JP3851764B2 - 吸収式冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
冷媒を蒸発伝熱管の外表面で蒸発させて前記蒸発伝熱管内を流通する冷却対象液を冷却する蒸発器と、前記蒸発器において蒸発した冷媒を吸収する吸収液を収容する吸収器と、前記吸収器から供給された吸収液を熱源流体を利用して加熱して濃縮させ、前記濃縮させた吸収液を前記吸収器に供給する再生器と、前記再生器から供給される冷媒の蒸気を凝縮させ、前記凝縮させた冷媒を前記蒸発器へ供給する凝縮器とを有する吸収式冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような吸収式冷凍機は、他の装置若しくはプラント等の排熱を利用して加熱された温水等の熱源流体を利用するものであり、このように排熱を利用するプラントとして、コージェネレーション(以下、CGSと略称する)が知られている。
一般的に、吸収式冷凍機を備えたCGSは、ガスタービン若しくはエンジンで発電機を回転することにより発電機から電力を得るように構成され、ガスタービンから排出される排ガス、若しくはエンジンから排出される排ガス及びエンジンのジャケット水の熱を熱回収して得られた熱源流体を吸収式冷凍機に供給して、総合効率の向上を図るものである。
【0003】
エンジンの排熱を利用するエンジンCGSに設けられた温水焚吸収式冷凍機は、図3に示すように、発電機152の駆動源であるエンジン151のジャケット水JWと排ガスEとの熱を利用するように構成されており、詳しくは、ジャケット水JWと排ガスEの熱を、ジャッケト水熱交換器153と排ガス熱交換器154の間を循環ポンプ155によって循環する冷却水CW1(熱源流体の一例)によって熱回収し、加熱された冷却水CW1を、後述する再生器101に温水として供給する。
温水焚吸収式冷凍機300は、吸収器103の臭化リチウム溶液である吸収液Kの吸収作用によって、蒸発器104の循環ポンプ110によって蒸発伝熱管105外表面に散布されている冷媒水Wを、蒸発伝熱管105表面において蒸発させて、冷媒Wから蒸発潜熱を奪うことで、冷媒水W及び蒸発器104内の蒸発伝熱管105を流通する冷水C(冷却対象液の一例)を冷却する。
【0004】
吸収器103において冷媒Wを吸収して希釈された吸収液Kは、ポンプ106により低温熱交換器107を介して再生器101に送られる。再生器101は、前述したエンジン151の排熱によって加熱された冷却水CWを加熱伝熱管108に流通させ、その希釈された吸収液Kは加熱され冷媒水Wを蒸発させて再生され、濃縮された吸収液Kが、低温熱交換器107を介して吸収器103に戻されるように構成されている。また、低温熱交換器107は、再生器101において昇温した吸収液Kと吸収器103からの吸収液Kとの熱交換を行い、吸収器103から再生器101へ供給される吸収液Kを、再生器101から吸収器103に供給される吸収液Kによって加熱するように構成されている。
【0005】
再生器101において蒸発した冷媒Wの蒸気は、凝縮器102に送られ、凝縮器2に設けられた冷却水伝熱管109を流通する冷却水CW2によって凝縮され、凝縮された冷媒水Wは蒸発器104に送られる。
また、この凝縮器102の冷却水伝熱管109を流通する冷却水CW2は、ポンプ113によって循環しながら冷却塔112において放熱され、吸収器103に設けられた冷却水伝熱管111を流通して吸収器103の放熱に利用された後に、凝縮器102の冷却水伝熱管109に供給される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、CGSでは、発電利用と熱回収に使用されるが、主に発電が主目的の為、発電負荷は比較的一定に取り出すように計画されている。また、吸収式冷凍機300において熱回収して発生した冷水Cを冷房に利用する場合、冷房負荷は、運転時間、外気温度によって左右されるため、冷房負荷が少ない場合、吸収式冷凍機300を停止する必要がある。
