間の関係を例示するグラフ図である。図4(a)および図4(b)に表したグラフ図の横軸は、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離d(mm)を表す。図4(a)に表したグラフ図の縦軸は、伝達ガスのコンダクタンス(sccm:standard cc/min)を表す。図4(b)に表したグラフ図の縦軸は、対象物Wの面内における温度差(℃)を表す。
図1および図2(a)に表したように、本実施形態に係る静電チャック110は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、接合層60と、を備える。
セラミック誘電体基板11は、例えば焼結セラミックによる平板状の基材であり、シリコンウェーハなどの半導体基板等の吸着の対象物Wを載置する第1主面11aと、この第1主面11aとは反対側の第2主面11bと、を有する。
セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられる。電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、のあいだに介設されている。すなわち、電極12は、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成されている。静電チャック110は、この電極12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持する。
ここで、本実施形態の説明においては、第1主面11aと第2主面11bとを結ぶ方向(第1方向)をZ方向、Z方向と直交する方向の1つ(第2方向)をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向(第3方向)をX方向ということにする。
電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11a及び第2主面11bに沿って薄膜状に設けられている。電極12は、対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極12は、単極型でも双極型でもよい。図1に表した電極12は双極型であり、同一面上に2極の電極12が設けられている。
電極12には、セラミック誘電体基板11の第2主面11b側に延びる接続部20が設けられている。接続部20は、電極12と導通するビア(中実型)やビアホール(中空型)、もしくは金属端子をロウ付けなどの適切な方法で接続したものである。
ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11を支持する部材である。セラミック誘電体基板11は、図2(a)に表した接合層60を介してベースプレート50の上に固定される。つまり、接合層60は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、の間に設けられている。
接合層60は、接合部61と、端部63と、を有する。接合部61は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bと、ベースプレート50と、を接合する。接合層60は、樹脂材料を含む。接合層60は、例えば、シリコーン系、アクリル系、変性シリコーン系、あるいはエポキシ系の高分子材料であって炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、ケイ素(Si)、酸素(O)、および硫黄(S)の少なくともいずれかを主成分とする高分子材料を含む。接合部61としては、例えばシリコーン接着剤や絶縁性に優れたシリコーン系熱伝導用材料などが用いられる。端部63は、例えばリング状の形状を有する。接合層60の詳細については、後述する。
ベースプレート50は、例えば、アルミニウム製の上部50aと下部50bとに分けられており、上部50aと下部50bとのあいだに連通路55が設けられている。連通路55は、一端側が入力路51に接続され、他端側が出力路52に接続される。
ベースプレート50は、静電チャック110の温度調整を行う役目も果たす。例えば、静電チャック110を冷却する場合には、入力路51から冷却媒体を流入し、連通路55を通過させ、出力路52から流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート50の熱を吸収し、その上に取り付けられた静電チャック110を冷却することができる。一方、静電チャック110を保温する場合には、連通路55内に保温媒体を入れることも可能である。または、静電チャック110やベースプレート50に発熱体を内蔵させることも可能である。このように、ベースプレート50を介して静電チャック110の温度が調整されると、静電チャック110で吸着保持される対象物Wの温度を調整することができる。
また、セラミック誘電体基板11の第1主面11a側には、必要に応じてドット13が設けられており、ドット13の間に溝14が設けられている。この溝14は連通していて、静電チャック110に搭載された対象物Wの裏面と溝14とのあいだに空間が形成される。
