JP2012137257A - 排ガス熱回収器及び吸収式冷凍機 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝熱管内における吸収液の流動性の向上を図った排ガス熱回収器および吸収式冷凍機を提供すること。
【解決手段】高温再生器5の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路17に、この排気ガスで吸収器2から高温再生器5へ流れる稀吸収液を加熱する排ガス熱回収器40を備える吸収式冷凍機において、排ガス熱回収器40は、排気経路17の一部となる熱交換室40A内に排気ガスの流れ方向と直交して配置される複数の伝熱管43と、これら伝熱管43の端部に設けられるヘッダー42A、42Bとを備え、このヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1と高温再生器5とを接続し、ヘッダー42A、42B内に溜まった気体を高温再生器5に返送する返送配管49を備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、高温再生器からの排気ガスで吸収液管を流れる吸収液を加熱する排ガス熱回収器、及び、排ガス熱回収器を備える吸収式冷凍機に関する。
従来、高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、及び吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成した吸収式冷凍機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の吸収式冷凍機では、高温再生器から排出される排気ガスの排熱を利用すべく、排気ガスの排気経路に排ガス熱回収器が設けられている。
この排ガス熱回収器は、一般に、排気ガスを下方から上方へと流す構成とするとともに、排気ガスの流れ方向と交差して配置される多段多列の伝熱管と、これら伝熱管の端部に設けられるヘッダーとを備え、このヘッダーを介して、排気経路の下段側の伝熱管から上段側の伝熱管へ吸収液を流すことにより、当該吸収液の加熱を行っている。
特開2005−282968号公報
ところで、排ガス熱回収器における熱交換効率を検討すると、吸収液を排気ガスと対向させて流す、すなわち、吸収液を排気経路の上段側の伝熱管から下段側の伝熱管へ流す構成とするのが好ましい。
しかし、上記したように吸収液を流す構成とすると、ヘッダー内に吸収液から沸騰された水蒸気等の気体が溜まり易くなり、この気体が流動抵抗となって伝熱管内における吸収液の流れを阻害するおそれがあるといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、伝熱管内における吸収液の流動性の向上を図った排ガス熱回収器および吸収式冷凍機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器及び吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成し、前記高温再生器の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路に、この排気ガスで前記吸収器から前記高温再生器へ流れる吸収液を加熱する排ガス熱回収器を備える吸収式冷凍機において、前記排ガス熱回収器は、前記排気経路内に前記排気ガスの流れ方向と交差して配置される複数の伝熱管と、これら伝熱管の端部に設けられるヘッダーとを備え、このヘッダーの上部と前記高温再生器または前記凝縮器とを接続し、前記ヘッダー内に溜まった気体を前記高温再生器または前記凝縮器に返送する返送配管を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、排ガス熱回収器のヘッダーの上部と高温再生器または凝縮器とを接続する返送配管を備えるため、この返送配管を通じて、上記ヘッダー内に溜まった気体を高温再生器内または凝縮器内に戻すことができる。これにより、排ガス熱回収器の伝熱管内での吸収液の流動性が向上するため、排気ガスとの熱交換効率が向上し、当該排気ガスの排熱を有効に利用することができる。