しかし、発電目的で利用されているCGSにおいて、発電機の駆動源となるエンジン151を停止することができないケースがあり、冷却負荷の減少に伴って蒸発器104の冷却能力を低下させるために、吸収式冷凍機300の再生器101に冷却水CW1が流入しないようすることがある。しかし、このように構成する場合、冷却水CW1を再生器101に対してバイパスさせる温水三方弁120や、再生器101を流通せず高温である冷却水CW1を冷却する放熱用冷却塔121及びその放熱用冷却塔121に温水を供給する温水三方弁122を設ける必要があり、コスト高の原因となる。
【0007】
また、エンジン151の代わりにタービンを設け、ガスタービンから排出される排ガスを吸収式冷凍機の再生器へ直接供給する場合においても同様に、冷房負荷が低下して吸収式冷凍機の冷却能力を小さくするために、その排ガスをバイパスする排ガス三方ダンパが必要となり、排ガスの圧力が高いため、ダンパを全閉にしてもダンパのシール部からガス洩れが生じ、運転を停止している吸収式冷凍機の再生器に若干の排ガスが供給され、再生器の温度上昇及び低温腐食の原因となる。
【0008】
さらに、上記のように、排ガス三方ダンパや温水三方弁等を使用せず、エンジン、タービンの運転を冷房負荷に応じて停止・運転を頻繁に繰り返して行うと、タービンのブレードやエンジンのピストン等のヒートショックによる破損や、各部品の熱応力割れ等の問題が生じ、さらに、エンジンやタービンを停止することにより、必要な発電が出来なくなる問題がある。
【0009】
また、吸収式冷凍機の停止時においてもエンジン冷却水温の上昇によるエンジンの停止を防止することができる吸収式冷凍機が提案されている(特開平5−196319号公報)が、上記の公報に記載されている吸収式冷凍機の場合、排熱回収用の温水三方弁を設けず、冷房負荷が少なくなり冷水温度が低下したとき、エンジンを停止せずに吸収式冷凍機の吸収液のポンプを停止することによって、温水を再生器に通水しても吸収式冷凍機における入熱をなくし、濃縮された吸収液が残っている再生器から吸収器への配管内に冷媒水を通水して吸収液を薄めることにより配管内の晶析を防止し、温水を再生器に対してバイパスさせるための温水三方弁を省略することが出来ることを提案しているが、吸収式冷凍機を停止し、該配管に冷媒水を注入することによって、該配管内に残っていた濃縮された吸収液が吸収器内に押し出され冷却水伝熱管に散布され吸収器内の圧力をさらに低下させることになる。また、蒸発器の冷媒水はほとんど流れない状況であるが、一部冷媒水が蒸発し温度が低下するので、蒸発器において冷媒が凍結し配管が閉塞する恐れがある。よって再度運転を開始する時、この閉塞により冷媒水が流れないトラブルが生じることが十分考えられる。また、温水三方弁の省略はできるが、温水の放熱が行われないので放熱用冷却塔が必要で、大幅な設備コストの削減が出来ない欠点があった。
【0010】
従って、本発明は、上記の事情に鑑みて、再生器内に直接排ガスや温水を導入する吸収式冷凍機において、冷房負荷が少なくなって吸収式冷凍機を停止が必要になった時においても、熱源流体によって熱を回収されるエンジンやガスタービンを停止せずに運転可能にする技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
〔構成1〕
本発明に係る吸収式冷凍機は、請求項1に記載したごとく、前記蒸発器の冷媒に前記吸収液を供給可能な吸収液供給手段と、前記蒸発器の冷媒を、前記再生器へ排出可能な冷媒排出手段とを備え、
前記蒸発伝熱管から流出する冷却対象液の温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記吸収液供給手段と、前記冷媒排出手段とを働かせて、前記蒸発器における冷却対象液に対する冷却負荷を切り換える制御手段を備え、
前記制御手段は、前記温度センサの検出温度が所定の温度よりも低下したときに、前記吸収液供給手段を働かせて、蒸発器の冷媒に前記吸収液を供給して前記冷却負荷が小さい低負荷運転を行い、蒸発器の冷媒に吸収液を供給する低負荷運転を行っている状態において、前記検出温度が所定の温度よりも上昇したときに、前記冷媒排出手段を働かせて、前記蒸発器の冷媒を、前記吸収器若しくは前記再生器へ排出して前記冷却負荷が大きい定格運転を行うことを特徴とする。
【0012】
〔作用効果〕
