JP2004053034A - 三重効用吸収式冷凍装置 - Google Patents

三重効用吸収式冷凍装置 Download PDF

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薬師寺 史朗
Hajime Yatsuhashi
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Abstract

【課題】必要な有効吸込ヘッドを従来のものと同程度に抑え、もって冷凍装置の全体高さを低くし得るようにするとともに、ポンプ効率の高いポイントで使用可能とすることで、低消費電力化を図る。
【解決手段】作動温度の異なる3個の再生器G〜Gを備えた三重効用吸収式冷凍装置において、吸収器Aの出口側に、2台の溶液ポンプLP,LPを直列に接続して、必要な有効吸込ヘッドが1台のポンプ分(即ち、二重効用吸収式冷凍装置の場合と同等)となるようにし、もって冷凍装置の全体高さを低く抑え且つ低消費電力化をも図り、信頼性を高めるとともに、コスト的にも有利となるようにする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、作動温度の異なる3個の再生器を備えてなる三重効用吸収式冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、吸収式冷凍装置は、凝縮器と蒸発器と吸収器と再生器を基本構成要素とし、且つこれら各構成要素を溶液配管系と冷媒配管系とにより順次作動的に接続して構成される。
【0003】
かかる吸収式冷凍装置においては、吸収器において生成された希溶液を再生器で加熱濃縮して濃溶液とし、さらにこれを前記吸収器に還流させる一方、前記再生器での希溶液の加熱濃縮によって生成された冷媒蒸気を凝縮器で凝縮させて液冷媒とするとともに、この液冷媒を蒸発器において蒸発させ、ここで発生した冷媒蒸気を前記吸収器において濃溶液に吸収させて希溶液を生成することで、吸収溶液と冷媒の循環サイクルが実現される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸収式冷凍装置では、その性能向上を図るには、溶液・冷媒循環系の熱効率を高めることが最も有効であることが知られており、これを具現化する手法として、再生器を複数(例えば、3個)設けて一つの外部熱源の熱を繰り返し再利用することが提案されている。即ち、再生器として、作動温度の異なるものを複数備え、高温で作動する高温側再生器の加熱によって生成される冷媒蒸気を、低温で作動する低温側再生器に導入し、これを該低温側再生器の加熱熱源として利用するものである。
【0005】
ところが、吸収式冷凍装置においては、このように再生器を複数化することに伴って機内圧力(作動圧)、特に最も高温側の再生器の作動圧と温度が高くなり、冷凍装置の高圧・高温対策が必要になる。
【0006】
例えば、三重効用吸収式冷凍装置においては、上述のように作動温度が異なる3個の再生器(即ち、高温再生器、中温再生器および低温再生器)を備えた場合、高温再生器の冷媒蒸気で中温再生器の吸収溶液を加熱濃縮するので、高温再生器の冷媒飽和蒸気温度は中温再生器の吸収溶液の沸騰温度以上でなければならず、従って高温再生器においてはその冷媒蒸気温度に比例的にその作動圧が高くなり、冷凍装置の高圧・高温対策が必要となる。
【0007】
ところで、この種の三重効用吸収式冷凍装置の場合、吸収器から出た吸収溶液を再生器に供給するための溶液ポンプが必要であり、この溶液ポンプの必要揚程は、サイクル上の差圧(=高温再生器の圧力−吸収器圧力)と配管圧損と溶液熱交換器の圧損とにより左右されるが、特に高温再生器の圧力に大きく左右される。例えば、作動温度が異なる2個の再生器(即ち、高温再生器および低温再生器)を備えた水ー臭化リチウム系の二重効用吸収式冷凍装置におけるサイクル上の差圧=100kPa、ポンプ必要揚程=150〜250kPaであるのに対して、作動温度が異なる3個の再生器を備えた水ー臭化リチウム系の三重効用吸収式冷凍装置におけるサイクル上の差圧=300〜350kPa、ポンプ必要揚程=350〜500kPaとなる。
【0008】
上記した三重効用吸収式冷凍装置における溶液ポンプの必要揚程を1台のポンプで確保しようとすると、有効吸込ヘッドとして700〜800mm程度(従来の二重効用吸収式冷凍装置における溶液ポンプの有効吸込ヘッド=350〜500mm)が必要となり、溶液ポンプの吸込側に有効吸込ヘッドを確保しなければならないため、冷凍装置全体の高さが高くなってしまうという不具合が生じる。また、三重効用であっても二重効用のものと冷凍能力当たりの吸収溶液の流量は変化しないところから、揚程のみ高揚程化を図ることとなり、ポンプ効率の低いポイントで溶液ポンプを設計せざるを得ないこととなる。その結果、従来のものに比べてポンプ効率が低下し、消費電力が増大する不具合も生じる。さらに、ポンプ効率が低下する分だけ駆動源であるモータも大きくする必要が生じることとなり、コストアップ要因となるという不具合も生じる。