この構成において、前記返送配管は、前記気体の圧力を減圧する減圧手段を備えても良い。さらに、前記減圧手段は、オリフィス板であっても良い。
また、前記返送配管は、スチームトラップを備えても良い。また、前記排気ガスは、前記排気経路内を下方から上方へ流れるとともに、前記吸収液は前記排気ガスと対向するように、前記排気経路の上方の伝熱管から下方の伝熱管へ流れる構成としても良い。
また、本発明は、吸収式冷凍機の高温再生器の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路に、この排気ガスで吸収器から前記高温再生器へ流れる吸収液を加熱する排ガス熱回収器において、前記排気経路内に前記排気ガスの流れ方向と交差して配置される複数の伝熱管と、これら伝熱管の端部を繋ぐヘッダーとを備え、このヘッダーの上部と前記高温再生器または凝縮器とを接続し、前記ヘッダー内に溜まった気体を前記高温再生器または前記凝縮器に返送する返送配管を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、排ガス熱回収器のヘッダーの上部と高温再生器または凝縮器とを接続する返送配管を備えるため、この返送配管を通じて、上記ヘッダー内に溜まった気体を高温再生器内または凝縮器内に戻すことができる。これにより、排ガス熱回収器の伝熱管内での吸収液の流動性が向上するため、排気ガスとの熱交換効率が向上し、当該排気ガスの排熱を有効に利用することができる。
本実施の形態に係る排ガス熱回収器を適用した吸収式冷凍機の概略構成図である。 高温再生器及び排ガス熱回収器を示す斜視図である。 図2の側面図である。 別の実施形態にかかる返送配管を示す部分拡大図である。 別の実施形態にかかる吸収式冷凍機の概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る排ガス熱回収器を適用した吸収式冷温水機(吸収式冷凍機)の概略構成図である。吸収式冷温水機100は、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用した二重効用型の吸収式冷温水機である。吸収式冷温水機100は、図1に示すように、蒸発器1と、この蒸発器1に並設された吸収器2と、これら蒸発器1及び吸収器2を収納した蒸発器吸収器胴3と、ガスバーナ4を備えた高温再生器5と、低温再生器6と、この低温再生器6に並設された凝縮器7と、これら低温再生器6及び凝縮器7を収納した低温再生器凝縮器胴8と、低温熱交換器12と、高温熱交換器13と、冷媒ドレン熱交換器16と、稀吸収液ポンプP1と、濃吸収液ポンプP2と、冷媒ポンプP3とを備え、これらの各機器が吸収液管21〜25及び冷媒管31〜35などを介して配管接続されている。
また、符号14は、蒸発器1内で冷媒と熱交換したブラインを、図示しない熱負荷(例えば空気調和装置)に循環供給するための冷温水管であり、この冷温水管14の一部に形成された伝熱部14Aが蒸発器1内に配置されている。冷温水管14の伝熱部14A下流側には、当該冷温水管14内を流通するブラインの温度を計測する温度センサ61が設けられている。符号15は、吸収器2及び凝縮器7に順次冷却水を流通させるための冷却水管であり、この冷却水管15の一部に形成された各伝熱部15A、15Bがそれぞれ吸収器2及び凝縮器7内に配置されている。符号50は、吸収式冷温水機100全体の制御を司る制御装置である。
吸収器2は、蒸発器1で蒸発した冷媒蒸気を吸収液に吸収させ、蒸発器吸収器胴3内の圧力を高真空状態に保つ機能を有する。この吸収器2の下部には、冷媒蒸気を吸収して稀釈された稀吸収液が溜まる稀吸収液溜まり2Aが形成され、この稀吸収液溜まり2Aには、インバータ51により周波数可変に制御される稀吸収液ポンプP1が設けられた稀吸収液管21の一端が接続されている。この稀吸収液管21は、稀吸収液ポンプP1の下流側で第1稀吸収液管21Aと第2稀吸収液管21Bとに分岐され、第1稀吸収液管21Aは冷媒ドレン熱交換器16を経由し、第2稀吸収液管21Bは低温熱交換器12を経由した後に再び合流する。稀吸収液管21の他端は、高温熱交換器13を経由した後、第3稀吸収液管21Cと第4稀吸収液管(吸収液管)21Dとに分岐され、第3稀吸収液管21Cは高温再生器5内に形成された熱交換部(燃焼室)5Aの上方に位置する気層部5Bに開口し、第4稀吸収液管21Dは排ガス熱回収器40を経由した後、高温再生器5の気層部5Bに開口している。