溝14には、セラミック誘電体基板11に設けられた貫通孔15が接続される。貫通孔15は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bから第1主面11aにかけてセラミック誘電体基板11を貫通して設けられる。貫通孔15は、セラミック誘電体基板11の複数箇所に設けられていてもよい。
なお、図3に表したように、貫通孔15は、孔の軸が水平方向(X方向)に延在する部分を有していてもよい。図3に表した貫通孔15は、第1の孔部15aと、第2の孔部15bと、第3の孔部15cと、を有する。第1の孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに接続されている。第3の孔部15cの一端は、溝14に接続されている。第2の孔部15bは、第1の孔部15aと第3の孔部15cとに接続されている。より具体的には、第2の孔部15bの一端は、第1の孔部15aの他端に接続されている。第2の孔部15bの他端は、第3の孔部15cの他端に接続されている。このように、貫通孔15は、第1主面11aと第2主面11bとを物理的につなぐ空間を有し、一直線状の孔には限定されない。また、貫通孔15の形状は、例えば球状や円弧状であってもよく、特定の形状には限定されない。複数の貫通孔15が設けられている場合において、複数の貫通孔15のうちの少なくともいずれかが本実施形態の貫通孔の条件を満たしていれば、本実施形態に係る静電チャック110は、本発明の範囲に包含される。
セラミック誘電体基板11の材料として、例えばクーロン素材が用いられる。クーロン素材の体積抵抗率は、例えば約1×1014オーム・センチメートル(Ω・cm)以上である。セラミック誘電体基板11に用いられるクーロン素材が赤外線または可視光に対して半透過性を有する場合には、セラミック誘電体基板11の表面から内部の空間を目視で確認することができる。そのため、図3に表したように、孔の軸が水平方向(X方向)に延在する部分(第2の孔部15b)を貫通孔15が有する場合には、セラミック誘電体基板11の表面から第2の孔部15bの位置を確認することができ、加工をより容易に行うことができる。
ドット13の高さ(溝14の深さ)、ドット13及び溝14の面積比率、形状等を適宜選択することで、対象物Wの温度や対象物Wに付着するパーティクルを好ましい状態にコントロールすることができる。
一方、ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を例えば貫通するように設けられる。図1に表したように、ガス導入路53には、絶縁体プラグ70が設けられていてもよい。絶縁体プラグ70の詳細については、後述する。ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通せず、他のガス導入路53の途中から分岐してセラミック誘電体基板11側まで設けられていてもよい。また、ガス導入路53は、ベースプレート50の複数箇所に設けられていてもよい。
ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。対象物Wを吸着保持した状態でガス導入路53からヘリウム(He)等の伝達ガスを導入すると、対象物Wと溝14との間に設けられた空間に伝達ガスが流れ、対象物Wを伝達ガスによって直接冷却することができるようになる。
図2(a)に表したように、貫通孔15と、ガス導入路53と、の間には、空間65が存在する。より具体的には、空間65は、第2主面11bにおける貫通孔15の開口部15dと、ガス導入路53と、の間に存在する。つまり、接合層60は、空間65を有する。空間65は、例えばリング状の端部63の中央部に位置し、水平方向(X方向)に延在する。空間65は、リング状の端部63により形成される。空間65のX方向の寸法(互いに向かい合う端部63(あるいは端面64)同士の間の距離)D1は、開口部15dの開口寸法D2よりも大きい。
セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、を接合するときには、まず、貫通孔15とガス導入路53との間に空間65が存在するように、予め作製した端部63をベースプレート50の表面57あるいはセラミック誘電体基板11の第2主面11bに設置する。続いて、硬化後に接合部61となる接着剤(例えばシリコーン接着剤)を、空間65を確保しつつ塗布する。続いて、端部63と塗布した接着剤とを介して、セラミック誘電体基板11とベースプレート50とを互いに合わせる。
接着剤が硬化した後(接合層60が形成された後)において、接合層60の厚さ(Z方向の寸法)t1は、例えば約100マイクロメートル(μm)以上、1000μm以下程度である。より好ましくは、接合層60の厚さt1は、例えば約200μm以上、600μm以下程度である。このとき、予め作製された状態(設置前の状態)の端部63の厚さ(Z方向の寸法)は、例えば約200μm以上、600μm以下程度である。つまり、端部63は、セラミック誘電体基板11とベースプレート50とを互いに合わせる工程においてZ方向に潰される。接着剤が硬化した後では、端部63の厚さは、接合層60の厚さt1と同じである。