【0009】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、溶液ポンプを2台直列に接続して使用することにより、有効吸込ヘッドを従来のものと同程度に抑え、もって冷凍装置の全体高さを低くし得るようにするとともに、ポンプ効率の高いポイントで使用可能とすることで、低消費電力化を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、凝縮器C、蒸発器E、吸収器A及び作動温度が異なる3個の再生器G〜Gを溶液配管系と冷媒配管系とで作動的に接続して循環サイクルを構成し、前記吸収器Aからの吸収溶液の一部又は全部を高温再生器Gに供給し、前記高温再生器Gで外部熱源Jを用いて吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記中温再生器Gで吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記低温再生器Gで吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させるように構成した三重効用吸収式冷凍装置において、前記吸収器Aの出口側に、2台の溶液ポンプLP,LPを直列に接続している。
【0011】
上記のように構成したことにより、ポンプ1台当たりの必要径が約半分となるので、必要な有効吸込ヘッドは1台のポンプ分(即ち、二重効用吸収式冷凍装置の場合と同等)となる。その結果、冷凍装置の全体高さを低く抑えることができる。しかも、ポンプ1台当たりの必要径が約半分となるので、溶液ポンプLP,LPは、ポンプ効率の高いポイントでの使用が可能となり、低消費電力化をも図ることができる。さらに、溶液ポンプを新たに設計することなく、従来から二重効用吸収式冷凍装置での使用実績があるポンプを使用することができるため、信頼性が高くなるとともに、コスト的にも有利となる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPを、同形式の遠心ポンプとすることもでき、そのように構成した場合、1種類のポンプを2台用意すればよいので、2種類のポンプを使用する場合に比べて低コストとなる。
【0013】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPに、同一の周波数で流量制御されるインバータ制御機構INV,INVをそれぞれ付設することもでき、そのように構成した場合、溶液ポンプLP,LPを流量制御する周波数を同一としているので、制御を簡素化できる。
【0014】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPに対して周波数制御を行う1台のインバータ制御機構INVを付設することもでき、そのように構成した場合、1台のンバータ制御機構INVで2台の溶液ポンプLP,LPの流量制御を行うことができることとなり、コストダウンに寄与する。
【0015】
本願発明では、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPのうちの1台を、インバータ制御機構INVによる周波数制御を行うものとする一方、もう1台をON/OFF制御するものとすることもでき、そのように構成した場合、1台の溶液ポンプのみをインバータ制御すればよいこととなり、インバータ制御機構INVの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本願発明を幾つかの好適な実施の形態について説明する。
【0017】
第1の実施の形態
図1には、本願発明の第1の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルが示されている。
【0018】
この三重効用吸収式冷凍装置Zは、水を冷媒とし、臭化リチウムを吸収液とする吸収式冷凍装置であって、各1個の凝縮器Cと吸収器Aと蒸発器E、及び各三個の溶液熱交換器H,H,Hと再生器G,G,Gを、溶液配管系と冷媒配管系で作動的に接続して冷媒と吸収溶液の循環サイクルを構成している。
【0019】
前記蒸発器Eは、容器1の中に、被冷却液Weを通す熱交換部7を備えて構成されている。
【0020】
前記吸収器Aは、容器2内に、該吸収器A内で発生する吸収熱を除去するための冷却水Waを通す熱交換部8を備えて構成されている。
【0021】
前記凝縮器Cは、容器6内に冷却水Waを通す熱交換部11を備えて構成されている。
【0022】
前記各再生器G,G,Gは、共に、冷媒を含む吸収溶液を加熱濃縮して順次高濃度の濃溶液とするためのものであって、これら相互間においてはその作動温度が異なっており、最も高温で作動する高温再生器Gは容器3内に外部熱源J(例えば、燃焼ガスとか蒸気)を備えて構成され、中温で作動する中温再生器Gは容器4内に溶液加熱部9を備えて構成され、さらに最も低温で作動する低温再生器Gは容器5内に溶液加熱部10を備えて構成される。