高温再生器5の下部には、例えば都市ガス等の燃料に点火する点火器4Aと、燃料量を制御して熱源量を可変にする燃料制御弁4Bとを備えるガスバーナ4が収容されている。高温再生器5には、ガスバーナ4の上方に当該ガスバーナ4の火炎を熱源として吸収液を加熱再生する熱交換部5Aが形成されている。この熱交換部5Aには、ガスバーナ4で燃焼された排気ガスが流通する排気経路17が接続され、この排気経路17には、排ガス熱回収器40が設けられている。熱交換部5Aの側方には、この熱交換部5Aで加熱再生された中間吸収液が溜まる中間吸収液溜まり5Cが形成されている。
中間吸収液溜まり5Cの下端には、中間吸収液管22の一端が接続され、この中間吸収液管22の他端は、高温熱交換器13を介して、低温再生器6内の上部に形成された気層部6Aに開口している。高温熱交換器13は、中間吸収液溜まり5Cから流出した高温の吸収液の温熱で稀吸収液管21を流れる吸収液を加熱するものであり、高温再生器5におけるガスバーナ4の燃料消費量の低減を図っている。また、中間吸収液管22の高温熱交換器13上流側と吸収器2とは開閉弁V1が介在する吸収液管23により接続されている。
低温再生器6は、高温再生器5で分離された冷媒蒸気を熱源として、気層部6Aの下方に形成された吸収液溜まり6Bに溜まった吸収液を加熱再生するものであり、吸収液溜まり6Bには、高温再生器5の上端部から凝縮器7の底部への延びる冷媒管31の一部に形成される伝熱部31Aが配置されている。この冷媒管31に冷媒蒸気を流通させることにより、上記伝熱部31Aを介して、冷媒蒸気の温熱が吸収液溜まり6Bに溜まった吸収液に伝達され、この吸収液が更に濃縮される。
低温再生器6の吸収液溜まり6Bの下端には、濃吸収液管24の一端が接続され、この濃吸収液管24の他端は、濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12を介して、吸収器2の気層部2B上部に設けられる濃液散布器2Cに接続されている。低温熱交換器12は、低温再生器6の吸収液溜まり6Bから流出した濃吸収液の温熱で第2稀吸収液管21Bを流れる稀吸収液を加熱するものである。また、濃吸収液ポンプP2の上流側には、この濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12をバイパスするバイパス管25が設けられており、濃吸収液ポンプP2の運転が停止している場合には、低温再生器6の吸収液溜まり6Bから流出した吸収液は、バイパス管25通じて低温熱交換器12を経由することなく吸収器2内に供給される。
上述のように、高温再生器5の気層部5Bと凝縮器7の底部とは、低温再生器6の吸収液溜まり6Bに配管された伝熱部31A及び冷媒ドレン熱交換器16を経由する冷媒管31により接続され、この冷媒管31の伝熱部31A上流側と吸収器2の気層部2Bとは開閉弁V2が介在する冷媒管32により接続されている。また、凝縮器7の底部と蒸発器1の気層部1AとはUシール部33Aが介在する冷媒管33により接続されている。また、蒸発器1の下方には、液化した冷媒が溜まる冷媒液溜まり1Bが形成され、この冷媒液溜まり1Bと蒸発器1の気層部1A上部に配置される散布器1Cとは冷媒ポンプP3が介在する冷媒管34により接続されている。この冷媒管34の冷媒ポンプP3下流側と吸収器2の吸収液溜まり2Aとは冷媒管35により接続されている。また、冷却水管15の伝熱部15B出口側との冷温水管14の伝熱部14Aの出口側とは、開閉弁V3が介在する連通管36により接続されている。
吸収式冷温水機100は、制御装置50の制御により、冷温水管14から冷水を取り出す冷房運転と、この冷温水管14から温水を取り出す暖房運転とに切り替え運転される。
