JP2012147635A - 鉄道車両の高圧機器システム及び鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄道車両の屋根上などの限られたスペースにおいても高圧用ケーブルを効率よくジョイント装置に接続することができる鉄道車両の高圧機器システムを提供する。
【解決手段】鉄道車両の高圧機器システム100は、鉄道車両10に搭載される高圧機器システムであって、架線からの高電圧電力が供給される複数の高圧機器30、40と、各高圧機器同士をつなぐ複数の高圧用ケーブル70と、各高圧用ケーブルが接続されるジョイント装置51と、を備えている。高圧用ケーブルは、先端部分に、高圧用ケーブルを覆うベース筒部と、高圧用ケーブルの長手方向に対して略直交する方向にベース筒部から延在する嵌合筒部とを含むケーブルコネクタ部を有している。ジョイント装置は、ケーブルコネクタ部の嵌合筒部に嵌め込まれ、高圧用ケーブルと接続されるジョイントコネクタ部を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両に搭載された高圧機器システム及び、これを備えた鉄道車両に関する。
鉄道車両は、架線から高電圧の電力を得て、鉄道車両の各機器に電力を供給するために、上流側には集電装置(パンタグラフ)、真空遮断器(VCB)、避雷器(アレスタ)、変圧器など複数の高圧機器が搭載されている。そして、高圧機器システムは、これらの高圧機器、これらの高圧機器の間に介在する高圧用ケーブル、高圧用ケーブル同士を接続するジョイント装置などによって構成されている。
ここで、ジョイント装置に着目すると、従来のジョイント装置としては、直ジョイント装置とY分岐ジョイント装置の2種類が知られている。直ジョイント装置は、2本の高圧用ケーブルを直線接続する。一方、Y分岐ジョイント装置は、3本の高圧用ケーブルを接続する。
図7は、鉄道車両の屋根上に設置された、Y分岐ジョイント装置を用いた集電装置周辺を示す。なお、図7において、集電装置の集電舟やアーム部は省略している。集電装置230の車両長手方向前後から2本の高圧用ケーブル270が延びており、そのうちの1本は車両床下の真空遮断器に接続されており、もう1本はY分岐ジョイント装置252の受容口252aに接続されている。Y分岐ジョイント装置252において高圧用ケーブル270はさらに2本に分岐され、そのうちの1本はY分岐ジョイント装置252の受容口252bに接続されて前方側の車両に向かって延びており、もう1本はY分岐ジョイント装置252の受容口252cに接続されて後方側の車両に向かって延び、各車両に電力が供給される。
そして、高圧用ケーブル270をY分岐ジョイント装置252に接続する場合には、高圧用ケーブル270の端末に設けられたゴム製のストレスコーン(不図示)をエポキシ樹脂等により形成され内部導体(不図示)が埋設されたY分岐ジョイント装置252の受容口に向けて差し込み、圧縮装置(不図示)によりストレスコーンを受容口に押圧する、いわゆるプレハブジョイント(特許文献2参照)が、鉄道車両の高圧機器システムとして採用されていた。
特許文献1は、従来のジョイント装置を用いた電力ケーブル接続装置が開示されており、特許文献1の図2にはプレハブジョイントを適用した鉄道車両用の直ジョイント装置に相当する構成が開示されている。
また、特許文献2は、プレハブジョイントが開示されており、特許文献2の図6及び図8には、プレハブジョイントを適用したY分岐ジョイント装置に相当する構成が開示されている。
特開平6−70442号公報 特開2001−177975号公報
ここで、従来行われていた高圧用ケーブルの先端を、プレハブジョイントを適用したジョイント装置に差し込む方法をより詳しく説明する。図8は、従来のジョイント装置を用いた接続方法を示す図である。つまり、図8(a)に示すようなプレハブジョイントを適用したY分岐ジョイント装置252の1つの受容口252cに高圧用ケーブル270の端末を差し込む場合には、予め段剥ぎされた高圧用ケーブル270の端末に装着されたストレスコーン等を受容口252cに挿入する必要がある。このため、高圧用ケーブル270を挿入する前に、図8(b)に示すように高圧用ケーブル270を一旦曲げることによって長手方向に高圧用ケーブル270を引き戻した後、図8(c)に示すようにY分岐ジョイント装置252に連結するという作業を行っていた。ところが、鉄道車両の高圧機器システムに使用する高圧用ケーブルは、その直径が50−60mm程度またはそれ以上と非常に太く堅い。そのため、図8(b)に示すような高圧用ケーブルを長手方向に引き戻す作業は容易ではなく、その作業は効率がよいとは言えなかった。