接合層60の厚さt1は、空間65のX方向の寸法D1よりも短い。つまり、空間65の水平方向(X方向)の長さは、空間65の縦方向(Z方向)の長さよりも長い。言い換えれば、空間65の水平方向の長さは、接合層60の厚さt1よりも長い。鉛直方向よりも水平方向に長い断面形状を有する空間65は、水平方向よりも鉛直方向に長い断面形状を有する貫通孔15に接続されている。
空間65の側の接合層60の端面64は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bと交わる、あるいは接触する。端面64が第2主面11bと交わる領域A1(第1の領域)は、領域A1とは異なる端面64の他の領域(第2の領域)と比較して、貫通孔15の開口部15dから遠ざかっている、あるいは後退している。
より具体的には、第2主面11bの法線に対して垂直方向にみたときの領域A1においては、第2主面11bと端面64とのなす角度は、第2主面11bに向かうと大きくなる。
ここで、本願明細書において「第2主面11bと端面64とのなす角度」とは、セラミック誘電体基板11の第2主面11bと、端面64上の任意の点に接する面と、のなす角度であって、端部63の側で測定される角度をいうものとする。
図2(b)に表したように、例えば、第2主面11bと、端面64上の点64bに接する面S2と、のなす角度A12は、第2主面11bと、端面64上の点64aに接する面S1と、のなす角度A11よりも大きい。
一方で、端面64がベースプレート50の表面57と交わるあるいは接触する領域A2(第3の領域)においては、第2主面11bの法線に対して垂直方向にみたときに、第2主面11bと端面64とのなす角度は、第2主面11bから法線方向に遠ざかると小さくなる。図2に表したように、例えば、第2主面11bと、端面64上の点64dに接する面S4と、のなす角度A14は、第2主面11bと、端面64上の点64cに接する面S3と、のなす角度A13よりも小さい。
本実施形態によれば、接着剤の耐久性にかかわらず、接合層60が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層60がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
図2(a)に表したように、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離d、および領域A1とは異なる端面64の他の領域において互いに向かい合う端部63同士の間の距離(端面64同士の間の距離)D1については、次の式が成り立つ。

2d≧D1 ・・・式(1)

図2(a)に表した模式的断面図において端面64の断面構造が非対称(アシンメトリック)である場合には、距離dは、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離のうちで最大値の距離であるとする。これにより、領域A1において、パーティクルが堆積可能なポケットが形成される。
貫通孔15の径(開口部15dの開口寸法D2)は、貫通孔15を流れる伝達ガスのコンダクタンス、および吸着する対象物Wのうちの温度差(貫通孔15の直上における対象物Wの位置とその周辺との温度差)に影響する。例えば、貫通孔15の径(D2)が小さいと、コンダクタンスが小さくなり、伝達ガスの流れが悪くなることがある。一方で、貫通孔15の径(D2)が大きいと、吸着する対象物Wのうちの温度差が大きい領域(いわゆるホットスポットやコールドスポット)が発生することがある。本発明者の得た知見によれば、貫通孔15の径(D2)は、例えば0.04ミリメートル(mm)以上、3mm以下であることが好ましい。貫通孔15の径(D2)は、例えば0.07mm以上、2.5mm以下であることがより好ましい。貫通孔15の径(D2)は、例えば0.1mm以上、2mm以下であることがさらに好ましい。
プラズマと接着剤との間の距離(貫通孔15の中心C1と端面64との間の距離)が長いほど、接着剤が受けるダメージの量は小さい。一方で、図4(a)に表したように、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dが長いほど、伝達ガスのコンダクタンスは大きくなる。また、距離dが貫通孔15の径(D2)よりも小さくなると、コンダクタンスは急激に悪化する(小さくなる)。よって、距離dは、貫通孔15の径(D2)の最小値0.1mm以上であることが好ましい。
また、プラズマと接着剤との間の距離(貫通孔15の中心C1と端面64との間の距離)が長いと、接着剤の熱伝導率と空間(空気)の熱伝導率との差により、貫通孔15の直上における対象物Wの位置とその周辺との間に温度差が生ずることがある。
図4(b)に表したように、ハイパワー条件(静電チャック110の表面へ5000Wの入熱条件)では、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dが1.85mmのときに、温度差は5℃となる。また、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dが4.0mmのときに、温度差は20℃となる。
また、ローパワー条件(静電チャック110の表面へ3000Wの入熱条件)では、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dが1.85mmのときに、温度差は3.3℃となる。領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dが5.0mmのときに、温度差は20℃となる。