冷房運転時には、冷温水管14を介して図示しない熱負荷に循環供給されるブライン(例えば冷水)の蒸発器1出口側温度が所定の設定温度、例えば7℃になるように吸収式冷温水機100に投入される熱量が制御装置50により制御される。具体的には、制御装置50は、すべてのポンプP1〜P3を起動し、且つ、ガスバーナ4においてガスを燃焼させ、温度センサ61が計測するブラインの温度が所定の7℃となるようにガスバーナ4の火力を制御する。なお、冷房運転時には、開閉弁V1〜V3は閉じられる。
吸収器2から稀吸収液管21を介して、稀吸収液ポンプP1により揚液された稀吸収液は、冷媒ドレン熱交換器16又は低温熱交換器12と、高温熱交換器13とを経由するとともに、一部は排ガス熱回収器40を経由して高温再生器5へ送られる。高温再生器5に搬送された稀吸収液は、この高温再生器5でガスバーナ4による火炎および高温の燃焼ガスにより加熱されるため、この稀吸収液中の冷媒が蒸発分離する。高温再生器5で冷媒を蒸発分離して濃度が上昇した中間吸収液は、高温熱交換器13を経由して低温再生器6へ送られる。この低温再生器6において、中間吸収液は、高温再生器5から冷媒管31を介して供給されて伝熱部31Aに流入する高温の冷媒蒸気により加熱され、さらに冷媒が分離して濃度が一段と高くなり、この濃吸収液が濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12を経由して吸収器2へ送られ、濃液散布器2Cの上方から散布される。
一方、低温再生器6で分離生成した冷媒は凝縮器7に入って凝縮する。そして、凝縮器7で生成された冷媒液は冷媒管33を経由して蒸発器1に入り、冷媒ポンプP3の運転により揚液されて散布器1Cから冷温水管14の伝熱部14Aの上に散布される。
伝熱部14Aの上に散布された冷媒液は、伝熱部14Aの内部を通るブラインから気化熱を奪って蒸発するので、伝熱部14Aの内部を通るブラインは冷却され、こうして温度を下げたブラインが冷温水管14から熱負荷に供給されて冷房等の冷却運転が行われる。
そして、蒸発器1で蒸発した冷媒は吸収器2へ入り、低温再生器6より供給されて上方から散布される濃吸収液に吸収されて、吸収器2の稀吸収液溜まり2Aに溜まり、稀吸収液ポンプP1によって高温再生器5に搬送される循環を繰り返す。なお、吸収液が冷媒を吸収する際に発生する熱は、吸収器2内に配置される冷却水管15の伝熱部15Aにより冷却される。
暖房運転時には、冷温水管14を介して熱負荷に循環供給されるブライン(例えば温水)の蒸発器1出口側温度が所定の設定温度、例えば55℃になるように吸収式冷温水機100に投入される熱量が制御装置50により制御される。具体的には、制御装置50は、すべてのポンプP1〜P3を起動し、且つ、ガスバーナ4においてガスを燃焼させ、温度センサ61が計測するブラインの温度が所定の55℃となるようにガスバーナ4の火力を制御する。また、冷却水管15への冷却水の流通が止められる。なお、暖房運転時には、開閉弁V1〜V3は開かれる。
この場合、高温再生器5で稀吸収液から蒸発した冷媒は、冷媒管31の途中から主に流路抵抗の小さい冷媒管32を通って吸収器2、蒸発器1に入り、冷温水管14から供給される水と伝熱部14Aを介して熱交換して凝縮し、このときの凝縮熱によって伝熱部14Aの内部を流れる水が加熱される。こうして温度を上げたブラインが冷温水管14から熱負荷に供給されて暖房運転が行われる。
蒸発器1で加熱作用を行って凝縮した冷媒は、蒸発器1の底部の冷媒液溜まり1Bから冷媒ポンプP3によって、冷媒管35を通って吸収器2に入り、この吸収器2内で、吸収液管23及び開閉弁V1を通って高温再生器5から流入する吸収液と混合され、稀吸収液ポンプP1の運転によって、稀吸収液管21から冷媒ドレン熱交換器16又は低温熱交換器12と、高温熱交換器13とを経由するとともに、一部は排ガス熱回収器40を経由して高温再生器5へ送られる。
図2は、高温再生器5及び排ガス熱回収器40を示す斜視図であり、図3は、図2の側面図である。なお、以下に述べる前後、左右、上下といった方向は、排ガス熱回収器40を図3に示すように設置した状態でその前面側から見た場合の方向を示している。この図3では、排ガス熱回収器40が備える伝熱管の配置構成の理解のため、部分的に内部を明示している。