さらに、高圧用ケーブルが短い場合には、そもそもその高圧用ケーブルをジョイント装置に連結することは不可能であった。そのため、図7に示すように、集電装置230とY分岐ジョイント装置252とが近くに配置されている場合には、両者をつなぐ高圧用ケーブル270のうち集電装置230側の接続位置をY分岐ジョイント装置252から遠ざけるように構成されていた。つまり、両者をつなぐ高圧用ケーブル270の長さをあえて長くするという対策がとられていたのである(図7ではこの高圧用ケーブル270がUターンするように配線されている)。このような構成では、高圧用ケーブルが長くなる分、鉄道車両として全体の重量が増えるという不都合に留まらず、各高圧機器を設置するためのスペースがさらに狭くなるという不都合があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、鉄道車両の屋根上のような限られたスペースにおいても高圧用ケーブルを効率よくジョイント装置に接続することができる鉄道車両の高圧機器システムを提供することを目的とする。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、本発明に係る鉄道車両の高圧機器システムは、鉄道車両に搭載される高圧機器システムであって、架線からの高電圧電力が供給される複数の高圧機器と、各前記高圧機器同士をつなぐ複数の高圧用ケーブルと、各前記高圧用ケーブルが接続されるジョイント装置と、を備え、前記高圧用ケーブルは、先端部分に、前記高圧用ケーブルを覆うベース筒部と、前記高圧用ケーブルの長手方向に対して略直交する方向に前記ベース筒部から延在する嵌合筒部とを含むケーブルコネクタ部を有し、前記ジョイント装置は、前記ケーブルコネクタ部の前記嵌合筒部に嵌め込まれ、前記高圧用ケーブルと接続されるジョイントコネクタ部を有する。
かかる構成によれば、高圧用ケーブルの長手方向に略直交する方向に向かってケーブルコネクタ部をジョイントコネクタ部に嵌め込むことにより、高圧用ケーブルをジョイント装置に取り付けることができるため、高圧用ケーブルをプレハブジョイントのように長手方向へ引き戻す作業を行うことなく高圧用ケーブルをジョイント装置に接続させることができる。
本発明に係る鉄道車両の高圧機器システムによれば、高圧用ケーブルを長手方向へ引き戻す作業を行うことなく高圧用ケーブルをジョイント装置に接続させることができる。よって、鉄道車両の屋根上のような限られたスペースにおいても効率よく高圧用ケーブルをジョイント装置に接続することができる。
本発明の実施形態に係る高圧機器システム及び鉄道車両の概略側面図である。 本発明の実施形態に係るX分岐ジョイント装置の一部断面平面図である。 本発明の実施形態に係るY分岐ジョイント装置の一部断面平面図である。 本発明の実施形態に係る直ジョイント装置の一部断面平面図である。 本発明の実施形態に係るジョイントコネクタ部及びケーブルコネクタ部周辺の分解図である。 本発明の実施形態に係る集電装置周辺の平面図であって、集電装置の集電舟やアーム部を省略した図である。 従来の高圧機器システムにおける集電装置周辺の平面図であって、集電装置の集電舟やアーム部を省略した図である。 従来の高圧機器システムでの高圧用ケーブルをジョイント装置に接続する方法の例を示した図である。
以下、本発明に係る鉄道車両の高圧機器システムの実施形態について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
[鉄道車両の構成]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る高圧機器システム100が搭載される鉄道車両10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る高圧機器システム100及び鉄道車両10の概略側面図である。図1に示すように、本実施形態における鉄道車両10は、紙面左側から順に第1車両11、第2車両12、・・・第7車両17の合計7両の車両で編成されている。なお、鉄道車両10は、紙面の左右のいずれの方向にも走行可能である。つまり第1車両11及び第7車両17は、いずれも先頭車両になりうるが、以下では便宜上、紙面左を進行方向、つまり第1車両11が先頭車両であるとして説明する。また、「右」というときは進行方向を向いて右手側を意味し、「左」というときは進行方向を向いて左手側を意味し、「前」というときは進行方向前方側を意味し、「後」というときは進行方向後方側を意味するものとする。
本実施形態における鉄道車両10は、第2車両12、第4車両14、第6車両16の3台に動力モータ18が搭載され、第4車両14に集電装置30が搭載されている。
集電装置30は架線から交流25000Vの電力を得て、その電力は複数の高圧用ケーブル70を介して、変圧等された後、第2車両12、第4車両14、および第6車両16に搭載された動力モータ18に供給される。これにより、各動力モータ18が駆動して駆動車輪19を回転させ、鉄道車両10全体を走行させることができる。なお、本実施の形態では、架線から供給される電圧は交流25000Vとしたが、これに限られず、各地域において採用されている電化方式のいずれにおいても適用可能である。