プラズマプロセスにおいて、面内温度差は重要な項目の1つである。本発明者の得た知見によれば、温度差を20℃以下に抑えることが望ましい。そのため、距離dは5.0mm以下であることが好ましい。
したがって、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dは、0.1mm以上、5.0mm以下であることが好ましい。領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dは、0.2mm以上、4.5mm以下であることが好ましい。領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dは、0.4mm以上、4mm以下であることがより好ましい。領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dは、0.6mm以上、3.7mm以下であることがさらに好ましい。
これによれば、接着剤が受けるダメージの量の低減と、対象物Wの温度分布の均一化と、の両立を図ることができる。
端部63の材料は、接合部61の材料と同じであってもよいし、接合部61の材料とは異なっていてもよい。
端部63の材料が接合部61の材料と同じである場合には、接合部と端部との接着力をより高めることができる。
端部63の材料が接合部61の材料とは異なる場合には、端部63が熱伝導率を向上させるフィラーを含まないようにし、パーティクルの発生を低減することができる。また、端部63の材料が接合部61の材料とは異なる場合であって、接合部61としてシリコーン接着剤を用いる場合には、シリコーン接着剤よりも耐プラズマ性に優れた材料を端部63に用いることができる。
シリコーン接着剤よりも耐プラズマ性に優れた材料としては、例えばフッソ系材料が挙げられる。例えば、「−CF−」を基本骨格とした炭化フッソ系エラストマーが挙げられる。また、例えば、「−CF−CF(CF)−O−」の基本構造がシリコーン鎖につながった炭化フッソ系エラストマーが挙げられる。また、例えば、「−SiF−O−」と、「Si(CH−O−」と、を基本骨格としたフロロシリコーンゴムが挙げられる。さらに、例えば、ポリイミドやアクリル、エポキシ系の高分子材料などが挙げられる。
なお、端部63の材料が、接合部61の材料と同じである場合でも、接合部61の材料とは異なる場合でも、端部63と接合部61との間には境界線66が存在する。これにより、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、の接合に関し、接合層60が、予め作製された端部63を有するか否かを判別することができる。
接合部61に用いる接着剤の熱伝導率は、例えば0.2ワット/メートル・ケルビン(W/m・K)以上である。接合部61に用いる接着剤の熱伝導率は、0.4W/m・K以上であることがより好ましい。接合部61に用いる接着剤の熱伝導率は、0.8W/m・Kであることがさらに好ましい。接合部61に用いる接着剤の熱伝導率は、例えば4.0W/m・K以下である。接合部61に用いる接着剤の熱伝導率は、3.0W/m・K以下であることがより好ましい。接合部61に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、例えば1キロボルト/ミリメートル(kV/mm)以上である。接合部61に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、2kV/mm以上であることがより好ましい。接合部61に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、5kV/mm以上であることがさらに好ましい。接合部61に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、例えば50kV/mm以下である。接合部61に用いる接着剤の耐熱温度は、60℃以上である。
これによれば、静電チャック110が高温プロセスにおいて使用されても、良好な熱伝達を保ちつつ絶縁を保つことが可能な接着剤を使用することができる。また、セラミック誘電体基板11の熱膨張とベースプレート50の熱膨張との差を緩和可能な弾性を有することができる。結果として、静電チャック110の寿命が長くなる。
図2(a)に表したように、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離dは、第1主面11aの側の開口部15eの半径((D4)/2)よりも大きい。これにより、接着剤の耐久性にかかわらず、接合層60が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層60がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