【0023】
前記各溶液熱交換器H,H,Hは、前記各再生器G,G,Gで生成される低温濃溶液L、中温濃溶液L及び高温濃溶液Lのそれぞれがもつ熱を希溶液La側へ回収するためのものであって、一般的にはシェルアンドチューブ型熱交換器であるが、他の形式、例えばプレート型熱交換器で構成されてもよい。
【0024】
これらの各機器は、溶液配管系及び冷媒配管系によって以下のように作動的に接続されている。
【0025】
即ち、前記凝縮器Cにおいて生成される液冷媒Rcは前記蒸発器E側に供給され、この蒸発器Eに供給された液冷媒Rcは、前記熱交換部7に散布される。前記熱交換部8に流入する冷却水Waは、前記熱交換部8において吸収熱を吸熱し、熱交換部11に流入する冷却水Waは、低温再生器Gから移送された冷媒蒸気Rを冷却凝縮させる。前記熱交換部7に流入する被冷却液(水)Weは、前記冷媒Reの蒸発熱によって冷却される。さらに、前記熱交換部7への散布により前記蒸発器Eにおいて発生する気化冷媒Reはそのまま前記吸収器A側に移送される。
【0026】
前記吸収器Aの容器2の底部には、2台の溶液ポンプLP,LPを直列に接続した希溶液配管21が接続されている。ここで、溶液ポンプLP,LPとしては、同型(即ち、同能力)の遠心ポンプが採用されているが、溶液ポンプLP,LPとして異なる能力を有するものを組み合わせて採用してもよい。
【0027】
前記希溶液配管21は、前記低温溶液熱交換器H、前記中温溶液熱交換器Hおよび前記高温溶液熱交換器Hの被加熱側をそれぞれ通過した後に前記高温再生器Gに接続されている。従って、本実施の形態においては、前記吸収器Aから流出する希溶液Laの全部が、溶液熱交換器H,H,Hの被加熱側を通過後に高温再生器Gに流入することとなっているのである。
【0028】
前記高温再生器Gに接続されて該高温再生器Gから流出する高温濃溶液Lを導く高温溶液配管27は、前記高温溶液熱交換器Hの加熱側を通って前記中温再生器Gに接続されている。
【0029】
前記中温再生器Gに接続されて該中温再生器Gから流出する中温濃溶液Lを導く中温溶液配管26は、前記中温溶液熱交換器Hの加熱側を通って前記低温再生器Gに接続されている。
【0030】
前記低温再生器Gから流出する低温濃溶液Lを導く低温溶液配管25は、前記低温溶液熱交換器Hの加熱側を通って前記吸収器Aに接続されている。
【0031】
前記高温再生器Gの気室側は、高温蒸気配管24を介して前記中温再生器Gにおける前記溶液加熱部9の入口側に接続されている。
【0032】
前記中温再生器Gの気室側は、中温蒸気配管23を介して前記低温再生器Gにおける前記溶液加熱部10の入口側に接続されている。
【0033】
前記低温再生器Gで発生した冷媒は低温蒸気配管22を介して前記凝縮器Cへ移送される。
【0034】
前記低温再生器Gにおける前記溶液加熱部10の出口側は冷媒ドレン配管28を介して前記凝縮器Cに接続されている。
【0035】
前記中温再生器Gにおける前記溶液加熱部9の出口側に接続された冷媒ドレン配管29は、前記中温蒸気配管23に合流している。
【0036】
前記吸収式冷凍装置Zは、以上のような機器配置と経路構成とを採ることで、冷媒と吸収溶液の循環サイクルを構成している。
【0037】
続いて、この三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルを具体的に説明する。
【0038】
前記吸収器Aから溶液ポンプLP,LPによって送給される希溶液Laは、溶液熱交換器H〜Hの被加熱側をそれぞれ通って高温再生器Gに流入し、該高温再生器Gにおいて外部熱源Jによる加熱濃縮作用を受け、高温濃溶液Lとなって流出し、前記高温溶液熱交換器Hの加熱側を通る。この際、前記高温溶液熱交換器Hにおいて、被加熱側の希溶液Laと加熱側の高温濃溶液Lとの間で熱交換が行われ(熱回収)、該希溶液Laは予熱された状態で前記高温再生器Gに流入する。
【0039】
前記高温再生器Gから流出する高温濃溶液Lは、高温溶液熱交換器Hの加熱側を通過後、中温再生器Gに流入し、該中温再生器Gにおいて前記高温再生器G側から溶液加熱部9に流入する冷媒蒸気Rによって加熱濃縮され、中温濃溶液Lとなって流出し、前記中温溶液熱交換器Hの加熱側を通って低温再生器Gに流入する。この際、前記中温溶液熱交換器Hにおいて、被加熱側の希溶液Laと加熱側の中温濃溶液Lとの間で熱交換が行われ(熱回収)、該希溶液Laは予熱された状態で前記高温溶液熱交換器Hに送られる。
【0040】
さらに、前記低温再生器Gに流入した中温濃溶液Lは、該低温再生器Gにおいて前記中温再生器G側から溶液加熱部10に流入する冷媒蒸気Rによって加熱濃縮され、低温濃溶液Lとなって流出する。
【0041】
そして、この低温再生器Gから流出する低温濃溶液Lは、前記低温溶液熱交換器Hの加熱側を通って吸収器Aに流入する。この際、前記低温溶液熱交換器Hにおいて、被加熱側の希溶液Laと加熱側の濃溶液Lとの間で熱交換が行われ(熱回収)、該希溶液Laは予熱された状態で前記中温溶液熱交換器Hに送られる。