また、各車両11〜17は床下に車体を支える台車を備えている。図1では、簡略化して車輪のみを図示し、台車(台枠)を図示していないが、実際には図示した車輪から理解できるように各車両11〜17の前方部分及び後方部分にそれぞれ台車が配置されている。台車の構造は特に限定されないが、本実施形態の台車は少なくともその中心で車体を支持するように構成されている。
[高圧機器システム]
次に、図1〜図4を参照しながら、本実施形態に係る高圧機器システム100の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態における高圧機器システム100は、架線からの高電圧電力が供給される複数の高圧機器を備える。図1に示すように、本実施形態に係る高圧機器システム100は、高圧機器として、集電装置30と、遮断器40と、変圧器20とを備え、さらにジョイント装置51〜53と、高圧用ケーブル70と、を備えている。このうち、集電装置30及びジョイント装置51〜53は鉄道車両10の屋根上に、遮断器40及び変圧器20は鉄道車両10の床下に配置される。以下、これらの各構成要素について順に説明する。
集電装置30は、架線からの高電圧電力を集電する高圧機器である。上述したように、本実施の形態においては集電装置30は第4車両14にのみ搭載されている。集電装置30は、第4車両14の屋根上であって前方部分に設けられている。このように、一般的に集電装置は車両の屋根上の前方部分又は後方部分に位置している。すなわち、集電装置30は、架線に対して相対的な位置の変化が最小となる台車中心上方に設置される。本実施形態の集電装置30はいわゆるパンタグラフであって、架線に接触する集電舟31と、集電舟31を上下させるアーム部32と、アーム部32を支える支持部材33と、支持部材33の左右に設けられた柱部34から主に構成されている(図6参照)。
遮断器40は、大きな電流が各機器やケーブルに流れ、これらの機器の損傷を防ぐために、大電流を遮断する高圧機器である。すなわち、遮断器40は、集電装置30から所定以上の電流が流れた場合に回路を遮断する高圧機器である。遮断器40は、その機能を確保するため動力モータ18などの機器の上流側(実際には、集電装置30と変圧器20の間)に配置されている。本実施の形態において、遮断器40は、遮断器40を通過した電流の電圧を変圧する変圧器20が搭載されている第2車両12、第4車両14、及び第6車両16に搭載されている。また、本実施形態では、走行時の空気抵抗による影響を抑えるため、遮断器40は各車両12、14、16の床下に配置されている。なお、遮断器40は、各車両12、14、16の屋根上に配置しても良い。また、本実施の形態において、遮断器40は、真空遮断器(VCB)としているが、空気遮断器(ABB)など種類等は特に限定されない。遮断器40を通過した電流は、変圧器20を経て所定の電圧値にまで電圧が下げられた後、主変換器21で周波数が変換されて動力モータ18へと流れる。
ジョイント装置51〜53は、各高圧用ケーブル70を接続する装置である。本実施形態に係る高圧機器システム100では、X分岐ジョイント装置51、Y分岐ジョイント装置52、及び直ジョイント装置53の3種類のジョイント装置が使用されている。各ジョイント装置51〜53の構成は次のとおりである。
X分岐ジョイント装置51は、4つの高圧用ケーブルを接続することが可能であり、1つの高圧用ケーブルから供給される電力を三分岐することが可能な装置である。図1に示すように、X分岐ジョイント装置51は、第4車両14の屋根上であって集電装置30よりも前方に位置している。ここで、図2は、本実施形態に係るX分岐ジョイント装置51の一部断面平面図である。また、紙面左側が前方、紙面右側が後方、紙面上側が右方、紙面下側が左方である(図3、図4、及び図6も同じである)。図2に示すように、X分岐ジョイント装置51は、中央に位置するベース部54と、凸状に形成された4つのジョイントコネクタ部55と、内部に埋め込まれたH字状の内部導体部56によって主に構成されている。このうちジョイントコネクタ部55は、円柱を先細りに形成した形状を有しており、後述のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれるように構成されている。4つのジョイントコネクタ部55には、2つの第1ジョイントコネクタ部55aと2つの第2ジョイントコネクタ部55bが含まれている。2つの第1ジョイントコネクタ部55aはベース部54から車幅方向の一方(右側)に向かって突出し、残りの2つの第2ジョイントコネクタ部55bはベース部54から車幅方向の他方(左側)に向かって突出している。そして、2つの第1ジョイントコネクタ部55aは前後に並んで配置されており、2つの第2ジョイントコネクタ部55bは前後に並んで配置されている。また、内部導体部56は、各ジョイントコネクタ部55の先端で露出しており、内部導体部56の露出したそれぞれの先端部分には雌ねじ57が形成されている。