図2(a)および図2(b)に表したように、端部63は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bと点ではなく面63bで接触し、ベースプレート50の表面57と点ではなく面63cで接触している。図2(a)に表した模式的断面図において、端部63がセラミック誘電体基板11の第2主面11bと接触した部分の長さ(面63bのX方向の長さ)D5は、接合層60の厚さt1よりも長い。図2(a)に表した模式的断面図において、端部63がベースプレート50の表面57と接触した部分の長さ(面63cのX方向の長さ)D6は、接合層60の厚さt1よりも長い。長さD5および長さD6のそれぞれは、例えば約500μm以上程度である。
これによれば、端部63が第2主面11bおよび表面57と点ではなく面で接触しているため、接合層60に空間が生ずることを抑えることができる。つまり、端部63の外周部であって端部63からみて空間65とは反対側の外周部は、樹脂材料で充填されている。
前述したように、端部63は、セラミック誘電体基板11とベースプレート50とを互いに合わせる工程においてZ方向に潰される。端部63がセラミック誘電体基板11により潰される面63bは、セラミック誘電体基板11の接着面(第2の主面11b)と同じ平面上にある。端部63がベースプレート50により潰される面63cは、ベースプレート50の接着面(表面57)と同じ平面上にある。
図5は、本実施形態の他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図5は、図1に示すA部に相当する部分の模式的拡大図である。
図5に表した接合層60aは、接合部61と、端部63aと、を有する。端部63aは、例えばリング状の形状を有する。空間65の側の接合層60の端面64は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bと交わる、あるいは接触する。端面64が第2主面11bと交わる領域A3(第1の領域)は、領域A3とは異なる端面64の他の領域(第2の領域)と比較して、貫通孔15の開口部15dから遠ざかっている、あるいは後退している。
図5に表した接合層60aでは、互いに向かい合う端部63(あるいは端面64)同士の間の距離D3は、第2主面11bから法線方向に遠ざかると短くなる。つまり、端面64は、第2主面11bから法線方向に遠ざかると互いに向かい合う端部63(あるいは端面64)同士の間の距離D3が短くなる傾斜を有する。なお、他の構造や各部材の材料については、図1〜図3に関して前述した通りである。
図5に表した例によれば、接着剤の耐久性にかかわらず、接合層60が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層60がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
図6は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
本実施形態にかかる静電チャック110は、絶縁体プラグ70を備えていてもよい。
絶縁体プラグ70は、ベースプレート50に設けられたガス導入路53に設けられていてもよい。絶縁体プラグ70は、ガス導入路53のセラミック誘電体基板11側に嵌め込まれる。図6に表したように、例えば、ガス導入路53のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられる。座ぐり部53aは、筒状に設けられる。座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、絶縁体プラグ70は、座ぐり部53aに嵌合されていてもよい。
絶縁体プラグ70は、セラミック多孔体71を有する。セラミック多孔体71は、筒状(例えば、円筒形)に設けられ、座ぐり部53aに嵌合される。絶縁体プラグ70の形状は、円筒形が望ましいが、円筒形に限定されるものではない。セラミック多孔体71には、絶縁性を有する材料が用いられる。セラミック多孔体71の材料としては、例えばAlやY、ZrO、MgO、SiC、AlN,SiであったりSiOなどのガラスでもよい。あるいは、セラミック多孔体71の材料は、Al−TiOやAl−MgO、Al−SiO、AlO1Si、YAG、ZrSiOなどでもよい。
セラミック多孔体71の気孔率は、例えば30パーセント(%)以上60%以下である。セラミック多孔体71の密度は、例えば1.5グラム/立方センチメートル(g/cm)以上3.0g/cm以下である。このような気孔率によって、ガス導入路53を流れてきたHe等の伝達ガスは、セラミック多孔体71の多数の気孔を通過してセラミック誘電体基板11に設けられた貫通孔15から溝14へ送られることになる。
図6に表したように、領域A1における端面64と貫通孔15の中心C1との間の距離d、およびセラミック多孔体71の半径Rについては、次の式が成り立つ。

d>R ・・・式(2)

なお、他の構造や各部材の材料については、図1〜図3に関して前述した通りである。
これにより、図6に表した矢印A21、矢印A22、矢印A23、矢印A24のように、領域A1に形成されたポケットにパーティクルが堆積しやすいような伝達ガスの対流を空間65につくることができる。つまり、領域A1に形成されたポケットにパーティクルを選択的に堆積させる伝達ガスの対流を空間65において制御することができる。そのため、仮に、パーティクルが発生しても、パーティクルの飛散を低減することができる。また、セラミック多孔体71が設けられたことで、貫通孔15及びガス導入路53において高い耐電圧性を有することができる。