【0042】
以上がこの実施の形態の三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルであり、シリーズサイクルを構成している。この作動サイクルにおいては以下のような特有の作用効果が得られるものである。
【0043】
ところで、三重効用吸収式冷凍装置においては、上述のように作動温度が異なる3個の再生器(即ち、高温再生器G、中温再生器Gおよび低温再生器G)を備えた場合、高温再生器Gの冷媒蒸気で中温再生器Gの吸収溶液を加熱濃縮するので、高温再生器Gの冷媒飽和蒸気温度は中温再生器Gの吸収溶液の沸騰温度以上でなければならず、従って高温再生器Gにおいてはその冷媒蒸気温度に比例的にその作動圧が高くなり、冷凍装置の高圧・高温対策が必要となる。つまり、吸収器Aからの吸収溶液を高温再生器Gに送給する溶液ポンプを1台で賄おうとすると、ポンプの揚程も必然的に高くなり、それに伴って必要な有効吸込ヘッドも高くなり、冷凍装置全体が高くなってしまう。
【0044】
ところが、この第1の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zにおいては、吸収器Aから出た希溶液Laの全部が、2台直列に接続された溶液ポンプLP,LPによって高温再生器Gに流入せしめられることとなっているので、必要な有効吸込ヘッドは1台のポンプ分(即ち、二重効用吸収式冷凍装置の場合と同等)となる。その結果、冷凍装置の全体高さを低く抑えることができる。しかも、溶液ポンプLP,LPは、ポンプ効率の高いポイントでの使用が可能となり、低消費電力化をも図ることができる。さらに、溶液ポンプを新たに設計することなく、従来から二重効用吸収式冷凍装置での使用実績があるポンプを使用することができるため、信頼性が高くなるとともに、コスト的にも有利となる。さらにまた、溶液ポンプLP,LPを、同形式の遠心ポンプとしたことにより、1種類の遠心ポンプを2台用意すればよいので、2種類のポンプを使用する場合に比べて低コストとなる。
【0045】
第2の実施の形態
図2には、本願発明の第2の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルが示されている。
【0046】
この三重効用吸収式冷凍装置Zにおいては、吸収器Aの容器2の底部に接続され、2台の同型(即ち、同能力)の遠心ポンプからなる溶液ポンプLP,LPが直列に接続された希溶液配管21は、低温溶液熱交換器Hの被加熱側を通過後に、第1分岐配管21Aと第2分岐配管21Bとの二つの経路に分岐されており、該第1分岐配管21Aは、高温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って高温再生器Gに接続される一方、前記第2分岐配管21Bは、中温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って中温再生器Gに接続されている。また、前記高温再生器Gから流出する高温濃溶液Lは、低温再生器Gから流出する低温濃溶液Lと合流した後、低温溶液熱交換器Hの加熱側を通って吸収器Aに流入することとなっている。この場合、作動サイクルは、変形シリーズサイクルを構成している。
【0047】
本実施の形態の場合、吸収器Aから出た希溶液Laの一部が、2台直列に接続された溶液ポンプLP,LPによって高温再生器Gに流入せしめられることとなっているのでのである。このようにすると、中温再生器Gにおける吸収溶液の沸騰温度を低く抑えることができるので、高温再生器Gにおける吸収溶液の沸騰温度を低く抑えることが可能となり、溶液ポンプLP,LPの揚程を低減できる。
【0048】
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0049】
第3の実施の形態
図3には、本願発明の第3の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルが示されている。
【0050】
この三重効用吸収式冷凍装置Zにおいては、吸収器Aの容器2の底部に接続された希溶液配管21は、低温溶液熱交換器Hの被加熱側を通過後に、第1分岐配管21Aと第2分岐配管21Bとの二つの経路に分岐されており、該第1分岐配管21Aは、高温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って高温再生器Gに接続される一方、前記第2分岐配管21Bは、中温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って中温再生器Gに接続されている。また、前記高温再生器Gから流出する高温濃溶液Lは、低温再生器Gから流出する低温濃溶液Lと合流した後、低温溶液熱交換器Hの加熱側を通って吸収器Aに流入することとなっている。そして、1台の溶液ポンプLPは吸収器Aの出口側に設けられ、もう1台の溶液ポンプLPは低温溶液熱交換器Hの出口側における第2分岐配管21Bの分岐前に設けられている。この場合、作動サイクルは、変形シリーズサイクルを構成している。