Y分岐ジョイント装置52は、3つの高圧用ケーブル70を接続することが可能であり、1つの高圧用ケーブルから供給される電力を二分岐することが可能な装置である。図1に示すように、Y分岐ジョイント装置52は、第6車両16の屋根上の前方部分に配置されている。ここで、図3は、本実施形態に係るY分岐ジョイント装置52の一部断面平面図である。図3に示すように、Y分岐ジョイント装置52は、中央に位置するベース部54と、凸状に形成された3つのジョイントコネクタ部55と、内部に埋め込まれた内部導体部58によって主に構成されている。このうちジョイントコネクタ部55は、円柱を先細りに形成した形状を有しており、後述のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれるように構成されている。3つのジョイントコネクタ部55には、2つの第3ジョイントコネクタ部55cと1つの第4ジョイントコネクタ部55dが含まれている。2つの第3ジョイントコネクタ部55cはベース部54から車幅方向の一方(右側)に向かって突出し、車両長手方向前後に並んで配置されている。1つの第4ジョイントコネクタ部55dはベース部54から車幅方向の他方(左側)に向かって突出している。なお、本実施形態のY分岐ジョイント装置52は、右側に2つのジョイントコネクタ部55(第3ジョイントコネクタ部55c)が突出し、左側に1つのジョイントコネクタ部55(第4ジョイントコネクタ部55d)が突出しているが、これとは逆に、右側に1つのジョイントコネクタ部55が突出し、左側に2つのジョイントコネクタ部55が突出するように構成してもよい。また、内部導体部58は、各ジョイントコネクタ部55の先端で露出しており、内部導体部58の露出したそれぞれの先端部分には雌ねじ57が形成されている。
直ジョイント装置53は、2つの高圧用ケーブル70を直線状に接続することが可能な装置である。図1に示すように、直ジョイント装置53は、第2車両12、第3車両13、及び第5車両15の屋根上の前後両側部分、並びに第4車両14の屋根上の後方部分に配置されている。ここで、図4は、本実施形態に係る直ジョイント装置53の一部断面平面図である。図4に示すように、直ジョイント装置53は、ベース部54と、凸状に形成された2つのジョイントコネクタ部55(第5ジョイントコネクタ部55e)と、内部に埋め込まれたU字状の内部導体部59によって主に構成されている。このうちジョイントコネクタ部55は、円柱を先細りに形成した形状を有しており、後述のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれるように構成されている。2つの第5ジョイントコネクタ部55eは、いずれもベース部54から車幅方向の一方(右側)に向かって突出するとともに、前後に並んで配置されている。なお、本実施形態の直ジョイント装置53では、2つの第5ジョイントコネクタ部55eがベース部54から右側に向かって突出しているが、突出の方向は特に限定されない。例えば、2つのジョイントコネクタ部55がベース部54から左側に突出するように構成してもよく、上方に突出するように構成してもよい。また、内部導体部59は、各ジョイントコネクタ部55の先端で露出しており、内部導体部59の露出したそれぞれの先端部分には雌ねじ57が形成されている。以上が、各ジョイント装置51〜53の構成の説明である。引き続いて他の構成要素について説明する。
高圧用ケーブル70は、高圧機器同士をつないで高電圧の電流を送電する部材である。図2〜図4に示すように、高圧用ケーブル70は、ケーブル本体71とその先端部分に設けられたケーブルコネクタ部72によって主に構成されている。鉄道車両10の高圧機器システム100に用いられる高圧用ケーブル70は、ケーブル本体71の外径が50−60mm程度あり、非常に堅く、小さな曲げ半径で曲げることが困難である。また、ケーブルコネクタ部72は、ジョイントコネクタ部55を収容できるように凹状の収容部73を有している。