高温再生器5は、図2に示すように、架台55の上に配置される横長の本体52を備え、この本体52内にガスバーナ4が収容される燃焼室、熱交換部5A、気層部5Bがそれぞれ形成される。また、本体52の左側面の下部には、上記ガスバーナ4を取り付けるためのフランジ53が形成され、本体52の前面には、熱交換部5Aで加熱再生された中間吸収液が溜まる中間吸収液溜まり5Cが前面側に突出して形成されている。
また、高温再生器5には、上記したフランジ53の上方に排ガス熱回収器40が取り付けられている。この排ガス熱回収器40は、第4稀吸収液管21Dの一部を収容し、この第4稀吸収液管21Dを流れる稀吸収液を高温再生器5の燃焼室からの排気ガスで加熱する熱交換室40Aと、熱交換後の排気ガスを設備側の煙道に排気する略鉛直方向に起立した煙突40Bとを備えている。本実施形態では、排気ガスは、熱交換室40A内を下方から上方に向けて流れ、その際に第4稀吸収液管21Dを流れる稀吸収液に排熱が回収され、当該稀吸収液が加熱される。
排ガス熱回収器40は、図2に示すように、略箱状に形成された筐体41を備え、この筐体41の上面に煙突40Bが形成され、当該筐体41内に排気経路17の一部となる熱交換室40Aが形成される。熱交換室40A内には、図3に示すように、多段多列に配置された複数の伝熱管43を備え、これら伝熱管43は、筐体41の前後方向に延びて、当該筐体41内を略鉛直上方へ流れる排気ガスの流れ方向と略直交するように設けられている。
また、筐体41の前面41A及び背面41B(図2)には、伝熱管43の端部に接続されるヘッダー42A、42Bがそれぞれ形成される。これらヘッダー42A、42B内は、図3に示すように、複数の仕切板44で伝熱管43、43の間を上下に仕切られており、これにより排ガス熱回収器40に流入した吸収液が伝熱管43の各段を通じて順次流れるように構成される。また、ヘッダー42A、42Bには、それぞれ入口管45及び出口管46が接続され、本実施形態では、これら入口管45、出口管46、ヘッダー42A、42B及び各伝熱管43を備えて、上記した第4稀吸収液管21Dが形成される。
出口管46には、高温再生器5の本体52の上面から上方に延出する液抜け防止用配管54に接続されている。この液抜け防止用配管54は、図3に示すように、上部が二重管構造に形成され、出口管46は、内管54Aの上縁よりも若干低い位置で外管54Bに接続されている。出口管46を通じて液抜け防止用配管54内に流入した稀吸収液は、この内管54Aと外管54Bとの間に溜まり、液面が内管54Aの上縁よりも高くなると、この内管54Aを通じて、高温再生器5の本体52内に流れ込む。通常時では、液抜け防止用配管54内の液面は内管54Aの上縁付近に保たれるため、排ガス熱回収器40内の稀吸収液も略同じ高さ位置で保持されることにより、当該排ガス熱回収器40内の稀吸収液が抜ける事態が回避され、空炊きの防止が図られる。
ところで、熱交換器では、一般に、流体同士を対向流として熱交換させると熱交換効率が向上することが知られている。このため、本実施形態にかかる排ガス熱回収器40では、ヘッダー42A、42Bの上部に入口管45が接続される流入口47を設け、下部に出口管46が接続される流出口48を設け、稀吸収液を熱交換室40A内の上段の伝熱管43から下段の伝熱管43へ順次流すことにより、熱交換効率の向上及び当該排ガス熱回収器40の筐体41の小型化を実現している。
一方、稀吸収液は排気ガスにより加熱された際に、この吸収液中の冷媒(水)が沸騰して冷媒蒸気(水蒸気)を発生するとともに、冷媒中に溶存していた不凝縮ガス(例えば、水素や窒素等)が発生する場合がある。このため、稀吸収液を上段の伝熱管43から下段の伝熱管43へと流す構成では、熱交換効率が向上するものの、加熱時に発生した気体がヘッダー42A、42B内に溜まり易くなることが想定される。