図7は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図7に表した静電チャック110は、図6に関して前述した静電チャック110と同様に、絶縁体プラグ70を備える。絶縁体プラグ70は、セラミック誘電体基板11に設けられた貫通孔15に設けられている。絶縁体プラグ70は、貫通孔15のうちのベースプレート50の側に嵌め込まれている。図7に表したように、例えば、貫通孔15は、ベースプレート50の側において座ぐり部15fを有する。座ぐり部15fは、貫通孔15の開口部15dを形成する。座ぐり部15fは、筒状に設けられる。座ぐり部15fの内径を適切に設計することで、絶縁体プラグ70は、座ぐり部15fに嵌合されていてもよい。
絶縁体プラグ70は、図6に関して前述した通りである。つまり、絶縁体プラグ70は、セラミック多孔体71を有する。ヘリウム等の伝達ガスは、ガス導入路53および空間65を通り、絶縁体プラグ70を介して貫通孔15を通ることで対象物Wと溝14との間に設けられた空間に流れる。このように、本願明細書において「貫通孔」という範囲には、例えば多孔体などのようにガスが流れる経路を有するものが途中に設けられた孔であって任意の気体または流体を貫通する孔が含まれる。
図8は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図8に表した静電チャック110は、図7に関して前述した静電チャック110と比較して、ヒータ91をさらに備える。ヒータ91は、ベースプレート50と、セラミック誘電体基板11と、の間に設けられている。ヒータ91は、電圧が供給され電流が流れることによって、発熱し対象物Wの温度を上げたり保持することができる。
ヒータ91は、接合層60を介してセラミック誘電体基板11の第2の主面11bに固定される。また、ヒータ91は、接合層60を介してベースプレート50の表面57に固定される。つまり、接合層60は、ヒータ91とセラミック誘電体基板11との間、およびヒータ91とベースプレート50との間に設けられている。セラミック誘電体基板11とヒータ91との間に設けられた接合層60は、端部63を有する。端部63は、図1〜図4(b)に関して前述した通りである。ベースプレート50とヒータ91との間に設けられた接合層60は、端部63を有していてもよいし、端部63を有していなくともよい。
図8に表したように、ヒータ91は、ガス導入路53から離れて設けられている。ベースプレート50とヒータ91との間に設けられた接合層60は、ガス導入路53から離れて設けられている。セラミック誘電体基板11とヒータ91との間に設けられた接合層60の端部63は、ヒータ91の端部からみてガス導入路53とは反対側に設けられている。つまり、セラミック誘電体基板11とヒータ91との間に設けられた接合層60と、ガス導入路53の中心C2と、の間の最短距離D8は、ヒータ91と、ガス導入路53の中心C2と、の間の最短距離D7よりも長い。図2(a)に関して前述したように、縦方向よりも水平方向に長い断面形状を有する空間65は、水平方向よりも縦方向に長い断面形状を有する貫通孔15に接続されている。
図9は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図9に表した静電チャック110は、図8に関して前述した静電チャック110と同様にヒータ91を備える。セラミック誘電体基板11とヒータ91との間に設けられた接合層60は、端部63を有する。端部63は、図1〜図4(b)に関して前述した通りである。ベースプレート50とヒータ91との間に設けられた接合層60は、端部63を有していてもよいし、端部63を有していなくともよい。
図9に表したように、ヒータ91の端部は、ガス導入路53の内面と略同じ面に設けられている。ベースプレート50とヒータ91との間に設けられた接合層60の端部は、ガス導入路53の内面と略同じ面に設けられている。
図7〜図9に表した静電チャック110によれば、接着剤の耐久性にかかわらず、接合層60が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層60がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。また、セラミック多孔体71が設けられたことで、貫通孔15及びガス導入路53において高い耐電圧性を有することができる。
図10は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図11は、本実施形態のさらに他の接合層の近傍を表す模式的拡大図である。
図10および図11に表した静電チャック110では、接合層60は、シートとして設けられている。つまり、接合層60は、シート状を呈する。そのため、接合層60は、図1〜図9に関して前述したような例えばリング状の端部63を有していない。シート状とは、第2主面11bとベースプレート50とを接合する接合部61と、空間65を形成する端部63と、が同一材料で一体化された状態を示す。
図10に表した接合層60の端面64は、図2(a)および図2(b)に関して前述した接合層60の端面64の形状と同じ形状を有する。