本構成のごとく、前記吸収液供給手段を備えることで、蒸発器の冷媒に吸収液を供給して、蒸発器の冷媒の沸点を上昇させ、蒸発器の蒸発伝熱管の外表面における冷媒の蒸発を抑制することができ、冷水(冷却対象液)の冷却能力が小さい低負荷運転を行うことができる。さらに、前記冷媒排出手段を備えることで、蒸発器において吸収液が供給された冷媒を直接若しくは吸収器から再生器へ排出して、その再生器において、冷媒を蒸発させて、凝縮器を介して蒸発器へ純粋な冷媒を供給することができ、蒸発器において、純粋な冷媒を蒸発伝熱管の外表面において蒸発させ、冷水の冷却能力を定格運転の状態まで上昇させることができる。
よって、例えばエンジン若しくはタービンの排熱を利用して得られた熱源流体を再生器に供給するように構成しても、蒸発伝熱管に流入する冷水の温度が低くなる、若しくは冷水の冷却の必要が無くなったときでも、熱源流体の供給を停止すること無く、冷水の冷却能力を小さくすることができる吸収式冷凍機を実現することができる。
【0014】
〔作用効果〕
また、本構成のごとく、前記温度センサを設けて、蒸発伝熱管から流出する冷水の温度を検出すると共に、前記制御手段によって前記検出された冷水温度に基づいて、前記吸収液供給手段と前記冷媒排出手段とを働かせて、冷水の冷却能力を、蒸発伝熱管から流出する冷水の温度に合わせて自動的に切り換えることができる。
よって、本発明の吸収式冷凍機において、蒸発伝熱管に供給される冷水の温度変化に伴って、冷却能力を自動的に変更することができる技術を実現することができる。
【0016】
〔作用効果〕
さらに、蒸発伝熱管から流出する冷水の温度が所定の温度よりも低くなり、冷却負荷が減少したときに、蒸発器における冷却能力を小さくする必要があるので、本構成のごとく、制御手段は、吸収液供給手段を働かせて、蒸発器の冷媒に前記吸収液を供給して、蒸発器の冷媒の濃度を吸収液を供給することにより上昇させて沸点を高くして、蒸発器における冷媒の蒸発を抑制して、冷水の冷却能力が小さい低負荷運転を行うことができる。
また、この状態から、蒸発伝熱管から流出する冷水の温度が所定の温度以上になったときに、冷却能力を通常の定格運転の状態に戻す必要があり、制御手段は、冷媒排出手段を働かせて、蒸発器の吸収液が供給された冷媒を再生器若しくは吸収器を介して再生器へ排出して、その冷媒を再生器において蒸発させ、純粋な冷媒を凝縮器を介して蒸発器へ供給することができ、蒸発器において、沸点が低くなった冷媒を蒸発させて冷水を充分に冷却する定格運転を行うことができる。
【0017】
〔構成2〕
本発明に係る吸収式冷凍機は、請求項2に記載したごとく、上記構成1の吸収式冷凍機の構成に加えて、前記吸収器から前記再生器への吸収液の循環量を変更自在に構成し、
前記制御手段が、前記低負荷運転を行うに、前記吸収液の循環量を増加させることを特徴とする。
【0018】
〔作用効果〕
これまで説明してきた本発明の吸収式冷凍機において、蒸発器の冷却能力が小さい低負荷運転を行うときに、吸収器の吸収液が蒸発器へ供給され、蒸発器における蒸発が抑制されるので、吸収器における吸収作用も抑制され、結果的に、再生器での冷媒の蒸発が抑制される。よって、再生器へ供給される熱源流体の放熱のほとんどは、吸収液を介して、吸収器における冷却水によって行われることになるので、このように低負荷運転を行う場合、本構成のごとく、制御手段は、吸収器と再生器との吸収液の循環量を増加させて、吸収液の冷却水への放熱を促進することが好ましく、再生器が異常高温になることを抑制することができ、低負荷運転における熱源流体の放熱のための冷却塔等を設ける必要がない。
【0019】
〔構成3〕
本発明に係る吸収式冷凍機は、請求項3に記載したごとく、上記構成1または2の吸収式冷凍機の構成に加えて、前記熱源流体が、発電用エンジン若しくは発電用タービンの排熱を利用して加熱された流体であることを特徴とする。
【0020】
〔作用効果〕
これまで説明してきたように、本発明の吸収式冷凍機は、再生器への熱源流体の供給を停止すること無く、冷却の能力を低負荷運転と定格運転とに切り換えることができるので、発電用のエンジン若しくはタービンの排熱を利用するように構成する場合においても、エンジン若しくはタービンの運転を停止したり、再生器への熱源流体の供給を停止する構成を採用する必要が無く、簡単な構成で安価な本発明の吸収式冷凍機を実現することができる。
【0021】
〔構成4〕