本構成では、各ヘッダー42A、42Bの上面(上部)42A1、42B1に、当該ヘッダー42A、42B内に溜まった気体を高温再生器5内に返送する返送配管49が設けられている。ヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1から延びる各返送配管49、49は、合流して1つの返送配管49として延び、液抜け防止用配管54の上部に接続される。この返送配管49は、液抜け防止用配管54を介して、高温再生器5の本体52の上面に接続されて当該本体52内の気層部5Bに開口する。そして、排ガス熱回収器40と高温再生器5との差圧により、ヘッダー42A、42B内に溜まった気体が高温再生器5内に返送される。
ここで、高温再生器5では、稀吸収液を加熱して濃縮する際に、排ガス熱回収器40と同様に冷媒蒸気及び不凝縮ガスが発生する。これらの気体は、上述のように、低温再生器6を通じて凝縮器7に流入し、この凝縮器7で冷媒蒸気は凝縮され、不凝縮ガスは当該凝縮器7に接続される抽気装置(不図示)により循環経路から排出される。このため、排ガス熱回収器40の各ヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1と高温再生器5とを、返送配管49で接続するといった簡単な構成で、当該ヘッダー42A、42B内に溜まった気体を排ガス熱回収器40外に排出できるとともに、当該気体を外部で処理(凝縮及び抽気)することができる。さらに、高温再生器5は、排ガス熱回収器40と近接して配置されているため、返送配管49の配設を簡単に行うことができる。
また、本実施形態では、返送配管49は、液抜け防止用配管54を介して、高温再生器5に接続されているため、この液抜け防止用配管54が返送配管49を保持するステーとして機能し、当該返送配管49の配設作業をより簡単に行うことができる。
排ガス熱回収器40に流入する稀吸収液は、稀吸収液ポンプP1の吐出圧力により搬送されるため、当該排ガス熱回収器40内は、大気圧よりも高くなっている。一方、高温再生器5内は、法令上、大気圧よりも低い圧力に設定されているため、排ガス熱回収器40内の気体は、排ガス熱回収器40と高温再生器5との差圧によって返送される。
この場合、差圧が大きいと、返送配管49を通じて、排ガス熱回収器40内の熱交換されていない稀吸収液までが高温再生器5に返送される恐れがあるため、本実施形態では、返送配管49には、図3に示すように、ヘッダー42A、42B内の気体の圧力を減圧するためのオリフィス板(減圧手段)60が設けられ、排ガス熱回収器40と高温再生器5との差圧が調整されている。このオリフィス板60に形成される孔(不図示)の径は、通常の運転時における差圧が所定値以下となるように設計されている。
この構成によれば、オリフィス板60を通過する際に気体の圧力が減圧されるため、排ガス熱回収器40から高温再生器5への気体の返送量を制御することができる。なお、本実施形態では、減圧手段の一例としてオリフィス板60を設ける構成について説明したが、上記した差圧を調整できるものであれば、オリフィス板60に限るものではなく、例えば、ヘッダー42A、42Bの上面と42A1、42B1と高温再生器5とをキャピラリチューブ等の細管で接続することにより気体を減圧する方式や、返送配管49に減圧弁を配置する方式としても良い。
次に、別の実施形態について説明する。
上記した実施形態では、返送配管49にオリフィス板60を設け、排ガス熱回収器40と高温再生器5との差圧を調整する構成を説明したが、この別の実施形態では、排ガス熱回収器40で発生する気体の多くが冷媒蒸気であることに鑑み、図4に示すように、返送配管49にスチームトラップ62が設けられている。
このスチームトラップ62は、返送配管49内で冷媒蒸気が凝縮した凝縮冷媒を排出するものである。この実施形態では、スチームトラップ62は、液抜け防止用配管54の上部に取り付けられ、このスチームトラップ62を介して、排ガス熱回収器40と高温再生器5とが返送配管49で接続される。スチームトラップ62内に凝縮した冷媒が溜まると、この冷媒により弁口が開いて、凝縮された冷媒が高温再生器5に返送される。不凝縮ガスは、冷媒蒸気に比べて少ないため、凝縮された冷媒が排出される際にこの冷媒とともに高温再生器5に返送される。