図11に表した接合層60の端面64は、図5に関して前述した接合層60の端面64の形状と同じ形状を有する。
図10および図11に表した静電チャック110によれば、接合層60がシートとして設けられている場合でも、接着剤の耐久性にかかわらず、接合層60が受けるダメージを低減することができる。仮に、接合層60がダメージを受けても、パーティクルの飛散を低減することができる。
次に、本発明者が実施した接合層60の端部63のシミュレーションについて、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本シミュレーションの条件を表す模式的断面図である。
図13は、本シミュレーションの結果の一例を例示する模式的斜視図である。
図14は、本シミュレーションの結果の一例を例示する模式的斜視図である。
図13(a)は、接着工程において圧縮される前の接合層60の端部63の断面形状を表す模式図である。図13(b)、図13(c)、図14(a)、および図14(b)は、接着工程において圧縮された後の接合層60の端部63の断面形状を表す模式図である。
図12に表したように、本シミュレーションでは、端部63は、第1の固定部97と、第2の固定部98と、の間に挟設されている。第1の固定部97は、例えばベースプレート50に相当する。第2の固定部98は、例えばセラミック誘電体基板11に相当する。
接合層60の端部63として、リング状の形状を有するモデルを作成した。圧縮前の端部63の外径D11は、3mm以上、10mm以下である。圧縮前の端部63の内径D12は、1mm以上、5mm以下である。本シミュレーションでは、端部63の材料のヤング率を0.1メガパスカル(MPa)以上、20MPa以下に設定した。また、端部63の材料のポアソン比を0.3以上、0.5以下に設定した。
本シミュレーションでは、図12に表した矢印A25のように、第2の固定部98を第1の固定部97へ向かって移動させることで端部63に圧縮応力を印加した。本シミュレーションの結果は、図13(a)〜図14(b)に表した通りである。
すなわち、図13(b)は、端部63の厚さD13が接着後の接合層60の厚さt1よりも厚いときの端部63の径方向の変位を表す。図13(c)は、端部63が接着後の接合層60の厚さt1に圧縮されたときの端部63の径方向の変位を表す。図14(a)は、端部63の厚さD13が接着後の接合層60の厚さt1よりも厚いときの端部63の径方向の変位を表す。図14(b)は、端部63が接着後の接合層60の厚さt1に圧縮されたときの端部63の厚さ方向(Z方向)の変位を表す。図13(a)〜図14(b)では、変位の大きさが、色の濃淡により表されている。
図14(b)に表したように、圧縮後の端部63の厚さD13と同じ長さの直径を有する円93を考える。このとき、端部63の端面64が第2の固定部98と交わる領域A4(第1の領域)における端面64の曲率は、円93の曲率よりも大きい。一方で、領域A4とは異なる端面64の他の領域(第2の領域)における端面64の曲率は、円93の曲率よりも小さい。つまり、端部63の端面64が第2の固定部98と交わる領域A4(第1の領域)における端面64の曲率は、領域A4とは異なる端面64の他の領域(第2の領域)における端面64の曲率よりも小さい。
領域A4は、図2(a)に関して前述した領域A1に相当する。領域A4とは異なる端面64の他の領域は、図2(a)に関して前述した領域であって領域A1とは異なる端面64の他の領域に相当し、例えば第1の固定部97と第2の固定部98との間の中間の領域である。
端部63の外側の端面67の曲率は、端部63の内側の端面64の曲率よりも大きい。端部63の外側の端面67の外形線は、端部63と接合部61との間の境界線66(図2(a)参照)に相当する。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、静電チャック110などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや接合部61および端部63の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、例えば、静電チャック110として、クーロン力を用いる構成を例示したが、ジョンセン・ラーベック力を用いる構成であっても適用可能である。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
11 セラミック誘電体基板、 11a 第1主面、 11b 第2主面、 12 電極、 13 ドット、 14 溝、 15 貫通孔、 15a 第1の孔部、 15b 第2の孔部、 15c 第3の孔部、 15d 開口部、 15e 開口部、 15f 座ぐり部、20 接続部、 50 ベースプレート、 50a 上部、 50b 下部、 51 入力路、 52 出力路、 53 ガス導入路、 53a 座ぐり部、 55 連通路、 57 表面、 60、60a 接合層、 61 接合部、 63、63a 端部、 63b、63c 面、 64 端面、 64a、64b、64c、64d 点、 65 空間、 66 境界線、 67 端面、 70 絶縁体プラグ、 71 セラミック多孔体、 80 吸着保持用電圧、 91 ヒータ、 93 円、 97 第1の固定部、 98 第2の固定部、 110 静電チャック