ケーブルコネクタ部72についてより詳しく説明すると、ケーブルコネクタ部72は、ハウジング部74と、接続端子75と、キャップ部76と、絶縁栓84とから主に構成されている。このうちハウジング部74は、円筒状の嵌合筒部77と、嵌合筒部77の側面から直交するように、かつ、内部が通じるように連結された円筒状のベース筒部78とからなり、全体としてT字状の形状を有している。嵌合筒部77の一端はジョイントコネクタ部55が挿入されるコネクタ開口部79であり、このコネクタ開口部79及びその周辺によって凹状の収容部73を形成している。また嵌合筒部77の他端は後述する接続作業を行うための部分である作業用開口部80が形成されている。さらに、ベース筒部78からはハウジング部74の内部に向かって予め先端部分が段剥ぎされたケーブル本体71が挿入されており、その先端に接続端子75が取り付けられている。ハウジング部74はエチレンプロピレンゴム(EPゴム)又はシリコーンゴムなどの弾性を有する絶縁材料によって形成される。図示しないがハウジング部74の中央部内周側には、接続端子75近傍を覆うように、かつ、内周側が露出するように内部半導電層が形成され、ハウジング部74の外周には、外部半導電層が形成されている。内部半導電層と外部半導電層はハウジング部74に一体に形成されており、当業者にとって既知の構成である(例えば、特開平9−308075号公報、特開2004−96929号等参照)。内部半導電層は半導電性のエチレンプロピレンゴム(EPゴム)又は半導電性のシリコーンゴムで形成され、外部半導電層は、半導電性もしくは導電性の塗料、又は半導電性のエチレンプロピレンゴム(EPゴム)もしくはシリコーンゴムで形成される。接続端子75は、ケーブル本体71のケーブル導体81に圧縮して結合されているとともに、ハウジング部74(嵌合筒部77)の内部に位置し、圧縮部分は環状に形成され、先端部分は板状に形成されている。絶縁栓84は、エポキシ樹脂等の硬質の絶縁体からなる絶縁栓本体84aと、絶縁栓本体84aの先端側に、先端面が露出するように絶縁栓本体84a内に埋設される金属製の固定用埋込金具84bと、絶縁栓本体84aの後端側(キャップ部76が取り付けられる側)に、後端部分が露出するように絶縁栓本体84a内に埋設される金属製の作業用埋込金具84cを備える。固定用埋込金具84bの先端部分は、ナット部材83を収容する溝と雄ねじ部材82を固定するための雌ねじが形成されている。キャップ部76は、嵌合筒部77の作業用開口部80に絶縁栓84を嵌め込んだ後に取り付けられ、作業用開口部80を塞いでいる。ただし、キャップ部76も絶縁栓84も取り外しは可能である。なお、ハウジング部74とキャップ部76は、いずれも弾性を有する絶縁材料によって形成されている。接続端子75の先端の板状の部分は、嵌合筒部77の収容部73に露出した状態でケーブル本体71とケーブルコネクタ部72とが一体となるように固定されている。以上が本実施形態に係る高圧機器システム100の各構成要素の説明である。
なお、以上では各ジョイント装置51〜53が有するジョイントコネクタ部55の突出方向について具体的に説明したが、ジョイントコネクタ部55の突出方向は上述した方向に限定されない。例えば、Xジョイント装置51は4つのジョイントコネクタ部55を有しているが、4つのジョイントコネクタ部55をそれぞれ別の方向に突出するように構成してもよい。
[接続方法]
次に、図5を参照しながら、高圧用ケーブル70とジョイント装置51〜53との接続方法について説明する。図5は、本実施形態に係るジョイントコネクタ部55及びケーブルコネクタ部72周辺の分解図である。なお、X分岐ジョイント装置51、Y分岐ジョイント装置52、直ジョイント装置53は、同じ構成のジョイントコネクタ部55を有しており、このジョイントコネクタ部55を介して同じ方法により各ジョイント装置51〜53に高圧用ケーブル70が接続される。そのため、以下ではジョイント装置51〜53の種類を限定せずに高圧用ケーブル70とジョイント装置51〜53との接続方法について説明する。
はじめに、雄ねじ部材(スタッド)82をジョイント装置51〜53に取り付ける。具体的には、ジョイント装置51〜53の内部導体部56、58、59の各先端部分に形成された雌ねじ57に金属製の雄ねじ部材82を螺合する。雄ねじ部材82の長さ寸法は、内部導体部56、58、59に形成された雌ねじ57の深さ寸法よりも大きい。そのため、雄ねじ部材82の一端を雌ねじ57に螺合すると、雄ねじ部材82の他端側の一部がジョイントコネクタ部55から突出した状態となる。
続いて、ケーブルコネクタ部72をジョイントコネクタ部55に嵌め込む。ケーブルコネクタ部72のハウジング部74をジョイントコネクタ部55に嵌め込む方向は、高圧用ケーブル70の長手方向ではなく、高圧用ケーブル70の長手方向に略直交する方向である。より具体的には、ハウジング部74をジョイントコネクタ部55の先端からかぶせるようにして、嵌合筒部77の収容部73にジョイントコネクタ部55を収容する。その際、予め嵌合筒部77の収容部73の内側に露出した状態で固定された接続端子75の貫通孔75aにジョイントコネクタ部55から突出した雄ねじ部材82を貫通させる。
続いて、ハウジング部74の嵌合筒部77に形成された作業用開口部80から金属製のナット部材83を挿入し、接続端子75を内部導体部56、58、59に固定するため、接続端子75を貫通した雄ねじ部材82に締め付け、その後、絶縁栓84を取り付ける。かかる作業は、作業用開口部80を介して行うことができるため、非常に作業性がよい。