本発明に係る吸収式冷凍機は、請求項4に記載したごとく、上記構成1から3の何れかの吸収式冷凍機の構成に加えて、前記再生器が、前記熱源流体が供給され前記吸収器から供給された吸収液を加熱して濃縮させる高温再生器と、前記高温再生器において発生する冷媒蒸気を熱源として、前記高温再生器で濃縮された吸収液を加熱して濃縮する低温再生器とによって構成されていることを特徴とする。
【0022】
〔作用効果〕
本構成のごとく、本発明の吸収式冷凍機を、前記高温再生器と前記低温再生器を備えた、所謂二重効用の吸収式冷凍機として構成することができ、高温の熱源流体を得ることができるシステムにおいて、その熱を充分に利用して、冷水を効率よく冷却することができる吸収式冷凍機においても、本発明の特徴構成を採用して、冷却能力を変化させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示す吸収式冷凍機100は、エンジンの排熱を利用するエンジンCGSに設けられた温水焚吸収式冷凍機であり、詳しくは、発電機52の駆動源であるエンジン51のジャケット水JWと排ガスEとの熱を利用するように構成されており、詳しくは、ジャケット水JWと排ガスEの熱を、ジャッケト水熱交換器53と排ガス熱交換器54の間を循環ポンプ55によって循環する冷却水CW1(熱源流体の一例)によって熱回収し、加熱された冷却水CW1を、後述する再生器1に温水として供給する。
温水焚吸収式冷凍機100は、吸収器3の臭化リチウム溶液である吸収液Kの吸収作用によって、蒸発器4の循環ポンプ10によって蒸発伝熱管5外表面に散布されている冷媒水Wを、蒸発伝熱管5表面において蒸発させて、冷媒Wから蒸発潜熱を奪うことで、冷媒水W及び蒸発器4内の蒸発伝熱管5を流通する冷水C(冷却対象液の一例)を冷却する。
【0024】
吸収器3において冷媒Wを吸収して希釈された吸収液Kは、ポンプ6により低温熱交換器7を介して再生器1に送られる。再生器1は、前述したエンジン51の排熱によって加熱された冷却水CW1を加熱伝熱管8に流通させ、その希釈された吸収液Kは加熱され冷媒水Wを蒸発させて再生され、濃縮された吸収液Kが、低温熱交換器7を介して吸収器3に戻されるように構成されている。また、低温熱交換器7は、再生器1において昇温した吸収液Kと吸収器3からの吸収液Kとの熱交換を行い、吸収器3から再生器1へ供給される吸収液Kを、再生器1から吸収器3に供給される吸収液Kによって加熱するように構成されている。
【0025】
再生器1において蒸発した冷媒Wの蒸気は、凝縮器2に送られ、凝縮器2に設けられた冷却水伝熱管9を流通する冷却水CW2によって凝縮され、凝縮された冷媒水Wは蒸発器4に送られる。
また、この凝縮器2の冷却水伝熱管9を流通する冷却水CW2は、ポンプ13によって循環しながら冷却塔12において放熱され、吸収器3に設けられた冷却水伝熱管11を流通して吸収器3の放熱に利用された後に、凝縮器2の冷却水伝熱管9に供給される。
【0026】
これまで説明した構成は、従来の吸収式冷凍機と同様の構成であるが、次に本発明の特徴構成について説明する。
本発明の吸収式冷凍機100は、蒸発器4の冷媒Wに吸収液Kを供給可能な吸収液供給手段Aとして、吸収器3から再生器1へ吸収液Kを送るポンプ6の下流側と、蒸発器4の冷媒を蒸発伝熱管5に散布するために循環させる循環ポンプ10の下流側とを接続する配管21と、その配管21に設けられた電動弁20とが設けられ、制御盤30(制御手段の一例)によって電動弁20を開状態とすることで、吸収器3から再生器1へ供給される吸収液Kを蒸発器4の冷媒Wへ供給することができる。このような吸収液供給手段Aによって、蒸発器4の冷媒Wへ吸収液Kを供給して、蒸発器4の冷媒Wの沸点を上昇させ、蒸発器4の蒸発伝熱管5の外表面における冷媒Wの蒸発を抑制することができ、冷水Cの冷却能力が小さい低負荷運転を行うことができる。
【0027】
さらに、本発明の吸収式冷凍機100は、蒸発器4の冷媒Wを、再生器1へ排出可能な冷媒排出手段Bとして、蒸発器4の冷媒を蒸発伝熱管5に散布するために循環させる循環ポンプ10の下流側と、吸収器3から再生器1へ吸収液Kを送るポンプ6の上流側とを接続する配管23と、その配管23に設けられた電動弁22とが設けられ、制御盤30(制御手段の一例)によって電動弁22を開状態とすることで、蒸発器4の吸収液Kが供給された冷媒を再生器1へ排出することができる。このような冷媒排出手段Bによって、上記のように、冷却能力を小さくするために、吸収液Kを供給された冷媒Wを再生器1へ排出して、その再生器1において、冷媒Wを蒸発させて、凝縮器2を介して蒸発器4へ純粋な冷媒Wを供給することができ、蒸発器4において、純粋な冷媒を蒸発伝熱管5の外表面において蒸発させ、冷水Cの冷却能力を定格運転の状態まで上昇させることができる。