Claims (16)

  1. 吸着の対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第2主面から前記第1主面にかけて設けられた貫通孔と、を有するセラミック誘電体基板と、
    前記セラミック誘電体基板を支持し、前記貫通孔と連通するガス導入路を有する金属製のベースプレートと、
    前記セラミック誘電体基板と前記ベースプレートとの間に設けられ樹脂材料を含む接合層と、
    を備え、
    前記接合層は、前記第2主面における前記貫通孔の開口部と、前記ガス導入路と、の間に設けられ前記開口部よりも水平方向に大きい空間を有し、
    前記空間の側の前記接合層の端面が前記第2主面と交わる第1の領域は、前記第1の領域とは異なる前記端面の他の第2の領域よりも前記開口部から後退し、
    前記接合層は、前記端面を有し前記空間を形成する端部を有し、
    前記第2主面が前記端部と接触する面は、前記第2主面が前記接合層により接着される面と同じ平面上にあり、
    前記ベースプレートが前記端部と接触する面は、前記ベースプレートが前記接合層により接着される面と同じ平面上にあることを特徴とする静電チャック。
  2. 前記第2主面の法線に対して垂直方向にみたときの前記第1の領域では、前記第2主面と前記端面とのなす角度は、前記第2主面に向かうと大きくなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
  3. 前記第2主面から前記法線の方向に遠ざかると前記第2主面と前記端面とのなす角度が小さくなる第3の領域が、設けられたことを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
  4. 互いに向かい合う前記端面同士の間の距離が、前記第2主面から前記第2主面の法線の方向に遠ざかると短くなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
  5. 前記第1の領域における前記端面と前記貫通孔の中心との間の距離d、および前記第2の領域において互いに向かい合う前記端面同士の間の距離Dにおいては、2d≧Dの関係式が成り立つことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電チャック。
  6. 前記距離dは、0.1ミリメートル以上、5.0ミリメートル以下であることを特徴とする請求項5記載の静電チャック。
  7. 前記接合層は、前記第2主面と前記ベースプレートとを接合する接合部を有し、
    前記接合部の材料は、前記端部の材料とは異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電チャック。
  8. 前記接合層は、前記第2主面と前記ベースプレートとを接合する接合部を有し、
    前記接合部の材料は、前記端部の材料と同じであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電チャック。
  9. 前記接合部に用いる接着剤の熱伝導率は、0.1ワット/メートル・ケルビン以上であり、
    前記接合部に用いる接着剤の絶縁破壊強さは、1キロボルト/ミリメートル以上であり、
    前記接合部に用いる接着剤の耐熱温度は、40℃以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の静電チャック。
  10. 前記ガス導入路に設けられた多孔体をさらに備え、
    前記距離dおよび前記多孔体の半径Rにおいては、d>Rの関係式が成り立つことを特徴とする請求項5または6に記載の静電チャック。
  11. 前記距離dは、前記第1主面の側の前記貫通孔の開口部の半径よりも大きいことを特徴とする請求項5、6および10のいずれか1つに記載の静電チャック。
  12. 前記空間の前記水平方向の長さは、前記接合層の厚さよりも長いことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の静電チャック。
  13. 前記端部は、前記第2主面および前記ベースプレートのそれぞれと面で接触し、
    前記端部が前記第2主面および前記ベースプレートのそれぞれと接触した前記面の前記水平方向の長さは、前記接合層の厚さよりも長いことを特徴とする請求項7または8に記載の静電チャック。
  14. 前記端部の外周部であって前記端部からみて前記空間とは反対側の外周部は、前記樹脂材料により充填されたことを特徴とする請求項13記載の静電チャック。
  15. 前記第1の領域における前記端面の曲率は、前記第2の領域における前記端面の曲率よりも大きいことを特徴とする請求項13または14に記載の静電チャック。
  16. 前記セラミック誘電体基板は、体積抵抗率が1×1014オーム・センチメートル以上のクーロン素材を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の静電チャック。
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