JP2012140843A - 外殻鋼管付きコンクリート杭およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外殻を形成する鋼管10は薄鋼板からなり、周方向に複数に分割して周方向両側縁に該薄鋼板を折り曲げて継手部1a、1bが形成された杭軸方向に一定の長さを有する複数の分割円弧板1を、前記継手部1a、1bを介し周方向に連結して円筒形状に形成され、当該円筒形状に形成された鋼管10の杭軸方向の両端部にコンクリート11注入用の開口部7aを有する端板7が接合され、当該鋼管10の内側面にコンクリート11がライニングされてなる。
【選択図】図2
Description
特許文献2に係る外殻鋼管付コンクリート杭にも同様の記載が認められる(明細書の段落[0018]参照)。
よって、従来は、構造設計上要求される適正な厚さ以上の鋼管を使用していたため、不合理、且つ不経済であった。
この特許文献3に係る発明によれば、使用する鋼管厚さに着目すると、従来より薄くして実施できるので、特許文献1、2に係る上記問題点を解消しているようにみえる。
加えて、厚さ0.25mm〜1.6mmの極薄の薄肉帯鋼板は、80年の間に2mm程度腐食する土中での腐食性を考慮すると、防錆手段を施すか、腐食しない薄肉ステンレス鋼板を用いなければならず、その分また費用が嵩むという問題もあった。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭において、前記分割円弧板の内周面に、突起状の位置ずれ防止加工が施されていることを特徴とする。
前記外殻を形成する鋼管は薄鋼板とし、周方向に複数に分割して周方向両側縁に該薄鋼板を折り曲げて継手部を形成した杭軸方向に一定の長さを有する複数の分割円弧板を、前記継手部を介し周方向に連結して円筒形状に形成する工程と、
前記円筒形状に形成した鋼管の杭軸方向の両端部にコンクリート注入用の開口部を有する端板を接合する工程と、
前記端板の開口部から鋼管の内側へコンクリートを注入し、遠心成形により円筒形状に成形したコンクリート体を当該鋼管の内側面と一体化させる工程とからなることを特徴とする。
1)平板状に近い湾曲した(同形同大の)分割円弧板を多数積み重ねて搬送できるので、搬送に伴う費用削減に大きく寄与すると共に、荷扱いも容易となる。
2)分割円弧板を単にスライドさせるだけで円筒形状の鋼管を形成できるので、溶接、カシメも無用で施工性(生産性)に非常に優れている。
3)鋼管厚さが4.5mm以上の市販の鋼管を用いることなく、SC杭に要求される曲げ耐力に応じた構造設計によって求められる鋼管厚さ(例えば3.2mm)の分割円弧板を用いて鋼管を形成できるので、合理的、且つ非常に経済的である。
この外殻鋼管付きコンクリート杭は、鋼管10を外殻に有し、その内側にコンクリート11をライニングしてなり、前記外殻を形成する鋼管10は薄鋼板からなり、周方向に複数(図示例では4つ)に分割して周方向両側縁に該薄鋼板を折り曲げて継手部1a、1bが形成された杭軸方向に一定の長さを有する複数(4枚)の分割円弧板1を、前記継手部1a、1bを介し周方向に連結して円筒形状に形成され、当該円筒形状に形成された鋼管10の杭軸方向の両端部にコンクリート11注入用の開口部7aを有する端板7(図6参照)が接合され、当該鋼管10の内側面にコンクリート11をライニングして一体成形されている。ちなみに図1、2では図示の便宜上、前記端板は省略している。
ちなみに、本実施例に係る円筒形状に形成された鋼管10は、外径が56cm程度、杭軸方向長さが520cm程度、鋼管厚さ(肉厚)が3.2mm程度で実施されている。当該鋼管厚さは、SC杭に要求される曲げ耐力に応じた構造設計によって求められるが、通常2.3mm〜7.3mmの範囲内、或いは板厚径比が1%未満で実施される。もとより、鋼管厚さは薄い方が経済的である。鋼管10の内側面にライニングされたコンクリート11の厚さは8cm程度で実施されているが勿論これに限定されず、SC杭に要求される曲げ耐力に応じて適宜設計変更される。
前記4等分割した場合の各分割円弧板1のサイズについては、その一例を図3に示す。図3中、符号W=3.2mm、X=438.46mm、Y=30.2mm、Z=40.2mm、および曲率半径=279.68mmである。
前記分割円弧板1は、ロール成形加工法、好ましくは冷間ロール成形加工法で適正な曲率に成形される。
また、本実施例では、製造コスト、荷扱い性、取扱性(作業性)の観点から同形同大の分割円弧板1を用いて実施しているが同形同大に限定されず、周方向に連結した場合に円筒形状の鋼管10を形成できる形態であれよい。
さらに、本実施例では、前記U字状の継手部1a、1bに形成して実施しているがこれに限定されず、互いに連結した継手部1a、1b同士が離脱しない形態であればよい。要するに、分割円弧板1に設けた継手部1a、1bは、後述する遠心成形の際に、当該継手部1a、1b同士の連結状態を十分に保持できる形状、剛性を条件に、種々のバリエーションで実施可能である。
先ず、複数(4枚)の分割円弧板1を周方向に連結して円筒形状の鋼管10を形成する。当該円筒形状の鋼管10を形成する手法については種々のバリエーションが考えられる。また、分割円弧板1の数量、大きさによっても適宜設計される。よって本実施例では、その一例を図4A〜Dに段階的に示した。
次に、図4Bに示したように、2枚目の分割円弧板1を、その継手部(雌型継手)1bと、前記1枚目の分割円弧板の継手部(雄型継手)1aとを嵌合させつつ軸方向へスライドさせる。このスライド作業は、分割円弧板1の軸方向の長さが揃うまで、2人程度の作業員の手動操作により行う。