【0051】
本実施の形態の場合、吸収器Aから出た希溶液Laの一部が、2台直列に接続された溶液ポンプLP,LPによって高温再生器Gに流入せしめられることとなっているのでのである。このようにすると、中温再生器Gにおける吸収溶液の沸騰温度を低く抑えることができるので、高温再生器Gにおける吸収溶液の沸騰温度を低く抑えることが可能となり、溶液ポンプLP,LPの揚程を低減できる。
【0052】
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0053】
第4の実施の形態
図4には、本願発明の第4の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクルが示されている。
【0054】
この三重効用吸収式冷凍装置Zにおいては、吸収器Aの容器2の底部に接続され、2台の同型(即ち、同能力)の遠心ポンプからなる溶液ポンプLP,LPが直列に接続された希溶液配管21は、低温溶液熱交換器Hの被加熱側を通過後に、第1分岐配管21Aと第2分岐配管21Bと第3分岐配管21Cの三つの経路に分岐されており、該第1分岐配管21Aは、高温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って高温再生器Gに接続され、前記第2分岐配管21Bは、中温溶液熱交換器Hの被加熱側を通って中温再生器Gに接続され、第3分岐配管21Cは、低温再生器Gに接続されている。また、前記高温再生器Gから流出する高温濃溶液Lは、中温再生器Gから流出する中温濃溶液Lと合流した後、中温溶液熱交換器Hの加熱側を通って低温再生器Gから流出する低温濃溶液Lと合流後、低温溶液熱交換器Hの加熱側を通って吸収器Aに流入することとなっている。この場合、作動サイクルは、パラレルサイクルを構成している。
【0055】
本実施の形態の場合、吸収器Aから出た希溶液Laの一部が、2台直列に接続された溶液ポンプLP,LPによって高温再生器Gに流入せしめられることとなっているのでのである。
【0056】
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0057】
次に、上記各実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置に使用されている2台の溶液ポンプLP,LPの制御態様について説明する。
【0058】
例えば、図5(イ)に示すように、溶液ポンプLP,LPに、インバータ制御機構INV,INVをそれぞれ付設して、同一の周波数で流量制御するようにしてもよい。このようにすると、溶液ポンプLP,LPを流量制御する周波数を同一としているので、制御を簡素化できる。
【0059】
また、図5(ロ)に示すように、溶液ポンプLP,LPに対して周波数制御を行う1台のインバータ制御機構INVを付設するようにしてもよい。このようにすると、1台のンバータ制御機構INVで2台の溶液ポンプLP,LPの流量制御を行うことができることとなり、コストダウンに寄与する。
【0060】
さらに、図5(ハ)に示すように、溶液ポンプLP,LPのうちの1台(例えば、溶液ポンプLP)を、インバータ制御機構INVによる周波数制御を行うものとする一方、もう1台(例えば、溶液ポンプLP)をマグネットスイッチMGによるON/OFF制御されるものとするようにしてもよい。このようにすると、1台の溶液ポンプLPのみをインバータ制御すればよいこととなり、インバータ制御機構INVの小型化、低コスト化を図ることができる。この場合、ON/OFF制御される溶液ポンプLPは下流側に配置するのが、ON/OFF制御される溶液ポンプLPのOFF時におけるもう一方の溶液ポンプLPの吸込抵抗を低減できる上で好ましい。
【0061】
【発明の効果】
本願発明の第1の手段によれば、凝縮器C、蒸発器E、吸収器A及び作動温度が異なる3個の再生器G〜Gを溶液配管系と冷媒配管系とで作動的に接続して循環サイクルを構成し、前記吸収器Aからの吸収溶液の一部又は全部を高温再生器Gに供給し、前記高温再生器Gで外部熱源Jを用いて吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記中温再生器Gで吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記低温再生器Gで吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させるように構成した三重効用吸収式冷凍装置において、前記吸収器Aの出口側に、2台の溶液ポンプLP,LPを直列に接続しているので、必要な有効吸込ヘッドは1台のポンプ分(即ち、二重効用吸収式冷凍装置の場合と同等)となり、冷凍装置の全体高さを低く抑えることができるという効果がある。しかも、溶液ポンプLP,LPは、ポンプ効率の高いポイントでの使用が可能となり、低消費電力化をも図ることができるという効果もある。さらに、溶液ポンプを新たに設計することなく、従来から二重効用吸収式冷凍装置での使用実績があるポンプを使用することができるため、信頼性が高くなるとともに、コスト的にも有利となるという効果もある。