最後に、キャップ部76を作業用開口部80に嵌め込んで、作業用開口部80を塞ぐ。これにより高圧用ケーブル70とジョイント装置51〜53との接続が終了する。以上のように、本実施形態に係る高圧機器システム100は、高圧用ケーブル70の長手方向に略直交する方向に向かってケーブルコネクタ部72をジョイントコネクタ部55に嵌め込むことにより、高圧用ケーブル70がジョイント装置51〜53に取り付けられるように構成されている。そのため、従来のプレハブジョイントの場合に行っていた高圧用ケーブル70を長手方向に引き戻す作業は必要なく、容易に高圧用ケーブル70をジョイント装置51〜53に接続させることができる。また、従来のプレハブジョイントの場合では、ストレスコーンを受容口に押圧するための金属製の圧縮装置等により鉄道車両の高圧機器システムとしての重量が大きくなっていたが、本実施形態のように部品点数の少ないコネクタタイプのジョイントを適用することにより、プレハブジョイントのような重量の大きい圧縮装置等は不要となり、鉄道車両の高圧機器システムとしての重量を小さくさせることができる。ひいては鉄道車両としての重量を小さくすることができる。
[配線]
次に、図6を参照して、鉄道車両におけるX分岐ジョイント装置51周辺の高圧用ケーブル70の配線について説明する。ここで、図6は本実施形態に係る集電装置30周辺の平面図であって、集電装置30の集電舟31やアーム部32を省略した図である。図6に示すように、X分岐ジョイント装置51が有する4つのジョイントコネクタ部55のうち、右後方の第1ジョイントコネクタ部55aには集電装置30へと延びる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。また、左後方の第2ジョイントコネクタ部55bには、第5車両15を経由して第6車両16の遮断器40につながる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。また、右前方の第1ジョイントコネクタ部55aには、第4車両14の前面を経由して床下に設けられた遮断器40につながる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。また、左前方の第2ジョイントコネクタ部55bには、第3車両13を経由して第2車両12の遮断器40につながる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。以上の構成から理解できるように、本実施形態では、集電装置30によって得られた電力を第2車両12、第4車両14、及び第6車両16に搭載された各遮断器40を介して各動力モータ18へ供給するために、集電装置から延びる高圧用ケーブル70をX分岐ジョイント装置51において、3本の高圧用ケーブル70に分岐(三分岐)している。
そして、図6とこれに対応する従来の図7とを対比すると、従来において集電装置230から延びる高圧用ケーブル270は2本であったのに対し、本実施形態では集電装置30から延びる高圧用ケーブル70は1本となっていることが理解できる。
このように、従来の高圧ケーブルの配線においては、二分岐のプレハブジョイントのY分岐ジョイント装置252を用いていたため、集電装置230から3箇所へ電力を供給するには、集電装置230の前後から2本の高圧用ケーブル270を延ばす必要があった。このため、従来は2本のうち1本の高圧用ケーブル270をUターンするように配置する必要があり、Uターンさせるための高圧用ケーブル270の曲げ半径分のスペース、及びプレハブジョイントの組み立てのための高圧用ケーブル270の引き戻し作業のためのスペースを確保し、その分、高圧用ケーブル270の長さを長くする必要があった。これに対し、本実施の形態のようにX分岐ジョイント装置51を用いることにより、高圧用ケーブル70をUターンさせる必要がなくなり、高圧用ケーブルを短くすることができる。
さらに、本実施形態に係るジョイント装置51〜53によれば、高圧用ケーブル70を長手方向に引き戻すことなく高圧用ケーブル70をジョイント装置51〜53に接続させることができる。そのため、高圧用ケーブル70の余長が短い場合であってもジョイント装置51〜53へ接続が可能であり、図7で示されているように集電装置230とジョイント装置252との間の高圧用ケーブル270を必要以上に長くしたり、曲げ半径を大きくして配線する必要がない。つまり、図6で図示するような集電装置30から3箇所へ電力を供給する場合であって、かつ、ジョイント装置が集電装置30の近傍に位置している場合には、ジョイント装置として本実施形態に係るX分岐ジョイント装置51を用いることで、従来に比べ高圧用ケーブル70の長さを短くすることができる。ひいては、高圧用ケーブル70の長さを短くできた分の重量を鉄道車両の高圧機器システム100として軽量化できる。また、従来の金属によるストレスコーンの圧縮装置を必要とし、部品点数が多いプレハブジョイントから、部品点数が少なく軽量のコネクタタイプのジョイント装置を鉄道車両に適用したことにより、鉄道車両の高圧機器システム100として大幅に軽量化できる。