【0028】
また、蒸発伝熱管5の出口には、温度センサ25が設けられており、蒸発伝熱管5から流出する冷水Cの温度を検出して、制御盤30に出力可能になっている。
また制御盤30は、その検出された冷水Cの温度に基づいて、吸収液供給手段Aと冷媒排出手段Bとを働かせて、冷水Cの冷却能力を、蒸発伝熱管5から流出する冷水Cの温度に合わせて自動的に切り換えて設定することができる。
詳しくは、制御盤30は、蒸発伝熱管5から流出する冷水Cの温度が所定の設定温度よりも低くなったときに、蒸発器4においてそれ以上冷水Cを冷却する必要がないと判断し、吸収液供給手段Aを働かせて、蒸発器4の冷媒Wに吸収液Kを供給して、蒸発器4の冷媒の濃度を吸収液Kを供給することにより上昇させて沸点を高くし、蒸発器4における冷媒の蒸発を抑制して、冷水Cの冷却能力が小さい低負荷運転を行う。また、この状態から、蒸発伝熱管5から流出する冷水Cの温度が所定の設定温度以上になったときに、冷水Cを再度冷却する必要があるので、冷媒排出手段Bを働かせて、蒸発器4の吸収液Kが供給された冷媒Wを再生器1へ排出して、その冷媒Wを再生器1において蒸発させ、純粋な冷媒を凝縮器2を介して蒸発器4へ供給することができ、蒸発器4において、沸点が低くなった冷媒Wを蒸発させて冷水Cを充分に冷却する定格運転を行うことができる。
【0029】
以上のように構成することで、吸収式冷凍機100の冷却能力を小さくする低負荷運転を行う場合に、エンジン51の排熱を回収するための温水の再生器1への供給を停止したりエンジン51自身を停止させる必要が無い。
【0030】
また、蒸発器4の冷却能力が小さい低負荷運転を行うときに、吸収器3の吸収液Kが蒸発器4へ供給され、蒸発器4における蒸発が抑制されるので、吸収器3における吸収作用も抑制され、結果的に、再生器1での冷媒の蒸発が抑制される。よって、再生器1へ供給される温水の放熱のほとんどは、吸収液Kを介して、吸収器3における冷却水伝熱管11を流通する冷却水によって行われることになるので、このように低負荷運転を行う場合、制御盤30は、インバータを利用してポンプ6の供給能力を増加させ、吸収器3と再生器1との吸収液Kの循環量を増加させて、吸収液Kの冷却水CW2への放熱を促進することができる。また、この場合、ポンプ13を調整して冷却水CW2の循環量も増加させることが好ましい。
【0031】
〔別実施の形態〕
次に、本発明の吸収式冷凍機の別の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〈1〉 上記の実施の形態において、発電機の駆動源としてエンジンを利用する構成を説明したが、別に、エンジンの代わりにタービンによって発電機を駆動させても構わず、さらに、再生器に熱源流体として温水を供給する代わりに、直接エンジン若しくはタービンの排ガスを供給しても構わない。
また、エンジン若しくはタービン以外の排熱を利用したもの以外の熱源流体を、再生器の熱源として利用することもできる。
【0032】
〈2〉 上記の実施の形態において、本発明の吸収式冷凍機を、1つの再生器を設けた所謂単効用の構成として説明したが、別に、高温再生器と低温再生器からなる二重効用の構成の吸収式冷凍機として構成することもできる。
即ち、図2に示すように、吸収式冷凍機100の再生器1を、吸収器3から供給される希釈吸収液Kを低温熱交換器7a及び高温熱交換器7bを介して供給され、エンジン若しくはタービンの排ガスEを直接熱源流体として利用し、その希釈吸収液Kを加熱する高温再生器1aと、高温再生器1aから流出する冷媒Wの蒸気と吸収液Kとを分離する分離器1cと、分離器1cから排出される冷媒Wの蒸気が、熱源として供給され、吸収液Kの熱回収する低温再生器1bとによって構成する。低温再生器1bにおいて熱回収された冷媒Wは、凝縮器2において冷却水によって凝縮されて蒸発器4に供給され、低温再生器1bにおいて濃縮された吸収液Kは、低温熱交換器7aにおいて熱回収されて吸収器3に供給される。このような二重効用の吸収式冷凍機は、単効用の吸収式冷凍機は冷媒の蒸気の熱をすべて冷却水によって放熱するのと比べて、冷媒の蒸気を低温再生器1bの熱源として利用することができるので、高効率運転が可能となる。