次に、図4Cに示したように、3枚目の分割円弧板1を、その継手部(雄型継手)1aと、前記1枚目の分割円弧板の継手部(雌型継手)1bとを嵌合させつつ軸方向へスライドさせる。このスライド作業もまた、分割円弧板1の軸方向の長さが揃うまで、2人程度の作業員の手動操作により行う。なお、前記2枚目と3枚目の分割円弧板1、1のスライド作業はほぼ同時に行ってもよい。
次に、図4Dに示したように、4枚目の分割円弧板1を、その両側縁に設けた継手部1a、1bと、それぞれ対応する継手部1b、1aとを嵌合させつつ軸方向へスライドさせる。このスライド作業もまた、分割円弧板1の軸方向の長さが揃うまで、2人程度の作業員の手動操作により行う。
かくして、4枚の分割円弧板1を周方向に連結してなる円筒形状の薄厚の鋼管10を形成することができる(図5A、Bも参照)。
ただし、この形状保持部材8の使用はあくまでも念のため(任意)であり、円筒形状に形成した複数の鋼管10を作業場等で複数段積み重ねる場合に好適に用いられる。
前記形状保持部材8は、鋼管10を円筒形状に形成した後に設けてもよいし、その前のスライド作業中に設けておいてもよい。この形状保持部材8は、遠心成形する前にはもちろん取り外される。前記形状保持部材8の形態はもちろん図示例に限定されない。
本実施例に用いる端板7は、一例として外径が60cm程度、内径が44cm程度、厚みが2cm程度の開口部7aを有するリング状に形成され、前記鋼管10とほぼ同心円配置となるように溶接(全周溶接)で固定されている。
1)平板状に近い湾曲した(同形同大の)分割円弧板1を多数積み重ねて搬送できるので、搬送に伴う費用削減に大きく寄与すると共に、荷扱いも容易となる。
2)分割円弧板を単にスライドさせるだけで円筒形状の鋼管10を形成できるので、溶接、カシメも無用で施工性(生産性)に非常に優れている。
3)鋼管厚さが4.5mm以上の市販の鋼管を用いることなく、SC杭に要求される曲げ耐力に応じた構造設計によって求められる鋼管厚さ(例えば3.2mm)の分割円弧板1を用いて鋼管10を形成できるので、合理的、且つ非常に経済的である。
例えば、図示は省略するが、前記分割円弧板1の内周面に、突起状の位置ずれ防止加工を施し、コンクリート11と鋼管10との定着性(一体性)を高めるように実施することもできる。前記突起は、分割円弧板1の内周面に小径の鋼棒を溶接したり、該内周面をエンボス加工、又はチェッカープレートの如く形成したりして実施される。
1a 継手部(雄型継手)
1b 継手部(雌型継手)
7 端板
7a 開口部
8 形状保持部材
9 台木
10 鋼管
11 コンクリート
12 上型枠
13 下型枠
Claims (7)
- 鋼管を外殻に有し、その内側にコンクリートをライニングしてなる外殻鋼管付きコンクリート杭において、
前記外殻を形成する鋼管は薄鋼板からなり、周方向に複数に分割して周方向両側縁に該薄鋼板を折り曲げて継手部が形成された杭軸方向に一定の長さを有する複数の分割円弧板を、前記継手部を介し周方向に連結して円筒形状に形成され、当該円筒形状に形成された鋼管の杭軸方向の両端部にコンクリート注入用の開口部を有する端板が接合され、当該鋼管の内側面にコンクリートがライニングされてなることを特徴とする、外殻鋼管付きコンクリート杭。 - 前記分割円弧板の周方向両側縁に形成した継手部のうち、一側縁の継手部はU字状の雄型継手とされ、他側縁の継手部はU字状の雌型継手とされ、隣接する分割円弧板の対応するU字状の雌型継手又はU字状の雄型継手と互いに連結されていることを特徴とする、請求項1に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭。
- 前記分割円弧板の板厚は2.3mm〜7.3mm、或いは板厚径比が1%未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭。
- 前記分割円弧板の内周面に、突起状の位置ずれ防止加工が施されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭。
- 前記複数の分割円弧板はそれぞれ、同形・同大であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭。
- 鋼管を外殻に有し、その内側面にコンクリートをライニングしてなる外殻鋼管付きコンクリート杭の製造方法において、
前記外殻を形成する鋼管は薄鋼板とし、周方向に複数に分割して周方向両側縁に該薄鋼板を折り曲げて継手部を形成した杭軸方向に一定の長さを有する複数の分割円弧板を、前記継手部を介し周方向に連結して円筒形状に形成する工程と、
前記円筒形状に形成した鋼管の杭軸方向の両端部にコンクリート注入用の開口部を有する端板を接合する工程と、
前記端板の開口部から鋼管の内側へコンクリートを注入し、遠心成形により円筒形状に成形したコンクリート体を当該鋼管の内側面と一体化させる工程とからなることを特徴とする、外殻鋼管付きコンクリート杭の製造方法。 - 前記鋼管は、前記複数の分割円弧板を順次、対応する継手部同士を嵌合させつつ杭軸方向へスライドさせて周方向に連結した円筒形状に形成することを特徴とする、請求項6に記載した外殻鋼管付きコンクリート杭の製造方法。
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