続いて、図3に戻って、Y分岐ジョイント装置52周辺の高圧用ケーブル70の配線について説明すると、次のとおりである。つまり、Y分岐ジョイント装置52が有する3つのジョイントコネクタ部55のうち、右前方の第3ジョイントコネクタ部55cには第6車両16の床下に設けられた遮断器40につながる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。また、左前方の第4ジョイントコネクタ部55dには第5車両15を経由して第4車両14のX分岐ジョイント装置51から電気的につながる高圧用ケーブル70のケーブルコネクタ部72が嵌め込まれている。そして、右後方の第3ジョイントコネクタ部55cには高圧用ケーブル70は接続されていない。このように、必ずしも全てのジョイントコネクタ部55に高圧用ケーブル70(ケーブルコネクタ部72)を接続しなくてもよい。そのため、第6車両16のY分岐ジョイント装置52をX分岐ジョイント装置51に換えることも可能である。このとき、例えば右後方と左後方のジョイントコネクタ部55に高圧用ケーブル70を接続せず、使用しないジョイントコネクタ部55には絶縁キャップ等で塞げばよい。
以上、本発明に係る実施形態について図を参照して説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本実施の形態においては、T字状の形状を有するハウジング部74について説明しているが、作業用開口部80の無い、すなわち絶縁栓84を必要としない、L字状の形状を有するハウジング部でもよい。
本実施の形態において、編成車両数は7両としたが、これ以上または以下の編成車両数であってもよい。また、高圧機器は一例として、集電装置や遮断器、変圧器を用いて説明したが、高圧機器の数、種類、及び位置、並びにジョイント装置の数、種類、位置の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、例えば、高圧機器システムにおいて、本発明に係るジョイント装置と従来のジョイント装置を併用したとしても、本発明に係るジョイント装置を使用している限り本発明に含まれる。
本発明に係る鉄道車両の高圧機器システムによれば、鉄道車両の屋根上のような限られたスペースにおいても高圧用ケーブルを効率よくジョイント装置に接続することができるため、鉄道車両の高圧機器システムの技術分野において有益である。
10 鉄道車両
18 動力モータ
19 駆動車輪
30 集電装置
40 遮断器
51 X分岐ジョイント装置
52 Y分岐ジョイント装置
53 直ジョイント装置
55 ジョイントコネクタ部
55a 第1ジョイントコネクタ部
55b 第2ジョイントコネクタ部
55c 第3ジョイントコネクタ部
55d 第4ジョイントコネクタ部
55e 第5ジョイントコネクタ部
70 高圧用ケーブル
72 ケーブルコネクタ部
73 収容部
74 ハウジング部
75 接続端子
76 キャップ部
77 嵌合筒部
78 ベース筒部
80 作業用開口部
81 ケーブル導体
84 絶縁栓
100 高圧機器システム

Claims (13)

  1. 鉄道車両に搭載される高圧機器システムであって、
    架線からの高電圧電力が供給される複数の高圧機器と、
    各前記高圧機器同士をつなぐ複数の高圧用ケーブルと、
    各前記高圧用ケーブルが接続されるジョイント装置と、を備え、
    前記高圧用ケーブルは、先端部分に、前記高圧用ケーブルを覆うベース筒部と、前記高圧用ケーブルの長手方向に対して略直交する方向に前記ベース筒部から延在する嵌合筒部とを含むケーブルコネクタ部を有し、
    前記ジョイント装置は、前記ケーブルコネクタ部の前記嵌合筒部に嵌め込まれ、前記高圧用ケーブルと接続されるジョイントコネクタ部を有する、鉄道車両の高圧機器システム。
  2. 前記ジョイントコネクタ部は、略車両幅方向に向かって突出している、請求項1に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  3. 前記ジョイント装置は、
    突出する4つのジョイントコネクタ部を有する、請求項1又は2に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  4. 前記4つのジョイントコネクタ部は、
    略車両幅方向の一方に向かって突出する2つの第1ジョイントコネクタ部と、略車両幅方向の他方に向かって突出する2つの第2ジョイントコネクタ部とを有し、