【0062】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPを、同形式の遠心ポンプとすることもでき、そのように構成した場合、1種類のポンプを2台用意すればよいので、2種類のポンプを使用する場合に比べて低コストとなる。
【0063】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPに、同一の周波数で流量制御されるインバータ制御機構INV,INVをそれぞれ付設することもでき、そのように構成した場合、溶液ポンプLP,LPを流量制御する周波数を同一としているので、制御を簡素化できる。
【0064】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPに対して周波数制御を行う1台のインバータ制御機構INVを付設することもでき、そのように構成した場合、1台のンバータ制御機構INVで2台の溶液ポンプLP,LPの流量制御を行うことができることとなり、コストダウンに寄与する。
【0065】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた三重効用吸収式冷凍装置において、前記溶液ポンプLP,LPのうちの1台を、インバータ制御機構INVによる周波数制御を行うものとする一方、もう1台をON/OFF制御するものとすることもでき、そのように構成した場合、1台の溶液ポンプのみをインバータ制御すればよいこととなり、インバータ制御機構INVの小型化、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクル図である。
【図2】本願発明の第2の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクル図である。
【図3】本願発明の第3の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクル図である。
【図4】本願発明の第4の実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置Zの作動サイクル図である。
【図5】(イ)、(ロ)、(ハ)は、本願発明の各実施の形態にかかる三重効用吸収式冷凍装置における溶液ポンプの各制御態様を説明する図である。
【符号の説明】
Aは吸収器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、G〜Gは再生器、H〜Hは溶液熱交換器、Jは外部熱源、L〜Lは濃溶液、Laは希溶液、LP,LPは溶液ポンプ、INV,INV,INVはインバータ制御機構、MGはマグネットスイッチZ〜Zは三重効用吸収式冷凍装置。

Claims (5)

  1. 凝縮器(C)、蒸発器(E)、吸収器(A)及び作動温度が異なる3個の再生器(G〜G)を溶液配管系と冷媒配管系とで作動的に接続して循環サイクルを構成し、前記吸収器(A)からの吸収溶液の一部又は全部を高温再生器(G)に供給し、前記高温再生器(G)で外部熱源(J)を用いて吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記中温再生器(G)で吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させ、該冷媒蒸気の凝縮熱を用いて前記低温再生器(G)で吸収溶液を加熱沸騰せしめて冷媒蒸気を発生させるように構成した三重効用吸収式冷凍装置であって、前記吸収器(A)の出口側には、2台の溶液ポンプ(LP),(LP)を直列に接続したことを特徴とする三重効用吸収式冷凍装置。
  2. 前記溶液ポンプ(LP),(LP)を、同形式の遠心ポンプとしたことを特徴とする前記請求項1記載の三重効用吸収式冷凍装置。
  3. 前記溶液ポンプ(LP),(LP)には、同一の周波数で流量制御されるインバータ制御機構(INV),(INV)をそれぞれ付設したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の三重効用吸収式冷凍装置。
  4. 前記溶液ポンプ(LP),(LP)に対して周波数制御を行う1台のインバータ制御機構(INV)を付設したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の三重効用吸収式冷凍装置。
  5. 前記溶液ポンプ(LP),(LP)のうちの1台を、インバータ制御機構(INV)による周波数制御を行うものとする一方、もう1台をON/OFF制御するものとしたことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の三重効用吸収式冷凍装置。
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