このような二重効用の吸収式冷凍機においても、これまで説明した本発明の吸収式冷凍機として構成することができ、吸収液供給手段Aによって、吸収液Kを蒸発器の冷媒に供給して、冷水の冷却能力を小さくしたり、冷媒排出手段Bによって、低負荷運転において、蒸発器の冷媒を高温再生器1a側へ供給して、純粋の冷媒を蒸発器4に供給して、冷却能力が大きい定格運転に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収式冷凍機の実施の形態を示す概略図
【図2】本発明の吸収式冷凍機の別の実施の形態を示す概略図
【図3】従来の吸収式冷凍機の形態を示す概略図
【符号の説明】
1 再生器
2 凝縮器
3 吸収器
4 蒸発器
5 蒸発伝熱管
6 ポンプ
7 熱交換器
8 加熱伝熱管
9 冷却水伝熱管
10 循環ポンプ
11 冷却水伝熱管
12 冷却塔
13 ポンプ
20 電動弁
21 配管
22 電動弁
23 配管
51 エンジン
52 発電機
53 ジャッケト熱交換器
54 排ガス熱交換器
100 吸収式冷凍機
W 冷媒
K 吸収液
JW ジャケット水
CW1 冷却水(熱源流体の一例)
E 排ガス
Claims (4)
- 冷媒を蒸発伝熱管の外表面で蒸発させて前記蒸発伝熱管内を流通する冷却対象液を冷却する蒸発器と、前記蒸発器において蒸発した冷媒を吸収する吸収液を収容する吸収器と、前記吸収器から供給された吸収液を熱源流体を利用して加熱して濃縮させ、前記濃縮させた吸収液を前記吸収器に供給する再生器と、前記再生器から供給される冷媒の蒸気を凝縮させ、前記凝縮させた冷媒を前記蒸発器へ供給する凝縮器とを有する吸収式冷凍機であって、
前記蒸発器の冷媒に前記吸収液を供給可能な吸収液供給手段と、前記蒸発器の冷媒を、前記再生器へ排出可能な冷媒排出手段とを備え、
前記蒸発伝熱管から流出する冷却対象液の温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記吸収液供給手段と、前記冷媒排出手段とを働かせて、前記蒸発器における冷却対象液に対する冷却負荷を切り換える制御手段を備え、
前記制御手段は、前記温度センサの検出温度が所定の温度よりも低下したときに、前記吸収液供給手段を働かせて、蒸発器の冷媒に前記吸収液を供給して前記冷却負荷が小さい低負荷運転を行い、蒸発器の冷媒に吸収液を供給する低負荷運転を行っている状態において、前記検出温度が所定の温度よりも上昇したときに、前記冷媒排出手段を働かせて、前記蒸発器の冷媒を、前記吸収器若しくは前記再生器へ排出して前記冷却負荷が大きい定格運転を行う吸収式冷凍機。 - 前記吸収器から前記再生器への吸収液の循環量を変更自在に構成し、
前記制御手段が、前記低負荷運転を行うに、前記吸収液の循環量を増加させる請求項1に記載の吸収式冷凍機。 - 前記熱源流体が、発電用エンジン若しくは発電用タービンの排熱を利用して加熱された流体である請求項1または2に記載の吸収式冷凍機。
- 前記再生器が、前記熱源流体が供給され前記吸収器から供給された吸収液を加熱して濃縮させる高温再生器と、前記高温再生器において発生する冷媒蒸気を熱源として、前記高温再生器で濃縮された吸収液を加熱して濃縮する低温再生器とによって構成されている請求項1から3の何れか1項に記載の吸収式冷凍機。
Priority Applications (1)
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JP2000252396A JP3851764B2 (ja) | 2000-08-23 | 2000-08-23 | 吸収式冷凍機 |
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JP2000252396A JP3851764B2 (ja) | 2000-08-23 | 2000-08-23 | 吸収式冷凍機 |
Publications (2)
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