この実施形態では、排ガス熱回収器40で発生する気体の多くが冷媒蒸気であることに鑑み、返送配管49にスチームトラップ62を設けたため、このスチームトラップ62によりヘッダー42A、42Bに貯留した冷媒蒸気を液冷媒として高温再生器5に返送することができる。この構成では、スチームトラップ62内に凝縮した液冷媒が溜まれば、その都度、高温再生器5に返送するため、高温再生器5への返送量を管理することができる。さらに、この構成では、吸収式冷凍機の能力に関わらず、排ガス熱回収器40で発生する冷媒蒸気量よりも大きな処理能力を有するスチームトラップを返送配管49に配置すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、高温再生器5の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路17に、この排気ガスで吸収器2から高温再生器5へ流れる稀吸収液を加熱する排ガス熱回収器40を備える吸収式冷温水機100において、排ガス熱回収器40は、排気経路17の一部となる熱交換室40A内に排気ガスの流れ方向と直交して配置される複数の伝熱管43と、これら伝熱管43の端部に設けられるヘッダー42A、42Bとを備え、このヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1と高温再生器5とを接続し、ヘッダー42A、42B内に溜まった気体を高温再生器5に返送する返送配管49を備えたため、ヘッダー42A、42B内の気体を排出できることにより、排ガス熱回収器の伝熱管43内での稀吸収液の流動性が向上するため、稀吸収液と排気ガスとの熱交換効率が向上し、当該排気ガスの排熱を有効に利用することができる。
また、本実施形態によれば、返送配管49は、気体の圧力を減圧するためのオリフィス板60を備えるため、オリフィス板60を通過する際に気体の圧力が減圧されることで、排ガス熱回収器40から高温再生器5への気体の返送量を制御することができる。
また、本実施形態によれば、返送配管49は、スチームトラップ62を備えるため、このスチームトラップ62によりヘッダー42A、42Bに貯留した冷媒蒸気を液冷媒として高温再生器5に返送することができ、高温再生器5への返送量を容易に管理することができる。
また、本実施形態によれば、排気ガスは、筐体41内を下方から上方へ流れるとともに、稀吸収液は排気ガスと対向するように、筐体41の上方の伝熱管43から下方の伝熱管43へ流れる構成としたため、排気ガスと稀吸収液との熱交換効率が向上するとともに、排ガス熱回収器40の小型化を図ることができる。
上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、排ガス熱回収器40のヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1と高温再生器5とを接続する返送配管49を備える構成について説明したが、これに限るものではなく、図5に示すように、排ガス熱回収器40と凝縮器7とを接続する返送配管63を備える構成としても良い。この図5では、記載を省略したが、返送配管63は、排ガス熱回収器40のヘッダー42A、42Bの上面42A1、42B1に接続される。
上述したように、ヘッダー42A、42B内に貯留される気体は、冷媒蒸気(水蒸気)や、冷媒中に溶存している窒素や水素等の不凝縮ガスであり、これら気体を蒸発器1や吸収器2内に返送すると、その分、胴内圧力が上昇するため、吸収式冷温水機100の性能が低下するため好ましくない。
これに対して、凝縮器7は、そもそも冷媒蒸気を凝縮する機能を有するものであり、さらに、この凝縮器7には、冷媒蒸気に混在する不凝縮ガスを抽出する抽気装置(不図示)が接続されるため、凝縮器7内に気体を返送したとしても、吸収式冷温水機100の性能を大きく変化させることはない。
しかしながら、凝縮器7内の圧力は、高温再生器5内に比べて十分低いため、返送配管63にオリフィス板60を設ける場合には、このオリフィス板60での差圧調整は高温再生器5に返送する際よりも精度が求められる。さらに、高温再生器5に比べて、凝縮器7は、排ガス熱回収器40のヘッダー42A、42Bとの距離が長いため、配置構成上、高温再生器5に返送する方が好ましい。なお、ヘッダー42A、42B内に貯留される気体を凝縮器7に返送する構成においても、返送配管63にスチームトラップを設けることができるのは勿論である。