    各前記第1ジョイントコネクタ部は、車両長手方向前後に並んで配置され、かつ各前記第2ジョイントコネクタ部は、車両長手方向前後に並んで配置される、請求項3に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  5. 各前記第1ジョイントコネクタ部のうち、1つの第1ジョイントコネクタ部は、前記高圧機器から延びる高圧ケーブルが接続され、
    当該高圧ケーブルから供給された電力は、残りの第1ジョイントコネクタ部と、2つの前記第2ジョイントコネクタ部に三分岐される、請求項4に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  6. 床下に台車を備える鉄道車両に適用可能な高圧機器システムであって、
    前記高圧機器は、前記台車の略中心でかつ前記鉄道車両の屋根上に配置され、架線からの電力を集電する集電装置を備え、
    前記ジョイント装置は、前記集電装置よりも車両長手方向の端部側に配置され、
    各前記第1ジョイントコネクタ部のうち、1つの第1ジョイントコネクタ部は前記集電装置から延びる高圧用ケーブルのケーブルコネクタ部が接続され、
    前記集電装置を介して当該高圧用ケーブルから供給された電力は、残りの第1ジョイントコネクタ部と、2つの前記第2ジョイントコネクタ部に三分岐される、請求項4に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  7. 複数の車両が編成された鉄道車両に適用可能な高圧機器システムであって、
    各前記第1ジョイントコネクタ部のうち、1つの第1ジョイントコネクタ部は前記集電装置から延びる高圧用ケーブルのケーブルコネクタ部が接続され、
    残りの第1ジョイントコネクタ部と2つの前記第2ジョイントコネクタ部とは、前記集電装置とは異なる高圧機器が接続され、
    当該高圧機器のうち、少なくとも1つは、前記複数の車両のうち、前記集電装置を備える車両以外の車両床下に配置される、請求項6に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  8. 前記ジョイント装置は、
    略車両幅方向の一方に向かって突出する2つの第3ジョイントコネクタ部と、略車両幅方向の他方に向かって突出する1つの第4ジョイントコネクタ部とを有し、
    各前記第3ジョイントコネクタ部は、車両長手方向前後に並んで配置される、請求項1に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  9. 前記ジョイント装置は、
    略車両幅方向の同一方向に向かって突出する2つの第5ジョイントコネクタ部を有し、
    各前記第5ジョイントコネクタ部は、車両長手方向前後に並んで配置される、請求項1に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  10. 前記ケーブルコネクタ部は、さらに、前記嵌合筒部の内部に位置するとともに前記高圧用ケーブルのケーブル導体に結合された接続端子を有し、
    前記ジョイント装置は、各ジョイントコネクタ部の先端で露出する内部導体部を有し、
    前記ジョイントコネクタ部が前記ケーブルコネクタ部に嵌め込まれた状態において、前記ケーブルコネクタ部の前記接続端子が、前記ジョイントコネクタ部の前記内部導体部に電気的に接続するよう構成されている、請求項1に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  11. 前記ケーブルコネクタ部の前記嵌合筒部には、前記ジョイントコネクタ部が収容される部分とは反対側において、前記接続端子と前記内部導体部との接続作業を行うための作業用開口部が形成されている、請求項10に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  12. 前記ケーブルコネクタ部は、前記作業用開口部を塞ぐための絶縁栓を有している、請求項11に記載の鉄道車両の高圧機器システム。
  13. 架線からの高電圧電力を集電する集電装置、前記集電装置から所定以上の電流が流れた場合に回路を遮断する遮断器、および前記遮断器を通過した電流の電圧を変圧する変圧器の各高圧機器と、
    各前記高圧機器を繋ぐ複数の高圧用ケーブルと、
    各前記高圧用ケーブルが接続されるジョイント装置と、を備え、
    前記高圧用ケーブルは、先端部分に、前記高圧用ケーブルを覆うベース筒部と、前記高圧用ケーブルの長手方向に対して略直交する方向に前記ベース筒部から延在する嵌合筒部とを含むケーブルコネクタ部を有し、
    前記ジョイント装置は、前記ケーブルコネクタ部の前記嵌合筒部に嵌め込まれ、前記高圧用ケーブルと接続されるジョイントコネクタ部を有する、鉄道車両。
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