また、上記実施の形態では、高温再生器5にて吸収液を加熱する加熱手段として燃料ガスを燃焼させて加熱を行うガスバーナ4を備える構成について説明したが、これに限るものではなく、灯油やA重油を燃焼させるバーナを備える構成や、蒸気や排気ガス等の温熱を用いて加熱する構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、吸収式冷温水機100は、高温再生器5から流出した吸収液を低温再生器6に供給するいわゆるシリーズフローサイクルに形成されていたが、これに限定されず、例えば、吸収器から延びる高温再生器及び低温再生器へと2つに分岐するいわゆるパラレルフローサイクルや、低温再生器から流出した吸収液を高温再生器に供給するいわゆるリバースフローサイクルに形成された吸収式冷凍機に本発明を適用してもよい。
また、上記実施の形態では、吸収式冷凍機は二重効用型であるが、一重効用型を始め、一重二重効用型及び三重効用型の吸収式冷凍機及び吸収式ヒートポンプ装置に本発明を適用可能なことは勿論である。
1 蒸発器
2 吸収器
4 ガスバーナ
5 高温再生器
6 低温再生器
7 凝縮器
17 排気経路
21D 第4稀吸収液管
21E 伝熱管
40 排ガス熱回収器
40A 熱交換室
41 筐体
42A、42B ヘッダー
43 伝熱管
44 仕切板
45 入口管
46 出口管
49、63 返送配管
54 液抜け防止用配管
60 オリフィス板(減圧手段)
62 スチームトラップ
100 吸収式冷温水機(吸収式冷凍機)

Claims (6)

  1. 高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器及び吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成し、前記高温再生器の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路に、この排気ガスで前記吸収器から前記高温再生器へ流れる吸収液を加熱する排ガス熱回収器を備える吸収式冷凍機において、
    前記排ガス熱回収器は、前記排気経路内に前記排気ガスの流れ方向と交差して配置される複数の伝熱管と、これら伝熱管の端部に設けられるヘッダーとを備え、このヘッダーの上部と前記高温再生器または前記凝縮器とを接続し、前記ヘッダー内に溜まった気体を前記高温再生器または前記凝縮器に返送する返送配管を備えたことを特徴とする吸収式冷凍機。
  2. 前記返送配管は、前記気体の圧力を減圧する減圧手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍機。
  3. 前記減圧手段は、オリフィス板であることを特徴とする請求項2に記載の吸収式冷凍機。
  4. 前記返送配管は、スチームトラップを備えることを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍機。
  5. 前記排気ガスは、前記排気経路内を下方から上方へ流れるとともに、前記吸収液は前記排気ガスと対向するように、前記排気経路の上方の伝熱管から下方の伝熱管へ流れる構成としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の吸収式冷凍機。
  6. 吸収式冷凍機の高温再生器の燃焼室から排出される排気ガスの排気経路に、この排気ガスで吸収器から前記高温再生器へ流れる吸収液を加熱する排ガス熱回収器において、
    前記排気経路内に前記排気ガスの流れ方向と交差して配置される複数の伝熱管と、これら伝熱管の端部を繋ぐヘッダーとを備え、このヘッダーの上部と前記高温再生器または凝縮器とを接続し、前記ヘッダー内に溜まった気体を前記高温再生器または前記凝縮器に返送する返送配管を備えたことを特徴とする排ガス熱回収器。
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